JP6308803B2 - スリット形成用型枠構造及びその補強金物 - Google Patents

スリット形成用型枠構造及びその補強金物 Download PDF

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Description

本発明は、構造スリット材の補強部品を汎用性高く組み込むことが可能な構成を備えると共に、構造スリット材を補強する性能を向上することが可能なスリット形成用型枠構造及びその補強金物に関する。
一般に、鉄筋コンクリート造等のコンクリート構造物では、耐震性能を向上できるように、柱と壁の境界に上下方向縦向きに構造スリット材が設けられている。構造スリット材は、セパレータで組んだ型枠板間のコンクリート打設空間に設けられ、打設コンクリート中に埋設されるようになっている。構造スリット材には、打設コンクリートの側圧が作用して、変形したり、取付位置から位置ずれするおそれがある。このため、構造スリット材を支持・補強することが行われている。
例えば、特許文献1の「耐震用スリット材の補強構造及び補強部材」では、側面部に補強部材嵌合溝部を形成した耐震用スリット材の支持材と、係止部材に回転自在に保持杆を支持し、この保持杆の先端部に短径と長径を備えた外周形状を有する補強板を固着した補強部材とから耐震用スリット材の補強構造を構成する。保持杆を所定角度回転することにより、補強板の周辺部を支持材の補強部材嵌合溝部に嵌合させ、補強部材により芯材を側面から補強するようになっている。
嵌合溝部を有する支持材は、耐震用スリット材の幅方向両端に1つずつ、2つ取り付けられている。これら2つの支持材に渡すようにして、補強部材の補強板が各支持材の嵌合溝部に嵌合されている。また、補強板に固着された保持杆は、一対の型枠に両端支持されたセパレータの中央と耐震用スリット材の幅方向中央との間に配置されている。
特開2001−214611号公報
特許文献1では、2つの支持材に単一の補強板を取り付けて補強するようにしているため、耐震用スリット材の幅寸法が広狭異なると、支持材の寸法を変更するか、あるいは補強板の寸法を変更しなければならなかった。言い換えれば、幅寸法が異なる耐震用スリット材個々に対して、寸法の異なる複数種類の支持材や補強板を作成し用意しなければならず、部品として、支持材及び補強板の汎用性が乏しいという課題があった。
また、補強部材は、耐震用スリット材の幅方向中央とセパレータの中央との間に設けられ、耐震用スリット材に作用する打設コンクリートの側圧をセパレータの中央位置で支持するようになっている。両端支持されているセパレータの中央に力が作用するので、セパレータが変形しやすく、このため、耐震用スリット材の変形や位置ずれを適切に防止することができないという課題もあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、構造スリット材の補強部品を汎用性高く組み込むことが可能な構成を備えると共に、構造スリット材を補強する性能を向上することが可能なスリット形成用型枠構造及びその補強金物を提供することを目的とする。
本発明にかかるスリット形成用型枠構造は、セパレータで組んで互いに向かい合わせて配置され、それらの間にコンクリート打設空間が形成される一対の型枠板と、各型枠板に、互いに向かい合わせて取り付けられる一対の目地材と、これら型枠板の間に、その幅方向側縁それぞれが各目地材に面して配置される構造スリット材と、該構造スリット材の幅方向側縁それぞれに装着され、各目地材に組み付けられて、当該構造スリット材を上記型枠板に取付支持するための一対の支持部材と、各支持部材と上記セパレータの長さ方向両端部それぞれとの間に設けられ、上記構造スリット材に作用するコンクリート側圧を該セパレータに伝達して支持する一対の補強金物とを有するスリット形成用型枠構造であって、上記支持部材には、溝底を有する受け溝を形成する爪体が一対、隙間を隔てて互いに向かい合わせて設けられ、上記補強金物は、一対の上記爪体に保持される受圧板部と、該受圧板部に一端が結合されると共に他端が上記セパレータと係止されて、該セパレータと上記支持部材とを連結する連結部材とを有し、上記受圧板部は、四辺のうち、上記連結部材を挟む配置で上記爪体に沿う少なくとも一辺が、該爪体に対し角度をなすように傾斜する位置関係に設定され、かつ該爪体に対し傾斜する該一辺を該爪体に沿わせた状態で一対の該爪体間の上記隙間に挿入される外形寸法の四辺形状に形成され;該爪体に対し傾斜する該一辺の一の対角部位と、該対角部位に対角線方向で向かい合う他の対角部位との間の寸法が、四辺形状の各辺の長さよりも長く、かつ一対の該爪体が向かい合う方向で、当該爪体間の該隙間よりも長く設定され;回転操作されることで、該対角部位それぞれが上記各受け溝に進入されかつ上記溝底によって回転規制されると共に、該対角部位それぞれには、該受け溝内で該爪体に対し圧接される凸部が形成されることを特徴とする。
本発明にかかるスリット形成用型枠構造の補強金物は、上記スリット形成用型枠構造の前記支持部材と前記セパレータとの間に設けられる補強金物であって、上記支持部材の一対の前記爪体に保持される受圧板部と、該受圧板部に一端が結合されると共に他端が上記セパレータの長さ方向一端部と係止されて、該セパレータと該支持部材とを連結する連結部材とを有し、上記受圧板部は、四辺のうち、上記連結部材を挟む配置で上記爪体に沿う少なくとも一辺が、該爪体に対し角度をなすように傾斜する位置関係に設定され、かつ該爪体に対し傾斜する該一辺を該爪体に沿わせた状態で一対の該爪体間の前記隙間に挿入される外形寸法の四辺形状に形成され;該爪体に対し傾斜する該一辺の一の対角部位と、該対角部位に対角線方向で向かい合う他の対角部位との間の寸法が、四辺形状の各辺の長さよりも長く、かつ一対の該爪体が向かい合う方向で、当該爪体間の該隙間よりも長く設定され、回転操作されることで、該対角部位それぞれが前記各受け溝に進入されかつ前記溝底によって回転規制されると共に、該対角部位それぞれには、該受け溝内で該爪体に対し圧接される凸部が形成されることを特徴とする。
前記連結部材には、前記セパレータに係止される係止部材が設けられ、該係止部材は、上記連結部材に位置調整可能に設けられることを特徴とする。
前記受圧板部には、これを回転操作するための摘み部が一体的に設けられることを特徴とする。
本発明にかかるスリット形成用型枠構造及びその補強金物にあっては、構造スリット材の補強部品を汎用性高く組み込むことができる構成を備えると共に、構造スリット材を補強する性能を向上することができる。詳細には、受圧板部は、四辺のうち、連結部材を挟む配置で爪体に沿う少なくとも一辺が、爪体に対し角度をなすように傾斜する位置関係に設定され、かつ爪体に対し傾斜する当該一辺を爪体に沿わせた状態で一対の爪体間の隙間に挿入される外形寸法の四辺形状に形成され、爪体に対し傾斜する当該一辺の一の対角部位と、この対角部位に対角線方向で向かい合う他の対角部位との間の寸法が、四辺形状の各辺の長さよりも長く、かつ一対の爪体が向かい合う方向で、当該爪体間の隙間よりも長く設定され、回転操作されることで、対角部位それぞれが各受け溝に進入されかつ溝底によって回転規制されるので、爪体に保持される対角部位間の距離を長く稼ぐことができ、受圧板部を爪体に長いスパンで強力に保持させることができ、これにより、構造スリット材のたわみや回転も効果的に抑制することができる。
本発明に係るスリット形成用型枠構造の好適な一実施形態を示す平面図である。 図1に示したスリット形成用型枠構造の、補強金物を設ける前の様子を示す要部拡大断面図である。 図1に示したスリット形成用型枠構造の補強金物を説明する説明図である。 図1に示したスリット形成用型枠構造の、補強金物を設けた後の様子を示す要部拡大断面図である。 図3に示した補強金物を支持部材に装着する操作を説明する説明図である。 図3に示した補強金物の他の形態の例を示す説明図である。
以下に、本発明にかかるスリット形成用型枠構造及びその補強金物の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るスリット形成用型枠構造の平面図、図2は、図1に示したスリット形成用型枠構造の、補強金物を設ける前の様子を示す要部拡大断面図、図3は、本実施形態に係るスリット形成用型枠構造の補強金物を説明する説明図、図4は、図1に示したスリット形成用型枠構造の、補強金物を設けた後の様子を示す要部拡大断面図、図5は、補強金物を支持部材に装着する操作を説明する説明図、図6は、補強金物の他の形態を示す説明図である。
コンクリート構造物を構築する際に用いられる型枠構造は図1に示すように、従来周知であって、間隔調整用のセパレータ1で一対の型枠板2R,2Lを組むことにより、これら一対の型枠板2R,2Lが互いに向かい合わせて配置される。セパレータ1で支持された一対の型枠板2R,2Lの間には、コンクリート打設空間3が形成される。一対の型枠板2R,2Lを連結するセパレータ1は、これら型枠板2R,2Lによって長さ方向両端1R,1Lが支持される。本実施形態では、コンクリート壁に、柱との境界に位置させて、上下方向縦向きにスリットを設ける場合について説明する。
スリットが形成される場合、型枠構造には、一対の型枠板2R,2Lそれぞれに取り付けられる目地材4R,4Lと、これら目地材4R,4Lの取付位置に設けられる構造スリット材5と、構造スリット材5を一対の目地材4R,4Lに取り付けて型枠板2R,2Lに支持させる一対の支持部材6R,6Lが用いられる。
構造スリット材5は、従来周知の素材で形成され、壁の上下方向高さに合わせて、厚みを有する長尺な帯状に形成されて、コンクリート打設空間3内に立てて設けられる。構造スリット材5は、幅方向両側縁5R,5Lがそれぞれ、それらの側方に位置する一対の型枠板2R,2Lに面し、表裏面5aがコンクリート打設空間3に面するように設置される。
支持部材6R,6Lは図1及び図2に示すように、構造スリット材5の幅方向両側縁5R,5Lのそれぞれに対応させて、一対用いられる。支持部材6R,6Lは合成樹脂製で、構造スリット材5の上下方向高さに合わせて長尺に形成される。
支持部材6R,6Lには、構造スリット材5の幅方向側縁5R,5Lに嵌合する第1嵌合凹部6aを形成する断面コ字状の第1グリップ部6bと、目地材4R,4Lが嵌合される第2嵌合凹部6cを形成する断面コ字状の第2グリップ部6dとが一体的に形成される。2つの支持部材6R,6Lの第1嵌合凹部6aそれぞれに、構造スリット材5の幅方向側縁5R,5Lが嵌合され、構造スリット材5はこれら支持部材6R,6Lにその幅方向から挟み込まれる。
2つの支持部材6R,6Lの第2嵌合凹部6cそれぞれには、目地材4R,4Lが嵌合される。図示例にあっては、一方の支持部材6Lの第2嵌合凹部6cには、壁の上下方向高さに合わせて長尺に形成された木製の目地材4L、いわゆる目地棒が嵌合されている。他方の支持部材6Rの第2嵌合凹部6cには、目地材4Rとして、コーキング剤が充填されている。目地棒でなる目地材4Lは、一方の型枠板2Lに釘7などで取付固定される。コーキング剤でなる目地材4Rは、他方の型枠板2Rに密着させて取り付けられる。目地材4Rは、コーキング剤に代えて、目地材4Lと同様に目地棒であっても良い。
従って、スリットを形成する場合の型枠構造は、一対の目地材4R,4Lが各型枠板2R,2Lに互いに向かい合わせて取り付けられ、型枠板2R,2Lの間に、その幅方向側縁5R,5Lそれぞれが各目地材4R,4Lに面するようにして構造スリット材5が配置され、さらに、構造スリット材5を一対の型枠板2R,2Lに取付支持するための一対の支持部材6R,6Lが、構造スリット材5の幅方向側縁5R,5Lそれぞれに装着され、かつ各目地材4R,4Lに組み付けられて構成される。
構造スリット材5をこれが変形したり位置ずれしたりすることを防止するために補強する場合には図1〜図4に示すように、構造スリット材5に装着された支持部材6R,6Lとセパレータ1との間に補強金物8R,8Lが設けられる。補強金物8R,8Lを構造スリット材5側に取り付けるために、支持部材6R,6Lの第1グリップ部6bには、コンクリート打設空間3に面して、言い換えれば、セパレータ1側に面して、支持部材6R,6Lの上下高さ方向全長にわたり、一対の爪体6e,6eが設けられる。図示例では、支持部材6R,6Lを両面使いできるように、第1グリップ部6bの表裏に一対の爪体6e,6eが設けられている。
これら爪体6e,6eは、第1グリップ部6bから隆起して形成され、これにより当該爪体6e,6eの奥には、溝底6f,6fを有する受け溝6g,6gが形成される。従って、一対の爪体6e,6eにより一対の受け溝6g,6gが形成され、一対の爪体6e,6eは、一対の受け溝6g,6g同士が向かい合うように、隙間Cを隔てて水平方向に互いに向かい合わせて設けられる。
支持部材6R,6Lは、型枠板2R,2Lに近接する構造スリット材5の幅方向両側縁5R,5Lに一つずつ個別に装着されるので、補強金物8R,8Lは、各支持部材6R,6Lそれぞれと、型枠板2R,2Lに近接する、当該型枠板2R,2Lによって支持されるセパレータ1の長さ方向両端部1R,1Lそれぞれとの間に一対設けられる。そして、これら一対の補強金物8R,8Lは、コンクリート打設空間3に打設されて構造スリット材5の表面5a若しくは裏面5aに作用し、支持部材6R,6Lから加わるコンクリート側圧を、セパレータ1に伝達して支持するようになっている。図示例では、補強金物8R,8Lは構造スリット材5の一方の側に配設されているが、構造スリット材5の両側に設けても良いことはもちろんである。
図3には、補強金物8R,8Lが示されている。図3(a)は補強金物8R,8Lの側面図、図3(b)は正面図、図3(c)は平面図である。補強金物8R,8Lは、鋼製などの金属製であって、各支持部材6R,6Lの一対の爪体6eに保持される受圧板部8aと、受圧板部8aに一端が結合されると共に他端がセパレータ1と係止されて、受圧板部8aを保持する支持部材6R,6Lとセパレータ1の長さ方向端部1R,1Lとを連結する連結部材8bとを有する。
連結部材8bは、受圧板部8aとセパレータ1との間を連結し得るものであれば形態は問わない。図示例では、ロッド状の連結部材8bが示されている。ロッド状の連結部材8bの一端は、受圧板部8aにネジ結合される。また、連結部材8bの他端には、係止部材9が設けられ、この係止部材9がセパレータ1に係止される。
図示例では、係止部材9は、連結部材8bのネジ条にねじ込んで、連結部材8bの長さ方向に位置調整自在に設けられる。係止部材9は、バネ性を発揮するU字形態であって、バネ性で拡縮可能な先端9a側に把持部9bを有し、バネ性で広げた先端9a間にセパレータ1を押し入れると、復原して把持部9bでセパレータ1にこれを挟持する態様で係止するようになっている。セパレータ1を係止することで、連結部材8bでセパレータ1と受圧板部8aを保持する支持部材6R,6Lとが連結される。
受圧板部8aは図5にも示すように、4つの対角部位を有する四辺形で形成される。図示例では、各辺の長さが異なる不等辺四角形状の受圧板部8aが示されている。受圧板部8aの四辺のうち、連結部材8bを挟む配置で爪体6eの上下方向に沿う少なくとも一辺Saが当該爪体6eに対し、鋭角な角度θをなすように傾斜する位置関係に設定される。当該一辺Saと相対向する他方の一辺は図示例では、爪体6eにほぼ平行に沿う位置関係に設定されている。
受圧板部8aの外形寸法は、爪体6eに対し傾斜している一辺Saを当該爪体6eに沿わせた状態において、爪体6e間に隙間Cから挿入されるように設定される。また、図示例の四辺形状の受圧板部8aでは、爪体6eに対し傾斜している一辺Saでは、受圧板部8aが最も幅狭となる対角部位と、最も幅広となる対角部位Daとがあり、幅広となる対角部位Daとこれに対角線方向で向かい合う対角部位Dbとの間の寸法は、幅狭となる対角部位とこれに対角線方向で向かい合う対角部位との間の寸法よりも長い。そして、幅広な対角部位Daとこれに向かい合う対角部位Db間の寸法が、一対の爪体6eが向かい合う方向で、当該爪体6e間の隙間Cよりも長く設定される。言い方を変えれば、これら対角部位Da,Dbの爪体6e間方向寸法Yが、隙間Cよりも長く設定される。
爪体6eに対していずれかの一辺Saを傾斜する配置とし、かつ対角線方向のいずれかの対角部位Da,Db間の寸法を上記のように設定することにより、図5(a)の状態から図5(b)の状態へ、受圧板部8aを回転操作することでこれら対角部位Da,Dbそれぞれを各受け溝6gに進入させることができ、図4に示すように、受圧板部8aを一対の爪体6eに保持させることができる。
すなわち、爪体6eに対し傾斜している一辺Saを当該爪体6eに沿わせた状態で、爪体6e間の隙間Cに納まる四辺形状において、いずれかの一辺Saと爪体6eとが角度θをなす関係となし、また、当該爪体6eと角度θをなす辺Saに関して、幅広となる位置の対角部位Daを起点として、四辺形状の各辺の長さよりも寸法が長くなる対角線上に位置する、一対の対角部位Da,Db間が爪体6e間の隙間Cよりも長く設定されて、当該四辺形状を爪体6e間で回転することによって、これら一対の対角部位Da,Dbが受け溝6g内に進入して爪体6eに保持されるように構成している。受圧板部8aには、回転操作するための摘み部8cが当該受圧板部8aから折り曲げて一体的に設けられる。
図6には、受圧板部8aの形態の他の例が示されている。この例では、受圧板部8aの外形形態は、爪体6eの上下方向に沿い、連結部材8bを挟む二辺Saが共に、爪体6eに対して傾斜されている。隙間Cから爪体6e間に挿入された受圧板部8aを爪体6e間で回転することにより、長い方の対角線上に位置する一対の対角部位Da,Dbが受け溝6gに進入される。図3及び図6に示した受圧板部8aいずれにあっても、受圧板部8aのほぼ三角形状の対角部位Da,Dbを受け溝6gに進入させることができ、進入される三角形状の対角部位Da,Dbは広いので、これにより受圧板部8aを効率よく爪体6eに保持させることができる。
また、受け溝6gに進入された対角部位Da,Dbは、必要以上の回転に対し、溝底6fによって回転規制される。言い換えれば、対角部位Da,Dbが受け溝6gに進入すればよいので、過度の回転でなければ、溝底6fによって回転規制されることはない。対角部位Da,Dbが過度に回転すると、例えば対角部位Da,Dbが水平に並ぶ位置まで回転されると、受圧板部8aを爪体6eの上下方向に保持するスパンXが殆どなくなり、保持強度が弱まるが、溝底6fにより過度の回転の規制が可能であることにより、爪体6eに保持される対角部位Da,Db間の距離を長く稼ぐことができ、受圧板部8aを爪体6eの上下方向に長いスパンXで強力に保持させることができる。これにより、構造スリット材5のたわみや回転も効果的に抑制することができる。
四辺形状の受圧板部8aには、受け溝6gへ進入される対角部位Da,Dbに、凸部10が形成される。図3及び図5の形態の受圧板部8aでは、一方の凸部10は、爪体6eに対して傾斜している一辺Saについては、幅広となる対角部位Daに形成され、他方の凸部10は当該一方の対角部位Daと対角となる対角部位Dbに形成される。
図示例では、他方の辺の対角部位Dbには突出部分が形成され、対角部位Dbのこの突出部分に凸部10が形成されている。凸部10は、受圧板部8aに、連結部材8b側の面に形成しても、連結部材8bとは反対側の面に形成してもよい。凸部10は、受圧板部8aから隆起していれば、プレス成形や切り起こし、溶融金属を盛って突起を形成するなど、どのような方法で形成してもよい。
次に、本実施形態に係るスリット形成用型枠構造及びその補強金物の作用について説明する。構造スリット材5を設置して補強金物8R,8Lで補強する際には、まず、一方の型枠板2Lに目地材4Lを釘7等で固定し、この目地材4Lに一方の支持部材6Lを装着し、この一方の支持部材6Lに、構造スリット材5の幅方向一側縁5Lを取り付ける。構造スリット材5の幅方向他側縁5Rに、目地材4Rを充填した他方の支持部材6Rを取り付ける。この作業と並行して、または相前後して、セパレータ1の長さ方向一端部1L側を一方の型枠板2Lに取付固定する。
次いで、一対の支持部材6R,6Lの爪体6eに、補強金物8R,8Lの受圧板部8aを取り付ける。補強金物8R,8Lは、セパレータ1の高さ位置に合わせ、爪体6eの上下高さ方向のどのような位置にも取り付けることができる。補強金物8R,8Lを取り付ける際には、受圧板部8aを爪体6e間の隙間Cに挿入し、摘み部8cを回転し、受圧板部8aの凸部10を受け溝6g内で爪体6eに対し圧接させ、これにより、支持部材6R,6Lに対し、受圧板部8aを固定する。その後、受圧板部8aに連結部材8bの一端をネジ結合する。また、連結部材8bの他端の係止部材9を位置調整して、セパレータ1の長さ方向一端部1R,1Lに係止する。
これにより、構造スリット材5には、その幅方向両側縁5R,5L側に、セパレータ1の長さ方向両端部1R,1Lと連結された一対の補強金物8R,8Lが取り付けられる。その後、他方の型枠板2Rを設置し、セパレータ1の長さ方向他端部1Rを当該型枠板2Rに取付固定し、またこの型枠板2Rが目地材4Rに密着される。
このようにしてスリット形成用型枠が組まれると、一対の型枠板2R,2L間のコンクリート打設空間3にコンクリートが打設される。コンクリート打設空間3にコンクリートが打設されると、コンクリート側圧が、補強金物8R,8Lを設置した側とは反対側の構造スリット材5の面5aに作用する。補強金物8R,8Lは、受圧板部8aが支持部材6R,6Lを介して、構造スリット材5に作用するコンクリート側圧を受け止め、受け止めた側圧が連結部材8bによってセパレータ1に伝達され支持される。
本実施形態では、構造スリット材5の幅方向両側縁5R,5Lに一対で設けた支持部材6R,6Lそれぞれに対して個別に、一対の補強金物8R,8Lが設けられ、この一対の補強金物8R,8Lが、型枠板2R,2Lに両端支持されたセパレータ1の長さ方向両端部1R,1L、すなわち一対の補強金物8R,8Lを型枠板2R,2Lに寄せて、セパレータ1の取付支持位置近傍に連結することができるので、セパレータ1は変形しにくく、従って、構造スリット材5の変形や位置ずれを適切に防止することができ、構造スリット材5を補強する性能を確実に向上できて、スリットを的確に設置することができる。
構造スリット材5の幅方向両側縁5R,5Lに設けられる一対の支持部材6R,6Lそれぞれに個別に補強金物8R,8Lを設けるので、背景技術とは異なり、構造スリット材5の幅寸法の広狭、すなわち壁厚に左右されることなく、構造スリット材5の補強部品である支持部材6R,6L及び補強金物8R,8Lを共通部品として、汎用性高く組み込むことができる。
また、補強金物8R,8Lの支持部材6R,6L(爪体6e)への取り付けは、受圧板部8aをひねって回す操作で完了することができ、コンクリート打設空間3に鉄筋等が錯綜して配筋される場合でも、狭いスペースで容易に作業を完了することができる。
連結部材8bに、セパレータ1に係止される係止部材9を設け、この係止部材9が、連結部材8bに位置調整可能に設けられるので、施工位置に応じて構造スリット材5とセパレータ1の間隔が異なっていても、これらの間に適切に補強部材8R,8Lを配置することができる。
受圧板部8aに、これを回転操作するための摘み部8cを一体的に設けたので、操作性良好に受圧板部8aを回転操作して爪体6eに保持させることができる。
1 セパレータ
1R,1L セパレータの長さ方向端部
2R,2L 型枠板
3 コンクリート打設空間
4R,4L 目地材
5 構造スリット材
5R,5L 構造スリット材の幅方向側縁
6R,6L 支持部材
6e 爪体
6f 溝底
6g 受け溝
8R,8L 補強金物
8a 受圧板部
8b 連結部材
8c 摘み部
9 係止部材
10 凸部
C 隙間
Da,Db 一対の対角部位

Claims (4)

  1. セパレータで組んで互いに向かい合わせて配置され、それらの間にコンクリート打設空間が形成される一対の型枠板と、各型枠板に、互いに向かい合わせて取り付けられる一対の目地材と、これら型枠板の間に、その幅方向側縁それぞれが各目地材に面して配置される構造スリット材と、該構造スリット材の幅方向側縁それぞれに装着され、各目地材に組み付けられて、当該構造スリット材を上記型枠板に取付支持するための一対の支持部材と、各支持部材と上記セパレータの長さ方向両端部それぞれとの間に設けられ、上記構造スリット材に作用するコンクリート側圧を該セパレータに伝達して支持する一対の補強金物とを有するスリット形成用型枠構造であって、
    上記支持部材には、溝底を有する受け溝を形成する爪体が一対、隙間を隔てて互いに向かい合わせて設けられ、
    上記補強金物は、一対の上記爪体に保持される受圧板部と、該受圧板部に一端が結合されると共に他端が上記セパレータと係止されて、該セパレータと上記支持部材とを連結する連結部材とを有し、
    上記受圧板部は、
    四辺のうち、上記連結部材を挟む配置で上記爪体に沿う少なくとも一辺が、該爪体に対し角度をなすように傾斜する位置関係に設定され、かつ該爪体に対し傾斜する該一辺を該爪体に沿わせた状態で一対の該爪体間の上記隙間に挿入される外形寸法の四辺形状に形成され、
    該爪体に対し傾斜する該一辺の一の対角部位と、該対角部位に対角線方向で向かい合う他の対角部位との間の寸法が、四辺形状の各辺の長さよりも長く、かつ一対の該爪体が向かい合う方向で、当該爪体間の該隙間よりも長く設定され、
    回転操作されることで、該対角部位それぞれが上記各受け溝に進入されかつ上記溝底によって回転規制されると共に、
    該対角部位それぞれには、該受け溝内で該爪体に対し圧接される凸部が形成されることを特徴とするスリット形成用型枠構造。
  2. 請求項1に記載のスリット形成用型枠構造の前記支持部材と前記セパレータとの間に設けられる補強金物であって、
    上記支持部材の一対の前記爪体に保持される受圧板部と、該受圧板部に一端が結合されると共に他端が上記セパレータの長さ方向一端部と係止されて、該セパレータと該支持部材とを連結する連結部材とを有し、
    上記受圧板部は、
    四辺のうち、上記連結部材を挟む配置で上記爪体に沿う少なくとも一辺が、該爪体に対し角度をなすように傾斜する位置関係に設定され、かつ該爪体に対し傾斜する該一辺を該爪体に沿わせた状態で一対の該爪体間の前記隙間に挿入される外形寸法の四辺形状に形成され、
    該爪体に対し傾斜する該一辺の一の対角部位と、該対角部位に対角線方向で向かい合う他の対角部位との間の寸法が、四辺形状の各辺の長さよりも長く、かつ一対の該爪体が向かい合う方向で、当該爪体間の該隙間よりも長く設定され、
    回転操作されることで、該対角部位それぞれが前記各受け溝に進入されかつ前記溝底によって回転規制されると共に、
    該対角部位それぞれには、該受け溝内で該爪体に対し圧接される凸部が形成されることを特徴とするスリット形成用型枠構造の補強金物。
  3. 前記連結部材には、前記セパレータに係止される係止部材が設けられ、該係止部材は、上記連結部材に位置調整可能に設けられることを特徴とする請求項2に記載のスリット形成用型枠構造の補強金物。
  4. 前記受圧板部には、これを回転操作するための摘み部が一体的に設けられることを特徴とする請求項2または3に記載のスリット形成用型枠構造の補強金物。
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