JP2019026738A - ポリエステル樹脂、及びそれを用いたポリエステル樹脂溶液、塗料、コーティング剤 - Google Patents

ポリエステル樹脂、及びそれを用いたポリエステル樹脂溶液、塗料、コーティング剤 Download PDF

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栄一 本多
Eiichi Honda
栄一 本多
康明 吉村
Yasuaki Yoshimura
康明 吉村
敬太 野口
Keita Noguchi
敬太 野口
雄一郎 佐竹
Yuichiro Satake
雄一郎 佐竹
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Abstract

【課題】耐熱性、溶解性に優れるポリエステル樹脂及びそれを用いた塗料またはコーティング剤を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表される単位(A)を含有する可溶性ポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂が有する全単位中、前記単位(A)が50mol%以上含有し、かつ、リン原子を10〜300ppmの範囲で含有する可溶性ポリエステル樹脂。可溶性ポリエステル樹脂。【化1】(前記一般式(1)において、R1は水素原子、CH3又はC2H5であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、nは0又は1である。)【選択図】なし

Description

本発明は、耐熱性に優れた可溶性ポリエステル樹脂に関する。
可溶性ポリエステル樹脂は、ガラス転移温度と分子量を自由にコントロールすることができ、塗料や接着剤用途をはじめ様々な用途で使用されている。しかしながら、そのような可溶性ポリエステル樹脂は、耐熱性を高めるために、ガラス転移温度を高めるとトルエン等の汎用溶剤に不溶となり、また、汎用溶剤に易溶な可溶性共重合ポリエステル樹脂として設計すると、耐熱性が低くなり、耐熱性と溶剤可溶性を両立する可溶性ポリエステル樹脂は、得ることが困難であった。このような問題を解決するため、例えば特許文献1には、特定量のイソソルビドを共重合した耐熱性を有する可溶性ポリエステルが提案されている。
特開2010−95696号公報
特許文献1に記載の技術によれば、耐熱性と可溶性を両立するポリエステルが得られるものの、耐熱性の指標であるガラス転移温度が100℃程度であり、それ以上の耐熱性を発現させるためにイソソルビド共重合割合を高めた場合、汎用溶剤への溶解性が劣り、依然として改善の余地を有していた。このように、耐熱性が良好でありながら汎用溶媒への溶解性が良好な材料は未だ得られていない。
本発明は、以上の従来技術が有する問題点に鑑みなされたものであり、耐熱性と汎用溶媒への溶解性のバランスに優れるポリエステル樹脂及びそれを用いた塗料またはコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の脂環式構造を構成単位として含むポリエステル樹脂を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] 下記一般式(1)で表される単位(A)を含有するポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂が有する全単位中、前記単位(A)が50mol%以上含有し、かつ、リン原子を10〜300ppmの範囲で含有するポリエステル樹脂、
Figure 2019026738
(前記一般式(1)において、Rは水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり
、nは0又は1である。)
[2] ポリスチレン換算重量平均分子量が5000〜200,000である、請求項1に記載のポリエステル樹脂、
[3] ガラス転移温度が110℃以上である、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂、
[4] 25℃において、有機溶剤に対する溶解度が10重量%以上である、請求項1〜3に記載のポリエステル樹脂、
[5] 請求項1〜4に記載のいずれかのポリエステル樹脂を有機溶剤に10重量%以上溶解したポリエステル樹脂溶液であって、前記有機溶剤が、トルエン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジクロロメタンから選ばれる少なくとも1種以上を含有するポリエステル樹脂溶液、
[6] 前記ポリエステル樹脂溶液を用いた塗料、
[7] 前記ポリエステル樹脂溶液を用いたコーティング剤、
である。
本発明によれば、耐熱性、溶解性に優れるポリエステル樹脂及びそれを用いた塗料またはコーティング剤を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
(ポリエステル樹脂)
本実施形態のポリエステル樹脂は、下記一般式(1)で表される単位(A)(以下、「単位(A)」ともいう。)を含有するポリエステル樹脂であり、前記単位(A)が50mol%以上含有し、かつ、リン原子を10〜300ppmの範囲で含有するポリエステル樹脂である。
Figure 2019026738
(前記一般式(1)において、Rは水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、nは0又は1である。)
一般式(1)において、R1は、好ましくは水素原子又はCHであり、R2及びR3は、好ましくは水素原子である。本実施形態において、耐熱性の観点から、一般式(1)におけるR、R、及びRが水素原子であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、耐熱性をより向上させる観点から、nは1であることが好ましい。
本実施形態において、ポリエステル樹脂が有する全単位に対する単位(A)の含有量は耐熱性と溶解性のバランスを考慮すると、50mol%以上であることが好ましい。上記含有量が50mol%以上であると、耐熱性及び溶解性のバランスが向上する傾向にあり、上記含有量が50mol%よりも少ないと、耐熱性が不良になる傾向にある。上記と同様の観点から、単位(A)の含有量は、50mol%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは60mol%以上である。
本実施形態のポリエステル樹脂の分子量は、特に限定されないが、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が5000〜200,000であることが好ましく、より好ましくは10,000〜150,000である。Mwが5,000以上である場合、より良好な耐熱性を確保できる傾向にあり、200,000以下である場合には良好な溶解性を確保できる傾向にある。
本実施形態のポリエステル樹脂は、必要に応じてジオール単位(B)(以下、「単位(B)」ともいう。))、及びジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)(以下、「単位(C)」ともいう。)を含むこともできる。
本実施形態における単位(B)は、ジオールに由来する単位であれば特に限定されず、その具体例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、ノルボルナンジオール、シクロヘキサンジオール、2,2'-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、アダマンタンジオール、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシエチル)フルオレン、キシリレングリコール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等のジオールに由来する単位が挙げられる。
本実施形態において、単位(B)が、直鎖脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香環を有する場合はカルド構造を有するジオールからなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含むことが好ましく、中でも汎用性があるエチレングリコール、1、3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオールが好ましい。なお、これらの光学異性体は、シス体、トランス体、これらの混合物のいずれであってもよく、特に限定されない。
上記した単位は、1種を単独で含まれていてもよく、2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。
本実施形態において、ポリエステル樹脂が有する全単位に対する単位(B)の含有量は特に限定されないが、単位(B)の含有量は、0〜25mol%であることがより好ましく、さらに好ましくは0〜20mol%である。
本実施形態における単位(C)は、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体に由来する単位であれば特に限定されず、その具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2−メチルテレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態において、単位(C)は、直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、及び芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体からなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含むことが好ましく、中でも汎用性があるテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸に由来する単位が好ましい。なお、これらの光学異性体は、シス体、トランス体、これらの混合物のいずれであってもよく、特に限定されない。
上記した単位は、1種を単独で含まれていてもよく、2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。
本実施形態において、ポリエステル樹脂が有する全単位に対する単位(C)の含有量は特に限定されないが、単位(C)の含有量は、0〜25mol%であることがより好ましく、さらに好ましくは0〜20mol%である。
本実施形態において、ポリエステル樹脂は、単位(A)〜(C)以外に、ヒドロキシル基及びカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(A1)等の他の単位を含んでもよい。単位(A1)としては、特に限定はされないが、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸等のオキシ酸及び/又はその誘導体に由来する単位等が挙げられる。
本実施形態の所望とする効果を損なわない範囲で、3官能以上のカルボン酸やアルコール成分を共重合成分として添加してもよい。
3官能以上のカルボン酸成分としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、トリメシン酸等の芳香族カルボン酸、核水添トリメリット酸、核水添ピロメリット酸、核水添トリメシン酸等の脂肪族カルボン酸が挙げられる。
3官能以上のアルコール成分としては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
本実施形態において、十分な耐熱性を確保する観点から、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は110℃以上であることが好ましく、より好ましくは115℃以上であり、さらに好ましくは120℃以上である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、次のように測定することができる。例えば、示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC/TA−60WS)を使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(50mL/分)気流中、昇温速度20℃/分で280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とする。この試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とする。
上記Tgは、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
本実施形態において、十分な溶解性を確保する観点から、ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱量は5J/g以下であることが好ましく、より好ましくは1J/g以下であり、さらに好ましくは0.3J/g以下である。
ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱量は、上記Tgを測定後280℃で1分間保持した後、5℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から算出することができる。
上記降温時結晶化発熱量は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
本実施形態において、汎用装置にて樹脂を得る観点から、ポリエステル樹脂のせん断速度60sec−1、測定温度280℃における溶融粘度は1000Pa・s以下であることが好ましく、より好ましくは900Pa・s以下であり、さらに好ましくは800Pa・s以下である。
上記溶融粘度は、例えば、東洋精機製 Capirograph 1C(キャピログラフ)により測定することができる。また、上記溶融粘度は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
本発明のポリエステル樹脂は、リン原子を10〜300ppmの範囲で含有する。本発明のポリエステル樹脂中のリン原子の濃度は、好ましくは10〜280ppm、より好ましくは12〜250ppmである。
リン原子を上記範囲で含有することで、本発明のポリエステル樹脂は、高温環境下での使用時の着色を抑制することができる。リン原子の含有量が10ppm未満では、着色の抑制効果が十分に得られないことがあり、好ましくない。一方、リン原子の含有量が300ppmを超えると、重合速度が著しく遅くなったり、十分な重合度まで上げることができないことがあり好ましくない。
本発明のポリエステル樹脂は、25℃において有機溶剤の10重量%以上溶解することが好ましい。濃度10重量%以上溶解しない場合には、塗料またはコーティング剤として使用する際の作業性が低下する。溶解濃度の上限は特にないが、溶液粘度が高くなりすぎないためには、60重量%以下が好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、有機溶剤への溶解性に優れるため、様々な汎用溶剤に溶解させてポリエステル溶液として利用することができる。溶液濃度は、10〜60重量%が好ましく、10〜55重量%がより好ましい。有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトンなどの非水溶性系溶剤、2-メトキシエタノール、2-エトキシエタノール、2-プロポキシエタノール、2-ブトキシエタノール、1-メトキシ-2-プロパノール、1-エトキシ-2-プロパノール、1-プロポキシ-2-プロパノールなどのグリコールエーテル類、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノールなどのアルコール類、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラヒドロフランなどが挙げられるが、好ましい溶剤としては、トルエン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジクロロメタンが挙げられ、それらが少なくとも1種以上含有することが特に好ましい。
本発明のポリエステル樹脂は、その特性を生かし、種々の用途に供することができる。具体例としては、以下に限定されないが、耐熱性と溶解性を活かし、塗料用樹脂、インキ用樹脂、コーティング材料、ラミネート用接着剤等に好適に用いることができる。
本発明におけるポリエステル樹脂を塗料、インキまたはコーティング材として使用する際は、必要に応じて着色顔料、体質顔料などの各種顔料を混合することができる。なお、一液型塗料、インキまたはコーティング剤として使用してもよいが、ポリイソシアネート系硬化剤と併用し、二液型塗料、インキまたはコーティング剤とすることもできる。二液型とする場合、ポリイソシアネート系硬化剤の添加量は塗料、インキまたはコーティング材に対して、通常 0.5〜10重量%である。また、インキとして使用した場合の印刷方法は、グラビア、フレキソ、スクリーン、オフセット等の従来使用される印刷方法にて好適に用いることができ、コーティングとして使用した場合のコーティング方法は、バーコーター、エアナイフ、グラビア、グラビアリバース、リバースロール、リップ、ダイ、キス、ディップ、スプレー、オフセット、フレキソ、スクリーン等の方法にて好適に用いられる。
本発明におけるポリエステル樹脂を金属やコンクリート、プラスチックなど一般的な基材に塗布する場合においては、各種基材の表面の湿潤を助けるために、本発明のポリエステル樹脂中に、シリコンあるいはアクリル系化合物といった湿潤剤を添加しても良く、これらを添加する場合には、ポリエステル樹脂全重量を基準として0.01重量%〜2.0重量%の範囲が好ましい。また、耐衝撃性などの諸性能を向上させるために、本発明の可溶性ポリエステル樹脂の中にシリカ、アルミナ、マイカ、タルク、アルミニウムフレーク、ガラスフレークなどの無機フィラーを添加しても良い。これらを添加する場合には、ポリエステル樹脂全重量を基準として0.01重量%〜10.0重量%の範囲が好ましい。また、基材との密着性を高める目的で、カップリング剤を添加しても良い。カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シラン系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を使用することができるが、汎用性の高いアミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤が好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂は、本実施形態の所望とする効果を損なわない範囲で、本実施形態におけるポリエステル樹脂以外の樹脂を含むものとすることができる。そのような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態におけるポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアセタール樹脂及びメチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂をさらに含むことができる。これらは種々公知のものを用いることができ、1種を単独で又は2種以上を併用して樹脂組成物に加えることができる。これらの添加量としては、樹脂組成物中に10重量%以下とすることが好ましい。
本実施形態のポリエステル樹脂には、上記の他、本実施形態の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、着色剤、分散剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤等の各種添加剤、成形助剤を添加することができる。これらは種々公知のものを用いることができ、1種を単独で又は2種以上を併用して樹脂組成物に加えることができる。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
本実施形態におけるポリエステル樹脂は、単位(A)を単独重合することにより、また、単位(A)〜(C)に対応する各単量体を共重合することにより、得ることができる。以下、単位(A)に対応する単量体の製造方法について説明する。かかる単量体は、例えば、下記一般式(2)で表される。
Figure 2019026738
上記一般式(2)において、Rは、水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、Xは、水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。
式(2)において、Rは、好ましくは水素原子又はCHである。R及びRは、好ましくは水素原子である。上記炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、2−ヒドロキシエチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
本発明のポリエステル樹脂に含有されるリン原子は、樹脂の製造時のいかなるタイミングで含有させてもよい。特に限定はされないが、例えば、原料仕込み時、エステル交換又はエステル化反応の開始時又は途中、重縮合反応の開始時、途中又は終了時に、反応系にリン化合物を加えることで、ポリエステル樹脂にリン原子を含有させることができる。
本発明のポリエステル樹脂に含有されるリン原子はリン化合物由来のものであり、特に限定されない。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を挙げることができる。リン酸エステルとしては、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等を挙げることができる。亜リン酸エステルとしては、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル等を挙げることができる。
これらの中で、ポリエステル樹脂にリン原子を定量的に含有させることができるという観点から、リン酸が特に好ましい。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。
本実施形態における一般式(2)で表される化合物は、ジシクロペンタジエン又はシクロペンタジエンと官能基を有するオレフィンを原料として、例えば、下記式(I)に示すルートで合成することが可能である。
Figure 2019026738
(式(I)中、Rは水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
〔式(I)中の一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンの製造〕
前記一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンは、例えば、官能基を有するオレフィンとジシクロペンタジエンのディールスアルダー反応を行うこと等で製造することが可能である。
前記ディールスアルダー反応に用いる官能基を有するオレフィンの具体例としては、以下に限定されないが、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、3−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸メチル、3−メチルクロトン酸エチル等が挙げられ、好ましいオレフィンとして、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルが挙げられ、より好ましいオレフィンとしてメタクリル酸メチル、アクリル酸メチルが挙げられる。
さらに、前記ディールスアルダー反応に用いる官能基を有するオレフィンの例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、メタクロレインを挙げられる。これらのオレフィンを原料とする場合、例えば、下記式(II)、式(III)に示すルート等を経て一般式(4’)で表されるモノオレフィンを製造することができる。
Figure 2019026738
(式(II)中、R1は水素原子又はCHである)
Figure 2019026738
(式(III)中、R1は水素原子又はCHである)
前記ディールスアルダー反応に用いるジシクロペンタジエンは高純度のものが好ましく、ブタジエン、イソプレン等の含有量を低減することが好ましい。ジシクロペンタジエンの純度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。また、ジシクロペンタジエンは加熱条件下で解重合しシクロペンタジエン(所謂モノシクロペンタジエン)になる傾向にあるため、ジシクロペンタジエンの代わりにシクロペンタジエンを使用することも可能である。尚、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンは、実質的に下記一般式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィン(1段目ディールスアルダー反応生成物)を経由して生成していると考えられ、生成した一般式(7)のモノオレフィンが新たな親ジエン化合物(Dienophile)として反応系内に存在するシクロペンタジエン(Diene)とディールスアルダー反応(2段目ディールスアルダー反応)に預かり、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンが生成するものと考えられる。
以上の観点から、例えば、上記式(I)に示す反応ルートにおいて、1段目ディールスアルダー反応の反応条件を適宜制御することにより、式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンあるいは式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィンを選択的に得ることができる。
Figure 2019026738
(式(7)中、R1は水素原子、CH又はCを示し、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCHを示し、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基を示す。)
前記2段階のディールスアルダー反応を効率的に進行させる、すなわち、式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンを選択的に得る観点からは、反応系内にシクロペンタジエンが存在することが重要であるため、反応温度として100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。一方で、式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィンを選択的に得るためには、反応温度として180℃未満が好ましい。なお、いずれの場合においても、高沸物質の副生を抑えるためには250℃以下の温度で反応を行うことが好ましい。
上記のようにして得られた式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンを、後述するヒドロホルミル化反応及び還元反応に供することで、式(1)においてn=1である場合に対応する単量体(すなわち、式(2)で表される化合物)を得ることができる。また、上記のようにして得られた式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィンを、同様のヒドロホルミル化反応及び還元反応に供することで、式(1)においてn=0である場合に対応する単量体(すなわち、式(8)で表される化合物)を得ることができる。
なお、反応溶媒として炭化水素類やアルコール類、エステル類等を使用することも可能であり、炭素数6以上の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、プロパノール、ブタノール等が好ましい。また、必要に応じて、AlCl等公知の触媒を添加してもよい。
Figure 2019026738
(上記式(8)において、Rは、水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり、Xは、水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
前記ディールスアルダー反応の反応方式としては、槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や基質溶液を供給する半回分式、管型反応器に反応条件下で基質類を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採ることが可能である。
前記ディールスアルダー反応で得られた反応生成物は、そのまま次のヒドロホルミル化反応の原料として用いることもできるが、蒸留、抽出、晶析などの方法によって精製した後、次工程に供してもよい。
〔式(I)中の(3)で表される炭素数14〜22の二官能性化合物の製造〕
前記式(I)中の一般式(3)で表される炭素数14〜22の二官能性化合物は、例えば、一般式(4)で表される炭素数13〜21モノオレフィンと一酸化炭素及び水素ガスをロジウム化合物、有機リン化合物の存在下でヒドロホルミル化反応させること等で製造することができる。
前記ヒドロホルミル化反応で使用されるロジウム化合物は、有機リン化合物と錯体を形成し、一酸化炭素と水素の存在下でヒドロホルミル化活性を示す化合物であればよく、その前駆体の形態は特に限定されない。例えば、ロジウムアセチルアセトナートジカルボニル(以下、Rh(acac)(CO)と記す)、Rh、Rh(CO)12、Rh(CO)16、Rh(NO)等の触媒前駆物質を有機リン化合物と共に反応混合物中に導入し、反応容器内で触媒活性を持つロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を形成させてもよいし、予めロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を調製してそれを反応器内に導入してもよい。好ましい具体例としてはRh(acac)(CO)を溶媒の存在下で有機リン化合物と反応させた後、過剰の有機リン化合物と共に反応器に導入し、触媒活性を有するロジウム−有機リン錯体とする方法が挙げられる。
本発明者らの検討により、一般式(4)で表されるような比較的分子量の大きな内部オレフィンを有する2段階ディールスアルダー反応生成物が極めて少量のロジウム触媒でヒドロホルミル化されることがわかっている。本ヒドロホルミル化反応におけるロジウム化合物の使用量は、ヒドロホルミル化反応の基質である一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィン1モルに対して0.1〜60マイクロモルが好ましく、0.1〜30マイクロモルがより好ましく、0.2〜20マイクロモルが更に好ましく、0.5〜10マイクロモルが特に好ましい。ロジウム化合物の使用量が炭素数13〜21のモノオレフィン1モルに対して60マイクロモルより少ない場合、実用上、ロジウム錯体の回収リサイクル設備を設けなくてもよい水準と評価できる。このように、本実施形態によれば、回収リサイクル設備に関わる経済的負担を減らすことができ、ロジウム触媒にかかるコストを低減することが可能である。
本実施形態におけるヒドロホルミル化反応において、ロジウム化合物とヒドロホルミル化反応の触媒を形成する有機リン化合物としては、特に限定されないが、例えば、一般式P(−R)(−R)(−R)で表されるホスフィン又はP(−OR)(−OR)(−OR)で表されるホスファイトが挙げられる。R、R、Rの具体例としては、以下に限定されないが、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基で置換され得るアリール基や、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基で置換され得る脂環式アルキル基等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイトが好適に用いられる。有機リン化合物の使用量はロジウム化合物中のロジウム原子に対して300倍モル〜10000倍モルが好ましく、500倍モル〜10000倍モルがより好ましく、更に好ましくは700倍モル〜5000倍モル、特に好ましくは900倍モル〜2000倍モルである。有機リン化合物の使用量がロジウム原子の300倍モル以上である場合、触媒活物質であるロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体の安定性が十分に確保できる傾向にあり、結果として良好な反応性が確保される傾向にある。また、有機リン化合物の使用量がロジウム原子の10000倍モル以下である場合、有機リン化合物に掛かるコストを十分に低減する観点から好ましい。
前記ヒドロホルミル化反応は溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、反応に不活性な溶媒を使用することにより、より好適に実施することができる。ヒドロホルミル化反応に使用できる溶媒としては、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィン、ジシクロペンタジエン又はシクロペンタジエン、前記ロジウム化合物、及び前記有機リン化合物を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、以下に限定されないが、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類;脂肪族エステル、脂環式エステル、芳香族エステル等のエステル類;脂肪族アルコール、脂環式アルコール等のアルコール類;芳香族ハロゲン化物等の溶媒が挙げられる。これらのうち炭化水素類が好適に用いられ、中でも脂環式炭化水素、芳香族炭化水素がより好適に用いられる。
前記ヒドロホルミル化反応を行う場合の温度としては40℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。反応温度が40℃以上の場合には十分な反応速度が得られる傾向にある、原料であるモノオレフィンの残留がより抑えられる傾向にある。また、反応温度が160℃以下にすることで原料モノオレフィンや反応生成物由来の副生物の生成を抑え、反応成績の低下を効果的に防止できる傾向にある。
本実施形態におけるヒドロホルミル化反応を行う場合、一酸化炭素(以下「CO」と記載することもある)及び水素(以下「H」と記載することもある)ガスによる加圧下で反応を行うことが好ましい。その際、CO及びHガスは各々独立に反応系内に導入することも、また、予め調製された混合ガスとして反応系内に導入することも可能である。反応系内に導入されるCO及びHガスのモル比(=CO/H)は0.2〜5が好ましく、0.5〜2がより好ましく、0.8〜1.2が更に好ましい。CO及びHガスのモル比が上記範囲に調整する場合、ヒドロホルミル化反応の反応活性や目的とするアルデヒドの選択率が良好となる傾向にある。反応系内に導入したCO及びHガスは反応の進行に伴い減少していくため、予め調製されたCOとHの混合ガスを利用すると反応制御が簡便な場合がある。
前記ヒドロホルミル化反応の反応圧力としては、1〜12MPaが好ましく、1.2〜9MPaがより好ましく、1.5〜5MPaが更に好ましい。反応圧力が1MPa以上とすることで十分な反応速度が得られる傾向にあり、原料であるモノオレフィンの残留を十分に抑制できる傾向にある。また、反応圧力が12MPa以下にすることで、耐圧性能に優れる高価な設備を必要としなくなるため経済的に有利である。特に、回分式や半回分式で反応を行う場合、反応終了後にCO及びHガスを排出・落圧する必要があり、低圧になるほどCO及びHガスの損失が少なくなるため経済的に有利である。
前記ヒドロホルミル化反応を行う場合の反応方式としては、回分式反応や半回分式反応が好適である。半回分式反応はロジウム化合物、有機リン化合物、前記溶媒を反応器に加え、CO/Hガスによる加圧や加温等を行い、既述の反応条件とした後に原料であるモノオレフィン又はその溶液を反応器に供給することにより行うことが可能である。
前記ヒドロホルミル化反応で得られた反応生成物は、そのまま次の還元反応の原料として用いることも出来るが、例えば蒸留や抽出、晶析等により精製した後、次工程に供してもよい。
〔式(2)で表される炭素数14〜22の化合物の製造〕
前記式(I)中の一般式(2)で表される炭素数14〜22の化合物は、一般式(3)で表される炭素数14〜22の化合物を、水素化能を有する触媒及び水素の存在下で還元することにより製造することが出来る。
前記還元反応では、水素化能を有する触媒として、銅、クロム、鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、コバルト、及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む触媒を用いることが好ましい。より好ましい触媒としては、Cu−Cr触媒、Cu−Zn触媒、Cu−Zn−Al触媒等の他、Raney−Ni触媒、Raney−Co触媒等が挙げられ、さらに好ましい触媒はCu−Cr触媒、Raney−Co触媒である。
前記水素化触媒の使用量は、基質である一般式(3)で表される炭素数14〜22の化合物に対して1〜100質量%、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。触媒使用量をこれらの範囲とすることで好適に水素化反応を実施することが出来る。触媒使用量が1質量%以上である場合、十分に反応が進行し、結果として目的物の収率を十分に確保できる傾向にある。また、触媒使用量が100質量%以下である場合、反応に供した触媒量と反応速度の向上効果とのバランスが良好となる傾向にある。
前記還元反応の反応温度は60〜200℃が好ましく、80℃〜150℃がより好ましい。反応温度を200℃以下にすることで、副反応や分解反応の発生を抑制し高い収率で目的物が得られる傾向にある。また、反応温度を60℃以上にすることで、適度な時間で反応を完結させることができ、生産性の低下や目的物収率の低下を回避できる傾向にある。
前記還元反応の反応圧力は、水素分圧として0.5〜10MPaが好ましく、1〜5MPaがより好ましい。水素分圧を10MPa以下にすることで、副反応や分解反応の発生を抑制し高い収率で目的物が得られる傾向にある。また、水素分圧を0.5MPa以上にすることで、適度な時間で反応を完結させることができ、生産性の低下や目的物収率の低下を回避できる傾向にある。尚、還元反応に不活性なガス(例えば窒素又はアルゴン)を共存させることも可能である。
前記還元反応においては溶媒を使用することが可能である。還元反応に用いられる溶媒としては、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、中でも脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類が好ましい。その具体例としてはシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、1-プロパノール等が挙げられる。
前記還元反応の反応方式としては槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や基質溶液を供給する半回分式、成型触媒を充填した管型反応器に反応条件下で基質や基質溶液を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採ることが可能である。
前記還元反応で得られた反応生成物は、例えば蒸留や抽出、晶析等により精製することができる。
本実施形態における一般式(2)で表される化合物又は式(8)で表される化合物を単位(A)に対応する単量体とし、単位(B)〜(C)に対応する各単量体と共重合させる方法としては、特に限定されず、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。
本実施形態におけるポリエステル樹脂の製造時には、通常のポリエステル樹脂の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等を使用することができる。これらの触媒としては特に限定されないが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。触媒としては、上記した中でマンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム、アンチモン、ゲルマニウム、スズの化合物が好ましく、マンガン、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズの化合物がより好ましい。これらの触媒の使用量は、特に限定されないが、ポリエステル樹脂の原料に対して金属成分としての量が、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは3〜800ppm、更に好ましくは5〜600ppmである。
前記重合反応における反応温度は触媒の種類、その使用量などによるが、通常150℃から300℃の範囲で選ばれ、反応速度及び樹脂の着色を考慮すると180℃〜280℃が好ましい。反応層内の圧力は、大気雰囲気下から最終的には1kPa以下に調節することが好ましく、最終的には0.5kPa以下とするのがより好ましい。
また、本実施形態におけるポリエステル樹脂の製造時には、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等を使用することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。なお、ポリエステル樹脂の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂組成
ポリエステル樹脂中のジオール構成単位及びジカルボン酸構成単位の割合は、1H−NMR測定にて算出した。測定装置は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、商品名:JNM−AL400)を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、次のように測定した。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC/TA−60WS)を使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(30mL/分)気流中、昇温速度20℃/分で280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)リン原子の濃度
ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度は、ICP発光分析装置((株)島津製作所製、商品名:ICPE−9000)を用いて測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)
ポリエステル樹脂濃度が0.2質量%になるようにテトラヒドロフランに溶解させ、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)で測定し、標準ポリスチレンで検量した。GPCは東ソー株式会社製カラムTSKgel SuperHM−Mを用い、カラム温度40℃で測定した。溶離液はテトラヒドロフランを0.6mL/minの流速で流し、RI検出器で測定した。
(5)耐熱性
ポリエステル樹脂の耐熱性は、ペレットを200℃の熱風乾燥機にて1時間保存した前後のYI値(ΔYI)をJIS K7103に従って反射法にて測定して評価した。測定は、色差計(日本電色工業(株)製、商品名:カラーメーターZE−2000)を用いて行い、ΔYIが5以内の場合は○、5以上の場合は×とした。
(6)溶解性
ガラス製容器に樹脂10g、トルエン90gを入れ(10重量%)、振とう器を用いて25℃で8時間振動させ、溶解状態を評価した。溶解したものを「○」、溶解しなかったものを「×」とした。樹脂30g、混合溶媒70gとしたもの(濃度30質量%)についても同様に実施した(溶解性評価(1))。また、溶媒としてトルエン/2−ブタノン混合溶媒(重量比1/1)を用い、同様の評価を実施した結果を溶解性評価(2)とした。
<モノマー合成例>
500mLステンレス製反応器にアクリル酸メチル173g(2.01mol)、ジシクロペンタジエン167g(1.26mol)を仕込み195℃で2時間反応を行った。上記反応により、下記式(4a)で表されるモノオレフィン96gを含有する反応液を取得し、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
300mLステンレス製反応器を使用し、蒸留精製した式(4a)で表されるモノオレフィンのヒドロホルミル化反応をCO/H混合ガス(CO/Hモル比=1)を用いて行った。反応器に式(4a)で表されるモノオレフィン70g、トルエン140g、亜リン酸トリフェニル0.50g、別途調製したRh(acac)(CO)のトルエン溶液550μL(濃度0.003mol/L)を加えた。窒素およびCO/H混合ガスによる置換を各々3回行った後、CO/H混合ガスで系内を加圧し、100℃、2MPaにて5時間反応を行った。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、式(3a)で表される化合物76g、式(4a)で表されるモノオレフィン1.4gを含む反応液(転化率98%、選択率97%)であることを確認すると共に、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
300mLステンレス製反応器に蒸留精製した式(3a)で表される化合物54g、スポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製:R−400)7mL、トルエン109gを添加し、水素ガスで系内を加圧し、3MPa、100℃で9時間反応を行った。反応後、得られたスラリーから、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで触媒をろ過した。その後、エバポレーターを使用して溶媒を留去し、ガスクロマトグラフィー及びGC−MSで分析し、分子量250の式(2a)で表される主生成物51gを含有することが確認された(主生成物収率93%)。これをさらに蒸留精製し、主生成物を取得した。
Figure 2019026738
<生成物の同定>
モノマー合成例で取得した成分のNMR分析を行った。NMRスペクトルを図1〜3に示す。以下に示すGC−MS分析、及び図1〜3のNMR分析の結果から、モノマー合成例で得られた主生成物は、前記式(2a)で表される化合物であることが確認された。
<分析方法>
1)ガスクロマトグラフィー測定条件
・分析装置 :株式会社島津製作所製 キャピラリガスクロマトグラフGC−2010 Plus
・分析カラム :ジーエルサイエンス株式会社製、InertCap1(30m、0.32mmI.D.、膜厚0.25μm
・オーブン温度:60℃(0.5分間)−15℃/分−280℃(4分間)
・検出器 :FID、温度280℃
2)GC−MS測定条件
・分析装置 :株式会社島津製作所製、GCMS−QP2010 Plus
・イオン化電圧:70eV
・分析カラム :Agilent Technologies製、DB−1(30m、0.32mmI.D.、膜厚1.00μm)
・オーブン温度:60℃(0.5分間)−15℃/分−280℃(4分間)
3)NMR測定条件
・装置 :日本電子株式会社製,JNM−ECA500(500MHz)
・測定モード :1H−NMR、13C−NMR、COSY−NMR
・溶媒 :CDCl(重クロロホルム)
・内部標準物質:テトラメチルシラン
<実施例1>
分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた200mLのポリエステル製造装置に、モノマー合成例より得られた式(2a)で表される化合物91.7g、テトラブチルチタネート0.04gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温後、1時間保持し、所定量のメタノールを留出させた。その後、リン酸を0.022g加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂を得た。各種評価結果を表1に示す。
<実施例2〜3、比較例1>
表1に示すとおりに原料組成比を変えた以外は重合例1と同様にしてポリエステル樹脂を調製し、各種物性を評価した。
<比較例2>
リン酸添加量を0.001gに変更したこと以外は、実施例1と同様に実施した。各種評価結果を表1に示す。
<比較例3>
表1に示すとおりに原料組成比を変えた以外は重合例1と同様にしてポリエステル樹脂を調製し、各種物性を評価した。
Figure 2019026738
なお、表1中の略記に対応する物質名は下記のとおりである。
D−NHEs:デカヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレン−2−メトキシカルボニル−6(7)−メタノール
EG:エチレングリコール
DMCD:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(シス/トランス=7/3)
NDCM:2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される単位(A)を含有するポリエステル樹脂であって、前記ポリエステル樹脂が有する全単位中、前記単位(A)が50mol%以上含有し、かつ、リン原子を10〜300ppmの範囲で含有するポリエステル樹脂。
    Figure 2019026738
    (前記一般式(1)において、Rは水素原子、CH又はCであり、R及びRは、それぞれ独立に水素原子又はCHであり
    、nは0又は1である。)
  2. ポリスチレン換算重量平均分子量が5000〜200,000である、請求項1に記載のポリエステル樹脂
  3. ガラス転移温度が110℃以上である、請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂
  4. 25℃における有機溶剤に対する溶解度が10重量%以上である、請求項1〜3に記載のポリエステル樹脂。
  5. 請求項1〜4に記載のいずれかのポリエステル樹脂が有機溶剤に10重量%以上溶解したポリエステル樹脂溶液であって、前記有機溶剤が、トルエン、シクロヘキサノン、2−ブタノン、ジクロロメタンから選ばれる少なくとも1種以上を含有するポリエステル樹脂溶液。
  6. 請求項5のポリエステル樹脂溶液を用いた塗料。
  7. 請求項5のポリエステル樹脂溶液を用いたコーティング剤。
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