JP6703618B2 - 通気手段を有するブーツ - Google Patents

Description

本発明は、第１の直径を有する第１の締結領域と第２の直径を有する第２の締結領域とを含み、前記第１の直径が第２の直径より小さく、前記第１の締結領域がその外周上にバインダシート領域を含むブーツ、このようなブーツを取り付ける方法、およびそのシャフト封止のための応用に関する。

例えば折畳みベローズまたはローリングベローズとして設計された上述したようなブーツは、第２の機械部品に配置された第１の機械部品の配置を封止するために用いられる。そのような配置の例は、例えば、ジョイント、特に自動車の等速ジョイントが挙げられる。このようなブーツは、例えば、プランジング型等速ジョイントまたは固定式ジョイントを封止するために用いられる。しかし、自動車産業以外の他の使用分野も知られている。

機械部品にブーツを装着すると、ブーツの内部に過圧が発生する場合がある。これは、疲労亀裂によって引き起こされる場合もあるが、用いられたブーツの封止効果に悪影響を与え、ブーツの早期故障をもたらす可能性がある。これは、ブーツがより大きい第２の直径を有するその第２の締結領域により既に第２の機械部品に予め組み立てられ、その後、第１の機械部品を第２の機械部品に取り付けるだけとなった場合に、特に関係する。この場合、第１の機械部品は、第１の機械部品に対向している前記第１の締結領域におけるブーツの開口を通って、予め組み立てられたブーツ内に押圧する必要がある。

ブーツが内部に過圧を発生させると、特に、潤滑と騒音低減のために設けられたブーツ内のグリースが逃げる可能性があるため、その封止効果は低減する。そのような過圧のため、第１の機械部品が不正確に位置決めされ、若しくは、圧縮リングまたはクランプストラップのような締結手段により前記第１の締結領域が第１の機械部品に十分に堅固かつ密に組み立てられなくなる可能性がある。特に、熱可塑性エラストマーをブーツの材料として使用する場合、ゴム材料で作られたブーツと比較して、このようなブーツは、異なる材料特性および高い剛性により封止特性に悪影響を与えるため、問題を引き起こす。これは、より小さい直径を有するブーツの締結領域にとって特に重要である。

本発明は、特に、シャフトに装着する際にブーツの内部に過圧が発生することを防止すると共に、締結後に高い封止効果を提供するブーツ、およびブーツを取り付けるための方法を提供することを目的とする。

この目的は、前記第１の締結領域の内周において、少なくとも１つの第１の通気手段および少なくとも１つの第２の通気手段が、平坦な表面で形成された内周において互いに軸方向に離間して配置され、前記第１の締結領域の内周の表面より突出している上述したようなブーツによって実現される。

本発明に係るブーツは、前記第１の締結領域と前記第２の締結領域との間に、例えば折畳みベローズの場合に折畳み領域として扱うことができ、または、ロールブーツとして形成され得る中間部を有する。この場合、好ましくは、中間部と前記第１の締結領域との間に、ロールブーツに特に好適であり、より一般的には１つ以上の折畳みを備える折畳み領域を有さない設計にも好適である円錐形突起を配置することができる。好ましくは、ブーツはロールブーツとして形成される。

より小さい第１の直径を有する前記第１の締結領域は、例えばジョイント装置のシャフトに割り当てられ、より大きい第２の直径を有する前記第２の締結領域は、ジョイント筐体に割り当てられる。その後、ブーツは、前記第２の締結領域により、ジョイント装置のジョイント筐体の外側部分に取り付けられる。好ましくは、本発明に係るブーツは、プランジング型等速ジョイントおよび固定式ジョイントに配置される。前記第１の締結領域および前記第２の締結領域の前記第１および前記第２の直径は、対応して配置される。

前記締結領域の外周の第１のバインダシート領域は、ブーツの外周面を設けることによって画定され、その中に、前記ブーツが例えばシャフトのような第１の機械部品に取り付けられるように、バインダを例えばクランプストラップまたは圧縮リングのような形態で配置可能である。それは、前記バインダの下に少なくとも表面を含む。それは、異なるように形成できる少なくとも第１の位置決め手段および少なくとも第２の位置決め手段によって限定することができる。前記位置決め手段は、例えば周方向ビードとして設計することができ、前記第１のバインダシート領域がそれらの間に形成されるように、対をなして互いに対向して軸方向に変位し前記第１の締結領域の外周に配置することができる。この場合、ちょうど１つの第１の位置決め手段および１つの第２の位置決め手段が設けられる。しかしながら、前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および少なくとも１つの第２の位置決め手段は、前記第１のバインダシートの前記第１の締結領域の外周に耳状突起として形成され、軸方向に離間し、好ましくは対をなして互いに対向するように設計することもでき、前記第１の位置決め手段および前記第２の位置決め手段は一対をなす。このような実施形態において、好ましくは、前記第１の締結領域の外周に２つ以上の第１の位置決め手段および第２の位置決め手段が配置され、好ましくは、例えば、それぞれ少なくとも３つ、４つ、５つ、６つ、７つ、８つ、またはそれ以上の前記第１の位置決め手段および第２の位置決め手段が、上述したように対をなして互いに対向している。しかし、上述したように、前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および少なくとも１つの第２の位置決め手段の設計の組合せも可能である。前記第２の位置決め手段は、例えば、周方向ビードとして設計されてもよく、または、前記第２の位置決め手段は、中間部内またはブーツの円錐形突起内で、材料を厚くすることによって形成された周方向環状壁であってもよく、最後に挙げた実施形態の場合、特に耳状の第２の位置決め手段が前記第１の締結領域の外周の壁の領域に配置されているのに対し、第１の位置決め手段は耳状突起として形成することができる。しかしながら、逆のまたは他の任意の組合せ設計も可能である。好ましくは、前記第１のバインダシート領域は、特にそれらの間に少なくとも１つの第１の位置決め手段および少なくとも１つの第２の位置決め手段が設けられた場合に、前記第１の締結領域内において平坦な形状を有し、すなわち、その表面に隆起や窪みがない。しかし、前記バインダシート領域は、隣接して配置されて軸方向に変位した１つ以上の周方向溝を有することもできる。

本発明に係るブーツの、より大きい第２の直径で配置された前記第２の締結領域は、さらに、そこに配置された第１の位置決め手段および第２の位置決め手段によって画定された第２のバインダシート領域を有する。これらの第１の位置決め手段および／または第２の位置決め手段は、上述したように、前記第１の締結領域における前記第１のバインダシート領域の前記第１の位置決め手段および第２の位置決め手段に関して設計することができる。特に好ましくは、前記第２のバインダシート領域のこのような位置決め手段は、耳状突起として形成され、好ましくは、対をなして互いに対向し、第１の位置決め手段および第２の位置決め手段が軸方向に変位して一対をなす。前記第２のバインダシート領域自体は、好ましくは、隆起や窪みがないことを意味する平坦な形状を有してよいが、特に好ましくは、軸方向に変位して前記第２のバインダシート領域に配置された少なくとも１つ、好ましくは少なくとも２つの周方向溝を有する。

好ましくは、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段は、対をなして互いに対向しており、ブーツの中心軸に対して同軸に延在している軸上に離間して配置され、前記第１の締結領域の内周の表面上に配置されている。ここで、第１の通気手段および第２の通気手段は一対をなす。それは、前記第１の締結領域に第１の通気手段および第２の通気手段がそれぞれ１つしか設計されていなかったとしても、互いに割り当てられ、特に互いに対向していれば、それらは一対をなすことができるということを意味する。一対をなすことの必須な特徴として、前記第１の通気手段および前記第２の通気手段の間に、ブーツを装着する際に発生し得る過圧をブーツの内部から逃がすことができる領域が形成される。好ましくは、圧力を逃がすためのこのような領域は、前記少なくとも１つおよび前記少なくとも１つの第２の通気手段の両側にも設けられる。前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の間に形成された領域は、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段が変位して配置される場合、または対をなして配置される場合も、本発明に係るブーツの中心軸に対して角変位することができ、好ましくは平坦に形成され、すなわち凹凸のない表面を有する。特に好ましくは、この領域は、少なくとも、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の高さを超えて突出した隆起を有せず、前記第１の締結領域の内周の表面に基づいて決定される。

特に好ましくは、少なくとも３つの第１の通気手段および少なくとも３つの第２の通気手段、さらに好ましくは、少なくとも４つ、少なくとも５つ、少なくとも６つ、少なくとも７つ、少なくとも８つ、少なくとも９つ、またはそれ以上の第１の通気手段および第２の通気手段が設けられ、前記第１の締結領域の内周の表面上に均一に配置され、さらに好ましくは、上述したように、対をなして互いに割り当てられ、好ましくは互いに対をなして対向し、ブーツの中心軸に対して同軸に延在している軸上に離間して配置される。

本発明によれば、前記少なくとも１つの第１の通気手段および少なくとも１つの第２の通気手段が前記第１の締結領域の内周の表面より突出しているため、本発明に係るブーツを第１の機械部品、例えば、シャフトに装着する際に、それらの間に自由空間が形成され、前記自由空間は、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の周りの領域と共に、空気を逃がすことができる通路開口を形成し、したがって、ブーツの過圧、より正確には、第１および第２の機械部品にブーツを組み付けることによって形成されるシステム内の過圧の発生を回避し、前記システムは、好ましくは、特にブーツ内部のグリース充填物をさらに含む。そのような圧力相殺の場合に、通路開口が設けられているため、余分なグリースが逃げることも可能である。上記の組立体は、依然として締結手段によって閉鎖されていない。したがって、既に予め組み立てられているが閉鎖されていない限り、前記締結手段に関して、または、ブーツがシャフトに取り付けられていないことに関して、組立体のこの部分は、開放位置と呼ぶことができる。前記ブーツが予め組み立てられた状態で既に前記第２の機械部品に取り付けられており、前記第１の機械部品が、前記第２の機械部品に配置すべきブーツの前記第１の締結領域の領域内の前記開口を通って押圧する場合に、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の配置が特に有利である。これは通常、前記第１の機械部品の外周と前記第１の締結領域との間の領域に圧力が発生するように、拡張を、特に前記第１の締結領域の全周にわたって行う拡径を伴うが、前記第１の締結領域の内周の表面が前記第１の機械部品の表面に合致して密封を達成するという効果を有しない。前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段を設けることによって、これは少なくとも第１の締結領域の内周のある領域において回避され、少なくとも該領域において、例えば空気および／またはグリースが逃げることができ、ブーツの内部に発生し得る圧力が相殺される。本発明によれば、前記締結手段を、ブーツの閉鎖位置および締結位置まで、第１の機械部品、特にシャフト上に移動させることにより、前記第１の締結領域および第１のバインダシート領域の材料が前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の間の領域へ変位して、そこに形成された開口を閉鎖させる。これにより、第１の機械部品にブーツを取り付けることを含む組み立ての後にグリース充填物のグリースが逃げることが確実に防止される。本発明によれば、第１の機械部品、特にシャフトにブーツを取り付けた後、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の間の領域に材料の変位または材料の蓄積が発生して、特にグリースがブーツの内部から逃げないようにすると共に、前記第１の機械部品の表面上に前記第１の締結領域を緊密に当接させるように、少なくとも１つの第１の通気手段および少なくとも１つの第２の通気手段の間の空間が、同軸に離間して配置されるか、または、適切な場合に、さらに角度をなして配置されるかは、前記第１の締結領域の内周側の前記ブーツの中心軸に基づいて、選択する。漏出グリースを支持するブーツの内側と外側との必然的な対応付けられた接続によって、常に通気状況であることが回避される。前記第１の機械部品の表面は平坦であり、特に、周方向溝のような窪みなしに形成されるか、または浅い窪み、特に浅い周方向溝を１つのみ有することを意味する。

好ましくは、前記第１の締結領域の内周の平面図において、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または前記少なくとも１つの第２の通気手段は、略楕円形である。この平面図は、前記第１の締結領域の内周の表面に基づいて略垂直に作製される。前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、正確に楕円形である必要はない。その形状は、基本的に楕円に対応する主軸と短軸を有する限り、むしろ異なってもよい。前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、基本的に細長い形状である。好ましくは、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または前記少なくとも１つの第２の通気手段の主軸は、前記ブーツの中心軸と略同軸に形成される。特に、同軸配置から最大で約±２０°、さらに好ましくは約±１０°の偏差が可能であり、本発明に記載の「略同軸に」という表現に含まれる。

断面から見ると、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、略凸形状である。この凸形状は、特に、凸形湾曲を有する前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段の両側の前記第１の締結領域の内周の表面からの移行を指す。これらの２つの凸形湾曲部の間の中間部において、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、平坦に形成されてもよく、または湾曲してもよい。平坦形状の場合、中間部は、その非装着状態では、ブーツの前記第１の締結領域の内周の表面に略平行に形成される。前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段の凸形湾曲の移行領域内において、前記第１の締結領域の内周の表面からの最も滑らかな移行を達成するために、凹状湾曲を有する湾曲領域を配置することができる。楕円形として扱う代わりに、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、楕円形凸状として、またはレンズ状に形成されたものとして扱うこともできる。前述の用語は、本発明によれば、「略楕円形」という表現に含まれる。

本発明によれば、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または第２の通気手段は、ブーツを第１の機械部品に装着する際に、組み立て中に空気および／またはグリースがブーツの内部から逃げることができる通路開口が設けられるように形成される。さらに、有利には、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、第１の機械部品へのブーツの組み付けが完了した後の、前記第１の締結領域の領域における十分な封止効果を阻害しないように形成される。前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段が使用中に磨耗して、封止効果をさらに向上させるように設けることもできる。

特に好ましい実施形態において、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、前記第１の締結領域と一体的に形成される。特に好ましくは、全ての第１の通気手段および／または第２の通気手段は、前記第１の締結領域と一体的に設計される。本発明に係るブーツの材料、前記第１の締結領域材料、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の材料は、熱可塑性エラストマー材料（ＴＰＥ）を含む群から選択され、特に、熱可塑性ポリエステルエラストマー（ＴＥＥＥ）を含む群から選択される。しかし、例えば、熱可塑性加硫物（ＴＰＶ）または熱可塑性オレフィンおよびポリクロロプレンを使用することもできる。

好ましくは、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段は、前記第１の締結領域の内周の表面上における前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および／または前記少なくとも１つの第２の位置決め手段の下に、少なくとも部分的に配置される。好ましくは、前記少なくとも１つの第１の通気手段も、前記少なくとも１つの第２の通気手段も、前記第１の締結領域の内周の表面上における前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および前記少なくとも１つの第２の位置決め手段の下に配置される。本発明の構成により、本発明に係るブーツの第１の機械部品への組み付けが完了した後に十分な封止効果を阻害しないよう、前記少なくとも１つの第１の締結手段および前記少なくとも１つの第２の締結手段の間に、比較的大きな距離が得られる。締結手段、特に圧縮リングまたはクランプストラップによって取り付けることにより、完全な封止を得ることができる。このように、好ましくは、締結手段を用いて取り付けた後、前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および前記少なくとも１つの第２の位置決め手段の間に、ビード状の材料の変位を有する領域が前記第１の締結領域の内周において形成され、その表面は、有利に設けられた周方向溝内において前記第１の機械部品の表面と接触している。１つ以上の第１の通気手段および第２の通気手段が設けられる場合、材料の変位は、周方向リングビードとして形成することもできる。これにより、十分な封止効果が得られる。

前記第１の位置決め手段および／または第２の位置決め手段はそれぞれ、外側面と内側面とを有し、好ましくは、それらの間に配置された上面をも有する。本発明により、このように形成された前記第１の位置決め手段および／または第２の位置決め手段による位置決めでは、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、少なくとも内側面の下に配置され、さらに好ましくは、前記第１の位置決め手段および／または第２の位置決め手段の上面の少なくとも一部の下にも配置される。前記第１の位置決め手段および／または第２の位置決め手段の上面は、この場合、好ましくは、前記第１のバインダシート領域の表面と基本的に平行に形成される。前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段は、完全に前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および前記少なくとも１つの第２の位置決め手段の下に配置することもできる。しかしながら、これは、本発明の目的を達成するためには必要ではない。特に、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段の少なくとも一部が、前記少なくとも１つの第１の位置決め手段および少なくとも１つの第２の位置決め手段の下に配置されていれば十分である。一般的に機能によるが、締結手段を用いて第１の機械部品上にブーツを取り付ける組み立てが完了した後に、通気手段の間の領域に十分な封止を形成するために、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の間に十分な空間が形成される。

好ましくは、前記第１のバインダシート領域の表面は、前記第１の締結領域の内周の表面に略平行に形成される。さらに好ましくは、前記第１のバインダシート領域の表面も前記第１の締結領域の内周の表面も平坦であり、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段を除いて、いかなる隆起および／または凹みもない。上記実施形態の場合、本発明に係るブーツの第１の機械部品への組み付けが完了したときに、確実な封止効果が得られ、同時に、組み立て中、特に前記締結手段を配置して閉鎖する前または最中に、通路開口を提供することができる。

さらに、本発明は、上記本発明のブーツを第１の機械部品、特にシャフトに取り付ける方法に関し、該方法において、締結手段を、特に締結手段による圧力を前記第１の締結領域に加えることによって、少なくとも前記第１の締結領域の内周の表面と前記第１の機械部品の表面との間の部分領域に取り付けるとき、通路開口を提供する方法で、前記第１の直径を有する前記第１の締結領域の、締結手段による前記第１の機械部品への取り付けが実現される。特に好ましくは、前記第１の締結領域は、前記第１の機械部品を第２の機械部品に配置するために拡張され、さらに好ましくは、前記第１の締結領域の全周を超えて拡張される。本発明のブーツを取り付けるための別の方法において、ブーツは第１の機械部品、特にシャフトに取り付けられ、前記第１の締結領域は、前記第１の機械部品を第２の機械部品に配置するために拡張され、さらに好ましくは、前記第１の締結領域の全周を越えて拡張され、少なくとも前記第１の締結領域の内周の表面と前記第１の機械部品の表面との間の部分領域において通路開口を提供する。前記第１の締結領域を、好ましくは前記第１の締結領域の全周を超えて拡張した後に、本発明のブーツに使用される材料の弾性特性のため、前記第１の締結領域が拡幅前の初期位置に戻り、その結果、第１の機械部品における、前記第１の締結領域を備えた前記ブーツの一種の予備組み立てが行われる。

本発明の方法により、本発明に係るブーツの前記第１の締結領域は、好ましくは、浅い形状を有し得る周方向溝の領域において、前記第１の機械部品、例えばシャフトに配置される。しかし、このような溝は必ずしも必要ではない。拡張後、本発明の他の方法において、前記締結手段、特に圧縮リングまたはクランプストラップは、前記第１のバインダシート領域に配置され、前記ブーツは前記第１のバインダシート領域によって締結される。これにより、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の間の通路開口および複数通路開口部が閉鎖され、周方向リングビードの形状を有し得る周方向の材料の変位の領域、材料の蓄積が形成され、したがって、十分な封止効果を生じる。

本発明に係る方法の好ましい実施形態において、前記第１の機械部品に取り付ける前に、ブーツは、前記より大きい第２の直径を有する前記第２の締結領域により第２の機械部品、例えばジョイントハウジングの外側部分に取り付けられる。特に、そのような配置の場合、前記第１の機械部品が前記第２の機械部品に配置されるときに、前記ブーツ内の過圧が発生するが、前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または少なくとも１つの第２の通気手段を設けることによってその発生が防止される。

本発明に係る方法のさらに好ましい実施形態において、前記第１の締結領域が締結手段によって前記軸方向に離間して配置された第１の通気手段および第２の通気手段の間に取り付けられたときに、ビード状の材料の変位または材料の蓄積の領域が形成され、このような材料の変位または材料の蓄積の表面は、前記第１の機械部品の表面と接触する。一対のみの第１の通気手段および第２の通気手段が存在し、好ましくは互いに対向して軸方向に変位して配置されている場合、それらの間の領域に、前記締結手段によって前記第１の締結領域を備えるブーツを前記第１の機械部品上に取り付ける際に、ビード状の変形が形成され、該ビード状の変形は周方向ではない。これも十分な封止を提供する。例えば、複数対のこのような第１の通気手段および第２の通気手段が前記第１の締結領域に配置されている場合、材料の変位は周方向リングビードとして形成される。

最後に、本発明は、シャフト、特にプランジング型等速ジョイントおよび固定式ジョイント用ジョイントシャフトを封止するための上記本発明のブーツの応用に関する。本発明の別の目的は、本発明に係るブーツと、好ましくはプランジング型等速ジョイントまたは固定式ジョイントとを含むジョイント装置である。本発明に係るジョイント装置は、好ましくは、特に回転ベローズである前記ブーツの前記第１の締結領域を、第１の機械部品としてのシャフトに取り付けるための第１の締結手段と、ブーツの第２の締結領域を、第２の機械部品としてのジョイントケーシングに取り付けるための第２の締結手段とを、さらに含む。締結位置および閉鎖位置で、前記第１の締結領域において、前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段の間に、材料の変位または材料の蓄積が発生し、材料の変位または材料の蓄積の表面は、シャフトの表面と接して封止を提供し、グリースがブーツの内部から逃げることを防止する。

本発明のそれらのおよび更なる利点を、以下の図面を参照しながらより詳細に説明する。図面は以下のとおり示す。

図１は、本発明に係るブーツの斜視図である。
図２は、図１のブーツの第１の締結領域の拡大斜視図である。
図３は、本発明に係るブーツの一実施形態の第１のバインダシート領域を通り、非組み立て状態で、互いに対向して対をなして配置された第１の通気手段および第２の通気手段を有する断面である。
図４は、図３の、拡張後に第１の機械部品に配置されたブーツの断面図である。
図５は、図３の、締結手段によって第１の機械部品に堅固に取り付けられたブーツを示す断面図である。

図１は、斜視図において、第１のバインダシート領域１４を備える第１の締結領域１２と、第２のバインダシート領域４２を備える第２の締結領域４０とを有し、前記第２の締結領域４０が第１の締結領域１２の第１の直径よりはるかに大きい第２の直径を有する本発明に係るブーツ１０を示す。第１と第２の締結領域１２、４０の間に中間部４８が配置されている。これは、例えば、図１の実施形態に係る回転ベローズのように形成されてよいが、例えば、本発明に係るブーツが折畳みベローズとして形成されている場合は、折畳みベローズのように形成されてもよい。図１のブーツ１０の実施形態の場合、さらに、第１の締結領域１２の方向に先細りになる円錐形突起５０が配置されている。

第１のバインダシート領域１４は、互いに対向して対をなして配置されると共に、第１の締結領域１２の外周で軸方向に変位した耳状の第１の位置決め手段１６と第２の位置決め手段１８とを有する。それらの間に、隆起や窪みのない平坦な表面を有するバインダシート領域１４が形成されている。

第２のバインダシート領域４２は、第１の締結領域１２と同様に、対をなして互いに対向して軸方向に変位した耳状突起として形成される第１の位置決め手段および第２の位置決め手段４４および４６によって画定される。ここで、バインダシート領域４２は、第１のバインダシート領域１４と比較して、その表面がその外周において平坦に成形されないように、複数の周方向環状溝を有する。

図２は、図１のブーツ１０の第１の締結領域１２の実施形態の拡大図を示す。ここで、円錐形突起５０内の材料を厚くすることによって形成される、壁の領域における第２の位置決め手段１８の配置が特に見られる。さらに、内周２５の表面２４上に配置された第１の通気手段および第２の通気手段２０、２２が見られ、それらは互いに対向して対をなして配置されると共に、互いに軸方向に離間している。平面図では、それらは略楕円形である。第１の通気手段および第２の通気手段２０および２２を通過する主軸２６は、ブーツ１０の中心軸２８（図１参照）と同軸に配列されている。

第１の通気手段および第２の通気手段２０および２２の正確な配置は、図３の断面図で容易に見られる。第１の通気手段２０および第２の通気手段２２は、断面図に見られるように、凸形状である。両方とも内周２４の表面２５より突出している。それらの間の中間部では、それらは平らな形状に形成されている。中間部の表面は、第１のバインダシート領域１４の表面と、内周２４の表面２５とそれぞれ略平行に形成されている。

第１の通気手段２０は、第１の位置決め手段１６の下に部分的に配置されている。それは、特に、少なくとも部分的に第１の位置決め手段１６の表面５４の下にあるように内側面５２．２の下に配置され、前記第１の位置決め手段１６はさらに外側面５２．１を有する。第２の通気手段２２は、部分的に内側面５６．１の領域において第２の位置決め手段１８の下に配置されると共に、少なくとも部分的にその上面５８の下に配置されている。第２の位置決め手段は、さらに外側面５６．２を有する。

図４は、上面６０を有する第１の機械部品の貫通によって拡張した第１の締結領域１２の断面図において、本発明に係るブーツの実施形態を示し、特に、第２の締結領域４０を介して第２の機械部品に既に取り付けられているブーツを示す。この状態は、予め組み立て状態と記述してもよい。第１の通気手段２０と第２の通気手段２２との間には、第１のおよび第２の通気手段２０、２２の前後で延在し、さらに第１の締結領域１２の内端および外端まで延在している通路開口６２の一部が形成されている。この状態で、空気だけでなく、グリースも本発明のブーツの内部から矢印６６の方向に逃げることができる。ブーツ１０用の材料の弾性特性のため、第１の機械部品上に予め組み立てられたブーツ１０がそこに設けられた平坦な環状ビードに保持されるように、圧力が矢印３２の方向に加えられる。

図５は、第１のバインダシート領域１４に締結手段７０、例えば圧縮リングを取り付けた後の、図３および図４の第１の締結領域１２の装着済み状態を示す。このようにして、第１のバインダシート領域１４の材料は、第１の通気手段２０と第２の通気手段２２との間で、ビード状材料の変位６４の形態で、ビード６４の表面が第１の機械部品の表面６０と接触するように、変位する。これにより、ブーツ１０の第１の機械部品に対する十分な封止効果が発生する。

図面に示された特徴は、これらの特定の実施形態に限定されない。むしろ、各特徴は、図画の説明を含む説明に示された特徴と組み合わせて、別の実施形態を得ることができる。本発明の目的は、特に、図面に示すようなブーツの実施形態そのものに限定されるものではない。ブーツは、例えば折畳みベローズとしても設計することができる。第１の位置決め手段および第２の位置決め手段１６、１８および４４、４６を含む第１の締結領域１２および第２の締結領域１４の設計についても同様である。さらに、第１のバインダシート領域１４および第２のバインダシート領域４２の表面の設計についても同様である。最後に、第１の通気手段および第２の通気手段２０および２２の設計および配置についても同様であり、例えば、別の形態であってもよいし、若しくは、より多いまたはより少ない数で、対をなして互いに対向すると共に、互いに変位し、例えば、第１の締結領域１２の内周２４の表面２５上で軸方向に変位して配置されてもよい。対応する通気手段は、例えば、第２の締結領域４０の内周に配置することもできる。

本発明は、有利には、ブーツを第１および第２の機械部品に装着する際の内圧の発生を防止すると共に、組立後に、ブーツのグリース充填物のグリースが逃げないようにする十分な封止効果を提供するブーツを提供する。これは、ブーツが第２の締結領域により、大きい直径を有する第２の機械部品に既に組み立付けられているため、第１の機械部品を、ブーツの第１の締結領域内の小さい直径の小さい開口を通って押圧しなければならない場合に、特に有利である。

Claims (13)

1. 第１の直径を有する第１の締結領域（１２）と、第２の直径を有する第２の締結領域（４０）とを含み、前記第１の直径は前記第２の直径よりも小さく、前記第１の締結領域（１２）は、その外周にバインダシート領域（１４）を含むブーツ（１０）において、前記第１の締結領域（１２）の内周（２４）において、少なくとも１つの第１の通気手段および少なくとも１つの第２の通気手段（２０，２２）が、平坦な表面（２５）で形成された前記内周（２４）において互いに軸方向に離間して配置され、前記内周（２４）の前記表面（２５）より突出しており、
   前記軸方向に離間している前記第１の通気手段および前記第２の通気手段（２０，２２）の間に、前記ブーツ（１０）に取り付けられる第１の機械部品の表面（６０）と接触するビード状材料の変位（６４）を有する領域が形成されるように締結手段（７０）が設けられていることを特徴とするブーツ。
2. 前記少なくとも１つの第１の通気手段および前記少なくとも１つの第２の通気手段（２０，２２）が、対をなして互いに対向して前記第１の締結領域（１２）の前記内周（２４）の前記表面（２５）に配置されることを特徴とする請求項１に記載のブーツ。
3. 少なくとも３つの第１の通気手段および少なくとも３つの第２の通気手段（２０，２２）が、前記第１の締結領域（１２）の前記内周（２４）の前記表面（２５）に均一に配置されるように設けられることを特徴とする先行する請求項１または２に記載のブーツ。
4. 前記第１の通気手段および／または前記第２の通気手段（２０，２２）は、平面視において、長軸及び短軸を有する形状であることを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載のブーツ。
5. 前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または前記少なくとも１つの第２の通気手段（２０，２２）は、前記第１の締結領域（１２）と一体的に設計されることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載のブーツ。
6. 前記少なくとも１つの第１の通気手段および／または前記少なくとも１つの第２の通気手段（２０，２２）は、少なくとも部分的に、少なくとも１つの第１の位置決め手段および／または少なくとも１つの第２の位置決め手段（１６，１８）の下にあるように、前記第１の締結領域（１２）の前記内周（２４）の前記表面（２５）上に配置されていることを特徴とする請求項１〜５のいずれかに記載のブーツ。
7. 前記バインダシート領域（１４）の一つの表面（３０）は、前記第１の締結領域（１２）の前記内周（２４）の前記表面（２５）に略平行に形成されることを特徴とする請求項１〜６のいずれかに記載のブーツ。
8. 請求項１〜７のいずれかに記載のブーツ（１０）を第１の機械部品に取り付ける方法であって、締結手段（７０）を前記第１の直径を有する前記第１の締結領域（１２）の外周の前記バインダシート領域（１４）に配置するとき、少なくとも前記第１の締結領域（１２）の前記内周（２４）の前記表面（２５）と前記第１の機械部品の表面（６０）との間の部分領域に通路開口（６２）を提供する形で、前記第１の直径を有する前記第１の締結領域（１２）を、前記締結手段（７０）によって前記第１の機械部品に取り付け、
   軸方向に離間している第１の通気手段および第２の通気手段（２０，２２）の間において、前記締結手段（７０）によって前記第１の締結領域（１２）を締結することにより、ビード状材料の変位（６４）を有する領域を形成し、該領域は前記第１の機械部品の前記表面（６０）と接触することを特徴とする方法。
9. 前記第１の機械部品を第２の機械部品に配置するために、前記第１の締結領域（１２）を拡張することを特徴とする請求項８に記載の方法。
10. 請求項１〜７のいずれか一項に記載のブーツ（１０）を第１の機械部品に取り付ける方法であって、前記第１の機械部品を第２の機械部品に配置するために、少なくとも前記第１の締結領域（１２）の前記内周（２４）の前記表面（２５）と前記第１の機械部品の表面（６０）との間の部分領域に通路開口（６２）を提供するように、前記第１の締結領域（１２）を拡張する方法。
11. 前記ブーツ（１０）を前記第１の機械部品に取り付ける前に、前記ブーツ（１０）を、より大きい前記第２の直径を有するその第２の締結領域（４０）により、第２の機械部品の外側部分に取り付けることを特徴とする請求項８〜１０のいずれかに記載の方法。
12. シャフトを封止するための、請求項１〜７のいずれかに記載のブーツ。
13. 請求項１〜７のいずれかに記載のブーツ（１０）を含むジョイント装置。
    
    
    

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