JP6703574B2 - 電気モジュールおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電気モジュールおよびその製造方法に関する。
近年、クリーンな発電源として、光エネルギーを直接かつ即時に電力に変換することができ、二酸化炭素等の汚染物質を排出しない電気モジュールとして太陽電池が注目されている。
最近では、色素増感太陽電池をはじめとする太陽電池の実用化に向けて、ロール・ツー・ロール方式(以下、RtoR方式と記載する)を導入した連続生産が検討されている。
RtoR方式を導入した色素増感太陽電池の製造方法は、例えば、光電極支持体の面に光電極導電層を設け、光電極導電層の面の所定の領域に、増感色素を担持した無機半導体層と封止材と電荷移動体をそれぞれ設けて、光電極を作製する。これとは別に、対向電極支持体の面に対向電極導電層を設け、対向電極導電層の面に触媒層を設けて対向電極を作製する。その後、無機半導体層と触媒層とが対向するように、光電極と対向電極とを貼り合わせて、色素増感太陽電池を作製する。色素増感太陽電池の光電極と対向電極は、光電極導電層と対向電極導電層とが封止材を介して接合している。
例えば、特許文献1には、対向する光電極及び対向電極の所定の部分に超音波振動を付与し、光電極支持体と対向電極支持体とを融着して封止するととともに絶縁する方法が開示されている。
国際公開第2014/030736号
しかし、光電極と対向電極に超音波振動を付与して融着部を形成すると、色素増感太陽電池の動作不良が生じることがある。
本発明者等の知見によれば、超音波振動を付与すると、光電極と対向電極との融着部に近い領域で、封止材と光電極導電層との間、及び封止材と対向電極導電層との間に電解質が流出する現象(液漏れ)が発生する場合がある。液漏れが発生すると太陽電池の動作不良が生じやすい。
本発明は、光電極と対向電極との融着部に近い領域における液漏れを、良好に防止する電気モジュールおよびその製造方法を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
[1]光電極、前記光電極と離間して対向する対向電極、前記光電極と前記対向電極との間に位置する電荷移動体、及び前記光電極と前記対向電極との間に位置して前記電荷移動体を封止する封止材を有する電気モジュールであって、
前記光電極は、光電極支持体、前記光電極支持体上に位置する光電極導電層を有し、
前記対向電極は、対向電極支持体、及び前記対向電極支持体上に位置する対向電極導電層を有し、
前記電荷移動体は、前記光電極と前記対向電極とを融着した融着部と、前記光電極と、前記対向電極と、前記封止材とで囲まれた領域Sに存在し、
前記領域Sにおける、前記光電極支持体の最大厚みをT1、前記対向電極支持体の最大厚みをT2とし、前記領域Sに隣接する前記融着部の最小厚みをT3とするとき、T3/(T1+T2)で表される値が0.4〜1であることを特徴とする電気モジュール。
[2]前記電気モジュールが色素増感太陽電池であり、前記光電極が前記光電極導電層上に位置する無機半導体層を有し、前記無機半導体層が増感色素を担持している、[1]の電気モジュール。
[3][1]又は[2]の電気モジュールを製造する、電気モジュールの製造方法であって、前記光電極の、前記対向電極側となる面に前記電荷移動体及び前記封止材を設け、前記光電極と前記対向電極とを貼り合わせ、前記T3/(T1+T2)で表される値が0.4〜1となるように前記融着部を形成する、電気モジュールの製造方法。
本発明に係る電気モジュールによれば、光電極と対向電極との融着部に近い領域における液漏れを良好に防止できる。その結果、電気モジュールの動作不良を良好に防止できる。
本発明の一実施形態に係る電気モジュールの平面図である。 図1に示す(ii)−(ii)断面図である。 図1に示す(iii)−(iii)断面図である。 本発明の一実施形態に係る電気モジュールの製造装置の概略図である。 図4に示す製造装置で用いられる融着部形成装置の断面図である。 本発明の他の実施形態に係る電気モジュールの平面図である。
以下、図面を参照して本発明に係る電気モジュールの実施の形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、便宜上、特徴となる部分を拡大して示しており、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更できる。
以下の説明においては、本発明に係る電気モジュールの一例として、RtoR方式を用いて製造されるフィルム型の色素増感太陽電池を挙げて説明する。ここで、本発明を適用した電気モジュールは、色素増感太陽電池に限定されず、二枚の電極同士を、封止材を介在させて貼り合わせたものであれば、色素増感太陽電池以外の電気モジュールも全て含むものである。
[電気モジュール(色素増感太陽電池)の構成]
図1〜図3に示すように、本発明を適用した本実施形態の色素増感太陽電池(電気モジュール)1は、光電極10と、対向電極20と、電荷移動体30と、封止材40と、導通材50と、融着部60を有する。光電極10と対向電極20とは離間して対向している。
電荷移動体30は、光電極10と対向電極20の間に位置している。封止材40及び融着部60は、電荷移動体30を封止している。電荷移動体30は、光電極10、対向電極20、封止材40、及び融着部60で囲まれた領域Sに存在する。電荷移動体30は、光電極10及び対向電極20の双方に接している。
導通材50は、光電極10と対向電極20の間に位置している。電荷移動体30と導通材50の間に封止材40が位置している。導通材50は、光電極10及び対向電極20の双方に接している。
光電極10は、光電極支持体12と光電極導電層14と無機半導体層16とを有する。
光電極支持体12の表面に平行な面内において、封止材40が延長する方向をD2方向、D2方向に垂直な方向をD1方向とする。色素増感太陽電池1を平面視した図1において、電荷移動体30を挟む2つの封止材40は互いに平行であり、D2方向に平行である。
光電極導電層14は、光電極支持体12上に位置している。無機半導体層16は、光電極導電層14上に位置している。即ち、光電極支持体12と光電極導電層14と無機半導体層16とは、この順で位置している。
無機半導体層16は、電荷移動体30に接している。無機半導体層16は、光電極導電層14の一部を覆っている。無機半導体層16の外方で、光電極導電層14の一部は、電荷移動体30と接している。無機半導体層16は増感色素を担持している。
なお、電荷移動体30が存在する領域において、無機半導体層16が光電極導電層14の全面を覆っていてもよい。
光電極支持体12の材質は、RtoR方式を用いた連続生産に適用できる程度に柔軟性を有し、大面積フィルム状に形成可能な材質であれば、特に限定されない。
光電極支持体12の材質として、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、又はポリイミド等の透明の樹脂材料が挙げられる。
光電極導電層14は、光電極支持体12の対向電極20側の面の全体にわたって成膜されている。
光電極導電層14は、導電性を有すれば、特に制限されない。光電極導電層14は、従来公知の色素増感太陽電池用の導電層である。光電極10が光入射面を形成する場合、光電極導電層14は光透過性を有する。即ち、光電極導電層14としては、いわゆる透明導電層が好ましい。
光電極導電層14の材質として、例えば、金、白金、銀、銅、クロム、タングステン、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ニッケル、マンガン、亜鉛、鉄及びこれらの合金等の金属;フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物、CuI、インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)等の導電性透明無機材料;導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの素材は、1種単独でもよいし、2種以上の組み合わせでもよい。
光電極導電層14の厚みは、光電極導電層14を構成する素材に応じて、適宜決定する。光電極導電層14が金属の場合、光電極導電層14の厚みは、10〜50nmが好ましい。光電極導電層14が導電性透明無機材料又は導電性透明ポリマーの場合、光電極導電層14の厚みは、50nm〜500μmが好ましい。
光電極導電層14の厚みは、光電極支持体12の面と直交する断面の画像における、任意の10点の測定値の平均値である。
無機半導体層16は、増感色素を吸着可能な半導体材料であればよい。半導体材料は、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム等の酸化物、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、酸化第一銅、三酸化モリブデン、五酸価バナジウム、酸化タングステン等の酸化物、チオシアン酸銅(I)、ヨウ化銅、二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、硫化銅(I)等が挙げられる。
無機半導体層16は、稠密層でもよく多孔質層でもよい。色素増感太陽電池1の光電変換効率のさらなる向上の点から、無機半導体層16は、多孔質層が好ましい。
無機半導体層16の厚みは、500nm〜100μmが好ましい。無機半導体層16の厚みは、光電極支持体12の面と直交する断面の画像における、任意の10点の測定値の平均値である。
増感色素は、有機色素又は金属錯体色素から構成される。有機色素としては、例えば、クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、又はチオフェン系等の各種有機色素等が挙げられる。金属錯体色素としては、例えば、ルテニウム錯体等が挙げられる。
対向電極20は、対向電極支持体22と、対向電極導電層24とを有する。対向電極導電層24は、対向電極支持体22上に位置している。
光電極10と対向電極20とは、無機半導体層16と対向電極導電層24とを向き合わせて、対向している。
対向電極支持体22の材質は、光電極支持体12と同様に、RtoR方式を用いた連続生産に適用できる程度に柔軟性を有し、大面積フィルム状に形成可能な材質であれば、特に限定されない。対向電極支持体22の材質としては、例えば、光電極支持体12と同様の樹脂材料が挙げられる。
対向電極導電層24の素材は、光電極導電層14の素材と同様に、金属、導電性透明無機材料、導電性透明ポリマー等である。対向電極導電層24と光電極導電層14とは、同じでもよいし、異なってもよい。対向電極20が光入射面を形成する場合、対向電極導電層24は、光透過性を有する。この場合、対向電極導電層24としては、いわゆる透明導電層が好ましい。
対向電極導電層24の好ましい厚みは、光電極導電層14の好ましい厚みと同様である。対向電極導電層24の厚みは、光電極導電層14の厚みと同じでもよいし、異なってもよい。
対向電極導電層24上に触媒層26が位置してもよい。触媒層26は、対向電極導電層24の光電極10側の面に、互いに離間して複数設けられている。触媒層26は、電荷移動体30に接している。触媒層26の外方で、対向電極導電層24の一部は、電荷移動体30と接している。
触媒層26の材質としては、例えば、PEDOT、プラチナ、ITO、ポリアニリン、又はカーボン等が挙げられる。
触媒層26の厚みは、2nm〜500μmが好ましい。触媒層26の厚みは、光電極支持体12の面と直交する断面の画像における、任意の10点の測定値の平均値である。
電荷移動体30は、電解液又はゲル電解質である。本実施形態の電荷移動体30は、無機半導体層16、光電極導電層14、触媒層26、及び対向電極導電層24に接している。電荷移動体30は、増感色素に電子を供給可能な酸化還元対を有する。
電解液は、分散媒(以下「電解液分散媒」ということがある)と、電解液分散媒に分散している酸化還元対とを有する。ゲル電解質は電解液をゲル状にしたものである。ゲル電解質の製造方法は、例えば、電解液にゲル化剤又は増粘剤を加えてゲル状又にする。ゲル電解質の電荷移動体30は色素増感太陽電池1の耐久性を高めることができる。
電解液分散媒は、非水系溶剤、イオン液体等である。非水系溶剤は、アセトニトリル、プロピオニトリル等である。イオン液体は、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、ヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム等である。
酸化還元対は、支持電解質とハロゲン分子との組み合わせである。
支持電解質は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等のヨウ素塩等のヨウ化物;臭化ナトリウム、臭化カリウム等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド、イミダゾリウムブロマイド等の臭素塩等の臭素化合物である。
ハロゲン分子は、ヨウ素分子、臭素分子等である。
支持電解質とハロゲン分子との組み合わせとしては、ヨウ化物とヨウ素分子との組み合わせ、臭素化合物と臭素分子との組み合わせが好ましい。
封止材40は、光電極10と対向電極20との間に位置する。封止材40の厚み方向の両端は、光電極10及び対向電極20にそれぞれ接合している。封止材40は融着部60とともに電荷移動体30を封止する。
本実施形態において、封止材40の厚み方向の両端は、光電極導電層14及び対向電極導電層24にそれぞれ接合している。
封止材40は、電荷移動体30を封止できればよく、光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂等、従来公知の封止材を使用できる。
封止材40の厚みは、10〜200μmが好ましい。封止材40の厚みは、光電極支持体12の面と直交する断面の画像における、任意の10点の測定値の平均値である。
D1方向において隣り合う封止材40の間に導通材50が位置している。導通材50は、光電極導電層14及び対向電極導電層24に接している。
導通材50の材質としては、導通可能な素材であれば特に限定されず、例えば、公知の導電材、導電ペースト、又は導電性微粒子と接着剤の混合物等が挙げられる。
色素増感太陽電池1を所望のパターンで切り出す際に、導通材50の切断が容易である点からは、導通材50の材質として、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の接着剤に、適量の導電性微粒子を混合した導通ペーストが好ましい。導通材50は、封止材40と同様の材料からなるバインダーを含んでもよい。
色素増感太陽電池1を平面視した図1において、光電極導電層14と対向電極導電層24と封止材40とが重なる領域には、帯状の第一絶縁部(絶縁部)41又は第二絶縁部(絶縁部)42が存在している。
第一絶縁部41は、光電極導電層14を貫通する切断部である。第一絶縁部41は、光電極導電層14を分断して電気的に絶縁している。
第二絶縁部42は、対向電極導電層24を貫通する切断部である。第二絶縁部42は、対向電極導電層24を分断して電気的に 絶縁している。
D1方向において、第一絶縁部41と第二絶縁部42は交互に存在している。
融着部60は、光電極10と対向電極20に外力を加えて圧着した部分である。例えば、後述の図5に示すように、光電極10と対向電極20を貼り合わせた状態で、超音波振動を付与し、光電極支持体12と対向電極支持体22とを接合する。なお、図示していないが、融着部60中に、光電極導電層14、無機半導体層16、対向電極導電層24、触媒層26等がわずかに残っている場合があるが、これらの層は超音波振動の作用で分断されており、融着部60は、電気的に絶縁している。
融着部60は、図1に示すように、D2方向において、所定の間隔で存在する。
図3に示すように、光電極10、対向電極20、封止材40、及び融着部60で囲まれた領域Sにおける、光電極支持体12の最大厚みをT1、対向電極支持体22の最大厚みをT2とし、領域Sに隣接する融着部60の最小厚みをT3とするとき、T3/(T1+T2)で表される比は0.4〜1である。
1個の色素増感太陽電池1に複数の融着部60が存在する場合は、全部の融着部60が上記T3/(T1+T2)の範囲内にあることを意味する。
光電極支持体12の最大厚みT1、対向電極支持体22の最大厚みT2、及び融着部60の最小厚みT3は、光電極支持体12の面と直交する断面における測定値である。
T3/(T1+T2)の値が0.4以上であると、融着部60に近い領域における液漏れが生じ難く、1以下であると融着部の絶縁性に優れる。T3/(T1+T2)の値は0.4以上1未満が好ましく、0.5〜0.9がより好ましく、0.6〜0.8がさらに好ましい。
T3/(T1+T2)の値は、融着部60の形成条件によって調整できる。例えば、融着時に、光電極10及び対向電極20に加える外力が大きくなると、T3/(T1+T2)の値は小さくなる。
T1は、10〜500μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。T2は、10〜500μmが好ましく、50〜150μmがより好ましい。T1とT2は、同じでもよく、異なってもよい。T1、T2が上記範囲の下限値以上であると充分な製品強度が得られやすく、上限値以下であると製品を充分に薄型化できる。
T1及びT2は超音波振動の作用を受けていないため、電気モジュールを組み立てる前の、光電極支持体12の厚み及び対向電極支持体22の厚みと同じとみなすことができる。組み立て前の支持体等の厚みは、接触式のマイクロメータで測定でき、任意の10点の厚みの測定値の平均値を採用する。
[電気モジュールの製造方法]
本実施形態の電気モジュールの製造方法は、図4に例示する製造装置100を用いて、所定の方向D3に沿って連続的に搬送される光電極10上に、封止材40、導通材50及び電荷移動体30を設け、所定の方向D4に沿って連続的に搬送される対向電極20を貼り合わせた後、融着部60を形成して、図1〜図3に示す構成の色素増感太陽電池1を連続的に製造する方法である。
まず、図示略のRtoR方式を採用した装置を用いて、光電極支持体12を所定の方向に沿って連続的に搬送しながら、公知のスパッタリング法や印刷法等を用いて、光電極支持体12の表面に光電極導電層14を形成する。次いで、公知のエアロゾルデポジション法(Aerosol Deposition method:AD法)を用いて、光電極導電層14の所定の位置に無機半導体層16を形成する。次いで、公知の方法で、無機半導体層16に増感色素を吸着させて光電極10を得る。光電極10を、無機半導体層16を外側にした状態でロール状に巻き取る。
光電極導電層14を形成した後、無機半導体層16を形成する前の状態で、一旦ロール状に巻き取ってもよい。また、光電極10を形成した後、巻き取らずに、次工程を行ってもよい。
これとは別に、図示略のRtoR方式を採用した装置を用いて、対向電極支持体22を所定の方向に沿って連続的に搬送しながら、公知のスパッタリング法や印刷法等を用いて、対向電極支持体22の表面に対向電極導電層24を形成する。次いで、公知のスパッタリング法や印刷法等を用いて、対向電極導電層24の所定の位置に触媒層26を形成して対向電極20を得る。対向電極20を、触媒層26を内側にした状態でロール状に巻き取る。
対向電極導電層24を形成した後、触媒層26を形成する前の状態で、一旦ロール状に巻き取ってもよい。また、対向電極20を形成した後、巻き取らずに、次工程を行ってもよい。
次いで、図4に示すように、製造装置100にロール状の光電極10及び対向電極20を設置する。
光電極10をD3方向に繰り出して搬送しながら、図示略の絶縁部形成装置を用いて、第一絶縁部41を形成する。絶縁部形成装置としては、例えば、ダイカットロールを備えた加工装置、レーザー加工装置等が挙げられる。
次に、搬送中の光電極10に、封止材塗布装置101を用いて封止材料を塗布し、未硬化の封止材40を形成する。続いて、導通材塗布装置102を用いて導通材50の材料を塗布し、導通材50を形成する。続いて、電解液塗布装置103を用いて電解液を塗布し、電荷移動体30を形成する。
一方、対向電極20をD4方向に繰り出して搬送しながら、図示略の絶縁部形成装置を用いて、第二絶縁部42を形成する。絶縁部形成装置は前記と同様である。
次に、一対の押圧ロール111、112の間に、電荷移動体30を形成した光電極10と、第二絶縁部42を形成した対向電極20とを、重ね合わせた状態で導入する。押圧ロール111、112は、これらの間を通過する光電極10及び対向電極20を互いに押圧する。
続いて、押圧ロール111、112を通過した直後に、図示略の硬化装置を用いて、未硬化の封止材40を硬化させて、光電極10と封止材40とを貼り合わせるとともに、対向電極20と封止材40とを貼り合わせる。例えば、未硬化の封止材40が光硬化性樹脂である場合、硬化装置としてUVランプを用いて紫外線を照射して封止材40を硬化させる。このようにして光電極10と対向電極20を、封止材40を介して貼り合わせる。
次に、図5に示すように、超音波振動を付与する超音波付与部115と、超音波付与部115に対向する台座116を備える融着部形成装置を用いて、所定の位置に融着部60を形成する。
超音波付与部115の先端部115aと、台座116の先端部116aには、それぞれ複数の凹凸が形成されている。両者の凹凸は互いに噛み合う形状である。超音波付与部115と台座116の間の距離は可変である。
貼り合された対向電極20と光電極10に、超音波付与部115の先端部115aと、台座116の先端部116aをそれぞれ接触させて、超音波付与部115と台座116との距離を縮小する。このようにして超音波振動を付与しながら加圧すると、光電極支持体12、対向電極支持体22、及びこれらの間に存在する封止材40等の構造物に、振動エネルギーが伝達されて摩擦熱が発生し、融点が低い構造物は溶融して流動する。また、前記構造物に金属のような剛体が存在する場合、該剛体は超音波振動によって破壊され、破壊された粒径が比較的小さければ拡散(移動)する。
その結果、光電極支持体12と対向電極支持体22との間に存在していた封止材40等の構造物が、融着部60に隣接する部分に押し出され、図3に示すように光電極支持体12と対向電極支持体22とが融着した融着部60となる。
以上の工程で、図1〜図3に示す色素増感太陽電池1を製造できる。この後、長尺の色素増感太陽電池1を、1つの融着部60を分断するように、融着部60の長さ方向(D1方向)に沿って切断して、実際に使用される大きさの色素増感太陽電池を切り出してもよい。
[変形例]
図1に示す実施形態では、融着部60をD1方向に平行(D2方向に垂直)に形成しているが、図6に例示する色素増感太陽電池2のように、融着部61をD1方向に対して斜めに形成してもよい。色素増感太陽電池2を融着部61に沿って切断すると、台形や平行四辺形の色素増感太陽電池が得られる。
図6において図1と同じ構成要素には同じ符号を付す。図6の例も図2に示す構造と同じ構造を有するが、一部の構成要素の図示を省略している。
融着部61とD1方向との角度θは、融着部61を形成する工程において、光電極10及び対向電極20の搬送方向(D2方向)と超音波付与部115との角度によって決まる。前記角度θは特に限定されず、所望の形状に応じて設定できる。例えば0〜45°が好ましい。色素増感太陽電池2に存在する複数のθは互いに同じでもよく、異なってもよい。
以下に、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されない。
[実施例1〜4、比較例1、2]
以下に示す材料を用いて、上記実施形態に示した電気モジュールの製造方法の手順で、図1〜図3に示す色素増感太陽電池(電気モジュール)1を製造した。各例において、融着部の最小厚みT3が表1に示す値となるように超音波融着条件を調整した。具体的には超音波付与部の先端部と台座の先端部との距離を調整した。なお、液漏れを観察するために、電解液を着色した。
・光電極支持体及び対向電極支持体…PET。
・光電極導電層及び対向電極導電層…FTO。
・無機半導体層…酸化チタンからなる多孔質層。
・増感色素…ルテニウム系色素
・触媒層…プラチナ
・電荷移動体…アセトニトリルに着色剤を添加した電解液。
・封止材…紫外線硬化型樹脂。
・導通材…積水化学工業製、ミクロパール(登録商標)AU−250。
光電極において、光電極支持体の厚み(T1)125μm、光電極導電層の厚み100nm、無機半導体層の厚み10μmとした。
対向電極において、対向電極支持体の厚み(T2)125μm、対向電極導電層の厚み100nm、触媒層の厚み10nmとした。
封止材の幅は2mm、封止材の厚みは50μmとした。
(液漏れ防止効果の評価)
各例において、得られた色素増感太陽電池の任意の10個の融着部を目視で観察して、電解液が封止材側に流出する現象(液漏れ)の有無を調べた。下記の評価基準で液漏れ防止効果を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:液漏れした融着部がゼロ。
B:液漏れした融着部が1個または2個。
C:液漏れした融着部が3個または4個。
D:液漏れした融着部が5個以上。
(融着部の絶縁性の評価)
各例において、前記液漏れの有無を調べた10個の融着部について、下記の方法で絶縁性試験をした。
[絶縁性試験の方法]
色素増感太陽電池を、1個の融着部を挟む両側の対向電極導電層が露出するように切断し、該両側の対向電極導電層にそれぞれテスター棒を当てて導通性を確認した。
テスターの表示が「オーバーロード」を示した場合は絶縁良好、「オーバーロード」以外を示した場合は絶縁不良と判定した。10個の融着部について判定した結果に基づき、下記の評価基準で絶縁性を評価した。結果を表1に示す。
[評価基準]
A:絶縁不良である融着部がゼロ。
B:絶縁不良である融着部が1個または2個。
C:絶縁不良である融着部が3個または4個。
D:絶縁不良である融着部が5個以上。
(剥離強度の評価)
各例において、前記液漏れの有無を調べた10個の融着部について、光電極支持体と対向電極支持体との剥離強度を、T字剥離強度試験方法に基づき、T字型のピール試験機、電動スタンド(型番:MX2−500N−L、製造販売元:株式会社イマダ)、デジタルフォースゲージ(型番:ZTS−100N、製造販売元:株式会社イマダ)を用いて測定した。前記剥離強度が6N/10mm以上であれば合格と判定した。耐久性の点では剥離強度が高い方が好ましい。
10個の融着部の測定結果の平均値を表1に示す。
Figure 0006703574
表1の結果に示されるように、T3/(T1+T2)が0.4〜1である実施例1〜4は電解液の液漏れ防止効果が良好であった。
一方、T3/(T1+T2)が0.4未満である比較例1は液漏れ防止効果に劣った。
1 色素増感型太陽電池(電気モジュール)、10 光電極、12 光電極支持体、14光電極導電層、20 対向電極、22 対向電極支持体、24 対向電極導電層、30 電荷移動体、40 封止材 60 融着部

Claims (3)

  1. 光電極、前記光電極と離間して対向する対向電極、前記光電極と前記対向電極との間に位置する電荷移動体、前記光電極と前記対向電極との間に位置して前記電荷移動体を封止する封止材、及び前記光電極と前記対向電極とを融着した融着部を有する電気モジュールであって、
    前記光電極は、光電極支持体、及び前記光電極支持体上に位置する光電極導電層を有し、
    前記対向電極は、対向電極支持体、及び前記対向電極支持体上に位置する対向電極導電層を有し、
    前記電荷移動体は、前記光電極と前記対向電極と前記封止材と前記融着部とで囲まれた領域Sに存在し、
    前記光電極支持体は樹脂材料からなり、前記対向電極支持体は樹脂材料からなり、前記電荷移動体は電解液であり、
    前記領域Sに隣接する前記融着部は、前記光電極と前記対向電極とが前記電荷移動体を介して対向する領域の一部において、前記光電極支持体と前記対向電極支持体とが超音波振動により接合した部位であり、
    前記領域Sにおける、前記光電極支持体の最大厚みをT1、前記対向電極支持体の最大厚みをT2とし、前記領域Sに隣接する前記融着部の最小厚みをT3とするとき、T3/(T1+T2)で表される値が0.4〜1であることを特徴とする電気モジュール。
  2. 前記電気モジュールが色素増感太陽電池であり、前記光電極が前記光電極導電層上に位置する無機半導体層を有し、前記無機半導体層が増感色素を担持している、請求項1に記載の電気モジュール。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の電気モジュールを製造する、電気モジュールの製造方法であって、
    前記光電極を搬送しながら、前記光電極の、前記対向電極側となる面に前記電荷移動体及び前記封止材を前記搬送方向と平行な帯状に設け、前記光電極と前記対向電極とを貼り合わせ、前記融着部を、前記搬送方向と交差する帯状となるように、かつ前記T3/(T1+T2)で表される値が0.4〜1となるように形成する、電気モジュールの製造方法。
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