JP6707994B2 - 磁気シールド鋼板およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁気シールド鋼板およびその製造方法に関する。
電気機器等には、特定空間外への磁束の漏洩を防止する目的で、または特定空間外からの磁束による影響を防止する目的で、鉄等の磁性体からなる磁気シールド材が設けられる。磁気シールド材に要求される特性は、遮蔽する磁気、電磁波の周波数によって、異なる。1Hz以下の磁気を遮蔽する場合、直流透磁率が高いことが磁気シールド材には要求される。
磁気シールド特性を鋼板により確保する磁気シールド鋼板に用いられる鋼板の透磁率は、磁束密度1T近傍で最も高くなる。このため、鋼板に流れる磁束密度が1T以下になるように設計されるのが一般的であり、必要に応じて、鋼板の板厚を厚くしたり、複数枚重ね合わせて使用したりする。
磁束密度1T近傍での磁化過程は、主に磁壁移動によるものである。このため、鋼板の透磁率を高くするには、結晶粒径を粗大化して結晶粒界を減らすこと、析出物を減らすこと、磁化方向への圧縮応力を減らすこと、残留歪を減らすこと、表面の凹凸を減らすこと、磁化方向にFeの磁化容易方向である<100>を増やすこと(あるいは磁化方向と<100>のなす角を小さくすること)等が有効である。
磁気シールド鋼板には、磁気シールド特性とともに、通常の鋼板と同様に耐食性も求められることが多い。特許文献1〜9には、表面にZn系めっきが施された磁気シールド鋼板が多数提案されている。
これらのZn系めっき磁気シールド鋼板の特に母鋼板に含有されるSiは、めっき性の観点から多量の含有には問題がある。しかし、電子部品用磁気シールド鋼板のような地磁気レベル(磁場が10−5T未満)の低磁場での磁気シールド特性を確保するためには、そもそもSiを多量に含有させる必要がなく、特に大きな問題は生じていない。むしろヒートシュリンクバンドのような用途で高強度化のための固溶強化元素としてのSiの含有量に制限がある。
高Si含有鋼へのZn系めっきは、磁気シールド鋼板に関するものよりも、むしろ高強度鋼板に関して多数検討されている。高強度鋼板の分野では、高Si含有鋼に特有なめっきムラやめっき密着性の低下を回避するため、特許文献10〜14に開示されるようにZn系めっきの前の電解処理や酸洗処理を強化したり、特許文献15,16に開示されるように事前にNiめっきを施す。
これら磁気シールド鋼板は、その使用時には、他の構造部材または機能部材の間に別の部材として設置されることが一般的である。しかし、一部の用途では磁気シールド鋼板自体に、外装材あるいは内装材の機能を持たせたいという要望がある。
特に、近年実用化が注目されているリニアモータカーの用途では、磁気シールド特性の確保が必要とされるのみならず、高速化や省エネルギー化の観点から車体の軽量化の要望が強く、さらに客車スペースの確保や低コスト化の観点からも構成部材の一体化の要望も強い。
このような要望に応える技術として、特許文献17〜19には、磁気シールド特性を考慮して製造した鋼板またはめっき鋼板の上に有機皮膜を形成するものが開示されている。
特開平10−251891号公報 特開平11−106876号公報 特開2000−59086号公報 特開2000−91113号公報 特開2000−290759号公報 国際公開第99/023268号パンフレット 特開2003−171748号公報 特表2004−516384号公報 特開2008−163372号公報 特開平5−320981号公報 特開平8−188898号公報 特開2000−104194号公報 特開2001−262271号公報 特開2003−64493号公報 特開平6−306674号公報 特開平8−165593号公報 特開2000−303143号公報 国際公開第02/054435号パンフレット 特開2010−43291号公報
上記のように、磁気シールド特性を考慮した鋼板上に耐食性を高めるためのZn系めっきを施し、さらに意匠性を向上するための有機皮膜を形成した磁気シールド鋼板は、公知の各種技術を適宜組み合わせれば、製造可能であると考えられる。
しかし、特に上述のリニアモータカーの用途などの高磁場での磁気シールド特性を考慮して、高Si含有鋼を母鋼板とした際の磁気シールド特性およびめっき密着性に注目した技術開発は、これまで十分には行われていない。
本発明の目的は、母鋼板に高Si含有鋼を用い、耐食性を付与するためのZn系めっきを施した磁気シールド鋼板において、高磁場での磁気シールド特性およびめっき密着性の高いレベルでの両立を可能とし、さらに意匠性を向上できる磁気シールド鋼板およびその製造方法を提供することである。
本発明者らは、高磁場での磁気シールド特性およびめっき密着性を両立させた磁気シールド鋼板を得るために種々実験し検討を重ねてきた。具体的には、磁場が0.1T以上の環境での磁気シールド特性の確保を前提とした。
しかし、地磁気などの低磁場を対象とした公知の磁気シールド材では十分に満足できる高磁場での磁気シールド性が得られず、このような前提条件に特化した材料開発の重要性が認識された。そして、耐食性とコストの観点からZn系めっきを、高磁場での十分な高磁場での磁気シールド性を確保するため製造した高Si含有鋼からなる母鋼板の表面に施して、高磁場での磁気シールド性およびめっき密着性を詳細に検討した。
しかし、母鋼板の上に直接Zn系めっきを施した場合には、公知の技術である電解や酸洗などの条件を調整すれば、ある程度のめっき密着性を得られるものの、高磁場での磁気シールド性は従来材とさほど変わるものではなく、満足な結果を得ることができなかった。
この原因は明確ではないが、母鋼板およびZn系めっきの間の僅かな物性(変形挙動)の差が、コイルでの製造過程における曲げに通板張力も重なり、母鋼板およびZn系めっきの界面に応力を発生させ、これにより、母鋼板の透磁率が低下し、これが高磁場での磁気シールド性を劣化させた可能性が考えられる。
本発明者らは、上記課題を解決するためにめっき厚さとめっき構造が高磁場での磁気シールド性に及ぼす影響に着目した検討を進めた結果、以下に列記の知見A〜Dを得た。
(A)めっき鋼板の一方の表面側および他方の表面側それぞれのめっき厚さに差がある場合(本明細書ではこのような状態のめっきを「差厚めっき」ともいう)に好ましい高磁場での磁気シールド性が得られる。
(B)特に、差厚めっき鋼板の一方の表面側および他方の表面側のうちの厚目付の表面側に磁気発生源が存在する場合における薄目付の表面側での高磁場での磁気シールド性は、薄目付の表面側に磁気発生源が存在する場合における厚目付の表面側での高磁場での磁気シールド性よりも大きくなる。また、この効果が認められる差厚めっき鋼板には、めっきの密着性も向上する傾向がある。
(C)厚目付の表面側に磁気発生源が存在する場合における薄目付の表面側での高磁場での磁気シールド性は、一方の表面側および他方の表面側それぞれのめっき厚さが同じである等厚めっき鋼板の高磁場での磁気シールド性よりも良好となり、所望の高磁場での磁気シールド性を得られる。
(D)差厚めっき鋼板を高磁場での磁気シールド性が必要な方向に揃えて配置すること、例えば、リニアモータカー等の客車の壁材として用いる場合には、室内側に配置される差厚鋼板のめっき厚が、室外側(リニアモータ側)に配置される差厚めっき鋼板のめっき厚よりも薄くなるように差厚めっき鋼板を配置することにより、客室内への漏えい磁束を十分に低減できる。
本発明は以下に列記の通りである。
(1)質量%で、Si:1.5〜4.0%、Al:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜2.4%、残部Feおよび不純物である化学組成を有する母鋼板と、
前記母鋼板の少なくとも一方の表面に形成された、一層以上のめっき層とを備える、磁気シールド鋼板であって、
下記(1)式を満足する、磁気シールド鋼板。
0≦t/t≦0.90 ・・・・・(1)
ただし、上記(1)式中のtは、前記めっき層のうち薄いほうのめっき層の厚さ(μm)、tは、前記めっき層のうち厚いほうのめっき層の厚さ(μm)であり、「めっき層の厚さ」とは、前記母鋼板の厚さ方向において、前記めっき層の最表面の位置から、Fe含有量が前記母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe含有量の0.75となる位置までの距離(μm)を意味する。
(2)前記母鋼板の厚さ方向において、Fe濃度が前記母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe含有量の0.75〜0.25である遷移領域の厚さが、0.20μm以上である、1項に記載の磁気シールド鋼板。
(3)下記(2)式を満足する、2項に記載の磁気シールド鋼板。
0.20≦tta/ttb≦0.90 ・・・・・(2)
ただし、上記(2)式中のttaは、前記めっき層のうち薄いほうのめっき層が形成された表面側の遷移領域の厚さ(μm)、t tb は、厚いほうのめっき層が形成された表面側の遷移領域の厚さ(μm)である。
(4)前記めっき層に金属間化合物が存在しない、1〜3項のいずれかに記載の磁気シールド鋼板。
(5)前記めっき層に、金属状態のLi、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、BaまたはAlが存在しない、1〜4項のいずれかに記載の磁気シールド鋼板。
(6)質量%で、Si:1.5〜4.0%、Al:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜2.4%、残部Feおよび不純物である化学組成を有するスラブに、熱間圧延、冷間圧延および仕上焼鈍を行った後、表面にめっきを行う、1〜5項のいずれかに記載の磁気シールド鋼板の製造方法であって、前記仕上焼鈍の最高到達温度が950℃以上である、磁気シールド鋼板の製造方法。
(7)前記仕上焼鈍の昇温過程の650℃〜800℃での雰囲気の露点が−10℃超40℃以下である、6項に記載の磁気シールド鋼板の製造方法。
(8)前記仕上焼鈍の後であって前記めっきの前に、酸洗を行う、6または7項に記載の磁気シールド鋼板の製造方法。
(9)前記めっきが電気めっきである、6〜8項のいずれかに記載の磁気シールド鋼板の製造方法。
本発明によれば、磁気シールド鋼板の高磁場における磁気シールド特性およびめっき密着性をいずれも向上することができる。
磁気発生源側は、様々な電気機材等が配置され、日照や風雨に晒されるなど高温かつ高湿度の外部環境であることが多いのに対し、人間の活動領域は、一般的には室内であり、温度や湿度が管理され、外部環境に比べると腐食環境としては緩やかである。
このため、本発明に係る磁気シールド鋼板により磁気発生源と人間の活動領域を区切る場合、室内側(人の活動領域側)に配置される一方の表面が薄めっきとなり、かつ、室外側(磁気発生源側)に配置される他方の表面が厚めっきとなるため、要求される耐食性を充分に維持しながら、めっきコストを削減することもできる。このため、本発明によれば、意匠性といった外装材または内装材の機能をも兼ね備える高磁場向けの磁気シールド鋼板を提供できる。
このように、本発明によれば、磁気シールド鋼板が外装材あるいは内装材の機能をも兼ね備えることができるため、従来のように内装材、磁気シールド材および外装材を個別の材料により構成する場合よりも、スペースの確保や低コスト化を図ることもできる。
特に、リニアモータカー等の移動体の構成部材として用いると、構成部材の一体化を図れるとともに、比較的多量に含有するSi,Al,Mn等の固溶強化元素が磁気シールド鋼板を高強度化するために構成部材の薄肉化も可能となり、車体の軽量化による高速化および省エネルギー化も図ることができる。
以下、本発明を実施するための形態を説明する。以後の説明では、化学組成または濃度に関する「%」は、特に断りがない限り「質量%」を意味するとともに、「磁気シールド性」とは、特に断りがない限り「高磁場、例えば0.1T以上の高磁場での磁気シールド性」を意味する。
1.母鋼板の化学組成
先ず、本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板の化学組成を説明する。
母鋼板は、本発明に係る磁気シールド鋼板の特徴の一つである磁気シールド性を確保するための主要な要素である。母鋼板は、Si:1.5〜4.0%、Al:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜2.4%、残部Feおよび不純物である化学組成を有する。
(1−1)Si:1.5〜4.0%
Siは、冷延焼鈍後の母鋼板の集合組織を変化させ、透磁率を高めて高磁場での磁気シールド性にも好ましく作用する。また、Siは、母鋼板のα相からγ相への変態温度を上昇させ、より高温で焼鈍して結晶粒径を粗大化させることを可能にする。結晶粒径を粗大化させると最大透磁率が高まり、高磁場での磁気シールド性が向上する。
さらに、Siは、固溶強化元素として母鋼板の高強度化に有効に作用するばかりでなく、飽和磁歪定数を0に近づけ透磁率を高くして、高磁場での磁気シールド性を向上させる効果も有する。
Si含有量が1.5%未満であると、変態が起きない温度では焼鈍を長時間行わないと結晶粒が十分に粗大化せず、連続焼鈍が適用できないなど製造コスト的に不利となる。このため、Si含有量は1.5%以上である。
他の元素の含有量にもよるが、Si含有量が2.0%未満では高温でγ変態が生じる可能性があるため、Si含有量は、好ましくは2.0%以上であり、さらに好ましくは2.1%以上であり、よりいっそう好ましくは2.6%以上である。
一方、Si含有量が4.0%を越えると、母鋼板を脆化させ、さらに飽和磁束密度を低下させて高磁場での磁気シールド性の上昇も飽和する。このため、Si含有量は、4.0%以下であり、好ましくは3.8%未満であり、さらに好ましくは3.6%未満である。
(1−2)Al:0.1〜3.0%
AlもSiと同様に、母鋼板のα相からγ相への変態温度を上昇させるため、Siと同様に積極的に含有させる。一方、Alは鋼中のNと結合してAlNとして析出すると、結晶粒成長および磁壁移動を阻害して透磁率を低下させる。
Al含有量が0.1%未満であると、AlN析出物が微細化し、結晶粒成長および磁壁移動を阻害する。このため、Al含有量は0.1%以上である。
Al含有量が増加するとAlN析出物のサイズが粗大化し、AlN析出物の個数が減少することにより高磁場での磁気シールド性への悪影響を小さくすることができる。このため、Al含有量は、好ましくは0.3%以上であり、さらに好ましくは0.6%以上である。さらに、変態温度の上昇による結晶粒の粗大化を十分に得るには、Al含有量は、さらに好ましくは0.9%以上であり、よりいっそう好ましくは1.2%以上である。
一方、Alは、Siと同様に、飽和磁束密度を低下させ、多量に含有すると母鋼板の脆化が問題になる。このため、Al含有量は、3.0%以下であり、好ましくは2.8%未満であり、さらに好ましくは2.6%未満である。
(1−3)Mn:0.1〜2.4%
Mnは、鋼中のSと結合してMnSとして析出すると、結晶粒成長および磁壁移動を阻害して透磁率を低下させる。Mn含有量が0.1%未満であるとMnSの析出物が微細化し、結晶粒成長および磁壁移動を阻害する。このため、Mn含有量は0.1%以上である。
Mn含有量が増加すると、MnS析出物のサイズは粗大化し、MnSの析出物の個数が減少することにより高磁場での磁気シールド性への悪影響を減らすことができる。このため、Mn含有量は、好ましくは0.15%以上であり、さらに好ましくは0.3%以上である。
一方、Mnは、Si,Alとは異なり、母鋼板のα相からγ相への変態温度を低下させるため、過剰に含有すると高温焼鈍による結晶粒の粗大化が困難になる。製造コストも勘案し、Mn含有量は、2.4%以下であり、好ましくは2.1%未満であり、さらに好ましくは1.9%未満である。
また、Feに代えて、電磁鋼板において含有されることが知られている元素を、公知の範囲で含有させても本発明の効果が消失するものではない。これらの元素としては、例えば、C、N、S、P、Cr、Ni、Cu、Sn、B、Ti、Nb、Mo、Sb、Ca、Mg、REM等が挙げられる。以下、本発明の効果への影響が比較的強く現れるこれらの元素を説明する。
(1−4)C:0.0040%以下
Cは、炭化物を形成して高磁場での磁気シールド性を劣化させる場合がある。また、磁気時効が生ずると高磁場での磁気シールド性も劣化してしまうため、C含有量は低くすることが好ましい。このため、C含有量は好ましくは0.0040%以下である。
製造コストの観点から、溶鋼段階で脱ガス設備(例えばRH真空脱ガス設備)によりC含有量を低減することが有利であり、C含有量を0.0030%以下とすれば磁気時効の抑制効果が大きい。本発明に係る磁気シールド鋼板では、高強度化の主たる手段として炭化物等の非金属析出物を用いないため、敢えてCを含有させるメリットはなく、C含有量は少ないことが好ましい。このため、C含有量は、好ましくは0.0020%以下であり、さらに好ましくは0.0015%以下である。電析などの技術を用いれば、化学的分析の限界以下である0.0001%以下に下げることも可能で、C含有量は0%であっても構わない。一方で工業的なコストを考えると、下限は0.0003%となる。
(1−5)N:0.0040%以下
Nは、Cと同様に、窒化物の形成や磁気時効性により高磁場での磁気シールド性を劣化させる。このため、N含有量は好ましくは0.0040%以下である。高磁場での磁気シールド性の劣化を避けるためN含有量は、低いほうが好ましく、0.0027%以下とすれば磁気時効や窒化物の形成による高磁場での磁気シールド性への悪影響を十分に回避できる。N含有量は、さらに好ましくは0.0022%以下であり、よりいっそう好ましくは0.0015%以下である。電析などの技術を用いれば、化学的分析の限界以下である0.0001%以下に下げることも可能で、N含有量は0%であっても構わない。一方で工業的なコストを考えると、下限は0.0003%となる。
(1−6)S:0.020%以下
Sは、硫化物を形成して高磁場での磁気シールド性を劣化させる場合があるため、S含有量は低いことが好ましい。S含有量は、好ましくは0.020%以下であり、さらに好ましくは0.0040%以下であり、よりいっそう好ましくは0.0020%以下であり、最も好ましくは0.0010%以下である。S含有量は0%であっても構わない。
(1−7)P:0.5%以下
Pは、強度調整、製造中の酸化、窒化、浸炭の抑制を目的として含有量が制御される他、さらに特に冷延前の粒界に偏析させた場合に集合組織を改善して磁束密度を向上させること等が知られており、0.001%以上含有させることが可能である。一般的な実用製鋼法では、不純物として、0.002%以上程度含有されることもある。一方で、過剰な添加は鋼を脆化させ、冷延性や製品の加工性を低下させるため、P含有量は、好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。
(1−8)Cr:20%以下
Crは、強度調整や耐食性、製造中の酸化挙動制御を目的として含有量が制御される他、特に高周波特性を向上させること等が知られており、0.001%以上含有させることが可能である。スクラップ等が混入する実用製鋼法では、不純物として、0.01%以上程度含有されることもある。一方で、過剰な添加は添加コストが増加し、磁気特性を低下させるため、Cr含有量は、好ましくは20%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
(1−9)Ni:10%以下
Niは、強度調整や耐食性、製造中の酸化挙動制御を目的として含有量が制御される他、特に高周波特性を向上させること等が知られており、0.001%以上含有させることが可能である。スクラップ等が混入する実用製鋼法では、不純物として、0.01%以上程度含有されることもある。一方で、過剰な添加は添加コストが増加し、磁気特性を低下させるため、Ni含有量は、好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは3%以下である。
(1−10)Cu:0.2%以下
Cuは、固溶元素として母鋼板の飽和磁束密度Bsを大幅に低下させる。飽和磁束密度Bsの低下は磁気シールド性の低下につながる。このため、本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板では、特別の目的がない限り、敢えてCuを含有させる必要はない。スクラップ等が混入する実用製鋼法では、不純物として、0.01%以上程度含有されることもある。したがって、Cu含有量は、好ましくは0.2%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。一方で、Cu析出により高強度化を図ることができることなども知られており、本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板においても公知技術に準じて適宜用いることができる。
(1−11)Sn:0.5%以下
Snは、製造中の酸化、窒化、浸炭の抑制を目的として含有量が制御される他、特に高周波特性を向上させること等が知られており、0.001%以上含有させることが可能である。スクラップ等が混入する実用製鋼法では、不純物として、0.002%以上程度含有されることもある。一方で、過剰な添加は添加コストが増加し、磁気特性を低下させるため、Sn含有量は、好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。
(1−12)B:0.01%以下
Bは、製造中の酸化、窒化、浸炭の抑制を目的として含有量が制御される他、特に酸化物、窒化物を含む複合酸化物を形成して磁気特性を向上させること等が知られており、0.0001%以上含有させることが可能である。一方で、過剰な添加は鋼が脆化し、磁気特性を低下させるため、B含有量は、好ましくは0.01%以下であり、さらに好ましくは0.005%以下である。
(1−13)Ti:0.0020%以下
Tiは、析出物による強度調整を目的として含有量が制御される他、特に酸化物、硫化物を含む複合酸化物を形成して磁気特性を向上させること等が知られており、0.0001%以上含有させることが可能である。スクラップ等が混入する実用製鋼法では、不純物として、0.0002%以上程度含有されることもある。一方で、これら析出物が磁壁移動を阻害し、磁気シールド性を大幅に劣化させることがあるため、Ti含有量は、好ましくは0.0020%以下であり、さらに好ましくは0.0015%以下である。
(1−14)Nb:0.0020%以下
Nbは、NbCなどの析出物が高強度化に有効に作用するものの、これら析出物が磁壁移動を阻害し、高磁場での磁気シールド性を大幅に劣化させるため、敢えて含有させる必要はない。このため、Nb含有量は、好ましくは0.0020%以下であり、さらに好ましくは0.0010%以下である。スクラップ等が混入する実用製鋼法では、不純物として、0.0002%以上程度含有されることもある。
(1−15)Mo:0.0020%以下
Moは、製造中の酸化、窒化、浸炭の抑制を目的として含有量が制御される他、特に酸化物、炭化物を含む複合酸化物を形成して磁気特性を向上させること等が知られており、0.0001%以上含有させることが可能である。一方で、これら析出物が磁壁移動を阻害し、高磁場での磁気シールド性を大幅に劣化させることがあるため、Mo含有量は、好ましくは0.0020%以下であり、さらに好ましくは0.0015%以下である。
(1−16)Sb:0.5%以下
Sbは、製造中の酸化、窒化、浸炭の抑制を目的として含有量が制御される他、特に高周波特性を向上させること等が知られており、0.001%以上含有させることが可能である。一方で、過剰な添加は添加コストが増加し、磁気特性を低下させるため、Sb含有量は、好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下である。
(1−17)Ca:0.050%以下
Caは、特に酸化物、硫化物を含む複合酸化物を形成して磁気特性を向上させること等が知られており、0.0001%以上含有させることが可能である。一方で、これら析出物が磁壁移動を阻害し、高磁場での磁気シールド性を大幅に劣化させることがあるため、Ca含有量は、好ましくは0.050%以下であり、さらに好ましくは0.010%以下である。
(1−18)Mg:0.050%以下
Mgは、特に酸化物、硫化物を含む複合酸化物を形成して磁気特性を向上させること等が知られており、0.0001%以上含有させることが可能である。一方で、これら析出物が磁壁移動を阻害し、高磁場での磁気シールド性を大幅に劣化させることがあるため、Mg含有量は、好ましくは0.050%以下であり、さらに好ましくは0.010%以下である。
(1−19)REM:0.050%以下
REMは、特に酸化物、硫化物を含む複合酸化物を形成して磁気特性を向上させること等が知られており、0.0001%以上含有させることが可能である。一方で、これら析出物が磁壁移動を阻害し、高磁場での磁気シールド性を大幅に劣化させることがあるため、REM含有量は、好ましくは0.050%以下であり、好ましくは0.010%以下である。
(1−20)残部
本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板は、以上の化学組成を有し、残部はFeおよび不純物である。不純物としては、鉱石やスクラップ等の原材料に含まれるものや、製造工程において含まれるものが例示される。上述したC、N、S、P、Cr、Ni、Cu、Sn、B、Ti、Nb、Mo、Sb、Ca、Mg、REM等は、本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板には含有されない場合もあるが、不純物として含有される場合もある。
2.母鋼板の金属組織
次に、母鋼板の金属組織を説明する。
上述のように、母鋼板の集合組織および結晶粒径は、どちらも高磁場での磁気シールド特性にとって好ましく作用するように、制御される。
(2−1)集合組織
母鋼板の集合組織は、基本的には、母鋼板の板面内磁化方向とFe結晶の磁化容易方向である<100>方位とのずれが小さくなる集合組織であることが好ましい。基本的には{111}が少なく、{100}や{110}が多い集合組織となる。換言すると、一般的に磁束密度を高く制御した電磁鋼板と同じ集合組織になる。
本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板は、特にSi含有量が高く、非変態系の化学組成を有することにより、上記のような集合組織が形成される。低Si含有鋼を母鋼板とする公知の磁気シールド鋼板は、{111}が高くなっており、高磁場での磁気シールド用途には好ましくない。
(2−2)結晶粒径
母鋼板の結晶粒径は、50μm以上であることが好ましく、さらに好ましくは100μm以上である。一般的にSiなどの含有元素が少ないほうが結晶粒径を大きくし易いものの、そのような低Si含有鋼において結晶粒径を大きくすると、集合組織としては{111}が発達してしまうので、高磁場での磁気シールドの目的に適合しない母鋼板となってしまう。また、上述のように焼鈍中に変態が起きると結晶粒が細分化してしまうため好ましくない。
結晶粒径は、JIS G0551:2005記載の結晶粒度標準図との比較による方法、計数方法、切断法などにより評価できるが、本発明では切断法により評価するものとする。
3.めっき層
次にめっき層を説明する。
本発明では、めっき層の構造をその厚さで規定するが、まず厚さ方向の境界について説明する。本発明では、母鋼板側からめっき層側に向かって、Fe濃度が母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe濃度の75%となる位置を母鋼板とめっき層との境界とする。すなわち、この位置よりも母鋼板の板厚中心側が母鋼板であり、この位置よりも表面側がめっき層である。
換言すると、「めっき層の厚さ」とは、母鋼板の厚さ方向において、めっき層の最表面の位置から、Fe含有量が母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe含有量の0.75となる位置までの距離を意味する。
また、めっき層が複層構造である場合は、各めっき層の主めっき金属の濃度の50%となる位置を各めっき層の境界とする。
さらに、本発明では、母鋼板側からめっき層側に向かって、Fe濃度が母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe濃度の75%から25%まで変化する領域を遷移領域とする。換言すると、遷移領域とは、母鋼板の厚さ方向において、Fe濃度が母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe濃度の0.75〜0.25である領域を意味する。
(3−1)厚さ
本発明に係る磁気シールド鋼板においては、めっき層は、磁気シールド鋼板の耐食性を確保するためだけではなく、良好な高磁場での磁気シールド性を発現させるために、形成される。本発明の重要な特徴は、母鋼板の一方の表面側および他方の表面側それぞれのめっき層の厚さに差を設ける差厚めっきを用いる点である。
差厚めっきが高磁場での磁気シールド性に影響する理由は、現時点では明確ではないが、本発明者らは、母鋼板およびめっき金属それぞれの熱膨張率やヤング率の差異による界面での応力が要因であると推定している。
すなわち、差厚めっき鋼板における、めっき厚さが厚い厚目付側とめっき厚さが薄い薄目付側では、発生する応力が異なり、これにより、母鋼板の板厚方向について透磁率が変動する。
この差厚めっき鋼板が外部磁場中に置かれると、厚目付側からは、差厚めっき鋼板の内部への磁束の侵入が困難になり、一方、薄目付側は、磁束が差厚めっき鋼板の外に漏れ出し難くなる。本発明者らは、「磁気シールド効果の板厚方向異方性」とも言える状態になると推定している。
母鋼板およびめっき金属それぞれの熱膨張率やヤング率の差異による界面での応力は、絶対値としては非常に小さいことを確認しているが、この応力の適切な範囲を定量的に規定できていない。ただし、一般的に、電磁鋼板の磁気特性への応力の影響が知られており、圧縮応力は透磁率を低下させ、引張応力は透磁率を上昇させることが知られている。これらからの類推により、上記のように推定している。
なお、以降の説明では、本発明の効果を「磁気シールド効果の板厚方向異方性」により説明するが、これは本発明者らによる推定メカニズムであることを断わっておく。今後、さらなる検討が行われ、メカニズムとともに根本的なパラメータが明確になり、定量的に規定されることを期待する。
本発明では、めっき層のうち薄いほうのめっき層の厚さをtとし、めっき層のうち厚いほうのめっき層の厚さをtとした場合に、0≦t/t≦0.90であることが好ましい。比(t/t)は、さらに好ましくは0.70以下であり、いっそう好ましくは0.55以下である。
薄いほうのめっき層の厚さの絶対値、厚いほうのめっき層の厚さの絶対値は特に限定しないが、高磁場での磁気シールド特性および耐食性をいずれも確保するために、以下の範囲とすることが好ましい。
(3−1−1)厚いほうのめっき厚さ
厚いほうのめっき厚さは、磁気シールド特性の観点から上限を定めることが望ましい。めっきとして主に使用される金属元素は、母鋼板の主構成元素であるFeよりも磁性が低い元素であるため、めっき厚さが厚くなると磁気シールド鋼板の透磁率が低下する。
めっき厚さが母鋼板の厚さの10%超となると、磁気シールド鋼板の透磁率の低下が大きくなる。このため、厚いほうのめっき厚さは、好ましくは母鋼板の厚さの10%以下であり、さらに好ましくは母鋼板の厚さの5%以下であり、いっそう好ましくは母鋼板の厚さの3%以下である。母鋼板の厚さを、一般的な内装材として0.80mmとすると、厚いほうのめっき厚さは、好ましくは80μm以下である。
厚いほうのめっき厚さの下限は、薄いほうのめっき厚さとの兼ね合いもあるが、本発明での高磁場での磁気シールド性への効果を発揮するためには、ある程度の厚さは必要であり、求められる磁気シールド特性との兼ね合いもあるが、厚いほうのめっき厚さは、好ましくは1μm以上であり、さらに好ましくは2μm以上である。
なお、厚いほうのめっき厚さの下限は、本発明に係る磁気シールド鋼板により構成される部材の耐食性も考慮されるべきであることは言うまでもない。耐食性の観点からは、一般的な室内に設置される電気製品や内装壁用途では、めっき厚さは1μmもあれば十分であるが、リニアモータカーでの磁気発生側(室外側)のように高温かつ高湿度の環境に晒される場合であれば、めっき厚さは、好ましくは2μm以上であり、さらに好ましくは4μm以上である。
(3−1−2)薄いほうのめっき厚さ
薄いほうのめっき厚さは、上述したように磁気シールド特性の観点から、薄いほうが好ましく、本発明の特徴でもある高磁場での磁気シールド特性を得るために、薄いほうのめっき厚さは薄くすべきである。耐食性を考慮しなければ、薄いほうのめっき厚さは零でもよい。この場合には、本発明に係る磁気シールド鋼板は片面めっき鋼板である。
後述するように、風雨などに晒されるような過酷な腐食環境ではなく、人間が活動する一般的な室内側で使用されるのであれば、めっき厚さは5μmもあれば十分である。めっき厚さは、めっき金属のコストも勘案すれば、好ましくは3μm以下であり、1.0μm程度でも一般的な室内であれば十分である。
(3−1−3)遷移領域の厚さ
めっき層のもう一つの重要な特徴が、母鋼板からめっき層へのFe濃度の変化を緩やかにすることである。本発明では、このFe濃度の変化を、遷移領域の厚さにより規定する。
本発明では遷移領域の厚さを0.20μm以上とすることにより、高磁場での磁気シールド特性が好ましく発揮される。また、遷移領域の厚さは、めっき密着性に対しても好ましい効果を発揮する。遷移領域の厚さが0.20μm未満になると、めっき密着性を確保することが困難になる。
遷移領域の厚さは、めっき厚さが決定されれば、これに伴って決まるように一見考えられるが、実際には決まらないことが多い。つまり、遷移領域の厚さは、めっき工程の初期でのめっき金属と母鋼板との反応、またはめっき後の熱処理条件などにより決定され、めっき厚さは、遷移領域の厚さとは関係なく設定可能である。
このように、めっき初期に遷移領域が形成されれば、その後に、母鋼板に形成されるめっき層の厚さは、既に形成された遷移領域の厚さとは全く無関係に設定可能である。
また、めっき後の熱処理によりめっき層と母鋼板とを反応させて遷移領域を発達させる場合は、めっき層が遷移領域の厚さに対して十分な厚さであれば、界面反応は、めっき層の厚さによらずに界面での元素濃度と熱履歴とにより決定される。すなわち、それぞれのめっき層の厚さによらずに、同じ厚さの遷移領域が形成される。
このため、差厚めっき鋼板であっても、それぞれの遷移領域の厚さは、ほぼ同等に制御することも可能であるし、厚いほうのめっき層側の遷移領域の厚さを、薄いほうのめっき層側の遷移領域の厚さより薄くすることも可能である。
このように、めっき厚さと遷移領域の厚さとは完全に独立した指標であるが、これらを独立して制御することは一般的には全く意識されておらず、当業者にとっても特別な制御技術である。
遷移領域の厚さは、より好ましくは0.40μm以上であり、さらに好ましくは0.6μm以上であり、よりいっそう好ましくは0.8μm以上である。遷移領域の厚さが小さいと、すなわちFe濃度の変化が急峻であり、めっき密着性、および高磁場における磁気シールド性の向上効果が低下する。
この低下の原因は、遷移領域におけるFe濃度の変化が急峻であると、母鋼板に作用する応力が過大になり、高磁場での磁気シールド性の絶対値自体が悪化するとともに、微妙な応力分布の結果として現れる板厚方向異方性の効果が確認し難くなるため、と推定される。またこのような応力は、めっきの密着性にも作用するものと推定される。
遷移領域の厚さの上限は特に定めない。本発明に係る磁気シールド特性の板厚方向異方性の効果が明確に発揮されるには、遷移領域の厚さが大きく緩やかに変化するほど好ましいからである。また、密着性の観点でも遷移領域の厚さが大きく緩やかに変化することが好ましい。
一方で、Fe濃度がめっき層の最表面側において過剰に高くなると耐食性が低下するおそれがあるため、遷移領域の厚さは、全めっき厚さの50%以下であることが好ましく、より好ましくは全めっき厚さの30%以下である。めっき厚さとの兼ね合いでこの割合が小さくなると、遷移領域の厚さ自体が薄くなって濃度変化が急峻になることにも繋がるため、これらの兼ね合いを図るべきである。
さらに、薄いほうのめっき層側の遷移領域の厚さと、厚いほうのめっき層側の遷移領域の厚さとの比にも配慮すべきである。本発明では、めっき層のうち薄いほうのめっき層が形成された表面側の遷移領域の厚さをttaとし、厚いほうのめっき層が形成された表面側の遷移領域の厚さをt tb とした場合に、0.20≦tta/ttb≦0.90であることが好ましい。比(tta/ttb)は、さらに好ましくは0.20〜0.90であり、さらにより好ましくは0.30〜0.90であり、最も好ましくは0.40〜0.90である。
上述したように、遷移領域の厚さに好ましい範囲の下限が存在するため、比(tta/ttb)の好ましい範囲にも下限が存在する。すなわち、遷移領域の厚さの絶対値が小さくなれば、遷移領域の厚さの僅かな変動により、厚いほうのめっき層および薄いほうのめっき層それぞれの遷移領域の厚さの比は大きく変動する。工業的にはこのような変動は、遷移領域の厚さの絶対値によらずに一定の変動幅を有するためである。
一方、比(tta/ttb)の上限は、本発明の最大のポイントとなる差厚めっきを施せば、製法にもよるが、少なからず遷移領域についても差を生じることを考慮したためである。
なお、比(tta/ttb)は、前述のめっき厚さの比とは全く無関係に制御が可能である。これは、遷移領域の厚さについて説明したように、めっき厚さと遷移領域の厚さは全く独立して制御可能であるためである。
(3−2)めっき組織
本発明に係る磁気シールド鋼板のめっき層は、一つのめっき層については単相であり、めっき層は含有する金属元素を濃度変化の範囲内で完全に固溶する相を形成する範囲内であることが好ましい。
このため、めっき金属の化学組成や熱履歴により、磁気シールド特性やめっき密着性に悪影響を及ぼす金属間化合物などの特殊な金属相が形成される場合は、これを避けることが好ましい。特に金属間化合物については注意すべき点が多い。
避けるべき金属間化合物は、めっきに含有される金属により多種に亘り、また、要求される特性にも依存するため一概に決定することはできない。しかし、例えばFe−Znの金属間化合物であれば、ζ相と呼ばれるFeZn13、δ相と呼ばれるFeZnなどの金属間化合物の悪影響は小さく、Γ相と呼ばれるFeZn21、Γ相と呼ばれるFeZn10などの硬質な金属間化合物の悪影響は大きい。
他に例えばFe−Alの金属間化合物であれば、β相と呼ばれるFeAl、β相と呼ばれるFeAlやFeAl、Fe−Snの金属間化合物であれば、FeSn、FeSn、FeSn、FeSn、Ni−Alの金属間化合物であれば、β’相と呼ばれるNiAlなどが悪影響を及ぼす金属間化合物として挙げられる。
このように本発明におけるめっき層においては、金属間化合物の形成は基本的には好ましくない。金属間化合物を形成したとしても、鋼板の特定の深さ領域を全面に覆う膜状の形態でなく、さらには粗大ではないものであることが好ましい。母鋼板から離れた領域であれば、金属間化合物が磁気シールド特性やめっき密着性に及ぼす影響は軽微である。
金属間化合物の存在は、X線回折や電子線回折により判断できる。X線回折では、鋼板の状態で測定でき、めっきを剥離して粉末にした状態での測定も可能である。また、電子線回折では、FIBを用いて薄膜サンプルを作製し、TEMにより得られる電子線回折像を解析することによって結晶構造を同定することができる。
X線回折および電子線回折のいずれにおいても、各種金属間化合物の格子の面間隔に応じた位置に回折ピークや回折パターンが検出されることにより、金属間化合物の存在を判断することができる。なお、TEMに装備されたEDS検出器を用いることにより金属元素の種類も同定できる。
これらの判断や同定は、当業者が通常行っている基準で行えばよい。
(3−3)めっき種
めっきは、公知のめっきが適用できる。めっきされる金属元素は、特に限定されるものではない。例えばZn系めっきであれば、純Zn,Zn−Ni,Zn−Co,Zn−Fe,Zn−V,Zn−Sn,Zn−Mn,Zn−Cr,Zn−Bi,Zn−Sb等の公知のZn系めっきが適用できる。
もちろんZn系めっき以外でも、Pb−Sn,Fe−Ni,Fe−Cr等の公知のめっきも適用できる。
これらめっきのめっき手段は、電気めっき、溶融めっきや溶射などが適用できる。さらに、めっき層中にSiO,Al,TiO等のコロイドや微粒子を複合分散させためっきも適用できる。
さらに母鋼板の上のめっき層は一層である必要はなく、公知の複層めっきであっても本発明の効果が失われるものではない。
複層めっきの一例として、上記のZn系めっき層の中間めっきとしてNi系めっきを施すことが挙げられるが、数が限られている公知のめっきについて、許容できる範囲の試行により、必要とされる磁気シールド特性およびめっき密着性に好ましい影響を及ぼすめっき種やめっき厚さ等を決定することは、当業者であれば困難なことではない。
上述のめっきは、母鋼板とめっき層の遷移領域の濃度変化を緩やかにするために、合金めっきとすることも有効である。例えば、母鋼板の上に直接Zn系めっきを施す場合には、Zn−Feめっきとすることにより濃度変化を緩やかにすることができる。
また、Zn系めっきの前に中間めっきとしてNiめっきを施す場合は、純Niめっきではなく、Ni−Feめっき、Ni−ZnめっきまたはNi−Fe−Znめっきを施せば、濃度変化を緩やかにすることができ、本発明の効果を有利に得られる。
このような効果を狙う場合のめっき組成は、濃度変化や必要とされる耐食性等の特性、さらに公知のめっきの範囲や製造条件などの実用性も考慮して適宜決定すればよい。
これらの濃度は、GDSで磁気シールド鋼板の表面からの発光強度プロファイルを調査することにより、評価できる。濃度の絶対値は、各元素の含有量を変化させた材料についてのGDSの発光強度と元素含有量との検量線により特定できる。GDSは、例えばリガク製GDA750を使い、アノード径4mm、圧力3hPaで分析する。
めっき厚により最適なスパッタ時間は変わるが、一般的には200秒間行えば母鋼板まで分析することができ、それ以上のめっき厚の場合、スパッタ時間を長くすれば分析できる。
(3−8)金属状態のLi、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、またはAlの不存在
さらに、本発明に係る磁気シールド鋼板では、めっき層中に金属状態のLi、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、またはAlが存在しないことが好ましい。本発明において「金属状態」とは、金属間化合物を含む状態を意味する。
なお、本明細書においては、上記めっき層中のLi、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、またはAlを、「特定元素」ともいう。
金属間化合物が好ましくない作用を及ぼすことは前述の通りであるが、特定元素は、たとえ固溶状態であっても、めっき層中に存在すると、高磁場での磁気シールド性が劣化する。この理由は明確ではないが、めっき層の物性の変化などにより応力状態や磁気物性が変化することによるものと推定される。
特定元素がめっき層に含まれているかどうかは、地鉄のみを溶解させて残っためっき層をICP分析することにより検出できる。また、それらが金属状態であるかどうかの確認は、X線光電子分光法(XPS)やオージェ電子分光法(AES)を用い、各元素のゼロ化の価数に相当する位置に、ピークが存在するか否かにより判定することができる。ピークの存在については、その元素を含まないものをベースとしてそのベースラインから、ピークが確認できるものを存在すると判断する。
XPSは、例えばJEOL製JPS−9200を用いて、最大50mm×18mmの広域マッピングを行う。AESは、例えばJEOL製JAMP−9500Fを用いて、1μmの分解能で元素同定する。例えば、母鋼板とめっき層とを含む断面を切り出し、光学顕微鏡とAESを組み合わせることにより、比較的広い範囲で1μmの金属元素を同定することができる。
JAMP−9500Fでは、予め調査対象の金属間化合物の標準サンプルを調査しておき、分析した金属元素の化学状態も同定することができるため、光学顕微鏡で検出した化合物をJAMP−9500Fによる高エネルギー分解能オージェスペクトルから波形分離計算を行うことにより、化学状態の異なる化合物を区別したり、その比率を同定したりすることができる。
(3−9)めっき層の上の処理
さらに、めっき層の上に公知の処理を施すことも可能である。耐食性を高めるための各種の化成処理、塗装、塗装密着性を高めるための各種化成処理、意匠性の確保のための塗装やフィルム貼付等を行うことは、それら塗装やフィルムによる新たな応力の影響なども考えられるものの、母鋼板とめっき層との間における本発明の効果を消失させるものではない。むしろ、塗装やフィルムによっては、本発明の効果に有効に作用することも考えられる。
4.本発明に係る磁気シールド鋼板の製造方法
次に、本発明に係る磁気シールド鋼板の製造方法を説明する。
(4−1)母鋼板の製造方法
本発明に係る磁気シールド鋼板の母鋼板は、公知の電磁鋼板と同様に、鋼を転炉で溶製し、連続鋳造で鋼スラブとし、ついで熱間圧延、冷間圧延および仕上焼鈍を行うことにより得られる。
これらの工程に加え、熱延板焼鈍や冷間圧延途中の中間焼鈍、脱炭焼鈍など、公知の電磁鋼板に適用される工程を経ることも本発明の効果を何ら損なうものではない。特に、熱延板を高温で焼鈍することにより熱延焼鈍板の結晶粒径を粗大化すると、冷延焼鈍後の集合組織および結晶粒径が、磁気シールド特性の向上にとって好ましく変化する。
また、製造条件に応じて形成されるAlNやMnS等の微細析出物は、結晶粒成長や磁壁移動を阻害して、磁気シールド特性を低下させる。これらの微細析出物を無害化するために、公知の電磁鋼板の製造プロセスで活用される、添加元素、スラブ加熱温度の低温化さらには焼鈍後の緩冷却技術等は、適宜活用することができる。
このような母鋼板の製造条件は、公知の磁気特性(磁束密度、鉄損)を好ましく制御する製造条件を適宜適用すればよい。
上記の工程中で、仕上焼鈍の温度を950℃以上にすることは、本発明に係る磁気シールド鋼板の製造方法において電気めっき法を採用する場合に、重要である。鋼中にSi,Alを比較的高濃度で含有する本発明で用いる母鋼板は、仕上焼鈍中にSi,Alが表面で酸化し、緻密な酸化膜を形成してめっきの密着性を阻害するばかりでなく、電気めっきをする際にはめっき層中へのFe原子の含有量が低下し、母鋼板からめっき層への濃度変化を急峻にする。
詳細は後述のめっき条件の項で説明するが、仕上焼鈍を950℃以上で行うことにより、電気めっきした際の母鋼板からめっき層への濃度変化が緩やかになる。仕上焼鈍の温度は、好ましくは1000℃超であり、さらに好ましくは1050℃超である。
さらに、仕上焼鈍の昇温過程の650℃〜800℃での雰囲気露点を−10℃超40℃以下にすると、電気めっきをした際の母鋼板からめっき層への濃度変化をさらに緩やかにすることができる。雰囲気露点は、好ましくは0℃超であり、さらに好ましくは10℃超であり、いっそう好ましくは20℃超である。
また、雰囲気露点を制御する昇温過程の温度範囲は、好ましくは500℃超であり、さらに好ましくは0℃超である。この原因についてもめっき条件の説明においてめっき挙動の変化と合わせて後述する。
また、仕上焼鈍の温度は、母鋼板の結晶粒径にも直接影響する。母鋼板の化学組成や前述の変態挙動、さらに冷間圧延以前の工程にもよるが、これらを勘案した上でさらに上記のめっき挙動にとって好ましい条件を考慮して、母鋼板の結晶粒径が前述の範囲になるように仕上焼鈍の条件を設定することは当業者であれば、それほど困難なことではない。
(4−2)めっき条件
次に、本発明に係る磁気シールド鋼板のめっき条件を説明する。
本発明で規定する、遷移領域の濃度変化は、様々な方法により制御することができる。例えば、各層の中間的な化学組成を有するめっきを介在させること、化学組成が異なるめっきを複数回めっきすること、めっき後の熱処理により元素を拡散させることなどが例示される。これらの方法は、公知の条件を適宜採用して行えばよい。
また、めっき手段として、溶融めっき、電気めっき、溶射等の公知の表面処理法を用いることができるが、上記の範囲の厚さで、かつ低コストで均一にめっきを施すためには、電気めっきが最適である。また、溶融めっきのようにめっき時に高温状態に晒される方法では、界面にめっきされる金属元素と母鋼板に含有される金属元素とからなる金属間化合物が生成され易く、この金属間化合物が磁気シールド特性やめっき密着性に悪影響を及ぼすことがある。
さらに、本発明の特徴の一つに、めっき層と母鋼板との間に発生する応力を制御することによる磁気シールド特性の向上効果があることは前述の通りであるが、溶融めっきでは、冷却時に熱歪を生じて悪影響を及ぼすこともあり、一方で電気めっきではこの応力が非常に小さくなる。この点からも、電気めっきは本発明に係る磁気シールド鋼板のめっき手段として最適と言える。
ここでは前記の母鋼板の特徴と関連し、本発明にとって最適である電気めっきにおける現象を中心にめっき時の挙動を説明する。
まず、本発明における電気めっき条件は、特別なものである必要はなく、公知のめっき浴、浴組成、温度、電流密度、時間を適用すればよい。例えば、前述の本発明にとって好ましいZn系めっきでは、めっき浴にはアルカリ性浴や酸性浴等の種々のめっき浴が適用できる。
例えば、冷延鋼板をアルカリで電解脱脂処理した後、水洗、酸洗処理(硫酸濃度70g/L、25〜40℃、5秒間浸漬)を施し、次いで、Zn濃度:1.0mol/L(0.3〜1.8mol/L)、必要に応じNi濃度:0.01〜0.2mol/L、pH:1.9(1.0〜4.0)、浴温:50℃(40〜65℃)の硫酸浴、電流密度:50A/dm(20〜150A/dm)の条件で電気めっきを行うことが、例示される。
また、無電解法や電気めっき法等のめっき手法等も用いることができる。コスト、用途、汎用性も勘案すると、塩酸、硫酸、ホウ酸浴系の酸性浴を用いたZn系めっきが最適である。
本発明で適用する「差厚めっき」は、目新しいものではないとは言え、高磁場での磁気シールド特性を好ましく発揮させるため、本発明に係る製造法において考慮すべき、めっき工程でのポイントは、遷移領域の形成を意識した差厚めっきの形成である。
まず、本発明に係る磁気シールド鋼板の大きな特徴である差厚めっきを行う方法を説明する。この方法自体は、上述のように特別なものである必要はなく、めっき工程において、例えば、(a)母鋼板の一方の表面および他方の表面で電流密度を変えること、(b)一方の表面側および他方の表面側で母鋼板に対向する電極の長さまたは数を変えること(一方の表面側および他方の表面側で母鋼板が電極に対向している時間を変えること)、さらには、(c)一方の表面側および他方の表面側で母鋼板と電極との距離を変えること等の方法が挙げられる。
これらは特別な方法である必要はなく、一般的に「差厚めっき」と呼ばれる、母鋼板表面に差厚めっきを施すための公知技術を適用すればよい。
また、詳細なめっき条件も公知の範囲で目的とするめっき厚さとなるように設定することは、様々なめっきを行う当業者においては容易な設計事項である。例えば、めっきセル内の電極の長さを変える方法は、一般的には複数配置された個々の電極についての電流のON-OFFにより容易に実施できるために、好ましい。
さらに、両面に等厚めっきを行った後に、片面のみ酸洗したり研削したりするなどの方法も、差厚めっきを得るための方法として適用可能である。
そして、上記のめっきは、遷移領域の形成を意識したものであることが好ましい。次に、遷移領域の形成を説明する。
遷移領域は、電気めっきの初期に母鋼板からFeが溶解し、母鋼板上にめっき金属と一緒に再電析する過程で形成される。このため、基本的には、めっき初期において、Feの溶解が迅速に起こり、めっき金属の電析がゆっくり発生する条件で遷移領域の厚さが広くなる。一般的なめっきにおいては、母鋼板をわざわざ溶解させる意味はなく、めっき金属を積極的に電析させるため、Feの十分な溶解が起きる前に母鋼板の表面はめっき金属で覆われてしまい、遷移領域の厚さは非常に狭くなる。厚さの広い遷移領域をめっき条件の調整だけで作りだすことも可能ではあるが、以下では、めっき前の母鋼板の表面状態を考慮した、本発明による遷移領域の形成挙動を説明する。
本発明に係る母鋼板は、化学組成としては高Siかつ高Al含有鋼であり、製造法としては高温および高露点で製造されることを好ましい条件としている。一般的に、高Si,高Al含有鋼材は、熱処理において表面に緻密なSi系酸化膜またはAl系酸化膜(外部酸化膜)を形成し、表面での反応性が低下する。
その一方で、熱処理条件によっては、高Si,高Al含有鋼材には、内部酸化が発生し易く、表面の外部酸化膜ではなく鋼材の内部に微細かつ複雑な形態の酸化物が分散して形成された内部酸化層(内部酸化領域)が形成される。
内部酸化層が形成される場合、酸化物が表面に露出していない領域はFe金属相が表面に露出している。鋼板の表面がこのような状態であると、電気めっき時にめっき金属の母鋼板の表面への電析とともに、母鋼板(Fe金属原子)のめっき浴中への溶解が進行し易い。そして、めっき浴中に溶け出したFe原子は、めっき金属とともに母鋼板の表面に再電析する。
このため、めっき層は、Fe原子を相当量含有するものとなり、またその溶解、再電析は、遷移領域のFe濃度の変化を緩やかにする。さらに、母鋼板の最表面のFeがめっき浴に溶解することにより母鋼板の表面のミクロな凹凸が減少し、磁場内において磁壁移動の阻害を軽減することにより磁気シールド特性を向上させる。
つまり、母鋼板として適切なものを製造すれば、めっき条件を特別なものとすることなく、遷移領域のFe濃度の変化が緩やかである本発明に係る磁気シールド鋼板を得ることができる。
そして、このような溶解し易い内部酸化層の形成に、高Si,高Al含有鋼、高温での仕上焼鈍、仕上焼鈍の昇温過程での高露点等が関係すると考えられる。特に、焼鈍温度の高温化は、母鋼板の結晶粒の成長とともに表面に形成されていた緻密な外部酸化膜を破壊してポーラスなものに変化させる作用が期待され、昇温過程での高露点は、内部酸化の起点を早期に形成してその後の高温保持での外部酸化の進行を阻害するように作用すると考えられる。
もちろん、めっき直前の時点でFe相が多く露出した活性度の高い表面は、酸化を完全に抑制した熱処理を行うことや、熱処理後に強酸洗や機械的な研削を行って外部酸化層を除去することも考えられる。
しかし、本発明に係る磁気シールド鋼板のような高Si,高Al含有鋼では、高温熱処理中の外部酸化を完全に抑制することは難しく、また一度形成した外部酸化膜は、酸洗では溶解し難く、さらに機械的な加工では磁気シールド特性に顕著な悪影響を及ぼす歪の残存が避けられないばかりか、これらの方法は製造コストの増加を伴う。
このため、上述のような仕上焼鈍条件による内部酸化的な挙動の制御とそれを電気めっき法に適用した際の母鋼板の溶解、再電析挙動を活用することは、工業的にも非常に大きな効果がある。
一方で、Si,Alの内部酸化層は、地鉄との界面にミクロな凹凸を形成することにもなるため、これが過度になると磁壁移動を阻害して磁気シールド特性を劣化させるおそれがある。これを回避するため、仕上焼鈍の条件は、適切に制御することが重要である。
また、内部酸化の悪影響を積極的に解消するには、仕上焼鈍の後であって電気めっきの前に、酸洗を行うことが有効である。内部酸化層は、外部酸化膜とは異なり、酸洗により比較的容易に除去することができる。電気めっき前の酸洗、例えば電解酸洗等により内部酸化層の厚さを酸洗前の50%以下に低減すれば、その後のめっき時の母鋼板の溶解なども起きるため、内部酸化層の悪影響はほぼ解消される。
最終的な内部酸化層の厚さは、1.0μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.6μm以下であり、さらに0.3μm以下であれば特性への悪影響は非常に軽微になる。もちろん完全に内部酸化層が消失するような酸洗およびめっき条件を選ぶことは本発明の効果を奏するためには、好ましい。
表1に示す化学組成を有する鋼A〜E(鋼A:Si含有量が本発明の範囲の下限を下回る公知の低磁場用めっきシールド材)を真空溶解し、連続鋳造により鋼スラブとし、ついで熱間圧延を行って2.5mmの熱延鋼板とした。
Figure 0006707994
この熱延鋼板を、40℃硫酸で酸洗した後、0.60mm厚に冷間圧延し、表2に示す条件で仕上焼鈍を行って母鋼板を製造した。なお、酸洗前後の鋼板の内部酸化層の厚さを、鋼板の断面を高分解能SEMにより3000倍で反射電子組成像(COMPO像)を10視野観察し、観察された酸化層厚みの平均として、測定した。
その後、表1に示す条件で、めっき前の酸洗条件、中間めっき有無、めっき手段、上層めっき種を変えてめっきを行った。
本実施例では、本発明の特徴である差厚めっきは、電気めっきにおいては、めっき浴内に設置した電極のうち主として電流を流す電極の数を変えることにより、めっき時間が母鋼板の一方の表面および他方の表面の間で異ならせることにより、行った。表2における「めっき時間の比」は、この時の母鋼板の一方の表面および他方の表面それぞれにおけるめっき時間の比を意味する。
また、表2における「めっき厚比」は、溶融めっきに関しては、溶融めっき浴から母鋼板を引き上げた直後のガスワイピング装置でのガス流量を、母鋼板の一方の表面および他方の表面で変更することにより、一方の表面側および他方の表面側それぞれのめっき厚さを変化させた比を意味する。
本発明のもう一つの特徴である遷移領域の厚さは、電気めっきではめっき浴内に設置した電極のうち主としてめっき前段に設置されている電極で電流密度を、一方の表面側および他方の表面側に変化させることにより、制御した。この電流密度を一方の表面側および他方の表面側で異なるように制御することにより、一方の表面側および他方の表面側の遷移領域の厚さを独立に変化させることができる。
表2における「前段電流密度の比」、「後段電流密度の比」は、めっき前段、めっき後段における、この時の一方の表面側および他方の表面側のめっき電流密度の比を示す。
また、溶融めっきにおいては、溶融めっき浴から母鋼板を引き上げた後の熱履歴を変えることにより、遷移領域の厚さを変化させた。この熱履歴は、0.60mmの板厚の本実施例の母鋼板では、一方の表面および他方の表面で大きな差をつけ難いため、溶融めっきによる実施例では、一方の表面側および他方の表面側の遷移領域の厚さの違いは、さほど大きくなっていない。また、めっき後の熱処理は、電気めっきによる例においても、主として金属間化合物の制御のために行うが、この熱処理は遷移領域の厚さにも影響を及ぼしている。
なお、このようなめっき厚さおよび遷移領域の厚さを、各面で目的とする範囲に制御することは、様々な仕様のめっき鋼板を業として製造する当業者であれば、さほど困難なものではない。
これらのめっき条件は、表2にまとめて示すが、めっき条件などは上述のように特に限定されるものではなく、要求特性などを考慮して公知の条件で適宜設定すればよいため、詳細な条件は公知の一般的な条件で統一している。本実施例では、例えば、本実施例の電気Znめっきは硫酸浴を用いたものである。
その後に、水洗を行い、日本パーカライジング社製CT−E300Nによる化成処理を行った。
このようにして製造した試料No.1〜61について、以下の特徴および特性を調べた。
(1)めっき層の厚さ
GDSでめっき表面からの濃度プロファイルを調査して測定した。
(2)遷移領域の厚さ
リガク製GDA750を使い、アノード径4mm、圧力3hPaで分析することにより測定した。
(3)遷移領域での金属状態の特定元素の存在
X線光電子分光法(XPS)を用い、各元素のゼロ化の価数に相当する位置に、ピークが存在するか否かにより測定した。
(4)めっき層の金属間化合物の有無
電子線回折により測定した。
(5)結晶粒径
JIS G0551付属書Cに規定された切断法により測定した。
(6)化成処理性
JIS Z2371:2000に記載の塩水噴霧試験を行い、24時間後の白錆発生の有無により評価した。
(7)磁気シールド特性
55mm角に切断した試験片を用いて、単板磁気試験枠と直流自記磁束計で測定した。
なお、本発明が対象とする高磁場での磁気シールド特性は0.1T以上の磁束密度領域が対象となることは上述した通りであるが、実用的にはシールド材の内部の磁束は均一ではなく、磁束の集中なども起きるため、より高磁束密度領域での透磁率が指標とされることが多い。本発明においては、1Tにおける透磁率で発明の効果を判定する。この値で本発明の優位性が確認できれば、0.1T以上から1Tを超える程度までの広い磁束密度領域で優位なシールド性を得ることができる。
高磁場磁気シールド特性(1Tの透磁率)は、0.0060H/m以上を合格とした。表2には参考までに電子材料やブラウン管用途などで問題とされる低磁場磁気シールド特性(地磁気相当の透磁率)も示す。表2で検討した材料は、低磁場磁気シールド用鋼板としても問題のないレベル(0.0005H/m以上)である。
(8)めっき密着性
ポリエステル系の塗装を付与した試験片を−20℃以下に冷凍庫で冷却し、−20℃の時点で動力シャーを用いて剪段した剪段面を、拡大鏡を用いて観察してめっき層の剥離幅を観察測定した。剥離幅は小さいほうがよく、剥離幅:1mm以下を合格と判定した。
(9)耐食性
公知のクロメートフリー皮膜を付与し、その上層にポリエステル系の塗装を20μm塗膜厚で付与した試験片を作製し、鋼板の素地面に達するクロスカットを入れて、JIS Z2371に準拠した塩水噴霧試験法を用い、1週間経時後の膨れ幅により評価した。膨れ幅は小さいほうがよく、膨れ幅:<2mmを合格と判定した。
結果を表2にまとめて示す。なお、表1,2における下線は、本発明で規定する範囲を外れているか、試験結果が芳しくないことを示す。
Figure 0006707994
以下、試料No.1〜61を参照しながら本発明の効果を説明する。なお、めっき厚さや遷移領域の厚さなどにおいては、例えば「等厚」として製造したものであっても、一方の表面側および他方の表面側の測定値が厳密な意味で完全に一致しないことがあるが、これは製造精度や測定誤差の問題であり、本発明の効果を不明瞭にするものではない。
表2における試料No.1〜5は、本実施例における各条件での本発明の効果を確認するための基準材であり、母鋼板の化学組成を鋼A〜Eとし、一般的な条件で表裏面に等厚めっきを施したものである。単純なめっきを施した試料No.1〜5の高磁場での磁気シールド性は不十分である。
試料No.6〜15は、母鋼板の一方の表面および他方の表面のめっき時間(電極数)を変えることにより差厚めっきを行ったものであり、試料No.16〜20は、一方の表面および他方の表面のめっき電流密度を変えることにより差厚めっきを行ったものである。
母鋼板の化学組成が本発明の範囲を外れる試料No.6,10,11,15,16,20では、差厚めっきの効果が現れず、高磁場での磁気シールド性が不十分である。
この理由は、めっき前の母鋼板の表面酸化の状況が、めっきによる好ましい遷移領域の形成には都合がよくないことや、高温焼鈍によっても母鋼板の結晶粒径を成長させることができないことと思われる。
これに対し、本発明例である試料No.7〜9,12〜14,17〜20では、差厚めっきの効果が現れ、良好な高磁場での磁気シールド特性を得られている。
試料No.21〜25は、電流密度により一方の表面側および他方の表面側のめっき厚さを変化させてめっき厚比の影響を確認したものであり、また試料No.26〜29は、めっき時間により一方の表面側および他方の表面側のめっき厚さを変化させてめっき厚比の影響を確認したものである。
試料No.21〜29により、めっき厚比(t/t)が本発明の範囲内であると、良好な高磁場での磁気シールド性およびめっき密着性を得られることが分かる。
また、試料No.21〜24,26〜28により、上記めっき厚比(t/t)には、高磁場での磁気シールド性に影響する最適値があることも分かる。この理由は、めっき厚比(t/t)が小さ過ぎると、薄いほうの表面側では遷移領域が狭くなるためと思われ、遷移領域の厚さがめっき密着性にも影響を及ぼすことに配慮する必要があることが示されている。
試料No.31〜35は、めっき前段のみの電流密度を制御することにより、薄いほうのめっき厚さ、厚いほうのめっき厚さをそれほど変化させずに、それぞれの遷移領域厚さの影響のみを確認したものである。
試料No.31〜35により、試料No.21〜30においても確認された、遷移領域が狭くなることにより高磁場での磁気シールド性およびめっき密着性に好ましくない影響が現れることが、より明確に分かる。
試料No.36〜38は、めっき時間と電流密度を、めっき厚さの制御として逆方向に制御し、結果として差厚めっきとしたものである。工業的には、このような複雑な制御をする可能性は低いと思われるが、試験として、差厚めっきの効果を確認したものである。
試料No.36〜38により、差厚めっきの形成方法には関係なく、めっき厚比(t/t)が本発明の範囲内であれば、良好な高磁場での磁気シールド性を得られることが分かる。
試料No.39〜41は、特に、仕上焼鈍を高露点で実施して厚い内部酸化層を形成しておき、めっき前の酸洗条件によりめっき直前の内部酸化層の厚さを変化させたものである。
内部酸化層が厚過ぎると、内部酸化層内に多量に形成された酸化物が磁壁移動の障害となって高磁場出の磁気シールド性が低下するが、酸洗により内部酸化層が薄くなると、遷移領域の厚さが狭くなり差厚めっきの効果が小さくなるとともに、めっき密着性も低下する。前述のように、電気めっきにおいては母鋼板の表面酸化の状態が遷移領域の形成に影響を及ぼす場合があることから、電気めっきにおいて遷移領域の厚さを制御する場合は、この例での挙動を考慮する必要がある。
試料No.42〜47は、Zn以外のめっきとして、一般的なSnめっき,Niめっき,Zn−15%Niめっきを適用した例である。試料No.42〜47により、めっき種にはよらず、めっき厚比(t/t)が本発明の範囲内であれば、良好な高磁場での磁気シールド性およびめっき密着性を得られることが分かる。
試料No.48〜56は溶融めっきの事例であり、試料No.48〜50は溶融Znめっきであり、試料No.51〜53は溶融Alめっきであり、試料No.54〜56は溶融Sn−7%Znめっきである。
溶融めっきでは、めっき厚比は、ガスワイピングや、本実施例では実施していないが機械的または化学的な研削により制御し易いものの、遷移領域は、電気めっきと比較すると制御し難く、遷移領域の厚さ比は1近傍でわずかに変化する程度である。
試料No.48〜56においても、めっき厚比(t/t)が本発明の範囲内にあれば、良好な高磁場での磁気シールド性およびめっき密着性を得られることが分かる。
試料No.50,53,56は、めっき浴から引き揚げた後の400℃近傍の熱履歴を制御することによりめっき金属とFeとの金属間化合物をめっき層中に意図的に生成させたものである。めっき層中に金属間化合物が生成しない試料No.49,52,55と比較することにより、本発明では、めっき層に金属間化合物が存在しないことが好ましいことがわかる。
なお、試料No.51〜53は、Alめっきであるため、めっき層中に金属状態の特定元素が必ず存在することになるが、Al自体が主めっき金属であるため、めっき層中に特定金属が存在する悪影響は特に見られない。
試料No.57〜59は、電気めっき後に400℃で熱処理を行うことにより、遷移領域に意図的に金属間化合物を生成させたものである。通常、工業製品として製造される電気めっきではこのような熱処理を行うことはないが、本実施例においては、本発明における金属間化合物の影響を確認するため、試験的に実施したものである。
試料No.57〜59を、めっき後の熱処理以外の条件が同一である試料No.17〜19と比較することにより、金属間化合物が高磁場での磁気シールド性にとって悪影響を及ぼすことが分かる。
さらに、試料No.60,61は、低品位インゴットを模擬して試料No.49,55のそれぞれの溶融めっき浴中に特定元素を合計で1%含有させためっき浴を用いて溶融めっきを行ったものである。このめっき浴については、表2ではそれぞれ「Zn+」、「Sn−Zn+」と表記している。
試料No.60,61を、試料No.49,55と比較することにより、金属間化合物や特定元素が高磁場での磁気シールド性にとって好ましいものではない傾向があることがわかる。

Claims (9)

  1. 質量%で、
    Si:1.5〜4.0%、
    Al:0.1〜3.0%、
    Mn:0.1〜2.4%、
    残部Feおよび不純物である化学組成を有する母鋼板と、
    前記母鋼板の表面それぞれに形成された、一層以上のめっき層とを備える、磁気シールド鋼板であって、
    下記(1)式を満足する、磁気シールド鋼板。
    /t≦0.90 ・・・・・(1)
    ただし、上記(1)式中のtは、前記めっき層のうち薄いほうのめっき層の厚さ(μm)、tは、前記めっき層のうち厚いほうのめっき層の厚さ(μm)であり、「めっき層の厚さ」とは、前記母鋼板の厚さ方向において、前記めっき層の最表面の位置から、Fe含有量が前記母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe含有量の0.75となる位置までの距離(μm)を意味する。
  2. 前記母鋼板の厚さ方向において、Fe濃度が前記母鋼板の板厚方向の中心位置におけるFe含有量の0.75〜0.25である遷移領域の厚さが、0.20μm以上である、請求項1に記載の磁気シールド鋼板。
  3. 下記(2)式を満足する、請求項2に記載の磁気シールド鋼板。
    0.20≦tta/ttb≦0.90 ・・・・・(2)
    ただし、上記(2)式中のttaは、前記めっき層のうち薄いほうのめっき層が形成された表面側の遷移領域の厚さ(μm)、t tb は、厚いほうのめっき層が形成された表面側の遷移領域の厚さ(μm)である。
  4. 前記めっき層に金属間化合物が存在しない、請求項1〜3のいずれかに記載の磁気シールド鋼板。
  5. 前記めっき層に、金属状態のLi、Na、K、Rb、Be、Mg、Ca、Sr、BaまたはAlが存在しない、請求項1〜4のいずれかに記載の磁気シールド鋼板。
  6. 質量%で、Si:1.5〜4.0%、Al:0.1〜3.0%、Mn:0.1〜2.4%、残部Feおよび不純物である化学組成を有するスラブに、熱間圧延、冷間圧延および仕上焼鈍を行った後、表面にめっきを行う、請求項1〜5のいずれかに記載の磁気シールド鋼板の製造方法であって、前記仕上焼鈍の最高到達温度が950℃以上である、磁気シールド鋼板の製造方法。
  7. 前記仕上焼鈍の昇温過程の650℃〜800℃での雰囲気の露点が−10℃超40℃以下である、請求項6に記載の磁気シールド鋼板の製造方法。
  8. 前記仕上焼鈍の後であって前記めっきの前に、酸洗を行う、請求項6または7に記載の磁気シールド鋼板の製造方法。
  9. 前記めっきが電気めっきである、請求項6〜8のいずれかに記載の磁気シールド鋼板の製造方法。
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