図面を参照しながら、実施形態を説明する。複数の実施形態において、機能的に及び/又は構造的に対応する部分には同一の参照符号を付与する。以下において、半導体チップ及び主端子の板厚方向をZ方向、Z方向に直交し、主端子における基部の延設方向をY方向とする。Z方向及びY方向の両方向に直交する方向をX方向とする。Z方向が第1方向に相当し、Y方向が第2方向に相当する。また、X方向が第3方向に相当する。
(第1実施形態)
先ず、図1に基づき、電力変換装置について説明する。
図1に示す電力変換装置10は、たとえばハイブリッド自動車(HV)に搭載される。電力変換装置10は、バッテリ2(高圧バッテリ)の直流電力を、モータMG1,MG2の駆動に適した交流電力に変換する。また、電力変換装置10は、モータMG1,MG2により発電された交流電力を、バッテリ2を充電可能な直流電力に変換する。
モータMG1は、図示しないエンジンとともに、ハイブリッド自動車の駆動源として機能する。すなわち、主に電動機として機能する。モータMG1は、たとえば減速時や制動時に、発電機として機能する。モータMG2は、主に発電機として機能する。モータMG2は、たとえばエンジン始動時に交流電力の供給を受けて電動機として機能する。このように、電力変換装置10は、双方向の電力変換が可能となっている。
電力変換装置10は、昇圧コンバータ11及びインバータ12,13を備えている。昇圧コンバータ11の入力端は、バッテリ2側の低電圧系電力ライン3に接続され、昇圧コンバータ11の出力端は、インバータ12,13側の高電圧系電力ライン4に接続されている。低電圧系電力ライン3は、バッテリ2と昇圧コンバータ11とを電気的に接続する電力ラインであり、高電圧系電力ライン4は、昇圧コンバータ11と各インバータ12,13とを電気的に接続する電力ラインである。
低電圧系電力ライン3の高電位側(正極側)と低電位側(負極側)との間には、平滑用のコンデンサ5が接続されている。高電圧系電力ライン4の高電位側(正極側)と低電位側(負極側)との間には、平滑用のコンデンサ6が接続されている。低電圧系電力ライン3であって、コンデンサ5との接続点とバッテリ2との間には、図示しないシステムメインリレー(SMR)が設けられている。
昇圧コンバータ11は、バッテリ2の出力電圧をモータ駆動に適した電圧まで昇圧する。すなわち、昇圧コンバータ11は、低電圧系電力ライン3の電力を昇圧して、高電圧系電力ライン4に供給する。また、昇圧コンバータ11は、インバータ12,13により変換された直流電力を、バッテリ2に充電可能な電力まで降圧する。すなわち、昇圧コンバータ11は、高電圧系電力ライン4の電力を降圧して、低電圧系電力ライン3に供給する。バッテリ2の出力電圧は、たとえば300ボルト程度であり、昇圧コンバータ11の出力は、たとえば600ボルト程度である。
本実施形態の昇圧コンバータ11は、リアクトルL、2つのスイッチング素子T11,T12、及び、2つのダイオードD11,D12を有している。スイッチング素子T11,T12は、高電圧系電力ライン4の高電位側と低電位側との間で直列接続されている。すなわち、昇圧コンバータ11は、上下アームを1つ有している。スイッチング素子T11,T12としては、IGBTやパワーMOSFETなどを採用することができる。本実施形態では、nチャネル型のIGBTを採用している。
ダイオードD11,D12は、対応するスイッチング素子T11,T12に対して逆並列に接続されている。ダイオードD11,D12のアノードが、対応するスイッチング素子T11,T12のエミッタ電極に接続されている。
リアクトルLの一端は、低電圧系電力ライン3の高電位側、すなわちコンデンサ5の正極側の端子に接続されている。リアクトルLの他端は、スイッチング素子T11,T12の接続点に接続されている。
インバータ12,13は、入力された直流電力を所定周波数の三相交流に変換し、対応するモータMG1,MG2に出力する。また、インバータ12,13は、対応するモータMG1,MG2により発電された電力(交流電力)を、直流電力に変換する。モータMG2により発電された電力は、ハイブリッド自動車の走行状態やバッテリ2のSOC(State Of Charge)に応じて使い分けられる。
たとえば通常走行時では、モータMG2により発電された電力はそのままモータMG1を駆動させる電力となる。一方、バッテリ2のSOCが予め定められた値よりも低い場合、モータMG2により発電された電力は、インバータ13により交流から直流に変換された後、昇圧コンバータ11により電圧が調整されて、バッテリ2に蓄積される。モータMG1により発電された電力は、インバータ12により交流から直流に変換された後、昇圧コンバータ11により電圧が調整されて、バッテリ2に蓄えられる。
インバータ12は、高電圧系電力ライン4に接続されている。インバータ12は、三相分の上下アーム回路12U,12V,12Wを有している。U相の上下アーム回路12Uは、4つのスイッチング素子T21a,T21b,T22a,T22b、及び、4つのダイオードD21a,D21b,D22a,D22bを有している。スイッチング素子T21a,T22aは、高電圧系電力ライン4の高電位側と低電位側との間で直列接続され、スイッチング素子T21b,T22bは、高電圧系電力ライン4の高電位側と低電位側との間で直列接続されている。スイッチング素子T21a,T21bは、高電位側で互いに並列に接続され、スイッチング素子T22a,T22bは、低電位側で互いに並列に接続されている。
このように、上下アーム回路12Uは、2つの上下アームが並列に接続されてなる。スイッチング素子T21a,T22aの接続点、及び、スイッチング素子T21b,T22bの接続点は、ともにモータMG1の図示しないU相コイルに接続されている。スイッチング素子T21a,T21b,T22a,T22bとしては、IGBTやパワーMOSFETなどを採用することができる。本実施形態では、nチャネル型のIGBTを採用している。
ダイオードD21a,D21b,D22a,D22bは、対応するスイッチング素子T21a,T21b,T22a,T22bに対して逆並列に接続されている。ダイオードD21a,D21b,D22a,D22bのアノードが、対応するスイッチング素子T21a,T21b,T22a,T22bのエミッタ電極に接続されている。
互いに並列に接続された高電位側のスイッチング素子T21a,T21bは、理論的にはひとつのスイッチング素子として動作する。本実施形態では、ひとつのスイッチング素子に流れる電流を小さくするために、2つのスイッチング素子T21a,T21bを並列接続している。互いに並列に接続された低電位側のスイッチング素子T22a,T22bについても同様である。図示しない制御装置は、並列接続されたスイッチング素子T21a,T21bのゲートに対して、同じ位相のゲート駆動信号を出力する。また、スイッチング素子T22a,T22bのゲートに対して、同じ位相のゲート駆動信号を出力する。
V相の上下アーム回路12Vも、4つのスイッチング素子T23a,T23b,T24a,T24b、及び、4つのダイオードD23a,D23b,D24a,D24bを有している。W相の上下アーム回路12Wも、4つのスイッチング素子T25a,T25b,T26a,T26b、及び、4つのダイオードD25a,D25b,D26a,D26bを有している。これら上下アーム回路12V,12Wは、上記した上下アーム回路12U同様の構成となっている。
すなわち、上下アーム回路12V,12Wも、2つの上下アームが並列に接続されてなる。スイッチング素子T23a,T24aの接続点、及び、スイッチング素子T23b,T24bの接続点は、ともにモータMG1の図示しないV相コイルに接続されている。スイッチング素子T25a,T26aの接続点、及び、スイッチング素子T25b,T26bの接続点は、ともにモータMG1の図示しないW相コイルに接続されている。
インバータ13も、三相分の上下アーム回路12U,12V,12Wを有している。U相の上下アーム回路12Uは、2つのスイッチング素子T31,T32、及び、2つのダイオードD31,D32を有している。スイッチング素子T31,T32は、高電圧系電力ライン4の高電位側と低電位側との間で直列接続されている。このように、上下アーム回路13Uは、1つの上下アームを有する。スイッチング素子T31,T32の接続点は、モータMG2の図示しないU相コイルに接続されている。スイッチング素子T31,T32としては、IGBTやパワーMOSFETなどを採用することができる。本実施形態では、nチャネル型のIGBTを採用している。
ダイオードD31,D32は、対応するスイッチング素子T31,T32に対して逆並列に接続されている。ダイオードD31,D32のアノードが、対応するスイッチング素子T31,T32のエミッタ電極に接続されている。
V相の上下アーム回路13Vも、2つのスイッチング素子T33,T34、及び、2つのダイオードD33,D34を有している。W相の上下アーム回路13Wも、2つのスイッチング素子T35,T36、及び、2つのダイオードD35,D35を有している。これら上下アーム回路13V,13Wは、上記した上下アーム回路13U同様の構成となっている。スイッチング素子T33,T34の接続点は、モータMG2の図示しないV相コイルに接続されている。スイッチング素子T35,T36の接続点は、モータMG2の図示しないW相コイルに接続されている。
次に、図2〜図4に基づき、上記した電力変換装置10を構成する半導体装置について説明する。
図2〜図4に示すように、半導体装置20は、封止樹脂体21、半導体チップ22、ヒートシンク24、ターミナル26、ヒートシンク28、継手部30、中継部31、複数の主端子32、及び信号端子35を備えている。半導体装置20は、上記した電力変換装置10のうち、少なくともインバータ12を構成する。半導体装置20は、図1に示すように、2つの半導体装置20によって、上下アーム回路12U,12V,12Wをそれぞれ構成する。
なお、以下において、符号末尾のHは、上下アームのうちの上アーム側の要素であることを示し、末尾のLは下アーム側の要素であることを示す。要素の一部には、上アーム及び下アームを明確にするために末尾にH,Lを付与し、別の一部については、上アームと下アームとで共通符号としている。
封止樹脂体21は、たとえばエポキシ系樹脂からなる。封止樹脂体21は、たとえばトランスファモールド法により成形されている。封止樹脂体21は、Z方向に直交する一面21aと、一面21aと反対の裏面21bと、一面21aと裏面21bとをつなぐ側面と、を有している。一面21a及び裏面21bは、たとえば平坦面となっている。
半導体チップ22は、シリコンやシリコンカーバイドなどの半導体基板に、スイッチング素子として、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)やMOSFETなどのパワートランジスタが形成されてなる。本実施形態では、nチャネル型のIGBTとともに、IGBTに逆並列に接続される転流ダイオード(FWD)が形成されている。すなわち、半導体チップ22に、RC(Reverse Conducting)−IGBTが形成されている。半導体チップ22は、平面略矩形状をなしている。
IGBT及びFWDは、Z方向に電流が流れるように縦型構造をなしている。半導体チップ22の板厚方向、すなわちZ方向において、半導体チップ22の一面にはコレクタ電極23aが形成され、一面と反対の裏面にはエミッタ電極23bが形成されている。コレクタ電極23aはFWDのカソード電極も兼ねており、エミッタ電極23bはFWDのアノード電極も兼ねている。コレクタ電極23a及びエミッタ電極23bが、主電極に相当する。
半導体チップ22は、上アーム側の半導体チップ22Hと、下アーム側の半導体チップ22Lと、を有している。半導体チップ22Hが上アームチップに相当し、半導体チップ22Lが下アームチップに相当する。半導体チップ22H,22Lは、互いにほぼ同じ平面形状、具体的には平面略矩形状をなすとともに、互いにほぼ同じ大きさとほぼ同じ厚みを有している。半導体チップ22H,22Lは、互いに同じ構成となっている。半導体チップ22H,22Lは、お互いのコレクタ電極23aがZ方向における同じ側となり、お互いのエミッタ電極23bがZ方向における同じ側となるように配置されている。半導体チップ22H,22Lは、Z方向においてほぼ同じ高さに位置するとともに、X方向において横並びで配置されている。
半導体チップ22の裏面、すなわちエミッタ電極形成面には、信号用の電極である図示しないパッドも形成されている。パッドは、エミッタ電極23bとは別の位置に形成されている。パッドは、エミッタ電極23bと電気的に分離されている。パッドは、Y方向において、エミッタ電極23bの形成領域とは反対側の端部に形成されている。
本実施形態では、各半導体チップ22が、5つのパッドを有している。具体的には、5つのパッドとして、ゲート電極用、エミッタ電極23bの電位を検出するケルビンエミッタ用、電流センス用、半導体チップ22の温度を検出する温度センサ(感温ダイオード)のアノード電位用、同じくカソード電位用を有している。5つのパッドは、平面略矩形状の半導体チップ22において、Y方向の一端側にまとめて形成されるとともに、X方向に並んで形成されている。
ヒートシンク24は、対応する半導体チップ22の熱を半導体装置20の外部に放熱する機能を果たすとともに、配線としての機能も果たす。このため、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料を用いて形成されている。本実施形態では、ヒートシンク24が、Z方向からの投影視において、対応する半導体チップ22を内包するように設けられている。ヒートシンク24は、Z方向において、対応する半導体チップ22に対し、封止樹脂体21の一面21a側に配置されている。
ヒートシンク24は、対応する半導体チップ22のコレクタ電極23aと、はんだ25を介して電気的に接続されている。ヒートシンク24の大部分は封止樹脂体21によって覆われている。ヒートシンク24の表面のうち、半導体チップ22とは反対の放熱面24aが、封止樹脂体21から露出されている。放熱面24aは、一面21aと略面一となっている。ヒートシンク24の表面のうち、はんだ25との接続部及び放熱面24aを除く部分は、封止樹脂体21によって覆われている。
本実施形態では、ヒートシンク24が、上アーム側のヒートシンク24Hと、下アーム側のヒートシンク24Lと、を有している。ヒートシンク24Hにおける放熱面24aと反対の面には、半導体チップ22Hのコレクタ電極23aが、はんだ25を介して接続されている。また、ヒートシンク24Lにおける放熱面24aと反対の面には、半導体チップ22Lのコレクタ電極23aが、はんだ25を介して接続されている。ヒートシンク24H,24Lは、X方向に並んで配置されるとともに、Z方向においてほぼ同じ位置に配置されている。ヒートシンク24H,24Lの放熱面24aは、封止樹脂体21の一面21aから露出されるとともに、互いにX方向に並んでいる。
ターミナル26は、対応する半導体チップ22とヒートシンク28との間に介在している。ターミナル26は、半導体チップ22とヒートシンク28との熱伝導、電気伝導経路の途中に位置するため、熱伝導性及び電気伝導性を確保すべく、少なくとも金属材料を用いて形成されている。ターミナル26は、エミッタ電極23bに対向配置され、はんだ27を介してエミッタ電極23bと電気的に接続されている。ターミナル26は、半導体チップ22ごとに設けられている。
ヒートシンク28も、ヒートシンク24同様、対応する半導体チップ22の熱を半導体装置20の外部に放熱する機能を果たすとともに、配線としての機能も果たす。ヒートシンク24,28が、半導体チップ22を挟むように配置される放熱板に相当する。本実施形態では、ヒートシンク28が、Z方向からの投影視において、対応する半導体チップ22を内包するように設けられている。ヒートシンク28は、Z方向において、対応する半導体チップ22に対し、封止樹脂体21の裏面21b側に配置されている。
ヒートシンク28は、対応する半導体チップ22のエミッタ電極23bと電気的に接続されている。具体的には、エミッタ電極23bと、はんだ27、ターミナル26、及びはんだ29を介して、電気的に接続されている。ヒートシンク28の大部分は封止樹脂体21によって覆われている。ヒートシンク28の表面のうち、半導体チップ22とは反対の放熱面28aが、封止樹脂体21から露出されている。放熱面28aは、裏面21bと略面一となっている。ヒートシンク28の表面のうち、はんだ29との接続部及び放熱面28aを除く部分は、封止樹脂体21によって覆われている。
本実施形態では、ヒートシンク28が、上アーム側のヒートシンク28Hと、下アーム側のヒートシンク28Lと、を有している。ヒートシンク28Hにおける放熱面28aと反対の面には、半導体チップ22Hに対応するターミナル26が、はんだ29を介して接続されている。また、ヒートシンク28Lにおける放熱面28aと反対の面には、半導体チップ22Lに対応するターミナル26が、はんだ29を介して接続されている。ヒートシンク28H,28Lは、X方向に並んで配置されるとともに、Z方向においてほぼ同じ位置に配置されている。そして、ヒートシンク28H,28Lの放熱面28aが、封止樹脂体21の裏面21bから露出されるとともに、互いにX方向に並んでいる。したがって、ヒートシンク24H,28Hが一対の上アーム板に相当し、ヒートシンク24L,28Lが一対の下アーム板に相当する。
継手部30は、半導体チップ22Hのエミッタ電極23b側に配置されたヒートシンク28Hと、半導体チップ22Lのコレクタ電極23a側に配置されたヒートシンク24Lと、を電気的に接続している。換言すれば、継手部30は、半導体チップ22Hの低電位側に配置された上アーム側のヒートシンク28Hと、半導体チップ22Lの高電位側に配置された下アーム側のヒートシンク24Lと、を電気的に接続している。
継手部30の一端は、ヒートシンク28HにおけるX方向の一端であって、ヒートシンク24Lに近い側の端部付近に連なっている。継手部30の他端は、ヒートシンク24LにおけるX方向の一端であって、ヒートシンク28Hに近い側の端部付近に連なっている。継手部30は、XY平面視において、X方向に延設されている。継手部30の一端は、ヒートシンク28Hにおけるヒートシンク24L側の側面28bに連なっている。継手部30の他端は、ヒートシンク24Lにおけるヒートシンク28H側の側面24bに連なっている。
より詳しくは、継手部30が、ヒートシンク28Hに連なる第1継手部300と、ヒートシンク24Lに連なる第2継手部301と、を有している。第1継手部300は、同一の金属板を加工することで、ヒートシンク28Hと一体的に設けられている。第1継手部300は、封止樹脂体21に被覆されるように、ヒートシンク28Hよりも薄く設けられている。第1継手部300は、ヒートシンク28Hにおける半導体チップ22側の面と略面一となるように、ヒートシンク28Hに連なっている。第1継手部300は、薄板状をなしており、ヒートシンク28Hの側面28bからX方向に延びている。
第2継手部301は、同一の金属板を加工することで、ヒートシンク24Lと一体的に設けられている。第2継手部301は、封止樹脂体21に被覆されるように、ヒートシンク24Lよりも薄く設けられている。第2継手部301は、ヒートシンク24Lにおける半導体チップ22側の面に略面一で連なっている。第2継手部301は、ヒートシンク24Lの側面24bから、ヒートシンク28Hに向けて延設されている。第2継手部301は、Z方向から見ると、X方向に延設されている。本実施形態では、図4に示すように、第2継手部301が屈曲部を2箇所有している。第2継手部301の先端部分は、Z方向からの投影視において、第1継手部300と重なっている。そして、第2継手部301と第1継手部300とが、はんだ302を介して接続されている。
中継部31は、ヒートシンク28Lと後述する主端子322とを電気的に中継する。中継部31は、ヒートシンク28Lに連なっている。本実施形態では、同一の金属板を加工することで、中継部31がヒートシンク28Lと一体的に設けられている。中継部31は、X方向において、ヒートシンク28Lのヒートシンク28H側の端部に連なっている。また、Y方向において、第1継手部300と横並びとなるように設けられている。
複数の主端子32は、対応するヒートシンク24,28を介して半導体チップ22と電気的に接続されている。主端子32は、板厚方向が半導体チップ22の板厚方向であるZ方向と同じとなるように配置されている。主端子32は金属材料を用いて形成されており、リード端子とも称される。複数の主端子32は、基部33及び突起部34を有する分岐状端子32aを含んでいる。本実施形態では、半導体装置20が3つの主端子32を有している。そして、すべての主端子32が、分岐状端子32aとなっている。すべての主端子32は、封止樹脂体21の同じ側面21cから外部に突出している。
基部33は、封止樹脂体21の内部から外部にわたって延設されている。基部33のうち、少なくとも封止樹脂体21から露出する部分は、Y方向に沿って延設されている。本実施形態では、基部33の全長においてY方向に沿っている。基部33は、封止樹脂体21の内部において、対応するヒートシンク24,28に連なっている。
突起部34は、封止樹脂体21の外部で基部33の途中の部分から分岐している。突起部34は、基部33とは異なる方向に延びている。本実施形態では、基部33の延設方向に対して直交するX方向に延設されている。このように、分岐状端子32aは、2つの先端を有している。図2に示すように、主端子32のうち、封止樹脂体21の外部に露出するアウターリード部において、封止樹脂体21側の一端から、該一端とは反対の基部33の先端までの延設長さはL1となっている。一方、アウターリード部において、封止樹脂体21側の一端から、該一端とは反対の突起部34の先端までの延設長さはL2となっている。そして、延設長さL2は、延設長さL1よりも短くなっている。
本実施形態において、突起部34は、基部33のうち、封止樹脂体21の外部に露出する部分の根元付近に設けられている。突起部34の板厚は基部33の板厚と同じである。本実施形態では、突起部34の幅が基部33の幅よりも若干狭くなっている。しかしながら、突起部34の幅を、基部33の幅以上としてもよい。なお、アウターリード部における封止樹脂体21側の一端とは、延設方向において先端とは反対の端部を示す。また、延設長さとは、幅方向中心における長さである。幅とは、延設方向に直交する方向の長さである。
複数の主端子32は、互いに電位の異なる主端子320〜322を有している。各主端子320〜322は、上記したように分岐状端子32aとなっている。主端子320が第1主端子、主端子321が第3主端子、主端子322が第2主端子に相当する。
主端子320は、半導体装置20を高電圧系電力ライン4の高電位側に接続するための外部接続端子である。主端子320は、高電位電源端子、P端子とも称される。主端子320は、ヒートシンク24Hに連なっており、ヒートシンク24HからY方向に延設されている。本実施形態では、同一の金属板を加工することで、主端子320がヒートシンク24Hと一体的に設けられている。主端子320は、ヒートシンク24HにおけるY方向の一端に連なっている。主端子320を、ヒートシンク24Hとは別部材とし、ヒートシンク24Hに接続することでヒートシンク24Hに連なる構成を採用することもできる。主端子320は、封止樹脂体21の側面21cから外部に突出している。
主端子321は、半導体装置20に構成される上下アームの接続点と電気的に接続される外部接続端子である。たとえばインバータ12を構成する場合、主端子321は、モータMG1の対応する相のコイルと電気的に接続される。主端子321は、出力端子、O端子とも称される。主端子321は、ヒートシンク24Lに連なっており、ヒートシンク24LからY方向であって主端子320と同じ側に延設されている。本実施形態では、同一の金属板を加工することで、主端子321がヒートシンク24Lと一体的に設けられている。主端子321は、ヒートシンク24LにおけるY方向の一端に連なっている。主端子321を、ヒートシンク24Lとは別部材とし、ヒートシンク24Lに接続することでヒートシンク24Lに連なる構成を採用することもできる。主端子321は、主端子320と同じ側面21cから外部に突出している。
主端子322は、半導体装置20を高電圧系電力ライン4の低電位側に接続するための外部接続端子である。主端子322は、低電位電源端子、N端子とも称される。主端子322は、その一部が、Z方向からの投影視において中継部31と重なるように配置されている。主端子322は、Z方向において、中継部31に対して半導体チップ22側に配置されている。図示を省略するが、主端子322と中継部31もはんだを介して接続されている。
主端子322は、Y方向に延設されて、主端子320,321と同じ側面21cから外部に突出している。主端子320,321,322における封止樹脂体21からの突出部分は、Z方向において互いにほぼ同じ位置に配置されている。また、X方向において、主端子320(P端子)、主端子322(N端子)、主端子321(O端子)の順に並んで配置されている。すなわち、高電圧系電力ライン4の高電位側に接続される主端子320の隣りに、低電位側に接続される主端子321が配置されている。
信号端子35は、対応する半導体チップ22のパッドに、ボンディングワイヤ36を介して電気的に接続されている。本実施形態では、アルミニウム系のボンディングワイヤ36を採用している。信号端子35は、Y方向に延設されており、封止樹脂体21の側面21dから外部に突出している。具体的には、主端子32(320,321,322)が突出する側面21cとは反対の側面21dから、外部に突出している。信号端子35は、上アーム側の信号端子35H、及び、下アーム側の信号端子35Lを有している。信号端子35Hは半導体チップ22Hのパッドと接続され、信号端子35Lは半導体チップ22Lのパッドと接続されている。
本実施形態では、ヒートシンク24H,24L、第2継手部301、主端子32(320,321,322)、及び信号端子35が、同一の金属板(リードフレーム)から構成されている。
以上のように構成される半導体装置20では、封止樹脂体21により、半導体チップ22、ヒートシンク24それぞれの一部、ターミナル26、ヒートシンク28それぞれの一部、主端子32それぞれの一部、及び信号端子35それぞれ一部が、一体的に封止されている。半導体装置20では、封止樹脂体21によって、一相分の上下アームを構成する2つの半導体チップ22H,22Lが封止されている。このため、半導体装置20は、2in1パッケージとも称される。
また、ヒートシンク24,28は、封止樹脂体21とともに切削加工されている。よって、一面21a及び放熱面24aは、切削面となっている。ヒートシンク24H,24Lの放熱面24aは、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体21の一面21aと略面一となっている。同じく、裏面21b及び放熱面28aは、切削面となっている。ヒートシンク28H,28Lの放熱面28aが、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体21の裏面21bと略面一となっている。このように、半導体装置20は、放熱面24a,28aがともに封止樹脂体21から露出された両面放熱構造をなしている。
また、ヒートシンク24,28は、封止樹脂体21とともに切削加工されている。一面21a及び放熱面24aは、切削面となっている。ヒートシンク24H,24Lの放熱面24aは、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体21の一面21aと略面一となっている。同じく、裏面21b及び放熱面28aは、切削面となっている。ヒートシンク28H,28Lの放熱面28aが、同一面内に位置するとともに、封止樹脂体21の裏面21bと略面一となっている。このように、半導体装置20は、放熱面24a,28aがともに封止樹脂体21から露出された両面放熱構造をなしている。
次に、図5及び図6に基づき、上記した半導体装置20の並列接続構造及び冷却器との積層構造について説明する。上記した半導体装置20は、冷却器と交互に積層されてパワーモジュールを構成する。図5に示すように、パワーモジュール50は、上記した半導体装置20に加え、冷却器51及びバスバー54を備えている。
冷却器51は、内部に冷媒が流通され、各半導体装置20の両面側にそれぞれ配置されて、半導体装置20を両面側から冷却する。冷却器51は、冷媒が流れる通路を内部に有するように、管状(チューブ状)に形成されている。また、Z方向において、半導体装置20と冷却器51とが交互に積層されるように、隣り合う冷却器51の間に所定間隔を有して配置されている。
冷却器51は、X方向の一端側で、上流側連結部52により、隣り合う冷却器51同士が連結されている。上流側連結部52は、供給された冷媒を、各冷却器51に分配する機能を果たす。一方、X方向の他端側で、下流側連結部53により、隣り合う冷却器51同士が連結されている。この下流側連結部53は、各冷却器51に分配された冷媒を合流させる機能を果たす。
図5に示すパワーモジュール50は、インバータ12を構成する6つの半導体装置20と、半導体装置20を両面側から冷却するように、半導体装置20と交互に積層された複数の冷却器51を備えている。半導体装置20は、Z方向において冷却器51によって挟まれている。半導体装置20は、紙面下方から上方に向けて、U相の上下アーム回路12Uを構成する2つの半導体装置20、V相の上下アーム回路12Vを構成する2つの半導体装置20、W相の上下アーム回路12Uを構成する2つの半導体装置20の順に配置されている。
バスバー54は、インバータ12を構成する6つの半導体装置20において、互いに同電位とされる部分を電気的に接続する。バスバー54は、たとえば金属板を所定形状に打ち抜いて形成されている。バスバー54は、モータMG1と電気的に接続するためのバスバー54U,54V,54W、高電圧系電力ライン4と電気的に接続するためのバスバー54P,54Nを有している。各バスバー54は、互いにほぼ等しい板厚となっている。
バスバー54Uは、U相の上下アーム回路12Uを構成する2つの半導体装置20の主端子321を電気的に接続している。バスバー54Vは、V相の上下アーム回路12Vを構成する2つの半導体装置20の主端子321を電気的に接続している。バスバー54Wは、W相の上下アーム回路12Wを構成する2つの半導体装置20の主端子321を電気的に接続している。バスバー54Pは、インバータ12を構成する6つの半導体装置20の主端子320を電気的に接続している。バスバー54Nは、6つの半導体装置20の主端子322を電気的に接続している。
図5に示すように、バスバー54U,54V,54Wは、主端子321における基部33の先端付近ではなく、突起部34の先端付近に溶接されている。バスバー54P,54Nも、主端子321における基部33の先端付近ではなく、突起部34の先端付近に溶接されている。本実施形態では、すべてのバスバー54が、突起部34の先端付近に溶接されている。各バスバー54の板厚方向は、基部33の延設方向であるY方向ではなく、X方向となっている。
詳しくは、図6に示すように、各バスバー54には、複数の突起部34に対応して貫通孔54aが形成されている。そして、貫通孔54a内に対応する突起部34の先端を挿入させた状態で溶接がなされ、主端子32とバスバー54が電気的に接続される。図6では、バスバー54により、2つの主端子32を電気的に接続する例を示している。
次に、上記した半導体装置20の効果について説明する。
電力制御の用途では、出力(電流容量)を大きく得たいという要求があり、スイッチング素子を並列接続する構成を採用することがある。本実施形態でも、インバータ12を構成する上下アーム回路12U,12V,12Wのそれぞれにおいて、スイッチング素子を並列接続させる構成となっている。図7は、一例としてU相の上下アーム回路12Uを示している。2つの半導体装置20をバスバー54を介して並列接続することにより、上下アーム回路12Uが構成される。
本実施形態の半導体装置20は、主端子32として分岐状端子32aを含んでいる。分岐状端子32aは、基部33に加えて突起部34を有しており、アウターリード部として2つの先端を有している。これにより、突起部34にもバスバー54を溶接可能な構成となっている。そして、主端子32のアウターリード部において、封止樹脂体21側の一端から、一端とは反対の突起部34の先端までの延設長さL2が、一端とは反対の基部33の先端までの延設長さL1よりも短くなっている。したがって、突起部34の先端付近にバスバー54を溶接することで、主端子32のインダクタンス、ひいては並列接続部分のインダクタンスを低減することができる。
詳しくは、上アーム側のスイッチング素子T21a,T21bのコレクタ電極13a間のインダクタンスLpを、基部の先端付近にバスバーが溶接されて並列接続される構成に較べて小さくすることができる。また、上アーム側のスイッチング素子T21a,T21bのエミッタ電極13b間のインダクタンスLoを、基部の先端付近にバスバーが溶接されて並列接続される構成に較べて小さくすることができる。さらには、下アーム側のスイッチング素子T22a,T22bのエミッタ電極13b間のインダクタンスLnを、基部の先端付近にバスバーが溶接されて並列接続される構成に較べて小さくすることができる。
特に本実施形態では、上アーム側のスイッチング素子T21a,T21bのエミッタ電極13b間のインダクタンスLoを小さくすることができる。したがって、インダクタンスLoによりスイッチング素子T21a,T21bのエミッタ電位に差が生じ、これによりスイッチング素子T21a,T21bにおいてゲートの異常発振が生じるのを抑制することができる。同じく、下アーム側のスイッチング素子T22a,T22bのエミッタ電極13b間のインダクタンスLnを小さくすることができる。したがって、インダクタンスLnによりスイッチング素子T22a,T22bのエミッタ電位に差が生じ、これによりスイッチング素子T22a,T22bにおいてゲートの異常発振が生じるのを抑制することができる。
また、分岐状端子32aは、突起部34のみを有するのではなく、基部33も有している。したがって、バスバー54を溶接する際に、半導体チップ22側に伝達される熱を抑制すべく、主端子32に放熱治具を接触させる面積、品番や素子情報などを主端子32に印字するための面積、半導体装置20の製造後に電気特性検査を行うべく、主端子32に測定装置を接触させる面積などを、所定の面積を確保することができる。
以上のように、本実施形態の半導体装置20によれば、主端子32のインダクタンスを低減でき、且つ、放熱などのために必要な所定面積を確保することができる。
また、本実施形態では、主端子320(P端子)の隣りに主端子322(N端子)が配置されている。主端子320,322は、電流の流れる方向が逆向きである。主端子320,322を互いの近傍に配置させるため、磁束を打ち消しあう効果を高めることができる。これにより、スイッチングサージを低減することもできる。
また、本実施形態では、半導体装置20が2in1パッケージ構造となっている。この構成では、半導体装置20の内部、具体的には継手部30により上アームと下アームが接続されており、上アームと下アームがバスバーを介して接続される構成に較べて、上アーム及び下アームの直列接続部分のインダクタンスが小さい。このため、並列接続部分のインダクタンスの影響が大きい。しかしながら、上記構成を採用することで、たとえばゲートの異常発振が生じるのを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態では、基部33のうち、少なくとも封止樹脂体21から露出する部分が、板厚方向(X方向)に直交するY方向に沿って延設されている。突起部34は、板厚方向及び基部33の延設方向に直交するZ方向に沿って、基部33から突出(延設)されている。したがって、図5及び図6に示したように、突起部34の先端付近にバスバー54を溶接しやすい。しかしながら、基部33及び突起部34の延設方向は上記例に限定されない。基部33及び突起部34を含む分岐状端子32aの板厚方向が、半導体チップ22の板厚方向(X方向)と同じであり、基部33は、封止樹脂体21の内部から外部にわたって延設され、突起部34は、封止樹脂体21の外部で基部33の途中の部分から分岐したものであればよい。
なお、分岐状端子32aは、基部33及び突起部34の両方を有している。したがって、半導体装置20は、並列接続構造以外にも適用することができる。半導体装置20は、昇圧コンバータ11及びインバータ13の少なくとも一方の上下アームを構成することもできる。その際、バスバー54は、突起部34の先端付近に溶接してもよいし、基部33の先端付近に溶接してもよい。
本実施形態では、電力変換装置10を構成する昇圧コンバータ11及びインバータ12,13のうち、インバータ12のみを並列接続構造とする例を示した。しかしながら、並列接続構造は、インバータ12に限定されない。たとえばインバータ13を並列接続構造とし、上記した半導体装置20によりインバータ13を構成してもよい。
また、すべての主端子32について、突起部34の先端付近にバスバー54を溶接する例を示した。しかしながら、主端子320(P端子)については、基部33の先端付近にバスバー54を溶接してもよい。
また、半導体装置20のすべての主端子32を分岐状端子32aにする例を示したが、これに限定されない。複数の主端子32の少なくとも1つを分岐状端子32aにすればよい。2in1パッケージ構造の半導体装置20の場合、好ましくは、主端子321,322の少なくとも一方を分岐状端子32aにするとよい。
図8に示す第1変形例では、主端子321,322のみを分岐状端子32aとし、主端子320(P端子)を突起部34のない端子、すなわち基部33のみの端子としている。これにより、インダクタンスLoを小さくして、スイッチング素子T21a,T21bにおいてゲートの異常発振が生じるのを抑制することができる。また、インダクタンスLnを小さくして、スイッチング素子T22a,T22bにおいてゲートの異常発振が生じるのを抑制することができる。
図9に示す第2変形例では、第1変形例同様、主端子321,322のみを分岐状端子32aとし、主端子320(P端子)を突起部34のない端子としている。さらに第2変形例では、主端子32の配置を、X方向において主端子322(N端子)、主端子320(P端子)、主端子321(O端子)の順としている。そして、X方向両端に位置する主端子321,322について、突起部34の延設方向をX方向外向き、すなわち主端子320とは反対側としている。これによれば、バスバー54との溶接が容易となる。
なお、第2変形例では、主端子320が、上記した中継部31を介してヒートシンク28Hに電気的に接続され、主端子321が、図示しないヒートシンク24Hに連なっている。また、主端子322は、図示しないヒートシンク24Lに連なっている。そして、継手部30により、ヒートシンク24H,28Lが電気的に接続されている。
(第2実施形態)
本実施形態は、先行実施形態を参照できる。このため、先行実施形態に示した電力変換装置10、半導体装置20、及びパワーモジュール50と共通する部分についての説明は省略する。
図10に示すように、本実施形態では、電力変換装置10において、昇圧コンバータ11が並列接続構造となっている。図10は、電力変換装置10のうち、昇圧コンバータ11周辺のみを図示している。昇圧コンバータ11は、4つのスイッチング素子T11a,T11b,T12a,T12b、及び、4つのダイオードD11a,D11b,D12a,D12bを有している。スイッチング素子T11a,T12aは、高電圧系電力ライン4の高電位側と低電位側との間で直列接続され、スイッチング素子T11b,T12bは、高電圧系電力ライン4の高電位側と低電位側との間で直列接続されている。スイッチング素子T11a,T11bは、高電位側で互いに並列に接続され、スイッチング素子T12a,T12bは、低電位側で互いに並列に接続されている。本実施形態では、スイッチング素子T11a,T11b,T12a,T12bとして、nチャネル型のIGBTを採用している。
ダイオードD11a,D11b,D12a,D12bは、対応するスイッチング素子T11a,T11b,T12a,T12bに対して逆並列に接続されている。ダイオードD11a,D11b,D12a,D12bのアノードが、対応するスイッチング素子T11a,T11b,T12a,T12bのエミッタ電極に接続されている。
互いに並列に接続された高電位側のスイッチング素子T11a,T11bは、理論的にはひとつのスイッチング素子として動作する。本実施形態では、ひとつのスイッチング素子に流れる電流を小さくするために、2つのスイッチング素子T11a,T11bを並列接続している。互いに並列に接続された低電位側のスイッチング素子T12a,T12bについても同様である。図示しない制御装置は、並列接続されたスイッチング素子T11a,T11bのゲートに対して、同じ位相のゲート駆動信号を出力する。また、スイッチング素子T12a,T12bのゲートに対して、同じ位相のゲート駆動信号を出力する。
リアクトルLの一端は、低電圧系電力ライン3の高電位側、すなわちコンデンサ5の正極側の端子に接続されている。リアクトルLの他端は、スイッチング素子T11a,T12aの接続点、及び、スイッチング素子T11b,T12bの接続点に、接続されている。
そして、昇圧コンバータ11を構成する半導体装置20が、図11及び図12に示すように、1in1パッケージ構造をなしている。すなわち、4つの半導体装置20により、昇圧コンバータ11が構成される。
図11及び図12に示すように、半導体装置20は、第1実施形態に示した半導体装置20のうち、上下アームの一方のみを備えた構成となっている。すなわち、半導体装置20は、半導体チップ22、ヒートシンク24、ターミナル26、及びヒートシンク28をそれぞれ1つ備えている。さらに半導体装置20は、封止樹脂体21、2つの主端子32、及び信号端子35を備えている。
本実施形態でも、半導体チップ22にRC−IGBTが形成されている。信号端子35は、半導体チップ22のエミッタ電極形成面に形成されたパッドと電気的に接続されている。ヒートシンク24は、半導体チップ22のコレクタ電極23aと、はんだ25を介して電気的に接続されている。ヒートシンク28は、半導体チップ22のエミッタ電極23bと、はんだ27、ターミナル26、及びはんだ29を介して、電気的に接続されている。半導体装置20は、放熱面24a,28aがともに封止樹脂体21から露出された両面放熱構造をなしている。
2つの主端子32の一方はヒートシンク24に連なっており、他方はヒートシンク28に連なっている。本実施形態では、いずれの主端子32も、分岐状端子32aとなっている。突起部34は、封止樹脂体21の外部で、基部33の途中の部分から分岐している。そして、主端子32のアウターリード部において、封止樹脂体21側の一端から、一端とは反対の突起部34の先端までの延設長さL2が、一端とは反対の基部33の先端までの延設長さL1よりも短くなっている。
このように、本実施形態に係る半導体装置20も、主端子32として分岐状端子32aを含んでいる。したがって、突起部34の先端付近にバスバー54を溶接することで、主端子32のインダクタンス、ひいては並列接続部分のインダクタンスを低減することができる。また、突起部34のみを有するのではなく、基部33も有しているため、バスバー54を溶接する際の放熱などに必要な所定の面積を確保することができる。
また、本実施形態では、すべての主端子32が分岐状端子32aとなっている。これによれば、上アーム及び下アームのいずれに用いても、並列接続部のインダクタンスLp,Lo,Lnを小さくすることができる。
なお、1in1パッケージの半導体装置20を、昇圧コンバータ11以外にも適用できる。たとえば、第1実施形態に示した並列接続構造の上下アーム回路12U,12V,12Wを、上記した1in1パッケージの半導体装置20によって構成することもできる。
また、本実施形態に示した1in1パッケージの半導体装置20と第1実施形態に示した2in1パッケージの半導体装置20を組み合わせて、電力変換装置10を構成することもできる。
この明細書の開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。たとえば、開示は、実施形態において示された要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものと解されるべきである。
IGBTとFWDが同一の半導体チップ22に形成される例を示したが、互いに別チップに形成される構成としてもよい。
半導体装置20がターミナル26を有する例を示したが、ターミナル26を有さない構成としてもよい。その際、ヒートシンク28に、エミッタ電極23bに向けて突出する凸部を設けてもよい。
放熱面24a,28aが、封止樹脂体21から露出される例を示した。しかしながら、放熱面24a,28aが、封止樹脂体21から露出されない構成にも適用できる。封止樹脂体21の一面21a、裏面21b、及び放熱面24a,28aが切削面とされる例を示したが、これに限定されない。たとえばキャビティを構成する金型の壁面に放熱面24a,28aが接触するようにして、封止樹脂体21を成形してもよい。
2つのスイッチング素子が並列接続される例を示したが、これに限定されない。より大電流に対応するために、3つ以上のスイッチング素子が並列接続される構成にも適用できる。たとえば、第1実施形態において、U相の上下アーム回路12Uを2in1パッケージ構造の3つの半導体装置20によって構成してもよい。