JP6701927B2 - トイレットペーパー及びトイレットロール - Google Patents

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Description

本発明は、トイレットペーパー及びトイレットロールに関する。
トイレットペーパー製品は、トイレットペーパーウェブを1枚又は2枚以上に重ねたトイレットペーパーを所定の大きさに切断して製造される。一般的には長尺のトイレットペーパーがロール状に巻回されてなるトイレットロール(ロール状トイレットペーパー)が多用されている。1枚のトイレットペーパーウェブからなるトイレットペーパーは1プライのトイレットペーパーと称され、2枚重ねのトイレットペーパーウェブからなるトイレットペーパーは2プライのトイレットペーパーと称されている。
トイレットペーパーは、直接肌に触れるものであるから、滑らかでふっくらとした風合いが要求される。また、トイレットペーパーはロール形態で流通し、店頭に並ぶため、トイレットロール自体の手触り感や柔らかな触感が要求される場合がある。すなわち、トイレットロールを掴んだ際に、柔らかでふんわりとした触感が感じられる方が、高級感や高品質であるとの評価が得られる傾向がある。このため、トイレットロールの巻き密度を調整するなどして、トイレットロールの手触り感や触感を高めることが検討されている(例えば、特許文献1及び2)。
特許第3619808号公報 特許第3992943号公報
しかしながら、従来のトイレットロールにおいては、ロールから巻き解かれ使用されるトイレットペーパーが有する滑らかでふっくらとした風合いと、トイレットロール自体の手触り感や柔らかな触感が高いレベルで両立されておらず、さらなる改善が求められていた。
そこで本発明者らは、このような従来技術の課題を解決するために、良好な肌触り感を有するトイレットペーパーであって、ロール形態とした際に優れた手触り感を発揮し得るトイレットペーパーを提供することを目的として検討を進めた。
上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、本発明者らは、巻外側トイレットペーパーと、巻内側トイレットペーパーにそれぞれ異なる高さのエンボスを形成し、エンボス高さの差を所定の範囲とすることにより、良好な肌触り感を有するトイレットペーパーであって、ロール形態とした際に優れた手触り感を発揮し得るトイレットペーパーが得られることを見出した。
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
[1] 巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーと、を有する2プライ以上のトイレットペーパーであって、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さは90μm以上210μm以下であり、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さは70μm以上170μm以下であり、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差が10μm以上50μm以下である2プライ以上のトイレットペーパー。
[2] 巻外側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC1)が33%以上53%以下であり、巻内側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC2)が35%以上55%以下であり、(RC1−RC2)の値が−12%以上−1%以下である[1]に記載のトイレットペーパー。
[3] 巻外側トイレットペーパーのエンボスパターンと、巻内側トイレットペーパーのエンボスパターンは異なるものである[1]又は[2]に記載のトイレットペーパー。
[4] 巻外側トイレットペーパーのエンボス密度は10個/cm2以上30個/cm2以下であり、巻内側トイレットペーパーのエンボス密度は20個/cm2以上100個/cm2以下である[1]〜[3]のいずれかに記載のトイレットペーパー
[5] [1]〜[4]のいずれかに記載のトイレットペーパーをロール状にしたトイレットロールであって、トイレットロールの巻き長さは25m以上60m以下であり、トイレットロールの巻き密度は0.50m/cm2以上1.4m/cm2以下である2プライ以上のトイレットロール。
[6] 巻外側トイレットペーパーに、エンボス高さが90μm以上210μm以下のエンボス加工を施す(A)工程と、巻内側トイレットペーパーに、エンボス高さが70μm以上170μm以下のエンボス加工を施す(B)工程と、(A)工程で得られた巻外側トイレットペーパーと、(B)工程で得られた巻内側トイレットペーパーを積層する工程と、を含み、(A)工程で得られた巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、(B)工程で得られた巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差が10μm以上50μm以下である2プライ以上のトイレットペーパーの製造方法。
本発明によれば、良好な肌触り感を有するトイレットペーパーであって、ロール形態とした際にも優れた手触り感を発揮し得るトイレットペーパーを得ることができる。本発明のトイレットペーパーから構成されるトイレットロールは、その手触り感が柔らかく、高級感や高品質感といった好ましい印象を与えることができる。
図1は、本発明のトイレットペーパーの構成を説明する概略図である。 図2は、エンボスパターンAを説明するパターン図である。 図3は、エンボスパターンBを説明するパターン図である。 図4は、トイレットロールの巻き密度の算出方法を説明する図である。
以下において、本発明について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、代表的な実施形態や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
(トイレットペーパー)
本発明は、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーと、を有する2プライ以上のトイレットペーパーに関する。ここで、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さは90μm以上210μm以下である。巻内側トイレットペーパーのエンボス高さは70μm以上170μm以下である。また、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差は10μm以上50μm以下である。
本発明のトイレットペーパーは、上記構成を有するため、使用時の肌触り感に優れている。具体的には、本発明のトイレットペーパーは、滑らかでふっくらとした風合いを備えている。さらに、本発明のトイレットペーパーは、ロール形態とした際にも優れた手触り感を発揮し得る。すなわち、本発明のトイレットペーパーから構成されるトイレットロールはそのロール自体に柔らかさがあり、手触り感に優れている。
本発明のトイレットペーパーは2プライ以上のトイレットペーパーである。トイレットペーパーのプライ数はトイレットペーパーウェブの重ね合わせ枚数を意味する。プライ数は、2以上であればよく、2以上4以下であることが好ましく、2もしくは3であることがより好ましく、2であることが特に好ましい。
本発明では、トイレットペーパーは、トイレットロールを構成するトイレットペーパーであることが好ましい。すなわち、本発明のトイレットペーパーは、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーを有するものである。巻外側トイレットペーパーは、トイレットペーパーをロール状に巻き取った際にロールの外周面側に配されるトイレットペーパーである。また、巻内側トイレットペーパーは、トイレットペーパーをロール状に巻き取った際にロールの内周面側に配される面である。
図1は本発明のトイレットペーパーの構成を説明する図である。図1には、トイレットロールと、トイレットロールを構成するトイレットペーパーの点線円部の拡大図が示されている。図1に示されているように、トイレットペーパー1は、トイレットロール100の外周面側に、巻外側トイレットペーパー12を有し、トイレットロール100の内周面側に、巻内側トイレットペーパー14を有している。なお、トイレットペーパーが3プライ以上のトイレットペーパーである場合は、最も外周面側に配されるトイレットペーパーを巻外側トイレットペーパーといい、最も内周面側に配されるトイレットペーパーを巻内側トイレットペーパーという。
巻外側トイレットペーパーのエンボス高さは90μm以上210μm以下である。巻外側トイレットペーパーのエンボス高さは100μm以上であることが好ましく、130μm以上であることがより好ましく、190μm以上であることがさらに好ましい。また、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さは210μm以下であることが好ましく、200μm以下であることが好ましい。本発明では、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さを上記範囲内とすることにより、使用時の肌触り感を高めることができる。
巻内側トイレットペーパーのエンボス高さは70μm以上170μm以下である。巻内側トイレットペーパーのエンボス高さは75μm以上あることが好ましく、90μm以上であることがより好ましく、110μm以上であることがさらに好ましく、150μm以上であることが特に好ましい。また、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さは170μm以下であることが好ましく、160μm以下であることがより好ましい。
巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差は10μm以上50μm以下である。エンボス高さの差は、12μm以上であることが好ましく、19μm以上であることがより好ましく、20μm以上であることがさらに好ましく、30μm以上であることがよりさらに好ましく、42μm以上であることが特に好ましい。また、エンボス高さの差は、50μm以下であることが好ましい。
本発明は、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さを上記範囲内とし、さらに、巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差を上記範囲内とすることにより、トイレットペーパーの滑らかでふっくらとした風合いと、トイレットロールの良好な手触り感を両立することに成功したものである。
このような効果は、各トイレットペーパーに高さが異なるエンボスを形成することにより、トイレットロールを構成した際に、適度な間隔でトイレットペーパー同士が積層されることで得られるものと考えられる。すなわち、積層されたトイレットペーパー同士の間に適度な隙間が生じるために、圧縮性に優れた柔らかなトイレットロールが得られるものと考えられる。
各トイレットペーパーのエンボス高さを測定する際には、まず、高精度形状測定システムKS−1100(KEYENCE社製)を用いて、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーの表面(内側面)の高さデータを取得する。取得範囲は1cm角とし、画像取得ピッチは10μmとする。次いで、取得した画像データを、画像解析ソフトIOMate2007(株式会社アイ・スペック社製)に読み込み、得られた高さデータを256階調に分級する。穴などの欠陥部のデータを除去した後、横軸に階調、縦軸にデータの個数をとったグラフを作成する。作成したグラフについて、前後2点の合計5点で移動平均を取りグラフを描きなおし、新たに描きなおされたグラフの各点におけるグラフの傾きを、求める点とその前の点との2点の値を用いて算出する。得られた傾きのデータについて、前後3点の計7点で移動平均を取り、横軸を階調、縦軸を移動平均取得後の傾きとして、さらに別のグラフを作成する。得られた傾きのグラフの最下点以降の部分で最初に迎える変曲点の位置を目視判断し、その位置の横軸の階調を閾値として定める。次いで、定めた閾値を下回る部分について高さデータの加重平均を行い、得られた平均値を「非エンボス部分の平均高さ」とする。また、定めた閾値以上の部分についても高さデータの加重平均を行い、得られた平均値を「エンボス部分の平均高さ」とする。「エンボス部分の平均高さ」−「非エンボス部分の平均高さ」によって求められる値をエンボス高さとして定め、それぞれのプライについて算出する。
トイレットペーパーの坪量は、10g/m2以上であることが好ましく、12g/m2以上であることがより好ましく、15g/m2以上であることがさらに好ましい。一般的にトイレットペーパーの坪量の上限値は、25g/m2程度である。なお、本願明細書におけるトイレットペーパーの坪量は、2プライのトイレットペーパーを構成する1枚当たりの坪量を表す。巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパーの両方が各々上記範囲内であることが好ましい。
巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパー各々の厚みは、50μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、70μm以上であることがさらに好ましい。また、各トイレットペーパーの厚みは、100μm以下であることが好ましい。巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパーの両方が各々上記範囲内であることが好ましい。
本発明においてはトイレットペーパーの坪量と厚みを上記範囲内とすることにより、実用的強度を保持しつつも、滑らかな風合いと、ふっくらとした触感を発揮することができる。
巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパーのそれぞれに0.5gf/cm2の圧力をかけた際の厚みをT0とした場合、巻外側トイレットペーパーのT0は、0.20mm以上であることが好ましく、0.45mm以下であることが好ましい。
また、巻内側トイレットペーパーのT0は、0.10mm以上であることが好ましく、0.40mm以下であることが好ましい。
さらに、巻外側トイレットペーパーのT0と巻内側トイレットペーパーのT0の差は、0.01mmよりも大きいことが好ましく、0.02mm以上であることがより好ましく、0.03mm以上であることがさらに好ましく、0.04mm以上であることが特に好ましい。本発明のトイレットペーパーにおいては、巻外側トイレットペーパーのT0と巻内側トイレットペーパーのT0の差が大きい点にも特徴がある。このようなT0の差も、トイレットペーパーの滑らかでふっくらとした風合いと、トイレットロールの良好な手触り感の両立に寄与しているものと考えられる。
本発明のトイレットペーパーに50gf/cm2の圧力をかけた際の厚みをTmとした場合、巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパーのそれぞれのTmは、0.05mm以上であることが好ましく、0.10mm以上であることがより好ましい。また、巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパーのそれぞれのTmは、0.30mm以下であることが好ましい。
ここで、上述したT0及びTmの値はKES FB3−AUTO−A自動化圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて測定することができる。具体的には、KES FB3−AUTO−A自動化圧縮試験機の2cm2の加圧板と受圧板間に10cm×20cmの大きさにカットしたサンプルを設置し、50秒/mmの速さで加圧板を下降させ、その際に変化する圧力とその時のサンプルの厚みを測定する。T0は圧力が0.5gf/cm2におけるサンプルの厚み(mm)であり、Tmは圧力が50gf/cm2におけるサンプルの厚み(mm)である。T0及びTmの値はエンボスの凹面(エンボスロールを押し当てた面)を加圧板側として10回の測定を行い、得られた測定データからHampel identifierの方法で異常値を除外し、平均値として算出した値である。なお、上記サンプルの測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行う。
また、KES FB3−AUTO−A自動化圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて、圧縮かたさ(LC)、圧縮エネルギー(WC)、圧縮回復率(RC)を算出することもできる。圧縮かたさ(LC)は、押し込み深さに対する反発力の直線比例性を表すものであり、その値が大きいほど圧縮が固く反発性があることを示す。圧縮エネルギー(WC)は、圧縮時に要したエネルギーを表し、その値が大きければ圧縮されやすいことを示す。また、圧縮回復率(RC)は圧縮された状態から元に戻る際の回復性を示しており、100%に近いほど回復性があることを示す。
巻外側トイレットペーパーの圧縮かたさ(LC)は0.40以上0.80以下であることが好ましい。巻内側トイレットペーパーの圧縮かたさ(LC)は0.30以上0.70以下であることが好ましい。巻外側トイレットペーパーの圧縮かたさ(LC)と、巻内側トイレットペーパーの圧縮かたさ(LC)の差は、0.02以上であることが好ましく、0.03以上であることがより好ましく、0.04以上であることがさらに好ましい。
巻外側トイレットペーパーの圧縮エネルギー(WC)は、0.10gf・cm/cm2以上0.50gf・cm/cm2以下であることが好ましい。巻内側トイレットペーパーの圧縮エネルギー(WC)は、0.10gf・cm/cm2以上0.40gf・cm/cm2以下であることが好ましい。巻外側トイレットペーパーの圧縮エネルギー(WC)と、巻内側トイレットペーパーの圧縮エネルギー(WC)の差は、0.02gf・cm/cm2以上であることが好ましく、0.03gf・cm/cm2以上であることがより好ましく、0.05gf・cm/cm2以上であることがさらに好ましい。
巻外側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC1)は、33%以上53%以下であることが好ましい。巻内側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC2)は、35%以上55%以下であることが好ましい。巻外側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC1)と、巻内側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC2)の差(RC1−RC2)は、−12%以上−1%以下であることがより好ましい。
本発明のトイレットペーパーの巻外側トイレットペーパーの露出側表面のハンドフィール値(HF値)と、巻内側トイレットペーパーの露出側表面のハンドフィール値の平均は75.0以上であることが好ましく、78.0以上であることがより好ましい。なお、HF値の上限は特に限定されるものではないが、一般的に95.0以下であることが好ましい。
ここで、ハンドフィール値(HF値)は、ティシューソフトネスアナライザー(Emtec Electronic GmbH社製)を用いて、以下の測定方法によって測定することができる。
まず、ティシューソフトネスアナライザーのサンプル台に、直径112.8mmの円形にカットしたサンプルを設置する。このサンプルに対し、ブレード付きローターを100mNの押し込み圧力をかけて上方から押し込む。その後、ブレード付きローターを回転数が2.0回転/秒となるように回転させ、その時の振動周波数を測定する。
また、直径112.8mmの円形にカットした別のサンプルに対し、ブレード付きローターを100mNと、60mNの圧力で押し込んだ際の上下方向の変形変位量を算出する。HF値は、振動周波数と変形変位量から算出される値であり、計算のアルゴリズムはTP IIを用いることができる。
HF値を算出する際は、巻外側トイレットペーパーの露出側表面と巻内側トイレットペーパーの露出側表面について測定をそれぞれ10回ずつ行い、得られた測定データからHampel identifierの方法で異常値を除外する。そして、各表面のHF値の平均値から、トイレットペーパーのHF値の平均値を算出する。
なお、上記サンプルの測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行う。また、測定の際には、付属の説明書に従い標準サンプル(emetec ref.2X(nn.n))で校正し、アルゴリズムをTP IIに設定する。計算ソフトウェアとしてはemetec measurement system ver.3.22を使用する。
巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパー各々の長さ方向の引張強度は、0.90N/15mm以上であることが好ましく、1.00N/15mm以上であることがより好ましい。また、各トイレットペーパーの長さ方向の引張強度は、1.60N/15mm以下であることが好ましく、1.55N/15mm以下であることがより好ましい。
各トイレットペーパーの幅方向の引張強度は0.20N/15mm以上であることが好ましく、0.30N/15mm以上であることがより好ましい。また、各トイレットペーパーの幅方向の引張強度は0.70N/15mm以下であることが好ましく、0.60N/15mm以下であることがより好ましく、0.50N/15mm以下であることがさらに好ましい。
なお、巻外側トイレットペーパー及び巻内側トイレットペーパーの両方が各々上記範囲内であることが好ましい。
各トイレットペーパーの引張強度の測定は、横型引張試験機(熊谷理器社製)を用いて行うことができる。この場合、幅が15mmのサンプルを用い、引張速度50mm/分の条件で測定を行う。本願明細書における引張強度は1プライのトイレットペーパーの引張強度であり、6サンプルの平均値である。なお、引張強度の測定は、ISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行う。
本発明では、巻外側トイレットペーパーのエンボスパターンと、巻内側トイレットペーパーのエンボスパターンは異なるものであることが好ましい。
巻外側トイレットペーパーのエンボスパターンでは、1個のエンボス直径は0.5mm以上2mm以下が好ましく、0.7mm以上1.3mm以上がより好ましい。またエンボス密度は10個/cm2以上30個/cm2以下が好ましく、15個/cm2以上25個/cm2以下がより好ましい。
巻内側トイレットペーパーのエンボスパターンでは、1個のエンボス直径は0.2mm以上1.0mm以下が好ましく、0.3mm以上0.6mm以下がより好ましい。またエンボス密度は20個/cm2以上100個/cm2以下が好ましく、40個/cm2以上80個/cm2以下がより好ましい。
巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーにおけるエンボス直径の差は0.2mm以上が好ましく、0.4mm以上がより好ましい。
巻外側トイレットペーパーのエンボスパターンの例としては、例えば図2に記載したようなエンボスパターンを挙げることができる。また、巻内側トイレットペーパーのエンボスパターンの例としては、例えば図3に記載したようなエンボスパターンを挙げることができる。
(繊維原料)
本発明のトイレットペーパーは、繊維原料を含むスラリーを抄紙することによって得られる。繊維原料としては、パルプを用いることが好ましい。パルプとしては、木材パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを挙げることができる。木材パルプとしては例えば、広葉樹パルプ(広葉樹クラフトパルプ(LKP))、針葉樹パルプ(針葉樹クラフトパルプ(NKP))、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、未晒しクラフトパルプ(UKP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ等が挙げられる。また、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP、BCTMP)等の機械パルプ等が挙げられるが、特に限定されない。非木材パルプとしてはコットンリンターやコットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、バガス等の非木材系パルプ、ホヤや海草等から単離されるセルロース、キチン、キトサン等が挙げられるが、特に限定されない。脱墨パルプとしては古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられるが、特に限定されない。パルプは上記の1種を単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
繊維原料としては、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプから選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、針葉樹パルプを用いることが好ましい。中でも、本発明においては、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用することが好ましく、針葉樹クラフトパルプ(NKP)と広葉樹クラフトパルプ(LKP)を併用することがより好ましい。
繊維原料として針葉樹パルプが用いられる場合は、針葉樹パルプの含有量は、トイレットペーパーに含まれるパルプ成分の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、40質量%以上であることがさらに好ましい。また、針葉樹パルプの含有量は、トイレットペーパーに含まれるパルプ成分の全質量に対して、80質量%以下であることが好ましい。針葉樹パルプの含有量を上記範囲内とすることにより、トイレットペーパーのHF値や圧縮性等を所望の範囲内とすることが容易になる。
繊維原料としては、針葉樹パルプと広葉樹パルプを併用することが好ましい。すなわち、トイレットペーパーには、針葉樹パルプの他に広葉樹パルプがさらに含まれることが好ましい。広葉樹パルプの含有量は、トイレットペーパーに含まれるパルプ成分の全質量に対して、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、広葉樹パルプの含有量は、トイレットペーパーに含まれるパルプ成分の全質量に対して、70質量%以下であることが好ましい。広葉樹パルプの含有量を上記範囲内とすることにより、トイレットペーパーのHF値や圧縮性等を所望の範囲内とすることが容易になる。
繊維原料として用いる針葉樹パルプの長さ加重平均繊維長は1.6mm以上であることが好ましく、1.8mm以上であることがより好ましく、2.0mm以上であることがさらに好ましい。また、針葉樹パルプの長さ加重平均繊維長は2.5mm以下であることが好ましい。
繊維原料として用いる広葉樹パルプの長さ加重平均繊維長は0.5mm以上であることが好ましく、0.6mm以上であることがより好ましく、0.65mm以上であることがさらに好ましい。また、広葉樹パルプの長さ加重平均繊維長は1.0mm以下であることが好ましい。
繊維原料の長さ加重平均繊維長を上記範囲内とすることにより、トイレットペーパーのHF値や圧縮性等を所望の範囲内とすることが容易になる。なお、上記繊維原料の長さ加重平均繊維長は、原料としての繊維長であり、叩解処理等を施す前の繊維長である。
トイレットペーパー中に含有される繊維成分(パルプ成分)のカナディアン・フリーネス・スタンダード(C.F.S)で表されるフリーネスは400ml以上であることが好ましく、450ml以上であることがより好ましく、500ml以上であることがさらに好ましい。また、フリーネスは700ml以下であることが好ましい。繊維成分のフリーネスを上記範囲内とすることにより、トイレットペーパーのHF値や圧縮性等を所望の範囲内とすることが容易になり、滑らかな風合いとふっくらとした触感が両立したトイレットペーパーが得られる。なお、繊維成分のフリーネスは後述するように、叩解条件を制御することにより調整することができる。
(任意成分)
本発明のトイレットペーパーには、繊維原料の他に任意成分が含まれていてもよい。任意成分としては、例えば、乾燥紙力剤、湿潤紙力剤、柔軟剤等を挙げることができる。乾燥紙力剤としては、例えば、カチオン化澱粉、ポリアクリルアミド(PAM)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等を挙げることができる。湿潤紙力剤としては、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等を挙げることができる。柔軟剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤等を挙げることができる。上記の任意成分は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
トイレットペーパーに乾燥紙力剤が含まれている場合は、乾燥紙力剤の含有量は、トイレットペーパーに含まれる繊維成分の100質量部に対して、0.01質量部以上0.50質量部以下であることが好ましい。
トイレットペーパーに湿潤紙力剤が含まれている場合は、湿潤紙力剤の含有量は、トイレットペーパーに含まれる繊維成分の100質量部に対して、0.001質量部以上0.10質量部以下であることが好ましい。
また、トイレットペーパーに柔軟剤が含まれている場合は、柔軟剤の含有量は、トイレットペーパーに含まれる繊維成分の100質量部に対して、0.01質量部以上0.50質量部以下であることが好ましい。
(トイレットペーパーの製造方法)
本発明のトイレットペーパーの製造方法は、繊維原料を含むスラリーを抄紙し、1プライのトイレットペーパーウェブを得る工程と、1プライのトイレットペーパーウェブを積層する工程(以下、貼り合わせ工程ともいう)と、巻外側トイレットペーパーウェブと巻内側トイレットペーパーウェブにエンボス加工を施す工程と、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーを再度積層する工程を含む。
1プライのトイレットペーパーウェブを得る工程の前には、繊維原料を漂白する工程を含んでもよい。漂白工程で使用する漂白剤としては、酸素系漂白剤や塩素系漂白剤等の公知の漂白剤を挙げることができる。
1プライのトイレットペーパーウェブを得る工程は、繊維原料を含むスラリーを得る工程を含む。スラリーを得る工程においては、繊維原料を叩解する工程を含むことが好ましい。叩解工程においては、例えば、ダブルディスクリファイナー等を用いて叩解処理を施すことができる。この時、針葉樹パルプと広葉樹パルプをそれぞれ単独で叩解してもよいし、混合させた後に叩解してもよい。
1プライのトイレットペーパーウェブを得る工程は、繊維原料を含むスラリーを抄紙する工程を含む。抄紙する工程で用いられる抄紙機としては、例えば、サクションブレストフォーマー(円網タイプ、長網タイプ)、ツインワイヤーフォーマー、円網フォーマー(Cラップ、Sラップ)、クレセントフォーマー等の抄紙機を挙げることができる。
抄紙する工程では、網状のワイヤー上に繊維原料を含むスラリーが供給されてパルプの薄層が形成される。その後、プレスパートに向かって移送されながら、パルプの薄層の水分が網の下へ抜かれることでパルプの薄層は脱水される。このような工程を脱水工程と呼ぶこともある。一般に、ワイヤーは、金属またはプラスチック製の網を環にしたものである。
抄紙する工程では、例えば、針葉樹パルプと広葉樹パルプを混合したパルプスラリーを抄紙して均一な1つの層として湿紙を形成する方法、もしくは、針葉樹パルプ層と広葉樹パルプ層を抄き合わせて1枚の湿紙を形成する方法があるが、いずれの手法を採用してもよい。
脱水工程の後、湿紙はワイヤーからフェルトへと移動する。フェルトを介してプレスロールで圧力を加えることにより、湿紙はさらに機械的に搾水される。これを、プレス工程あるいは搾水工程と呼ぶこともある。
抄紙する工程は、搾水工程の後に、さらに乾燥工程を含むことが好ましい。乾燥工程は、例えば、湿紙に向かって熱風を吹き付ける工程、もしくは、ドライヤシリンダーを外周面に圧着させる工程であることが好ましい。
抄紙する工程では、乾燥工程の後にクレープを付与する工程が設けられることが好ましい。クレープはドクターブレードに原紙を衝突させ、紙の流れ方向に圧縮することで付与することができる。また、巻取リールとドライヤシリンダーとに速度差を設けることにより、所定のクレープ率とすることができる。
クレープ付与工程の後には、原紙巻取り工程が設けられてもよい。原紙巻取り工程では、上記の工程を経て仕上げられたトイレットペーパーウェブ(薄葉紙)が巻取られることで、1プライの原紙巻取が得られる。この際、トイレットペーパーウェブ(薄葉紙)のドライヤシリンダーに圧着された面が原紙巻取の外周面となるように巻取ることが好ましい。
1プライのトイレットペーパーウェブを貼り合わせる工程は、原紙巻取2本をプライマシンにかけて巻き解き、2枚の原紙を積層する工程が含まれる。なお、貼り合せた後にカレンダー処理する工程が設けられてもよい。
エンボス加工を施す工程は、巻外側トイレットペーパーに、エンボス高さが90μm以上210μm以下のエンボス加工を施す(A)工程と、巻内側トイレットペーパーに、エンボス高さが90μm以上170μm以下のエンボス加工を施す(B)工程を含む。(A)工程で得られた巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、(B)工程で得られた巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差が10μm以上50μm以下となる。
エンボス加工は、エンボスパターンを構成する凸構造が設置されたエンボスロールとラバーロールとの間にトイレットペーパーウェブを通し、エンボスパターンを型押しすることによって行われる。エンボスロールのエンボス高さや、押し込み量、押し込み圧を変更することによって、上記範囲のエンボス高さを有するエンボス形状を形成することができる。
ここで、巻外側トイレットペーパーのエンボス加工に用いるエンボスロールには凸構造高さ0.75mm以上0.85mm以下の凸構造が設置されていることが好ましい。また、巻外側トイレットペーパーのエンボス加工に用いるエンボスロールには、凸構造密度(エンボス密度)10個/cm2以上30個/cm2以下の凸構造が設置されていることが好ましい。そして、巻外側トイレットペーパーのエンボス加工では、上記のエンボスロールを8kgf/cm2以上20kgf/cm2以下の圧力で型押しすることが好ましい。
また、巻内側トイレットペーパーのエンボス加工に用いるエンボスロールには凸構造高さ0.70mm以上0.80mm以下の凸構造が設置されていることが好ましい。また、巻内側トイレットペーパーのエンボス加工に用いるエンボスロールには、凸構造密度(エンボス密度)50個/cm2以上70個/cm2以下の凸構造が設置されていることが好ましい。そして、巻内側トイレットペーパーのエンボス加工では、上記のエンボスロールを5gf/cm2以上15kgf/cm2以下の圧力で型押しすることが好ましい。
上記エンボス工程の後には、巻外側トイレットペーパーと、巻内側トイレットペーパーを再度積層する工程を含む。この場合、エンボスの凸面(エンボスロールを押し当てた面とは反対側の面)が内側で向かい合うようにして貼り合せを行うことが好ましい。
上記貼り合わせ工程では、1プライのトイレットペーパーウェブを2枚以上積層し、貼り合わせを行う。この工程では、例えば、原紙を重ねた後に製品の端部となる部分に幅狭のコンタクトエンボスを付与することによって貼り合わせることができる。その際、エンボスロールによって押し込まれた面を外側にして貼り合わせる方が、手触り感の観点から好ましい。
貼り合わせ工程の後には、さらに巻取り工程が設けられる。この巻取り工程においては、所定の製品長を満たすように、所定の長さ分の巻取りを行う。そして、得られた巻取ロールを所定の幅に断裁する。
巻き取り工程では、例えばマンドレルシャフトを有するワインダーを用いて、以下のように行うことができる。(1)まず巻芯となる紙管をマンドレルシャフトに挿入し、固定する。(2)前記紙管に接着剤を付着させ、紙管にトイレットペーパーの始端部を接着固定する。(3)マンドレルシャフトを回転させることにより、2プライのトイレットペーパーを製品長さ分だけ芯管に巻き取る。
(トイレットロール)
本発明は、上述したトイレットペーパーをロール状にしたトイレットロールに関するものでもある。本発明のトイレットロールは、上述したトイレットペーパーから構成されるものであるため、手触り感に優れている。手触り感に優れていることは、トイレットロールを掴んだ際に柔らかく、圧縮性に優れていることを意味する。
本発明のトイレットロールの巻き長さは25m以上60m以下であることが好ましい。ここで、トイレットロールの巻き長さは、2プライのトイレットロールであれば、トイレットペーパーを2枚重ねた2枚単位の巻き長さである。
本発明のトイレットロールの巻き径(外径)は、110mm以上120mm以下であることが好ましい。ここで、トイレットロールの巻き径(外径)は、図4においてRで表されている。
また、本発明のトイレットロールは、紙管にトイレットペーパーを巻いてなるものである。紙管径は30mm以上40mm以下であることが好ましい。トイレットロールの紙管径は、図4においてSで表されている。
本発明のトイレットロールの巻き密度は、0.16m/cm2以上であることが好ましく、0.20m/cm2以上であることがより好ましく、0.30m/cm2以上であることがさらに好ましく0.60m/cm2以上であることが特に好ましい。また、トイレットロールの巻き密度は、1.40m/cm2以下であることが好ましく、1.08m/cm2以下であることがより好ましく、0.99m/cm2以下であることがさらに好ましく、0.80m/cm2以下であることがよりさらに好ましい。
中でも、巻き長さ25mのトイレットロールにおいては、巻き密度が0.60m/cm2以上0.68m/cm2以下であることが好ましく、巻き長さ30mのトイレットロールにおいては、巻き密度が0.73m/cm2以上0.82m/cm2以下であることが好ましく、巻き長さ45mのトイレットロールにおいては、0.90m/cm2以上1.08m/cm2以下であることが好ましく、巻き長さ60mのトイレットロールにおいては、巻き密度が1.25g/m2以上1.45g/m2以下であることが好ましい。
トイレットロールの巻き密度は、2プライのトイレットロールの巻き長さの2倍の長さを紙管の断面積を除いたロールの断面積(図4におけるP(ドット状模様部分))で除すことにより算出した値である。すなわち、巻き密度は下記の式で算出することができる。
巻き密度(m/cm2)=巻き長さ×2/ロール断面積
以下に実施例と比較例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
(実施例1)
パルプ成分(100質量%)のうち、広葉樹クラフトパルプ(以下「LBKP」)が70質量%、針葉樹クラフトパルプ(以下「NBKP」)が30質量%となるようにパルプスラリーを調製した。さらに、パルプスラリーには、柔軟剤(星光PMC株式会社製)を0.1質量%(対パルプ成分質量比)及びカチオン化デンプン(王子コンスターチ社製)を0.01質量%となるように添加した。このように調製したパルプスラリーを、ツインワイヤーヤンキーマシンを用いて抄造しトイレットペーパーウェブを得た。
得られた原紙巻取2本をプライマシンにかけ、巻き解きながら2プライへの貼り合せを行った。貼り合せ後、7kg/cm2の線圧でカレンダー処理して再度巻取り、2プライのトイレットペーパーウェブ巻取を得た。
得られた2プライのトイレットペーパーウェブ巻取を加工機にかけ、巻き解きながらトイレットペーパーウェブ表面にエンボス加工を施した。エンボス加工工程では、エンボスパターンを構成する凸構造が設置されたスチール製のエンボスロールとラバーロールとの間にトイレットペーパーウェブを通し、エンボスパターンを型押しすることによってエンボスを形成した。
エンボス加工工程では、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーでそれぞれ異なるエンボスパターンを形成した。巻外側トイレットペーパーには凸構造高さ0.80mm、凸構造密度(エンボス密度)21.2個/cm2のエンボスパターンAを有するエンボスロールを14kgf/cm2の圧力で型押してエンボスを形成した。また、巻内側トイレットペーパーには凸構造高さ0.75mm、凸構造密度(エンボス密度)60個/cm2のエンボスパターンBを有するエンボスロールを12kgf/cm2の圧力で型押してエンボスを形成した。
エンボス加工工程後は巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーのエンボスの凸面が内側で向かい合うようにして巻内側トイレットペーパーから巻外側トイレットペーパー側へ突出するようにコンタクトエンボスを形成し、2プライへの貼り合せを行った。その後、幅方向に横切る破断用ミシン目を長手方向に沿って一定間隔で形成し、表1に記載の巻き長さのロール状トイレットロールを得た。得られたトイレットロールの巻き径(図4におけるR)は表1の通りであった。得られたトイレットロールを所定の幅に断裁することで2プライのトイレットロール(トイレットロール製品)を得た。
(実施例2)
エンボスパターンを型押しする圧力を巻外側トイレットペーパーは11kgf/cm2とし、巻内側トイレットペーパーは9kgf/cm2にし、坪量、巻き長さを表2に記載の通りに変更した以外は実施例1と同様にして2プライのトイレットロールを得た。
(比較例1)
巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーの両方に、凸構造高さ0.8mm、凸構造密度(エンボス密度)21.2個/cm2のエンボスパターンAを14kgf/cm2の圧力で型押してエンボスを形成した以外は実施例1と同様にして2プライのトイレットロールを得た。
(比較例2)
巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーの両方に、凸構造高さ0.75mm、凸構造密度(エンボス密度)60個/cm2のエンボスパターンBを9kgf/cm2の圧力で型押してエンボスを形成し、坪量を表1に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして2プライのトイレットロールを得た。
(比較例3)
巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーの両方に、凸構造高さ0.75mm、凸構造密度(エンボス密度)60個/cm2のエンボスパターンAを11kgf/cm2の圧力で型押してエンボスを形成し、坪量、巻き長さを表2に記載の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして2プライのトイレットロールを得た。
(評価)
(エンボス高さ)
まず、高精度形状測定システムKS−1100(KEYENCE社製)を用いて、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーの表面(内側面)の高さデータを取得した。取得範囲は1cm角とし、画像取得ピッチは10μmとした。次いで、取得した画像データを、画像解析ソフトIOMate2007(株式会社アイ・スペック社製)に読み込み、得られた高さデータを256階調に分級した。穴などの欠陥部のデータを除去した後、横軸に階調、縦軸にデータの個数をとったグラフを作成した。作成したグラフについて、前後2点の合計5点で移動平均を取りグラフを描きなおし、新たに描きなおされたグラフの各点におけるグラフの傾きを、求める点とその前の点との2点の値を用いて算出した。得られた傾きのデータについて、前後3点の計7点で移動平均を取り、横軸を階調、縦軸を移動平均取得後の傾きとして、さらに別のグラフを作成した。得られた傾きのグラフの最下点以降の部分で最初に迎える変曲点の位置を目視判断し、その位置の横軸の階調を閾値として定めた。次いで、定めた閾値を下回る部分について高さデータの加重平均を行い、得られた平均値を「非エンボス部分の平均高さ」とした。また、定めた閾値以上の部分についても高さデータの加重平均を行い、得られた平均値を「エンボス部分の平均高さ」とする。「エンボス部分の平均高さ」−「非エンボス部分の平均高さ」によって求められる値をエンボス高さとして定め、それぞれのプライについて算出した。
(坪量)
坪量の測定値は、1プライのトイレットペーパーの測定値を示している。坪量は、JIS P 8124の規定に従って測定した。
(紙厚)
厚さの測定値は、1プライのトイレットペーパーの測定値を示している。厚さは、ISO187に準拠した環境で、厚さ計(ハイブリッジ製作所製)を用いて、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろした時の値を読み取った。なお、測定は1プライのトイレットペーパー10枚を1枚ずつ測定し、取得した10枚の厚さを平均したものを紙厚とした。
(HF値)
トイレットペーパーのHF値は、ティシューソフトネスアナライザー(Emtec Electronic GmbH社製)を用いて測定した。サンプル台に、直径112.8mmの円形にカットしたサンプルを設置し、このサンプルに対し、ブレード付きローターを100mNの押し込み圧力をかけて上方から押し込んだ。その後、ブレード付きローターを回転数が2.0回転/秒となるように回転させ、その時の振動周波数を測定した。また、直径112.8mmの円形にカットした別のサンプルに対し、ブレード付きローターを100mNと、60mNの圧力で押し込んだ際の上下方向の変形変位量を算出した。HF値は、振動周波数と変形変位量から、算出される値であり、計算のアルゴリズムはTP IIを用いた。なお、上記の測定は、各サンプルの巻外側トイレットペーパーの露出側表面と巻内側トイレットペーパーの露出側表面についてそれぞれ10回ずつ行い、得られた測定データからHampel identifierの方法で異常値を除外し、各表面について各々平均値を算出した。さらにこのようにして算出した、各表面のHF値の平均値から、両面のHF値の平均値を算出し、それをHF値として評価に用いた。
なお、上記サンプルの測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行った。また、測定の際には、付属の説明書に従い標準サンプル(emetec ref.2X(nn.n))で校正し、アルゴリズムをTP IIに設定した。計算ソフトウェアにはemtec measurement system Ver.3.22を使用した。
(圧縮性)
トイレットペーパーの圧縮性について、KES FB3−AUTO−A自動化圧縮試験機(カトーテック株式会社製)を用いて測定した。2cm2の加圧板と受圧板間に縦10cm×横20cm角に切り出したサンプルを設置し、50mm/秒の速さで加圧板を下降させ、その際に時々刻々と変化する圧力とその時のサンプルの厚みを測定することで、下記の項目を算出した。
0:圧力0.5gf/cm2下におけるサンプルの厚み
m:圧力50gf/cm2下におけるサンプルの厚み
LC:圧縮直線性
WC:圧縮仕事量
RC:厚み回復性
上記の項目の値は、巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーについてそれぞれ測定し、エンボスの凹面(エンボスロールを押し当てた面)を加圧板側として10回の測定を行い、得られた測定データからHampel identifierの方法で異常値を除外し、平均値として算出した値である。なお、上記サンプルの測定はISO187に準拠した環境(温度23±1℃、相対湿度50±2%)で行った。
(引張強度)
引張強度の測定値は、1プライのトイレットペーパーの測定値であり、乾燥引張強度を示している。引張強度は、JIS P 8113に準拠して測定した。縦方向の引張強度と、横方向の引張強度を各6サンプルずつ測定し、その平均値を算出して引張強度とした。
(巻き密度)
2プライのトイレットロールの巻き密度を算出した。巻き密度は、2プライのトイレットロールの巻き長さの2倍の長さを紙管の断面積を除いたロールの断面積(図4におけるP(ドット状模様部分))で除すことにより算出した。すなわち、巻き密度は下記の式で算出することができる。
巻き密度(m/cm2)=巻き長さ×2/ロール断面積
(官能評価)
肌触り感、ロールの柔らかさの評価は10人の評価者によって3段階評価で行った。肌触り感はロールから40cm程度巻き解いて切り離した状態のトイレットペーパーを肌に当てて、柔らかさを評価した。
ロールの柔らかさは、ロールを手で掴んだ時の柔らかさを評価した。なお、柔らかさは同じ巻き長さのトイレットロール同士で比較した。評価結果は巻き長さが25mの場合は○△×の3段階、巻き長さが45mの場合はABCの3段階で表記した。
<肌触り感>
○またはA:優れている
△またはB:やや劣る
×またはC:劣る
<ロールの柔らかさ>
○またはA:柔らかい
△またはB:やや固い
×またはC:固い
Figure 0006701927
Figure 0006701927
実施例で得られたトイレットペーパーは優れた肌触り感を有しており、手触り感に優れたトイレットロールを形成している。
1 トイレットペーパー
12 巻外側トイレットペーパー
14 巻内側トイレットペーパー
100 トイレットロール
P ロールの断面積
R ロールの巻き径
S 紙管径

Claims (5)

  1. 巻外側トイレットペーパーと巻内側トイレットペーパーと、を有する2プライのトイレットペーパーであって、
    前記巻外側トイレットペーパーのエンボス高さは130μm以上210μm以下であり、前記巻内側トイレットペーパーのエンボス高さは110μm以上170μm以下であり、
    前記巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、前記巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差が10μm以上50μm以下であり、
    前記巻外側トイレットペーパーのエンボス密度は10個/cm 以上30個/cm 以下であり、
    前記巻内側トイレットペーパーのエンボス密度は20個/cm 以上100個/cm 以下である、2プライのトイレットペーパー。
  2. 前記巻外側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC)が33%以上53%以下であり、前記巻内側トイレットペーパーの圧縮回復率(RC)が35%以上55%以下であり、(RC−RC)の値が−12%以上−1%以下である請求項1に記載のトイレットペーパー。
  3. 前記巻外側トイレットペーパーのエンボスパターンと、前記巻内側トイレットペーパーのエンボスパターンは異なるものである請求項1又は2に記載のトイレットペーパー。
  4. 請求項1〜のいずれか1項に記載のトイレットペーパーをロール状にしたトイレットロールであって、
    前記トイレットロールの巻き長さは25m以上60m以下であり、
    前記トイレットロールの巻き密度は0.50m/cm以上1.4m/cm以下である2プライのトイレットロール。
  5. 巻外側トイレットペーパーに、エンボス高さが130μm以上210μm以下のエンボス加工を施す(A)工程と、巻内側トイレットペーパーに、エンボス高さが110μm以上170μm以下のエンボス加工を施す(B)工程と、
    前記(A)工程で得られた巻外側トイレットペーパーと、前記(B)工程で得られた巻内側トイレットペーパーを積層する工程と、を含み、
    前記(A)工程で得られた巻外側トイレットペーパーのエンボス高さと、前記(B)工程で得られた巻内側トイレットペーパーのエンボス高さの差が10μm以上50μm以下であり、
    前記(A)工程で得られた巻外側トイレットペーパーのエンボス密度は10個/cm 以上30個/cm 以下であり、
    前記(B)工程で得られた巻内側トイレットペーパーのエンボス密度は20個/cm 以上100個/cm 以下である、2プライのトイレットペーパーの製造方法。
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