JP6706495B2 - 接着剤組成物及び多層熱回復物品 - Google Patents

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Description

本発明は、接着剤組成物及び多層熱回復物品に関する。
筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層されるホットメルトタイプの接着剤層とを備えるチューブ状の多層熱回復物品は、絶縁電線、ケーブル等の被覆に用いられる。この多層熱回復物品は、被覆対象に外挿してから加熱することにより、上記基材層が被覆対象の形状に沿って径方向に熱収縮し、同時に流動化した上記接着剤層が上記基材層と被覆対象との間に充填される。その後、上記接着剤層が放熱によって固化することで、熱収縮した多層熱回復物品による被覆が形成される。上記被覆は、被覆対象の機械的保護、絶縁、防水、防食等の機能を果たす。
上記多層熱回復物品には、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂を主成分とする被覆層を備える絶縁電線やケーブルを被覆できることが要求される。また、上記多層熱回復物品には、絶縁電線やケーブルから露出させた金属導線を被覆できることも要求される。さらに、近年、上記多層熱回復物品には、熱収縮後に被覆対象が被覆されていることを視認できるように、上記基材層及び上記接着剤層を透明にすることが要求されている。そのため、上記多層熱回復物品の接着剤層の形成に用いる接着剤組成物には、ポリオレフィン等の非極性材料とポリ塩化ビニル、金属等の極性材料とに対する接着性に優れること、特に接着処理を短時間で行った場合にも接着性に優れることが要求される。また、上記接着剤組成物には、透明性を有することも要求される。
このような接着剤組成物として、例えば酸又は酸無水物とオレフィンとの共重合体、ポリオレフィン及びポリアミドを含有するものが提案されている(国際公開第1999/035206号参照)。この文献によれば、上記接着剤組成物は、ホットメルト接着剤として使用した場合、極性材料及び非極性材料に対して優れた接着性を発揮できるとされる。
国際公開第1999/035206号
ここで、ポリオレフィンは非極性材料に対する接着性に優れ、ポリアミドは極性材料に対する接着性に優れる。また、ポリオレフィン及びポリアミドは、それぞれ単独では透明性を有する。しかしながら、ポリオレフィン及びポリアミドは、一般的に相溶性が低い。そのため、上記従来の接着剤組成物は、ポリオレフィン及びポリアミドを均一に混合することが困難であるため、白濁して透明性が低下し易い。その結果、上記従来の接着剤組成物では、透明な多層熱回復物品を製造することが困難である。また、上記従来の接着剤組成物は、透明性が要求されるレンズ、透明フィルム等の接着に用いることも困難である。加えて、多層熱回復物品の接着剤層に用いる接着剤には、多層熱回復物品の被覆後の剥離を抑制するため、優れた接着性が要求される。しかし、上記従来の接着剤組成物は、金属、ポリ塩化ビニル等の極性材料に対する接着性を確保するためにポリアミドの比率を増加させた場合、ポリエチレン等の非極性材料に対する優れた接着性が低下し易く、また接着処理の時間を短縮することも難しい。なお、上記文献には、上記従来の接着剤組成物にアミン価の比較的高いポリアミドを用いることで接着性を向上できると記載されているが、アミン価の高いポリアミドはポリ塩化ビニルの脱塩化水素反応を促進して劣化させるという別の不都合がある。
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、透明性を有し、かつ非極性材料及び極性材料に対する接着性に優れる接着剤組成物と、この接着剤組成物を用いた多層熱回復物品とを提供することを目的とする。
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様に係る接着剤組成物は、ポリアミドとエチレン(メタ)アクリル酸共重合体とを含有し、上記ポリアミドのアミン価が3mgKOH/g未満、酸価が1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合が6質量%以上であり、上記ポリアミド100質量部に対する上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が0.5質量部以上160質量部以下であり、平均厚さ1mmの測定シートに成形した場合における波長550nmの光の透過率が50%以上である。
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別の一態様に係る多層熱回復物品は、筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える多層熱回復物品であって、上記接着剤層が上述の接着剤組成物により形成される。
本発明の一態様に係る接着剤組成物は、透明性を有し、かつ極性材料及び非極性材料に対する接着性に優れる。本発明の別の一態様に係る多層熱回復物品は、極性材料及び非極性材料を容易かつ確実に被覆できる。
本発明の第2実施形態の多層熱回復物品を示す模式的断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る接着剤組成物は、ポリアミドとエチレン(メタ)アクリル酸共重合体とを含有し、上記ポリアミドのアミン価が3mgKOH/g未満、酸価が1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合が6質量%以上であり、上記ポリアミド100質量部に対する上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が0.5質量部以上160質量部以下であり、平均厚さ1mmの測定シートに成形した場合における波長550nmの光の透過率が50%以上である。
当該接着剤組成物は、極性材料に対する接着性に優れるポリアミドと、非極性材料に対する接着性に優れるエチレン(メタ)アクリル酸共重合体とをそれぞれ特定量含有するため、極性材料及び非極性材料に対する接着性に優れる。また、当該接着剤組成物は、上記ポリアミドの酸価と、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合とがそれぞれ上記範囲であり、いずれも分子中の酸性成分が比較的多い。その結果、当該接着剤組成物は、上記ポリアミド及び上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の相溶性に優れるため、2種の合成樹脂を均一に混合し易い。そのため、当該接着剤組成物は、白濁を抑制できる。さらに、当該接着剤組成物は、上記ポリアミドのアミン価を上記上限未満とすることで、上記ポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体の硬化反応を抑制できる。さらに、当該接着剤組成物は、平均厚さ1mmの測定シートに成形した場合における波長550nmの光の透過率が50%以上であり、上記ポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体が十分に均一に混合されている。そのため、当該接着剤組成物は、極性材料及び非極性材料に対する優れた接着性をより確実に発揮できる。
ここで「(メタ)アクリル酸共重合体」とは、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの組み合わせを意味する。「エチレン(メタ)アクリル酸共重合体」とは、エチレンとアクリル酸との共重合体、エチレンとメタクリル酸との共重合体、エチレンとアクリル酸とメタクリル酸との共重合体、又はこれらの組み合わせを意味する。「酸価」とは、1gの試料中に含まれる遊離酸を中和するのに必要な水酸化カリウム(KOH)の質量(mg)をいい、フェノールフタレインを指示薬とし、水酸化カリウム水溶液を滴定液とする中和滴定法により測定した値を指す。「アミン価」とは、試料1g中の全塩基性窒素を中和するのに必要な塩酸と当量の水酸化カリウムの質量(mg)をいい、ブロムクレゾールグリーンを指示薬とし、塩酸を滴定液とする中和滴定法により測定した値を指す。「波長550nmの光の透過率」とは、JIS−K7375:2008「プラスチック−全光線透過率及び全光線反射率の求め方」に準拠して測定した値をいう。なお、上記透過率は、測定する接着剤組成物がシート状でない場合、上記接着剤組成物を200℃に加熱して流動化させ、支持体上に塗布することで成形したシートに対し、測定をするものとする。また、上記透過率は、測定する接着剤組成物がシート状である場合、ランベルト・ベールの法則に基づく下記式(1)を用いて平均厚さ1mmの場合の透過率に換算するものとする。ここで、下記式(1)において、I/I0は測定透過率、dは測定シートの厚みである。下記式(1)のε×Cは定数であるため、測定シートの厚みd及び測定透過率I/I0から厚みを1mmとした場合の透過率に換算できる。
log10(I/I0)=−ε×c×d・・・(1)
I0:入射光の強度[W/m
I:透過光の強度[W/m
ε:モル吸光係数[cm−1
c:濃度[mol/l]
d:測定シートの厚み[cm]
上記ポリアミドが、ダイマー酸に由来する構造単位を有するとよい。このように、上記ポリアミドがダイマー酸に由来する構造単位を有することで、柔軟性及び靭性を向上でき、その結果、接着後に機械的衝撃を受けた場合においても接着性を維持し易くなる。
上記ポリアミドの軟化点としては、80℃以上150℃以下が好ましい。このように、上記ポリアミドの軟化点を上記範囲とすることで、一般的なホットメルト接着剤の使用温度や多層熱回復物品の熱収縮温度でより確実に流動化させることができ、かつ接着後に流動化して周囲に漏出することを抑制できる。ここで「軟化点」とは、JIS−K6863:1994「ホットメルト接着剤の軟化点試験方法」に準拠して環球法で測定した値を指す。
上記ポリアミドの230℃での粘度としては、0.5Pa・s以上15Pa・s以下が好ましい。このように、上記ポリアミドの230℃での粘度を上記範囲とすることで、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体との相溶性を向上してより均一に混合し易くなる。その結果、透明性をより向上でき、かつ極性材料及び非極性材料に対する優れた接着性をより確実に発揮できる。また、接着時により確実に流動化させることができる。ここで「粘度」とは、回転式レオメーター(例えばアントンパール社の「RCM302」)を用い、剪断速度10s−1の条件で測定した剪断粘度を指す。
上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の融点としては、80℃以上120℃以下が好ましい。このように、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の融点を上記範囲とすることで、一般的なホットメルト接着剤の使用温度や多層熱回復物品の熱収縮温度でより確実に流動化させることができ、かつ接着後に流動化して周囲に漏出することを抑制できる。ここで「融点」とは、JIS−K7121:2012「プラスチックの転移温度測定方法」に準拠して示差走査熱量計(DSC)により測定される融点ピーク温度を指す。
当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.5mmのポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着し、得られた積層体の2枚の評価シートを温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度としては、200mN/mm以上が好ましい。このように、上記剥離強度を上記下限以上とすることで、ポリエチレン等の非極性合成樹脂に対する接着性をより向上できる。
当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.5mmのポリ塩化ビニル製の2枚の評価シートを積層接着し、得られた積層体の2枚の評価シートを温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度としては、500mN/mm以上が好ましい。このように、上記剥離強度を上記下限以上とすることで、ポリ塩化ビニル等の極性合成樹脂に対する接着性をより向上できる。
当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.2mmの2枚の評価銅板を積層接着し、得られた積層体の2枚の評価銅板を温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度としては、1,000mN/mm以上が好ましい。このように、上記剥離強度を上記下限以上とすることで、銅等の金属に対する接着性をより向上できる。
本発明の別の一態様に係る多層熱回復物品は、筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える多層熱回復物品であって、上記接着剤層が上述の接着剤組成物により形成される。
当該多層熱回復物品は、当該接着剤組成物により形成される接着剤層を備えるため、極性材料及び非極性材料を容易かつ確実に被覆できる。
上記基材層の平均厚さ1mmの場合における波長550nmの光の透過率としては、10%以上が好ましい。このように、上記透過率を上記下限以上とすること、つまり上記基材層を十分に透明なものとすることで、当該多層熱回復物品を透明にすることができ、その結果、熱収縮後に被覆対象の被覆状態を視認することができる。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の実施形態に係る接着剤組成物及び多層熱回復物品について図面を参照しつつ詳説する。なお、以下において例示される材料は、特に断りがない限り、単独で使用しても、複数を併用してもよい。
[第1実施形態]
<接着剤組成物>
当該接着剤組成物は、ポリアミドとエチレン(メタ)アクリル酸共重合体とを含有する。当該接着剤組成物の形状としては、特に限定されないが、例えばシート状、ペレット状、スティック状等とすることができる。当該接着剤組成物をシート状とする場合、その平均厚さとしては、例えば0.2mm以上5mm以下である。当該接着剤組成物は、ホットメルトタイプの接着剤として好適に用いることができ、後述する多層熱回復物品の接着剤層の形成に用いる接着剤として特に好適に用いることができる。
(透過率)
当該接着剤組成物を平均厚さ1mmの測定シートに成形した場合における波長550nmの光の透過率の下限としては、50%であり、60%が好ましく、70%がより好ましく、80%がさらに好ましい。一方、上記透過率の上限としては、特に限定されないが、例えば95%である。上記透過率が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の透明性が不十分となるおそれがある。また、上記透過率は、後述するポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体が十分に均一に混合されることで向上する。そのため、上記透過率が上記下限より小さい場合、2種類の合成樹脂の混合の均一性が不十分となり、その結果、当該接着剤組成物の接着性が低下するおそれがある。逆に、上記透過率が上記上限を超える場合、使用できるポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体の種類及び含有量が限定され、極性材料及び非極性材料に対する接着性を十分に向上できないおそれがある。
なお、当該接着剤組成物の上記透過率は、後述する特定の物性を有するポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体を特定量含有し、透明性を低下させる添加剤を実質的に含有せず、かつ各成分の混合の均一性を向上することで上記範囲に調整できる。
(ポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度)
当該接着剤組成物の非極性材料に対する接着性は、以下の方法で評価できる。すなわち、まず当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.5mmのポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着する。次に、得られた積層体の2枚の評価シートを温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度を測定する。この剥離強度によって、上記接着性を評価できる。ここで上記T字剥離した際の剥離強度の測定は、JIS−K6854−3:1999「接着剤−はく離接着強さ試験方法−第3部:T形はく離」に準拠した方法により行うものとする。以下、後述するポリ塩化ビニル製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度、及び2枚の評価銅板を積層接着した場合のT字剥離強度の測定についても同様とする。
上記剥離強度の下限としては、200mN/mmが好ましく、300mN/mmがより好ましく、400mN/mmがさらに好ましく、450mN/mmが特に好ましい。一方、上記剥離強度の上限としては、特に限定されないが、例えば2,000mN/mmである。上記剥離強度が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の非極性材料に対する接着性が不十分となるおそれがある。
(ポリ塩化ビニル製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度)
当該接着剤組成物の極性材料に対する接着性、特に極性合成樹脂に対する接着性は、以下の方法で評価できる。すなわち、まず当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.5mmのポリ塩化ビニル製の2枚の評価シートを積層接着する。次に、得られた積層体の2枚の評価シートを温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度を求め、この剥離強度によって、上記接着性を評価できる。
上記剥離強度の下限としては、500mN/mmが好ましく、1,500mN/mmがより好ましく、2,000mN/mmがさらに好ましい。一方、上記剥離強度の上限としては、特に限定されないが、例えば6,000mN/mmである。上記剥離強度が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の極性材料に対する接着性、特に極性合成樹脂に対する接着性が不十分となるおそれがある。
(2枚の評価銅板を積層接着した場合のT字剥離強度)
当該接着剤組成物の極性材料に対する接着性、特に金属に対する接着性は、以下の方法で評価できる。すなわち、まず当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.2mmの2枚の評価銅板を積層接着する。次に、得られた積層体の2枚の評価銅板を温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度を求める。この剥離強度によって、上記接着性を評価できる。
上記剥離強度の下限としては、1,000mN/mmが好ましく、2,000mN/mmがより好ましく、3,000mN/mmがさらに好ましく、4,000mN/mmが特に好ましい。一方、上記剥離強度の上限としては、特に限定されないが、例えば6,000mN/mmである。上記剥離強度が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の極性材料に対する接着性、特に金属に対する接着性が不十分となるおそれがある。
当該接着剤組成物の150℃での粘度の下限としては、60Pa・sが好ましく、100Pa・sがより好ましく、200Pa・sがさらに好ましい。一方、上記剪断粘度の上限としては、1,000Pa・sが好ましく、800Pa・sがより好ましく、600Pa・sがさらに好ましい。上記剪断粘度が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の接着時の流動性が低下するおそれがある。その結果、当該接着剤組成物を多層熱回復物品の接着剤層等に用いる場合、形成される被覆の防水性等が不十分となるおそれがある。逆に、上記剪断粘度が上記上限を超える場合、当該接着剤組成物が接着時に流動化して周囲に漏出するおそれがある。
[ポリアミド]
ポリアミドは、主鎖中にアミド結合(−CONH−)を有する合成樹脂である。当該接着剤組成物は、ポリアミドを含有することで、極性材料に対する接着性に優れる。
上記ポリアミドは、例えば原料であるジアミン及びジカルボン酸を重縮合することにより合成できる。但し、上記ポリアミドは、他の原料としてアミノカルボン酸、ラクタム等を用いてもよい。
(ジアミン)
上記ジアミンとしては、例えば脂環式ジアミン、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
上記脂環式ジアミンとしては、例えば
1−アミノ−3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジアミン)、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン等の単環型脂環式炭化水素誘導体;
ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(2−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−エチルシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−エチルシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−イソプロピルシクロヘキシル)メタン、ビス(3−メチル−4−アミノ−5−イソプロピルシクロヘキシル)プロパン、ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3,5−ジイソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−エチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−エチル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(3−イソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(3−イソプロピル−4−アミノシクロヘキシル)プロパン等の多環型脂環式炭化水素誘導体;
ビスアミノメチルノルボルネン等の縮合環型脂環式炭化水素誘導体などが挙げられる。また、上記脂環式ジアミンとしては、環状アミンを骨格とするジアミンも挙げられる。この環状アミンを骨格とするジアミンとしては、例えばビス(アミノプロピル)ピペラジン、ビス(アミノエチル)ピペラジン等が挙げられる。
上記脂肪族ジアミンとしては、例えばエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン(2,2,4−体、2,4,4−体又はこれらの混合物)、5−メチルノナメチレンジアミン等が挙げられる。
上記芳香族ジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン等が挙げられる。
(ジカルボン酸)
上記ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸(1,5−体、2,5−体、2,6−体又は2,7−体)、ビフェニルジカルボン酸(2,2’−体、3,3’−体又は4,4’−体)、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルメタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸(2,5−体又は2,6−体)、フェニレンジアセティック酸(o−体、m−体又はp−体)、フェニレンジプロピオン酸(o−体、m−体又はp−体)、フェニルマロン酸、フェニルグルタル酸、ジフェニルコハク酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、1,3−シクロブタンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸(1,4−体又は1,2−体)、ジカルボキシメチルシクロヘキサン(1,3−体又は1,4−体)、ジシクロヘキシル−4,4’−ジカルボン酸、ダイマー酸等挙げられる。
上記ダイマー酸は、オレイン酸(C1834)、リノール酸(C1832)、リノレン酸(C1830)等の不飽和脂肪酸を二量体化した重合脂肪酸をいう。上記ダイマー酸は、1種の不飽和脂肪酸を二量体したものであってもよく、2種の不飽和脂肪酸を二量体化したものであってもよい。また、上記ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の二量体を主成分とするが、その他に不飽和脂肪酸の単量体や三量体等含んでいてもよい。
上記アミノカルボン酸としては、例えば11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸、4−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、7−アミノエナント酸、9−アミノノナン酸等が挙げられる。
上記ラクタムとしては、例えばε−カプロラクタム、ω−ラウロラクタム、α−ピロリドン、α−ピペリドン等が挙げられる。
上記ポリアミドとしては、上記ダイマー酸を原料として用いたものが好ましい。つまり、上記ポリアミドとしては、上記ダイマー酸に由来する構造単位を有するものが好ましい。上記ダイマー酸を原料として用いたポリアミドを用いることで、当該接着剤組成物の柔軟性及び靭性を向上でき、その結果、接着後に機械的衝撃を受けた場合においても接着性を維持し易くなる。上記ポリアミドの全構造単位における上記ダイマー酸に由来する構造単位の含有割合の下限としては、10質量%が好ましく、25質量%がより好ましい。一方、上記含有割合の上限としては、例えば90質量%である。上記含有割合を上記範囲とすることで、当該接着剤組成物の柔軟性及び靭性をより向上できる。
上記ポリアミドの原料として上記ダイマー酸を用いる場合、上記ポリアミドの原料としてセバシン酸、ドデカン二酸等の他のジカルボン酸をさらに用いるとよい。このように、上記ポリアミドの原料として上記ダイマー酸と、他のジカルボン酸とを用いることで、上記ポリアミドの軟化点及び粘度を調整し易くなる。
(酸価)
上記ポリアミドの酸価の下限としては、1mgKOH/gであり、4mgKOH/gが好ましく、6mgKOH/gがより好ましい。一方、上記ポリアミドの酸価の上限としては、30mgKOH/gであり、15mgKOH/gが好ましく、8mgKOH/gがより好ましい。上記ポリアミドの酸価が上記下限より小さい場合、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体との相溶性が低下して均一に混合することが困難となり、その結果、当該接着剤組成物の透明性が白濁により低下するおそれがある。逆に、上記ポリアミドの酸価が上記上限を超える場合、当該接着剤組成物で金属を接着した場合に上記金属を腐食させるおそれがある。
(アミン価)
上記ポリアミドのアミン価は、3mgKOH/g未満である。上記ポリアミドのアミン価の上限としては、1mgKOH/gが好ましく、0.25mgKOH/gがより好ましい。一方、上記ポリアミドのアミン価の下限としては、特に限定されないが、例えば0.1mgKOH/gである。上記ポリアミドのアミン価が上記上限を超える場合、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体との硬化反応が促進され、当該接着剤組成物の接着時の流動性が低下するおそれがある。その結果、当該接着剤組成物を多層熱回復物品の接着剤層に用いる場合、形成される被覆の防水性等が不十分となるおそれがある。また、当該接着剤組成物でポリ塩化ビニルを接着する場合に、ポリ塩化ビニルの脱塩化水素反応を促進して劣化させるおそれがある。
上記ポリアミドの酸価及びアミン価は、重縮合反応の停止剤の種類及び使用量によって調整できる。また、上記ポリアミドの酸価及びアミン価の合計値は、上記ポリアミドの重量平均分子量を増大させることで低減できる。
(軟化点)
上記ポリアミドの軟化点の下限としては、80℃が好ましく、90℃がより好ましい。一方、上記ポリアミドの軟化点の上限としては、150℃が好ましく、120℃がより好ましく、105℃がさらに好ましい。上記ポリアミドの軟化点が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物が接着後に流動化して周囲に漏出するおそれがある。逆に、上記ポリアミドの軟化点が上記上限を超える場合、一般的なホットメルト接着剤の使用温度や多層熱回復物品の熱収縮温度で当該接着剤組成物が十分に流動化せず、接着が困難となるおそれがある。
(粘度)
上記ポリアミドの230℃での粘度の下限としては、0.5Pa・sが好ましく、3Pa・sがより好ましく、5Pa・sがさらに好ましい。一方、上記ポリアミドの230℃での粘度の上限としては、15Pa・sが好ましく、8Pa・sがより好ましい。上記ポリアミドの230℃での粘度が上記下限より小さい場合、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体と均一に混合することが困難となり、その結果、当該接着剤組成物の透明性が白濁により低下するおそれや、極性材料及び非極性材料に対する接着性が低下するおそれがある。逆に、上記ポリアミドの230℃での粘度が上記上限を超える場合、当該接着剤組成物の接着時の流動性が低下するおそれがある。その結果、当該接着剤組成物を多層熱回復物品の接着剤層に用いる場合、形成される被覆の防水性等が不十分となるおそれがある。
当該接着剤組成物における上記ポリアミドの含有量の下限としては、30質量%が好ましく、50質量%がより好ましく、60質量%がさらに好ましく、70質量%が特に好ましい。一方、上記ポリアミドの含有量の上限としては、99.5質量%が好ましく、90質量%がより好ましい。上記ポリアミドの含有量が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物のポリ塩化ビニル等の極性材料に対する接着力が低下するおそれがある。逆に、上記ポリアミドの含有量が上記上限を超える場合、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が低下し、当該接着剤組成物のポリエチレン等の非極性材料に対する接着性が低下するおそれや、接着時の流動性が低下するおそれがある。その結果、当該接着剤組成物を多層熱回復物品の接着剤層に用いる場合、形成される被覆の防水性等が不十分となるおそれがある。
[エチレン(メタ)アクリル酸共重合体]
エチレン(メタ)アクリル酸共重合体は、エチレンと、アクリル酸、メタクリル酸又はこれらの組み合わせとの共重合体である。当該接着剤組成物は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体を含有することで、非極性材料に対する接着性に優れる。
上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合の下限としては、6質量%であり、8質量%が好ましく、10質量%がさらに好ましい。一方、上記構造単位の含有割合の上限としては、30質量%が好ましく、18質量%がより好ましく、16質量%がさらに好ましい。上記構造単位の含有割合が上記下限より小さい場合、上記ポリアミドと均一に混合することが困難となり、その結果、当該接着剤組成物の透明性が白濁により低下するおそれがある。逆に、上記構造単位の含有割合が上記上限を超える場合、当該接着剤組成物で金属を接着した場合に上記金属を腐食させるおそれがある。
上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体は、共重合可能な他のモノマーに由来する構造単位を有していてもよい。上記他のモノマーとしては、例えばエチレン(メタ)アクリル酸メチル、エチレン(メタ)アクリル酸エチル、エチレン(メタ)アクリル酸ブチル等のエチレン(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、無水マレイン酸などが挙げられる。上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における上記他のモノマーに由来する構造単位の含有割合の上限としては、例えば5質量%である。
上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体としては、ナトリウム、亜鉛等の金属イオンを用いて分子間を結合させた所謂アイオノマーを用いることもできる。
(MFR)
上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の190℃でのメルトフローレート(MFR)の下限としては、10g/10minが好ましく、13g/10minがより好ましい。一方、上記MFRの上限としては、40g/10minが好ましく、20g/10minがより好ましい。上記MFRが上記下限より小さい場合、上記ポリアミド及び上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体を均一に混合することが困難となり、当該接着剤組成物の透明性が白濁により低下するおそれや、極性材料及び非極性材料に対する接着性が低下するおそれがある。また、当該接着剤組成物の接着時の流動性が低下するおそれがある。その結果、当該接着剤組成物を多層熱回復物品の接着剤層に用いる場合、形成される被覆の防水性等が不十分となるおそれがある。逆に、上記MFRが上記上限を超える場合、当該接着剤組成物の成形が困難となるおそれがある。ここで「MFR」とは、JIS−K7210:1997「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠し、荷重2.16kgの条件で測定した値を指す。
(融点)
上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の融点の下限としては、80℃が好ましく、90℃がより好ましく、95℃がさらに好ましい。一方、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の融点の上限としては、120℃が好ましく、100℃がより好ましい。上記融点が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物が接着後に流動化して周囲に漏出するおそれがある。逆に、上記融点が上記上限を超える場合、一般的なホットメルト接着剤の使用温度や多層熱回復物品の熱収縮温度で当該接着剤組成物が十分に流動化しないおそれがある。
当該接着剤組成物における上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量の下限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、0.5質量部であり、1.5質量部が好ましく、5質量部がより好ましく、15質量部がさらに好ましい。一方、上記含有量の上限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、160質量部であり、80質量部がより好ましく、50質量部がさらに好ましく、30質量部が特に好ましい。上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物のポリエチレン等の非極性材料に対する接着性が低下するおそれがある。逆に、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が上記上限を超える場合、上記ポリアミドの含有量が低下し、当該接着剤組成物のポリ塩化ビニル、金属等の極性材料に対する接着性が低下するおそれがある。また、当該接着剤組成物の接着時の流動性が低下するおそれがある。その結果、当該接着剤組成物を多層熱回復物品の接着剤層に用いる場合、形成される被覆の防水性等が不十分となるおそれがある。
なお、上記ポリアミドの酸価及びアミン価と、上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合とは、以下の各段階において実質的に変化しない。すなわち、上記ポリアミド及び上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体を混合した段階、当該難燃性組成物を接着シート、多層熱回復物品の接着剤層等へ成形した段階、及び上記成形品を用いて接着を行った段階のいずれにおいても実質的に変化しない。
[任意成分]
当該接着剤組成物は、上記ポリアミド及び上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体以外のその他の成分をさらに含有してもよい。上記その他の成分としては、例えば上記ポリアミド及び上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体以外のその他の合成樹脂や、酸化防止剤、滑材等の添加剤などが挙げられる。但し、当該接着剤組成物は、透明性を確保する観点から、難燃剤、着色剤等の透明性を著しく低下させる添加剤は実質的に含有しないことが好ましい。当該接着剤組成物は、無機フィラーについては、透明性への影響が少ないものは含有してもよいが、透明性への影響が大きいものは実質的に含有しないことが好ましい。
上記その他の合成樹脂は、当該接着剤組成物の接着時の流動性等の所望の特性を調整できる。上記その他の合成樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィンなどが挙げられる。
当該接着剤組成物が上記その他の合成樹脂を含有する場合、上記その他の合成樹脂の含有量の下限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、例えば10質量部である。一方、上記その他の合成樹脂の含有量の上限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、60質量部が好ましく、20質量部がより好ましい。上記その他の合成樹脂の含有量が上記上限を超える場合、当該接着剤組成物の透明性や接着性が低下するおそれがある。
上記酸化防止剤は、当該接着性組成物の酸化劣化を抑制できる。酸化防止剤としては、例えばフェノール系化合物、アミン系化合物、ヒンダードアミン系化合物、ヒンダードフェノール系化合物、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等が挙げられる。
当該接着剤組成物が上記酸化防止剤を含有する場合、上記酸化防止剤の含有量の下限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、1質量部が好ましく、2質量部がより好ましい。一方、上記酸化防止剤の含有量の上限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、6質量部が好ましく、4質量部がより好ましい。上記酸化防止剤の含有量が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の酸化劣化を十分に抑制できないおそれがある。逆に、上記酸化防止剤の含有量が上記上限を超える場合、上記酸化防止剤が当該接着剤組成物の表面に析出して透明性が低下するおそれがある。
上記無機フィラーは、当該接着剤組成物の成形性を向上し、また接着時の流動性を調整できる。透明性への影響が少ない上記無機フィラーとしては、有機処理ケイ酸塩、シリカ、活性白土及び微細炭酸カルシウムが好ましい。
当該接着剤組成物が上記無機フィラーを含有する場合、上記無機フィラーの含有量の下限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、0.5質量部が好ましく、2質量部がより好ましい。一方、上記無機フィラーの含有量の上限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、40質量部が好ましく、30質量部がより好ましい。上記無機フィラーの含有量が上記下限より小さい場合、当該接着剤組成物の成形性が低下するおそれや、接着時の流動性を十分に調整できないおそれがある。逆に、上記無機フィラーの含有量が上記上限を超える場合、当該接着剤組成物の透明性や接着性が低下するおそれがある。
上記滑材は、当該接着剤組成物の成形性を向上する。上記滑材としては、例えば流動パラフィン、パラフィンワックス、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩等が挙げられる。当該接着剤組成物における上記滑材の含有量の上限としては、上記ポリアミド100質量部に対し、例えば5質量部である。
<接着剤組成物の製造方法>
当該接着剤組成物は、例えば上記ポリアミド及び上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体と、必要に応じて添加される任意成分とを混練機等によって溶融混練する方法などで調製できる。上記混練機としては、例えばオープンロール、加圧ニーダー、短軸混合機、二軸混合機等が挙げられる。上記混練温度としては、例えば150℃以上200℃以下とすることができる。
[第2実施形態]
<多層熱回復物品>
図1の当該多層熱回復物品は、円筒状の基材層1と、この基材層1の内周面に積層される接着剤層2とを備える。接着剤層2は、上述の当該接着剤組成物により形成される。当該多層熱回復物品は、当該接着剤組成物により形成される接着剤層2を備えるため、極性材料及び非極性材料を容易かつ確実に被覆できる。
当該多層熱回復物品の平均外径及び平均厚さは、用途等に合わせて適宜変更可能である。当該多層熱回復物品の具体的な平均外径としては、例えば3mm以上80mm以下とできる。また、当該多層熱回復物品の平均厚さとしては、例えば0.3mm以上6mm以下とできる。
[基材層]
基材層1は、被覆後に被覆対象の機械的保護、絶縁、防水、防食等の機能を果たす。基材層1の平均厚さとしては、例えば0.1mm以上5mm以下である。
基材層1は、合成樹脂を主成分とする。上記合成樹脂としては、ポリオレフィンが好ましい。基材層1の主成分をポリオレフィンとすることで、適切な熱収縮性を付与でき、また後述するように基材層1を透明とする場合に十分な透明性を付与できる。さらに、ポリオレフィンは比較的安価に入手できるため、当該多層熱回復物品の製造コストを低減できる。
(ポリオレフィン)
基材層1に用いるポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体、オレフィン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系ゴム等が挙げられる。上記ポリオレフィンとしては、ポリエチレンが好ましい。
上記ポリオレフィンの190℃におけるMFR(メルトフローレート)の下限としては、0.01g/10minが好ましく、0.1g/10minがより好ましい。一方、上記MFRの上限としては、10g/10minが好ましく、4g/10minがより好ましい。上記MFRが上記下限より小さい場合、基材層1を押出成形で作製する際の押出圧力が大きくなりすぎるおそれや、基材層1の外観性が低下するおそれがある。逆に、上記MFRが上記上限を超える場合、押出成形する際の流動性が低くなりすぎるため、基材層1の形状を均一にすることが困難になるおそれがある。また、基材層1を成形する際に冷却工程で結晶化が進みむことで結晶化度が高くなり、その結果、透明性が低下して基材層1を透明にすることが困難となるおそれがある。
上記ポリエチレンとしては、例えば高圧ラジカル重合法により得られる低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン重合ポリエチレン等が挙げられる。
上記エチレン−αオレフィン共重合体のαオレフィンの炭素数としては、例えば3以上20以下である。上記αオレフィンの具体例としては、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、9−メチル−1−デセン、11−メチル−1−ドデセン、12−エチル−1テトラデセン等が挙げられる。
上記エチレン−ビニルエステル共重合体のビニルエステルとしては、例えばプロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、ラウリル酸ビニル、ステアリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル等が挙げられる。
上記エチレン−α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステル共重合体のα,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルとしては、例えばアクリル酸メチル、メタアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタアクリル酸エチル等が挙げられる。
上記オレフィン系熱可塑性エラストマーとしては、例えば低密度ポリエチレンエラストマー、超低密度ポリエチレンエラストマー、ポリプロピレンエラストマーなどが挙げられる。
上記オレフィン系ゴムとしては、例えばエチレンプロピレン系ゴム、ブタジエン系ゴム、イソプレン系ゴム等が挙げられる。
上記エチレンプロピレン系ゴムとしては、例えばエチレン及びプロピレンを主原料とするランダム共重合体や、エチレン及びプロピレンに第3成分としてジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネン等のジエンモノマーを加えたものを主原料とするランダム共重合体などが挙げられる。
上記ブタジエン系ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体、その水添誘導体(部分水添誘導体を含む)であるスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、1,2−ポリブタジエン、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性ブタジエンゴム等が挙げられる。
上記イソプレン系ゴムとしては、例えばスチレン−イソプレンブロック共重合体、その水添誘導体(部分水添誘導体を含む)であるスチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、無水マレイン酸変性のスチレン−エチレン−イソプレン−スチレン共重合体、コアシェル構造を有する変性イソプレンゴム等が挙げられる。
(任意成分)
基材層1は、酸化防止剤、銅害防止剤、滑材、着色剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、無機フィラー等を含有してもよい。
(酸化防止剤)
基材層1に用いる酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、亜リン酸エステル系酸化防止剤等が挙げられ、これらの中で、フェノール系酸化防止剤及びアミン系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を用いることにより、基材層1の酸化劣化及び銅害を抑制できる。
(フェノール系酸化防止剤)
上記フェノール系酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]、6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−2,4−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
(アミン系酸化防止剤)
上記アミン系酸化防止剤としては、例えば4,4’(α、α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン、N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−イソプロピル−N’−フェニル−1,4−フェニレンジアミン等が挙げられる。
基材層1が上記酸化防止剤を含有する場合、基材層1における上記酸化防止剤の含有量の下限としては、合成樹脂100質量部に対し、0.1質量部が好ましく、1.5質量部がより好ましい。一方、上記酸化防止剤の含有量の上限としては、合成樹脂100質量部に対し、5質量部が好ましく、3質量部がより好ましい。上記酸化防止剤の含有量が上記下限より小さい場合、基材層1が酸化することで当該多層熱回復物品が劣化するおそれがある。逆に、上記酸化防止剤の含有量が上記上限を超える場合、上記酸化防止剤が基材層1の表面に移行して結晶化する所謂ブルームや、上記酸化防止剤が基材層1の表面に移行して液体として滲み出る所謂ブリードが発生し、当該多層熱回復物品の外観性が低下するおそれがある。
(銅害防止剤)
基材層1に用いる銅害防止剤としては、例えば3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、デカメチレンジカルボン酸ジサリチロイルヒドラジド、2,3−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]プロピオノヒドラジド等が挙げられる。基材層1が銅害防止剤を含有することで、銅害を抑制できる。
基材層1が上記銅害防止剤を含有する場合、基材層1における上記銅害防止剤の含有量の下限としては、合成樹脂100質量部に対し、0.1質量部が好ましく、1質量部がより好ましい。また、上記銅害防止剤の含有量の上限としては、合成樹脂100質量部に対し、10質量部が好ましく、5質量部がより好ましい。上記銅害防止剤の含有量が上記下限より小さい場合、及び上記銅害防止剤の含有量が上記上限を超える場合、基材層1の銅害を十分に抑制できないおそれがある。
基材層1は、透明であっても不透明であってもよいが、透明であることが好ましい。このように、基材層1を透明にすることで、当該多層熱回復物品を透明にすることができ、その結果、熱収縮後に被覆対象の被覆状態を視認することが可能となる。基材層1を透明にする場合、基材層1の平均厚さが1mmの場合における波長550nmの光の透過率の下限としては、10%が好ましく、15%がより好ましく、20%がさらに好ましい。一方、上記透過率の上限としては、特に限定されないが、例えば95%である。上記透過率を上記下限以上とすることで、基材層1を十分に透明なものとすることができる。ここで「透明」とは、無色透明に加え、有色透明及び半透明を含む概念である。また、基材層1の上記透過率は、上記式(1)を用い、測定した透過率を平均厚さ1mmの場合の透過率に換算するものとする。
基材層1を透明にする場合、基材層1は、透明性を確保する観点から、難燃剤、着色剤等の透明性を著しく低下させる添加剤は実質的に含有しないことが好ましい。また、基材層1は、無機フィラーについては、透明性への影響が少ないものは含有してもよいが、透明性への影響が大きいものは実質的に含有しないことが好ましい。透明性への影響が少ない上記無機フィラーとしては、例えば当該接着剤組成物で説明したものと同様のもの等が挙げられる。
[接着剤層]
接着剤層2は、基材層1の内周面に積層される透明な層であり、当該多層熱回復物品の被覆時に基材層1と被覆対象との間を充填することで防水性等を向上する。
接着剤層2の平均厚さとしては、例えば0.1mm以上5mm以下である。上記平均厚さが上記下限より小さい場合、被覆された当該多層熱回復物品と被覆対象との密着性が低下するおそれがある。逆に、上記平均厚さが上記上限を超える場合、当該多層熱回復物品の被覆時に流動化した接着剤層2が漏出するおそれがある。
<多層熱回復物品の製造方法>
当該多層熱回復物品の製造方法は、例えば筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える多層体を形成する工程(多層体形成工程)と、この多層体の内径を拡径する工程(拡径工程)と、拡径した上記多層体の形状を固定する工程(固定工程)とを備える方法等が挙げられる。当該多層熱回復物品の製造方法は、拡径工程前に上記多層体の基材層を架橋する工程(架橋工程)をさらに備えてもよい。
(多層体形成工程)
本工程では、筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える多層体を形成する。上記多層体を形成する方法としては、例えば基材層用樹脂組成物及び当該接着剤組成物を溶融押出成形機で二層押出しする方法、基材層用樹脂組成物を溶融押出成形機で押出して基材層を形成し、この基材層の内周面に当該接着剤組成物を積層する方法、当該接着剤組成物を溶融押出成形機で押出して接着剤層を形成し、この接着剤層の外周面に基材層用樹脂組成物を積層する方法等が挙げられる。
基材層用樹脂組成物は、市販の樹脂組成物をそのまま用いてもよく、合成樹脂成分及び必要に応じて添加される添加剤をオープンロール、加圧ニーダー、短軸混合機、二軸混合機等で混合することにより調製してもよい。
上記多層体の寸法は、用途等に応じて設計することができる。上記多層体の基材層の平均内径としては、例えば1mm以上60mm以下である。また、上記多層体の基材層の平均厚さとしては、例えば0.1mm以上10mm以下である。さらに、上記多層体の接着剤層の平均内径としては、例えば0.3mm以上30mm以下である。さらに、上記多層体の接着剤層の平均厚さとしては、例えば0.2mm以上20mm以下である。
(拡径工程)
本工程では、多層体形成工程で得られた上記多層体を拡径する。上記多層体を拡径する方法としては、例えば上記多層体を合成樹脂成分の融点以上の温度に加熱した状態で内圧を加える方法等が挙げられる。上記多層体に内圧を加える方法としては、例えば内部に圧縮空気を導入する方法、内部に金属棒を挿通させる方法等が挙げられる。上記多層体の拡径前の平均内径に対する拡径後の平均内径の比としては、例えば2以上7以下である。
(固定工程)
本工程では、拡径した多層体の形状を固定する。拡径した多層体の形状を固定する方法としては、例えば拡径した多層体を合成樹脂成分の融点以下の温度に冷却する方法等が挙げられる。
(架橋工程)
本工程では、拡径工程の前に上記多層体の基材層を架橋することで耐熱性を向上させる。上記基材層を架橋する方法としては、例えば電離性放射線の照射による架橋、化学架橋、熱架橋等が挙げられる。
[その他の実施形態]
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該多層熱回復物品の基材層の形状としては、筒状である限り特に限定されず、四角筒状、三角筒状等であってもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<接着剤組成物の製造>
表1に、本実施例に用いたポリアミド(PA)1〜9を示す。このうち、ポリアミド1〜8は、ダイマー酸に由来する構造単位を有するポリアミドである。なお、表1のポリアミドの粘度は、回転式レオメーター(アントンパール社の「RCM302」)を用い、温度150℃、剪断速度10s−1の条件で測定した剪断粘度である。
Figure 0006706495
表2に、本実施例に用いたたエチレン(メタ)アクリル酸共重合体であるエチレンメタクリル酸共重合体(EMAA)1〜5、及びエチレンアクリル酸共重合体(EAA)1を示す。また、表2に、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の比較対象として製造例16及び17で用いたエチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体であるエチレンメタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、及びエチレンアクリル酸エチル共重合体(EEA)をあわせて示す。
Figure 0006706495
本実施例に用いたその他の合成樹脂を以下に示す。
エチレンエチルアクリレート無水マレイン酸共重合体(E/EA/MAH):エチルアクリレート10質量%及び無水マレイン酸3質量%を用いて重合、温度190℃、荷重2.16kgでのMFR70g/10min
ポリオレフィン:温度190℃、荷重2.16kgでのMFR30g/10min、密度0.902g/cm
[製造例1〜25]
表3及び表4に示す種類及び含有量の合成樹脂を溶融混練し、製造例1〜15及び17〜25の接着剤組成物を製造した。溶融混練は、L/D=42の2軸混合押出機(東芝機械社製)を用い、200℃で行った。また、PA1を製造例16の接着剤組成物として用いた。製造例1〜25の接着剤組成物を押出成形し、透過率の測定に用いる平均厚さ1mmの測定シートと、T字剥離強度の測定に用いる平均厚さ0.5mmの接着シートとを形成した。なお、表3及び4の「−」は、該当する成分を使用しなかったことを示す。
<多層熱回復物品の製造>
基材層用樹脂組成物及び製造例1〜25の接着剤組成物を溶融押出成形機で二層押出しを行い、筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える多層体を形成した。上記多層体の寸法は、基材層の平均内径を2.8mm、基材層の平均厚さを0.9mm、接着剤層の平均内径を0.8mm、接着剤層の平均厚さを1.0mmとした。基材層用樹脂組成物としては、融点125℃のポリエステルを用いた。
上記多層体に電離放射線を照射して基材層を架橋した。架橋後、基材層の平均外径が7.5mmとなるように拡径した後、冷却して形状を固定することにより、多層熱回復物品を得た。
<測定>
以下の方法により、製造例1〜25の接着剤組成物の透過率、T字剥離強度、剪断粘度及び押出成形性と、上記接着剤組成物を用いた多層熱回復物品の防水性及び垂直保持移動距離を測定した。評価結果を表3及び表4にあわせて示す。
[透過率]
島津製作所社の「UV2450」を用い、平均厚さ1.0mmの測定シートの波長550nmの光の透過率を測定した。透過率は、数値が大きいほど透明性に優れることを示し、50%以上を「良好」、50%未満を「良好でない」と評価できる。
[ポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度]
温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で、接着シート(15mm×15mm×0.5mm)の両面にポリエチレン製の2枚の評価シート(40mm×15mm×0.5mm)を積層接着した。次に、JIS−K6854−3:1999に準拠し、得られた積層体の2枚の評価シートの端部を把持し、温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離し、剥離強度を測定した。上記剥離強度(mN/mm)は、数値が大きいほどポリエチレンに対する接着性が高いことを示し、200mN/mm以上の場合を「良好」、200mN/mm未満の場合を「良好でない」と評価できる。
[ポリ塩化ビニル製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度]
ポリエチレン製の評価シートの替わりにポリ塩化ビニル製の評価シート(40mm×15mm×0.5mm)を用いた以外は上述のポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度の測定と同様に操作し、剥離強度を測定した。上記剥離強度(mN/mm)は、数値が大きいほどポリ塩化ビニルに対する接着性が高いことを示し、500mN/mm以上の場合を「良好」、500mN/mm未満の場合を「良好でない」と評価できる。
[2枚の評価銅板を積層接着した場合のT字剥離強度]
ポリエチレン製の評価シートの替わりに2枚の評価銅板(40mm×15mm×0.2mm)を用いた以外は上述のポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着した場合のT字剥離強度の測定と同様に操作し、剥離強度を測定した。上記剥離強度(mN/mm)は、数値が大きいほど銅に対する接着性が高いことを示し、1,000mN/mm以上の場合を「良好」、1,000mN/mm未満の場合を「良好でない」と評価できる。
[剪断粘度]
回転式レオメーター(アントンパール社の「RCM302」)を用い、温度150℃、剪断速度10s−1の条件で接着剤組成物の剪断粘度を測定した。剪断粘度(Pa・s)は、数値が特定範囲である場合に成形性に優れることを示し、60Pa・s以上1,000Pa・s以下の場合を「良好」、60Pa・s未満の場合及び1,000Pa・s超の場合を「良好でない」と評価できる。
[押出成形性]
基材層用樹脂組成物及び接着剤組成多層体の二層押出により得られた上記多層体(拡径前の多層熱回復物品)の一端から空気を吹き込み、この空気が他端から出てくるかを確認した。上記多層体は、接着剤層の形成に用いた接着剤組成物の押出成形性が低い場合、接着剤層の厚さのバラつきが大きくなって孔が閉塞し、一端から他端に向けて空気が通り抜けられなくなる。そのため、上述の方法により、接着剤組成物の押出成形性を測定できる。押出成形性は、上記多層体の一端から吹き込んだ空気が他端から出てきた場合を「合格(A)」、上記空気が他端から出てこなかった場合を「不合格(B)」と評価した。
[防水性]
1本の第1絶縁電線の導体線(撚線)の一端に、4本の第2絶縁電線の導体線(撚線)の一端をそれぞれ溶接したハーネスを用意し、このハーネスの溶接部分に多層熱回復物品を外挿した。次に、上記多層熱回復物品を外挿したハーネスを180℃の恒温槽の床面に水平に置いて90秒加熱することで、上記多層熱回復物品の基材層を収縮させて上記ハーネスを被覆し、試験用被覆ハーネスを作成した。この試験用被覆ハーネスは、熱収縮した多層熱回復物品により形成される被覆を備え、上記被覆の一方の端から1本の第1絶縁電線が延出し、他方の端から4本の第2絶縁電線が延出している。
上記試験用被覆ハーネスを水中に入れ、第1絶縁電線の端部から200kPaで30秒間空気を吹き込み、水中でのバブル発生の有無を確認した。第1絶縁電線の端部から空気を吹き込むことで、上記空気が第1絶縁電線の導体線を構成する素線間を通り、熱収縮した多層熱回復物品により形成された被覆内へと送られる。そのため、上記被覆と第1絶縁電線又は第2絶縁電線との間に隙間が存在して防水性が不十分である場合、上記空気が上記隙間を通って水中に抜けてバブルを発生する。防水性は、バブル発生が確認されなかった場合を「合格(A)」、バブル発生が確認された場合を「不合格(B)」と評価した。
[垂直保持移動距離]
防水性の評価で用いた試験用被覆ハーネスを100℃の恒温槽中に垂直に保持し、168時間後に被覆から漏出した接着剤層の移動距離を測定した。垂直保持移動距離(mm)は、数値が小さいほど被覆後に漏出した接着剤層が他部材に付着することをより確実に抑制でき、1mm未満の場合を「合格」、1mm以上の場合を「不合格」と評価できる。
Figure 0006706495
Figure 0006706495
表3に示すように、製造例1〜15の接着剤組成物は、アミン価及び酸価が特定範囲であるポリアミドと、(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合が特定範囲であるエチレン(メタ)アクリル酸共重合体とをそれぞれ特定量含有する。その結果、製造例1〜15の接着剤組成物は、透明性と、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル及び銅板に対する接着性と、剪断粘度と、押出成形性とが全て良好であった。また、製造例1〜15の接着剤組成物により接着剤層を形成した多層熱回復物品は、防水性及び垂直保持移動距離が良好であった。
一方、表4に示すように、製造例16〜25の接着剤組成物は、少なくともいずれかの測定結果が良好でなかった。以下、製造例16〜25の接着剤組成物についてそれぞれ検討する。
製造例16の接着剤組成物は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体を用いなかったため、ポリエチレンに対する接着性が良好でなかった。
製造例17及び18の接着剤組成物は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の替わりにエチレン(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いたため、ポリアミドと均一に混合せず、透明性とポリエチレンに対する接着性とが良好でなかった。
製造例19の接着剤組成物は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が多すぎるため、透明性とポリ塩化ビニルに対する接着性と剪断粘度とが良好でなかった。また、製造例19の接着剤組成物で接着剤層を形成した多層熱回復物品は、防水性が不合格であった。
製造例20の接着剤組成物は、波長550nmの光の透過率が50%未満であり、ポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体が十分に混合されていなかった。その結果、製造例20の接着剤組成物は、ポリエチレンに対する接着性及び剪断粘度が良好でなかった。また、製造例20の接着剤組成物で接着剤層を形成した多層熱回復物品は、防水性が不合格であった。
製造例21の接着剤組成物は、エチレンメタクリル酸共重合体のメタクリル酸に由来する構造単位の含有割合が低すぎるため、ポリアミド及びエチレンメタクリル酸共重合体が均一に混合せず、透明性及びポリエチレンに対する接着性が良好でなかった。
製造例22の接着剤組成物は、ポリアミドのアミン価が高すぎるため、ポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体が硬化反応を生じ、透明性及びポリエチレンに対する接着性が良好でなかった。また、製造例22の接着剤組成物で接着剤層を成形した多層熱回復物品は、防水性が不合格であった。
製造例23の接着剤組成物は、ポリアミドの酸価が低すぎるため、ポリアミド及びエチレンメタクリル酸共重合体が均一に混合せず、透明性及びポリエチレンに対する接着性が良好でなかった。
製造例24の接着剤組成物は、波長550nmの光の透過率が50%未満であり、ポリアミド及びエチレン(メタ)アクリル酸共重合体が十分に混合されていなかった。その結果、製造例24の接着剤組成物は、ポリエチレン及び銅に対する接着性と剪断粘度と押出成形性が良好でなかった。また、製造例24の接着剤組成物で接着剤層を形成した多層熱回復物品は、垂直保持移動距離が不合格であった。
製造例25の接着剤組成物は、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の替わりにその他の樹脂を用いたため、ポリアミド及びその他の樹脂が均一に混合せず、透明性とポリエチレン及び銅板に対する接着性とが良好でなかった。
本発明の一態様に係る接着剤組成物は、透明性を有し、かつ極性材料及び非極性材料に対する接着性に優れる。本発明の別の一態様に係る多層熱回復物品は、極性材料及び非極性材料を容易かつ確実に被覆できる。
1 基材層
2 接着剤層

Claims (8)

  1. ポリアミドとエチレン(メタ)アクリル酸共重合体とを含有し、
    上記ポリアミドのアミン価が3mgKOH/g未満、酸価が1mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であり、
    上記ポリアミドが、ダイマー酸に由来する構造単位を有し、
    上記ダイマー酸が、不飽和脂肪酸を二量体化した重合脂肪酸であり、
    上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の全構造単位における(メタ)アクリル酸に由来する構造単位の含有割合が6質量%以上であり、
    上記ポリアミド100質量部に対する上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の含有量が0.5質量部以上160質量部以下であり、
    平均厚さ1mmの測定シートに成形した場合における波長550nmの光の透過率が50%以上であり、
    上記ポリアミドの230℃での粘度が0.5Pa・s以上15Pa・s以下であり、
    上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の190℃でのメルトフローレートが10g/10min以上40g/10min以下である接着剤組成物。
  2. 上記ポリアミドの軟化点が80℃以上150℃以下である請求項1に記載の接着剤組成物。
  3. 上記エチレン(メタ)アクリル酸共重合体の融点が80℃以上120℃以下である請求項1又は請求項2に記載の接着剤組成物。
  4. 当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.5mmのポリエチレン製の2枚の評価シートを積層接着し、得られた積層体の2枚の評価シートを温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度が200mN/mm以上である請求項1、請求項2又は請求項3に記載の接着剤組成物。
  5. 当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.5mmのポリ塩化ビニル製の2枚の評価シートを積層接着し、得られた積層体の2枚の評価シートを温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度が500mN/mm以上である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  6. 当該接着剤組成物を平均厚さ0.5mmの接着シートに成形し、温度150℃、押圧力10kg/cm、時間10秒の条件で上記接着シートの両面に平均厚さ0.2mmの2枚の評価銅板を積層接着し、得られた積層体の2枚の評価銅板を温度25℃、引張速度50mm/minでT字剥離した際の剥離強度が1,000mN/mm以上である請求項1から請求項のいずれか1項に記載の接着剤組成物。
  7. 筒状の基材層と、この基材層の内周面に積層される接着剤層とを備える多層熱回復物品であって、
    上記接着剤層が請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の接着剤組成物により形成される多層熱回復物品。
  8. 上記基材層の平均厚さ1mmの場合における波長550nmの光の透過率が10%以上である請求項に記載の多層熱回復物品。
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