JP2019026752A - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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栄一 本多
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康明 吉村
敬太 野口
Keita Noguchi
敬太 野口
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Yuichiro Satake
雄一郎 佐竹
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Abstract

【課題】透明性に優れ、さらに耐熱性にも優れる樹脂組成物及び成形体を提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表される単位(A)を有するポリエステル樹脂と、ガラス繊維と、を含む、樹脂組成物。【化1】(前記一般式(1)において、R1は水素原子、CH3又はC2H5であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、nは0又は1である。)【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物及び成形体に関する。
ガラス繊維と熱可塑性樹脂との複合材料は広く使用されている。このような複合材料は、ガラス繊維に由来して優れた強度を与えることができるが、透明性には劣る傾向にある。このような外観上の問題を解決するため、例えば、特許文献1には、特定量のメチルメタアクリレートを含むアクリル樹脂と、スチレン及びアクリロニトリルを特定比率で共重合した共重合体と、を特定の比率で均一混合した樹脂成分に対して、さらに特定量のガラス繊維を溶融状態で混合することで得られる組成物が提案されている。このような組成物においては、樹脂成分の屈折率とガラス繊維の屈折率とが実質的に一致することで、良好な透明性が確保できるとされている。
特開2006−348299号公報
特許文献1に記載の技術によれば、強度や透明性は向上するものの、特に耐熱性の観点からは依然として改善の余地を有しており、比較的高温下での使用に際してその性能や外観上の問題が生ずる可能性がある。このように、強度及び透明性に優れ、さらに耐熱性にも優れる複合材料は未だ得られていない。
本発明は、以上の従来技術が有する問題点に鑑みなされたものであり、強度、透明性及び耐熱性のバランスに優れる樹脂組成物及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、特定の脂環式構造を構成単位として含むポリエステル樹脂を用いることで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1]
下記一般式(1)で表される単位(A)を有するポリエステル樹脂と、ガラス繊維と、を含む、樹脂組成物。
(前記一般式(1)において、R1は水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、nは0又は1である。)
[2]
前記ポリエステル樹脂の屈折率と前記ガラス繊維の屈折率との差が、0.02以下である、[1]に記載の樹脂組成物。
[3]
前記ポリエステル樹脂が、前記単位(A)と、ジオール単位(B)と、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)と、を有し、
前記ジオール単位(B)が、直鎖脂肪族ジオール、脂環式ジオール、カルド構造を有するジオールからなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含み、
前記ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)が、直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、及び芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体からなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含む、[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。
[4]
前記ガラス繊維が、繊維状又はシート状の形状を有する、[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[5]
前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記ガラス繊維の含有量が、5〜50質量部である、[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[6]
前記ポリエステル樹脂の極限粘度が、0.1〜2.0dl/gである、[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物。
[7]
[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物を含む、成形体。
本発明によれば、強度、透明性及び耐熱性のバランスに優れる樹脂組成物及び成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
[樹脂組成物]
本実施形態の樹脂組成物は、下記一般式(1)で表される単位(A)を有するポリエステル樹脂と、ガラス繊維と、を含む。このように構成されているため、本実施形態の樹脂組成物は、強度、透明性及び耐熱性のバランスに優れる。
(前記一般式(1)において、R1は水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、nは0又は1である。)
(ポリエステル樹脂)
本実施形態におけるポリエステル樹脂は、上記一般式(1)で表される単位(A)(以下、「単位(A)」ともいう。)を含むものであり、当該単位(A)のみから構成される単独重合体とすることができ、必要に応じて、ジオール単位(B)(以下、「単位(B)」ともいう。)、及びジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)(以下、「単位(C)」ともいう。)を含む共重合体とすることもできる。
一般式(1)において、R1は、好ましくは水素原子又はCH3であり、R2及びR3は、好ましくは水素原子である。本実施形態において、耐熱性の観点から、一般式(1)におけるR1、R2、及びR3が水素原子であることがより好ましい。
上記一般式(1)において、耐熱性をより向上させる観点から、nは1であることが好ましい。
本実施形態において、ポリエステル樹脂が有する全単位に対する単位(A)の含有量は特に限定されないが、耐熱性及び光学特性のバランスを考慮すると、10〜95mol%であることが好ましい。上記含有量が10mol%以上であると、耐熱性及び光学特性のバランスが向上する傾向にあり、上記含有量が95mol%以下であると、良好な耐熱性及び光学特性を確保しつつも成形性が向上する傾向にある。上記と同様の観点から、単位(A)の含有量は、15〜95mol%であることがより好ましく、さらに好ましくは20〜95mol%である。
本実施形態における単位(B)は、ジオールに由来する単位であれば特に限定されず、その具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,3−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,4−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,5−デカヒドロナフタレンジメタノール、1,6−デカヒドロナフタレンジメタノール、2,7−デカヒドロナフタレンジメタノール、テトラリンジメタノール、ノルボルナンジメタノール、トリシクロデカンジメタノール、ペンタシクロペンタデカンジメタノール、ノルボルナンジオール、シクロヘキサンジオール、2,2'-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、アダマンタンジオール、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレン、9,9−ビス(2−ヒドロキシエチル)フルオレン、キシリレングリコール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール等のジオールに由来する単位が挙げられる。
本実施形態において、単位(B)が、直鎖脂肪族ジオール、脂環式ジオール、芳香環を有する場合はカルド構造を有するジオールからなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含むことが好ましく、直鎖脂肪族ジオール又はカルド構造を有するジオールに由来する単位であることがより好ましい。直鎖脂肪族ジオール又は脂環式ジオールに由来する単位としては、耐熱性と光学特性との物性バランスの観点から、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン、1,4:3,6−ジアンヒドロ−D−ソルビトールに由来する単位がより好ましい。また、カルド構造を有するジオールに由来する単位としては、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−メチルフェニル]フルオレン、9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−3−フェニルフェニル]フルオレンに由来する単位がさらに好ましい。なお、これらの光学異性体は、シス体、トランス体、これらの混合物のいずれであってもよく、特に限定されない。
上記した単位は、1種を単独で含まれていてもよく、2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。
また、本実施形態において、ポリエステル樹脂が有する全単位に対する単位(B)の含有量は特に限定されないが、5〜25mol%であることが好ましく、5〜20mol%であることがより好ましい。
本実施形態における単位(C)は、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体に由来する単位であれば特に限定されず、その具体例としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、2−メチルテレフタル酸、ビフェニルジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する構成単位;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸、ペンタシクロドデカンジカルボン酸、3,9−ビス(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカン、5−カルボキシ−5−エチル−2−(1,1−ジメチル−2−カルボキシエチル)−1,3−ジオキサン、1,4:5,8−ジメタノデカヒドロナフタレンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸及び/又はその誘導体に由来する単位が挙げられる。
本実施形態において、単位(C)は、直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、及び芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体からなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含むことが好ましく、脂環式脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、カルド構造を有するジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体に由来する単位であることがより好ましい。脂環式脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体に由来する単位としては、耐熱性と光学特性との物性バランスの観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチルに由来する単位がより好ましい。また、カルド構造を有するジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体に由来する単位としては、透明性、耐熱性と光学特性との物性バランスの観点から、9,9−ビス(メトキシカルボニルメチル)フルオレン、9,9−ビス(メトキシカルボニルエチル)フルオレン、9,9−ビス(メトキシカルボニルプロピル)フルオレンに由来する単位がより好ましい。なお、これらの光学異性体は、シス体、トランス体、これらの混合物のいずれであってもよく、特に限定されない。
上記した単位は、1種を単独で含まれていてもよく、2種以上を組み合わせて含まれていてもよい。
また、本実施形態において、ポリエステル樹脂が有する全単位に対する単位(C)の含有量は特に限定されないが、5〜25mol%であることが好ましく、5〜20mol%であることがより好ましい。
上記のとおり、本実施形態におけるポリエステル樹脂は、前記単位(A)と、ジオール単位(B)と、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)と、を有し、前記ジオール単位(B)が、直鎖脂肪族ジオール、脂環式ジオール、カルド構造を有するジオールからなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含み、前記ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)が、直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、及び芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体からなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含むことがとりわけ好ましい。
本実施形態において、ポリエステル樹脂は、単位(A)〜(C)以外に、ヒドロキシル基及びカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(A1)等の他の単位を含んでもよい。単位(A1)としては、特に限定はされないが、例えば、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシイソ酪酸、ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシカプロン酸、4−ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸等のオキシ酸及び/又はその誘導体に由来する単位等が挙げられる。
本実施形態において、十分な耐熱性を確保する観点から、ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は90℃以上であることが好ましく、より好ましくは95℃以上であり、さらに好ましくは100℃以上である。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、次のように測定することができる。例えば、示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC/TA−60WS)を使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(50mL/分)気流中、昇温速度20℃/分で280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とする。この試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とする。
上記Tgは、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
本実施形態において、十分な透明性を確保する観点から、ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱量は5J/g以下であることが好ましく、より好ましくは1J/g以下であり、さらに好ましくは0.3J/g以下である。
ポリエステル樹脂の降温時結晶化発熱量は、上記Tgを測定後280℃で1分間保持した後、5℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から算出することができる。
上記降温時結晶化発熱量は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
本実施形態において、ポリエステル樹脂のガラス繊維に対する含浸性を向上させる観点から、ポリエステル樹脂の極限粘度は0.1〜2.0dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.2〜1.5dl/gである。
上記極限粘度は、ウベローデ粘度計のような毛細管粘度計により測定することができる。
また、上記極限粘度は、例えば、ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
追記しました。
本実施形態において、十分な光学特性を確保する観点から、ポリエステル樹脂の光弾性係数の絶対値は40×10-12Pa-1以下であり、好ましくは30×10-12Pa-1以下であり、より好ましくは28×10-12Pa-1以下であり、さらに好ましくは25×10-12Pa-1以下である。
上記光弾性係数の絶対値は、エリプソメーター(日本分光(株)製、M220)を使用し、流延法により作製した光学フィルムを用い、波長633nmにおける荷重変化に対する複屈折測定から算出することができる。
上記光弾性係の絶対値は、例えば、共重合ポリエステル樹脂の原料モノマーの共重合比率を適宜調整すること等により上記範囲に調整することができる。
本実施形態の樹脂組成物におけるポリエステル樹脂の含有率は、強度、透明性及び耐熱性のバランスの観点から、樹脂組成物100質量部に対して50〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは55〜90質量部である。
ポリエステル樹脂の屈折率は、透明性の観点から、波長589nmにおける屈折率が1.52〜1.58であることが好ましく、1.53〜1.57であることがより好ましい。
(ポリエステル樹脂の製造方法)
本実施形態におけるポリエステル樹脂は、単位(A)を単独重合することにより、また、単位(A)〜(C)に対応する各単量体を共重合することにより、得ることができる。以下、単位(A)に対応する単量体の製造方法について説明する。かかる単量体は、例えば、下記一般式(2)で表される。
上記一般式(2)において、R1は、水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、Xは、水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。
式(2)において、R1は、好ましくは水素原子又はCH3である。R2及びR3は、好ましくは水素原子である。上記炭化水素基としては、以下に限定されないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、2−ヒドロキシエチル基、4−ヒドロキシブチル基等が挙げられる。
本実施形態における一般式(2)で表される化合物は、ジシクロペンタジエン又はシクロペンタジエンと官能基を有するオレフィンを原料として、例えば、下記式(I)に示すルートで合成することが可能である。
(式(I)中、R1は水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
〔式(I)中の一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンの製造〕
前記一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンは、例えば、官能基を有するオレフィンとジシクロペンタジエンのディールスアルダー反応を行うこと等で製造することが可能である。
前記ディールスアルダー反応に用いる官能基を有するオレフィンの具体例としては、以下に限定されないが、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ビニル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ビニル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−4−ヒドロキシブチル、クロトン酸、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、3−メチルクロトン酸、3−メチルクロトン酸メチル、3−メチルクロトン酸エチル等が挙げられ、好ましいオレフィンとして、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸−2−ヒドロキシエチルが挙げられ、より好ましいオレフィンとしてメタクリル酸メチル、アクリル酸メチルが挙げられる。
さらに、前記ディールスアルダー反応に用いる官能基を有するオレフィンの例として、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクロレイン、メタクロレインを挙げられる。これらのオレフィンを原料とする場合、例えば、下記式(II)、式(III)に示すルート等を経て一般式(4')で表されるモノオレフィンを製造することができる。
(式(II)中、R1は水素原子又はCH3である)
(式(III)中、R1は水素原子又はCH3である)
前記ディールスアルダー反応に用いるジシクロペンタジエンは高純度のものが好ましく、ブタジエン、イソプレン等の含有量を低減することが好ましい。ジシクロペンタジエンの純度は、90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。また、ジシクロペンタジエンは加熱条件下で解重合しシクロペンタジエン(所謂モノシクロペンタジエン)になる傾向にあるため、ジシクロペンタジエンの代わりにシクロペンタジエンを使用することも可能である。尚、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンは、実質的に下記一般式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィン(1段目ディールスアルダー反応生成物)を経由して生成していると考えられ、生成した一般式(7)のモノオレフィンが新たな親ジエン化合物(Dienophile)として反応系内に存在するシクロペンタジエン(Diene)とディールスアルダー反応(2段目ディールスアルダー反応)に預かり、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンが生成するものと考えられる。
以上の観点から、例えば、上記式(I)に示す反応ルートにおいて、1段目ディールスアルダー反応の反応条件を適宜制御することにより、式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンあるいは式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィンを選択的に得ることができる。
(式(7)中、R1は水素原子、CH3又はC25を示し、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3を示し、Xは水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基を示す。)
前記2段階のディールスアルダー反応を効率的に進行させる、すなわち、式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンを選択的に得る観点からは、反応系内にシクロペンタジエンが存在することが重要であるため、反応温度として100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましく、130℃以上がさらに好ましい。一方で、式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィンを選択的に得るためには、反応温度として180℃未満が好ましい。なお、いずれの場合においても、高沸物質の副生を抑えるためには250℃以下の温度で反応を行うことが好ましい。
上記のようにして得られた式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィンを、後述するヒドロホルミル化反応及び還元反応に供することで、式(1)においてn=1である場合に対応する単量体(すなわち、式(2)で表される化合物)を得ることができる。また、上記のようにして得られた式(7)で表される炭素数8〜16のモノオレフィンを、同様のヒドロホルミル化反応及び還元反応に供することで、式(1)においてn=0である場合に対応する単量体(すなわち、式(8)で表される化合物)を得ることができる。
なお、反応溶媒として炭化水素類やアルコール類、エステル類等を使用することも可能であり、炭素数6以上の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、プロパノール、ブタノール等が好ましい。また、必要に応じて、AlCl3等公知の触媒を添加してもよい。
(上記式(8)において、R1は、水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、Xは、水素原子又は炭素数4以下のヒドロキシル基を含有してもよい炭化水素基である。)
前記ディールスアルダー反応の反応方式としては、槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や基質溶液を供給する半回分式、管型反応器に反応条件下で基質類を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採ることが可能である。
前記ディールスアルダー反応で得られた反応生成物は、そのまま次のヒドロホルミル化反応の原料として用いることもできるが、蒸留、抽出、晶析などの方法によって精製した後、次工程に供してもよい。
〔式(I)中の(3)で表される炭素数14〜22の二官能性化合物の製造〕
前記式(I)中の一般式(3)で表される炭素数14〜22の二官能性化合物は、例えば、一般式(4)で表される炭素数13〜21モノオレフィンと一酸化炭素及び水素ガスをロジウム化合物、有機リン化合物の存在下でヒドロホルミル化反応させること等で製造することができる。
前記ヒドロホルミル化反応で使用されるロジウム化合物は、有機リン化合物と錯体を形成し、一酸化炭素と水素の存在下でヒドロホルミル化活性を示す化合物であればよく、その前駆体の形態は特に限定されない。例えば、ロジウムアセチルアセトナートジカルボニル(以下、Rh(acac)(CO)2と記す)、Rh23、Rh4(CO)12、Rh6(CO)16、Rh(NO3)3等の触媒前駆物質を有機リン化合物と共に反応混合物中に導入し、反応容器内で触媒活性を持つロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を形成させてもよいし、予めロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体を調製してそれを反応器内に導入してもよい。好ましい具体例としてはRh(acac)(CO)2を溶媒の存在下で有機リン化合物と反応させた後、過剰の有機リン化合物と共に反応器に導入し、触媒活性を有するロジウム−有機リン錯体とする方法が挙げられる。
本発明者らの検討により、一般式(4)で表されるような比較的分子量の大きな内部オレフィンを有する2段階ディールスアルダー反応生成物が極めて少量のロジウム触媒でヒドロホルミル化されることがわかっている。本ヒドロホルミル化反応におけるロジウム化合物の使用量は、ヒドロホルミル化反応の基質である一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィン1モルに対して0.1〜60マイクロモルが好ましく、0.1〜30マイクロモルがより好ましく、0.2〜20マイクロモルが更に好ましく、0.5〜10マイクロモルが特に好ましい。ロジウム化合物の使用量が炭素数13〜21のモノオレフィン1モルに対して60マイクロモルより少ない場合、実用上、ロジウム錯体の回収リサイクル設備を設けなくてもよい水準と評価できる。このように、本実施形態によれば、回収リサイクル設備に関わる経済的負担を減らすことができ、ロジウム触媒にかかるコストを低減することが可能である。
本実施形態におけるヒドロホルミル化反応において、ロジウム化合物とヒドロホルミル化反応の触媒を形成する有機リン化合物としては、特に限定されないが、例えば、一般式P(−Ra)(−Rb)(−Rc)で表されるホスフィン又はP(−ORa)(−ORb)(−ORc)で表されるホスファイトが挙げられる。Ra、Rb、Rcの具体例としては、以下に限定されないが、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基で置換され得るアリール基や、炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基で置換され得る脂環式アルキル基等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイトが好適に用いられる。有機リン化合物の使用量はロジウム化合物中のロジウム原子に対して300倍モル〜10000倍モルが好ましく、500倍モル〜10000倍モルがより好ましく、更に好ましくは700倍モル〜5000倍モル、特に好ましくは900倍モル〜2000倍モルである。有機リン化合物の使用量がロジウム原子の300倍モル以上である場合、触媒活物質であるロジウム金属ヒドリドカルボニルリン錯体の安定性が十分に確保できる傾向にあり、結果として良好な反応性が確保される傾向にある。また、有機リン化合物の使用量がロジウム原子の10000倍モル以下である場合、有機リン化合物に掛かるコストを十分に低減する観点から好ましい。
前記ヒドロホルミル化反応は溶媒を使用せずに行うことも可能であるが、反応に不活性な溶媒を使用することにより、より好適に実施することができる。ヒドロホルミル化反応に使用できる溶媒としては、一般式(4)で表される炭素数13〜21のモノオレフィン、ジシクロペンタジエン又はシクロペンタジエン、前記ロジウム化合物、及び前記有機リン化合物を溶解するものであれば特に限定されない。具体例としては、以下に限定されないが、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素類;脂肪族エステル、脂環式エステル、芳香族エステル等のエステル類;脂肪族アルコール、脂環式アルコール等のアルコール類;芳香族ハロゲン化物等の溶媒が挙げられる。これらのうち炭化水素類が好適に用いられ、中でも脂環式炭化水素、芳香族炭化水素がより好適に用いられる。
前記ヒドロホルミル化反応を行う場合の温度としては40℃〜160℃が好ましく、80℃〜140℃がより好ましい。反応温度が40℃以上の場合には十分な反応速度が得られる傾向にある、原料であるモノオレフィンの残留がより抑えられる傾向にある。また、反応温度が160℃以下にすることで原料モノオレフィンや反応生成物由来の副生物の生成を抑え、反応成績の低下を効果的に防止できる傾向にある。
本実施形態におけるヒドロホルミル化反応を行う場合、一酸化炭素(以下「CO」と記載することもある)及び水素(以下「H2」と記載することもある)ガスによる加圧下で反応を行うことが好ましい。その際、CO及びH2ガスは各々独立に反応系内に導入することも、また、予め調製された混合ガスとして反応系内に導入することも可能である。反応系内に導入されるCO及びH2ガスのモル比(=CO/H2)は0.2〜5が好ましく、0.5〜2がより好ましく、0.8〜1.2が更に好ましい。CO及びH2ガスのモル比が上記範囲に調整する場合、ヒドロホルミル化反応の反応活性や目的とするアルデヒドの選択率が良好となる傾向にある。反応系内に導入したCO及びH2ガスは反応の進行に伴い減少していくため、予め調製されたCOとH2の混合ガスを利用すると反応制御が簡便な場合がある。
前記ヒドロホルミル化反応の反応圧力としては、1〜12MPaが好ましく、1.2〜9MPaがより好ましく、1.5〜5MPaが更に好ましい。反応圧力が1MPa以上とすることで十分な反応速度が得られる傾向にあり、原料であるモノオレフィンの残留を十分に抑制できる傾向にある。また、反応圧力が12MPa以下にすることで、耐圧性能に優れる高価な設備を必要としなくなるため経済的に有利である。特に、回分式や半回分式で反応を行う場合、反応終了後にCO及びH2ガスを排出・落圧する必要があり、低圧になるほどCO及びH2ガスの損失が少なくなるため経済的に有利である。
前記ヒドロホルミル化反応を行う場合の反応方式としては、回分式反応や半回分式反応が好適である。半回分式反応はロジウム化合物、有機リン化合物、前記溶媒を反応器に加え、CO/H2ガスによる加圧や加温等を行い、既述の反応条件とした後に原料であるモノオレフィン又はその溶液を反応器に供給することにより行うことが可能である。
前記ヒドロホルミル化反応で得られた反応生成物は、そのまま次の還元反応の原料として用いることも出来るが、例えば蒸留や抽出、晶析等により精製した後、次工程に供してもよい。
〔式(2)で表される炭素数14〜22の化合物の製造〕
前記式(I)中の一般式(2)で表される炭素数14〜22の化合物は、一般式(3)で表される炭素数14〜22の化合物を、水素化能を有する触媒及び水素の存在下で還元することにより製造することが出来る。
前記還元反応では、水素化能を有する触媒として、銅、クロム、鉄、亜鉛、アルミニウム、ニッケル、コバルト、及びパラジウムからなる群より選ばれる少なくとも一つの元素を含む触媒を用いることが好ましい。より好ましい触媒としては、Cu−Cr触媒、Cu−Zn触媒、Cu−Zn−Al触媒等の他、Raney−Ni触媒、Raney−Co触媒等が挙げられ、さらに好ましい触媒はCu−Cr触媒、Raney−Co触媒である。
前記水素化触媒の使用量は、基質である一般式(3)で表される炭素数14〜22の化合物に対して1〜100質量%、好ましくは2〜50質量%、より好ましくは5〜30質量%である。触媒使用量をこれらの範囲とすることで好適に水素化反応を実施することが出来る。触媒使用量が1質量%以上である場合、十分に反応が進行し、結果として目的物の収率を十分に確保できる傾向にある。また、触媒使用量が100質量%以下である場合、反応に供した触媒量と反応速度の向上効果とのバランスが良好となる傾向にある。
前記還元反応の反応温度は60〜200℃が好ましく、80℃〜150℃がより好ましい。反応温度を200℃以下にすることで、副反応や分解反応の発生を抑制し高い収率で目的物が得られる傾向にある。また、反応温度を60℃以上にすることで、適度な時間で反応を完結させることができ、生産性の低下や目的物収率の低下を回避できる傾向にある。
前記還元反応の反応圧力は、水素分圧として0.5〜10MPaが好ましく、1〜5MPaがより好ましい。水素分圧を10MPa以下にすることで、副反応や分解反応の発生を抑制し高い収率で目的物が得られる傾向にある。また、水素分圧を0.5MPa以上にすることで、適度な時間で反応を完結させることができ、生産性の低下や目的物収率の低下を回避できる傾向にある。尚、還元反応に不活性なガス(例えば窒素又はアルゴン)を共存させることも可能である。
前記還元反応においては溶媒を使用することが可能である。還元反応に用いられる溶媒としては、脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、中でも脂環式炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール類が好ましい。その具体例としてはシクロヘキサン、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、1-プロパノール等が挙げられる。
前記還元反応の反応方式としては槽型反応器等による回分式、反応条件下の槽型反応器に基質や基質溶液を供給する半回分式、成型触媒を充填した管型反応器に反応条件下で基質や基質溶液を流通させる連続流通式等、多様な反応方式を採ることが可能である。
前記還元反応で得られた反応生成物は、例えば蒸留や抽出、晶析等により精製することができる。
本実施形態における一般式(2)で表される化合物又は式(8)で表される化合物を単位(A)に対応する単量体とし、単位(B)〜(C)に対応する各単量体と共重合させる方法としては、特に限定されず、従来公知のポリエステルの製造方法を適用することができる。例えば、エステル交換法、直接エステル化法等の溶融重合法、又は溶液重合法等を挙げることができる。
本実施形態におけるポリエステル樹脂の製造時には、通常のポリエステル樹脂の製造時に用いるエステル交換触媒、エステル化触媒、重縮合触媒等を使用することができる。これらの触媒としては特に限定されないが、例えば、亜鉛、鉛、セリウム、カドミウム、マンガン、コバルト、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、ニッケル、マグネシウム、バナジウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズ等の金属の化合物(例えば、脂肪酸塩、炭酸塩、リン酸塩、水酸化物、塩化物、酸化物、アルコキシド)や金属マグネシウム等が挙げられる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。触媒としては、上記した中でマンガン、コバルト、亜鉛、チタン、カルシウム、アンチモン、ゲルマニウム、スズの化合物が好ましく、マンガン、チタン、アンチモン、ゲルマニウム、スズの化合物がより好ましい。これらの触媒の使用量は、特に限定されないが、ポリエステル樹脂の原料に対して金属成分としての量が、好ましくは1〜1000ppm、より好ましくは3〜750ppm、更に好ましくは5〜500ppmである。
前記重合反応における反応温度は触媒の種類、その使用量などによるが、通常150℃から300℃の範囲で選ばれ、反応速度及び樹脂の着色を考慮すると180℃〜280℃が好ましい。反応層内の圧力は、大気雰囲気下から最終的には1kPa以下に調節することが好ましく、最終的には0.5kPa以下とするのがより好ましい。
前記重合反応を行う際には、所望によりリン化合物を添加してもよい。リン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、リン酸、亜リン酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル等を挙げることができる。リン酸エステルとしては、以下に限定されないが、例えば、リン酸メチル、リン酸エチル、リン酸ブチル、リン酸フェニル、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジフェニル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリフェニル等を挙げることができる。亜リン酸エステルとしては、以下に限定されないが、例えば、亜リン酸メチル、亜リン酸エチル、亜リン酸ブチル、亜リン酸フェニル、亜リン酸ジメチル、亜リン酸ジエチル、亜リン酸ジブチル、亜リン酸ジフェニル、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル等を挙げることができる。これらは単独で又は二種以上を組み合わせて使用することができる。本実施形態における共重合ポリエステル樹脂中のリン原子の濃度は1〜500ppmが好ましく、5〜400ppmがより好ましく、10〜200ppmがさらに好ましい。
また、本実施形態におけるポリエステル樹脂の製造時には、エーテル化防止剤、熱安定剤、光安定剤等の各種安定剤、重合調整剤等を使用することができる。
(ガラス繊維)
本実施形態におけるガラス繊維は特に限定されず、種々公知のガラス繊維を適用することができる。ガラス繊維の形状も特に限定されず、既存のガラス繊維と同様に、チョップドストランド、ヤーン、ロービング、マット、クロス、ミルドファイバー等とすることができ、樹脂組成物ないし成形体の製造工程での扱いやすさ、製造効率などを考慮して、任意の形態を選択することができる。
また、ガラス繊維の太さも特に限定されないが、例えば、3〜25μmとすることができ、上記形態と同様、任意に設定することができる。
さらに、ガラス繊維の最小長さも特に限定されないが、例えば、0.75mm以上とすることができ、好ましくは1.0mm以上である。
本実施形態において、ガラス繊維は、繊維状又はシート状の形状を有することが好ましい。すなわち、本実施形態の樹脂組成物は、ガラスファイバーとポリエステル樹脂を含む、又はガラスクロスとポリエステル樹脂を含むものであることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、より良好な透明性を与える観点から、ポリエステル樹脂の屈折率とガラス繊維の屈折率との差を調整することが好ましい。すなわち、当該屈折率の差を小さくするほど透明性が向上する傾向にある。本実施形態においては、ポリエステル樹脂の屈折率とガラス繊維の屈折率との差が、0.02以下であることが好ましく、より好ましくは0.015以下である。これらの屈折率は、JIS−K7142のB法に準拠して測定することができる。
本実施形態におけるガラス繊維の組成としては特に限定されないが、例えば、ガラス繊維の全質量を基準とし、SiO2の含有率が50〜54%、Al23の含有率が7〜12%、CaOとBaOとの合計含有率が16〜32%、La23の含有率が3〜15%、ZnOの含有率が4〜10%であるガラス組成を有するものを用いることができる。
SiO2はガラス構造の骨格をなす成分であり、ガラス繊維の強度を確保する観点、及びガラス溶融性の過度な低下を防止する観点から、SiO2の含有率は50〜54%が好ましく、より好ましくは51〜53%である。
Al23の含有率は、ガラス溶融液中の結晶が析出に由来する紡糸切断を防止する観点、及びガラス溶融性の過度な低下を防止する観点から、好ましくは7〜12%であり、より好ましくは9〜11%である。
CaO及びBaOは、共にガラスを溶融させやすくするが、ガラス繊維の透明性及び強度のバランスを良好にする観点、及びガラス溶融性の過度な低下を防止する観点から、CaOとBaOとの合計含有率は16〜32%が好ましく、より好ましくは18〜24%であり、さらに好ましくは19〜22%である。
La23の含有率は、ガラス繊維の屈折率を適切な範囲に調整する観点、及び液相温度を十分に低下させ、作業温度範囲を十分に広げる観点から、好ましくは3〜15%であり、より好ましくは5〜9%である。
ZnOの含有率は、液相温度を十分に低下させ、作業温度範囲を十分に広げる観点から、好ましくは4〜10%であり、より好ましくは5〜9.5%である。
また、ガラス繊維は、任意成分として、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ナトリウム(Na2O)、酸化カリウム(K2O)を含有してもよい。ガラス繊維の耐水性を十分に確保する観点から、アルカリ金属を含むNa2OやK2Oについては、これらの合計含有率は2%より少ないことが好ましく、より好ましくは1%以下である。
SiO2とAl23との合計含有率は、ガラス溶融性の過度な低下を防止する観点から、64%以下であることが好ましい。
本実施形態において、全量に対してSiO2の含有量が57〜70質量%、Al23の含有量が18〜30質量%、MgOの含有量が5〜15質量%、CaOの含有量が0〜12質量%、Li2O,Na2O,K2Oの少なくとも1つの含有量が0〜1質量%、TiO2の含有量が0〜1質量%、B23の含有量が0〜1質量%である第1のガラス組成を備えるTガラス、又は、全量に対してSiO2の含有量が52〜56質量%、Al23の含有量が12〜16質量%、CaO及びMgOの合計含有量が20〜25質量%、B23の含有量が5〜10質量%である第2のガラス組成を備えるEガラスを、ガラス繊維として用いることが好ましい。
ガラス繊維の波長589nmにおける屈折率は、透明性の観点から、1.52〜1.58であることが好ましく、1.53〜1.57であることがより好ましい。
ガラス繊維の製造方法としては、上記した適切な含有率となるように各材料を混合し、種々公知のガラス繊維の製造方法を採用することができ、マーブルメルト法、ダイレクトメルト法、又は、ステーブル法などによって製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物におけるガラス繊維の含有率は、強度、透明性及び耐熱性のバランスの観点から、ポリエステル樹脂100質量部に対して5〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜45質量部である。
本実施形態において、ポリエステル樹脂とガラス繊維との密着性を高め、より良好な透明性を与える観点から、カップリング剤を含む処理剤でガラス繊維を表面処理することが好ましい。
カップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シラン系カップリング剤、ボラン系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を使用することができる。ポリエステル樹脂とガラス繊維との密着性をより高める観点から、シラン系カップリング剤を用いることが好ましい。上記シラン系カップリング剤としては、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、アクリルシラン系カップリング剤等がより好ましく、アミノシラン系カップリング剤がさらに好ましい。
カップリング剤による表面処理の方法としては、ガラス繊維に直接塗る方法や、収束剤に入れておく方法など、従来よく使われている方法を利用できる。
本実施形態の樹脂組成物は、本実施形態の所望とする効果を損なわない範囲で、本実施形態におけるポリエステル樹脂以外の樹脂を含むものとすることができる。そのような樹脂としては、特に限定されないが、例えば、本実施形態におけるポリエステル樹脂以外のポリエステル樹脂(A1)、ポリカーボネート樹脂、(メタ)アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリアセタール樹脂及びメチルメタクリレート−スチレン共重合樹脂からなる群より選択される少なくとも1つの樹脂をさらに含むことができる。これらは種々公知のものを用いることができ、1種を単独で又は2種以上を併用して樹脂組成物に加えることができる。これらの添加量としては、樹脂組成物中に10質量%以下とすることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物には、上記の他、本実施形態の目的を損なわない範囲で、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、増量剤、艶消し剤、乾燥調節剤、帯電防止剤、沈降防止剤、界面活性剤、流れ改良剤、乾燥油、ワックス類、着色剤、補強剤、表面平滑剤、レベリング剤、硬化反応促進剤、増粘剤等の各種添加剤、成形助剤を添加することができる。これらは種々公知のものを用いることができ、1種を単独で又は2種以上を併用して樹脂組成物に加えることができる。
本実施形態の成形体は、本実施形態の樹脂組成物を含むものである。本実施形態の樹脂組成物を成形する方法は特に限定されるものではなく、種々公知の樹脂及びガラス繊維の混合物の成形に用いられている方法を採用することができる。例えば、射出成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形等による成形が可能である。また、樹脂フィルムもしくは樹脂シートで内部の覆われた金型を用いて成形してもよい。
なお、本実施形態におけるガラス繊維が、シート状のガラス繊維の典型例に当たるガラスクロスである場合、1のガラスクロスにポリエステル樹脂等の他の成分が含浸した状態のものは本実施形態の樹脂組成物に包含される。また、ガラスクロスにポリエステル樹脂が含浸されることで、2以上のガラスクロスとポリエステル樹脂が一体化されている状態のものは本実施形態の成形体として扱い、以下では単に「積層体」ともいう。以下、このような態様について詳述する。
〔積層体〕
本実施形態の積層体は、例えば、20〜200μmの範囲の厚さであり、ガラスクロス(以下、GC)とフィルム状のポリエステル樹脂(以下、単に「樹脂」ともいう。)が積層された構成を有する。積層体の構成としては、GC/樹脂/GC、GC/樹脂/GC/樹脂/GC、GC/GC/樹脂/GC/樹脂/GC/GC、GC/樹脂/GC/樹脂/GC/樹脂/GC、といった構成が挙げられるが、これに限った構成ではない。また、積層体の中心はGCでも樹脂でもよく、樹脂が複数含まれていてもよい。また、GCが隣り合ってもよく、その場合、異なるGCでもよく、同一のGCでもよい。
ガラスクロスを構成するガラスは、上述したTガラス又はEガラスが好ましい。
本実施形態の積層体は、十分な強度を確保する観点から、全層のガラスクロスの合計厚さに対して50%以上が優れた強度を有するTガラスクロスで構成されることが好ましい。このように構成されている本実施形態の積層体1によれば、従来のガラスクロス−ポリエステルフィルム積層体よりも全体の厚さが肉薄であっても、該ガラスクロス−ポリエステルフィルム積層体と同等以上の強度を備えることができる。すなわち、積層体は、薄さと強度とを両立して備えることができる。そのため、積層体1を携帯電話、スマートフォン、タブレット端末等の携帯型電子機器の筐体に用いるとき、肉厚の大容量バッテリーを搭載しつつ機器全体を薄型にすることができる。
〔積層体の製造方法〕
次に、積層体の製造方法について説明する。以下の本実施形態では、中心層がガラスクロスであり、その中心のガラスクロスに隣り合ってポリエステルフィルムがあり、さらに該フィルムに隣あってガラスクロスが2層ある場合について説明するが、積層体の積層順及び積層数についてはこの限りではない。
まず、所定の厚さを備えるTガラスクロスもしくはEガラスクロスと厚さ10〜50μmのポリエステルフィルムを用意し、前記鏡面板の上にポリエステルフィルムを重ね合わせ、次に、ガラスクロスを重ね合わせることにより、ガラスクロスとポリエステルフィルム層とからなる積層物(以下、ガラスクロス積層物という)を形成することができる。
次に、得られたガラスクロス積層物の上に他の前記鏡面板を重ね合わせ、プレス機により、温度230〜280℃、面圧5〜20kg/cm2、加圧時間10〜120秒の条件でプレスした後に冷却する。前記プレスの際に、前記ポリエステルフィルムが溶融してTガラスクロス又はEガラスクロスに含浸することにより、前記ガラスクロス積層物が一体化される。
なお、前記ポリエステルフィルムとしては、前記プレスの際にTガラスクロス又はEガラスクロスに含浸され、積層体において前記樹脂フィルム自体の厚さは無視することができる程度の厚みのフィルムを用いることができる。最終的な積層体全体の厚さは、重ね合わせられたTガラスクロス及びEガラスクロスの合計厚さとほぼ等しくなる。
また、ポリエステルフィルムのかわりに、樹脂パウダーや樹脂繊維不織布や重合前のモノマーや乳化させた樹脂や溶媒に溶解させた樹脂等を用いることも可能である。また、ポリエステルフィルムや不織布、パウダー等を用いる場合には、接着性を向上させるためにプラズマ処理等を行うも可能である。
また、積層体において、全層のガラスクロスの合計厚さは150〜450μmであることが好ましく、さらには、200〜400μmであることが特に好ましい。また、特に平滑な表面を得ることができることから、最表層のガラスクロスの厚さは30〜70μmであることがより好ましい。
また、積層体において、Tガラスクロスが複数のガラスクロスの合計厚さに対して60〜100%の合計厚さを備え、好ましくは70〜100%の合計厚さを備え、より好ましくは85〜100%の合計厚さを備える場合には、強度、剛性及び寸法安定性をさらに向上させることができる。
また、積層体において、最表層のガラスクロスがEガラスクロスであるとともに、Tガラスクロスが複数のガラスクロスの合計厚さに対して60〜93%の合計厚さを備え、より好ましくは70〜90%の合計厚さを備え、特に好ましくは70〜85%の合計厚さを備える場合には、表面の透明感と、強度、剛性、寸法安定性とを両立して確保することができる。
本実施形態の成形体は、その特性を生かし、種々の用途に供することができる。具体例としては、以下に限定されないが、特に低複屈折及び透明性を活かす用途としての光学部品や、さらに強度及び線膨張係数を活かす用途としての板ガラス、携帯電子機器部品(スマートフォンの内部構造物や筐体など)、車両及び医療機器の部品、その他の電気回路を含む電子部品、及びこれらを形成するための複合材料等とすることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりその範囲を限定されるものではない。なお、ポリエステル樹脂の評価方法は次のとおりである。
(1)樹脂組成
ポリエステル樹脂中のジオール構成単位及びジカルボン酸構成単位の割合は、1H−NMR測定にて算出した。測定装置は、核磁気共鳴装置(日本電子(株)製、商品名:JNM−AL400)を用い、400MHzで測定した。溶媒には重クロロホルムを用いた。
(2)ガラス転移温度(Tg)
ポリエステル樹脂のガラス転移温度は、次のように測定した。示差走査熱量計((株)島津製作所製、商品名:DSC/TA−60WS)を使用し、ポリエステル樹脂約10mgをアルミニウム製非密封容器に入れ、窒素ガス(50mL/分)気流中、昇温速度20℃/分で280℃まで加熱、溶融したものを急冷して測定用試料とした。該試料を同条件で測定し、DSC曲線の転移前後における基線の差の1/2だけ変化した温度をガラス転移温度とした。
(3)結晶化発熱量(ΔHc)
ポリエステル樹脂の結晶化発熱量は、上記Tgを測定後280℃で1分間保持した後、5℃/分の降温速度で降温した際に現れる発熱ピークの面積から算出した。
(4)極限粘度
混合溶媒(重量比:フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン=6/4)を用いて25℃で測定した。測定はVISCOTEK社製RELATIVE VISCOMETER Y501Cを用いて行った。
(5)光弾性係数(Pa-1
エリプソメーター(日本分光(株)製、M220)を使用し、流延法により作製した光学フィルムを用い、波長633nmにおける荷重変化に対する複屈折測定から算出した。
(6)屈折率
屈折率計(ATAGO(株)製、DR−M2)を使用し、流延法により作製した光学フィルムを用い、波長589nmにおける屈折率を測定した。
(7)曲げ強度
成形体の曲げ強度は、80mm×10mm×4mmtの射出成形体をサンプルとして、JIS K7171に従って測定した。測定は曲げ試験機(東洋精機工業(株)製「ベンドグラフII」)を用いて行った。なお、射出成型は、下記(8)透明性と同様の条件で行った。
(8)透明性
ポリエステル樹脂組成物の透明性は、3.2mm厚の射出成形体の円盤をサンプルとして、JIS K7105に従って透過法にて全光線透過率を測定して評価した。測定は、色差/濁度測定器(日本電色工業(株))製 COH−400)を用いて行った。なお、射出成形は、射出成形機((株)日本製鋼所製 J55AD−30H)を用いて、シリンダー温度240〜260℃、射出速度20mm/min、金型温度100℃の温度条件で行った。
(9)耐熱性
成形体の荷重たわみ温度は、80mm×10mm×4mmtの短冊形射出成形体をサンプルとして、JIS K7191に従って測定した。熱媒の昇温速度は120℃/h、試験方式はエッジワイズ、サンプルに加える曲げ応力は0.45MPa、1.80MPaで行い、サンプルのたわみの大きさが0.26mmに達した温度を荷重たわみ温度とした。測定は自動HDT試験装置((株)東洋精機製作所製、型式:3A−2)を用いて行った。なお、射出成型は、上記(8)透明性と同様の条件で行った。
<モノマー合成例>
500mLステンレス製反応器にアクリル酸メチル173g(2.01mol)、ジシクロペンタジエン167g(1.26mol)を仕込み195℃で2時間反応を行った。上記反応により、下記式(4a)で表されるモノオレフィン96gを含有する反応液を取得し、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
300mLステンレス製反応器を使用し、蒸留精製した式(4a)で表されるモノオレフィンのヒドロホルミル化反応をCO/H2混合ガス(CO/H2モル比=1)を用いて行った。反応器に式(4a)で表されるモノオレフィン70g、トルエン140g、亜リン酸トリフェニル0.50g、別途調製したRh(acac)(CO)2のトルエン溶液550μL(濃度0.003mol/L)を加えた。窒素およびCO/H2混合ガスによる置換を各々3回行った後、CO/H2混合ガスで系内を加圧し、100℃、2MPaにて5時間反応を行った。反応終了後、反応液のガスクロマトグラフィー分析を行い、式(3a)で表される化合物76g、式(4a)で表されるモノオレフィン1.4gを含む反応液(転化率98%、選択率97%)であることを確認すると共に、これを蒸留精製した後、一部を以下の反応に供した。
300mLステンレス製反応器に蒸留精製した式(3a)で表される化合物54g、スポンジコバルト触媒(日興リカ株式会社製:R−400)7mL、トルエン109gを添加し、水素ガスで系内を加圧し、3MPa、100℃で9時間反応を行った。反応後、得られたスラリーから、孔径0.2μmのメンブレンフィルターで触媒をろ過した。その後、エバポレーターを使用して溶媒を留去し、ガスクロマトグラフィー及びGC−MSで分析し、分子量250の式(2a)で表される主生成物51gを含有することが確認された(主生成物収率93%)。これをさらに蒸留精製し、主生成物を取得した。
<生成物の同定>
モノマー合成例で取得した成分のNMR分析を行った。NMRスペクトルを図1〜3に示す。以下に示すGC−MS分析、及び図1〜3のNMR分析の結果から、モノマー合成例で得られた主生成物は、前記式(2a)で表される化合物であることが確認された。
<分析方法>
1)ガスクロマトグラフィー測定条件
・分析装置 :株式会社島津製作所製 キャピラリガスクロマトグラフGC−2010 Plus
・分析カラム :ジーエルサイエンス株式会社製、InertCap1(30m、0.32mmI.D.、膜厚0.25μm
・オーブン温度:60℃(0.5分間)−15℃/分−280℃(4分間)
・検出器 :FID、温度280℃
2)GC−MS測定条件
・分析装置 :株式会社島津製作所製、GCMS−QP2010 Plus
・イオン化電圧:70eV
・分析カラム :Agilent Technologies製、DB−1(30m、0.32mmI.D.、膜厚1.00μm)
・オーブン温度:60℃(0.5分間)−15℃/分−280℃(4分間)
3)NMR測定条件
・装置 :日本電子株式会社製,JNM−ECA500(500MHz)
・測定モード :1H−NMR、13C−NMR、COSY−NMR
・溶媒 :CDCl3(重クロロホルム)
・内部標準物質:テトラメチルシラン
<重合例1>
分縮器、全縮器、コールドトラップ、撹拌機、加熱装置及び窒素導入管を備えた200mLのポリエステル製造装置に、モノマー合成例より得られた式(2a)で表される化合物80.2g、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル10.1g、エチレングリコール6.4g、テトラブチルチタネート0.04gを仕込み、窒素雰囲気下で230℃まで昇温後、1時間保持し、所定量のメタノールを留出させた。その後、リン酸を0.003g加え、昇温と減圧を徐々に行い、最終的に270℃、0.1kPa以下で重縮合を行った。適度な溶融粘度になった時点で反応を終了し、ポリエステル樹脂−1を得た。
前述した屈折率及び光弾性係数を測定するための光学フィルムは流延法にて作製した。具体的には、得られたポリエステル樹脂をジクロロメタンに5wt%濃度になるように溶解させ、水平を確認したキャスト板に流延後、キャスト溶液からの溶媒の蒸発量を調整しながら揮発させ、厚さ50μmの透明な光学フィルムを得た。得られた光学フィルムは乾燥機を使用し、ガラス転移温度以下の温度で十分に乾燥を行った後、5cm×1cmのサンプルを切り出し、アッベ屈折計を使用して屈折率の評価を、エリプソメーターを使用して光弾性係数を、それぞれ評価した。各種評価結果を表1に示す。
<重合例2>
表1に示すとおりに原料組成比を変えた以外は重合例1と同様にしてポリエステル樹脂−2を調製し、各種物性を評価した。
<実施例1>
ポリエステル樹脂−1に、アミノシランで表面処理されたEガラス(屈折率1.554)を直径13μmかつ長さ3mmのガラス繊維として混合し、射出成形により各種成形体を得た。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
<実施例2>
ポリエステル樹脂−1の替わりに、ポリエステル樹脂−2を使用した以外は、実施例1と同様に各種成形体を得た。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
<比較例1>
撹拌装置が装備された加温可能な反応器中にトルエン100質量部、メチルメタクリレート19.4質量部、メチルアクリレート0.6質量部、スチレン60質量部、アクリロニトリル20質量部、開始剤であるパーブチルE(日油株式会社製)0.3質量部を混合して均一にしたモノマー溶液を調製し、反応容器内に加えた。窒素で反応容器内を満たし、110℃で1時間、続いて120℃で2時間反応を行って重合反応を完結させた。得られた樹脂溶液をメタノールに滴下後、沈殿物を濾過することで、アクリル樹脂を得た。得られたアクリル樹脂のガラス転移温度は105℃、トルエンに溶解させてキャストフィルムを作製後に測定した屈折率は1.548であった。ポリエステル樹脂−1の替わりに、上記のアクリル樹脂を使用した以外は、実施例1と同様に各種成形体を得た。得られた成形体の評価結果を表2に示す。
なお、表1中の略記に対応する物質名は下記のとおりである。
D−NHEs:デカヒドロ−1、4:5、8−ジメタノナフタレン−2−メトキシカルボニル−6(7)−メタノール
EG:エチレングリコール
BPEF:9,9−ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]フルオレン
DMCD:1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル(シス/トランス=7/3)

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で表される単位(A)を有するポリエステル樹脂と、ガラス繊維と、を含む、樹脂組成物。
    (前記一般式(1)において、R1は水素原子、CH3又はC25であり、R2及びR3は、それぞれ独立に水素原子又はCH3であり、nは0又は1である。)
  2. 前記ポリエステル樹脂の屈折率と前記ガラス繊維の屈折率との差が、0.02以下である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリエステル樹脂が、前記単位(A)と、ジオール単位(B)と、ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)と、を有し、
    前記ジオール単位(B)が、直鎖脂肪族ジオール、脂環式ジオール、カルド構造を有するジオールからなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含み、
    前記ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体単位(C)が、直鎖脂肪族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、脂環式ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、及び芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体からなる群より選択される少なくとも1つに由来する単位を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記ガラス繊維が、繊維状又はシート状の形状を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリエステル樹脂100質量部に対する前記ガラス繊維の含有量が、5〜50質量部である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリエステル樹脂の極限粘度が、0.1〜2.0dl/gである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物を含む、成形体。
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