JP6701989B2 - 色選択用カラーチャート生成方法、及び、色選択用カラーチャート生成プログラム - Google Patents
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尚、上述の問題は、オフセット印刷機をターゲットとした印刷色に対する目標色を探す場合に限らず、種々のターゲット色に対する目標色を探す場合にも存在する。
前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断工程と、
この判断工程による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定工程と、
を含む、態様を有する。
前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断機能と、
この判断機能による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定機能と、
をコンピューターに実現させる、態様を有する。
まず、本願の図に示される例を参照して本発明に含まれる技術の概要を説明する。尚、本願の図は模式的に例を示す図であり、これらの図に示される各方向の拡大率は異なることがあり、各図は整合していないことがある。
図1,5〜11に例示される色選択用カラーチャート生成方法は、判断工程ST1と決定工程ST2を含み、複数のカラーパッチPA1の中から入力データD1に対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチPA1を選択するための色選択用カラーチャートCH1を生成する。図3に例示するように、前記複数のカラーパッチPA1は、隣り合う第一カラーパッチP1及び第二カラーパッチP2を含む。前記判断工程ST1では、設定されたプロファイル520に従って前記入力データD1から得られる出力データD2で表される現在色(例えば後述する式(7)で表される色)と、前記目標色(例えば後述する式(11)で表される色)と、の差の程度を判断する。前記決定工程ST2では、前記判断工程ST1による判断に従って、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dと、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方を決定する。
色差は、CIE(国際照明委員会)L*a*b*色空間等といった均等色空間の色差を広く含み、色差式CIEDE2000、CMC、CIEDE94、等による色差も含む。
現在色と目標色との差の程度を判断することには、現在色と目標色との推定の差を求めて該推定の差に基づいて判断することと、現在色と目標色との推定の差を求めず別の方法により判断することと、の両方が含まれる。
ところで、前記判断工程ST1では、前記現在色と前記目標色との差(例えば後述する式(12)〜(14)で表される色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsim)を推定してもよい。前記判断工程ST1では、この推定した差に基づいて、前記色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に前記目標色が含まれるように前記現在色と前記目標色との差の程度を判断してもよい(例えば図6のステップS240)。この判断に従って、第一カラーパッチP1と第二カラーパッチP2との色差dと、色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方が決定されると、生成される色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が含まれる。この色選択用カラーチャートCH1から、ユーザーは、目標色のカラーパッチPA1を選択可能である。従って、本態様は、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
前記決定工程ST2では、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dの設定を複数用意してもよい。図9に例示するように、前記決定工程ST2では、これらの設定のうち前記判断工程ST1による判断に従った設定が複数ある場合、該複数の設定のうち最も色差の小さい設定の色差となるように前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dを決定してもよい。これにより、生成される色選択用カラーチャートCH1に目標色のカラーパッチが含まれる一方、第一カラーパッチP1と第二カラーパッチP2との色差が大きくなりすぎることが抑制される。従って、本態様は、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置するさらに好適な例を提供することができる。
前記決定工程ST2では、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nの設定を複数用意してもよい。図10に例示するように、前記決定工程ST2では、これらの設定のうち前記判断工程ST1による判断に従った設定が複数ある場合、該複数の設定のうち最も数が少ない設定の数となるように前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nを決定してもよい。これにより、生成される色選択用カラーチャートCH1に目標色のカラーパッチが含まれる一方、色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nが多くなりすぎることが抑制される。従って、本態様も、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置するさらに好適な例を提供することができる。
前記判断工程ST1では、前記設定されたプロファイル520に従って前記入力データD1から機器独立色空間(例えばL*a*b*色空間)の第一座標値(例えば後述する式(4)で表される(Lin,ain,bin))を求めてもよい。また、前記判断工程ST1では、前記入力データD1の生成に使用される基準プロファイル511に従って前記入力データD1から前記機器独立色空間の第二座標値(例えば後述する式(15)で表される(Lm,am,bm))を求めてもよい。さらに、前記判断工程ST1では、前記第一座標値と前記第二座標値との差(例えば式(16)〜(18)で表される色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsim)に基づいて前記現在色と前記目標色との差の程度を判断してもよい。本態様は、設定されたプロファイル520と入力データ生成用の基準プロファイル511とが異なることがある場合に色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
ここで、機器独立色空間は、CIE L*a*b*色空間、CIE L*u*v*色空間、等を含み、色差式CIEDE2000、CMC、CIEDE94、等に基づく改良均等色空間も含む。
図8に例示するように、前記判断工程ST1では、前記設定されたプロファイル520に含まれる入力プロファイル521が前記入力データD1の生成に使用される基準プロファイル511であるか否かを判断してもよい。この判断も、現在色と目標色との差の程度を判断することに含まれる。前記決定工程ST2では、(a)前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511である場合の前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差d(例えば1.0)よりも、前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511でない場合の前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差d(例えば2.0)を大きくしてもよい。また、前記決定工程ST2では、(b)前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511である場合の前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数N(例えば9×9×9)よりも、前記入力プロファイル521が前記基準プロファイル511でない場合の前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数N(例えば17×17×17)を多くしてもよい。
前記入力データD1は、ターゲット装置(例えばターゲット印刷機580)で使用される複数の色材の使用量(例えばプロセスカラーCMYKin)を表すデータを含んでもよい。前記判断工程ST1では、前記入力データD1で表される複数の色材の使用量に基づいて、前記現在色と前記目標色との差の程度を判断してもよい(例えば図6のステップS220)。本態様も、色選択用カラーチャートにカラーパッチを効率的に配置する好適な例を提供することができる。
判断工程による判断対象の複数の色材は、ターゲット装置で使用される全ての色材でもよいし、ターゲット装置で使用される全ての色材から選ばれる一部の色材でもよい。例えば、ターゲット装置でC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、及び、K(ブラック)の色材が使用される場合、判断工程では、Kの色材の使用量を使用せず、三原色であるC、M、及び、Yの色材の使用量に基づいて現在色と目標色との差の程度を判断してもよい。
図11,12に例示するように、前記決定工程ST2では、(c)前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dの設定を複数用意し、前記判断工程ST1による判断に従った設定を表示し、且つ、前記複数の設定の中からいずれかの選択操作を受け付け、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dを前記受け付けた設定にしてよい。また、前記決定工程ST2では、(d)前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nの設定を複数用意し、前記判断工程ST1による判断に従った設定を表示し、且つ、前記複数の設定の中からいずれかの選択操作を受け付け、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nを前記受け付けた設定にしてもよい。
図1,4〜11に例示される色選択用カラーチャート生成プログラムPR1は、複数のカラーパッチPA1の中から入力データD1に対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチPA1を選択するための色選択用カラーチャートCH1を生成するため、判断機能FU1と決定機能FU2とをコンピューターに実現させる。前記判断機能FU1は、設定されたプロファイル520に従って前記入力データD1から得られる出力データD2で表される現在色(例えば後述する式(7)で表される色)と、前記目標色(例えば後述する式(11)で表される色)と、の差の程度を判断する。前記決定機能FU2は、前記判断機能FU1による判断に従って、前記第一カラーパッチP1と前記第二カラーパッチP2との色差dと、前記色選択用カラーチャートCH1に含まれるカラーパッチPA1の数Nと、の少なくとも一方を決定する。本態様は、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中で効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成するプログラムを提供することができる。
まず、図1を参照して、本技術を適用可能なカラーマネジメントシステムの例を説明する。
図1に示すカラーマネジメントシステム500は、印刷原稿作成アプリケーション501で印刷原稿データ512(入力データD1の例)を生成し、RIP502で出力データD2に変換してインクジェットプリンター503に印刷物504を形成させる。印刷原稿作成アプリケーション501には、例えば、Adobe(登録商標)Illustrator(登録商標)等を使用可能である。インクジェットプリンター503は、少なくとも、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、及び、ブラック)のインク(色材)を使用するものとする。
また、印刷原稿データ512に色名531が設定されている場合、RIP502は、カラーライブラリー532を参照して色名531をL*a*b*色空間の色Labinに変換することがある。
さらに、RIP502は、プロセスカラーCMYKin以外にも、減法混色となる三原色CMYのみの色材の使用量を表すプロセスカラー(CMYinとする。)、加法混色となる三原色R(赤)、G(緑)、及び、B(青)の強度を表すプロセスカラー(RGBinとする。)、等とL*a*b*色空間の座標値とを変換するための入力プロファイルも有している。従って、RIP502は、プロセスカラーCMYinやプロセスカラーRGBin等もL*a*b*色空間経由で印刷色cmykpに変換可能である。加えて、RIP502は、L*a*b*色空間の色Labinを入力して印刷色cmykpに変換することも可能である。
(要因1)ターゲット印刷機580の色再現域に制限があるため、色CtをプロセスカラーCMYKinに変換する際に彩度が低下する。
(要因2)印刷原稿データ生成時に用いた基準プロファイル511と、RIP502でプロセスカラーCMYKinをL*a*b*色空間の色Labinに変換した時に用いた入力プロファイル521と、が異なる。
(要因3)プロファイル511,520の変換の精度が充分でない。
(要因4)色の座標値Lt,at,btと、実際のカラーチップの色と、にずれがある。
(要因5)インクジェットプリンター503で印刷したところ、ユーザーの好みに合わなかった。
(要因6)インクジェットプリンター503にも色再現域に制限があるため、本来の色Ctを再現することができない。
図3は、色置換を行うための色選択用カラーチャートの例として、複数のカラーパッチPA1の中から目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートCH1の印刷物PT1を模式的に示している。パッチは、色票とも呼ばれる。図3に示す複数のカラーパッチPA1は、被印刷物M1に対して、L*a*b*色空間の色差ΔEが均等となるように縦横に並べられている。色差ΔEの一般式は、例えば、明度L*の差をΔL、色座標a*の差をΔa、色座標b*の差をΔbとして、ΔE={(ΔL)2+(Δa)2+(Δb)2}1/2で表される。
そこで、本具体例では、現在色と目標色との色差(ΔEsimとする。)の程度を判断し、この判断に従ってカラーパッチ間の色差dを設定することにしている。
次に、RIP502が現在色と目標色との色差ΔEsimを推定する例を説明する。
まず、プロファイルを使った色変換について、関数fICCを定義する。
(L,a,b)=fICC(Profile,A2B,(C,M,Y,K)) …(1)
(C,M,Y,K)=fICC(Profile,B2A,(L,a,b)) …(2)
ただし、LはL*a*b*色空間の明度L*、aはL*a*b*色空間の色座標a*、bはL*a*b*色空間の色座標b*、Cは機器従属のCMYK色空間におけるCの座標、Mは機器従属のCMYK色空間におけるMの座標、Yは機器従属のCMYK色空間におけるYの座標、Kは機器従属のCMYK色空間におけるKの座標、を表す。
関数fICCはプロファイルを参照して色変換を行う関数であり、式(1)はC,M,Y,K値をL,a,b値に変換する例を示し、式(2)はL,a,b値をC,M,Y,K値に変換する例を示している。
第一引数は、参照するプロファイルを意味する。第二引数は、色変換方向を示し、「A2B」はC,M,Y,K値をL,a,b値に変換することを意味し、「B2A」はL,a,b値をC,M,Y,K値に変換することを意味する。第三引数は、入力カラー値を意味する。
(Lin_p,ain_p,bin_p)=fICC(PrinterProfile,A2B,cmykp) …(3)
ここで、第一引数の「PrinterProfile」は、プリンタープロファイル522を参照して色変換を行うことを意味している。
(Lin,ain,bin)=fICC(InputProfile,A2B,CMYKin) …(4)
ここで、第一引数の「InputProfile」は、入力プロファイル521を参照して色変換を行うことを意味している。
cmykp=fICC(PrinterProfile,B2A,(Lin,ain,bin)) …(5)
式(5)に式(4)を代入すると、以下の式となる。
cmykp=fICC(PrinterProfile,B2A,fICC(InputProfile,A2B,CMYKin)) …(6)
ここで、第一引数の「OptionalProfile」は、プロファイル523を参照して色変換を行うことを意味している。
また、この場合の目標色cmykt_pに対応するL*a*b*色空間の座標値(Lt_p,at_p,bt_p)は、以下の式で表される。
(Lt_p,at_p,bt_p)=fICC(PrinterProfile,A2B,cmykt_p) …(9)
cmykt_p=fICC(PrinterProfile,B2A,fICC(OffsetProfile,A2B,CMYKin)) …(10)
ここで、第一引数の「OffsetProfile」は、基準プロファイル511を参照して色変換を行うことを意味している。
ΔLsim=|Lt_p−Lin_p| …(12)
Δasim=|at_p−ain_p| …(13)
Δbsim=|bt_p−bin_p| …(14)
図4は、色選択用カラーチャート生成方法を実施する色調整装置の構成例を模式的に示している。図4に示す色調整装置100は、CPU(Central Processing Unit)111、ROM(Read Only Memory)112、RAM(Random Access Memory)113、記憶装置114、表示装置115、入力装置116、通信I/F(インターフェイス)118、等が接続されて互いに情報を入出力可能とされている。記憶装置114は、色調整プログラムPR0、プロファイル511,522,523、等を記憶している。記憶装置114には、フラッシュメモリー等の不揮発性半導体メモリー、ハードディスク等の磁気記憶装置、等を用いることができる。表示装置115には、液晶表示パネル等を用いることができる。入力装置116には、ポインティングデバイス、キーボードを含むハードキー、表示パネルの表面に貼り付けられたタッチパネル、等を用いることができる。通信I/F118は、プリンター503の通信I/F210に接続され、プリンター503に対して情報を入出力する。通信I/F118,210の規格には、USB(Universal Serial Bus)、近距離無線通信規格、等を用いることができる。通信I/F118,210の通信は、有線でもよいし、無線でもよく、LAN(Local Area Network)やインターネット等といったネットワーク通信でもよい。
プリンター503は、色調整装置100が生成した出力画像に基づく印刷用データを入手し、該印刷用データに基づいて前記出力画像に対応する印刷画像を被印刷物に形成する。プリンター503には、インクジェットプリンター以外にも、レーザープリンターといった電子写真方式のプリンター等が含まれ、複写機、ファクシミリ、これらの機能を備えた複合機、等も含まれる。
図5は、図4に示す色調整装置100で行われる色調整処理の例を示している。この例では、ステップS120のパッチ間色差決定処理が色選択用カラーチャート生成プログラムPR1により行われる。以下、「ステップ」の記載を省略する。
次に、図5のS120で行われるパッチ間色差決定処理でカラーパッチ間の色差dとパッチ数N=(2n+1)3の少なくとも一方を決定する例を説明する。分かり易い例として、中心からのパッチ間隔数nを4に固定し、カラーパッチ間の色差d=ΔL1=Δa1=Δb1を1.0と2.0とで切り替えることにして、色差dを決定するアルゴリズムを説明する。図6は、このアルゴリズムを含むパッチ間色差決定処理の例を示している。この例では、S210〜S240が判断工程ST1及び判断機能FU1に対応し、S250,S260が決定工程ST2及び決定機能FU2に対応している。
上述したように、デバイスカラーCMYKinにおいて、
(判断基準1)C=0%、C=100%、M=0%、M=100%、Y=0%、又は、Y=100%
であると、印刷原稿データ生成時に彩度が低下している可能性が大きい。これらの場合、印刷原稿データ生成時の彩度低下が大きいとみなして、パッチ間色差dを大きい方の2.0に決定することにする。
(判断基準2)TLc≦C≦THc、且つ、TLm≦M≦THm、且つ、TLy≦Y≦THy
である場合、デバイスカラーCMYKinが色再現域R1において十分に内側の部分であり、印刷原稿データ生成時の彩度低下が小さい可能性が大きいと判断することにする。この場合、後述するS230〜S240の処理でパッチ間色差dを1.0にするか2.0にするかを判断することにするが、判断基準1との違いを分かり易くするため、パッチ間色差dを小さい方の1.0に「仮決定」すると表現する。下限側の閾値TLc,TLm,TLyは、0〜10%程度でもよい。上限側の閾値THc,THm,THyは、90〜100%程度でもよい。
尚、判断基準1,2の両方に合致しない範囲には、パッチ間色差d=2.0に決定する場合とパッチ間色差d=1.0に仮決定する場合との境界があるものとする。
尚、判断基準1,2は、適宜、変更可能である。例えば、Yを判断基準1,2から除外し、判断基準1を「C=0%、C=100%、M=0%、又は、M=100%」とし、判断基準2を「TLc≦C≦THc、且つ、TLm≦M≦THm」としてもよい。また、Y=0%を残して判断基準1からY=100%を除外してもよい。
上述したように、プロセスカラーCMYKinから得られるL,a,b値(Lin,ain,bin)は、(Lin,ain,bin)=fICC(InputProfile,A2B,CMYKin)(式(4))により求めることができる。L,a,b値(Lin,ain,bin)は、第一座標値の例である。
また、印刷原稿データ512の生成に使用される基準プロファイル511に従うと、プロセスカラーCMYKinから得られるL,a,b値(Lm,am,bm)は、以下のように求めることができる。
(Lm,am,bm)=fICC(OffsetProfile,A2B,CMYKin) …(15)
L,a,b値(Lm,am,bm)は、第二座標値の例である。
ΔLsim=|Lm−Lin| …(16)
Δasim=|am−ain| …(17)
Δbsim=|bm−bin| …(18)
値Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)が1.0×4未満である場合、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が含まれる可能性が比較的高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを小さい方の1.0に決定して(S250)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
値Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)が1.0×4以上である場合、色選択用カラーチャートCH1の色の範囲内に目標色が入らない可能性が比較的高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを大きい方の2.0に決定して(S260)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
従って、S240の判断処理は、現在色と目標色との差の程度を判断していることになる。
また、上述した要因3(プロファイルの変換の精度が充分でない)や要因4(色の座標値Lt,at,btと、実際のカラーチップの色と、にずれがある)で現在色と目標色とに差が生じることを想定すると、その分の誤差Ec(0<Ec<d)を考慮してもよい。この場合、S240において、値{Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)+Ec}と1.0×4とを比較し、例えば、1.0×4未満である場合にパッチ間色差dを1.0に決定し、1.0×4以上である場合にパッチ間色差dを2.0に決定してもよい。
さらに、S240の処理を行う代わりに、現在色と目標色との差ΔLsim,Δasim,Δbsimに基づいてパッチ間色差dを計算してもよい。例えば、色調整装置100は、パッチ間色差dをMax(ΔLsim,Δasim,Δbsim)/4、又は、{Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)+Ec}/4に決定してもよい。
むろん、パッチ間隔数nは、4と8に限定されず、様々な数にすることが可能である。パッチ間隔数nの設定を2種類にすることも一例に過ぎず、3種類以上にしてもよい。
さらに、現在色と目標色との差ΔLsim,Δasim,Δbsimに基づいてパッチ間隔数nを計算してもよい。
さらには、パッチ間色差dとパッチ間隔数nの両方を変えることも可能である。例えば、S250においてd=1.0且つn=4に決定し、S260においてd=1.5且つn=6に決定してもよい。
また、S210,S230〜S240の処理を行わず、S220において、判断基準1(例えば、C=0%、C=100%、M=0%、M=100%、Y=0%、又は、Y=100%)が満たされるなどパッチ間色差dを2.0に決定する条件が成立するとS260の処理(例えばd=2.0)を行い、条件不成立時にS250の処理(例えばd=1.0)を行ってもよい。
さらに、S210〜S220の処理を行わず、S240において、Max(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合にS250の処理(例えばd=1.0)を行い、条件不成立時にS260の処理(例えばd=2.0)を行ってもよい。
本発明は、種々の変形例が考えられる。
例えば、上述した色差は、色差式CIEDE2000、CMC、CIEDE94、等による色差でもよい。
プリンター503は、上述した色以外の色の色材を使用してもよいし、CMYKの一部の色材を使用しなくてもよい。
S220において、判断基準2(TLc≦C≦THc、且つ、TLm≦M≦THm、且つ、TLy≦Y≦THy)が満たされるなどパッチ間色差dを1.0に仮決定する条件が成立すると、色調整装置100は、設定されている入力プロファイル521が基準プロファイル511であるか否かを判断する(S310)。
入力プロファイル521がプロファイル523など基準プロファイル511でない場合、入力プロファイル521に示される色再現域が基準プロファイル511に示される色再現域R1と異なる可能性が高い。この場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを大きい方の2.0に決定して(S260)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
従って、S310の判断処理は、現在色と目標色との差の程度を判断していることになる。
むろん、パッチ間色差dとパッチ間隔数nの両方を変えることも可能である。
S230で色差成分ΔLsim,Δasim,Δbsimが求められた後、色調整装置100は、まず、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.5×4とを比較して処理を分岐させる(S320)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.5×4である場合、色調整装置100は、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.0×4とを比較して処理を分岐させる(S322)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを1.0に決定して(S324)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.0×4≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.5×4である場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを1.5に決定して(S326)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.5×4≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)である場合、色調整装置100は、パッチ間色差dを2.0に決定して(S328)、パッチ間色差決定処理を終了させる。
S230の処理後、色調整装置100は、まず、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.0×6とを比較して処理を分岐させる(S330)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×6である場合、色調整装置100は、最大値MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)と1.0×4とを比較して処理を分岐させる(S332)。例えば、MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×4である場合、色調整装置100は、パッチ間隔数nを4に決定して(S334)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.0×4≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)<1.0×6である場合、色調整装置100は、パッチ間隔数nを6に決定して(S336)、パッチ間色差決定処理を終了させる。1.0×6≦MAX(ΔLsim,Δasim,Δbsim)である場合、色調整装置100は、パッチ間隔数nを8に決定して(S338)、パッチ間隔数決定処理を終了させる。
図11は、パッチ間色差dの選択を受け付けるパッチ間色差決定処理の例を示している。図11では、S230の処理後にS340〜S344の処理が行われる。図12Aは、[態様8]の(c)の例として、表示装置115に表示されるパッチ間色差選択画面610を模式的に例示している。この例では、パッチ間色差dの設定を1.0、1.5、及び、2.0の3種類用意している。
以上により、推奨のパッチ間色差とは異なる設定で色選択用カラーチャートCH1を生成することが可能となる。従って、本具体例は、ユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
以上により、推奨のパッチ数とは異なる設定で色選択用カラーチャートCH1を生成することが可能となる。従って、本具体例は、ユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
以上説明したように、本発明によると、種々の態様により、カラーパッチ数やカラーチャート面積が限られる中で効率的にカラーパッチを配置した色選択用カラーチャートを生成する技術等を提供することができる。むろん、独立請求項に係る構成要件のみからなる技術等でも、上述した基本的な作用、効果が得られる。
また、上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、公知技術及び上述した例の中で開示した各構成を相互に置換したり組み合わせを変更したりした構成、等も実施可能である。本発明は、これらの構成等も含まれる。
Claims (3)
- 複数のカラーパッチの中から入力データに対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートを生成する色選択用カラーチャート生成方法であって、
前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断工程と、
この判断工程による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定工程と、
を含む、色選択用カラーチャート生成方法。 - 前記判断工程では、前記現在色と前記目標色との差を推定し、この推定した差に基づいて、前記色選択用カラーチャートの色の範囲内に前記目標色が含まれるように前記現在色と前記目標色との差の程度を判断する、請求項1に記載の色選択用カラーチャート生成方法。
- 複数のカラーパッチの中から入力データに対応付ける目標色に最も近い色のカラーパッチを選択するための色選択用カラーチャートを生成するための色選択用カラーチャート生成プログラムであって、
前記複数のカラーパッチは、隣り合う第一カラーパッチ及び第二カラーパッチを含み、
設定されたプロファイルに従って前記入力データから得られる出力データで表される現在色と、前記目標色と、の差の程度を判断する判断機能と、
この判断機能による判断に従って、前記第一カラーパッチと前記第二カラーパッチとの色差と、前記色選択用カラーチャートに含まれるカラーパッチの数と、の少なくとも一方を決定する決定機能と、
をコンピューターに実現させる、色選択用カラーチャート生成プログラム。
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