JP6701989B2 - 色選択用カラーチャート生成方法、及び、色選択用カラーチャート生成プログラム - Google Patents

色選択用カラーチャート生成方法、及び、色選択用カラーチャート生成プログラム Download PDF

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本発明は、色選択用カラーチャート生成方法、及び、色選択用カラーチャート生成プログラムに関する。
例えば、オフセット印刷機をターゲットとして印刷原稿データを生成し、RIP(Raster Image Processor)で印刷原稿データを変換してインクジェットプリンターで印刷物を形成することが行われている。オフセット印刷機の色再現域には制限がある一方、インクジェットプリンターの色再現域を広く利用する等のため、オフセット印刷機をターゲットとした印刷色をより鮮やかな目標色等に置き換えることも行われている。複数のカラーパッチが形成された色選択用カラーチャートは、例えば、前述の目標色を選択するために使用される。このような色選択用カラーチャートには、例えば、中心となる色から色を徐々に変化させた複数のカラーパッチが配置される。特許文献1に開示された色選択方法は、カラーチャートにおける色比較条件を指定し、指定された前記色比較条件の異なる変数にそれぞれ対応する色のカラーパッチが互いに隣接するように設けられた第1〜第3のカラーチャートを印刷するための画像データを生成している。
色選択用カラーチャートを生成する際、カラーパッチの数、カラーパッチ間の色差、及び、全カラーパッチがカバーする色の領域の大きさを決める必要がある。例えば、目的の色を簡単に見つけることができるようにカラーパッチ数を減らすためには、カラーパッチ間の色差を大きくするか、全カラーパッチの色のカバー領域を狭くするかしなければならない。しかし、カラーパッチ間の色差を大きくすると、目標の色がカラーパッチ間の色である場合には近い色を見つけるのが難しくなる。また、全カラーパッチの色のカバー領域を狭くすると、目標の色がその領域内に入らなくなる場合には近い色を見つけるのが困難になる。このように、カラーパッチ数、カラーパッチ間の色差、及び、カバー領域の大きさには、トレードオフの関係がある。
現在の印刷色を置き換えるための目標色を探す際、ユーザーは、現在の印刷色のカラーパッチを含む色選択用カラーチャートから目標色のパッチを探すことになる。色選択用カラーチャートの色の範囲内に目標色のカラーパッチが入っていない場合、ユーザーは、目標色が色選択用カラーチャートの色の範囲内に入るように、パッチ間の色差を大きくするか、色選択用カラーチャートに含まれるパッチの数を大きくするかして、色選択用カラーチャートがカバーする色領域を広くする必要がある。反対に、目標色と現在の印刷色との差が小さい場合、ユーザーは、色選択用カラーチャートに含まれるパッチの数を減らして印刷領域を小さくしたり、詳細に色を合わせることができるようにパッチ間の色差を小さくしたりしている。
特開2011−77937号公報
ユーザーが目標色と現在の印刷色を見比べる場合、往々にして判断を誤り、色選択用カラーチャートに目標色のパッチが見つからずカラーパッチ間の色差を大きくして色選択用カラーチャートを再印刷したり、不必要に多数のパッチを印刷したりしなければならなくなる。その結果、目標色のカラーパッチの選択に時間や印刷メディアを浪費してしまうことになる。
尚、上述の問題は、オフセット印刷機をターゲットとした印刷色に対する目標色を探す場合に限らず、種々のターゲット色に対する目標色を探す場合にも存在する。
本発明の目的の一つは、効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成する技術を提供することにある。
上記目的の一つを達成するため、本発明は、複数のカラーパッチの中から入力データに対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートを生成する色選択用カラーチャート生成方法であって、
前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断工程と、
この判断工程による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定工程と、
を含む、態様を有する。
また、本発明は、複数のカラーパッチの中から入力データに対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートを生成するための色選択用カラーチャート生成プログラムであって、
前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断機能と、
この判断機能による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定機能と、
をコンピューターに実現させる、態様を有する。
上述した態様は、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中で効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成する技術を提供することができる。
原稿作成から印刷までのカラーマネジメントフローの例を模式的に示す図。 プロファイルに示される色再現域の例を模式的に示す図。 色選択用カラーチャートの印刷物の例を模式的に示す図。 色調整装置の構成例を模式的に示すブロック図。 色調整処理の例を示すフローチャート。 パッチ間色差決定処理の例を示すフローチャート。 印刷原稿データ生成時の彩度低下の可能性を判断するための判断基準の例を模式的に示す図。 パッチ間色差決定処理の別の例を示すフローチャート。 パッチ間色差決定処理の別の例を示すフローチャート。 パッチ間隔数決定処理の例を示すフローチャート。 パッチ間色差決定処理の別の例を示すフローチャート。 図12Aはパッチ間色差選択画面の例を模式的に示す図、図12Bはパッチ数選択画面の例を模式的に示す図。
以下、本発明の実施形態を説明する。むろん、以下の実施形態は本発明を例示するものに過ぎず、実施形態に示す特徴の全てが発明の解決手段に必須になるとは限らない。
(1)本技術の概要:
まず、本願の図に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。
[態様1]
図1,5〜11に例示される色選択用カラーチャート生成方法は、判断工程ST1と決定工程ST2を含み、複数のカラーパッチPA1の中から入力データD1に対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチPA1を選択するための色選択用カラーチャートCH1を生成する。図3に例示するように、前記複数のカラーパッチPA1は、隣り合う第一カラーパッチP1及び第二カラーパッチP2を含む。前記判断工程ST1では、設定されたプロファイル520に従って前記入力データD1から得られる出力データD2で表される現在色(例えば後述する式(7)で表される色)と、前記目標色(例えば後述する式(11)で表される色)と、の差の程度を判断する。前記決定工程ST2では、前記判断工程ST1による判断に従って、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dと、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方を決定する。
上記態様1では、現在色と目標色との差の程度に従って、第一カラーパッチP1と第二カラーパッチP2との色差dと、色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方が決定され、色選択用カラーチャートCH1が生成される。これにより、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲を現在色と目標色との差の程度に従った範囲にすることができる。従って、上記態様1は、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中で効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成する方法を提供することができる。
ここで、色選択用カラーチャートは、被印刷物(print substrate)等といった媒体に形成されてもよいし、表示装置に表示されてもよい。
色差は、CIE(国際照明委員会)L***色空間等といった均等色空間の色差を広く含み、色差式CIEDE2000、CMC、CIEDE94、等による色差も含む。
現在色と目標色との差の程度を判断することには、現在色と目標色との推定の差を求めて該推定の差に基づいて判断することと、現在色と目標色との推定の差を求めず別の方法により判断することと、の両方が含まれる。
[態様2]
ところで、前記判断工程ST1では、前記現在色と前記目標色との差(例えば後述する式(12)〜(14)で表される色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsim)を推定してもよい。前記判断工程ST1では、この推定した差に基づいて、前記色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に前記目標色が含まれるように前記現在色と前記目標色との差の程度を判断してもよい(例えば図6のステップS240)。この判断に従って、第一カラーパッチP1と第二カラーパッチP2との色差dと、色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方が決定されると、生成される色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が含まれる。この色選択用カラーチャートCH1から、ユーザーは、目標色のカラーパッチPA1を選択可能である。従って、本態様は、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
[態様3]
前記決定工程ST2では、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dの設定を複数用意してもよい。図9に例示するように、前記決定工程ST2では、これらの設定のうち前記判断工程ST1による判断に従った設定が複数ある場合、該複数の設定のうち最も色差の小さい設定の色差となるように前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dを決定してもよい。これにより、生成される色選択用カラーチャートCH1に目標色のカラーパッチが含まれる一方、第一カラーパッチP1と第二カラーパッチP2との色差が大きくなりすぎることが抑制される。従って、本態様は、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置するさらに好適な例を提供することができる。
[態様4]
前記決定工程ST2では、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nの設定を複数用意してもよい。図10に例示するように、前記決定工程ST2では、これらの設定のうち前記判断工程ST1による判断に従った設定が複数ある場合、該複数の設定のうち最も数が少ない設定の数となるように前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nを決定してもよい。これにより、生成される色選択用カラーチャートCH1に目標色のカラーパッチが含まれる一方、色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nが多くなりすぎることが抑制される。従って、本態様も、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置するさらに好適な例を提供することができる。
[態様5]
前記判断工程ST1では、前記設定されたプロファイル520に従って前記入力データD1から機器独立色空間(例えばL***色空間)の第一座標値(例えば後述する式(4)で表される(Lin,ain,bin))を求めてもよい。また、前記判断工程ST1では、前記入力データD1の生成に使用される基準プロファイル511に従って前記入力データD1から前記機器独立色空間の第二座標値(例えば後述する式(15)で表される(Lm,am,bm))を求めてもよい。さらに、前記判断工程ST1では、前記第一座標値と前記第二座標値との差(例えば式(16)〜(18)で表される色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsim)に基づいて前記現在色と前記目標色との差の程度を判断してもよい。本態様は、設定されたプロファイル520と入力データ生成用の基準プロファイル511とが異なることがある場合に色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
ここで、機器独立色空間は、CIE L***色空間、CIE L***色空間、等を含み、色差式CIEDE2000、CMC、CIEDE94、等に基づく改良均等色空間も含む。
[態様6]
図8に例示するように、前記判断工程ST1では、前記設定されたプロファイル520に含まれる入力プロファイル521が前記入力データD1の生成に使用される基準プロファイル511であるか否かを判断してもよい。この判断も、現在色と目標色との差の程度を判断することに含まれる。前記決定工程ST2では、(a)前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511である場合の前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差d(例えば1.0)よりも、前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511でない場合の前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差d(例えば2.0)を大きくしてもよい。また、前記決定工程ST2では、(b)前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511である場合の前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数N(例えば9×9×9)よりも、前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511でない場合の前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数N(例えば17×17×17)を多くしてもよい。
入力プロファイル521が基準プロファイル511である場合、現在色と目標色との差は比較的小さい可能性が高い。これに対し、入力プロファイル521が基準プロファイル511でない場合、現在色と目標色との差が比較的大きくなる可能性がある。上記構成要素(a),(b)の少なくとも一方が行われると、現在色と目標色との差が比較的大きくなる可能性がある場合に色選択用カラーチャートCH1の色の範囲が比較的広くなる。従って、本態様は、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
[態様7]
前記入力データD1は、ターゲット装置(例えばターゲット印刷機580)で使用される複数の色材の使用量(例えばプロセスカラーCMYKin)を表すデータを含んでもよい。前記判断工程ST1では、前記入力データD1で表される複数の色材の使用量に基づいて、前記現在色と前記目標色との差の程度を判断してもよい(例えば図6のステップS220)。本態様も、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
ここで、ターゲット装置は、オフセット印刷機、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、等を含む。
判断工程による判断対象の複数の色材は、ターゲット装置で使用される全ての色材でもよいし、ターゲット装置で使用される全ての色材から選ばれる一部の色材でもよい。例えば、ターゲット装置でC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及び、K(ブラック)の色材が使用される場合、判断工程では、Kの色材の使用量を使用せず、三原色であるC、M、及び、Yの色材の使用量に基づいて現在色と目標色との差の程度を判断してもよい。
[態様8]
図11,12に例示するように、前記決定工程ST2では、(c)前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dの設定を複数用意し、前記判断工程ST1による判断に従った設定を表示し、且つ、前記複数の設定の中からいずれかの選択操作を受け付け、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dを前記受け付けた設定にしてよい。また、前記決定工程ST2では、(d)前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nの設定を複数用意し、前記判断工程ST1による判断に従った設定を表示し、且つ、前記複数の設定の中からいずれかの選択操作を受け付け、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nを前記受け付けた設定にしてもよい。
上記構成要素(c),(d)の少なくとも一方が行われると、判断工程ST1による判断に従った設定とは異なる設定で色選択用カラーチャートCH1を生成することが可能となる。従って、本態様は、ユーザーの利便性を向上させることが可能な技術を提供することができる。
[態様9]
図1,4〜11に例示される色選択用カラーチャート生成プログラムPR1は、複数のカラーパッチPA1の中から入力データD1に対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチPA1を選択するための色選択用カラーチャートCH1を生成するため、判断機能FU1と決定機能FU2とをコンピューターに実現させる。前記判断機能FU1は、設定されたプロファイル520に従って前記入力データD1から得られる出力データD2で表される現在色(例えば後述する式(7)で表される色)と、前記目標色(例えば後述する式(11)で表される色)と、の差の程度を判断する。前記決定機能FU2は、前記判断機能FU1による判断に従って、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dと、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方を決定する。本態様は、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中で効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成するプログラムを提供することができる。
さらに、本技術は、色選択用カラーチャートを生成する装置、この装置を含む複合装置、これらの装置の制御方法、これらの装置の制御プログラム、色選択用カラーチャート生成プログラムや前記制御プログラムを記録したコンピューター読み取り可能な媒体、等に適用可能である。前述の装置は、分散した複数の部分で構成されてもよい。
(2)カラーマネジメントシステムの具体例:
まず、図1を参照して、本技術を適用可能なカラーマネジメントシステムの例を説明する。
図1に示すカラーマネジメントシステム500は、印刷原稿作成アプリケーション501で印刷原稿データ512(入力データD1の例)を生成し、RIP502で出力データD2に変換してインクジェットプリンター503に印刷物504を形成させる。印刷原稿作成アプリケーション501には、例えば、Adobe(登録商標)Illustrator(登録商標)等を使用可能である。インクジェットプリンター503は、少なくとも、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)のインク(色材)を使用するものとする。
印刷原稿データ512は、色合わせのターゲット装置の例であるターゲット印刷機580のCMYKのインク(色材)で目標とする色Ctを再現するためのプロセスカラーCMYKinを表すデータである。ターゲット印刷機580は、オフセット印刷機であるものとするが、グラビア印刷機、フレキソ印刷機、等でもよい。目標とする色Ctは、例えば、CIE L***色空間(機器独立色空間の例)の座標値(Lt,at,btとする。)で表される。プロセスカラーCMYKinは、ターゲット印刷機580で使用されるCMYKのインクの使用量に対応し、ターゲット印刷機580に依存するCMYK色空間の座標を表す。印刷原稿作成アプリケーション501は、印刷原稿データ512の生成に使用される基準プロファイル511を参照して色CtをプロセスカラーCMYKinに変換する。図1では、基準プロファイル511を「OffsetProfile」と表記している。基準プロファイル511は、ターゲット印刷機580で使用されるインクの色特性を記述したファイルであり、例えば、ICC(International Color Consortium)プロファイルと呼ばれるデータフォーマットを用いることができる。具体的には、例えば、JapanColor(登録商標)ICCプロファイル等を基準プロファイル511に使用可能である。
また、印刷原稿作成アプリケーション501は、基準プロファイル511を印刷原稿データ512に埋め込むことがある。さらに、印刷原稿作成アプリケーション501は、カラーライブラリーの色名531が指定されると印刷原稿データ512に色名531を設定する。カラーライブラリーには、例えば、Pantone(登録商標)カラーライブラリー等を使用可能である。
RIP502は、設定されたプロファイル520、及び、カラーライブラリー532を有している。設定されたプロファイル520には、プロセスカラーCMYKinとL***色空間の色Labinとを変換するための入力プロファイル521、及び、L***色空間の色Labinとインクジェットプリンター503に依存するCMYK色空間の座標を表す印刷色cmykpとを変換するためのプリンタープロファイル522がある。図1では、入力プロファイル521を「InputProfile」と表記し、プリンタープロファイル522を「PrinterProfile」と表記している。両プロファイル521,522には、例えば、ICCプロファイルのデータフォーマットを用いることができる。プリンタープロファイル522は、インクジェットプリンター503で使用されるインクの色特性を記述したファイルである。入力プロファイル521には、ターゲット印刷機580の色を再現する点で基準プロファイル511が設定されるが、この基準プロファイル511とは異なるオプショナルプロファイル523がユーザーにより設定されることがある。図1では、プロファイル523を「OptionalProfile」と表記している。印刷原稿データ512に基準プロファイル511が埋め込まれている場合、RIP502は、設定された入力プロファイル521として基準プロファイル511を使用してもよい。
図2は、基準プロファイル511に示される色再現域R1、及び、オプショナルプロファイル523に示される色再現域R2を模式的に例示している。図2中、横軸は彩度、縦軸は明度L*を示し、「K100%」は色再現域R1,R2のブラック100%の黒点を示し、「W100%」は色再現域R1,R2のホワイト100%の白点を示し、「C100%」は色再現域R1,R2のシアン100%の点を示し、「M100%」は色再現域R1,R2のマゼンタ100%の点を示している。図2において、色再現域R1は太線で囲まれた領域であり、色再現域R2は細線で囲まれた領域である。インクジェットプリンター503の色再現域がターゲット印刷機580の色再現域よりも広い場合、図2に示すように基準プロファイル511で利用される色再現域R1よりもプロファイル523で利用される色再現域R2を広くすることができ、かつ鮮やかに印刷することができる。例えば、本来の色Ctが色再現域R1の外であるが色再現域R2の範囲内(例えば点CO1)にある場合、基準プロファイル511に従うと色再現域R1の範囲内にクリップされるが、プロファイル523に従うとクリップの必要が無くなる。また、本来の色Ctが色再現域R2の外(例えば点CO2)にある場合、基準プロファイル511に従うとクリップの量が比較的多いが、プロファイル523に従うとクリップの量が比較的少ない。このようなオプショナルプロファイル523を入力プロファイル521として使用することにより、ターゲット印刷機580の色再現域よりも広い色再現域を利用可能となる。
尚、プロファイルは、入力色と出力色との対応関係を定義したカラー属性ファイルである。プリンタープロファイルは、例えば、プリンターの機種、被印刷物の種類、観察光源、等の使用条件に応じて色の対応関係が変わるため、プリンターの機種毎、被印刷物の種類毎、観察光源毎、等の使用条件毎に用意される。また、色材のロット、プリンターの使用期間、等に応じても色の対応関係が変わることがあるため、これらの使用条件に応じてプリンタープロファイルを用意してもよい。プリンターがCMYKの色材を使用する場合、例えば、入力色としてL***色空間の色彩値(L*値、a*値、及び、b*値)が定義され、出力色としてCMYKの色材の使用量を表す値(C値、M値、Y値、及び、K値)が定義される。
印刷原稿データ512のプロセスカラーCMYKinは、入力プロファイル521に従ってL***色空間の色Labinに変換され、プリンタープロファイル522に従って印刷色cmykpに変換される。インクジェットプリンター503がCMYKの計4色のインクを使用する場合、印刷色cmykpは、インクジェットプリンター503に出力され、印刷物504に再現される。プリンター503がLc(ライトシアン)、Lm(ライトマゼンタ)、Dy(ダークイエロー)、Lk(ライトブラック)、等のインクも使用する場合、RIP502又はプリンター503が印刷色cmykpを濃色と淡色に分版すると、プリンター503が印刷色cmykpを印刷物504に再現することができる。むろん、印刷色自体も、CMYKの計4色に限定されない。
また、印刷原稿データ512に色名531が設定されている場合、RIP502は、カラーライブラリー532を参照して色名531をL***色空間の色Labinに変換することがある。
さらに、RIP502は、プロセスカラーCMYKin以外にも、減法混色となる三原色CMYのみの色材の使用量を表すプロセスカラー(CMYinとする。)、加法混色となる三原色R(赤)、G(緑)、及び、B(青)の強度を表すプロセスカラー(RGBinとする。)、等とL***色空間の座標値とを変換するための入力プロファイルも有している。従って、RIP502は、プロセスカラーCMYinやプロセスカラーRGBin等もL***色空間経由で印刷色cmykpに変換可能である。加えて、RIP502は、L***色空間の色Labinを入力して印刷色cmykpに変換することも可能である。
インクジェットプリンター503で再現される印刷色cmykpは、基本的には、本来の色Ctを再現することが期待された色である。しかし、下記のような要因によって、印刷色cmykpが期待する色にならず、印刷色の調整が必要となることがある。
(要因1)ターゲット印刷機580の色再現域に制限があるため、色CtをプロセスカラーCMYKinに変換する際に彩度が低下する。
(要因2)印刷原稿データ生成時に用いた基準プロファイル511と、RIP502でプロセスカラーCMYKinをL***色空間の色Labinに変換した時に用いた入力プロファイル521と、が異なる。
(要因3)プロファイル511,520の変換の精度が充分でない。
(要因4)色の座標値Lt,at,btと、実際のカラーチップの色と、にずれがある。
(要因5)インクジェットプリンター503で印刷したところ、ユーザーの好みに合わなかった。
(要因6)インクジェットプリンター503にも色再現域に制限があるため、本来の色Ctを再現することができない。
そこで、RIP502は、色空間の或る点のプロセスカラーCMYKinが入力された場合に印刷色cmykpを設定された色(cmykp'とする。)に置き換える機能を有している。この置き換えを、色置換540と呼ぶことにする。色置換前の印刷色cmykpは、設定されたプロファイル520に従って印刷原稿データ512から得られる出力データD2で表される現在色である。
(3)色選択用カラーチャートの具体例:
図3は、色置換を行うための色選択用カラーチャートの例として、複数のカラーパッチPA1の中から目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートCH1の印刷物PT1を模式的に示している。パッチは、色票とも呼ばれる。図3に示す複数のカラーパッチPA1は、被印刷物M1に対して、L***色空間の色差ΔEが均等となるように縦横に並べられている。色差ΔEの一般式は、例えば、明度L*の差をΔL、色座標a*の差をΔa、色座標b*の差をΔbとして、ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)21/2で表される。
図3に示す各パッチPA1には、便宜上、識別番号11〜55を付している。被印刷物M1に形成された色選択用カラーチャートCH1には、現在色を表現する中心(識別番号33)のパッチPA1aの色Cp(図1参照)から色を徐々に変化させた複数のパッチPA1が配置されている。図3に示す各印刷物PT1は、同一明度において、色相及び彩度を表す色座標a*,b*を変化させている。図3に示す模式的な例では、下の印刷物から上の印刷物に向かって明度L*が明度差ΔL1(ΔL1>0)ずつ増えるように5×5個(中心のパッチPA1aからのパッチ間隔数n=2、パッチ数N=(2n+1)3)のパッチPA1が配置され、各印刷物PT1について、左から右に向かって色座標a*が彩度差Δa1(Δa1>0)ずつ増えるようにパッチPA1が並べられ、下から上に向かって色座標b*が彩度差Δb1(Δb1>0)ずつ増えるようにパッチPA1が並べられている。すなわち、印刷物毎にパッチPA1が色差ΔL1の間隔で配置され、横方向においてパッチPA1は色差Δa1の間隔で配置され、縦方向においてパッチPA1は色差Δb1の間隔で配置されている。本具体例ではパッチ間の色差をdとしてd=ΔL1=Δa1=Δb1であるものとするが、ΔL1=Δa1=Δb1でない場合も本技術に含まれる。
本具体例において、第一カラーパッチP1と第二カラーパッチP2は、色選択用カラーチャートCH1に配置された複数のカラーパッチPA1の中で隣り合っていればよく、横方向に隣り合っていてもよいし、縦方向に隣り合っていてもよい。横方向に隣り合っている例を挙げると、識別番号23のパッチPA1を第一カラーパッチP1に当てはめると、右隣にある識別番号24のパッチPA1が第二カラーパッチP2に当てはまる。また、横方向へ連続した3つのパッチPA1を順に第一カラーパッチP1、第二カラーパッチP2、第三カラーパッチP3とすると、識別番号25のパッチPA1が第三カラーパッチP3に当てはまる。この場合のパッチP1,P2間の色差とパッチP2,P3間の色差は、同じΔa1である。縦方向に隣り合っている例を挙げると、識別番号52のパッチPA1を第一カラーパッチP1に当てはめると、一つ上にある識別番号42のパッチPA1が第二カラーパッチP2に当てはまる。また、縦方向へ連続した3つのパッチPA1を順に第一カラーパッチP1、第二カラーパッチP2、第三カラーパッチP3とすると、識別番号32のパッチPA1が第三カラーパッチP3に当てはまる。この場合のパッチP1,P2間の色差とパッチP2,P3間の色差は、同じΔb1である。
色選択用カラーチャートのカラーパッチの数が固定されている場合、カラーパッチ間の色差dが小さいと、色選択用カラーチャートの色の範囲が狭く、色置換の目標色が色選択用カラーチャートの色の範囲に入らない可能性が大きくなる。一方、カラーパッチ間の色差dが大きいと、色置換の目標色が色選択用カラーチャートの色の範囲には入る可能性が大きくなるものの、目標色がカラーパッチ間の色である場合には近い色を見つけるのが難しくなる。ユーザーがカラーパッチ間の色差dを設定する場合、往々にして判断を誤り、色選択用カラーチャートに目標色のパッチが見つからずカラーパッチ間の色差dを大きくして色選択用カラーチャートを再印刷したり、不必要に多数のパッチを印刷したりしなければならなくなる。
そこで、本具体例では、現在色と目標色との色差(ΔEsimとする。)の程度を判断し、この判断に従ってカラーパッチ間の色差dを設定することにしている。
(4)現在色と目標色との差の推定例:
次に、RIP502が現在色と目標色との色差ΔEsimを推定する例を説明する。
まず、プロファイルを使った色変換について、関数fICCを定義する。
(L,a,b)=fICC(Profile,A2B,(C,M,Y,K)) …(1)
(C,M,Y,K)=fICC(Profile,B2A,(L,a,b)) …(2)
ただし、LはL***色空間の明度L*、aはL***色空間の色座標a*、bはL***色空間の色座標b*、Cは機器従属のCMYK色空間におけるCの座標、Mは機器従属のCMYK色空間におけるMの座標、Yは機器従属のCMYK色空間におけるYの座標、Kは機器従属のCMYK色空間におけるKの座標、を表す。
関数fICCはプロファイルを参照して色変換を行う関数であり、式(1)はC,M,Y,K値をL,a,b値に変換する例を示し、式(2)はL,a,b値をC,M,Y,K値に変換する例を示している。
第一引数は、参照するプロファイルを意味する。第二引数は、色変換方向を示し、「A2B」はC,M,Y,K値をL,a,b値に変換することを意味し、「B2A」はL,a,b値をC,M,Y,K値に変換することを意味する。第三引数は、入力カラー値を意味する。
図1に示すように、印刷物504に表現される現在色Cpは、色置換されていない場合の出力データD2で表される印刷色cmykpに対応している。現在色Cpに対応するL***色空間の座標値(Lin_p,ain_p,bin_p)は、式(1)から以下のように求めることができる。
(Lin_p,ain_p,bin_p)=fICC(PrinterProfile,A2B,cmykp) …(3)
ここで、第一引数の「PrinterProfile」は、プリンタープロファイル522を参照して色変換を行うことを意味している。
印刷色cmykpは、印刷原稿データ512で表されるプロセスカラーCMYKinを設定プロファイル520により色変換した結果の色である。入力プロファイル521に従ってプロセスカラーCMYKinから得られるL,a,b値(Lin,ain,bin)は、式(1)から以下のように求めることができる。
(Lin,ain,bin)=fICC(InputProfile,A2B,CMYKin) …(4)
ここで、第一引数の「InputProfile」は、入力プロファイル521を参照して色変換を行うことを意味している。
また、プリンタープロファイル522に従ってL,a,b値(Lin,ain,bin)から得られる印刷色cmykpは、式(2)から以下のように求めることができる。
cmykp=fICC(PrinterProfile,B2A,(Lin,ain,bin)) …(5)
式(5)に式(4)を代入すると、以下の式となる。
cmykp=fICC(PrinterProfile,B2A,fICC(InputProfile,A2B,CMYKin)) …(6)
以上より、式(6)を式(3)に代入すると、以下の式となる。
Figure 0006701989

従って、現在色CpのL,a,b値は、プロセスカラーCMYKinから式(7)により求めることができる。
ここで、上述した要因1〜6等により現在色Cpが期待される色でない場合を想定する。一例として、基準プロファイル511に従って印刷原稿データ512が生成され、広い色再現域を利用し、鮮やかに印刷されるプロファイル523が入力プロファイル521として設定されているものとする。この場合、ターゲット印刷機580で再現される色を目標とする場合に目標色より鮮やかな色に再現され、ずれることになる。この時の印刷色をcmykv_pとすると、印刷色cmykv_pに対応するL***色空間の座標値(Lv_p,av_p,bv_p)は、次の式で表すことができる。
Figure 0006701989

ここで、第一引数の「OptionalProfile」は、プロファイル523を参照して色変換を行うことを意味している。
また、この場合の目標色cmykt_pに対応するL***色空間の座標値(Lt_p,at_p,bt_p)は、以下の式で表される。
(Lt_p,at_p,bt_p)=fICC(PrinterProfile,A2B,cmykt_p) …(9)
目標色cmykt_pは、印刷原稿データ512で表されるプロセスカラーCMYKinを基準プロファイル511に従って変換し更にプリンタープロファイル522に従って変換することにより得られる。
cmykt_p=fICC(PrinterProfile,B2A,fICC(OffsetProfile,A2B,CMYKin)) …(10)
ここで、第一引数の「OffsetProfile」は、基準プロファイル511を参照して色変換を行うことを意味している。
以上より、式(10)を式(9)に代入すると、以下の式となる。
Figure 0006701989

従って、目標色cmykt_pのL,a,b値は、プロセスカラーCMYKinから式(11)により推定することができる。
ここで、現在色と目標色との推定色差ΔEsimのうち、L*成分をΔLsimとし、a*成分をΔasimとし、b*成分をΔbsimとする。色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsimは、式(7)の現在色のL,a,b値(Lin_p,ain_p,bin_p)と式(11)の目標色のL,a,b値(Lt_p,at_p,bt_p)とを用いて、以下の式により求めることができる。
ΔLsim=|Lt_p−Lin_p| …(12)
Δasim=|at_p−ain_p| …(13)
Δbsim=|bt_p−bin_p| …(14)
そこで、色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsimを用いて色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色のカラーパッチが含まれるようにカラーパッチ間の色差dを設定すると、効率よく目標色のカラーパッチを選択可能となる。
(5)色調整装置の具体例:
図4は、色選択用カラーチャート生成方法を実施する色調整装置の構成例を模式的に示している。図4に示す色調整装置100は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、記憶装置114、表示装置115、入力装置116、通信I/F(インターフェイス)118、等が接続されて互いに情報を入出力可能とされている。記憶装置114は、色調整プログラムPR0、プロファイル511,522,523、等を記憶している。記憶装置114には、フラッシュメモリー等の不揮発性半導体メモリー、ハードディスク等の磁気記憶装置、等を用いることができる。表示装置115には、液晶表示パネル等を用いることができる。入力装置116には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。通信I/F118は、プリンター503の通信I/F210に接続され、プリンター503に対して情報を入出力する。通信I/F118,210の規格には、USB(Universal Serial Bus)、近距離無線通信規格、等を用いることができる。通信I/F118,210の通信は、有線でもよいし、無線でもよく、LAN(Local Area Network)やインターネット等といったネットワーク通信でもよい。
色調整装置100には、パーソナルコンピューター(タブレット型端末を含む。)といったコンピューター等が含まれる。色調整装置100は、一つの筐体内に全構成要素111〜118を有してもよいが、互いに通信可能に分割された複数の装置で構成されてもよい。また、プリンターが色調整装置100にあっても本技術を実施可能であり、印刷機能を有するプリンター自体が本技術の色調整処理を行ってもよい。
プリンター503は、色調整装置100が生成した出力画像に基づく印刷用データを入手し、該印刷用データに基づいて前記出力画像に対応する印刷画像を被印刷物に形成する。プリンター503には、インクジェットプリンター以外にも、レーザープリンターといった電子写真方式のプリンター等が含まれ、複写機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機、等も含まれる。
図4に示す色調整プログラムPR0は、判断機能FU1、及び、決定機能FU2を色調整装置100に実現させる色選択用カラーチャート生成プログラムPR1を含んでいる。
(6)色調整処理の具体例:
図5は、図4に示す色調整装置100で行われる色調整処理の例を示している。この例では、ステップS120のパッチ間色差決定処理が色選択用カラーチャート生成プログラムPR1により行われる。以下、「ステップ」の記載を省略する。
処理が開始されると、色調整装置100は、色置換対象の現在色を特定する入力を受け付ける(S110)。S110の処理は、例えば、ユーザーが入力装置116を操作したときに該操作に応じた現在色を表す情報を取得する処理とすることができ、表示装置115に表示された複数の色の中から一つの色を選択する操作を受け付ける処理、L,a,b値を入力する操作を受け付ける処理、等とすることができる。図1に示すカラーマネジメントシステム500では、色置換前の印刷色cmykpが現在色Cpであり、この印刷色cmykpにL,a,b値(Lin_p,ain_p,bin_p)、及び、プロセスカラーCMYKinが対応している。現在色を表す情報は、印刷色cmykpを表す出力データD2、L,a,b値(Lin_p,ain_p,bin_p)、プロセスカラーCMYKinを表す入力データD1、のいずれでもよい。
S110の処理後、色調整装置100は、カラーパッチ間の色差dを決定するパッチ間色差決定処理を行う(S120)。S120の処理は、後述する。
S120の処理後、色調整装置100は、カラーパッチ間の色差d=ΔL1=Δa1=Δb1、及び、中心のパッチPA1aからのパッチ間隔数n=4に基づいて、色選択用カラーチャートCH1(図3参照)をプリンター503に印刷させる(S130)。ここで、色調整装置100は、N=(2n+1)3個のカラーパッチPA1について、現在色(Lin_p,ain_p,bin_p)のカラーパッチPA1aを中心として、明度L*を明度差ΔL1ずつ増減させ、色座標a*を彩度差Δa1ずつ増減させ、色座標b*を彩度差Δb1ずつ増減させる。これにより、被印刷物M1にN個のカラーパッチPA1が印刷された色選択用カラーチャートCH1の印刷物PT1が得られる。
その後、本技術に必須ではないが、条件を変更して色選択用カラーチャートCH1を再印刷するか否かに応じて処理を分岐させる(S140)。この分岐処理は、例えば、表示装置115に再印刷ボタン及び色選択ボタンを表示してボタンの操作に応じて処理を分岐する処理とすることができる。この場合、色調整装置100は、再印刷ボタンの操作を入力装置116において受け付けると条件を変更して処理をS130に戻し、色選択ボタンの操作を入力装置116において受け付けると処理をS150に進める。条件の変更は、カラーパッチ間の色差dの変更、パッチ数Nの変更、等を含む。
再印刷が行われない場合、色調整装置100は、色選択用カラーチャートCH1に含まれる複数のカラーパッチPA1の中から目標色cmykt_pに最も近い色のカラーパッチの選択を受け付け、色置換540が行われるようにして(S150)、色調整処理を終了させる。カラーパッチの選択処理は、例えば、各パッチPA1に対応付けられた識別番号の操作入力を入力装置116において受け付ける処理、各パッチPA1に対応する表示パッチを表示装置115に表示して複数の表示パッチの中から一つの表示パッチを選択する操作を入力装置116において受け付ける処理、等とすることができる。また、色調整装置100は、色置換前の印刷色cmykpに対応するプロセスカラーCMYKinを表す印刷原稿データ512がRIP502に入力された時にプロセスカラーCMYKinが直接、目標色cmykt_pに変換されるように設定する。
(7)パッチ間色差決定処理の具体例:
次に、図5のS120で行われるパッチ間色差決定処理でカラーパッチ間の色差dとパッチ数N=(2n+1)3の少なくとも一方を決定する例を説明する。分かり易い例として、中心からのパッチ間隔数nを4に固定し、カラーパッチ間の色差d=ΔL1=Δa1=Δb1を1.0と2.0とで切り替えることにして、色差dを決定するアルゴリズムを説明する。図6は、このアルゴリズムを含むパッチ間色差決定処理の例を示している。この例では、S210〜S240が判断工程ST1及び判断機能FU1に対応し、S250,S260が決定工程ST2及び決定機能FU2に対応している。
処理が開始されると、色調整装置100は、入力データD1がCMYを少なくとも含むデバイスカラー(例えばcmykinやcmyin)を指定しているか否かを判断する(S210)。入力データD1がL***やRGBといった、CMYを少なくとも含むデバイスカラー以外を指定している場合、入力デバイスの色再現域が比較的広くて特色インクの色再現域に対して十分に広い色再現域を持っている。このため、印刷原稿作成アプリケーション501で色CtをL***やRGBに変換した時に彩度低下が起き難く、本来の色Ctと印刷色cmykpとの差は大きくならない。このことから、パッチ間色差dを小さい方の1.0にしても目標色cmykt_pが色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に入る確率が高く、d=1.0とすることにより色選択用カラーチャートCH1の分解能も高められる。そこで、入力データD1がL***やRGB等を指定している場合、色調整装置100は、処理をS250に進め、パッチ間色差dを1.0に決定して、パッチ間色差決定処理を終了させる。
入力データD1がCMYを少なくとも含むデバイスカラーを指定している場合、入力デバイスの色再現域が比較的狭いため、印刷原稿作成アプリケーション501で色Ctをデバイスカラー(例えばcmykinやcmyin)に変換した時に彩度が比較的大きく低下している可能性がある。この変換時に彩度が大きく低下すると、本来の色Ctと印刷色cmykpとの差が大きくなり、パッチ間色差dを小さい方の1.0にすると目標色cmykt_pが色選択用カラーチャートCH1の色の範囲外に出る確率が高くなる。従って、S210の処理では、現在色と目標色との差の程度を判断していることになる。
図2を参照して説明すると、基準プロファイル511に示される色再現域R1の外に本来の色Ctがあるとデバイスカラーに変換した時に色再現域R1にクリップされ、彩度が低下する。このことから、色再現域R1の境界又はその近傍にあるデバイスカラーCMYKinは、彩度低下が比較的大きい可能性が高い。例えば、デバイスカラーCMYKinにおいて、Cの量が0%(最小値)又は100%(最大値)にあるか、Mの量が0%又は100%にあるか、Yの量が0%又は100%にあると、印刷原稿データ生成時に彩度が低下している可能性が大きい。一方、色再現域R1において十分に内側の部分は、印刷原稿データ生成時に彩度が低下している可能性は小さい。そこで、色調整装置100は、ターゲット印刷機で使用される複数のインクの使用量を表すデバイスカラーCMYKinに基づいて、印刷原稿データ生成時の彩度低下の可能性を判断する(S220)。この判断処理も、現在色と目標色との差の程度を判断していることになる。
図7は、印刷原稿データ生成時の彩度低下の可能性を判断するための判断基準の例を模式的に示している。ここで、Cの量を単にC(0%≦C≦100%)と表し、Mの量を単にM(0%≦M≦100%)と表し、Yの量を単にY(0%≦Y≦100%)と表す。
上述したように、デバイスカラーCMYKinにおいて、
(判断基準1)C=0%、C=100%、M=0%、M=100%、Y=0%、又は、Y=100%
であると、印刷原稿データ生成時に彩度が低下している可能性が大きい。これらの場合、印刷原稿データ生成時の彩度低下が大きいとみなして、パッチ間色差dを大きい方の2.0に決定することにする。
また、Cの量に対する閾値をTLc,THc(0%<TLc<50%<THc<100%)とし、Mの量に対する閾値をTLm,THm(0%<TLm<50%<THm<100%)とし、Yの量に対する閾値をTLy,THy(0%<TLy<50%<THy<100%)とする。
(判断基準2)TLc≦C≦THc、且つ、TLm≦M≦THm、且つ、TLy≦Y≦THy
である場合、デバイスカラーCMYKinが色再現域R1において十分に内側の部分であり、印刷原稿データ生成時の彩度低下が小さい可能性が大きいと判断することにする。この場合、後述するS230〜S240の処理でパッチ間色差dを1.0にするか2.0にするかを判断することにするが、判断基準1との違いを分かり易くするため、パッチ間色差dを小さい方の1.0に「仮決定」すると表現する。下限側の閾値TLc,TLm,TLyは、0〜10%程度でもよい。上限側の閾値THc,THm,THyは、90〜100%程度でもよい。
尚、判断基準1,2の両方に合致しない範囲には、パッチ間色差d=2.0に決定する場合とパッチ間色差d=1.0に仮決定する場合との境界があるものとする。
判断基準1が満たされるなどパッチ間色差dを2.0に決定する条件が成立すると、色調整装置100は、処理をS260に進め、パッチ間色差dを2.0に決定して、パッチ間色差決定処理を終了させる。
尚、判断基準1,2は、適宜、変更可能である。例えば、Yを判断基準1,2から除外し、判断基準1を「C=0%、C=100%、M=0%、又は、M=100%」とし、判断基準2を「TLc≦C≦THc、且つ、TLm≦M≦THm」としてもよい。また、Y=0%を残して判断基準1からY=100%を除外してもよい。
一方、判断基準2が満たされるなどパッチ間色差dを1.0に仮決定する条件が成立すると、色調整装置100は、目標色cmykt_pを推定し、この推定した目標色cmykt_pと現在色(色置換されていない印刷色cmykp)との差ΔLsim,Δasim,Δbsimを求める(S230)。上述したように、現在色CpのL,a,b値Lin_p,ain_p,bin_pは、プロセスカラーCMYKinから式(7)によりシミュレーションすることができる。また、目標色cmykt_pのL,a,b値(Lt_p,at_p,bt_p)は、プロセスカラーCMYKinから式(11)によりシミュレーションすることができる。これらのL,a,b値から、ΔLsim=|Lt_p−Lin_p|(式(12))、Δasim=|at_p−ain_p|(式(13))、及び、Δbsim=|bt_p−bin_p|(式(14))を推定することができる。
また、以下に説明する簡易な方法で現在色と目標色との差ΔLsim,Δasim,Δbsimを推定してもよい。
上述したように、プロセスカラーCMYKinから得られるL,a,b値(Lin,ain,bin)は、(Lin,ain,bin)=fICC(InputProfile,A2B,CMYKin)(式(4))により求めることができる。L,a,b値(Lin,ain,bin)は、第一座標値の例である。
また、印刷原稿データ512の生成に使用される基準プロファイル511に従うと、プロセスカラーCMYKinから得られるL,a,b値(Lm,am,bm)は、以下のように求めることができる。
(Lm,am,bm)=fICC(OffsetProfile,A2B,CMYKin) …(15)
L,a,b値(Lm,am,bm)は、第二座標値の例である。
色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsimは、現在色に対応する式(4)のL,a,b値(Lin,ain,bin)と、目標色に対応する式(15)のL,a,b値(Lm,am,bm)と、を用いて、以下の式により求めることができる。
ΔLsim=|Lm−Lin| …(16)
Δasim=|am−ain| …(17)
Δbsim=|bm−bin| …(18)
S230の処理後、色調整装置100は、現在色と目標色との差ΔLsim,Δasim,Δbsimに基づいて処理を分岐させる(S240)。この判断は、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が含まれるか否かを基準としている。図6に示す例では、色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsimの内の最大値Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲(d×n=1.0×4)を、を比較している。
値Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)が1.0×4未満である場合、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が含まれる可能性が比較的高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを小さい方の1.0に決定して(S250)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
値Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)が1.0×4以上である場合、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が入らない可能性が比較的高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを大きい方の2.0に決定して(S260)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
従って、S240の判断処理は、現在色と目標色との差の程度を判断していることになる。
その後、図5のS130でパッチ間色差dのパッチ数N=(2n+1)3のカラーパッチPA1を有する色選択用カラーチャートCH1が印刷される。この色選択用カラーチャートCH1の色の範囲(d×n)は、現在色と目標色との差の程度に従った範囲となっている。従って、本具体例は、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中でパッチ間色差dやパッチ数Nを適切に自動設定することができ、印刷パッチ数や印刷回数を削減することができ、色の調整時間、及び、印刷コストを低減させることができる。
尚、S240の判断処理では、値Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)が1.0×4以下であるか否かを判断してもよい。
また、上述した要因3(プロファイルの変換の精度が充分でない)や要因4(色の座標値Lt,at,btと、実際のカラーチップの色と、にずれがある)で現在色と目標色とに差が生じることを想定すると、その分の誤差Ec(0<Ec<d)を考慮してもよい。この場合、S240において、値{Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)+Ec}と1.0×4とを比較し、例えば、1.0×4未満である場合にパッチ間色差dを1.0に決定し、1.0×4以上である場合にパッチ間色差dを2.0に決定してもよい。
さらに、パッチ間色差dは、1.0と2.0に限定されず、様々に値にすることが可能である。パッチ間色差dの設定を2種類にすることも一例に過ぎず、3種類以上にしてもよい。
さらに、S240の処理を行う代わりに、現在色と目標色との差ΔLsim,Δasim,Δbsimに基づいてパッチ間色差dを計算してもよい。例えば、色調整装置100は、パッチ間色差dをMax(ΔLsim,Δasim,Δbsim)/4、又は、{Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)+Ec}/4に決定してもよい。
さらに、パッチ間色差dを変える代わりに、パッチ数N=(2n+1)3を変えてもよい。例えば、パッチ間色差dを1.0に固定し、図6に括弧書きで示したように、中心からのパッチ間隔数nを4、又は、8に変えることにして、S250においてパッチ間隔数nを4に決定し、S260においてパッチ間隔数nを8に決定してもよい。パッチ間隔数nが決まるとパッチ数Nが決まるので、パッチ間隔数nを決定することはパッチ数Nを決定することに含まれる。
むろん、パッチ間隔数nは、4と8に限定されず、様々な数にすることが可能である。パッチ間隔数nの設定を2種類にすることも一例に過ぎず、3種類以上にしてもよい。
さらに、現在色と目標色との差ΔLsim,Δasim,Δbsimに基づいてパッチ間隔数nを計算してもよい。
さらには、パッチ間色差dとパッチ間隔数nの両方を変えることも可能である。例えば、S250においてd=1.0且つn=4に決定し、S260においてd=1.5且つn=6に決定してもよい。
尚、S220〜S240の処理を行わず、S210において、入力データD1がCMYを少なくとも含むデバイスカラー(例えばcmykin)を指定している場合にS260の処理(例えばd=2.0)を行い、条件不成立時にS250の処理(例えばd=1.0)を行ってもよい。
また、S210,S230〜S240の処理を行わず、S220において、判断基準1(例えば、C=0%、C=100%、M=0%、M=100%、Y=0%、又は、Y=100%)が満たされるなどパッチ間色差dを2.0に決定する条件が成立するとS260の処理(例えばd=2.0)を行い、条件不成立時にS250の処理(例えばd=1.0)を行ってもよい。
さらに、S210〜S220の処理を行わず、S240において、Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合にS250の処理(例えばd=1.0)を行い、条件不成立時にS260の処理(例えばd=2.0)を行ってもよい。
(8)変形例:
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、上述した色差は、色差式CIEDE2000、CMC、CIEDE94、等による色差でもよい。
プリンター503は、上述した色以外の色の色材を使用してもよいし、CMYKの一部の色材を使用しなくてもよい。
図8は、より簡易な方法で現在色と目標色との差の程度を判断するパッチ間色差決定処理の例を示している。図8では、図6で示したS230〜S240の処理がS310の処理に置き換わっている。
S220において、判断基準2(TLc≦C≦THc、且つ、TLm≦M≦THm、且つ、TLy≦Y≦THy)が満たされるなどパッチ間色差dを1.0に仮決定する条件が成立すると、色調整装置100は、設定されている入力プロファイル521が基準プロファイル511であるか否かを判断する(S310)。
入力プロファイル521が基準プロファイル511である場合、この基準プロファイル511が印刷原稿データ512の生成に使用されている可能性が高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを小さい方の1.0に決定して(S250)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
入力プロファイル521がプロファイル523など基準プロファイル511でない場合、入力プロファイル521に示される色再現域が基準プロファイル511に示される色再現域R1と異なる可能性が高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを大きい方の2.0に決定して(S260)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
従って、S310の判断処理は、現在色と目標色との差の程度を判断していることになる。
以上より、[態様6]の(a)に記載されるように、入力プロファイル521が基準プロファイル511である場合のパッチ間色差d=1.0よりも、入力プロファイル521が基準プロファイル511でない場合のパッチ間色差d=2.0の方が大きい。
図8に示す例も、パッチ間色差dを変える代わりに、パッチ数N=(2n+1)3を変えてもよい。例えば、パッチ間色差dを1.0に固定し、図8に括弧書きで示したように、中心からのパッチ間隔数nを4、又は、8に変えることにして、S250においてパッチ間隔数nを4に決定し、S260においてパッチ間隔数nを8に決定してもよい。この場合、[態様6]の(b)に記載されるように、入力プロファイル521が基準プロファイル511である場合のパッチ数N=9×9×9よりも、入力プロファイル521が基準プロファイル511でない場合のパッチ数N=17×17×17の方が多い。
むろん、パッチ間色差dとパッチ間隔数nの両方を変えることも可能である。
図9は、パッチ間色差dの設定を3種類用意したパッチ間色差決定処理の例を示している。図示の都合上、図6で示したS210〜S220を省略している。後述する図10,11も、同様である。図9では、S230の処理後にS320〜S328の処理が行われる。S324〜S328に示すように、パッチ間色差dの設定は、1.0、1.5、及び、2.0がある。
S230で色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsimが求められた後、色調整装置100は、まず、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.5×4とを比較して処理を分岐させる(S320)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.5×4である場合、色調整装置100は、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.0×4とを比較して処理を分岐させる(S322)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを1.0に決定して(S324)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.0×4≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.5×4である場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを1.5に決定して(S326)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.5×4≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)である場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを2.0に決定して(S328)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合、S320の判断処理でd=1.0とd=1.5の2種類の設定が残る。この場合、S322の判断処理により、比較的小さいd=1.0となるようにパッチ間色差dが決定される。このように、判断工程ST1におけるS320の判断に従った設定が複数ある場合、これら複数の設定のうち最も色差の小さい設定となるようにパッチ間色差dが決定される。これにより、生成される色選択用カラーチャートCH1に目標色のカラーパッチが含まれる一方、パッチ間色差dが大きくなりすぎることが抑制される。
図10は、中心からのパッチ間隔数n(パッチ数N)の設定を3種類用意したパッチ間隔数決定処理の例を示している。図示の都合上、図6で示したS210〜S220を省略している。図10では、S230の処理後にS330〜S338の処理が行われる。S334〜S338に示すように、パッチ間隔数nの設定は、4、6、及び、8がある。
S230の処理後、色調整装置100は、まず、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.0×6とを比較して処理を分岐させる(S330)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×6である場合、色調整装置100は、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.0×4とを比較して処理を分岐させる(S332)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合、色調整装置100は、パッチ間隔数nを4に決定して(S334)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.0×4≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×6である場合、色調整装置100は、パッチ間隔数nを6に決定して(S336)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.0×6≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)である場合、色調整装置100は、パッチ間隔数nを8に決定して(S338)、パッチ間隔数決定処理を終了させる。
MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合、S330の判断処理でn=4とn=6の2種類の設定が残る。この場合、S332の判断処理により、比較的小さいn=4となるようにパッチ間隔数nが決定される。このように、判断工程ST1におけるS330の判断に従った設定が複数ある場合、これら複数の設定のうち最も数が少ない設定の数となるようにパッチ間隔数n、すなわち、パッチ数N=(2n+1)3が決定される。これにより、生成される色選択用カラーチャートCH1に目標色のカラーパッチが含まれる一方、パッチ数Nが多くなりすぎることが抑制される。
ところで、パッチ間色差dやパッチ数Nは、完全に自動設定されてしまうのではなく、選択肢を有するユーザーインターフェイスに表示されてもよい。
図11は、パッチ間色差dの選択を受け付けるパッチ間色差決定処理の例を示している。図11では、S230の処理後にS340〜S344の処理が行われる。図12Aは、[態様8]の(c)の例として、表示装置115に表示されるパッチ間色差選択画面610を模式的に例示している。この例では、パッチ間色差dの設定を1.0、1.5、及び、2.0の3種類用意している。
S230の処理後、色調整装置100は、まず、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)に基づいて推奨するパッチ間色差を判断する(S340)。例えば、図9のS320〜S322と同様の判断処理を行うことにより推奨のパッチ間色差を判断することができる。次に、色調整装置100は、図12Aに示すパッチ間色差選択画面610を表示装置115に表示する(S342)。ここで、色調整装置100は、パッチ間色差選択画面610に対してパッチ間色差dの全設定を選択可能に表示するとともに、判断工程ST1におけるS342の判断に従った推奨のパッチ間色差(図12Aでは1.5)を初期設定として表示する。その後、色調整装置100は、パッチ間色差dの全設定の中からいずれかの選択操作を受け付け、パッチ間色差dを前記受け付けた設定に最終決定して(S344)、パッチ間色差決定処理を終了させる。ここで、ユーザーが選択肢611を操作せずに決定ボタン612を操作すると、色調整装置100は、初期設定通りパッチ間色差dを推奨のパッチ間色差に設定する。ユーザーが選択肢611を操作して決定ボタン612を操作すると、色調整装置100は、パッチ間色差dを前記操作されたパッチ間色差に設定する。
以上により、推奨のパッチ間色差とは異なる設定で色選択用カラーチャートCH1を生成することが可能となる。従って、本具体例は、ユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
また、図11に括弧書きで示したように、パッチ間色差dを変える代わりに、パッチ数N=(2n+1)3を変えてもよい。図12Bは、[態様8]の(d)の例として、表示装置115に表示されるパッチ数選択画面620を模式的に例示している。この例では、パッチ数Nの設定を9×9×9(n=4)、13×13×13(n=6)、及び、17×17×17(n=8)の3種類用意している。
S230の処理後、色調整装置100は、まず、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)に基づいて推奨するパッチ数を判断する(S340)。例えば、図10のS330〜S332と同様の判断処理を行うことにより推奨のパッチ数を判断することができる。次に、色調整装置100は、図12Bに示すパッチ数選択画面620を表示装置115に表示する(S342)。ここで、色調整装置100は、パッチ間色差選択画面610に対してパッチ数Nの全設定を選択可能に表示するとともに、判断工程ST1におけるS342の判断に従った推奨のパッチ数(図12Bでは13×13×13)を初期設定として表示する。その後、色調整装置100は、パッチ数Nの全設定の中からいずれかの選択操作を受け付け、中心からのパッチ間隔数nを前記受け付けた設定に最終決定して(S344)、パッチ間隔数決定処理を終了させる。ここで、ユーザーが選択肢621を操作せずに決定ボタン622を操作すると、色調整装置100は、初期設定通りパッチ間隔数nを推奨のパッチ間隔数(図12Bではn=6)に設定する。ユーザーが選択肢621を操作して決定ボタン622を操作すると、色調整装置100は、パッチ間隔数nを前記操作されたパッチ間隔数に設定する。
以上により、推奨のパッチ数とは異なる設定で色選択用カラーチャートCH1を生成することが可能となる。従って、本具体例は、ユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
(9)結び:
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中で効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成する技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
100…色調整装置、114…記憶装置、115…表示装置、116…入力装置、500…カラーマネジメントシステム、501…印刷原稿作成アプリケーション、502…RIP、503…プリンター、504…印刷物、511…基準プロファイル、512…印刷原稿データ、520…設定されたプロファイル、521…入力プロファイル、522…プリンタープロファイル、523…プロファイル、540…色置換、580…ターゲット印刷機(ターゲット装置の例)、610…パッチ間色差選択画面、620…パッチ数選択画面、D1…入力データ、D2…出力データ、CH1…色選択用カラーチャート、FU1…判断機能、FU2…決定機能、M1…被印刷物、P1…第一カラーパッチ、P2…第二カラーパッチ、P3…第三カラーパッチ、PA1…パッチ、PA1a…中心のパッチ、PR0…色調整プログラム、PR1…色選択用カラーチャート生成プログラム、PT1…印刷物、R1,R2…色再現域、ST1…判断工程、ST2…決定工程。

Claims (3)

  1. 複数のカラーパッチの中から入力データに対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートを生成する色選択用カラーチャート生成方法であって、
    前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
    設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断工程と、
    この判断工程による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定工程と、
    を含む、色選択用カラーチャート生成方法。
  2. 前記判断工程では、前記現在色と前記目標色との差を推定し、この推定した差に基づいて、前記色選択用カラーチャートの色の範囲内に前記目標色が含まれるように前記現在色と前記目標色との差の程度を判断する、請求項1に記載の色選択用カラーチャート生成方法。
  3. 複数のカラーパッチの中から入力データに対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートを生成するための色選択用カラーチャート生成プログラムであって、
    前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
    設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断機能と、
    この判断機能による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定機能と、
    をコンピューターに実現させる、色選択用カラーチャート生成プログラム。
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