JP4490516B2 - 有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物及びその架橋物 - Google Patents

有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物及びその架橋物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムとエチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩からなるゴム組成物中に主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマーの短繊維が分散した有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物及びその架橋物に関する。
【0002】
【従来の技術】
アクリロニトリル−ブタジエン共重合体ゴム(NBR)などのニトリル基含有共重合体ゴムの水素添加などにより得られるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、従来のニトリル基含有共重合体ゴムやその他のゴムに比べて、その架橋物が著しく優れた耐熱性及び機械的強度を有するゴム材料として知られており、タイミングベルトなどのベルト、各種ホースやブーツなどのゴム材料として使用されている。
【0003】
また、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムは、それにメタクリル酸亜鉛などのα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を配合し、有機過酸化物で架橋することにより、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸金属塩を使用せずに硫黄系架橋剤で架橋したものより格段に優れた機械的強度、耐摩耗性および耐疲労性が付与される。その反面、引張り応力が低いという問題がある。
【0004】
このため、高引張り応力を有し、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を配合し、有機過酸化物で架橋したものよりも、さらに優れた耐摩耗性や耐疲労性を有する架橋ゴム製品の製造が可能なゴム材料が求められている。
従来、機械的強度や耐摩耗性などを改良するために、ゴム材料中に短繊維を分散させることが広く知られている(例えば、特開平9−87434号公報など)。
しかしながら、短繊維がゴム材料に添加されるとゴム組成物の粘度が非常に高くなるため、混練中に短繊維の分散不良が生じたり、混練中のゴム組成物の温度上昇によって短繊維が溶融して繊維の形態を失うことがあった。また、短繊維の分散性を改良するために混練機の剪断速度を上げて混練すると、短繊維の切断が生じ、補強効果が低下してしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、ニトリル基含有共重合体ゴムとα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩とを含有するゴム組成物の有機過酸化物による架橋物よりも、高い引張り応力を有し、さらに優れた耐摩耗性及び耐疲労性を有する架橋物の製造が可能な架橋性ゴム組成物及びその加硫物を提供することである。
【0006】
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムに短繊維を添加したゴム組成物の有機過酸化物による架橋物は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を配合したゴム組成物の有機過酸化物による架橋物よりも高い引張り応力は得られるものの、耐摩耗性及び耐疲労性は逆に悪くなり、上記のニトリル基含有高飽和共重合体ゴムにα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を配合したゴム組成物短繊維を添加した場合には、予期に反して耐摩耗性及び耐疲労性が著しく改善されることを見出した。
また、α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を配合することで諸物性を改善するとともに、配合物粘度を低下せしめることが可能となり、大型混練機を用いて剪断力を調整することで初めて目的とする短繊維の分散性が良好なゴム組成物が得られることを見出した。これらの知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる本発明によれば、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部、ポリオレフィン(B)1〜30重量部、α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)10〜100重量部及び主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)1〜30重量部を含有してなる有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物であって、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の少なくとも一部、ポリオレフィン(B)の少なくとも一部及び主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)とからなる短繊維含有ポリマー組成物(E)に、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の残部、ポリオレフィン(B)の残部及びα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)を配合し、上記ポリオレフィン(B)の融点以上かつ主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)の融点未満の温度、及び剪断速度100〜1000/秒で混練して得られる有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明を更に詳細に説明する。
本発明の有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)にポリオレフィン(B)とα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)が配合されたゴム組成物に主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー製短繊維(D)を均一に分散させた、有機過酸化物によって架橋可能な繊維強化ゴム組成物(以下では単にゴム組成物と称することがある。)である。
【0009】
先ず、本発明の成分(A)〜(D)について説明する。
本発明で用いるニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)(以下ではゴム成分(A)と称することがある。)は、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体を他の単量体と共重合して得られるヨウ素価が120以下のゴムである。ヨウ素価はゴム分子中の炭素−炭素結合の不飽和度を示す指標であり、ゴム100gに付加し得るヨウ素の量をグラムで表した数値である。
【0010】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体と共重合させる単量体としては、共役ジエン単量体、非共役ジエン単量体、α−オレフィンなどが例示される。α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体と共役ジエン単量体を共重合した場合には、ヨウ素価が大きすぎる共重合ゴムが得られる場合が多いが、その場合には、共重合ゴム中の炭素−炭素不飽和結合を公知の方法で水素添加することによりヨウ素価を低くすればよい。
【0011】
α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリルなどが例示され、アクリロニトリルが好ましい。これらは複数種類を併用してもよい。
ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム中のα,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体単位の含有量は、通常10〜60重量%、好ましくは10〜55重量%、さらに好ましくは10〜50重量%であり、本発明のゴム組成物の用途に応じて最適な範囲が選定される。
【0012】
共役ジエン単量体としては、例えば、1,3−ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどが例示され、1,3−ブタジエンが好ましい。ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムが、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体、共役ジエン単量体および必要に応じて他の共重合可能な単量体を共重合し、必要に応じて水素添加したものである場合には、共重合体の共役ジエン単量体単位の含有量は、好ましくは30〜90重量%、より好ましくは40〜90重量%。さらに好ましくは50〜90重量%である。
【0013】
非共役ジエン系単量体としては、炭素数が5〜12のものが好ましく、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどが例示される。
【0014】
α−オレフィンとしては、炭素数が2〜12のものが好ましく、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが例示される。
【0015】
そのほか、α,β−エチレン性不飽和ニトリル系単量体と共重合可能な単量体としては、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル類、芳香族ビニル系単量体、フッ素含有ビニル系単量体、α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸、α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物、共重合性の老化防止剤などが例示される。
【0016】
α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル類としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ドデシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレートなどの炭素数1〜18のアルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレート;メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルメタアクリレートなどの炭素数2〜12のアルコキシアルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレート;α−シアノエチルアクリレート、β−シアノエチルアクリレート、シアノブチルメタクリレートなどの炭素数2〜12のシアノアルキル基を有するアクリレートおよびメタクリレート;2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートなどのヒドロキシアルキル基を有するアクリレート;マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジメチル、フマル酸ジメチル、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、イタコン酸ジ−n−ブチルなどのα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸モノアルキルエステルまたはα,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸ジアルキルエステル;ジメチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートなどのアミノ基含有α,β−エチレン性不飽和カルボン酸エステル系単量体;トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルメタクリレートなどのフルオロアルキル基を有するアクリレートまたはメタクリレート;フルオロベンジルアクリレート、フルオロベンジルメタクリレートなどのフッ素置換ベンジルアクリレートまたはフッ素置換ベンジルメタクリレートなどが例示される。
【0017】
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルピリジンなどが例示される。フッ素含有ビニル系単量体としては、フルオロエチルビニルエーテル、フルオロプロピルビニルエーテル、o−トリフルオロメチルスチレン、ペンタフルオロ安息香酸ビニル、ジフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが例示される。α,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸などが例示される。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などが例示される。α,β−エチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物としては、無水マレイン酸などが例示される。共重合性の老化防止剤としては、N−(4−アニリノフェニル)アクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)メタクリルアミド、N−(4−アニリノフェニル)シンナムアミド、N−(4−アニリノフェニル)クロトンアミド、N−フェニル−4−(3−ビニルベンジルオキシ)アニリン、N−フェニル−4−(4−ビニルベンジルオキシ)アニリンなどが例示される。
これらの共重合可能な単量体は複数種類を併用してもよい。
【0018】
本発明で用いられるニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのヨウ素価は、120以下であり、好まくは80以下、より好ましくは50以下である。ヨウ素価が高すぎると架橋物の耐熱性が低下し、強度の向上は少なくなる。また、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100 ℃)は、通常15〜200、好ましくは30〜150、さらに好ましくは45〜100である。ムーニー粘度が小さすぎると架橋物の強度特性などが劣り、ムーニー粘度が大きすぎるとゴム組成物の加工性が劣る。
【0019】
本発明で用いられるポリオレフィン(B)は、融点が好ましくは80〜250℃、より好ましくは100〜150℃、さらに好ましくは110〜130℃のものである。メルトフローインデックスが、好ましくは1〜10g/10分、さらに好ましくは5〜8g/10分のものである。
このようなポリオレフィンとしては、炭素数が2〜8のα−オレフィンの単独重合体及び共重合体、このα−オレフィンとアクリル酸、アクリル酸エステル、酢酸ビニル、芳香族ビニル系単量体(例えば、スチレンなど)またはビニルシラン化合物などとの共重合体などが例示される。具体的には、例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン、ポリエチレン−ポリプロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体、ポリブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体などが例示される。これら以外にも、塩素化ポリエチレン、臭素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレンなどのハロゲン化ポリオレフィンも好ましいものとして挙げられる。これらのポリオレフィンは複数種類併用してもよい。
【0020】
ポリオレフィン(B)の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、より好ましくは15〜25重量部である。
【0021】
本発明で使用されるα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)(以下では金属塩(C)と称することがある。)は、短繊維(D)とともにニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の引張り強さ、耐摩耗性及び耐疲労性を向上させるとともに、ゴム組成物の粘度(配合物粘度)を低下させて良好な短繊維の分散をもたらすものである。
α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩は、低級カルボン酸金属塩の形態で使用しても、また、本発明のゴム組成物を製造する工程中でα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸と金属化合物とをゴム組成物中で反応させることにより生成せしめてもよい。
【0022】
α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、3−ブテン酸などのα,β−エチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸;少なくとも1個のフリーのカルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸の部分メチル、部分エチルなどの部分エステルなどが例示される。これらの中では、良好な物性及び入手の容易さからメタクリル酸が好ましい。
【0023】
金属化合物としては、上記のα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸と塩を形成し得る金属の化合物であれば特に限定されない。金属としては特に亜鉛、アルミニウム、マグネシウム及びカルシウムが好ましい金属として例示される。金属化合物としては、これらの金属の、例えば、酸化物、水酸化物、過酸化物などが例示される。
金属化合物のなかでも、特に亜鉛化合物が好ましく、亜鉛化合物としては、例えば、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、水酸化亜鉛などが例示される。
【0024】
ゴム組成物の製造工程中でα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を生成させる場合、金属化合物は予め粒径が20μm以上の粗大粒子を分級により除き、粗大粒子の含有率を5重量%以下としたものを使用することが、架橋物の機械的強度を改善するうえで好ましい。また、α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩の形態で使用する場合も、上記同様に粗大粒子を除去したものを使用することが好ましい。
【0025】
製造工程中でα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を生成させる場合、α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸と金属化合物との量比は、金属の原子量などによって異なるが、金属化合物が亜鉛化合物である場合を例にすると、α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸1モルに対して亜鉛化合物の量は、好ましくは0.5〜3.2モル、好ましくは0.5〜2.5モルの範囲である。
【0026】
α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部に対して、10〜100重量部、好ましくは20〜80重量部、より好ましくは20〜50重量部である。
【0027】
本発明で使用される短繊維(D)は、主鎖中にポリアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)からなるものであり、この熱可塑性ポリマーは、融点が好ましくは135〜350℃、より好ましくは150〜300℃、特に好ましくは160〜265℃、分子量が10,000〜100,000のものであり、好ましくは熱可塑性ポリアミドである。
このような熱可塑性ポリアミドとしては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロンMXD6、ナイロン6−ナイロン66共重合体などのナイロン類;キシレンジアミンとアジピン酸、ピメメリン酸あるいはアゼライン酸との重縮合体、テトラメチレンジアミンとテレフタル酸との重縮合体、オクタメチレンジアミンとイソフタル酸との重縮合体などのジアミンとジカルボン酸との重縮合体などが例示される。これらのなかでは、融点が160〜265℃のナイロン類が好ましい。
【0028】
本発明において使用する短繊維(D)は、平均長さが好ましくは1〜100μmで、平均繊維径が、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.05〜0.9μm、さらに好ましくは0.2〜0.8μmの範囲である。また、アスペクト比(繊維長さ/繊維径)は10以上であることが望ましい。
短繊維(D)の配合量は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部に対して、1〜30重量部、好ましくは5〜25重量部、より好ましくは15〜25重量部である。
【0029】
本発明のゴム組成物の架橋に際しては、架橋剤を配合することが必要である。架橋剤としては有機過酸化物が好ましい。有機過酸化物以外の架橋剤を配合すると、架橋物の引張り応力、耐摩耗性及び耐疲労性が不十分なる場合がある。
有機過酸化物は、従来から各種ゴムに使用されている有機過酸化物がいずれも使用でき、特に限定されない。好ましいものとしては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ter−ブチルクミルパーオキサイド、1,3−または1,4−ビス(ter−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ジ−ter−ブチルパーオキシ−3,3−トリメチルシクロヘキサン、4,4−ビス−(ter−ブチル−パーオキシ)−n−ブチルバレレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ−ter−ブチルパーオキシヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−ter−ブチルパーオキシヘキシン−3、1,1−ジ−ter−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−ter−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。これらは複数種類を併用してもよい。有機過酸化物の使用量は特に限定されないが、通常、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して0.05〜10重量部程度である。
【0030】
また、上記の有機過酸化物とともに使用される架橋助剤として、例えば、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、トリアリルイソシアヌレートなどの多官能性単量体、1,2−ポリブタジエンなどが例示される。架橋助剤は2種以上を併用してもよい。架橋助剤の使用量は、通常、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム100重量部に対して0.05〜10重量部程度である。
【0031】
そのほか、本発明のゴム組成物には、必要に応じて、各種カーボンブラック、シリカなどの補強剤、炭酸カルシウム、クレー、塩基性マグネシウムなどの充填剤、酸化防止剤、オゾン亀裂防止剤、加工助剤、可塑剤などの配合剤を適宜添加することができる。これらの配合剤の配合量は、本発明の目的、効果などを阻害しない範囲で、目的などに応じて適宜決めればよい。
【0032】
次に、本発明の有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物の製造方法について説明する。
本発明のゴム組成物中の製造方法は、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部、ポリオレフィン(B)1〜30重量部、エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)10〜100重量部、主鎖中にアミド基を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)1〜30重量部および必要に応じてそのほかの配合剤を、ポリオレフィン(B)の融点以上かつ熱可塑性ポリマー(D′)の融点未満で混練すればよい。ポリオレフィン(B)の融点未満であるとポリオレフィン(B)が均一に分散されず、熱可塑性ポリマー(D′)の融点以上であると短繊維(D)が溶融してしまい、短繊維の形状を維持できず、短繊維によるゴム組成物の補強効果が不充分となる。架橋剤などのように、高温で配合すると、架橋物の物性の低下などの原因となる配合成分は、それ以外のものを混練した後、低温で配合する。
【0033】
本発明のゴム組成物中に短繊維(D)を均一に分散させるためには、予めゴム成分(A)とポリオレフィン(B)との混練物のマトリックス中に短繊維(D)を均一に分散させた短繊維含有ポリマー組成物(以下では短繊維マスターバッチと称する。)(E)を使用することが好ましい。
【0034】
すなわち、本発明のゴム組成物を構成するニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の少なくとも一部、ポリオレフィン(B)の少なくとも一部及び主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)とからなる短繊維含有ポリマー組成物(E)に、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の残部、ポリオレフィン(B)の残部及びエチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩を配合し、上記ポリオレフィン(B)の融点以上かつ主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)の融点未満で、剪断速度100〜1000/秒で混練することにより短繊維(D)が均一に分散したゴム組成物とすることができる。
【0035】
短繊維マスターバッチ(E)を構成する上記各成分の割合は特に限定されないが、ゴム成分(A)100重量部に対して、ポリオレフィン(B)が好ましくは10〜500重量部、より好ましくは20〜100重量部、短繊維(D)が好ましくは10〜500重量部、より好ましくは20〜100重量部の割合である。短繊維マスターバッチは、本発明の目的、効果などを阻害しない範囲で、ほかの配合剤を含有していてもよい。
【0036】
短繊維マスターバッチの製造方法は、特に限定されず、短繊維(D)が溶融しないように、予め調製したゴム成分(A)とポリオレフィン(B)の混練物と混練することにより、あるいはゴム成分(A)とポリオレフィン(B)を混練する過程で混合することによっても製造できるが、短繊維(D)をマトリックス中に均一に分散させることができることから、特開平9−87434号公報に開示の方法を用いて製造することが好ましい。
【0037】
すなわち、この方法は、主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)(以下ではポリマー成分(D′)と称することがある。)とゴム成分(A)とポリオレフィン(B)からなる混練物を延伸及び/又は圧延することにより、ゴム成分(A)とポリオレフィン(B)とからなるマトリックス中に主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)を生成させて短繊維マスターバッチを製造する方法である。
【0038】
具体的には、(1)ゴム成分(A)とポリオレフィン(B)とを溶融、混練してマトリックスを調製する工程、(2)上記マトリックスとポリマー成分(D′)とを溶融、混練し、得られた混練物をポリマー成分(D′)の融点より高い温度で押出す工程、(3)上記押出物をポリマー成分(D′)の融点より低い温度で延伸及び/又は圧延する工程とを含む工程により短繊維マスターバッチを製造する。
本発明においては、この方法で短繊維マスターバッチを製造する際に、本発明のゴム組成物を製造するために必要なゴム成分(A)および/またはポリオレフィン(B)の全量を用いても、あるいはこれらの一部を用いて製造してもよい。
【0039】
短繊維マスターバッチ(E)を用いて本発明のゴム組成物を得るには、短繊維マスターバッチ(E)に、ゴム成分(A)、金属塩(C)および他の配合剤を目的配合量比となるように必要に応じて追加配合して、混練すればよい。この場合、配合の順序は特に限定されず、例えば、必要に応じて追加配合する各成分を予め混練しておき、そこに短繊維マスターバッチ(E)を配合して混練しても、両者を一緒に混練してもよい。ゴム成分(A)またはポリオレフィン(B)を追加配合する場合は、これらの成分は短繊維マスターバッチ(E)中のものと、追加配合するものが同一である必要はない。なお、ポリオレフィン(B)を追加配合する必要がないように短繊維マスターバッチ(E)の配合量比を決めておくことにより、追加配合の手間が省け、混練を容易にすることができるので好ましい。
【0040】
なお、短繊維マスターバッチ(E)を他の成分と混練する際には、ポリオレフィン(B)の融点以上、短繊維(D)を構成しているポリマー成分(D′)の融点未満の温度で行うことが必要である。ポリマー成分(D′)の融点以上の温度で混練した場合は、短繊維はその形態を失い、本発明の目的は達せられなくなる。
【0041】
また、混練時の剪断速度も重要であり、剪断速度は下限が100/秒以上、好ましくは120/秒以上、より好ましくは150/秒以上、上限が1000/秒以下、好ましくは500/秒以下、さらに好ましくは250/秒以下である。剪断速度が小さすぎると短繊維(D)をマトリックス(ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)とポリオレフィン(B)との混練物)中に均一に分散させることが困難であり、大きすぎると単繊維がさらに微細化され、本発明の目的は達せられない。
【0042】
なお、混練時には、前述の温度の制約があるため、温度の調節は重要である。混練では、摩擦により熱が発生するため、特に高温になった場合の冷却が重要であり、外部からの冷却のみでは、混練機内の温度にムラを生じ、温度を調節するのが困難である。剪断速度を一定にした場合、使用する混練機の種類などに応じて混練機への充填率を調節することにより、放熱効率を上げて温度調節を容易にすることが可能となる。
【0043】
また、前述のように、架橋剤などの高温で配合すると架橋物の物性の低下などの原因となる配合成分は、短繊維マスターバッチに他の配合成分を追加配合して混練した後、本発明の目的、効果を阻害しない低温で配合し、混練することが好ましい。
【0044】
本発明のゴム組成物の架橋方法は特に限定されない。成形は各種ゴム製品の製造に従来から使用されている方法、例えば、圧縮成形、トランスファー成形、射出成形、押出成形などの方法で行われる。架橋は、成形時に加熱されることにより同時に、また、成形後に行われる。
ゴム組成物の架橋温度は、好ましくは140〜180℃、架橋時間は、架橋物の形状、特に肉厚により適当な時間を選択するが、好ましくは2〜30分である。架橋後に、架橋物のひずみを除去したり、物性を向上させるために二段目の架橋(二次架橋)を行ってもよい。二次架橋の条件は特に限定されないが、架橋温度は50〜180℃、架橋時間は1〜5時間が好ましい。
【0045】
本発明の有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物は、高引張り強度、高引張り応力、耐摩耗性及び耐疲労性に優れた加硫物の製造が可能であり、Vベルト、Vリブベルトなどの摩擦伝動ベルト、歯付ベルトなどの伝動ベルト、運搬用ベルト、ホース、ブーツ、ブッシュなどの製造に好適である。
【0046】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、実施例及び比較例における部及び%は特に断りのない限り重量基準である。
なお、以下の実施例および比較例における架橋物の試験片の作製及び試験方法は下記の通りである。
【0047】
(1)引張り試験
JIS K6251に従って引張り試験用の厚さが1mmの架橋シートを作製し、列理の方向に3号ダンベル形に打ち抜いて試験片を得、引張り強さ、100%引張り応力、破断伸び、硬さ(デュロA)を測定した。
(2)摩耗試験
JIS K6264に従って試験片を作製し、ピコ摩耗試験機により摩耗減量を測定し、耐摩耗性の指標とした。試験結果は比較例1の摩耗減量を100とする上記JIS規定の指数で表示した。数値が大きい程、耐摩耗性は優れている。
(3)疲労試験
上島製作所製定荷重疲労試験機を用い、JIS K6251に定められた3号ダンベル形の試験片を作製し、試験片を荷重0kgfから10kgfになるまで伸長させ、それを荷重0kgfになるまで戻す操作を繰り返し、試験片が破断に至る伸長回数を測定した。試験結果は、比較例1の試験片における上記の回数を100とする指数で表示した。数値が大きい程、耐定荷重疲労性は優れている。
【0048】
実施例1、比較例1〜2
表1に記載の配合処方に従って、有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物を作製した。
先ず、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴムである水素化NBR(以下HNBRという)とメタクリル酸及び酸化亜鉛を1.7リットルB型バンバリーを用いて混練し、HNBRにメタクリル酸亜鉛が配合された混練物を作製した。
次いで、上記の混練物とナイロン短繊維のマスターバッチ(宇部興産社製SHP LA5060:HNBR(ヨウ素価30以下)25部、ポリエチレン(融点110〜130℃、メルトフローインデックスは5〜8g/10分)25部、ナイロン6(融点200〜220℃、分子量は10,000〜50,000)製短繊維25部)75部とを加圧ニーダーに容量充填率が60%となるように加え、2枚のブレードの回転数をそれぞれ45rpm及び40rpmにセットし、混練温度が160℃となるように温度制御しながら30分混練し、ナイロン短繊維を分散させた有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物を調製した。混練時の剪断速度は460/秒であった。
このナイロン短繊維を分散させた混練物と表1に記載の有機過酸化物以外の配合剤を50〜60℃のミキシングロールで混練し、最後に有機過酸化物を配合して混練してゴム組成物を得た。
【0049】
得られたゴム組成物を用いて試験片を作製し、引張り試験、摩耗試験及び疲労試験を行った。試験結果を表1に示す。
【0050】
表 1
Figure 0004490516
(注) (1)日本ゼオン社製 Zetpol 2010H
(ヨウ素価11、結合アクリロニトリル量36%、ムーニー粘度120)
(2)旭電化社製 アデカサイザーC−8
(3)ハーキュレス社製バルカップ40KE
(1,3-ビス(ter-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを40%含む)
【0051】
表1から、HNBRにメタクリル酸亜鉛と短繊維を配合して有機過酸化物で架橋した実施例1は、短繊維を配合せず架橋した比較例1やメタクリル酸亜鉛が配合されていない比較例2と比較して優れた耐摩耗性及び耐疲労性を有しているころが分かる。また、実施例1は100%引張り応力も改善されている。
【0052】
実施例2、比較例3
実施例1および比較例2におけるHNBRと短繊維マスターバッチの割合を表2に記載のものとする以外はこれらの実施例及び比較例と同様にて有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物を作製し、同様にして試験した。結果を表2に示す。
表2から、メタクリル酸亜鉛と短繊維を配合した実施例2は、短繊維を配合していない比較例3に比較して、優れた耐摩耗性および耐疲労性を有していることが分かる。また、実施例2は100%引張り応力も改善されている。
【0053】
表 2
Figure 0004490516
【0054】
実施例3〜5、比較例4〜6
ニトリル基含有高飽和ゴム(日本ゼオン社製 Zetpol 2010H(水素化NBR):ヨウ素価11、結合アクリロニトリル量36%、ムーニー粘度(ML1+4,100 ℃)120)75部、メタクリル酸15部、酸化亜鉛10部を、1.7リットルB型バンバリーを用いて100〜150℃で混練し、水素化NBRとメタクリル酸亜鉛からなる混練物を作製した。
この混練物とナイロン短繊維のマスターバッチ(宇部興産社製SHP LA5060)75部とを加圧ニーダーを用い、表2に記載の充填率で、ブレード(2枚)の回転数をそれぞれ20rpm及び45rpmとし、表3に記載の温度及び時間で混練して有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物を調製した。
【0055】
上記のゴム混練物155部にSRFカーボンブラック10部と有機過酸化物(ハーキュレス社製バルカップ40KE:1,3−ビス(ter−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを40%含む)を50〜60℃のミキシングロールで混練してゴム組成物を得た。
ミキシングロールから取り出したゴム組成物シート(15cm×15cm)の一方の表面を目視で観察してナイロン6短繊維の分散性を確認した。以下の指標で観測結果を示す。
3:糸状のものが認められず、均一に分散している場合
2:糸状のものが1〜2個認められる場合
1:ゴム組成物シート上に無数の糸状のものが認められる場合
上記以外の評価は実施例1と同様にして行った。これらの評価結果を表3に示す。
【0056】
表 3
Figure 0004490516
【0057】
表3より、適度の剪断速度で混練した実施例3〜5では、剪断速度の低い比較例5と比較して、短繊維の分散性に優れていることが分かる。また、適度な混練温度で混練した実施例3〜5は、適度の剪断速度ではあるが、ポリエチレンが充分に溶融しない温度で混練した比較例4に比べても、短繊維の分散性に優れていることが分かる。さらに、実施例3〜5は、適度の剪断速度ではあるが混練温度が高すぎる比較例6に比べると、短繊維による物性の改良が認められる。比較例6では、短繊維を構成しているナイロン6が溶融してしまい、繊維補強の効果が失われたものと考えられる。
なお、短繊維マスターバッチを走査型電子顕微鏡で繊維配列方向と断面方向について観察したところ、平均長さ10μm、平均繊維径0.5ミクロンの短繊維が確認された。
【0058】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、高引張り応力、高引張り強さを有し、耐摩耗性及び耐疲労性に優れた架橋ゴム製品を製造することができる有機過酸化物を架橋剤とする短繊維で強化されたゴム組成物が提供される。また、大型の混練機を用いても短繊維の分散が良好なゴム組成物を得ることができる。
本発明のゴム組成物は、上記の架橋物性が要求される、各種ベルト、ホース、ブッシュなどのゴム製品の製造に好適である。

Claims (4)

  1. ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)100重量部、ポリオレフィン(B)1〜30重量部、α,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)10〜100重量部及び主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)1〜30重量部を含有してなる有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物であって、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の少なくとも一部、ポリオレフィン(B)の少なくとも一部及び主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)製短繊維(D)とからなる短繊維含有ポリマー組成物(E)に、ニトリル基含有高飽和共重合体ゴム(A)の残部、ポリオレフィン(B)の残部及びα,β−エチレン性不飽和低級カルボン酸金属塩(C)を配合し、上記ポリオレフィン(B)の融点以上かつ主鎖中にアミド結合を有する熱可塑性ポリマー(D′)の融点未満の温度、及び剪断速度100〜1000/秒で混練して得られる有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物。
  2. 前記ポリオレフィン(B)の融点が、100〜150℃である請求項1に記載の有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物。
  3. 前記ポリオレフィン(B)のメルトフローインデックスが1〜10g/10分である請求項1又は2に記載の有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の有機過酸化物架橋性繊維強化ゴム組成物を架橋してなるゴム架橋物。
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