以下、本発明に係るエレベータ制御装置、及び制御情報生成装置の実施形態を、図面を用いて説明する。図1は、本実施形態によるエレベータ制御装置、及び制御情報生成装置が適用された遠隔監視システム1の構築例を説明する図である。始めに、図1を参照し、その遠隔監視システムについて具体的に説明する。
この遠隔監視システム1は、ビルディング等の建屋に設けられたエレベータ10の運転状態を遠隔で監視するために構築されたシステムである。図1に示すように、遠隔監視システム1は、ネットワーク2に対し、各建屋に設置されたエレベータ制御装置(以降「制御装置」と略記)17、及び監視サーバー20が接続され、保守員が携帯する保守端末装置31が接続可能になっている。なお、図1では、便宜的にエレベータ10、及び保守端末装置31はそれぞれ1つのみ示しているが、それらは複数、存在する。
ネットワーク2は、例えばインターネット、及びLAN(Local Area Network)を含むものである。そのネットワーク2には、ネットワーク2を介してサービスを提供する情報処理装置であるWebサーバー40が接続されている。
制御装置17は、エレベータ10の運転の制御、及びその状態の検出を行う情報処理装置である。エレベータ10は、乗りかご11と釣合い錘12を連結するロープ14が掛けられた巻上機13を駆動することにより、その乗りかご11を昇降路16内で昇降させるようになっている。エレベータ10の種類は特に限定されない。
建屋には、複数の乗り場15が存在する。乗りかご11内、及び各乗り場15には操作盤が設置されている。制御装置17は、乗りかご11内に設置された操作盤、及び各乗り場15に設置された操作盤に対して行われた操作を認識し、その認識結果に応じて巻上機13を駆動する。それにより、エレベータ10の利用者は、何れかの操作盤への操作により、エレベータ10を利用して所望の階床(乗り場15)に移動することができる。
制御装置17は、図1に示すように、機能構成として、通信部17a、制御部17b、及び記憶部17cを備える。本実施形態による情報処理装置は、この制御装置17が相当する。
通信部17aは、ネットワーク2を介した通信を実現させる機能である。具体的には、例えばNIC(Network Interface Controller)等の通信デバイスである。
記憶部17cは、例えばハードディスク装置、或いはフラッシュメモリ(ここではSSD(Solid State Drive)等を含む)等の不揮発性の1つ以上の記憶装置である。
制御部17bは、必要な処理を実行し、エレベータ10全体を制御するための機能である。この制御部17bは、制御装置17に搭載されたCPU(Central Processing Unit)が、例えばOS(Operating System)、及び複数のアプリケーション・プログラム(以降「アプリケーション」と略記)を実行することで実現される。それにより、制御部17bは、ハードウェアとしては、CPU、主記憶装置、及びOS等が格納された記憶装置等を含むものである。
図2は、エレベータの電源系統の例を説明する図である。ここで図2を参照し、エレベータ10に採用された電源系統の例について具体的に説明する。
図2に示すように、エレベータ10は、2つの電源系統101、及び102を備えている。電源系統101は、例えば商用電源である3相の交流電源103(本実施形態における建屋電源に相当)を供給元として電力を供給するためのものである。他方の電源系統102は、例えば大容量の二次電池である非常用電源160を供給元として電力を供給するためのものである。このことから、以降、電源系統101は「通常電源系統101」、電源系統102は「非常用電源系統102」と表記する。
通常電源系統101では、3相の交流電源103の各相から電源線により電力を供給するようになっている。交流電源103の各相からの電流は、それぞれ、接点111を介してインバータ装置106に供給される。このインバータ装置106は、巻上機13を実際に駆動する装置である。
各接点111とインバータ装置106間には、接点111側から、線間サージ対策用バリスタ部104、及び線大地間サージ対策用バリスタ部105が配置されている。線間サージ対策用バリスタ部104は、3相のうちの2相の電源線間をそれぞれバリスタで接続したものである。そのようなバリスタの接続により、線間サージ対策用バリスタ部104は、2相の電源線間の電位差が異常に大きくなるのを抑制できるようになっている。
線大地間サージ対策用バリスタ部105は、各相の電源線とグランド間をそれぞれバリスタで接続したものである。そのようなバリスタの接続により、線大地間サージ対策用バリスタ部105は、各相の電源線とグランド(大地)間の電位差が異常に大きくなるのを抑制できるようになっている。
通常電源系統101では、交流電源103の2つの相の間に接点121、及び電磁接触器110が直列に接続されている。電磁接触器110は、接点111の導通状態を変化させるものである。それにより、ここでの電磁接触器110は、正確には、その電磁接触器110が備えるコイルに相当する。同様に、接点121は、非常用電源系統102に存在する電磁接触器120が備えるコイルの通電状態によって導通状態が変化する接点である。ここでは、区別を明確にするために、特に断らない限り、電磁接触器110、及び120を含む全ての電磁接触器は、それぞれが備えるコイルを指す意味で用いる。
ここで、各電磁接触器とその電磁接触器により導通状態が変化する接点の対応関係、及び電磁接触器の通電状態による接点の導通状態について具体的に説明する。
上記のように、交流電源103の各相に接続された接点111は、電磁接触器110により導通状態が変更される接点である。各接点111は、電磁接触器110の通電により導通、つまりオンし、電磁接触器110の通電停止(電流遮断)により非導通、つまりオフとなる。
電磁接触器120の通電状態は、接点121の他に、接点122、及び123の導通状態を変化させる。電磁接触器120に通電させた場合、接点121はオフ、接点122、及び123はオンする。電磁接触器120への通電を停止させた場合、接点121はオン、接点122、及び123はオフする。
電磁接触器130の通電状態により、接点131の導通状態は変化する。電磁接触器130に通電させた場合、接点131はオフし、電磁接触器130への通電を停止させた場合、接点131はオンする。電磁接触器140の通電状態は、接点141、及び142の導通状態を変化させる。電磁接触器140に通電させた場合、接点141、及び142はオンし、電磁接触器140への通電を停止させた場合、接点141、及び142はオフする。
上記電磁接触器110、120、130、及び140、並びに接点111、121〜123、131、141、及び142は、電力を供給可能にする電源の切り替えに関係する。電磁接触器110、接点111、及び121以外は、全て非常用電源系統102に存在する。
非常用電源160は、直流電力を供給する電源であり、2つの端子を備えている。一つの端子は、接点141を介して交流電源103の1つの相の電源線と接続され、残りの端子は、接点142を介して交流電源103の異なる1つの相の電源線と接続されている。なお、その一つの相の電源線と接点142間に配置された休止解除スイッチ165は、変形例に係わるものであり、本実施形態では存在しない。
この2つの端子間には、電磁接触器120とNPN型のトランジスタ151が直列に接続されている。トランジスタ151のエミッタは非常用電源160の負側の端子と接続され、そのコレクタは電磁接触器120と接続されている。そのトランジスタ151のコレクタ−エミッタ間には、接点131、122が直列に接続されている。
また、非常用電源160の2つの端子間には、電磁接触器130とNPN型のトランジスタ152が直列に接続されている。トランジスタ152のエミッタは非常用電源160の負側の端子と接続され、そのコレクタは電磁接触器130と接続されている。
非常用電源160の2つの端子間には、更に、接点123と電磁接触器140が直列に接続されている。接点123の一つの端子は、非常用電源160の正側の端子と接続され、残りの端子は電磁接触器140に接続されている。
2つのトランジスタ151、及び152の各ゲートには、制御装置17からの制御用信号が出力される。ここでは、以降、トランジスタ151のゲートに出力される制御用信号は「非常用電源切替指令」、トランジスタ152のゲートに出力される制御用信号は「非常用電源切り離し指令」と表記する。
非常用電源切替指令と非常用電源切り離し指令は、信号レベルを反転させた関係の信号である。それにより、非常用電源切替指令の電圧レベルがH(High)の場合、非常用電源切り離し信号の電圧レベルはL(Low)となる。逆に、非常用電源切替指令の電圧レベルがLの場合、非常用電源切り離し信号の電圧レベルはHとなる。
非常用電源切替指令がHの場合、トランジスタ151のコレクタ−エミッタ間に電流が流れ(トランジスタ151がオン)、電磁接触器120が通電する。このとき、非常用電源切り離し指令はLであることから、トランジスタ152のコレクタ−エミッタ間には電流は流れず(トランジスタ152がオフ)、電磁接触器130には通電しない。
そのため、接点121は非導通となって電磁接触器110には電流が流れず、接点123の導通によって電磁接触器140は通電する。この結果、交流電源103からの電力供給は接点111によって遮断されると共に、非常用電源160からの電力は接点141、及び142を介してインバータ装置106に供給可能となる。このように、非常用電源切替指令をH、つまりその切替指令をアクティブにすることにより、非常用電源系統102から電力が供給されるようになる。
一方、非常用電源切り離し指令がHの場合、トランジスタ152のコレクタ−エミッタ間に電流が流れ(トランジスタ152がオン)、電磁接触器130が通電する。このとき、非常用電源切替指令はLであることから、トランジスタ151のコレクタ−エミッタ間には電流は流れず(トランジスタ151がオフ)、電磁接触器120には通電しない。
そのため、接点121は導通となって電磁接触器110は通電し、接点111は導通する。接点122、及び123は非導通となることから、電磁接触器140には通電しない。この結果、交流電源103からの電力は接点111を介して供給され、非常用電源160からの電力は接点141、及び142により遮断される。このように、非常用電源切り離し指令をH、つまりその切替指令をアクティブにすることにより、通常電源系統101から電力が供給されるようになる。
上記のように、非常用電源160からの電力供給に切り替えた場合、交流電源103からインバータ装置106への電力は接点111により遮断される。そのため、交流電源103に雷サージが発生しても、その雷サージによるインバータ装置106の故障(焼損、等)等の発生は回避されるか、その発生が抑制される。それにより、非常用電源160に切り替えた場合、エレベータ10の安全性は向上し、落雷への耐性はより高くなる。本実施形態では、このことを利用し、落雷の危険性が高い状況下でエレベータ10の故障の発生を抑制する。
図3は、非常用電源切替指令、及び非常用電源切り離し指令による各電磁接触器、各接点、及び各トランジスタの状態を説明する図である。この図3において、各電磁接触器、及び各接点は符号で示している。トランジスタ151は「非常用電源切替スイッチ」、トランジスタ152は「非常用電源復帰スイッチ」と表記している。「通常運転時・復帰時」は、交流電源103から電力が供給される状態、つまり電力の供給元を交流電源103とした状態を表している。「非常用電源切替時」は、非常用電源160から電力が供給される状態、つまり電力の供給元を非常用電源160とした状態を表している。
また、図3に示す○、×は、それぞれ、対応する電磁接触器の通電状態を表している。○は通電を表し、×は非通電を表している。on、offは、対応する接点の導通状態を表している。onは導通を表し、offは非導通を表している。それにより、図3は、上述した非常用電源切替指令、及び非常用電源切り離し指令による各電磁接触器、各接点、及び各トランジスタの状態を表している。
制御装置17は、インバータ装置106を介して巻上機13を駆動する。その駆動のために、駆動制御部171を備えている。また、非常用電源切替指令、及び非常用電源切り離し指令により、電力の供給元を切り替えるために、制御部17bは、電源切替制御部172を備えている。電源切替制御部172は、本実施形態における切替制御部に相当する。
制御装置17が備える通知制御部173は、電力の供給元である電源の切り替えに係わる通知を行うための機能である。その通知は、乗りかご11等に設けられた音声放音装置によるアナウンス、或いは/及び、操作盤等に設けられた表示装置を用いたメッセージ表示、等により行われる。
図1に示す監視サーバー20は、保守契約を行ったエレベータ10の管理、及び監視のために用意された監視センタ等に設置されている情報処理装置である。その監視サーバー20は、図1に示すように、機能構成として、通信部21、制御部22、及び記憶部23を備えている。本実施形態における制御情報生成装置は、この監視サーバー20上に実現されている。
通信部21は、ネットワーク2を介した通信を実現させる機能である。具体的には、例えば制御装置17と同様に、NIC等の通信デバイスである。
記憶部23は、例えばハードディスク装置、フラッシュメモリ(ここではSSD等を含む)等の不揮発性の1つ以上の記憶装置か、或いは他のデータベースサーバー等の外部装置である。ここでは便宜的に、記憶部23は監視サーバー20に搭載、或いは接続された記憶装置と想定する。
制御部22は、必要な処理を実行し、監視サーバー20の全体の制御、及びエレベータ10の監視等を実現するための機能である。この制御部22は、監視サーバー20に搭載されたCPUが、例えばOS、及び複数のアプリケーションを実行することで実現される。それにより、制御部22は、ハードウェアとしては、CPU、主記憶装置、及びOS等が格納された記憶装置等を含むものである。その記憶装置は、記憶部23に含まれないものであっても良い。
記憶部23には、図1に示すように、落雷情報24、落雷危険地域・時間帯情報25、エレベータ仕様情報26、落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27、非常用電源駆動対象条件情報28、および非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29等が格納されている。これらの情報24〜29は、非常用電源駆動対象条件情報28を除き、例えばデータベース化されて記憶部23に格納されている。
落雷情報24は、地域別(エリア別)、及び時間帯別に、落雷の発生頻度を表す情報である。落雷情報24は、例えば1km四方の地域毎、及び10分間の時間毎に、落雷の発生頻度を数値化して表す情報である。ここでは、その発生頻度は以降「活動度」と表記する。その活動度は、例えば4段階で発生頻度を表す情報であり、例えば4:激しい雷、3:やや激しい雷、2:雷あり、1:雷可能性あり、で発生頻度を表している。落雷危険地域・時間帯情報25は、落雷情報24から生成される情報である。
図4は、落雷危険地域・時間帯情報の生成方法例を説明する図である。ここで図4を参照し、落雷情報24を用いた落雷危険地域・時間帯情報25の生成方法例について具体的に説明する。
図4に示すように、落雷情報24は、エリア情報、緯度情報(日本では北緯の緯度情報)、経度情報(日本では東経の経度情報)、落雷発生予測時間情報、及び活動度情報を含む情報である。エリア情報は、落雷情報24に対応する地域を一意に示す識別情報である。緯度情報、及び経度情報は、対応する地域の範囲を示す情報である。例えば緯度情報の内容として表記の「36.00〜36.01度」は、対応する地域の緯度が36.00度から36.01度の範囲であることを表している。落雷発生予測時間情報は、落雷情報24に対応する時間帯を示す情報である。活動度情報は、活動度を表す数値情報である。
上記のように、落雷情報24は、10分間の時間内での活動度を表している。それにより、落雷発生予測時間情報として図4に表記の「10月10日14時00分」は、10月10日の14時00分から10月10日の14時10分までの時間帯を表している。
図1に示すWebサーバー40は、落雷情報24をダウンロードするサービスを提供するサーバーである。ダウンロード可能な落雷情報24は、例えば10分毎に更新される。それにより、制御部22は、通信部21を用いて、例えば10分間隔毎にWebサーバー40から最新の落雷情報24をダウンロードするようになっている。それにより、本実施形態における取得部は、通信部21、及び制御部22によって実現される。
一方、落雷危険地域・時間帯情報25は、図4に示すように、エリア情報、緯度情報、経度情報、及び落雷危険時間帯情報を含む情報であり、エリア毎に生成される。それにより、各行は、それぞれ1つの落雷危険地域・時間帯情報25の内容例を示している。
エリア情報、緯度情報、及び経度情報は何れも落雷情報24から抽出された情報である。落雷危険時間帯情報は、落雷による故障(焼損等)が発生し易い、つまり落雷の発生頻度が高いと予測される時間帯を表す情報である。図4に表記の「10月10日14時00分〜14時50分」は、10月10日の14時00分から10月10日の14時50分までの時間帯を表している。
本実施形態では、活動度が3以上となっている時間帯を、落雷による故障が発生し易い危険な時間帯と想定している。それにより、同一の地域(同一のエリア)で10月10日の14時00分から10月10日の14時50分までの時間帯に存在する5つの落雷情報24が示す活動度が何れも3以上であった場合、落雷危険時間帯情報として、「10月10日14時00分〜14時50分」を示す情報が生成される。
この落雷危険時間帯情報は、対応する地域内の建屋に設置されたエレベータ10に対し、非常用電源160への電源の切り替えを行うべき時間帯を指定する情報である。非常用電源160によってエレベータ10を運転可能な時間は通常、長くない。このことから、本実施形態では、非常用電源160に電源を切り替えたエレベータ10は、その切り替えにより、運転を行わない休止状態に移行させるようになっている。
休止状態への移行により、休止状態に移行させない場合と比較して、非常用電源160からの電力供給はより期待できるようになる。非常用電源160からの電力供給により運転可能な時間は、休止状態に移行させない場合と比較して、より長くなると期待できる。それにより、停電時には、乗りかご11を所定の乗り場15(階床)に移動させることがより確実に行えるようになる。そのため、エレベータ10の利用者の安全性もより確実に確保できるようになる。
同一の地域で連続する時間帯の活動度が3以上とはならない場合がある。3以上の活動度と2以下の活動度が交互に繰り返すような場合がある。落雷情報24は10分の時間毎の情報であることから、落雷危険時間帯情報は、10分間を単位に時間帯の設定が可能である。しかし、10分間毎に、交流電源103による通常運転→休止状態→通常運転、を繰り返すような場合、エレベータ10の利用者を混乱させ易い。
このことから、本実施形態では、活動度が2以下となる時間帯が10分間のみ挟まれることを条件に、その前後の活動度が3以上となっている時間帯を1つにまとめる形で落雷危険時間帯情報を生成(設定)するようにしている。このような落雷危険時間帯情報の生成により、利用者が混乱するのを抑制することが期待できる。
図4では、エリア情報が「1」の地域の10月10日の14時10分から14時50分までの間の落雷情報24が示す活動度は、丸囲いで示すように、何れも4となっている。そのため、落雷危険時間帯情報として、「10月10日14時00分〜14時50分」を示す情報が生成されている。しかし、その情報は、14時10分からの落雷情報24が示す活動度が、例えば3→3→2→3→3→2、のように推移する場合にも生成される。その活動度の推移が、例えば3→3→2→2→3→2、であれば、落雷危険時間帯情報として、「10月10日14時00分〜14時20分」、及び「10月10日14時40分〜14時50分」、をそれぞれ示す2つの情報が生成される。
図5は、エレベータ仕様情報の構成例を説明する図である。次に図5を参照し、エレベータ仕様情報26について詳細に説明する。
このエレベータ仕様情報26は、監視対象とするエレベータ10の仕様を表す情報である。図5に示すように、エレベータ仕様情報26は、製造番号情報、緯度情報、経度情報、階床数情報、避雷針の有無情報、及び緊急使用情報を含む情報である。それにより、各行は、それぞれ1つのエレベータ仕様情報26を示している。このエレベータ仕様情報26は、本実施形態におけるエレベータ情報に相当する。
製造番号情報は、エレベータ10を一意に表す識別情報である。緯度情報は、製造番号情報によって特定される、対応するエレベータ10が設置された建屋の緯度を表す情報である。経度情報は、その建屋の経度を表す情報である。階床数情報は、その建屋の地上部分の階床数を表す情報である。避雷針の有無情報は、その建屋に避雷針が存在するか否かを表す情報である。図5中に表記の「有」「無」は、それぞれ、避雷針が存在する、避雷針が存在しない、ことを示している。緊急使用情報は、対応するエレベータ10が緊急使用、例えば病人の移動に使用されるか否かを表す情報である。図5中に表記の「有」「無」は、緊急使用を想定している、緊急使用を想定していない、ことを示している。
エレベータ10の使用法、及び設置された建屋の設備等は変更される場合がある。建屋が解体される場合もある。このことから、エレベータ仕様情報26は、定期的に、或いは随時、オペレータ等によって更新される。それにより、エレベータ仕様情報26は、基本的に人によって入力される情報となっている。
図6は、落雷危険地域対象エレ・時間帯情報の構成例を説明する図である。次に、図6を参照して、この落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27について詳細に説明する。
この落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27は、図4に示す落雷危険地域・時間帯情報25、及び図5に示すエレベータ仕様情報26から、エレベータ10(建屋)毎に生成される情報である。各行には、1つの落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27の内容例を示している。
落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27の生成は、エレベータ仕様情報26毎に、その緯度情報、及び経度情報によって特定される位置を地域内に含む落雷危険地域・時間帯情報25を抽出することで行われる。それにより、落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27は、エレベータ仕様情報26に、抽出した落雷危険地域・時間帯情報25中のエリア情報、及び落雷危険時間帯情報を加えた形のものとなっている。
図7は、非常用電源駆動対象条件情報の構成例を説明する図である。次に、図7を参照して、この非常用電源駆動対象条件情報28について詳細に説明する。
この非常用電源駆動対象条件情報28は、活動度が3以上となる時間帯で非常用電源160からの電力供給に切り替えるべきエレベータ10を特定するための情報である。それにより、非常用電源駆動対象条件情報28は、非常用電源160からの電力供給に切り替える対象となりうるエレベータ10の条件を表す情報(各行の情報。以降「対象条件情報」と表記)の集合体となっている。
各対象条件情報は、図7に示すように、対象条件情報に割り当てた識別情報である番号情報、エレベータ10の条件の内容を表す条件情報、及びその内容の詳細を表す詳細情報を含む。
図7では、条件情報の内容として、「故障履歴あり」「高階床」「避雷針無」「緊急使用有」を表記している。「故障履歴あり」は、過去に落雷による故障が有ったことが条件であることを示している。落雷による故障が有ったことを条件としているのは、落雷し易い建屋である可能性、及び落雷による影響を受けやすい可能性、等が考えられるからである。「高階床」は、例えば地上10階以上の建屋であることが条件であることを示している。これは、建屋が高いほど、落雷が発生し易いと考えられるからである。故障履歴を示す情報は、エレベータ10毎にまとめて記憶部23に保存されている。
「避雷針無」は、建屋に避雷針が無いことが条件であることを示している。これは、避雷針の有無により、落雷が建屋に発生し易いと考えられるからである。「緊急使用有」は、エレベータ10の緊急使用が想定されていることが条件であることを示している。これは、緊急時に使用できないことによるリスクが高く、故障の発生はより回避するべきだからである。
なお、本実施形態では、非常用電源駆動対象条件情報28を用意することにより、落雷の危険が比較的に高い状況下で非常用電源160に切り替えるべきエレベータ10(建屋)を自動的に抽出している。しかし、そのような自動抽出は行わせなくとも良い。例えば落雷の危険が比較的に高い状況下で非常用電源160に切り替えるべきエレベータ10(建屋)のリストを用意し、そのリストに従って対象とすべきエレベータ10(建屋)を決定しても良い。このこともあり、非常用電源160に切り替えるべきエレベータ10(建屋)の特定には、様々な方法がある。
図8は、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報の構成例を説明する図である。次に、図8を参照して、この非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29について詳細に説明する。
この非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、非常用電源160に切り替えるべきエレベータ10(建屋)として特定されたものに対応の落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27である。それにより、各行は、1つの非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29(落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27)の内容例を示している。
図8では、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を構成する対象条件情報が指定する条件を満たす情報を丸で囲って示している。しかし、各対象条件情報が指定する条件のうちの1つでも満たすエレベータ10(建屋)が非常用電源160に切り替える対象とは必ずしもならない。実際には、エレベータ10が満たす条件を総合的に考慮して、非常用電源160に切り替える対象となるエレベータ10が決定される。
非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、対応するエレベータ10が非常用電源160に切り替えるべき時間帯を指定する、電源切り替え用の切替制御情報(制御情報)である。各非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、製造番号情報から特定されるエレベータ10の制御装置17に送信される。それにより、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を受信した制御装置17は、落雷危険時間帯情報に従って、交流電源103から非常用電源160への切り替え、或いは非常用電源160から交流電源103への切り替えを行う。
以降は、図9〜図11に示す各フローチャートを参照し、監視サーバー20、及び制御装置17の動作について詳細に説明する。
図9は、制御情報生成処理の例を示すフローチャートである。始めに図9を参照し、監視サーバー20が制御情報生成処理を実行することによる動作について詳細に説明する。
上記のように、Webサーバー40が提供する落雷情報24は、10分毎に更新される。このことから、制御情報生成処理は、その更新タイミングに合わせて実行されるタイマインタラプト処理となっている。この制御情報生成処理は、監視サーバー20に搭載のCPUが、切替制御情報の生成、及び配信用に開発されたアプリケーションを実行することで実現される。しかし、図1に示す機能構成から、処理を実行する主体として制御部22を想定し、説明を行う。
先ず、制御部22は、通信部21を用いて、Webサーバー40から必要な落雷情報24を取得し、記憶部23に保存する(S11)。その保存は、例えば既存の落雷情報24に上書きする形で行われる。
次に制御部22は、取得し保存した落雷情報24が示す活動度が一定以上(ここでは3以上)となっている地域が有ったか否か判定する(S12)。一定以上の活動度を示す落雷情報24が取得された地域(落雷危険地域)が存在する場合、S12の判定はY(YES)となってS13に移行する。そのような落雷情報24が取得された地域が存在しない場合、S12の判定はN(NO)となり、ここで制御情報生成処理が終了する。
S13では、制御部22は、一定以上の活動度を示す落雷情報24が取得された地域(落雷危険地域)毎に、落雷危険地域・時間帯情報25を作成する(図4参照)。次に制御部22は、エレベータ仕様情報26を参照し、落雷危険地域内に存在するエレベータ10(建屋)を選定(抽出)し、選定したエレベータ10毎に、落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27を作成する(S14)。
その後、制御部22は、非常用電源駆動対象条件情報28を参照して、非常用電源160への切り替えの対象とするエレベータ10を特定し、特定したエレベータ10毎に、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を作成する(S15)。その作成は、上記のように、特定したエレベータ10に対応する落雷危険地域対象エレ・時間帯情報27を抽出する形で行われる。
次に制御部22は、通信部21を用いて、作成した非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を、その製造番号情報から特定されるエレベータ10(図9中「非常用電源対象エレ」と表記)の制御装置17に切替制御情報として送信する(S16)。作成した全ての非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を送信した後、この制御情報生成処理が終了する。
このように、切替制御情報(制御情報)である非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、制御部22によって生成される。生成された非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、制御部22の制御により、通信部21を介して送信される。このことから、制御部22は、本実施形態における生成部、及び送信制御部に相当する。
図10は、電源切替制御処理の例を示すフローチャートである。次に図10を参照し、制御装置17が電源切替制御処理を実行することによる動作について詳細に説明する。
上記のように、監視サーバー20は、Webサーバー40が落雷情報24を更新するタイミングに合わせて、落雷情報24をダウンロードして切替制御情報である非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を作成して送信する。各落雷情報24は10分間における活動度を示す情報であり、その更新間隔は10分である。このことから、電源切替制御処理は、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29の受信、或いは落雷情報24の更新タイミングで実行されるインタラプト処理となっている。
電源切替制御処理自体は、制御装置17に搭載されたCPUが、電源切り替えのために開発されたアプリケーションを実行することで実現される。そのアプリケーションの実行により、制御部17bが備える電源切替制御部172(図2)の一部が実現される。このことから、処理を実行する主体として電源切替制御部172を想定し、説明を行う。
先ず、電源切替制御部172は、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を受信したか否か判定する(S21)。通信部17aが非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を受信した場合、S21の判定はYとなってS22に移行する。通信部17aが非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を受信していない場合、S21の判定はNとなってS23に移行する。
S22では、電源切替制御部172は、受信した非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を記憶部17cに保存する。次に電源切替制御部172は、電源の切り替えを行うタイミング(切替制御タイミング)が到来したか否か判定する(S23)。直前の切替制御タイミングとなってから、落雷情報24の更新間隔である10分以上、経過していた場合、S23の判定はYとなってS24に移行する。直前の切替制御タイミングから10分が経過していない場合、S23の判定はNとなり、ここで電源切替制御処理が終了する。
S24では、電源切替制御部172は、記憶部17cに保存した非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を読み出して参照する。次に電源切替制御部172は、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29が非常用電源160による駆動への切り替えを指示しているか否か判定する(S25)。CPUに搭載のハードタイマが示す現在日時が、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29中の落雷危険時間帯情報が示す時間帯内であった場合、S25の判定はYとなってS26に移行する。その現在日時が、落雷危険時間帯情報が示す時間帯内でない場合、S25の判定はNとなってS27に移行する。
S26では、電源切替制御部172は、非常用電源160による駆動のための電源の切り替えを行う。その切り替えにより、制御部17bは、エレベータ10を休止状態に移行させる。その切り替え後は、S27に移行する。
S27では、電源切替制御部172は、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29が交流電源103による駆動への切り替えを指示しているか否か判定する。CPUに搭載のハードタイマが示す現在日時が、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29中の落雷危険時間帯情報が示す時間帯内でない場合、S27の判定はYとなってS28に移行する。その現在日時が、落雷危険時間帯情報が示す時間帯内であった場合、S27の判定はNとなり、ここで電源切替制御処理が終了する。
S28では、電源切替制御部172は、交流電源103による駆動のための電源の切り替えを行う。その切り替えにより、交流電源103から電力が供給される。このことから、制御部17bは、エレベータ10を休止状態から通常状態に復帰させる。その切り替え後、電源切替制御処理が終了する。
上記のように、電源の切り替えは、非常用電源切替指令、及び非常用電源切り離し指令により行われる。非常用電源切替指令をH(アクティブ)、非常用電源切り離し指令をLとすることにより、非常用電源160が電力の供給元となる。逆に、非常用電源切替指令をL、非常用電源切り離し指令をH(アクティブ)とすることにより、交流電源103が電力の供給元となる。
非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、落雷の発生が高い確率で発生すると予測される時間帯を示す情報である。その時間帯を非常用電源160に切り替えることにより、停電が発生しなくとも、落雷からエレベータ10をより安全に守ることができる。雷サージによる故障は回避されるか、その虞は大きく抑制される。運転時に、落雷による故障が生じて利用者が乗りかご11内に閉じ込められるといったことも確実に回避されるか、或いはその虞が非常に小さくなる。
図11は、電源の切り替えに伴う通知制御処理の例を示すフローチャートである。最後に図11を参照して、制御装置17がこの通知制御処理を実行することによる動作について詳細に説明する。
非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29は、最大で1時間の電源の切り替えを行うパターンを示している。このことから、本実施形態では、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を参照し、今後の電源の切り替えによる利用者の混乱を抑制するために、利用者に伝えるべき情報を通知するようにしている。この通知制御処理は、その通知を実現させるための処理である。
落雷情報24は10分間における活動度を示す情報である。このことから、電源の切り替えに伴う通知制御処理も、その時間を考慮して定めた時間間隔で実行されるタイマインタラプト処理となっている。
電源の切り替えに伴う通知制御処理自体は、制御装置17に搭載されたCPUが、電源切り替えに伴う通知のために開発されたアプリケーションを実行することで実現される。そのアプリケーションの実行により、制御部17bが備える電源切替制御部172(図2)の一部が実現される。このことから、処理を実行する主体として、ここでも電源切替制御部172を想定し説明を行う。
先ず、電源切替制御部172は、記憶部17cに保存した非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を読み出して参照する(S31)。次に電源切替制御部172は、次の切替制御タイミングで電源の切り替えを非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29が示しているか否か判定する(S32)。その非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29が次の切替制御タイミングでの電源の切り替えを示していた場合、S32の判定はYとなってS33に移行する。非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29が電源の切り替えを示していない場合、S32の判定はNとなり、ここで電源の切り替えに伴う通知制御処理が終了する。
S33では、電源切替制御部172は、次に切り替える電源に応じた情報を利用者に通知するための処理を行う。実際の通知は、通知内容、その通知を継続させる時間、等を指定して、電源切替制御部172が通知制御部173に通知の実行を依頼することで行われる。そのような依頼を行った後、電源の切り替えに伴う通知制御処理が終了する。
利用者に通知する情報としては、例えば非常用電源160に切り替える予定であれば、休止状態に移行する予定時刻、注意事項、等が考えられる。交流電源103に切り替える予定であれば、通常運転に復帰する予定時刻、注意事項、利用案内、等が考えられる。そのような情報を通知することにより、利用者は混乱することなく、合理的な行動をより容易に行うことができる。
本実施形態では、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29を切替制御情報として送信することにより、制御装置17に自律的に電源の切り替えを行わせている。これには、ネットワーク2を介した通信が不可能となっても交流電源103への切り替えをより確実に行えるようにする意味がある。ネットワーク2を介した通信が確実に行えるような場合、監視サーバー20に、各エレベータ10における電源の切り替えを直接、指示させるようにしても良い。
また、本実施形態では、監視サーバー20上に制御情報生成装置を実現させているが、これは、監視サーバー20は各エレベータ10を監視する必要から、各エレベータ10の制御装置17と通信が可能だからである。そのような既存の監視サーバー20上に制御情報生成装置を実現させる場合、コストの面で有用である。各制御装置17も他のエレベータ10の制御装置17と通信可能であることから、制御情報生成装置は何れかの制御装置17上に実現させても良い。
非常用電源160への切り替えは、非常用電源駆動対象エレ・時間帯情報29に厳密に従って行うのではなく、エレベータ10の利用状況を考慮して行うのが望ましい。例えば緊急使用を想定するエレベータ10では、行き先が指定された階床にまで乗りかご11を移動させた後、非常用電源160への切り替えを行うようにしても良い。
非常用電源160への切り替えにより、自動的に休止状態に移行させる場合、図1に示すように、接点142とインバータ装置106間に休止解除スイッチ165を配置しても良い。その休止解除スイッチ165として、通常時、接点142とインバータ装置106間の電力供給を遮断するものを採用すれば、非常用電源160への切り替えにより、エレベータ10を自動的に休止状態に移行させることができる。
この休止解除スイッチ165は、設置場所としては例えば最下階の乗り場15にすることが考えられる。この休止解除スイッチ165の遮断状態の解除は、例えば管理人等の立ち会いのもとで可能にさせる。そのようにして、休止解除スイッチ165の操作により休止状態を一時的に解除できるようにした場合、必要に応じてエレベータ10を運行させられることから、エレベータ10の安全性確保と緊急時の備えを両立させることができる。
このようなことからも、本発明は、上述した実施形態、或いは変形例に限定するものではなく、他にも様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。動作も同様に限定するものではない。各種情報24〜29も限定するものではない。機能構成も図1、或いは図2に示すものに限定されない。