JP2020047804A - 電気モジュール及び電気モジュールの製造方法 - Google Patents

電気モジュール及び電気モジュールの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】光電極と対向電極との融着部に近い領域における液漏れを効果的に防止でき、電池特性に優れた電気モジュール及び電気モジュールの製造方法を提供する。【解決手段】光電極と、光電極と離間して対向する対向電極と、光電極と対向電極との間に位置する電荷移動体30と、光電極と対向電極との間に位置して電荷移動体30を封止する封止材40と、光電極と対向電極とを融着した融着部60と、を備え、光電極は、光電極支持体12及び光電極導電層14を有し、対向電極20は、対向電極支持体22及び対向電極導電層24を有し、電荷移動体30は、光電極、対向電極、封止材40、及び融着部60で囲まれた発電領域に存在し、融着部60が平面視長尺状であり、且つ、光電極と対向電極との融着強度が、融着部60の長尺方向において、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化している。【選択図】図1

Description

本発明は、電気モジュール及び電気モジュールの製造方法に関する。
近年、クリーンな発電源として、光エネルギーを直接かつ即時に電力に変換することができ、二酸化炭素等の汚染物質を排出しないエネルギー源として、太陽電池を用いた太陽光発電が注目されている。
太陽電池としては、主に結晶シリコン系太陽電池が最も普及している。しかしながら、結晶シリコン系太陽電池は、原料である高純度シリコンの安定供給や高コストといった課題を有する。
一方、色素増感型太陽電池(DSC)は、比較的簡易な方法により製造され、かつ原材料の単価が安価であるため、次世代太陽電池として期待されている。
従来、色素増感型太陽電池としては、一般に、所謂グレッツェル型の電池が知られている。グレッツェル型の色素増感型太陽電池は、光電極と、対向電極と、電荷移動体とを備えて構成される。また、光電極としては、少なくとも、透明導電層と、半導体層と、半導体層の表面に吸着された色素とで構成される。このような色素増感型太陽電池においては、例えば、光電極側に光が照射されると、半導体層に吸着された色素が光を吸収し、色素分子内の電子が励起され、その電子が半導体へ渡される。そして、光電極側で発生した電子が外部回路を通じて対向電極側に移動し、この電子が電解液を通じて光電極側に戻る。このような過程が繰り返されることで、電気エネルギーが生じる。
さらに、最近では、色素増感型太陽電池をはじめとする太陽電池のプロセスにおいて、所謂、ロール・ツー・ロール方式(以下、RtoR方式と称することがある)による連続生産方法が採用されるようになっている。RtoR方式を導入した色素増感型太陽電池の製造方法は、例えば、光電極支持体の面に光電極導電層を設け、光電極導電層の面の所定の領域に、増感色素を担持した無機半導体層と封止材と電荷移動体をそれぞれ設けて、光電極を作製する。これとは別に、対向電極支持体の面に対向電極導電層を設け、対向電極導電層の面に触媒層を設けて対向電極を作製する。その後、無機半導体層と触媒層とが対向するように、光電極と対向電極とを貼り合わせて、色素増感型太陽電池を作製する。色素増感型太陽電池の光電極と対向電極は、光電極導電層と対向電極導電層とが封止材を介して接合している。
例えば、特許文献1には、対向する光電極及び対向電極の所定の部分に超音波振動を付与し、光電極支持体と対向電極支持体とを融着して封止するととともに、この位置を絶縁する方法が開示されている。
国際公開第2014/030736号
一般に、光電極と対向電極に超音波振動を付与して融着部を形成する場合には、超音波振動を各箇所に均一に付与することにより、融着部の幅が長尺方向において均一になるように融着処理を行う。しかしながら、本発明者等の知見によれば、超音波振動の付与による融着部を均一な幅で形成すると、光電極と対向電極との融着部に近い領域で、封止材と光電極導電層との間、及び封止材と対向電極導電層との間に電解質が流出する現象(液漏れ)が発生する場合がある。このような液漏れが発生すると、色素増感型太陽電池の動作不良が生じやすいという問題がある。
ここで、図8(a)の模式断面図に示すように、通常、光電極10と対向電極20に超音波振動を付与して融着部160を形成する前の、当該融着部160の位置における断面構造は、光電極10と対向電極20との間に、電荷移動体30、封止材40、導通材50が介在した状態となっている。そして、この位置に超音波振動を付与して超音波融着することで、図8(b)の模式断面図に示すように、融着部160の位置における全体厚みが、光電極支持体12と対向電極支持体22とを合わせた厚み以下となる。しかしながら、本発明者等の知見によれば、このような融着形態を採用した場合においても、上記同様、光電極10と対向電極20との融着部160に近い領域で、封止材40と光電極導電層14との間、及び封止材40と対向電極導電層24との間に電解質の液漏れが発生する場合があった。一般に、超音波融着によって形成した融着部は、融着状態が強固である方が接着力の観点からは好ましいものの、融着状態が強固過ぎると上記の液漏れが発生する場合があるという問題があった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、光電極と対向電極との融着部に近い領域における液漏れを効果的に防止でき、電池特性に優れた電気モジュール及び電気モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するため、鋭意検討を重ねた。この結果、光電極と対向電極に超音波振動を付与して形成する融着部において、各位置における融着強度に変化を持たせることで、電解質の液漏れが生じる箇所を工程上で容易に把握できることを知見した。そして、工程上で液漏れ箇所の接着強度を調整する等の対策を施すことで、液漏れを効果的に防止できることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
[1] 光電極と、前記光電極と離間して対向する対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に位置する電荷移動体と、前記光電極と前記対向電極との間に位置して前記電荷移動体を封止する封止材と、前記光電極と前記対向電極とを融着した融着部と、を備える電気モジュールであって、前記光電極は、光電極支持体、及び前記光電極支持体上に位置する光電極導電層を有し、前記対向電極は、対向電極支持体、及び前記対向電極支持体上に位置する対向電極導電層を有し、前記電荷移動体は、前記光電極、前記対向電極、前記封止材、及び前記融着部で囲まれた発電領域に存在し、前記融着部が平面視長尺状であり、且つ、前記光電極と前記対向電極との融着強度が、前記融着部の長尺方向において、一方の側から他方の側に向かうに従って変化している電気モジュール。
[2] 前記融着部は、前記一方の側から前記他方の側に向かうに従って、平面視における幅が漸次拡大又は縮小するように変化している、上記[1]に記載の電気モジュール。
[3] 前記融着部は、前記一方の側から前記他方の側に向かうに従って断面形状が変化している、上記[1]に記載の電気モジュール。
[4] 前記融着部の断面形状が、それぞれ離間した複数の凸部を有する形状であり、且つ、前記融着部における前記複数の凸部に対応する位置の最大厚みT2が、前記発電領域における最大厚みT1よりも大きい、上記[3]に記載の電気モジュール。
[5] 前記融着部における前記最大厚みT2と、前記発電領域における前記最大厚みT1との関係が、次式{T2/T1=1.19〜1.83}で表される関係を満たす、上記[4]の記載の電気モジュール。
[6] 前記電気モジュールが色素増感型太陽電池であり、前記光電極が前記光電極導電層上に位置する無機半導体層を有し、前記無機半導体層が増感色素を担持している、上記[1]〜[5]の何れか一項に記載の電気モジュール。
[7] 上記[1]〜[6]の何れか一項に記載の電気モジュールを製造する、電気モジュールの製造方法であって、前記融着部を、超音波融着によって平面視長尺状に形成し、且つ、前記光電極と前記対向電極との融着強度が、前記融着部の長尺方向において、一方の側から他方の側に向かうに従って変化するように前記融着部を形成する、電気モジュールの製造方法。
本発明に係る電気モジュール及び電気モジュールの製造方法によれば、上記した構成により、以下の効果を奏する。
即ち、本発明に係る電気モジュールによれば、融着部における光電極と対向電極との融着強度が、融着部の長尺方向において一方の側から他方の側に向かうに従って変化している構成を採用している。これにより、例えば、工程上におけるサンプル作製の際に電解質の液漏れが生じる箇所を容易に把握し、液漏れ箇所の接着強度を調整することで、液漏れを効果的に防止できる。従って、電気モジュールの動作不良を効果的に防止でき、優れた電池特性が得られるとともに、耐久性、安全性及び外観特性にも優れたものとなる。
また、本発明に係る電気モジュールの製造方法によれば、超音波融着により、光電極と対向電極との融着強度が、融着部の長尺方向において一方の側から他方の側に向かうに従って変化するように融着部を形成する方法を採用している。これにより、上記同様、工程上におけるサンプル作製の際に電解質の液漏れが生じる箇所を容易に把握し、液漏れ箇所の接着強度を調整することで、液漏れを効果的に防止できる。従って、電気モジュールの動作不良を効果的に防止でき、優れた電池特性を備えるとともに、耐久性、安全性及び外観特性にも優れた電気モジュールを製造することが可能になる。
本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの構成を模式的に説明する図であり、光電極側から見た一例を示す平面図である。 本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの構成を模式的に説明する図であり、図1中に示す(ii)−(ii)断面図である。 本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの構成を模式的に説明する図であり、図1中に示す(iii)−(iii)断面図である。 本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの製造方法について説明する図であり、ロール・トゥ・ロール方式の製造装置を示す概略図である。 本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの製造方法について説明する図であり、図4中の製造装置で用いられる融着部形成装置の一例を示す断面図である。 本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの構成を模式的に説明する図であり、図6(a),(b)は、それぞれ、光電極側から融着部を見た他の例を示す平面図である。 本発明を適用した一実施形態である電気モジュールの構成を模式的に説明する図であり、光電極側から見た変形例を示す平面図である。 従来の電気モジュールについて説明する図であり、図8(a)は融着前における融着部に対応する位置の断面図、図8(b)は融着した後の融着部を示す断面図である。
以下、図面を参照して本発明に係る電気モジュール及び電気モジュールの製造方法の実施の形態について、電気モジュールの一種である保護層付き色素増感型太陽電池を例に挙げ、図1〜図7を適宜参照しながら、その構成を詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は、実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示する材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
図1〜図7は、本発明に係る電気モジュールの一実施形態である色素増感型太陽電池の構成を模式的に説明する図であり、図1は、色素増感型太陽電池を光電極側から見た一例を示す平面図、図2は、図1中に示す(ii)−(ii)断面図、図3は、図1中に示す(iii)−(iii)断面図である。図4は、色素増感型太陽電池を製造するロール・トゥ・ロール方式の製造装置を示す概略図であり、図5は、図4中の製造装置で用いられる融着部形成装置の一例を示す断面図である。図6(a),(b)は、それぞれ、光電極側から融着部を見た他の例を示す平面図であり、図7は、色素増感型太陽電池を光電極側から見た他の例を示す平面図である。
[色素増感型太陽電池(電気モジュール)の構成]
図1〜図3に示すように、本発明を適用した本実施形態の色素増感型太陽電池(電気モジュール)1は、光電極10と、対向電極20と、電荷移動体30と、封止材40と、導通材50と、融着部60を備えて概略構成される。光電極10と対向電極20とは対向している。電荷移動体30は、光電極10と対向電極20の間に位置している。封止材40及び融着部60は、電荷移動体30を封止している。電荷移動体30は、光電極10、対向電極20、封止材40、及び融着部60で囲まれた発電領域Sに存在する。電荷移動体30は、光電極10及び対向電極20の双方に接している。
導通材50は、光電極10と対向電極20の間に位置している。電荷移動体30と導通材50の間に封止材40が位置している。導通材50は、光電極10及び対向電極20の双方に接している。
そして、本実施形態の色素増感型太陽電池1においては、融着部60が平面視長尺状であり、且つ、この融着部60による光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において、一方の側(一方の端部側)60aから他方の側(他方の端部側)60bに向かうに従って変化している。図1に示す例においては、融着部60の幅tを、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って拡大させることで、光電極10と対向電極20との融着強度を変化させている。即ち、融着部60の幅tが大きな他方の側60bにおいては、光電極10と対向電極20との融着強度が高くなり、融着部60の幅tが小さな一方の側60aにおいては、光電極10と対向電極20との融着強度が低くなるように構成している。
また、本実施形態の色素増感型太陽電池1は、図2中に示す封止材40で囲まれた領域(セル)が、図1及び図2中に示すD1方向及びD2方向で、複数で直列に連結した構造を有する。また、色素増感型太陽電池1は、上記構成によってフィルム型に構成され、一定の可撓性を有している。
色素増感型太陽電池1は、光電極10及び対向電極20の少なくとも一方が光透過性を有する。即ち、光透過性を有する光電極10又は対向電極20が、光入射面を形成する。なお、本明細書において、光電極10又は対向電極20における光透過性としては、色素増感型太陽電池1が発電できる程度に光を透過することが必要である。
光電極10は、光電極支持体12と、該光電極支持体12の内表面に配置した光電極導電層14と、光電極導電層14の表面において、光電極導電層14の面方向に沿って離間するように複数配置した無機半導体層16とを有する。即ち、光電極支持体12と光電極導電層14と無機半導体層16とは、この順で位置している。
なお、本実施形態においては、光電極支持体12の表面に平行な面内において、封止材40が延在する方向をD2方向、D2方向に垂直な方向をD1方向として説明する。即ち、色素増感型太陽電池1を平面視した図1において、電荷移動体30を挟む2つの封止材40は互いに平行であり、D1方向に平行に延在する。
無機半導体層16は、電荷移動体30に接している。また、無機半導体層16は、光電極導電層14の一部を覆っている。さらに、無機半導体層16の外方で、光電極導電層14の一部は、電荷移動体30と接している。また、無機半導体層16は増感色素を担持している。
なお、電荷移動体30が存在する領域において、無機半導体層16が光電極導電層14の全面を覆っていてもよい。
光電極支持体12は、光電極導電層14、無機半導体層16や封止材40の基台となる。
光電極支持体12の材質は、RtoR方式を用いた連続生産に適用できる程度に柔軟性を有し、大面積フィルム状に形成可能な材質であれば、特に限定されない。即ち、光電極支持体12は、柔軟性を有するフィルム又はシート、金属箔等である。光電極10が光入射面を形成する場合、光電極支持体12は光透過性を有する。この場合、光電極支持体12としては、いわゆる透明基材が好ましい。
光電極支持体12の材質としては、例えば、ポリアクリル、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリイミド、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアミド等が挙げられる。
光電極支持体12の素材は、樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)がより好ましい。光電極支持体12が樹脂製であれば、色素増感型太陽電池1の薄型化や軽量化を図ることができる。加えて、光電極支持体12が樹脂製であれば、色素増感型太陽電池1に可撓性を付与しやすい。
光電極支持体12の厚みは、特に限定されず、例えば、10〜500μmが好ましい。本実施形態で説明する光電極支持体12の厚みとは、マイクロメータで測定した任意の10点の平均値である。
光電極導電層14は、光電極支持体12の内表面(即ち、光電極支持体12における対向電極20側の面)に成膜、配置したものである。
光電極導電層14の材質は、導電性を有するものであれば特に制限されず、従来から色素増感型太陽電池で用いられている材料を何ら制限無く採用できる。
光電極10が光入射面を形成する場合、光電極導電層14は光透過性を有する。即ち、光電極導電層14としては、所謂透明導電層を用いることが好ましい。
光電極導電層14の材料としては、例えば、金、白金、銀、銅、クロム、タングステン、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ニッケル、マンガン、亜鉛、鉄及びこれらの合金等の金属;フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム−銀混合物、マグネシウム−インジウム混合物、アルミニウム−リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物、CuI、インジウムスズ酸化物(ITO)、SnO、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO)等の導電性透明無機材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの素材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
光電極導電層14の厚みは、光電極導電層14を構成する材料に応じて、適宜決定する。
光電極導電層14が金属材料からなる場合、光電極導電層14の厚みは、10〜500nmが好ましい。光電極導電層14の厚みが上記の下限値以上であれば、欠損を防止しやすい。光電極導電層14の厚みが上記の上限値以下であれば、光透過性を高めやすい。
光電極導電層14が導電性透明無機材料又は導電性透明ポリマーの場合、光電極導電層14の厚みは、50nm〜500μmが好ましい。光電極導電層14の厚みが上記の下限値以上であれば、欠損を防止しやすい。光電極導電層14の厚みが上記の上限値以下であれば、光透過性をより高められる。
光電極導電層14の厚みの測定方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。即ち、光電極導電層14と光電極支持体12との合計の厚みT1をマイクロメータで測定する。このとき、任意の10点の厚みT1を測定し、その平均値をave(T1)とする。次いで、光電極支持体12の厚みT2をマイクロメータで測定する。このとき、任意の10点の厚みT2を測定し、その平均値をave(T2)とする。そして、ave(T1)−ave(T2)を光電極導電層14の厚みとする。また、光電極導電層14の厚みが薄く、マイクロメータでは測定が困難な場合には、例えば、SEMにて断面の厚みを測定し、その平均値を算出する方法を採用しても良い。
無機半導体層16は、光電極導電層14の表面(即ち、光電極導電層14における対向電極20側の面)に複数で位置している。無機半導体層16は、図2中に示すD1方向において、互いに離間して複数設けられている。
無機半導体層16は、例えば、金属酸化物等に増感色素が担持されることによって染色された多孔質層であり、増感色素から電子を受け取って輸送する機能を有する。即ち、無機半導体層16は、増感色素を吸着可能な半導体材料であればよい。このような半導体材料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム等の酸化物、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、酸化第一銅、三酸化モリブデン、五酸価バナジウム、酸化タングステン等の酸化物、チオシアン酸銅(I)、ヨウ化銅、二硫化モリブデン、二セレン化モリブデン、硫化銅(I)等が挙げられる。
無機半導体層16は、稠密層であってもよく、多孔質層であってもよい。色素増感型太陽電池1の光電変換効率のさらなる向上を図る観点からは、無機半導体層16は、多孔質層が好ましい。さらに、無機半導体層16は、微粒子同士が焼結又は粉体吹付け法による物理的衝突で接合された多孔質層であることがより好ましい。
無機半導体層16を形成する微粒子の平均粒子径は、特に限定されず、例えば、10〜500nmである。微粒子の平均粒子径が上記範囲内であれば、無機半導体層16の比表面積を高め、かつ入射光の利用率を適度に高めやすい。
本実施形態で説明する微粒子の平均粒子径とは、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置の測定により得られる体積平均径の分布のピーク値である。また、本実施形態の微粒子の平均粒子径は、例えば、任意の10個の微粒子の長径の平均値である。微粒子の長径は、例えば、SEM観察で求められる値である。
無機半導体層16の比表面積は、20〜100m/gが好ましい。比表面積が上記の下限値以上であれば、増感色素の担持量をより高められる。比表面積が上記の上限値以下であれば、無機半導体層16の強度を高められる。無機半導体層16の比表面積は、例えば、ガス吸着法で求められる値である。
無機半導体層16の厚みとしては、例えば、1〜40μmが好ましく、3〜30μmがより好ましく、5〜25μmがさらに好ましい。無機半導体層16の厚みが上記の下限値以上であれば、取り込める光が多くなり、発電量を高められる。無機半導体層16の厚みが上記の上限値以下であれば、増感色素を無機半導体層16に担持するのが容易になる。加えて、無機半導体層16の厚みが上記の上限値以下であれば、無機半導体層16の可撓性が高まりやすい。このため、色素増感型太陽電池1を屈曲した際に無機半導体層16が損傷しにくい。
無機半導体層16の厚みの測定方法は、例えば、以下の方法が挙げられる。即ち、光電極10の厚みT10をマイクロメータで測定する。このとき、任意の10点の厚みT10を測定し、その平均値をave(T10)とする。次いで、光電極支持体12と光電極導電層14との合計の厚みT1をマイクロメータで測定する。このとき、任意の10点の厚みT1を測定し、その平均値をave(T1)とする。そして、ave(T10)−ave(T1)を無機半導体層16の厚みとする。
増感色素は、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)(以下、N3ということがある)、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のビス−TBA塩(以下、N719ということがある)、シス−ジ(チオシアナト)−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)ルテニウム(II)のテトラ−TBA塩(以下、N712ということがある)、トリ(チオシアナト)−(4,4’,4’’−トリカルボキシ−2,2’:6’,2’’−ターピリジン)ルテニウムのトリス−テトラブチルアンモニウム塩(以下、N749ということがある)、シス−ジ(チオシアナト)−(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボン酸)(4,4’−ビス(5’−ヘクチルチオ−5−(2,2’−ビチエニル))ビピリジル)ルテニウム(II)のモノ−テトラブチルアンモニウム塩(以下、ブラックダイということがある)等のルテニウム系色素;クマリン系、ポリエン系、シアニン系、ヘミシアニン系、チオフェン系、インドリン系、キサンテン系、カルバゾール系、ペリレン系、ポルフィリン系、フタロシアニン系、メロシアニン系、カテコール系及びスクアリリウム系等の各種有機色素;これらの色素を組み合わせたドナー−アクセプター複合色素等である。中でも、増感色素は、N3、N719、N712の少なくとも1種を含むことが好ましく、N3、N719及びN712の少なくとも1種がより好ましい。
これらの増感色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
無機半導体層16に対する増感色素の担持量は、増感色素の種類や、色素増感型太陽電池1に求める発電能力等を勘案して決定できる。無機半導体層16に対する増感色素の担持量は、0.4×10−1〜2.0×10−1mmol/cmが好ましく、0.6×10−1〜1.2×10−1mmol/cmがより好ましい。増感色素の担持量が上記の下限値以上であれば、色素増感型太陽電池1の光電変換効率のさらなる向上を図ることができる。また、増感色素の担持量が上記の範囲内であれば、色素を担持した無機半導体層16が適切な量のキャリアを輸送するので、光電変換効率をより高められる。さらに、増感色素の担持量が上記の下限値以上であれば、入射した光量に対するキャリアの発生量が増加し、光電変換効率がより高まる。増感色素の担持量が上記の上限値以下であれば、半導体表面に吸着する増感色素が適正な量となり、キャリアの輸送を良好にして、光電変換効率をより高められる。
本実施形態における無機半導体層16の体積は、長さ及び幅をノギス又は定規で測定し算出した面積と、上記方法で測定された厚みとを掛け合わせて求められる値である。
対向電極20は、光電極支持体12に対向する対向電極支持体22と、対向電極支持体22の内表面(対向電極支持体22における光電極10側の面)に配置した対向電極導電層24とを有する。
光電極10と対向電極20とは、無機半導体層16と対向電極導電層24とを向き合わせて対向している。
対向電極支持体22は、対向電極導電層24及び封止材40の基台となる。対向電極支持体22の材質は、光電極支持体12と同様に、RtoR方式を用いた太陽電池の連続生産に適用できる程度に柔軟性を有し、大面積フィルム状に形成可能な材質であれば、特に限定されない。対向電極支持体22の材質としては、例えば、光電極支持体12と同様の樹脂材料が挙げられる。
対向電極支持体22の材料としては、光電極支持体12の材料と同様、フィルム又はシート、金属箔等である。対向電極20が光入射面を形成する場合、対向電極支持体22は光透過性を有する。この場合、対向電極支持体22としては、いわゆる透明支持体が好ましい。対向電極支持体22の素材は、光電極支持体12の素材と同じでもよいし、異なってもよい。
対向電極支持体22の厚みは、光電極支持体12の厚みと同様に、10〜500μmが好ましい。また、対向電極支持体22の厚みは、光電極支持体12の厚みと同じでもよいし、異なってもよい。
対向電極導電層24は、対向電極支持体22の内表面に成膜、配置したものである。
対向電極導電層24の材料としては、光電極導電層14の素材と同様に、金属、導電性透明無機材料、導電性透明ポリマー等である。また、対向電極導電層24と光電極導電層14とは、同じで材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。対向電極20が光入射面を形成する場合、対向電極導電層24は、光透過性を有する。この場合、対向電極導電層24としては、いわゆる透明導電層が好ましい。
対向電極導電層24の厚みは、光電極導電層14の厚みと同様に、10nm〜500μmが好ましい。また、対向電極導電層24の厚みは、光電極導電層14の厚みと同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本実施形態においては、上記の対向電極導電層24上に、さらに複数の触媒層26を設けてもよい。触媒層26は、対向電極導電層24の光電極10側の面に、互いに離間して複数設けられている。触媒層26は、電荷移動体30に接している。触媒層26の外方で、対向電極導電層24の一部は、電荷移動体30と接している。
触媒層26の材料としては、例えば、モリブデン、モリブデンと他の金属との合金等が挙げられる。モリブデンと他の金属との合金としては、例えば、モリブデンとチタンとの合金、モリブデンとタングステンとの合金、モリブデンとイットリウムとの合金、モリブデンとニオブとの合金等が挙げられる。
触媒層26の厚みは、2nm〜500μmが好ましい。触媒層26の厚みの測定方法は、例えば、光電極支持体12の面と直交する断面の画像における、任意の10点の測定値の平均値とすることができる。
本実施形態の色素増感型太陽電池1においては、無機半導体層16や、後述の電荷移動体30等によって発電領域Sを構成している。即ち、本実施形態では、発電領域Sを、光電極10と対向電極20との間に挟まれ、光電極10及び対向電極20の面方向(図1中に示すD1方向)に沿って、間隔をおいて複数配置している。
電荷移動体30は、電解液、ゲル電解質又は固体電解質である。本実施形態の電荷移動体30は、光電極10と対向電極20との間で、光電極導電層14と対向電極導電層24との間に介在するとともに、無機半導体層16に対応した位置で、光電極10及び対向電極20の面方向に沿って離間するように複数配置する。電荷移動体30は、無機半導体層16、光電極導電層14及び対向電極導電層24に接している。また、電荷移動体30は、増感色素に電子を供給可能な酸化還元対を有する。
電解液は、分散媒(以下、「電解液分散媒」と称することがある)と、電解液分散媒に分散している酸化還元対とを有する。ゲル電解質及び固体電解質は、電解液をゲル状又は固体状にしたものである。ゲル電解質及び固体電解質の製造方法は、例えば、電解液にゲル化剤又は増粘剤を加え、ゲル状又は固体状にする。必要に応じて、ゲル状又は固体状の電荷移動体の溶剤を除去する。ゲル電解質及び固体電解質の電荷移動体30は、色素増感型太陽電池1の耐久性を高める。
電解液分散媒は、非水系溶剤、イオン液体等である。非水系溶剤としては、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。イオン液体としては、ヨウ化ジメチルプロピルイミダゾリウム、ヨウ化ブチルメチルイミダゾリウム等が挙げられる。
酸化還元対としては、支持電解質とハロゲン分子との組み合わせである。
支持電解質は、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム等の金属ヨウ化物、テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等のヨウ素塩等のヨウ化物;臭化ナトリウム、臭化カリウム等の金属臭化物、テトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイド、イミダゾリウムブロマイド等の臭素塩等の臭素化合物が挙げられる。
ハロゲン分子としては、ヨウ素分子、臭素分子等が挙げられる。
支持電解質とハロゲン分子との組み合わせとしては、ヨウ化物とヨウ素分子との組み合わせ、臭素化合物と臭素分子との組み合わせが好ましい。
電荷移動体30は、t−ブチルピリジンを含んでもよい。電荷移動体30は、t−ブチルピリジンを含むことで、逆電子移動反応を防止しやすい。
電荷移動体30がゲル電解質又は固体電解質である場合、電荷移動体30は、導電性高分子を含んでもよい。
封止材40は、光電極10と対向電極20との間に位置し、光電極10及び対向電極20の面方向に沿って電荷移動体30の両側に配置する。封止材40は、平面視で任意の領域を囲み、融着部60とともに電荷移動体30を封止している。封止材40は、図1及び図2中に示すD1方向に沿って電荷移動体30の両側に複数で配置する。
封止材40は、さらに、光電極10と対向電極20とを貼り合わせて互いを接着するための樹脂等を含む。このような封止材40の材質としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は紫外線硬化性樹脂のうち少なくとも一種を含む樹脂材料が挙げられる。
封止材40の厚みは、10〜200μmが好ましい。封止材40の厚みの測定方法は、例えば、光電極支持体12の面と直交する断面の画像における、任意の10点の測定値の平均値とすることができる。
図2中に示すD1方向において、互いに隣り合う電荷移動体30を封止した封止材40同士の間には、導通材50を配置している。導通材50は、無機半導体層16、電荷移動体30を含む発電領域S同士を接続するための導電構造である。
導通材50の材質としては、導通可能な素材であれば特に限定されず、例えば、公知の導電材、導電ペースト、又は導電性微粒子と接着剤の混合物等が挙げられる。なお、例えば、色素増感型太陽電池1を所望のパターンで切り出す場合に、導通材50を容易に切断可能とする観点からは、導通材50の材質として、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の接着剤54に適量の導電粒子52を混合した導通ペーストを採用することが好ましい。また、導通材50は、封止材40と同様の材料からなるバインダーを含んでいてもよい。
図1に示すように、色素増感型太陽電池1を平面視した状態において、光電極導電層14と対向電極導電層24と封止材40とが重なる領域には、帯状の第一絶縁部(絶縁部)41又は第二絶縁部(絶縁部)42が存在している。
第一絶縁部41は、光電極導電層14を貫通する切断部である。第一絶縁部41は、光電極導電層14を分断して電気的に絶縁している。
第二絶縁部42は、対向電極導電層24を貫通する切断部である。第二絶縁部42は、対向電極導電層24を分断して電気的に 絶縁している。
D1方向において、第一絶縁部41と第二絶縁部42は交互に存在している。
融着部60は、光電極10と対向電極20に外力を加えて圧着した部分であり、図示例では平面視長尺状としている。例えば、詳細は後述するが、図5に示すように、光電極10と対向電極20を貼り合わせた状態で、超音波振動を付与し、光電極支持体12と対向電極支持体22とを接合することで融着部60を形成する。なお、図5中では図示を省略しているが、融着部60中に、光電極導電層14、無機半導体層16、対向電極導電層24、触媒層26等がわずかに残っている場合があるものの、これらの層は超音波振動の作用で分断されており、融着部60は、電気的に絶縁している。
図1に示すように、融着部60は、D2方向において、所定の間隔で存在する。
上述したように、本実施形態の色素増感型太陽電池1においては、融着部60による光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化するように構成している。図1に示す例では、融着部60の幅tを、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って漸次拡大させることで、光電極10と対向電極20との融着強度を変化させている。即ち、色素増感型太陽電池1は、融着部60の幅tが大きな他方の側60bにおいては、光電極10と対向電極20との融着強度が高くなる。一方、融着部60の幅tが小さな一方の側60aにおいては、光電極10と対向電極20との融着強度が低くなる。
色素増感型太陽電池1によれば、光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化していることで、製造工程上におけるサンプル作製の際に、電解質の液漏れが生じる箇所を容易に把握できる。即ち、製品である色素増感型太陽電池1における、図1中のD1方向(左右方向)において、光電極10と対向電極20との融着強度に差があると、一方の側60a又は他方の側60bのうち、まず、特に液漏れし易い箇所からの漏洩が発生するので、液漏れし易い箇所の把握が容易となる。そして、液漏れ箇所の接着強度を適宜調整する等の対策、即ち、液漏れ箇所の融着部60の幅tが、液漏れが発生しない程度の接着強度となるように製造装置を再調整することで、その後の本製造工程で、液漏れの無い色素増感型太陽電池1が得られる。このように、電解質の液漏れを防止することで、色素増感型太陽電池1の動作不良を効果的に防止できるので、色素増感型太陽電池1の電池特性が向上する。また、電解質の液漏れを防止することで、色素増感型太陽電池1の耐久性や安全性が向上するとともに、外観特性も顕著に向上する。
なお、融着部60の長尺方向の各位置における融着強度の測定方法としては、例えば、融着部60を長尺方向で5〜10箇所に分割し、市販の剥離試験器を用いて各位置の剥離強度を測定する方法等が挙げられる。
なお、本実施形態においては、図1に示すような形状の融着部60には限定されない。例えば、融着部60を、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って、幅tが漸次縮小するように構成してもよい。
また、本実施形態においては、融着部60が、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って断面形状が変化している構成を採用してもよい。このような構成としては、例えば、図3に示す例のように、融着部60の断面形状が、複数の凸部61を有する凹凸形状からなる構成を採用してもよい。このように、融着部60の断面形状が凹凸形状である場合、図3においては詳細な図示を省略するが、例えば、D2方向における凸部61の配列ピッチに融着部60の長尺方向(図3中のD1方向)で変化を持たせるか、あるいは、凸部61の高さに変化を持たせる等の構成を採用することが考えられる。これにより、融着部60の長尺方向において、漸次、融着強度を変化させることが可能になる。
また、本実施形態では、融着部60の平面視した場合の形状として、図6(a)に示すような略格子状の凸部62からなる構成を採用してもよいし、あるいは、図6(b)に示すような、平面視で、それぞれ離間しながら傾斜した複数の凸部63からなる構成を採用してもよい。融着部60を、図6(a),(b)に示すような凸部62,63から構成する場合には、例えば、これら凸部62,63における突状のサイズや、配列ピッチを調整する等の方法で、融着部60の長尺方向において融着強度に変化を持たせることが考えられる。
図6(a),(b)に示すような融着部60の平面視形状は、例えば、詳細を後述する融着部形成装置(図5を参照)において、超音波付与部の先端部及び台座の先端部の凹凸形状を所望の形状に構成することや、超音波付与時の加圧力を調整することで形成できる。
さらに、本実施形態では、図3に示すように、融着部60の断面形状を凹凸形状とした場合において、融着部60における複数の凸部61に対応する位置の最大厚みT2が、発電領域Sにおける最大厚みT1よりも大きいことが好ましい。複数の凸部61に対応する位置の最大厚みT2と、発電領域Sにおける最大厚みT1との関係が上記関係であることにより、色素増感型太陽電池1の表面における段差(高低差)が小さくなり、手触り感が向上するとともに、外観特性が向上する。
さらに、上記構成において、融着部60における最大厚みT2と、発電領域Sにおける最大厚みT1との関係が、次式{T2/T1=1.19〜1.83}で表される関係を満たすことがより好ましい。融着部60における最大厚みT2と、発電領域Sにおける最大厚みT1との関係が上記の上限値以下であることにより、手触り感がより向上するとともに、外観特性もより向上する。
また、上記関係式で表される{T2/T1}が上記下限値以上であることにより、製造工程における超音波融着の処理時間を短く設定できるので、生産性が向上するとともに、生産コストの低減を図ることが可能になる。
また、上記の効果がより顕著に得られる観点から、上記関係式で表される{T2/T1}は、1.25〜1.7がより好ましく、1.30〜1.64が最も好ましい。
なお、本実施形態では、1個の色素増感型太陽電池1に複数の融着部60が存在する場合は、全ての融着部60において、光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化することが好ましい。
また、本実施形態で説明する、融着部60における最大厚みT2、及び発電領域Sにおける最大厚みT1は、光電極支持体12の面と直交する断面における、マイクロゲージによる厚みの測定値である。
上記関係式で表される{T2/T1}の値は、融着部60の形成条件によって調整できる。例えば、融着時に、光電極10及び対向電極20に加える外力が大きくなると、{T2/T1}の値は小さくなる。
なお、発電領域Sにおける最大厚みT1は、20〜1000μmが好ましく、100〜500μmがより好ましく、200〜400μmが最も好ましい。
一方、融着部60における最大厚みT2は、30〜1500μmが好ましく、120〜550μmがより好ましく、300〜500μmが最も好ましい。
発電領域Sにおける最大厚みT1が上記下限値以上であることで、強度を維持しながらフレキシブル性を担保できる。また、発電領域Sにおける最大厚みT1が上記上限値以下であることで、フレキシブル性を担保できる。
また、融着部60における最大厚みT2が上記下限値以上であることで、手触り感及び美観が向上する。また、融着部60における最大厚みT2が上記上限値以下であることで、接着強度を高めつつ、液漏れの有無の検査が容易になる。
ここで、発電領域Sにおける最大厚みT1は、超音波振動の作用を受けていないため、電気モジュールを組み立てる前の、光電極支持体12の厚み及び対向電極支持体22の厚みと同じとみなすことができる。組み立て前の支持体等の厚みは、接触式のマイクロメータで測定でき、任意の10点の厚みの測定値の平均値を採用することができる。
[色素増感型太陽電池の製造方法]
次に、本発明に係る色素増感型太陽電池(電気モジュール)の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の色素増感型太陽電池の製造方法は、例えば、図4に例示するような、RtoR(ロール・ツー・ロール)方式を採用する製造装置100を用いる。具体的には、所定の方向D3に沿って連続的に搬送される光電極10上に、封止材40、導通材50及び電荷移動体30を設け、所定の方向D4に沿って連続的に搬送される対向電極20を貼り合わせた後、融着部60を形成して、図1〜図3に示す構成の色素増感型太陽電池1を連続的に製造する。
そして、本実施形態の色素増感型太陽電池1の製造方法は、融着部60を、超音波融着によって平面視長尺状に形成し、且つ、光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向、即ち、図1中に示すD1方向において、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化するように融着部60を形成する方法である。
本実施形態の色素増感型太陽電池1の製造方法においては、まず、図示略のRtoR方式を採用した装置を用いて光電極10を製造する。この際、まず、光電極支持体12上に光電極導電層14を形成し、光電極導電層14の表面に、光電極導電層14の面方向に沿って離間して配置しながら複数の無機半導体層16を形成して光電極10する。なお、表面に予め光電極導電層14が形成されている光電極支持体12を用いても構わない。
具体的には、まず、光電極支持体12を所定の方向に沿って連続的に搬送しながら、公知のスパッタリング法や印刷法等を用いて、光電極支持体12の表面に光電極導電層14を形成する。
次いで、光電極導電層14上に複数の無機半導体層16を形成する。無機半導体層16を形成する方法としては、例えば、半導体材料の粒子を光電極導電層14に吹き付ける方法等が挙げられる。このように、半導体材料の粒子を吹き付け、無機半導体層16を形成する方法としては、例えば、公知のエアロゾルデポジション法(Aerosol Deposition method:AD法)等が挙げられる。また、無機半導体層16を形成する方法としては、例えば、半導体材料を含むペーストを光電極導電層14上に塗布し、塗布したペーストを焼成して無機半導体層16を形成する方法等も挙げられる。
光電極形成工程においては、無機半導体層16に増感色素を担持する。
この際の担持操作は、例えば、以下の手順とすることができる。
まず、増感色素を分散媒(以下「色素溶液分散媒」ということがある)に分散し、色素増感型太陽電池の光電極製造用の色素溶液(以下、単に「色素溶液」ということがある)を調製する。増感色素を色素溶液分散媒に分散する方法としては、色素溶液分散媒を撹拌しつつ、増感色素を色素溶液分散媒に添加する方法等が挙げられる。
次いで、色素溶液を無機半導体層16に接触させる。無機半導体層16に接触した色素溶液は、無機半導体層16の表面又は内部に浸透する。そして、所望の量の色素溶液を無機半導体層16に浸透した後、色素溶液分散媒を除去することにより、増感色素を無機半導体層16に担持する。
これにより、光電極10が得られる。
上記の色素溶液分散媒としては、例えば、アルコール、ニトリル、エーテル、エステル、ケトン、炭化水素、ハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
アルコールとしては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、エチレングリコール等が挙げられる。
ニトリルとしては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル等が挙げられる。
エーテルは、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
エステルとしては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。
ケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
ハロゲン化炭化水素としては、塩化メチレン、クロロホルム等が挙げられる。
これらの色素溶液分散媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上の組み合わせで用いてもよい。
色素溶液を無機半導体層16に接触する方法としては、色素溶液を無機半導体層16に塗布する方法(塗布法)、色素溶液を無機半導体層16に噴霧する方法(噴霧法)、基板電極を色素溶液に浸漬する方法(浸漬法)等が挙げられる。
浸漬法における浸漬時間は、特に限定されず、例えば、0.1〜200時間とすることができる。
浸漬法における色素溶液の温度(浸漬温度)は、色素溶液分散媒の種類を勘案して決定できる。浸漬温度は、例えば、10〜70℃とすることができる。
無機半導体層16に色素溶液を接触させた後、色素溶液分散媒を除去する方法としては、基板電極を減圧下に置く方法、基板電極を加熱する方法等が挙げられる。
基板電極に対する加熱温度は、色素溶液分散媒を揮発できる温度であればよい。基板電極に対する加熱温度は、例えば、30〜70℃とすることができる。
なお、例えば、無機半導体層16に増感色素が予め担持された基板電極を入手し、この基板電極を用いてもよい。
その後、光電極10を、無機半導体層16を外側にした状態でロール状に巻き取る(図4を参照)。
なお、光電極導電層14を形成した後、無機半導体層16を形成する前の状態で、一旦、ロール状に巻き取ってもよい。また、光電極10を形成した後、巻き取らずに、次工程を行ってもよい。
次に、本実施形態の製造方法においては、上記の光電極10を製造する工程とは別に、図示略のRtoR方式を採用した装置を用いて、対向電極支持体22上に対向電極導電層24を形成し、対向電極導電層24上に触媒層26を形成して対向電極20を得る。なお、表面に予め対向電極導電層24が形成されている対向電極支持体22を用いても構わない。
対向電極形成工程では、対向電極支持体22上に、光電極形成工程と同様の方法により、対向電極導電層24を形成することができる。
また、対向電極形成工程では、公知のスパッタリング法や印刷法等を用いて、対向電極導電層24の所定の位置に触媒層26を形成することで、対向電極20を得る。
その後、対向電極20を、触媒層26を内側にした状態でロール状に巻き取る(図4を参照)。
なお、対向電極導電層24を形成した後、触媒層26を形成する前の状態で、一旦、ロール状に巻き取ってもよい。また、対向電極20を形成した後、巻き取らずに、次工程を行ってもよい。
次に、図4に示すように、製造装置100にロール状の光電極10及び対向電極20を設置する。
まず、光電極10をD3方向に繰り出して搬送しながら、図示略の絶縁部形成装置を用いて、第一絶縁部41を形成する。絶縁部形成装置としては、例えば、ダイカットロールを備えた加工装置、レーザー加工装置等が挙げられる。
次に、搬送中の光電極10に、封止材塗布装置101を用いて封止材料を塗布し、未硬化の封止材40を形成する。この際、光電極10における光電極導電層14の表面に、少なくとも複数の無機半導体層16の両側に配置して複数の封止材40を形成する。
具体的には、光電極10に対して、封止材料の粘性等を勘案した適切な流量で封止材料を吐出させ、光電極導電層14の表面に封止材料を塗布する。
次に、導通材塗布装置102を用いて、光電極導電層14の表面に導通材50の材料を塗布し、導通材50を形成する。
具体的には、光電極導電層14の表面に、配線材料の粘性等を勘案した適切な流量で、例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂等の接着剤に適量の導電粒子を混合した導通ペーストからなる配線材料を塗布する。その後、配線材料を硬化させることにより、導通材50を形成する。
次に、電解液塗布装置103を用いて電解液を塗布し、電荷移動体30を形成する。この際、光電極10における光電極導電層14の表面において、複数の封止材40同士の間に、複数の無機半導体層16の位置に対応するように、複数の電荷移動体30を配置する。
具体的には、電解液の粘性等を勘案した適切な流量で電解液を吐出させ、封止材40に挟まれた領域に位置する複数の無機半導体層16及び光電極導電層14の露出部分に電解液を注入する。これにより、複数の電荷移動体30を形成・配置する。
一方、本実施形態の製造方法においては、対向電極20をD4方向に繰り出して搬送しながら、図示略の絶縁部形成装置を用いて、第二絶縁部42を形成する。絶縁部形成装置としては、上記と同様である。
次に、一対の押圧ロール111、112の間に、電荷移動体30を形成した光電極10と、第二絶縁部42を形成した対向電極20とを、電荷移動体30及び複数の封止材40を挟み込むように重ね合わせた状態で導入する。押圧ロール111、112は、これらの間を通過する光電極10及び対向電極20を互いに押圧する。
次に、重ね合わせた光電極10及び対向電極20が押圧ロール111、112を通過した直後に、図示略の硬化装置を用いて未硬化の封止材40を硬化させ、光電極10と封止材40とを貼り合わせるとともに、対向電極20と封止材40とを貼り合わせる。この際、例えば、未硬化の封止材40が光硬化性樹脂である場合、硬化装置としてUVランプを用いて紫外線を照射して封止材40を硬化させる。このようにして、光電極10と対向電極20を、封止材40を介して貼り合わせる。
次に、図5に示すように、超音波振動を付与する超音波付与部(ホーン)115と、超音波付与部115に対向する台座(アンビル)116を備える融着部形成装置を用いて、重ね合わせた光電極10及び対向電極20における所定の位置に融着部60を形成する。この際、図1中に示すD2方向に沿って色素増感型太陽電池1を複数のセルに区画する境界において、融着部形成装置を用いて、光電極10及び対向電極20に超音波振動を付与することで、融着部60を形成する。
図5に示す例においては、超音波付与部115の先端部115aと、台座116の先端部116aには、それぞれ複数の凹凸が形成されている。図示例では、先端部115a及び先端部116aの凹凸は互いに噛み合う形状である。超音波付与部115と台座116の間の距離は可変である。
まず、貼り合された対向電極20と光電極10に、超音波付与部115の先端部115aと、台座116の先端部116aをそれぞれ接触させて、超音波付与部115と台座116との距離を縮小する。このようにして超音波振動を付与しながら加圧すると、光電極支持体12、対向電極支持体22、及びこれらの間に存在する封止材40等の構造物に、振動エネルギーが伝達されて摩擦熱が発生し、融点が低い構造物は溶融して流動する。また、上記の構造物に金属のような剛体が存在する場合、該剛体は超音波振動によって破壊され、破壊された粒径が比較的小さければ拡散(移動)する。
その結果、光電極支持体12と対向電極支持体22との間に存在していた封止材40等の構造物が、融着部60に隣接する部分に押し出され、図3に示すように光電極支持体12と対向電極支持体22とが融着した融着部60となる。
本実施形態においては、上記のように、融着部60を、超音波融着によって平面視長尺状に形成し、且つ、光電極10と対向電極20との融着強度が、図1中に示すD1方向において、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化するように融着部60を形成する。
具体的には、例えば、図1中に示すように、融着部60の幅tを、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って拡大させるように、融着部60を形成する。これにより、融着部60は、幅tが大きな他方の側60bにおいては、光電極10と対向電極20との融着強度が高くなり、融着部60の幅tが小さな一方の側60aにおいては、光電極10と対向電極20との融着強度が低くなる。
上記のように、融着部60の幅tを、その長尺方向で変化させながら形成する方法としては、詳細な図示を省略するが、例えば、超音波付与部115の先端部115a、及び/又は、台座116の先端部116aを、その長尺方向で高低差が生じるように傾斜させ、この状態で超音波融着を行う方法が挙げられる。この際、超音波付与部115と台座116との間の傾斜角の組み合わせを調整することで、融着部60の幅tに変化を持たせながら融着部60を形成することが可能になる。
あるいは、超音波付与部115の先端部115a、及び、台座116の先端部116aを、図5中に示すD1方向(長尺方向)において、その幅が拡大又は縮小した形状に構成する方法も挙げられる。
また、本実施形態では、図3中に示すように、融着部60を、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って断面形状を変化させることで、融着強度が変化するように形成することができる。図示例の融着部60は、断面形状が、複数の凸部61を有する凹凸形状からなる。
この場合、例えば、超音波付与部115の先端部115a、及び、台座116の先端部116aの凹凸形状を、D1方向に向かうに従って凹凸のピッチが変化するように構成するか、凹凸の高さが変化するように構成することで、一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って断面形状が変化した融着部60を形成できる。あるいは、先端部115a及び先端部116aの凹凸形状を、凹部(又は凸部)の本数が変化するように構成してもよい。これにより、融着部60の長尺方向において、漸次、融着強度を変化させることが可能になる。
さらに、本実施形態では、超音波付与部115の先端部115a、及び、台座116の先端部116aの凹凸形状を略格子状とすることで、融着部60の平面視形状を、図6(a)に示すような略格子状の凸部62からなる形状に形成してもよい。また、先端部115a及び先端部116aの凹凸形状を傾斜形状とすることで、図6(b)に示すような、それぞれ離間しながら傾斜した複数の凸部63からなる形状に形成してもよい。あるいは、例えば、先端部115a及び先端部116aの凹凸形状を略格子状としたうえで、超音波付与時の加圧力を低めに設定することで、図6(b)に示すような傾斜した複数の凸部63を形成することも可能である。
上述したように、光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化していることで、製造工程上におけるサンプル作製の際に、電解質の液漏れが生じる箇所を容易に把握できる。即ち、図1中のD1方向で、光電極10と対向電極20との融着強度に差を設けることで、特に液漏れし易い箇所からの漏洩が発生するので、液漏れし易い箇所を容易に把握できる。そして、本実施形態の製造方法においては、融着部60の液漏れ箇所の液漏れを解消するため、例えば、当該箇所の融着部60の幅tが液漏れしない程度の融着強度となるように融着部形成装置を再調整することで、本製造工程において、液漏れの無い色素増感型太陽電池1を製造することが可能になる。
上記のように、融着部60の液漏れを解消するために融着部形成装置を再調整する方法としては、上記同様、超音波付与部115の先端部115a、及び/又は、台座116の先端部116aを、その長尺方向で傾斜させ、超音波付与部115と台座116との間の傾斜角の組み合わせを調整する方法が挙げられる。この際、融着部60の液漏れ箇所に対応する位置において、液漏れしない程度の融着強度となるように、即ち、融着部60の幅tが液漏れしない程度のサイズとなるように、超音波付与部115と台座116との間の傾斜角の組み合わせを調整する。
なお、本実施形態の製造方法では、図3に示すように、融着部60を凹凸形状とした場合において、複数の凸部61に対応する位置の最大厚みT2が、発電領域Sにおける最大厚みT1よりも大きくなるように融着部60を形成することが、手触り感や外観特性の向上の観点から好ましい。また、この場合、融着部60における最大厚みT2と、発電領域Sにおける最大厚みT1との関係が、次式{T2/T1=1.19〜1.83}で表される関係を満たすように融着部60を形成することが、生産性の向上や生産コストの低減の観点からより好ましい。
以上の工程で、図1〜図3(及び、図6(a),(b))に示すような色素増感型太陽電池1を製造できる。
また、上記の各工程の後、さらに、必要に応じて、長尺の色素増感型太陽電池1を、1つの融着部60を分断するように、融着部60の長尺方向(D1方向)に沿って切断して、実際に使用される大きさの色素増感型太陽電池を切り出してもよい。
[作用効果]
以上説明したように、本実施形態の色素増感型太陽電池1によれば、融着部60における光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化している構成を採用している。これにより、工程上におけるサンプル作製の際に電荷移動体(電解質)30の液漏れが生じる箇所を容易に把握し、液漏れ箇所の接着強度を適宜調整することで、液漏れを効果的に防止できる。従って、色素増感型太陽電池1の動作不良を効果的に防止でき、優れた電池特性が得られるとともに、耐久性、安全性及び外観特性にも優れたものとなる。
また、本実施形態の色素増感型太陽電池1の製造方法によれば、超音波融着により、光電極10と対向電極20との融着強度が、融着部60の長尺方向において一方の側60aから他方の側60bに向かうに従って変化するように融着部60を形成する方法を採用している。これにより、上記同様、工程上におけるサンプル作製の際に電荷移動体30の液漏れが生じる箇所を容易に把握し、液漏れ箇所の接着強度を適宜調整することで、液漏れを効果的に防止できる。従って、色素増感型太陽電池1の動作不良を効果的に防止でき、優れた電池特性を備えるとともに、耐久性、安全性及び外観特性にも優れた色素増感型太陽電池1を製造することが可能になる。
[その他の形態]
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、図1に示す例では、融着部60をD1方向に平行(D2方向に垂直)に形成しているが、図7に例示する色素増感型太陽電池2のように、融着部60AをD1方向に対して斜めになるように形成してもよい。色素増感型太陽電池2を融着部60Aに沿って切断すると、台形や平行四辺形の色素増感型太陽電池が得られる。
図7に示す色素増感型太陽電池2においては、図1と同じ構成要素には同じ符号を付している。また、図7に示す例の色素増感型太陽電池2も、図2に示す構造と同じ構造を有するが、一部の構成要素の図示については省略している。
ここで、融着部60AとD1方向との角度θは、融着部60Aを形成する工程において、光電極10及び対向電極20の搬送方向(D2方向)と、超音波付与部115(図5を参照)との角度によって決定される。融着部60AとD1方向との角度θは、特に限定されず、所望の形状に応じて設定でき、例えば、0〜45°が好ましい。また、色素増感型太陽電池2に存在する、複数の融着部60AとD1方向との角度θは、互いに同じでもよく、異なってもよい。
また、図2に示す例では、封止材40で囲まれた領域(セル)が、図1及び図2中に示すD1方向及びD2方向で、複数で直列に連結した構造を示しているが、これには限定されず、例えば、封止材40で囲まれた領域が、D1方向及びD2方向で、複数で並列に連結した構造を含んでいてもよい。
また、本実施形態においては、電気モジュールとして色素増感型太陽電池を例に挙げて説明しているが、本発明は、結晶シリコン系太陽電池等にも適用可能である。
本発明の色素増感型太陽電池は、電解質の液漏れを効果的に防止でき、電池特性に優れるとともに、耐久性、安全性及び外観特性にも優れたものなので、屋外に設置される太陽電池等の他、各種携帯機器の充電用の用途にも非常に好適である。
1…色素増感型太陽電池(電気モジュール)
10…光電極
12…光電極支持体
14…光電極導電層
16…無機半導体層
20…対向電極
22…対向電極支持体
24…対向電極導電層
26…触媒層
30…電荷移動体
40…封止材
41…第一絶縁部(絶縁部)
42…第二絶縁部(絶縁部)
50…導通材
60,60A…融着部
60a…一方の側
60b…他方の側
61,62,63…凸部
S…発電領域

Claims (7)

  1. 光電極と、前記光電極と離間して対向する対向電極と、前記光電極と前記対向電極との間に位置する電荷移動体と、前記光電極と前記対向電極との間に位置して前記電荷移動体を封止する封止材と、前記光電極と前記対向電極とを融着した融着部と、を備える電気モジュールであって、
    前記光電極は、光電極支持体、及び前記光電極支持体上に位置する光電極導電層を有し、
    前記対向電極は、対向電極支持体、及び前記対向電極支持体上に位置する対向電極導電層を有し、
    前記電荷移動体は、前記光電極、前記対向電極、前記封止材、及び前記融着部で囲まれた発電領域に存在し、
    前記融着部が平面視長尺状であり、且つ、前記光電極と前記対向電極との融着強度が、前記融着部の長尺方向において、一方の側から他方の側に向かうに従って変化している電気モジュール。
  2. 前記融着部は、前記一方の側から前記他方の側に向かうに従って、平面視における幅が漸次拡大又は縮小するように変化している、請求項1に記載の電気モジュール。
  3. 前記融着部は、前記一方の側から前記他方の側に向かうに従って断面形状が変化している、請求項1に記載の電気モジュール。
  4. 前記融着部の断面形状が、それぞれ離間した複数の凸部を有する形状であり、且つ、前記融着部における前記複数の凸部に対応する位置の最大厚みT2が、前記発電領域における最大厚みT1よりも大きい、請求項3に記載の電気モジュール。
  5. 前記融着部における前記最大厚みT2と、前記発電領域における前記最大厚みT1との関係が、次式{T2/T1=1.19〜1.83}で表される関係を満たす、請求項4の記載の電気モジュール。
  6. 前記電気モジュールが色素増感型太陽電池であり、前記光電極が前記光電極導電層上に位置する無機半導体層を有し、前記無機半導体層が増感色素を担持している、請求項1〜請求項5の何れか一項に記載の電気モジュール。
  7. 請求項1〜請求項6の何れか一項に記載の電気モジュールを製造する、電気モジュールの製造方法であって、
    前記融着部を、超音波融着によって平面視長尺状に形成し、且つ、前記光電極と前記対向電極との融着強度が、前記融着部の長尺方向において、一方の側から他方の側に向かうに従って変化するように前記融着部を形成する、電気モジュールの製造方法。
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