JP6708210B2 - ポリエステル樹脂及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステル樹脂及びその製造方法に関する。
ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」ということがある。)は、透明性、機械的強度、溶融安定性、耐溶剤性、保香性、リサイクル性に優れるという特長を有し、フィルム、シート、中空容器等に広く利用されているポリエステル樹脂である。しかしながら、PETはガラス転移温度が必ずしも十分に高いとはいえず、また、厚肉成形体を得る場合にはその結晶性により透明性が損なわれることがあるため、共重合による改質が広く行われている。
例えば、ポリエステルの共重合成分として、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールやペンタシクロペンタデカンジメタノールを用いたポリエステル樹脂が提案されている。トリシクロデカンジメタノールやペンタシクロペンタデカンジメタノールは嵩高く、剛直な骨格を有しているため、これらを用いたポリエステル樹脂はガラス転移温度が高くなり、結晶性が抑制されて成形体の透明性が向上させることが可能である(例えば、特許文献1及び2参照)。
一方、芳香族成分を全く使用しない脂肪族ポリエステルにおいて、脂環式構造を有するポリエステルは、透明性、耐水性に優れており、1,4−シクロヘキサンジメタノールに代表される脂環式モノマーを使用する方法が数多く提案されている。例えば、特許文献3には、1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等からなる脂肪族ポリエステルが示されている。また、脂肪族ポリエステルの耐熱性向上を目的として、ノルボルナン骨格を有するポリエステルが提案されている(例えば、特許文献4及び5参照)。
特開昭58−174419号公報 特開2003−119259号公報 特表2007−517926号公報 特開2001−64372公報 特開2001−64374号公報
特許文献1及び2に記載のポリエステル樹脂は、ジカルボン酸成分が芳香族性であるため、耐紫外線性のみならず光線透過率等にも劣るものである。また、特許文献3の脂肪族ポリエステルは、透明性は良好であるものの、耐熱性はそれほど高いものではない。特許文献4及び5に示されるノルボルナン骨格を有するポリエステル樹脂は、モノマーとして1,4−シクロヘキサンジメタノールと1,4−シクロヘキサンジカルボン酸とを用いたポリエステル樹脂に比べると良好な耐熱性が発現しているものの、さらなる改善が求められる。
本発明は、以上の従来技術が有する問題点に鑑みなされたものであり、耐熱性及び透明性に優れたポリエステル樹脂を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の脂環式構造を持つ構成単位を主骨格に有することで、上記課題が解決できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
<1>
一般式(1)で表される構成単位を含む、ポリエステル樹脂。
(上記一般式(1)において、R1は水素原子、CH又はCであり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCHである。)
<2>
一般式(2)で表される化合物を重合させる工程を有する、ポリエステル樹脂の製造方法。
(上記一般式(2)において、R1は水素原子、CH又はCであり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
本発明のポリエステル樹脂は、耐熱性及び透明性に優れる。
モノマー合成例で得られた主反応生成物の1H−NMR測定の結果を示す。 モノマー合成例で得られた主反応生成物の13C−NMR測定の結果を示す。 モノマー合成例で得られた主反応生成物のCOSY−NMR測定の結果を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
(A)ポリエステル樹脂
本実施形態のポリエステル樹脂は、下記一般式(1)で表される構成単位(以下、「構成単位(1)」という)を含む。
構成単位(1)において、R1は水素原子、CH又はCであり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCHである。
上記のように構成されているため、本実施形態のポリエステル樹脂は、耐熱性及び透明性に優れる。耐熱性(高ガラス転移温度)や透明性などに優れることから、本実施形態のポリエステル樹脂は、光学材料や電子部品、医療用材料として好適である。
1は、好ましくは水素原子又はCHであり、R2及びR3は、好ましくは水素原子である。
本実施形態のポリエステル樹脂は、構成単位(1)の他に、性能を損なわない範囲で、他の構成単位を含んでもよい。
前記他の構成単位とは、特に限定はされないが、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2−メチルテレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位;エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジオール、キシリレングリコール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等のジオールに由来する構成単位;グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸等のオキシ酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位等が例示される。耐熱性及び透明性の観点より、芳香環又は脂環構造を有する構成単位が好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂の分子量は、所望する性能や取扱性などを考慮して適宜設定することができ、特に限定されないが、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が5000〜300,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜250,000である。Mwが5,000以上である場合、より良好な耐熱性を確保できる傾向にあり、Mwが300,000以下である場合、溶融粘度の過度な増加が防止され、製造後の樹脂の抜き取りが容易になる傾向にあり、更には良好な流動性が確保できるため溶融状態で射出成形しやすくなる傾向にある。
本実施形態のポリエステル樹脂の極限粘度(フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比6:4の混合溶媒を用いた25℃での測定値)は、特に限定されないが、本実施形態のポリエステル樹脂の成形性の観点から、0.1〜2.0dL/gであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5dL/gである。固有粘度が0.1dL/g以上である場合は、本実施形態のポリエステル樹脂を原料として溶融成形してフィルムなどの成形品とする際に、十分な機械的強度を確保できる傾向にあり、1.5dL/g以下である場合は、溶融時の良好な流動性及び成形性を確保でき、寸法安定性に優れる成形品が得られる傾向にある。
さらに本実施形態のポリエステル樹脂を使用する際には、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、流動性改質剤、結晶核剤、強化剤、染料、帯電防止剤あるいは抗菌剤等を添加することが好適に実施される。
(B)一般式(2)で表される化合物の製造方法
本実施形態のポリエステル樹脂は、例えば、下記一般式(2)で表される化合物を重合することで得られる。
上記一般式(2)において、Rは、水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、Xは、水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。
式(2)において、Rは、好ましくは水素原子又はCHである。R及びRは、好ましくは水素原子である。上記炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、2−ヒドロキシエチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
本実施形態における一般式(2)で表される化合物は、ジシクロペンタジエン又はシクロペンタジエンと官能基を有するオレフィンを原料として、例えば、下記式(I)に示すルートで合成することが可能である。
(式(I)中、Rは水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
〔式(I)中の一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンの製造〕
前記一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンは、例えば、官能基を有するオレフィンとジシクロペンタジエンのディールスアルダー反応を行うこと等で製造することが可能である。
前記ディールスアルダー反応に用いる官能基を有するオレフィンの具体例としては、以下に限定されないが、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、3−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸メチル、3−メチルクロトン酸エチル等が挙げられ、好ましいオレフィンとして、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルが挙げられ、より好ましいオレフィンとしてメタクリル酸メチル、アクリル酸メチルが挙げられる。
さらに、前記ディールスアルダー反応に用いる官能基を有するオレフィンの例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、メタクロレインを挙げられる。これらのオレフィンを原料とする場合、例えば、下記式(II)、式(III)に示すルート等を経て一般式(4')で表されるモノオレフィンを製造することができる。
(式(II)中、R1は水素原子又はCHである。)
(式(III)中、R1は水素原子又はCHである。)
前記ディールスアルダー反応に用いるジシクロペンタジエンは高純度のものが好ましく、ブタジエン、イソプレン等の含有量を低減することが好ましい。ジシクロペンタジエンの純度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。また、ジシクロペンタジエンは加熱条件下で解重合しシクロペンタジエン(所謂モノシクロペンタジエン)になる傾向にあるため、ジシクロペンタジエンの代わりにシクロペンタジエンを使用することも可能である。尚、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンは、実質的に下記一般式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィン(1段目ディールスアルダー反応生成物)を経由して生成していると考えられ、生成した一般式(7)のモノオレフィンが新たな親ジエン化合物(Dienophile)として反応系内に存在するシクロペンタジエン(Diene)とディールスアルダー反応(2段目ディールスアルダー反応)に預かり、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンが生成するものと考えられる。
(式(7)中、R1は水素原子、CH又はCを示し、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCHを示し、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基を示す。)
前記2段階のディールスアルダー反応を効率的に進行させるためには反応系内にシクロペンタジエンが存在することが重要であるため、反応温度として100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。一方で、高沸物質の副生を抑えるためには250℃以下の温度で反応を行うことが好ましい。また、反応溶媒として炭化水素類やアルコール類、エステル類等を使用することも可能であり、炭素数6以上の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、プロパノール、ブタノール等が好ましい。また、必要に応じて、AlCl等公知の触媒を添加してもよい。
前記ディールスアルダー反応の反応方式としては、槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や基質溶液を供給する半回分式、管型反応器に反応条件下で基質類を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採ることが可能である。
前記ディールスアルダー反応で得られた反応生成物は、そのまま次のヒドロホルミル化反応の原料として用いることもできるが、蒸留、抽出、晶析などの方法によって精製した後、次工程に供してもよい。
〔式(I)中の(3)で表される炭素数14〜22の二官能性化合物の製造〕
前記式(I)中の一般式(3)で表される炭素数14〜22の二官能性化合物は、例えば、一般式(4)で表される炭素数13〜21モノオレフィンと一酸化炭素及び水素ガスをロジウム化合物、有機リン化合物の存在下でヒドロホルミル化反応させること等で製造することができる。
前記ヒドロホルミル化反応で使用されるロジウム化合物は、有機リン化合物と錯体を形成し、一酸化炭素と水素の存在下でヒドロホルミル化活性を示す化合物であればよく、その前駆体の形態は特に限定されない。例えば、ロジウムアセチルアセトナートジカルボニル(以下、Rh(acac)(CO)と記す)、Rh、Rh(CO)12、Rh(CO)16、Rh(NO)等の触媒前駆物質を有機リン化合物と共に反応混合物中に導入し、反応容器内で触媒活性を持つロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を形成させてもよいし、予めロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を調製してそれを反応器内に導入してもよい。好ましい具体例としてはRh(acac)(CO)を溶媒の存在下で有機リン化合物と反応させた後、過剰の有機リン化合物と共に反応器に導入し、触媒活性を有するロジウム−有機リン錯体とする方法が挙げられる。
本発明者らにとって意外だったのは、一般式(4)で表されるような比較的分子量の大きな内部オレフィンを有する2段階ディールスアルダー反応生成物が極めて少量のロジウム触媒でヒドロホルミル化されたことである。本ヒドロホルミル化反応におけるロジウム化合物の使用量は、ヒドロホルミル化反応の基質である一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィン1モルに対して0.1〜60マイクロモルが好ましく、0.1〜30マイクロモルがより好ましく、0.2〜20マイクロモルが更に好ましく、0.5〜10マイクロモルが特に好ましい。ロジウム化合物の使用量が炭素数13〜21のモノオレフィン1モルに対して60マイクロモルより少ない場合、実用上、ロジウム錯体の回収リサイクル設備を設けなくてもよい水準と評価できる。このように、本実施形態によれば、回収リサイクル設備に関わる経済的負担を減らすことができ、ロジウム触媒にかかるコストを低減することが可能である。
本実施形態におけるヒドロホルミル化反応において、ロジウム化合物とヒドロホルミル化反応の触媒を形成する有機リン化合物としては、特に限定されないが、例えば、一般式P(−R)(−R)(−R)で表されるホスフィン又はP(−OR)(−OR)(−OR)で表されるホスファイトが挙げられる。R、R、Rの具体例としては、以下に限定されないが、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基で置換され得るアリール基や、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基で置換され得る脂環式アルキル基等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイトが好適に用いられる。有機リン化合物の使用量はロジウム化合物中のロジウム原子に対して300倍モル〜10000倍モルが好ましく、500倍モル〜10000倍モルがより好ましく、更に好ましくは700倍モル〜5000倍モル、特に好ましくは900倍モル〜2000倍モルである。有機リン化合物の使用量がロジウム原子の300倍モル以上である場合、触媒活物質であるロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体の安定性が十分に確保できる傾向にあり、結果として良好な反応性が確保される傾向にある。また、有機リン化合物の使用量がロジウム原子の10000倍モル以下である場合、有機リン化合物に掛かるコストを十分に低減する観点から好ましい。
前記ヒドロホルミル化反応は溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、反応に不活性な溶媒を使用することにより、より好適に実施することができる。ヒドロホルミル化反応に使用できる溶媒としては、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィン、ジシクロペンタジエン又はシクロペンタジエン、前記ロジウム化合物、及び前記有機リン化合物を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、以下に限定されないが、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類;脂肪族エステル、脂環式エステル、芳香族エステル等のエステル類;脂肪族アルコール、脂環式アルコール等のアルコール類;芳香族ハロゲン化物等の溶媒が挙げられる。これらのうち炭化水素類が好適に用いられ、中でも脂環式炭化水素、芳香族炭化水素がより好適に用いられる。
前記ヒドロホルミル化反応を行う場合の温度としては40℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。反応温度が40℃以上の場合には十分な反応速度が得られる傾向にある、原料であるモノオレフィンの残留がより抑えられる傾向にある。また、反応温度が160℃以下にすることで原料モノオレフィンや反応生成物由来の副生物の生成を抑え、反応成績の低下を効果的に防止できる傾向にある。
本実施形態におけるヒドロホルミル化反応を行う場合、一酸化炭素(以下「CO」と記載することもある)及び水素(以下「H2」と記載することもある)ガスによる加圧下で反応を行うことが好ましい。その際、CO及びHガスは各々独立に反応系内に導入することも、また、予め調製された混合ガスとして反応系内に導入することも可能である。反応系内に導入されるCO及びHガスのモル比(=CO/H)は0.2〜5が好ましく、0.5〜2がより好ましく、0.8〜1.2が更に好ましい。CO及びHガスのモル比が上記範囲に調整する場合、ヒドロホルミル化反応の反応活性や目的とするアルデヒドの選択率が良好となる傾向にある。反応系内に導入したCO及びHガスは反応の進行に伴い減少していくため、予め調製されたCOとHの混合ガスを利用すると反応制御が簡便な場合がある。
前記ヒドロホルミル化反応の反応圧力としては、1〜12MPaが好ましく、1.2〜9MPaがより好ましく、1.5〜5MPaが更に好ましい。反応圧力が1MPa以上とすることで十分な反応速度が得られる傾向にあり、原料であるモノオレフィンの残留を十分に抑制できる傾向にある。また、反応圧力が12MPa以下にすることで、耐圧性能に優れる高価な設備を必要としなくなるため経済的に有利である。特に、回分式や半回分式で反応を行う場合、反応終了後にCO及びHガスを排出・落圧する必要があり、低圧になるほどCO及びHガスの損失が少なくなるため経済的に有利である。
前記ヒドロホルミル化反応を行う場合の反応方式としては、回分式反応や半回分式反応が好適である。半回分式反応はロジウム化合物、有機リン化合物、前記溶媒を反応器に加え、CO/Hガスによる加圧や加温等を行い、既述の反応条件とした後に原料であるモノオレフィン又はその溶液を反応器に供給することにより行うことが可能である。
前記ヒドロホルミル化反応で得られた反応生成物は、そのまま次の還元反応の原料として用いることも出来るが、例えば蒸留や抽出、晶析等により精製した後、次工程に供してもよい。
〔式(2)で表される炭素数14〜22の化合物の製造〕
前記式(I)中の一般式(2)で表される炭素数14〜22の化合物は、一般式(3)で表される炭素数14〜22の化合物を、水素化能を有する触媒及び水素の存在下で還元することにより製造することが出来る。
前記還元反応では、水素化能を有する触媒として、銅、クロム、鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、コバルト、及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む触媒を用いることが好ましい。より好ましい触媒としては、Cu−Cr触媒、Cu−Zn触媒、Cu−Zn−Al触媒等の他、Raney−Ni触媒、Raney−Co触媒等が挙げられ、さらに好ましい触媒はCu−Cr触媒、Raney−Co触媒である。
前記水素化触媒の使用量は、基質である一般式(3)で表される炭素数14〜22の化合物に対して1〜100質量%、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。触媒使用量をこれらの範囲とすることで好適に水素化反応を実施することが出来る。触媒使用量が1質量%以上である場合、十分に反応が進行し、結果として目的物の収率を十分に確保できる傾向にある。また、触媒使用量が100質量%以下である場合、反応に供した触媒量と反応速度の向上効果とのバランスが良好となる傾向にある。
前記還元反応の反応温度は60〜200℃が好ましく、80℃〜150℃がより好ましい。反応温度を200℃以下にすることで、副反応や分解反応の発生を抑制し高い収率で目的物が得られる傾向にある。また、反応温度を60℃以上にすることで、適度な時間で反応を完結させることができ、生産性の低下や目的物収率の低下を回避できる傾向にある。
前記還元反応の反応圧力は、水素分圧として0.5〜10MPaが好ましく、1〜5MPaがより好ましい。水素分圧を10MPa以下にすることで、副反応や分解反応の発生を抑制し高い収率で目的物が得られる傾向にある。また、水素分圧を0.5MPa以上にすることで、適度な時間で反応を完結させることができ、生産性の低下や目的物収率の低下を回避できる傾向にある。尚、還元反応に不活性なガス(例えば窒素又はアルゴン)を共存させることも可能である。
前記還元反応においては溶媒を使用することが可能である。還元反応に用いられる溶媒としては、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、中でも脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類が好ましい。その具体例としてはシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、1-プロパノール等が挙げられる。
前記還元反応の反応方式としては槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や基質溶液を供給する半回分式、成型触媒を充填した管型反応器に反応条件下で基質や基質溶液を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採ることが可能である。
前記還元反応で得られた反応生成物は、例えば蒸留や抽出、晶析等により精製することができる。
(C)ポリエステル樹脂の製造方法
本実施形態における一般式(2)で表される化合物を重合させて一般式(1)で表される構成単位を有するポリエステルとする方法としては、特に限定されず、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。
本実施形態のポリエステル樹脂の製造時には、通常のポリエステル樹脂の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等を使用することができる。これらの触媒としては特に限定されないが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。触媒としては、上記した中でマンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム、アンチモン、ゲルマニウム、スズの化合物が好ましく、マンガン、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズの化合物がより好ましい。これらの触媒の使用量は、特に限定されないが、ポリエステル樹脂の原料に対して金属成分としての量が、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは3〜750ppm、更に好ましくは5〜500ppmである。
前記重合反応における反応温度は触媒の種類、その使用量などによるが、通常150℃から300℃の範囲で選ばれ、反応速度及び樹脂の着色を考慮すると180℃〜280℃が好ましい。反応層内の圧力は、大気雰囲気下から最終的には1kPa以下に調節することが好ましく、最終的には0.5kPa以下とするのがより好ましい。
前記重合反応を行う際には、所望によりリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を挙げることができる。リン酸エステルとしては、以下に限定されないが、例えば、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等を挙げることができる。亜リン酸エステルとしては、以下に限定されないが、例えば、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態のポリエステル樹脂中のリン原子の濃度は1〜500ppmが好ましく、5〜400ppmがより好ましく、10〜200ppmがさらに好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂は、前述したように構成単位(1)以外に性能を損なわない範囲で他の構成単位を含んでもよく、ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位、ジオール構成単位、モノアルコールに由来する単位、3価以上の多価アルコールに由来する単位、モノカルボン酸に由来する単位、多価カルボン酸に由来する単位、及び一般式(2)で表される化合物以外のオキシ酸に由来する単位から適宜選択し、一般式(2)で表される化合物と共に従来公知のポリエステルの製造方法を適用して重合することができる。従来公知のポリエステルの製造方法として、以下に限定されないが、例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。
また、本実施形態のポリエステル樹脂の製造時には、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等を使用することができる。
本実施形態のポリエステル樹脂には、本実施形態の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、フィラー、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤等の各種添加剤、成形助剤を添加することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。なお、ポリエステル樹脂の評価方法は次のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)
ポリエステル樹脂濃度が0.2質量%になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで検量した。GPCは東ソー株式会社製カラムTSKgel SuperHM−Mを用い、カラム温度40℃で測定した。溶離液はテトラヒドロフランを0.6mL/minの流速で流し、RI検出器で測定した。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、次のように測定した。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC/TA−60WS)を使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30mL/分)気流中、昇温速度20℃/分で280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)透明性
ポリエステル樹脂をプレス成形した円板(厚み3mm)をサンプルとし、全光線透過率を測定した。測定には、色差/濁度測定機(日本電色工業(株)製、商品名:COH−400)を用いた。
(4)水蒸気透過係数 (g・mm/m・day)
水蒸気透過率測定装置(MOCON社製、商品名:PERMATRAN―W Model 1/50G)を使用して、コーティングを施した基材の水蒸気透過率を40℃、相対湿度90%の条件下で測定し、塗膜の水蒸気透過係数を以下の式を用いて計算した:
1/R = 1/R + DFT/P
ここで、
= コーティングを施した基材の水蒸気透過率(g/m・day)
= 基材の水蒸気透過率(g/m・day)
DFT = 塗膜の厚み(mm)
P = 塗膜の水蒸気透過係数(g・mm/m・day)
とした。
(5)光弾性係数 (m/N)
エリプソメーター(日本分光(株)製、M220)を使用し、流延法により作製した光学フィルムを用い、波長633nmにおける荷重変化に対する複屈折測定から算出した。
<モノマー合成例>
500mLステンレス製反応器にアクリル酸メチル173g(2.01mol)、ジシクロペンタジエン167g(1.26mol)を仕込み195℃で2時間反応を行った。上記反応により、下記式(4a)で表されるモノオレフィン96gを含有する反応液を取得し、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
300mLステンレス製反応器を使用し、蒸留精製した式(4a)で表されるモノオレフィンのヒドロホルミル化反応をCO/H混合ガス(CO/Hモル比=1)を用いて行った。反応器に式(4a)で表されるモノオレフィン70g、トルエン140g、亜リン酸トリフェニル0.50g、別途調製したRh(acac)(CO)のトルエン溶液550μL(濃度0.003mol/L)を加えた。窒素およびCO/H混合ガスによる置換を各々3回行った後、CO/H混合ガスで系内を加圧し、100℃、2MPaにて5時間反応を行った。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、式(3a)で表される化合物76g、式(4a)で表されるモノオレフィン1.4gを含む反応液(転化率98%、選択率97%)であることを確認すると共に、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
300mLステンレス製反応器に蒸留精製した式(3a)で表される化合物54g、スポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製:R−400)7mL、トルエン109gを添加し、水素ガスで系内を加圧し、3MPa、100℃で9時間反応を行った。反応後、得られたスラリーから、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで触媒をろ過した。その後、エバポレーターを使用して溶媒を留去し、ガスクロマトグラフィー及びGC−MSで分析し、分子量250の式(2a)で表される主生成物51gを含有することが確認された(主生成物収率93%)。これをさらに蒸留精製し、主生成物を取得した。
<生成物の同定>
モノマー合成例で取得した成分のNMR分析を行った。NMRスペクトルを図1〜3に示す。以下に示すGC−MS分析、及び図1〜3のNMR分析の結果から、モノマー合成例で得られた主生成物は、前記式(2a)で表される化合物であることが確認された。
<分析方法>
1)ガスクロマトグラフィー測定条件
・分析装置 :株式会社島津製作所製 キャピラリガスクロマトグラフGC−2010 Plus
・分析カラム :ジーエルサイエンス株式会社製、InertCap1(30m、0.32mmI.D.、膜厚0.25μm
・オーブン温度:60℃(0.5分間)−15℃/分−280℃(4分間)
・検出器 :FID、温度280℃
2)GC−MS測定条件
・分析装置 :株式会社島津製作所製、GCMS−QP2010 Plus
・イオン化電圧:70eV
・分析カラム :Agilent Technologies製、DB−1(30m、0.32mmI.D.、膜厚1.00μm)
・オーブン温度:60℃(0.5分間)−15℃/分−280℃(4分間)
3)NMR測定条件
・装置 :日本電子株式会社製,JNM−ECA500(500MHz)
・測定モード :1H−NMR、13C−NMR、COSY−NMR
・溶媒 :CDCl(重クロロホルム)
・内部標準物質:テトラメチルシラン
<実施例1>
分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた200mLのポリエステル製造装置に、モノマー合成例より得られた式(2a)で表される化合物45g、テトラブチルチタネート0.007gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温後、1時間保持した。その後、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量は26000、ガラス転移温度は167℃、全光線透過率は91%であった。
<実施例2>
分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた30mLのポリエステル製造装置に、モノマー合成例より得られた式(2a)で表される化合物11.5g、テトラブチルチタネート0.005gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温後、1時間保持した。その後、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。得られたポリエステル樹脂の重量平均分子量は46800、ガラス転移温度は171℃、全光線透過率は91%であった。
得られたポリエステル樹脂を20質量部、テトラヒドロフランを80質量部混合し、固形分濃度20質量%の塗布液を得た。基材として厚み50μmの延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡(株)製エステルフィルムE5100)を用い、バーコーターNo.20を使用して基材に塗布液を塗布し、100℃で60分乾燥させることでコートフィルムを得た。得られたコートフィルムについて、その水蒸気透過率を評価した。また、コート層厚みは5.7μmであり、水蒸気透過率から計算される水蒸気透過係数は1.14g・mm/m・day(40℃90%RH)であった。
上記で得られたポリエステル樹脂を用い、以下に示す流延法にて光学フィルムを作製した。すなわち、上記ポリエステル樹脂をジクロロメタンに5wt%濃度になるように溶解させ、水平を確認したキャスト板に流延後、キャスト溶液からの溶媒の蒸発量を調整しながら揮発させ、厚さ50μmの透明な光学フィルムを得た。乾燥機を使用し、得られた光学フィルムをガラス転移温度以下の温度で十分に乾燥させた後、5cm×1cmのサンプルを切り出し、エリプソメーターを使用して光弾性係数を評価したところ、−0.4×10−12(m/N)であった。
<比較モノマー合成例>
500mLステンレス製反応器にアクリル酸メチル95g(1.10mol)、ジシクロペンタジエン105g(0.79mol)を仕込み195℃で2時間反応を行った。下記式(8)で表されるモノオレフィン127g及び式(2a)で表されるモノオレフィン55gを含有する反応液を取得した。これを蒸留精製することによって、式(8)で表されるモノオレフィンを得、一部を以下の反応に供した。
500mLステンレス製反応器を使用し、蒸留精製した式(8)で表されるモノオレフィンのヒドロホルミル化反応をCO/H混合ガス(CO/Hモル比=1)を用いて行った。反応器に式(8)で表されるモノオレフィン100g、トルエン200g、亜リン酸トリフェニル0.614g、別途調製したRh(acac)(CO)のトルエン溶液200μL(濃度0.0097mol/L)を加えた。窒素及びCO/H混合ガスによる置換を各々3回行った後、CO/H混合ガスで系内を加圧し、100℃、2MPaにて4.5時間反応を行った。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、式(9)で表される二官能性化合物113gを含む反応液(転化率100%、選択率94%)であることを確認すると共に、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
500mLステンレス製反応器に蒸留精製した式(9)で表される二官能性化合物70g、スポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製:R−400)14mL、トルエン210gを添加し、水素ガスで系内を加圧し、3MPa、100℃で3.5時間反応を行った。反応後、得られたスラリーを孔径0.2μmのメンブレンフィルターで触媒をろ過した。その後、エバポレーターを使用して溶媒を留去し、GC−MSで分析し、分子量184の主生成物69gを含有することが確認された(主生成物収率98%)。これをさらに蒸留精製し、主生成物(10)を取得した。
<比較例1>
原料モノマーとして比較モノマー合成例で得られた式(10)で表される化合物を用い、重縮合の最終温度を265℃とした以外は、実施例2と同じ方法で反応を行い、ポリエステル樹脂を得、さらに得られた樹脂を用いて実施例2と同じ手順でコートフィルムを作成し水蒸気透過率を測定し、水蒸気透過係数を算出した。得られた樹脂の重量平均分子量、ガラス転移温度、及び水蒸気透過係数を表1に示す。なお、得られたポリエステル樹脂の全光線透過率は91%であった。
実施例2の水蒸気透過率は、基材のみの場合の水蒸気透過率13.8g/m・dayに対して、12.9g/m・dayに低減されている。また、水蒸気透過係数で評価すると、実施例2の樹脂の水蒸気透過係数は比較例1の樹脂の約1/3である。
本出願は、2015年5月27日出願の日本国特許出願(特願2015−107183号)及び2016年3月25日出願の日本国特許出願(特願2016−061737号)に基づくものであり、その全内容はここに参照として取り込まれる。
本発明のポリエステル樹脂は透明性、耐熱性に優れており、透明性や耐熱性が要求される材料等に好適に用いることができ、本発明の工業的意義は大きい。

Claims (2)

  1. 一般式(1)で表される構成単位のみからなる、ポリエステル樹脂。
    (上記一般式(1)において、R1は水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3である。)
  2. 一般式(2)で表される化合物を重合させる工程を有する、請求項1に記載のポリエステル樹脂の製造方法。
    (上記一般式(2)において、R1は水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
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