JP6702191B2 - 架橋性ニトリルゴム組成物およびゴム架橋物 - Google Patents

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Description

本発明は、引張応力および引裂強度に優れたゴム架橋物を与えることができる架橋性ニトリルゴム組成物および該架橋性ニトリルゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物に関する。
従来から、ニトリルゴム(アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム)は、耐油性、機械的特性、耐薬品性等を活かして、ホースやベルト、チューブなどの自動車用ゴム部品の材料として使用されており、また、ニトリルゴムのポリマー主鎖中の炭素−炭素二重結合を水素化などにより飽和化して得られる高飽和ニトリルゴムはさらに耐熱性に優れるため、シール、ベルト、ホース、ダイアフラム等のゴム部品に使用されている。
一方で、このような高飽和ニトリルゴムなどのゴムに短繊維を配合することにより、得られるゴム架橋物の機械的特性を向上させる技術が知られている。しかしながら、短繊維をゴム中に均一に分散させることは困難であり、単にゴム中に短繊維を添加しただけでは、短繊維同士が絡み合って塊となってしまい、所望の特性を得ることができないという課題があった。
これに対し、特許文献1では、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位含有共重合ゴムに、短繊維および可塑剤を配合することでマスターバッチを得て、短繊維をマスターバッチの状態にて、高飽和ニトリルゴムに配合する手法が提案されている。この特許文献1の技術によれば、高飽和ニトリルゴム中に短繊維を良好に分散させることができるものの、マスターバッチを得る際に可塑剤を用いるものであるため、結果として、得られるゴム架橋物中における可塑剤が比較的多くなってしまうため、可塑剤の滲み出し(ブリードアウト)が発生する場合があり、得られるゴム架橋物の適用される用途によっては、可塑剤の滲み出しが問題となる場合があった。また、特許文献1で得られるゴム架橋物は、引裂強度も十分でなく、引裂強度のさらなる改善も求められていた。
国際公開第2005/092971号
本発明は、引張応力および引裂強度に優れたゴム架橋物を与えることができる架橋性ニトリルゴム組成物および該架橋性ニトリルゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴムに、特定のエチレン−酢酸ビニル共重合体と、平均繊維長が0.1〜12mmである有機短繊維とを特定の割合で含有するマスターバッチ、および、架橋剤を配合することにより得られるゴム組成物により、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明によれば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、21.18Nの荷重下190℃で測定されるメルトフローレートが0.5〜1000g/10minであり、酢酸ビニル単量体単位を5〜50重量%の割合で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、平均繊維長が0.1〜12mmである有機短繊維(b2)とを含有するマスターバッチ(B)と、架橋剤(C)とを含有し、前記マスターバッチ(B)中における、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、前記有機短繊維(b2)との比率が、「エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1):有機短繊維(b2)」の重量比で、30:70〜80:20である架橋性ニトリルゴム組成物が提供される。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対する、前記マスターバッチ(B)の含有割合が、0.1〜30重量部であることが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記架橋剤(C)が、有機過酸化物架橋剤であることが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記有機短繊維(b1)が、フィブリルを有するパルプ状の短繊維であることが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記有機短繊維(b1)が、アラミド短繊維であることが好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維またはコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維であることがより好ましい。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)をさらに含有することが好ましい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物において、前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)が、アクリル酸またはメタクリル酸と、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される少なくとも1種の金属との塩であることが好ましい。
さらに、本発明によれば、上記いずれかの架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物が提供される。
本発明によれば、引張応力および引裂強度に優れたゴム架橋物を与えることができる架橋性ニトリルゴム組成物および該架橋性ニトリルゴム組成物を用いて得られるゴム架橋物を提供することができる。
架橋性ニトリルゴム組成物
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、
α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、
21.18Nの荷重下190℃で測定されるメルトフローレートが0.5〜1000g/10minであり、酢酸ビニル単量体単位を5〜50重量%の割合で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、平均繊維長が0.1〜12mmである有機短繊維(b2)とを含有するマスターバッチ(B)と、
架橋剤(C)とを含有し、
前記マスターバッチ(B)中における、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、前記有機短繊維(b2)との比率が、「エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1):有機短繊維(b2)」の重量比で、30:70〜80:20であることを特徴とする。
高飽和ニトリルゴム(A)
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下であるゴムである。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)中に含有される、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を形成するα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は、特に限定されないが、炭素数3〜18のものが好ましく、炭素数3〜9のものが特に好ましい。その具体例としてはアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル等が挙げられ、なかでもアクリロニトリルが好ましい。これらのα,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
高飽和ニトリルゴム(A)中における、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量は、10〜60重量%であり、好ましくは15〜55重量%、より好ましくは20〜50重量%である。α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量が少なすぎると、得られる架橋物が耐油性に劣るものとなるおそれがあり、逆に多すぎると耐寒性が低下する可能性がある。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、ゴム弾性による機械的特性の向上の観点から、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位をさらに含有していることが好ましい。
ジエン単量体単位を形成するジエン単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン等の炭素数が4以上の共役ジエン;1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の炭素数が5〜12の非共役ジエンが挙げられる。これらの中では共役ジエンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。α−オレフィン単量体単位を形成するα−オレフィン単量体としては、好ましくは炭素数が2〜12のものであり、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等が例示される。これらのジエン単量体、α−オレフィン単量体は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
高飽和ニトリルゴム(A)中における、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量は、好ましくは40〜90重量%、より好ましくは45〜85重量%、さらに好ましくは50〜80重量%である。ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物を、耐熱性や耐化学的安定性を良好に保ちながら、ゴム弾性に優れたものとすることができる。
また、本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位、ならびに、ジエン単量体単位および/またはα−オレフィン単量体単位に加えて、これらの単量体と共重合可能なその他の単量体の単位を含有するものであってもよい。このようなその他の単量体としては、非共役ジエン単量体、芳香族ビニル単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸およびそのエステル、α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸ならびにそのモノエステル、多価エステルおよび無水物、架橋性単量体、共重合性老化防止剤などが挙げられる。
非共役ジエン単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、たとえば、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが挙げられる。
芳香族ビニル単量体としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、たとえば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸などが好ましく挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸エステルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸エチル(アクリル酸エチルおよびメタクリル酸エチルの意。以下同様。)、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸としては、たとえば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸モノエステルとしては、たとえば、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸モノn−ブチルなどのマレイン酸モノアルキルエステル;フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸モノn−ブチルなどのフマル酸モノアルキルエステル;シトラコン酸モノメチル、シトラコン酸モノエチル、シトラコン酸モノプロピル、シトラコン酸モノn−ブチルなどのシトラコン酸モノアルキルエステル;イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノプロピル、イタコン酸モノn−ブチルなどのイタコン酸モノアルキルエステル;などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸多価エステルとしては、たとえば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジn−ブチル、フマル酸ジメチル、フマル酸ジn−ブチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジn−ブチルなどが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物としては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられる。
架橋性単量体としては、たとえば、ジビニルベンゼンなどのジビニル化合物;エチレンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリル酸エステル類;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどのトリメタクリル酸エステル類;などの多官能エチレン性不飽和単量体のほか、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチロール(メタ)アクリルアミドなどの自己架橋性単量体などが挙げられる。
共重合性老化防止剤としては、たとえば、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、 N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
これらの共重合可能なその他の単量体は、複数種類を併用してもよい。高飽和ニトリルゴム(A)中における、その他の単量体の単位の含有量は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)は、そのヨウ素価が120以下であり、好ましくは80以下、より好ましくは25以下、さらに好ましくは15以下のものである。高飽和ニトリルゴム(A)のヨウ素価が高すぎると、ゴム架橋物の耐熱性および耐オゾン性が低下するおそれがある。
高飽和ニトリルゴム(A)のポリマームーニー粘度(ML1+4、100℃)は、好ましくは15〜200、より好ましくは20〜150、さらに好ましくは30〜120である。高飽和ニトリルゴム(A)のポリマームーニー粘度が低すぎると、得られるゴム架橋物の機械特性が低下するおそれがあり、逆に、高すぎると架橋性ニトリルゴム組成物の加工性が低下する可能性がある。
本発明で用いる高飽和ニトリルゴム(A)の製造方法は、特に限定されず、たとえば、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体、ジエン単量体および/またはα−オレフィン単量体、および、必要に応じて加えられるこれらと共重合可能なその他の単量体を共重合する方法が便利で好ましい。重合法としては、公知の乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法および溶液重合法のいずれをも用いることができるが、重合反応の制御が容易であることから乳化重合法が好ましい。なお、共重合して得られた共重合体のヨウ素価が120より高い場合には、共重合体の水素化(水素添加反応)を行うとよい。この場合における、水素化の方法は特に限定されず、公知の方法を採用すればよい。
マスターバッチ(B)
本発明で用いるマスターバッチ(B)は、21.18Nの荷重下190℃で測定されるメルトフローレートが0.5〜1000g/10minであり、酢酸ビニル単量体単位を5〜50重量%の割合で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、平均繊維長が0.1〜12mmである有機短繊維(b2)とを含有してなるものである。
本発明においては、組成物を構成する主成分としてのゴムとして、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)を用い、これに、有機短繊維(b2)を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)に配合することで得られたマスターバッチを配合するものであり、これにより、組成物中における、有機短繊維(b2)の分散性を特に良好なものとすることができるものである。そして、本発明によれば、有機短繊維(b2)の分散性を特に良好なものとすることにより、得られるゴム架橋物を、引張応力および引裂強度に特に優れたものとすることができるものである。
一方、組成物を構成する主成分として、高飽和ニトリルゴム以外のゴムや、樹脂を用いた場合や、高飽和ニトリルゴムを使用した場合でも、α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位の含有量や、ヨウ素価が上記範囲から外れたものを使用した場合には、ゴム組成物の混練加工性、ゴム架橋物の耐圧縮永久歪み性や耐低温脆性が悪化してしまうこととなる。これに対し、本発明によれば、上記構成を採用することにより、このような不具合を生じさせることなく、得られるゴム架橋物を、引張応力および引裂強度に特に優れたものとすることができるものである。
エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体であり、メルトフローレートおよび酢酸ビニル単量体単位の含有量が上記範囲にあるものであれば特に限定されず、ゴム状、樹脂状のいずれの性状のものであってもよい。
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)は、メルトフローレート(MFR)が0.5〜1000g/10minであり、好ましくは1〜900g/10min、より好ましくは10〜500g/10minである。メルトフローレートが上記範囲内にあることにより、高飽和ニトリルゴム(A)および有機短繊維(b2)に対する親和性をより良好なものとすることができる。なお、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)のメルトフローレートは、ASTM D1238に基づき、190℃/21.18N(190℃/2.16kg)の条件で測定されるものである。
また、本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)は、酢酸ビニル単量体単位の含有割合が、5〜50重量%であり、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは20〜40重量%である。酢酸ビニル単量体単位の含有割合を上記範囲とすることにより、高飽和ニトリルゴム(A)および有機短繊維(b2)に対する親和性を良好なものとするこができ、これにより、高飽和ニトリルゴム(A)中への有機短繊維(b2)の分散性をより良好なものとすることができる。
本発明で用いる有機短繊維(b2)としては、平均繊維長が0.1〜12mmの範囲にある繊維状の有機材料であればよく特に限定されない。なお、有機短繊維(b2)の平均繊維長は、たとえば、光学顕微鏡により写真撮影を行い、得られた写真において無作為に選んだ100個の短繊維の長さを測定し、これを算術平均することにより求めることができる。平均繊維長が短すぎると、得られるゴム架橋物の引張応力が低下するおそれがあり、一方、平均繊維長が長すぎると、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)とともにマスターバッチ化する際に、マスターバッチ化が困難となるおそれがなる。有機短繊維(b2)の平均繊維長は、好ましくは0.5〜10mmであり、より好ましくは0.5〜6mmである。
本発明で用いる有機短繊維(b2)としては、綿、木材セルロース繊維等の天然繊維;ポリアミド、ポリエステル、ポリビニルアルコール、レーヨン、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリ乳酸、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、フッ素系ポリマー等の合成樹脂からなる繊維;等が例示される。これらの中でも、本発明の効果がより一層顕著になることから、合成樹脂からなる短繊維を用いることが好ましく、ポリアミドからなる短繊維を用いることがより好ましい。
ポリアミドとしては、ポリカプラミド、ポリ−ω−アミノヘプタン酸、ポリ−ω−アミノノナン酸、ポリウンデカンアミド、ポリエチレンジアミンアジパミド、ポリテトラメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンアジパミド、ポリヘキサメチレンセバカミド、ポリヘキサメチレンドデカミド、ポリオクタメチレンアジパミド、ポリデカメチレンアジパミドなどの脂肪族ポリアミド;ポリパラフェニレンテレフタラミド(商品名「Kevlar」、東レ・デュポン社製)、ポリメタフェニレンイソフタラミド(商品名「コーネックス」、帝人テクノプロダクツ社製)、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド(商品名「テクノーラ」、帝人テクノプロダクツ社製)、ポリメタキシリレンアジパミド、ポリメタキシリレンピメラミド、ポリメタキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンアゼラミド、ポリパラキシリレンデカナミドなどの芳香族ポリアミド(アラミド);などが挙げられる。これらのなかでも、得られるゴム架橋物の引張応力および引裂強さをより向上させることができるという点より、芳香族ポリアミド、すなわち、アラミドが好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド、ポリメタフェニレンイソフタラミドおよびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドがより好ましく、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミドが特に好ましい。
すなわち、ポリアミドからなる短繊維としては、アラミド短繊維が好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維、ポリメタフェニレンイソフタラミド短繊維およびコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維がより好ましく、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維、コポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維が特に好ましい。
また、本発明で用いる有機短繊維(b2)としては、チョップドファイバー(カットファイバー)状でも、フィブリルを有するパルプ状のものでもよいが、フィブリルを有するパルプ状の短繊維(フィブリル化したパルプ状の短繊維)が好ましく、特に、フィブリルを有するパルプ状のアラミド短繊維(フィブリル化したパルプ状のアラミド短繊維)であることがより好ましい。フィブリルを有するパルプ状の短繊維、特に、フィブリルを有するパルプ状のアラミド短繊維を使用することにより、得られるゴム架橋物の引張応力および引裂強度をより高めることができる。
フィブリルを有するパルプ状のアラミド短繊維としては、特に限定されないが、たとえば、熱分解温度が250℃以上、700℃以下であるアラミド短繊維をさらに微細繊維に枝分かれさせて表面を毛羽立たせた構造としたものなどを用いることができる。
本発明で用いるマスターバッチ(B)中における、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、有機短繊維(b2)との比率は、「エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1):有機短繊維(b2)」の重量比で、30:70〜80:20であり、好ましくは35:65〜75:25、より好ましくは40:60〜70:30である。エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、有機短繊維(b2)との比率を上記範囲とすることで、架橋性ニトリルゴム組成物中への有機短繊維(b2)の分散を十分なものとすることができ、これにより、得られるゴム架橋物の引張応力および引裂強度の向上効果を適切に得ることができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)が少なすぎると、架橋性ニトリルゴム組成物中への有機短繊維(b2)の分散が不十分となってしまい、有機短繊維(b2)の配合効果、すなわち、得られるゴム架橋物の引張応力および引裂強度の向上効果が得られなくなってしまう。同様に、有機短繊維(b2)が少なすぎると、得られるゴム架橋物の引張応力および引裂強度の向上効果が得られなくなってしまう。
なお、マスターバッチ(B)中には、本発明の効果を阻害しない範囲で、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、加工助剤、滑材、潤滑剤などのその他添加剤を含んでいてもよい。これらその他添加剤の含有量は、通常マスターバッチ(B)中の30重量%以下、より好ましくは15重量%以下、特に好ましくは5重量%以下である。
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、マスターバッチ(B)の含有量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜30重量部であり、より好ましくは1〜25重量部、さらに好ましくは3〜20重量部である。本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、有機短繊維(b2)の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の引張応力および引裂強度の向上効果をより高めることができる。
本発明で用いるマスターバッチ(B)は、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、有機短繊維(b2)とを混合することで調製することができる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、有機短繊維(b2)とを混合する方法としては、これらを均一に混合可能な方法であればよく特に限定されないが、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)の重合中、あるいは溶融混練中に、有機短繊維(b2)を添加する方法などが挙げられる。エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)の溶融混練中に、有機短繊維(b2)を添加する方法としては、たとえば、二軸押出し機などの押出し機に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)および有機短繊維(b2)を添加し、押出し機中にて溶融混練する方法などが挙げられる。
架橋剤(C)
本発明で用いる架橋剤(C)としては特に限定されず、有機過酸化物架橋剤、ポリアミン架橋剤、硫黄系架橋剤などが挙げられるが、有機過酸化物架橋剤が好ましい。架橋剤(C)として、有機過酸化物架橋剤を用いることにより、架橋性ニトリルゴム組成物の加工性が向上し、また、得られるゴム架橋物を、引張強度に特に優れたものとすることができる。
有機過酸化物架橋剤としては、従来公知のものを用いることができ、ジクミルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキシド、パラメンタンヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(t−ブチル−ペルオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルペルオキシヘキシン−3、1,1−ジ−t−ブチルペルオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、p−クロロベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペルオキシベンゾエート等が挙げられる。これらのなかでも、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましい。これらは一種単独でまたは複数種併せて用いることができる。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、架橋剤(C)の配合量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部であり、より好ましくは1〜15重量部、さらに好ましくは2〜10重量部である。架橋剤(C)の配合量が少なすぎると、得られるゴム架橋物の機械特性が低下するおそれがある。一方、多すぎると、得られるゴム架橋物の耐疲労性が悪化する可能性がある。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、上記高飽和ニトリルゴム(A)、マスターバッチ(B)、および架橋剤(C)に加えて、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)をさらに配合してもよい。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)をさらに配合することで、得られるゴム架橋物の機械強度をより向上させることができる。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と、金属との塩であればよく特に限定されない。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を構成するα,β−エチレン性不飽和カルボン酸としては、少なくとも1価のフリーの(エステル化されていない)カルボキシル基を有するものであり、たとえば、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルなど挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などが挙げられる。
α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノエステルとしては、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル、イタコン酸モノエチルなどが挙げられる。
これらのなかでも、得られるゴム架橋物の機械強度をより高めることができるという点から、エステル基を持たないα,β−エチレン性不飽和カルボン酸が好ましく、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸がより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、が特に好ましい。
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を構成する金属としては、たとえば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、アルミニウム、錫、鉛などが挙げられる。これらのなかでも、得られるゴム架橋物の機械強度をより高めることができるという点から、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムが好ましく、亜鉛が特に好ましい。
なお、本発明においては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)は、高飽和ニトリルゴム(A)に、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を形成することとなるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸と、金属または金属化合物とを配合して、高飽和ニトリルゴム(A)中で、両者を反応させることで、生成させてもよい。このような方法により、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を生成させることにより、得られるα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を高飽和ニトリルゴム(A)中に良好に分散させることができる。なお、この場合に用いられる金属化合物としては、上述した金属の酸化物、水酸化物、炭酸塩などが挙げられ、なかでも、酸化亜鉛、炭酸亜鉛が好ましく用いられる。
高飽和ニトリルゴム(A)中に、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と金属または金属化合物とを配合して、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を生成させる場合には、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸1モルに対して、金属または金属化合物を、好ましくは0.5〜4モル、より好ましくは0.7〜3モル配合して反応させる。使用する金属または金属化合物の量が少なすぎても多すぎても、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と、金属または金属化合物との反応が起こり難くなる。
また、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)は、取り扱いの問題が生じない限り、細かなものが好ましく、特に、体積平均粒子径が20μm以上の粒子の含有割合を5%以下としたものが好ましい。このようにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を細かなものとするためには、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を、風力分級装置またはふるい分級装置などを用いて分級する方法などを用いればよい。あるいは、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸と、金属または金属化合物とを配合して、高飽和ニトリルゴム(A)中で、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を生成させる場合には、金属または金属化合物を、風力分級装置またはふるい分級装置などを用いて分級する方法などを用いることで、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)を細かなものとすればよい。
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物中における、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)の含有量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは5〜100重量部、より好ましくは10〜50重量部、さらに好ましくは15〜30重量部である。α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)の含有量を上記範囲とすることにより、得られるゴム架橋物の機械強度の向上効果をより高めることができる。
その他の成分
また、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、上記以外に、ゴム分野において通常使用される配合剤、たとえば、カーボンブラックやシリカなどの補強剤、炭酸カルシウム、タルクやクレイなどの充填材、酸化亜鉛や酸化マグネシウムなどの金属酸化物、共架橋剤、架橋促進剤、架橋助剤、架橋遅延剤、老化防止剤、酸化防止剤、光安定剤、一級アミンなどのスコーチ防止剤、ジエチレングリコールなどの活性剤、シランカップリング剤、可塑剤、加工助剤、滑剤、粘着剤、潤滑剤、難燃剤、防黴剤、受酸剤、帯電防止剤、顔料、発泡剤などを配合することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的や効果を阻害しない範囲であれば特に限定されず、配合目的に応じた量を配合することができる。
カーボンブラックとしては、たとえば、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
シリカとしては、石英粉末、珪石粉末等の天然シリカ;無水珪酸(シリカゲル、アエロジル等)、含水珪酸等の合成シリカ;等が挙げられ、これらの中でも、合成シリカが好ましい。またこれらシリカはシランカップリング剤等で表面処理されたものであってもよい。
シランカップリング剤としては特に限定されないが、その具体例としては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトメチルトリメトキシラン、γ−メルカプトメチルトリエトキシラン、γ−メルカプトヘキサメチルジシラザン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、ビス(3−トリエトキシシリルプロピルジスルファンなどの硫黄を含有するシランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプリピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のクロロプロピル基含有シランカプリング剤;3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカプリング剤:p−スチリルトリメトキシシラン等のスチリル基含有シランカップリング剤;3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のウレイド基含有シランカップリング剤;ジアリルジメチルシラン等のアリル基含有シランカップリング剤;テトラエトキシシラン等のアルコキシ基含有シランカップリング剤;ジフェニルジメトキシシラン等のフェニル基含有シランカップリング剤;トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフロロ基含有シランカップリング剤;イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン等のアルキル基含有シランカップリング剤;アセトアルコキシアルミニウムジイソポロピレートなどのアルミニウム系カップリング剤;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデジル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネートなどのチタネート系カップリング剤;などが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
共架橋剤としては、特に限定されないが、ラジカル反応性の不飽和基を分子中に複数個有する低分子または高分子の化合物が好ましく、たとえば、ジビニルベンゼンやジビニルナフタレンなどの多官能ビニル化合物;トリアリルイソシアヌレート、トリメタリルイソシアヌレートなどのイソシアヌレート類;トリアリルシアヌレートなどのシアヌレート類;N,N'−m−フェニレンジマレイミドなどのマレイミド類;ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルセバケート、トリアリルホスフェートなどの多価酸のアリルエステル;ジエチレングリコールビスアリルカーボネート;エチレングリコールジアリルエーテル、トリメチロールプロパンのトリアリルエーテル、ペンタエリトリットの部分的アリルエーテルなどのアリルエーテル類;アリル化ノボラック、アリル化レゾール樹脂等のアリル変性樹脂;トリメチロールプロパントリメタクリレートやトリメチロールプロパントリアクリレートなどの、3〜5官能のメタクリレート化合物やアクリレート化合物;などが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
可塑剤としては、特に限定されないが、トリメリット酸系可塑剤やエーテルエステル系可塑剤などを用いることができる。具体例としては、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル、トリメリット酸イソノニルエステル、アジピン酸ビス[2−(2−ブトキシエトキシ)エチル]、ジヘプタノエート、ジ‐2−エチルヘキサノエート、ジデカノエートなどが挙げられる。これらは1種または複数種併せて用いることができる。
なお、得られるゴム架橋物における、ブリードを防止するという観点より、可塑剤の配合量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、15重量部以下とすることが好ましく、12重量部以下とすることがより好ましい。
さらに、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物には、本発明の効果が阻害されない範囲で、上述した高飽和ニトリルゴム(A)、およびエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)以外のその他の重合体を配合してもよい。その他の重合体としては、アクリルゴム、エチレン−アクリル酸共重合体ゴム、フッ素ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリブタジエンゴム、エチレン−プロピレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム、エピクロロヒドリンゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴム、天然ゴムおよびポリイソプレンゴムなどを挙げることができる。その他の重合体を配合する場合における、架橋性ニトリルゴム組成物中の配合量は、高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対して、好ましくは30重量部以下であり、より好ましくは20重量部以下、さらに好ましくは10重量部以下である。
架橋性ニトリルゴム組成物の製造
本発明の架橋性ニトリルゴム組成物は、上記各成分を、好ましくは非水系で混合して調製される。混合方法に限定はないが、架橋剤(C)および熱に不安定な架橋助剤などを除いた成分を、バンバリーミキサ、インターミキサ、ニーダーなどの混合機で一次混練した後、ロ−ルなどに移して架橋剤(C)等を加えて二次混練することにより調製することができる。なお、一次混練は、通常、10〜200℃、好ましくは30〜180℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行い、二次混練は、通常、10〜100℃、好ましくは20〜60℃の温度で、1分間〜1時間、好ましくは1分間〜30分間行う。この際において、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、有機短繊維(b2)とは予め混合し、マスターバッチ(B)とした状態で、他の成分と混合する。
ゴム架橋物
本発明のゴム架橋物は、上述した本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるものである。
本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を用い、たとえば、所望の形状に対応した成形機、たとえば、押出し機、射出成形機、圧縮機、ロールなどにより成形を行い、加熱することにより架橋反応を行い、ゴム架橋物として形状を固定化することにより製造することができる。この場合においては、予め成形した後に架橋しても、成形と同時に架橋を行ってもよい。成形温度は、通常、10〜200℃、好ましくは25〜120℃である。架橋温度は、通常、100〜200℃、好ましくは130〜190℃であり、架橋時間は、通常、1分〜24時間、好ましくは2分〜12時間、特に好ましくは3分〜6時間である。
また、ゴム架橋物の形状、大きさなどによっては、表面が架橋していても内部まで十分に架橋していない場合があるので、さらに加熱して二次架橋を行ってもよい。
架橋方法としては、プレス架橋、スチーム架橋、オーブン架橋などのゴムの架橋に用いられる一般的な方法を適宜選択することができる。
このようにして得られる本発明のゴム架橋物は、本発明の架橋性ニトリルゴム組成物を用いて得られるものであるため、引張応力および引裂強度に優れたものである。
このため、本発明の架橋物は、このような特性を活かし、O−リング、パッキン、ダイアフラム、オイルシール、シャフトシール、ベアリングシール、ウェルヘッドシール、空気圧機器用シール、エアコンディショナの冷却装置や空調装置の冷凍機用コンプレッサに使用されるフロン若しくはフルオロ炭化水素または二酸化炭素の密封用シール、精密洗浄の洗浄媒体に使用される超臨界二酸化炭素または亜臨界二酸化炭素の密封用シール、転動装置(転がり軸受、自動車用ハブユニット、自動車用ウォーターポンプ、リニアガイド装置およびボールねじ等)用のシール、バルブおよびバルブシート、BOP(Blow Out Preventar)、プラターなどの各種シール材;インテークマニホールドとシリンダヘッドとの連接部に装着されるインテークマニホールドガスケット、シリンダブロックとシリンダヘッドとの連接部に装着されるシリンダヘッドガスケット、ロッカーカバーとシリンダヘッドとの連接部に装着されるロッカーカバーガスケット、オイルパンとシリンダブロックあるいはトランスミッションケースとの連接部に装着されるオイルパンガスケット、正極、電解質板および負極を備えた単位セルを挟み込む一対のハウジング間に装着される燃料電池セパレーター用ガスケット、ハードディスクドライブのトップカバー用ガスケットなどの各種ガスケット;印刷用ロール、製鉄用ロール、製紙用ロール、工業用ロール、事務機用ロールなどの各種ロール;平ベルト(フィルムコア平ベルト、コード平ベルト、積層式平ベルト、単体式平ベルト等)、Vベルト(ラップドVベルト、ローエッジVベルト等)、Vリブドベルト(シングルVリブドベルト、ダブルVリブドベルト、ラップドVリブドベルト、背面ゴムVリブドベルト、上コグVリブドベルト等)、CVT用ベルト、タイミングベルト、歯付ベルト、コンベアーベルト、などの各種ベルト;燃料ホース、ターボエアーホース、オイルホース、ラジェターホース、ヒーターホース、ウォーターホース、バキュームブレーキホース、コントロールホース、エアコンホース、ブレーキホース、パワーステアリングホース、エアーホース、マリンホース、ライザー、フローラインなどの各種ホース;CVJブーツ、プロペラシャフトブーツ、等速ジョイントブーツ、ラックアンドピニオンブーツなどの各種ブーツ;クッション材、ダイナミックダンパ、ゴムカップリング、空気バネ、防振材などの減衰材ゴム部品;ダストカバー、自動車内装部材、タイヤ、被覆ケーブル、靴底、電磁波シールド、フレキシブルプリント基板用接着剤等の接着剤、燃料電池セパレーターの他、エレクトロニクス分野など幅広い用途に使用することができる。これらのなかでも、本発明のゴム架橋物は、引張応力および引裂強度に特に優れるものであるため、ベルト、ホース、ロール、シール、またはガスケットとして好適であり、とりわけ、ベルトとして特に好適である。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。なお、以下において、「部」は、特に断りのない限り重量基準である。また、試験および評価は下記によった。
常態物性(引張強さ、伸び、25%引張応力、50%引張応力、100%引張応力)
架橋性ニトリルゴム組成物を、縦15cm、横15cm、深さ0.2cmの金型に入れ、プレス圧10MPaで加圧しながら170℃で20分間プレス成形してシート状のゴム架橋物を得た。得られたシート状のゴム架橋物を列理方向に3号形ダンベルで打ち抜いて試験片を作製した。そして、得られた試験片を用いて、JIS K6251に従い、引張強さ、伸び、25%引張応力、50%引張応力、および100%引張応力を測定した。
引裂強度
上記常態物性の測定と同様にして、シート状のゴム架橋物を得て、JIS K6252に従い、得られたシート状のゴム架橋物から、切込みなしアングル形の打ち抜き刃で打ち抜くことで試験片を得て、列理方向に引裂き試験を行い、引裂強度を測定した。
実施例1
バンバリーミキサを用いて、高飽和ニトリルゴム(商品名「Zetpol2010L」、日本ゼオン社製、よう素価11、アクリロニトリル単位36.2重量%、ポリマームーニー粘度58(ML1+4、100℃))100部、メタクリル酸亜鉛15部、SRFカーボンブラック(商品名「シーストS」、カーボンブラック)25部、酸化亜鉛10部、トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル(商品名「アデカサイザーC−8」、ADEKA社製、可塑剤)10部、4,4’−ジ−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン(商品名「ノクラックCD」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)1.5部、2−メルカプトベンゾイミダゾール亜鉛塩(商品名「ノクラックMBZ」、大内新興化学工業社製、老化防止剤)1.5部、短繊維マスターバッチ(M1)(商品名「ケブラーEE 1K1034」、東レ・デュポン社製、平均繊維長1.1mmのポリパラフェニレンテレフタルアミドのフィブリル化したパルプ状の短繊維:50重量%、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル単位28重量%、ASTM D1238による190℃/21.18N(190℃/2.16kg)におけるメルトフローレート(MFR)が400g/10min):50重量%)7部を、チャンバー設定温度50℃で5分間混練した。次いで、混合物をオープンロールに移して、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン40%品(商品名「Vul Cup 40KE」、アルケマ社製、有機過酸化物架橋剤)10部を配合し、50℃で5分間混練することにより、架橋性ニトリルゴム組成物を得た。
そして、得られた架橋性ニトリルゴム組成物を用いて、上述した方法にしたがって、常態物性、引裂強度の各評価を行った。結果を表1に示す。
実施例2
トリメリット酸トリ−2−エチルヘキシル10部に代えて、ポリエーテルエステル(商品名「アデカサイザーRS−700」、ADEKA社製、可塑剤)10部を使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例3
メタクリル酸亜鉛15部に代えて、アクリル酸亜鉛15部を使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
実施例4
短繊維マスターバッチ(M1)の配合量を、7部から11部に変更した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1
短繊維マスターバッチ(M1)7部に代えて、短繊維マスターバッチ(M2)(商品名「ケブラーEE 1K3239」、東レ・デュポン社製、平均繊維長1.1mmのポリパラフェニレンテレフタルアミドのパルプ状の短繊維:61.5重量%、エチレン−オクテン二元共重合体(190℃/21.18N(190℃/2.16kg)におけるMFRが20g/10min):38.5重量%)5.69部を使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例2
短繊維マスターバッチ(M1)7部に代えて、短繊維マスターバッチ(M3)(商品名「Rhenogran P91−40 / EPDM」、Rhein Chemie社製、平均繊維長1.4mmのポリパラフェニレンテレフタルアミドのパルプ状の短繊維:40重量%、エチレン−プロピレン−ジエンゴム:60重量%)8.75部を使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例3
短繊維マスターバッチ(M1)7部に代えて、短繊維マスターバッチ(M4)(商品名「Rhenogran P91−40 / NBR」、Rhein Chemie社製、平均繊維長1.4mmのポリパラフェニレンテレフタルアミドのパルプ状の短繊維:40重量%、ニトリルゴム:60重量%)8.75部を使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例4
短繊維マスターバッチ(M1)7部に代えて、マスターバッチ化していないパルプ状の短繊維(商品名「トワロンパルプ1091」、帝人社製、平均繊維長1.4mmのポリパラフェニレンテレフタルアミドのパルプ状の短繊維)3.5部をそのまま使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例5
短繊維マスターバッチ(M1)7部に代えて、マスターバッチ化していないチョップドファイバー(カットファイバー)状の短繊維(商品名「トワロン1589チョップドファイバー1mm」、帝人社製、平均繊維長1mmのポリパラフェニレンテレフタルアミドのチップドファイバー状の短繊維)3.5部をそのまま使用した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例6
短繊維マスターバッチ(M4)の配合量を、8.75部から13.75部に変更した以外は比較例3と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
比較例7
短繊維マスターバッチ(M1)を配合しなかったこと、および、メタクリル酸亜鉛の配合量を15部から15.5部に変更した以外は実施例1と同様にして、架橋性ニトリルゴム組成物を調製し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
Figure 0006702191
表1に示すように、高飽和ニトリルゴム(A)に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、有機短繊維(b2)とを本発明所定の割合で含有するマスターバッチ(B)、および架橋剤(C)を含有する架橋性ニトリルゴム組成物を架橋することにより得られるゴム架橋物は、高い引張応力を示し、また引裂強度も高く優れる結果であった(実施例1〜4)。
一方、短繊維マスターバッチとして、エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)以外のバインダーを用いたものを使用した場合には、得られるゴム架橋物は、引張応力が低く、引裂強度も劣るものであった(比較例1〜3,6)。
また、パルプ状の有機短繊維をマスターバッチ化せずに、そのまま配合した場合には、得られるゴム架橋物は、架橋物中に短繊維の塊を無数に含むものとなり、各種評価をすることができないものであった(比較例4)。
カットファイバー状の有機短繊維をマスターバッチ化せずに、そのまま配合した場合には、得られるゴム架橋物は、引張応力が低く、引裂強度も劣るものであった(比較例5)。
さらに、有機短繊維を配合しなかった場合には、引張応力が極めて低く、引裂強度にも劣るものであった(比較例7)。

Claims (9)

  1. α,β−エチレン性不飽和ニトリル単量体単位を10〜60重量%の割合で含有し、ヨウ素価が120以下である高飽和ニトリルゴム(A)と、
    21.18Nの荷重下190℃で測定されるメルトフローレートが0.5〜1000g/10minであり、酢酸ビニル単量体単位を5〜50重量%の割合で含有するエチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、平均繊維長が0.1〜12mmである有機短繊維(b2)とを含有するマスターバッチ(B)と、
    架橋剤(C)とを含有し、
    前記マスターバッチ(B)中における、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1)と、前記有機短繊維(b2)との比率が、「エチレン−酢酸ビニル共重合体(b1):有機短繊維(b2)」の重量比で、30:70〜80:20である架橋性ニトリルゴム組成物。
  2. 前記高飽和ニトリルゴム(A)100重量部に対する、前記マスターバッチ(B)の含有割合が、0.1〜30重量部である請求項1に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  3. 前記架橋剤(C)が、有機過酸化物架橋剤である請求項1または2に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  4. 前記有機短繊維(b2)が、フィブリルを有するパルプ状の短繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  5. 前記有機短繊維(b2)が、アラミド短繊維である請求項1〜4のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  6. 前記有機短繊維(b2)が、ポリパラフェニレンテレフタラミド短繊維またはコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタラミド短繊維である請求項5に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  7. α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)をさらに含有する請求項1〜6のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  8. 前記α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩(D)が、アクリル酸またはメタクリル酸と、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、およびアルミニウムから選択される少なくとも1種の金属との塩である請求項7に記載の架橋性ニトリルゴム組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の架橋性ニトリルゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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