JP6709452B1 - 座屈拘束建材及び座屈拘束建材の製造方法 - Google Patents
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本発明によれば、芯材の長手方向側方に配置される隙間保持部材を2つの座屈拘束部材の間に介在させることにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保する。これにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に被挟込部材のような特別な部材を配置することなく、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保することができる。
また、本発明の隙間保持部材は、芯材の長手方向側方に配置されるため、芯材の軸方向圧縮荷重時における芯材の変形(2つの座屈拘束部材の対向方向への変形)を妨げることがないので、当該隙間を確保できさえすれば、その材料には特に制限はない。したがって、安価な隙間保持部材を用いることができ、低コスト化を実現できる。
更に、本発明においては、隙間保持部材が基材の外面に隙間調整用シートを設けた構成であることから、隙間調整用シートの厚みによって隙間の量を調整することができる。これにより、所定量に合わせて高精度に加工した基材を用いることなく、低コストで当該所定量の隙間を確保することができる。
本発明によれば、所定量に合わせて厚みを調整した隙間調整用シートを用いなくても、隙間調整用シートを複数重ねて隙間の量を調整することができるので、より低コストで所定量の隙間を確保することができる。
基材の外面に隙間調整用シートを接着して設ける場合、基材の外面形状によっては隙間調整用シートの端部に浮きが発生して剥がれやすくなる。一方で、薄い隙間調整用シートを用いれば、隙間調整用シートが基材の外面形状に沿って変形しやすくなり、端部の浮きが発生しにくくなるが、隙間確保のために多くの隙間調整用シートを重ね合わせる必要が生じ、コスト増を招きやすい。
本発明では、互いに重ねられる複数の隙間調整用シートのうちの最外側の隙間調整用シートを、内側に位置する他の隙間調整用シートよりも薄いものとしている。これにより、内側の隙間調整用シートについては厚みのあるものを用いて、隙間確保のために必要なシート枚数を減らすことができる。また、厚みによって端部が浮きやすい内側の隙間調整用シートに対し、薄い隙間調整用シートが最外側に重ねられることで、内側の隙間調整用シートの端部の浮きが当該薄い隙間調整用シートで抑えられ、かつ、最外側の隙間調整用シート自身の端部の浮きはその薄さによって発生しにくいので、隙間調整用シートの端部が浮いて剥がれることが抑制される。
このような形状の基材は、加工しやすいため、丸鋼などの既製品として安価に入手しやすく、低コストを実現しやすい。
これによれば、芯材の長手方向における基材の外面全域にわたって隙間調整用シートを設ける場合よりも、使用する隙間調整用シートの量を減らすことができ、より低コストを実現することができる。
また、本発明によれば、前記複数の箇所ごとに隙間調整用シートの厚み又はシート重ね枚数を変更することが可能となる。これにより、芯材の長手方向で芯材の厚みムラがあったり、2つの座屈拘束部材の芯材対向面が同長手方向で高さのムラがあったりする場合でも、各箇所の隙間調整用シートの厚み又はシート重ね枚数を調整して、同長手方向における隙間量のムラを低減でき、同長手方向に隙間量のムラが少ない隙間を確保することができる。
本発明においては、隙間調整部材の基材を変位抑制部材として用い、芯材の側方への変位を抑制することができる。これにより、芯材の軸方向圧縮荷重時に、2つの座屈拘束部材の対向方向に対して直交する方向における芯材の変形、座屈を、隙間調整部材(変位抑制部材)によって適切に抑制、拘束することができる。本発明によれば、変位抑制部材とは別個に隙間保持部材を設ける場合と比較して、構成の簡素化、軽量化等を図ることが可能となる。
本発明によれば、比較的軽量で高性能な座屈拘束建材を実現することができる。
芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間にゴムなどの被挟込部材を挟み込んで併合する従来の方法では、芯材と対向する芯材対向面全体の広範囲にわたって平滑化処理を施し、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に確保すべき隙間の精度を高める必要があった。
本発明によれば、確保すべき隙間の精度を高めるにあたり、芯材の長手方向側方に配置される隙間保持部材と対向する隙間保持部材対向面という比較的狭い範囲だけ平滑化処理を施せばよいので、平滑化処理の作業負担を軽減できる。
本発明によれば、芯材の長手方向側方に配置される隙間保持部材を2つの座屈拘束部材の間に介在させることにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保する。これにより、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に被挟込部材のような特別な部材を配置することなく、芯材と2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保することができる。
また、本発明の隙間保持部材は、芯材の長手方向側方に配置されるため、芯材の軸方向圧縮荷重時における芯材の変形(2つの座屈拘束部材の対向方向への変形)を妨げることがないので、当該隙間を確保できさえすれば、その材料には特に制限はない。したがって、安価な隙間保持部材を用いることができ、低コスト化を実現できる。
更に、本発明においては、隙間保持部材が基材の外面に隙間調整用シートを設けた構成であることから、隙間調整用シートの厚みによって隙間の量を調整することができる。これにより、所定量に合わせて高精度に加工した基材を用いることなく、低コストで当該所定量の隙間を確保することができる。
なお、本発明に係る座屈拘束建材は、ブレース(筋交い)としての用途に限らず、例えば梁、柱、土台などの用途にも利用可能であり、以下に述べる本実施形態の座屈拘束ブレースを梁、柱、土台などに用いることも可能である。
図2は、本実施形態における座屈拘束ブレースの分解斜視図である。
図3は、本実施形態における座屈拘束ブレースの内部構造を示す縦断面図である。
図4は、本実施形態における座屈拘束ブレースの内部構造を示す横断面図である。
芯材2と2つの座屈拘束部材1,1の芯材対向面3dとの隙間Δtは、特に本座屈拘束ブレース10を耐震部材/制振部材として機能させる場合には、高精度に設定することが要求される。すなわち、この隙間Δtが広すぎると、芯材2の軸方向圧縮荷重時に、芯材2の芯材中間部6が、2つの座屈拘束部材1,1の対向方向(図4中上下方向)において局所的に塑性変形してしまう。逆に、この隙間Δtが狭すぎると、芯材2の軸方向圧縮荷重時に、芯材2が2つの座屈拘束部材1,1に規制されて当該対向方向(図4中上下方向)へ十分な変形(歪み)ができなくなる。この場合、芯材2の圧縮軸力が座屈拘束部材1,1へ流れてしまう。
まず、枠板4,4を製造する。具体的には、平板状の鋼板を折り曲げて底面4a及び立面4b、4cを形成した後、別の鋼板からなる一対の当て金24,24を溶接により取り付ける。その後、この枠板4,4内に、別途作製しておいたモルタル製ブロックからなるモルタル材3,3を収納する。
次に、本実施形態における座屈拘束ブレース10の一変形例について説明する。
図8は、本変形例における座屈拘束ブレースの分解斜視図である。
図9は、本変形例における座屈拘束ブレースの内部構造を示す横断面図である。
本変形例では、上述した実施形態の座屈拘束ブレースの構成を簡素化して、実用に適したものとした。
2 :芯材
3 :モルタル材
3d :芯材対向面
3e :隙間保持部材対向面
4 :枠板
4a :底面
4b,4c:立面
6 :芯材中間部
8 :連結部
10 :座屈拘束ブレース
13 :リブ
16 :切欠部
17,18:隙間保持部材
17a :隙間調整部材
17b,18b:隙間調整材
18a :スペーサ
Δt :隙間
ΔW :芯材側方隙間
Claims (10)
- 2つの座屈拘束部材で芯材を挟み込んだ座屈拘束建材であって、
前記芯材と前記2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保するための隙間保持部材を、前記芯材の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材の間に介在させたものであり、
前記隙間保持部材は、基材と、該基材の外面に設けられる隙間調整用シートとから構成され、
前記隙間調整用シートは、前記基材の外面に複数重ねて設けられることを特徴とする座屈拘束建材。 - 請求項1に記載の座屈拘束建材において、
互いに重ねられる複数の前記隙間調整用シートは、前記基材の外面又は内側に隣接する他の隙間調整用シートに接着され、
前記複数の隙間調整用シートのうちの最外側の隙間調整用シートは、内側に位置する他の隙間調整用シートよりも薄いことを特徴とする座屈拘束建材。 - 請求項1又は2に記載の座屈拘束建材において、
前記隙間調整用シートは、前記基材の外面上における前記芯材の長手方向の互いに離間した複数の箇所に設けられることを特徴とする座屈拘束建材。 - 2つの座屈拘束部材で芯材を挟み込んだ座屈拘束建材であって、
前記芯材と前記2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保するための隙間保持部材を、前記芯材の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材の間に介在させたものであり、
前記隙間保持部材は、基材と、該基材の外面に設けられる隙間調整用シートとから構成され、
前記隙間調整用シートは、前記基材の外面上における前記芯材の長手方向の互いに離間した複数の箇所に設けられることを特徴とする座屈拘束建材。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の座屈拘束建材において、
前記基材は、前記芯材の長手方向に直交する断面形状が略円形であることを特徴とする座屈拘束建材。 - 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の座屈拘束建材において、
前記基材は、前記芯材の側方への変位を抑制する変位抑制部材であることを特徴とする座屈拘束建材。 - 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の座屈拘束建材において、
前記座屈拘束部材は、枠板内にコンクリート又はモルタルを充填したものであることを特徴とする座屈拘束建材。 - 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の座屈拘束建材において、
前記2つの座屈拘束部材は、前記隙間保持部材と対向する隙間保持部材対向面が平滑化処理され、前記芯材対向面が平滑化処理されていないことを特徴とする座屈拘束建材。 - 2つの座屈拘束部材で芯材を挟み込んだ座屈拘束建材の製造方法であって、
前記芯材と前記2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保するための隙間保持部材を、前記芯材の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材の間に介在させる工程と、
前記2つの座屈拘束部材を互いに固定する工程とを有し、
更に、前記隙間保持部材を構成する基材の外面に隙間調整用シートを複数重ねて設けて、前記隙間を前記所定量に調整する工程を有することを特徴とする座屈拘束建材の製造方法。 - 2つの座屈拘束部材で芯材を挟み込んだ座屈拘束建材の製造方法であって、
前記芯材と前記2つの座屈拘束部材の芯材対向面との間に所定量の隙間を確保するための隙間保持部材を、前記芯材の長手方向側方の前記2つの座屈拘束部材の間に介在させる工程と、
前記2つの座屈拘束部材を互いに固定する工程とを有し、
更に、前記隙間保持部材を構成する基材の外面上における前記芯材の長手方向の互いに離間した複数の箇所に隙間調整用シートを設けて、前記隙間を前記所定量に調整する工程を有することを特徴とする座屈拘束建材の製造方法。
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