次に、上述の画像処理装置について、例示的な実施形態を挙げて説明する。
[画像処理装置の構成]
複合機1(本明細書でいう画像処理装置の一例に相当。)は、図1(A)に示すように、処理部11、読み取り部12、画像形成部13、補助記憶部14、操作部15、表示部16、及び通信部17等を備えている。処理部11は、周知のCPU、ROM、及びRAM等を備え、CPUがROMやRAMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実行することにより、複合機1の各部を制御する。読み取り部12は、読み取り対象物の画像を光学的に読み取って、読み取った画像を表す画像データを出力する。
画像形成部13は、電子写真方式又はインクジェット方式で被記録媒体に対して画像を形成する。補助記憶部14は、処理部11が備えるRAMよりも大容量の記憶装置(例えば、フラッシュメモリやハードディスク装置など。)によって構成されている。操作部15は、タッチパネル等によって構成され、利用者が複合機1に対して各種指令を与える際に利用者によって操作される。
表示部16は、液晶ディスプレイ等によって構成され、複合機1から利用者に対して提供される各種情報が表示される。また、操作部15においてタッチパネルを採用している場合には、タッチパネルが表示部16に重ねて配置され、タッチパネルの操作箇所を示すための画像(例えば、スイッチやボタンの画像。)などは表示部16に表示される。通信部17は、無線LANに対応した通信インターフェース装置、及び有線LANに対応した通信インターフェース装置によって構成されている。
また、複合機1は、図1(B)に示すように、フラットベッド(Flat Bed)部20を備えている。フラットベッド部20の上面には、プラテン21(本明細書でいう支持部の一例に相当。)が設けられている。プラテン21は、無色透明な板材(例えばガラス板、アクリル板など。)によって構成されている。このプラテン21の上面は、読み取り対象物を支持する支持面として利用される。
読み取り部12は、イメージセンサ23、ステッピングモータ25、ギヤ機構27、歯付きベルト29、及びキャリッジ31などによって構成される。イメージセンサ23は、一方向に配列された複数の受光素子を有する一次元イメージセンサであり、本実施形態の場合は、密着イメージセンサ(CIS;Contact Image Sensor)が採用されている。ステッピングモータ25、ギヤ機構27、歯付きベルト29、及びキャリッジ31は、イメージセンサ23を往復移動させる駆動機構を構成している。この駆動機構は、イメージセンサ23における受光素子の配列方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向を副走査方向として、イメージセンサ23をプラテン21に沿って副走査方向へ往復移動させる。
より詳しくは、ステッピングモータ25は、ギヤ機構27を介して歯付きベルト29を駆動する。歯付きベルト29は、副走査方向に延在する無端ベルトである。この歯付きベルト29にはキャリッジ31が連結されている。キャリッジ31は、副走査方向へ延びる軸状又はレール状に形成されたガイド部33によって支持されている。
歯付きベルト29が順方向(図1(B)中における反時計回り方向。)へ循環駆動されると、キャリッジ31はガイド部33に沿って副走査方向へ往動(図1(B)中における左から右へ移動。)する。歯付きベルト29が逆方向(図1(B)中における時計回り方向。)へ循環駆動されると、キャリッジ31はガイド部33に沿って副走査方向へ復動(図1(B)中における右から左へ移動。)する。イメージセンサ23は、キャリッジ31に搭載され、キャリッジ31とともに副走査方向へ移動する。
プラテン21の周囲には、トップカバー35が設けられている。トップカバー35には、原点位置を示すマーク37が設けられている。プラテン21上に長方形の原稿を載置する際には、プラテン21上においてマーク37が付された角に原稿の角を合わせることに
より、原稿の位置決めを行うことができる。なお、トップカバー35には、読み取りサイズ(A4,LTR,B5JIS等。)の目安を示すための目盛りなども刻設されている。また、本実施形態では、図1(B)におけるプラテン21の左上の角を原点位置としたが、他の位置を原点位置、例えば、右下の角を原点位置としてもよい。
[IDコピー機能の概要]
次に、複合機1が備えるIDコピー機能について説明する。
IDコピー機能は、各種IDカードが有する二つの面の画像をそれぞれ読み取り、それら二つの画像が単一の画像形成領域内に原寸大で並べられた画像を生成する。そして、その生成された画像を印刷出力ないしは印刷又は表示可能なファイルとして出力する(画像形成する)機能である。IDコピー機能による処理対象として想定される各種IDカードとしては、例えば、自動車運転免許証、健康保険証、パスポート、その他身分証明書として利用可能な各種カード類を例示することができる。ただし、これら以外の読み取り対象物であっても、IDコピー機能による画像の読み取り、及び画像形成を実行することはできる。
また、IDカードが有する二つの面としては、カードの表面と裏面を想定している。ただし、複数ページある身分証明書の場合、任意に二面を選択してIDコピー機能による処理対象とすることもできる。あるいは、二枚のカードそれぞれの表面を対象とすることもできる。
以下、図2(A)及び図2(B)に例示するようなIDカード41を想定して説明を続ける。ここで例示するIDカード41としては、一方の面に顔写真が含まれているものを想定している。そこで、以下の説明では、便宜的に、顔写真がある方の面を表面41A(図1(A)参照。)と称し、その裏側にある面を裏面41B(図1(B)参照。)と称することにする。
IDカード41は、「ISO/IEC 7810」で規定された「ID−1」に準拠したカードであり、そのカードサイズは85.60×53.98mmと規定されている。本実施形態の場合、複合機1のIDコピー機能は、「ID−1」準拠のIDカードを読み取り対象としており、詳しくは後述するが、上記カードサイズを考慮して画像の読み取り範囲が設定される。
ただし、画像の読み取り範囲のサイズを「ID−1」準拠のカードサイズに対応するサイズとするか否かは任意であり、画像の読み取り範囲のサイズは、他のカードサイズに対応したサイズとされてもよい。例えば、上記「ISO/IEC 7810」では「ID−1」以外に「ID−2(105mm×74mm)」、「ID−3(125mm×88mm)」などのサイズも規定されているので、これらのサイズを考慮して画像の読み取り範囲が設定されてもよい。あるいは、これらのサイズ以外のサイズに対応していてもよい。また、このように複数のカードサイズそれぞれの利用が想定される場合には、複数のカードサイズのいずれを利用したいのかについて、利用者が任意に選択できるように構成されていてもよい。
IDコピー機能を利用して、IDカード41のコピー画像を印刷出力すると、図2(C)及び図2(D)に例示するように、被記録媒体50(例えばカット紙。)の一面に、IDカード41の表面41Aの画像51Aと裏面41Bの画像51Bが、原寸大で印刷出力される。詳しくは後述するが、図2(C)に例示する印刷物と図2(D)に例示する印刷物とでは、二つの画像51A,51Bの配置された位置(レイアウト)が相違しており、どちらのレイアウトを利用するかは、複合機1においてIDコピー機能を利用する際に利用者が任意に選択可能に構成されている。
図2(C)に例示する印刷物の場合、被記録媒体50の一面は、一点鎖線で示す位置において二等分され、分割された二つの領域のうち、一方の領域の中央に画像51Aが形成され、他方の領域の中央に画像51Bが形成されている。また、図2(D)に例示する印刷物の場合、被記録媒体50の一面は、一点鎖線で示す位置において三等分され、分割された三つの領域のうち、上から一番目の領域の中央に画像51Aが形成され、上から二番目の領域の中央に画像51Bが形成されている。
さらに、詳しくは後述するが、複合機1は、図2(C)及び図2(D)に例示したレイアウト以外のレイアウトで画像を形成することもできる。ただし、いずれのレイアウトを選択した場合でも、画像51A及び画像51Bは原寸大で形成(印刷)される。換言すれば、画像51Aと画像51Bとの間にある余白のサイズや、画像51A及び画像51Bの周囲にある余白のサイズは、画像51A及び画像51Bの位置及びサイズと被記録媒体50のサイズとに応じて変動することになる。
IDコピー機能を利用する際には、先にIDカード41の表面41Aの画像を読み取り、続いてIDカード41の裏面41Bの画像を読み取る。IDカード41の表面41Aの画像を読み取る際には、図3(A)に示すように、プラテン21上においてマーク37が付された角に、IDカード41の角を合わせることにより、IDカード41の位置決めを行う。このときプラテン21には、IDカード41の表面41Aを接触させる(すなわち、利用者から見えるIDカード41の向きは裏面41Bが見える向きにされる。)。また、IDカード41の上下方向が正しい向きとなるように、マーク37が位置する角にIDカード41の角を合わせるよう、表示部16により利用者に報知する等のガイダンス機能を備えていてもよい。この状態において、複合機1は、事前の設定に基づいて、主走査方向については範囲RM1、副走査方向については範囲RS1を読み取り範囲と認識し、読み取り処理を実行する。なお、範囲RM1、及び範囲RS1は、図3(A)において、破線で示される領域の長さにそれぞれ対応している。
これらの範囲RM1及び範囲RS1の詳細については後述するが、範囲RM1のサイズは、IDカード41のカード長に対し、画像形成時に画像間の余白となる領域の余白長を加算したサイズとされる。また、範囲RS1は、IDカード41のカード幅に対し、若干の余裕を持たせるための寸法を加算したサイズとされる。若干の余裕を持たせるための寸法は任意であり、このような余裕がなくてもよければ「0mm」としてもよいし、カードサイズよりも数mm余分に読み取りたい場合は「数mm(例えば5mm)」とすればよい。また、このような寸法を利用者が任意に設定できるように構成されていてもよい。
続いて、IDカード41の裏面41Bの画像を読み取る際にも、図3(B)に示すように、プラテン21上においてマーク37が付された角に、IDカード41の角を合わせることにより、IDカード41の位置決めを行う。このときプラテン21には、IDカード41の裏面41Bを接触させる(すなわち、利用者から見えるIDカード41の向きは表面41Aが見える向きにされる。)。この状態において、複合機1は、事前の設定に基づいて、主走査方向については範囲RM2、副走査方向については範囲RS1を読み取り範囲と認識し、読み取り処理を実行する。
これらの範囲RM2及び範囲RS1の詳細については後述するが、範囲RM2のサイズは、IDカード41のカード長に対し、若干の余裕を持たせるための寸法を加算したサイズとされる。また、範囲RS1は、IDカード41のカード幅に対し、若干の余裕を持たせるための寸法を加算したサイズとされる。若干の余裕を持たせるための寸法は上述の通り、「0mm」としてもよいし「数mm」としてもよい。また、このような寸法を利用者が任意に設定できるように構成されていてもよい。
被記録媒体50に二つの画像51A,51Bが形成される際には、上述のRM1×RS1の範囲を読み取ることによって得られた画像(以下、画像Aとも称する。)と、上述のRM2×RS1の範囲を読み取ることによって得られた画像(以下、画像Bとも称する。)とに基づき、これら画像A及び画像Bを隙間無く並べることによって構成される画像(以下、画像Cとも称する。)が生成される。処理部11が備えるRAM内には、上述の画像A、画像B、及び画像Cそれぞれを格納可能なイメージバッファが確保され、このイメージバッファ上で画像Cが生成される。そして、この画像Cが、例えば、被記録媒体50に対して印刷出力される。
このとき、被記録媒体50において画像51Aと画像51Bとの間に確保される余白は、上述の範囲RM1に応じた余白長となる。また、画像51A及び画像51Bの周囲に確保される余白は、画像51A及び画像51Bの位置及びサイズと被記録媒体50のサイズとに応じて決まる。以下、これらの事項を図4(A)及び図4(B)に基づいて説明する。
まず、図4(A)及び図4(B)に示す例は、被記録媒体50の一面が二等分され、分割された二つの領域のうち、一方の領域の中央に画像51Aが形成され、他方の領域の中央に画像51Bが形成される例である。このような画像を形成するに当たっては、まず、画像の読み取りを行う段階で、範囲RM1,RM2,RS1が決定される。これら範囲RM1,RM2,RS1は、カード幅CX1及びカード長CY1に基づいて算出される。
具体的には、読み取り領域の範囲RS1は、カード幅CX1に対して若干の余裕(利用者が任意に指定可能な余裕量;ここでは仮に余裕量5mmとする。)を持たせて、範囲RS1=CX1+余裕量5mmとされる。また、読み取り領域の範囲RM2は、カード長CY1に対して若干の余裕(利用者が任意に指定可能な余裕量;ここでは仮に余裕量5mmとする。)を持たせて、範囲RM2=CY1+余裕量5mmとされる。
一方、範囲RM1は、画像51Aと画像51Bとの間に設けられる余白長に応じた値とされ、この余白長は、用紙長PY1及びカード長CY1に応じて決まる。具体的には、まず、用紙長PY1は利用者設定又は実際に利用する用紙サイズの検出結果に応じて決まる。例えば、利用者が出力用紙として「A4」を選択している場合、あるいは、複合機1にセットされている出力用紙が「A4」であると検出された場合、用紙長PY1は「297mm」と決まる。また、カード長CY1は、本実施形態の場合は「ID−1」準拠なので「53.98mm」と決まる。
これらの値に基づき、二等分された各領域長AY1はAY1=PY1/2であり、二等分された各領域内において、画像51A,51Bそれぞれの上下に確保される余白長SY1は、SY1=(AY1−CY1)/2=(PY1/2−CY1)/2となる。画像51Aと画像51Bとの間には、図4(B)に示す通り、上述のような余白長SY1の領域が二つ分ある。よって、これら二つ分の余白長SY1×2とカード長CY1とに基づき、範囲RM1=CY1+SY1×2=CY1+(PY1/2−CY1)/2×2が決まる。
以上のようにして、範囲RS1,RM1,RM2が決まれば、原点位置(プラテン21の角。)を基準とした読み取り範囲が確定し、画像51Aと画像間の余白とを含む画像Aと、画像51Bを含む画像Bとを、それぞれ読み取ることができる。
一方、以上のような画像A,Bの読み取りが行われた後、被記録媒体50に対して画像51A,51Bを形成する段階では、横方向及び縦方向の印刷位置が決定される。まず、横方向の印刷位置については、図4(A)に示すように、用紙幅PX1及びカード幅CX
1に基づいて、左右余白幅SX1=(PX1−CX1)/2が算出される。
これらのうち、用紙幅PX1は、利用者設定又は実際に利用する用紙サイズの検出結果に応じて決まる。例えば、利用者が出力用紙として「A4」を選択している場合、あるいは、複合機1にセットされている出力用紙が「A4」であると検出された場合、用紙幅PX1は「210mm」と決まる。また、カード幅CX1は、本実施形態の場合は「ID−1」準拠なので「85.60mm」と決まる。よって、左右余白幅SX1は、SX1=(210−85.60)/2mm=62.2mmと決まる。なお、読み取り領域の範囲RS1は、カード幅CX1に対して若干の余裕(ここでは仮に5mmの余裕分とする。)が持たせてあるので、この場合、左の余白幅はSX1−余裕分5mm、右の余白幅はSX1に調節される。
また、縦方向の印刷位置については、図4(B)に示すように、まず、用紙長PY1及びカード長CY1に基づいて、既に説明したような余白長SY1=(PY1/2−CY1)/2が決まる。これらのうち、用紙長PY1は、利用者設定又は実際に利用する用紙サイズの検出結果に応じて決まる。例えば、利用者が出力用紙として「A4」を選択している場合、あるいは、複合機1にセットされている出力用紙が「A4」であると検出された場合、用紙長PY1は「297mm」と決まる。また、カード長CY1は、本実施形態の場合は「ID−1」準拠なので「53.98mm」と決まる。余白長SY1は、SY1=(297−53.98)/2mm=121.51mmと決まる。なお、読み取り領域の範囲RM2は、カード長CY1に対して若干の余裕(ここでは仮に5mmの余裕分とする。)が持たせてあるので、この場合、画像51Aの上の余白長はSY1、画像51Bの下の余白長はSY1−余裕分5mmに調節される。
以上説明した通り、複合機1においてIDコピー機能を利用する際には、上述のような手法で読み取りの範囲RM1,RM2,RS1や、被記録媒体50における画像51A,51Bの形成位置が設定されることになる。
ところで、図4(A)及び図4(B)に示した例は、画像形成領域を二等分して、分割された各領域の中央に画像51A,51Bを形成する例であったが、このようなレイアウト以外のレイアウトで被記録媒体50に画像を形成することもできる。どのようなレイアウトを利用するかは、既に説明した通り、利用者が任意に選択できる。
例えば、図5(A)及び図5(B)に示す例のように、画像形成領域を三等分して、分割された各領域の中央に画像51A,51Bを形成することもできる。図5(A)は三分割された画像形成領域において図中上から一番目の領域と図中上から二番目の領域に画像が配置される例である。図5(B)は三分割された画像形成領域において図中上から一番目の領域と図中上から三番目の領域に画像が配置される例である。図示は省略するが、三分割された画像形成領域において図中上から二番目の領域と図中上から三番目の領域に画像を配置することもできる。これらいずれの場合であっても、画像形成領域を二等分した場合と同様の手法で、用紙長PY1を三等分した寸法AY2=PY1/3や、余白長SY2=(AY2−CY1)/2等を求め、読み取りの範囲RM4=CY1+SY2+SY2や、範囲RM5=CY1+SY2+AY2+SY2、あるいは被記録媒体50における画像51A,51Bの形成位置などを算出、決定することができる。
また、例えば、図6に示す例のように、画像形成領域を四等分して、分割された各領域の中央となる箇所561,562,563,564に画像を形成することもできる。この場合でも、画像形成領域を二等分した場合と同様の手法で、用紙長PY1を四等分した寸法AY3=PY1/4や、余白長SY3=(AY3−CY1)/2等を求め、これらを組み合わせて、読み取りの範囲や被記録媒体50における画像の形成位置を算出、決定する
ことができる。
以上の例は、被記録媒体50としてA4用紙を想定した例であり、かつIDカード41のサイズが「ID−1」準拠を想定した例である。そのため、IDカード41を原寸大でコピーし、かつ被記録媒体50を一方向についてn等分(ただしnは2以上の整数。)するには、四等分が上限となる。ただし、被記録媒体50としてはA4用紙よりもサイズの大きい用紙を選択することができるので、その場合は五等分以上の分割をしても問題ない。また、IDカード41のサイズが「ID−1」準拠より小さい設定であれば、被記録媒体50としてA4用紙を選択した場合でも、五等分以上の分割が可能である。
このように画像形成領域をn等分(ただしnは2以上の整数。)して、分割された領域の中央に画像51A,51Bを形成すると、被記録媒体50を二つ折り、三つ折り、四つ折りするような場合に、画像51A,51Bと折り目が重ならず、便利である。例えば、被記録媒体50を三つ折りにして封筒に入れるような場合には、画像形成領域を三等分して、分割された領域の中央に画像51A,51Bを形成することにより、画像51A,51Bが折れ曲がらないようにすることができる。複合機1においては、IDコピー機能を利用する際の設定項目として、折り目数を選択又は入力することができ、後述する処理では、折り目数nに応じて画像形成領域をn等分する。
さらに、上述の各例は、いずれも画像形成領域をn等分する例であったが、複合機1では、画像51A,51B間に形成される余白のサイズを、用紙サイズに対する相対値として算出するのではなく、絶対値で余白のサイズを設定することもできる。このような絶対値は、あらかじめ用意されているいくつかの絶対値のいずれかを選択できるように構成されていてもよいし、利用者が任意に絶対値を入力できるように構成されていてもよい。
例えば、図7に示す例は、画像51A,51B間に形成される余白のサイズSY4が、被記録媒体50の用紙サイズとは無関係に特定の値にされる例である。この例では、画像51A,51B間に跨がる位置に、スタンプによる印影58を付すことができるようにするため、余白のサイズSY4が印影58の直径よりも狭い寸法とされている。このように余白のサイズSY4が特定の値に決まっている場合でも、読み取りの範囲RM6=CY1+SY4や、上下の余白長SY5=(PY1−(CY1+SY1+CY1))/2を算出、決定することができる。
[IDコピー処理]
次に、上述のようなIDコピー機能を実現するために複合機1において実行されるIDコピー処理について、図8(A),図8(B),図9,及び図10に示すフローチャートに基づいて説明する。図8(A)に示すIDコピー処理は、複合機1の操作部15においてIDコピー機能の実行開始を指示する入力操作がなされた場合に、複合機1の処理部11(厳密には処理部11が備えるCPU。以下、単に処理部11という。)によって実行される。
IDコピー処理を開始すると、処理部11は、図8(A)に示すように、まず設定処理を実行する(S1)。設定処理の詳細は、図8(B)に示すような処理となる。すなわち、設定処理を開始すると、処理部11は、利用者入力の内容を判定し(S11)、その判定結果に応じた処理を実行する。
具体的には、S11において、利用者入力が用紙サイズを設定する入力であった場合(S11:用紙サイズ)、処理部11は、以降の処理において使用することとなる用紙サイズを利用者入力による指示通りに設定し(S12)、S11へと戻る。S11では、用紙サイズを選択する旨の利用者入力を行うと、表示部16に用紙サイズに関する複数の選択
肢(例えば、A3,B4,A4,LTR,B5など。)を表示する。そして、それらの選択肢のいずれかを操作部15での利用者入力によって選択するとS12へと進む。S12では、S11においていずれかの用紙サイズが選択されているので、そのような用紙サイズが選択された旨の情報をメモリに記憶する。
また、S11において、利用者入力が余白量を設定する入力であった場合(S11:余白量)、処理部11は、以降の処理において使用することとなる余白量を利用者入力による指示通りに設定し(S13)、S11へと戻る。S11では、余白量を選択する旨の利用者入力を行うと、表示部16に用紙サイズに関する複数の選択肢を表示する。本実施形態の場合、余白量としては「自動」、「余白量1」、「余白量2」の3種のモードを選択することができる。
「自動」は、図4(A),図4(B),図5(A),図5(B),及び図6に例示したように、折り目数nの設定に応じて画像形成領域をn等分するモードである。一方、「余白量1」、「余白量2」は、図7に例示したように、画像51Aと画像51Bとの間の余白サイズを、あらかじめ定められた所定のサイズ、もしくは、利用者が任意に指定するサイズにするモードである。「余白量1」と「余白量2」とでは、あらかじめ異なる余白サイズが設定されているか、利用者が任意に指定する2通りの余白サイズをそれぞれ「余白量1」と「余白量2」として記憶可能に構成されている。
上記のような選択肢のいずれかを操作部15での利用者入力によって選択するとS13へと進む。S13では、S11においていずれかの余白量が選択されているので、そのような余白量が選択された旨の情報をメモリに記憶する。
また、S11において、利用者入力が折り目数を設定する入力であった場合(S11:折り目数)、処理部11は、以降の処理において使用することとなる折り目数を利用者入力による指示通りに設定し(S14)、S11へと戻る。S11では、折り目数を選択する旨の利用者入力を行うと、表示部16に折り目数に関する複数の選択肢を表示する。本実施形態の場合、折り目数「2」、「3」、「4」を選択することができる。ただし、既に説明した通り、用紙サイズと読み取り対象物のサイズとの関係によっては折り目数として「5以上」を選択することも可能なので、用紙サイズと読み取り対象物のサイズの設定に連動して、折り目数の選択肢の上限値が動的に変更されるように構成してあってもよい。
また、折り目数「3」、「4」(もしくは5以上。)を選択した場合は、二つの画像をn分割された領域の何番目に配置するのかについても、その選択肢を表示部16に表示する。以上のような項目それぞれにおいて選択肢のいずれかを操作部15での利用者入力によって選択するとS14へと進む。S14では、S11においていずれかの折り目数(及び画像の配置位置。)が選択されているので、そのような折り目数(及び画像の配置位置。)が選択された旨の情報をメモリに記憶する。
なお、折り目数の設定は、余白量の設定が「自動」の場合に有効となる。そのため、余白量の設定が「自動」以外になっている場合は、折り目数に関する設定項目をグレーアウト(淡色表示に変更)し、折り目数に関する入力操作を受け付けないようにしてもよい。ただし、折り目数に関する設定項目をグレーアウトした場合でも、更に追加操作によって余白量の設定が「自動」にされることもあり得る。よって、グレーアウト直前の設定内容はそのまま保持し、追加操作によって余白量の設定が「自動」にされたときの設定内容は、保持していた設定内容を追加操作時点での初期値とすればよい。
S11において、利用者入力がコピー開始を指示する入力であった場合は(S11:コ
ピー開始)、図8(B)に示す設定処理を終了して図8(A)のS2へと進み、処理部11は、読み取り処理を実行する(S2)。読み取り処理の詳細は、図9に示すような処理となる。すなわち、読み取り処理を開始すると、処理部11は、表示部16にメッセージ等を表示することにより、IDカード41の表面41Aをセットするよう案内する(S21)。ここで、利用者が案内に従ってIDカード41の表面41Aをプラテン21にセットし、セットが完了した旨の利用者入力がなされたら(例えば操作部15でOKボタンが押されたら)、S22へと進む。
続いて、処理部11は、余白量の設定が「自動」か「余白量1」か「余白量2」かを判断する(S22)。S22において、余白量の設定が「自動」である場合(S22:自動)、処理部11は、設定された用紙長及び折り目数に応じて主走査方向の読み取り領域長を算出する(S23)。このS23では、図4(B)に示した範囲RM1、図5(A)に示した範囲RM4、あるいは図5(B)に示した範囲RM5等のように、画像間の余白となる領域の余白長が、画像形成領域のサイズ、IDカード41のサイズ、及び折り目数に基づいて算出され、その算出値をIDカード41のカード長に加算したサイズが算出される。
また、S22において、余白量の設定が「余白量1」である場合(S22:余白量1)、処理部11は、設定された用紙長及び余白量1に応じて主走査方向の読み取り領域長を算出する(S24)。このS24では、図7に示した範囲RM6等のように、画像間の余白となる領域の余白長が、あらかじめ設定されたサイズ(又は利用者が任意に指定するサイズ)とされ、そのサイズをIDカード41のカード長に加算したサイズが算出される。
また、S22において、余白量の設定が「余白量2」である場合(S22:余白量2)、処理部11は、設定された用紙長及び余白量2に応じて主走査方向の読み取り領域長を算出する(S25)。このS25では、S24と同様の手法で読み取り領域長を算出する。ただし、余白量2は、余白量1とは異なるサイズが、あらかじめ設定されるか利用者によって任意に指定され得る。
以上のようなS23,S24,又はS25のいずれかを終えたら、続いて、処理部11は、算出結果に基づき、主走査方向は読み取り領域長、副走査方向はカード長+α(αは上述した「若干の余裕を持たせるための寸法」。)となる範囲の画像を読み取り、表面+余白の画像A(上述のRM1×RS1の範囲を読み取ることによって得られる画像。)を生成する(S26)。
続いて、処理部11は、表示部16にメッセージ等を表示することにより、IDカードの裏面をセットするよう案内する(S27)。ここで、利用者が案内に従ってIDカード41の裏面41Bをプラテン21にセットし、セットが完了した旨の利用者入力がなされたら(例えば操作部15でOKボタンが押されたら)、S28へと進む。
次に、処理部11は、主走査方向はカード幅+β(βは上述した「若干の余裕を持たせるための寸法」。)、副走査方向はカード長+α(αは上述した「若干の余裕を持たせるための寸法」。)となる範囲の画像を読み取り、裏面の画像Bを生成する(S28)。
S28を終えたら、図9に示す読み取り処理を終了して図8(A)のS3へと進み、処理部11は、画像形成処理を実行する(S3)。画像形成処理の詳細は、図10に示すような処理となる。すなわち、画像形成処理を開始すると、処理部11は、給紙を開始して、被記録媒体50のサイズを検知する(S31)。S31で検知する被記録媒体50のサイズは、被記録媒体50の搬送方向のサイズである。S31では、被記録媒体50のサイズを実際に検知してもよいし、被記録媒体50のサイズを推定してもよい。
被記録媒体50のサイズを実際に検知する場合は、例えば、搬送経路に沿って搬送される被記録媒体50の搬送方向先端及び末端をセンサで検知し、その検知タイミングと搬送量とに基づいて搬送方向先端と末端との間の距離を算出する。被記録媒体50のサイズを推定する場合は、まずは、被記録媒体50の幅方向(搬送方向に直交する方向。)の寸法をセンサで検知するか、被記録媒体50の搬送方向を規制するサイドガイド(図示略。)の位置に基づいて被記録媒体50の幅方向の寸法を推定する。そして、被記録媒体50の幅方向の寸法に基づいて被記録媒体50の搬送方向の寸法を推定する。例えば、被記録媒体50の幅方向の寸法がA4相当(210mm)である場合、その幅方向寸法に基づいて被記録媒体50の搬送方向の寸法もA4相当(297mm)と推定する。
S31を終えたら、処理部11は、S31において検知(又は推定)した被記録媒体50のサイズが、S12で選択された用紙サイズの設定と一致するか否かを判断する(S32)。また、S32において上記二つのサイズが一致しないと判断された場合(S32:NO)、処理部11は、S13で選択された余白量の設定が「自動」、「余白量1」、「余白量2」のいずれであるのかを判断する(S33)。
これらS32又はS33の判断において、上記二つのサイズが一致する場合(S32:YES)、あるいはS13で選択された余白量の設定が「余白量1」又は「余白量2」であった場合(S33:余白量1,余白量2)、処理部11は、上述の画像Aと画像Bを結合し、印刷用の画像Cを生成する(S34)。
一方、S13で選択された余白量の設定が「自動」であった場合(S33:自動)、処理部11は、S31において検知(又は推定)した被記録媒体50のサイズと、S12において設定された被記録媒体50のサイズに応じて、画像間の余白部分のサイズを再設定し、再設定された画像Aと画像Bを結合し、印刷用の画像Cを生成する(S35)。
画像間の余白部分は、画像Aに含まれている。この画像Aに含まれる余白のサイズは、S12において設定された被記録媒体50のサイズに適したサイズとなっている。しかし、S32において上記二つのサイズが一致しないと判断された場合(S32:NO)、画像Aに含まれる余白のサイズは、S31において検知(又は推定)した被記録媒体50のサイズには適していないことになる。そこで、S35では、画像間の余白のサイズが、S31において検知(又は推定)した被記録媒体50のサイズに適したサイズとなるように、画像Aに含まれる余白のサイズが増減調整される。
こうしてS34又はS35のいずれかを終えたら、続いて、処理部11は、画像Cを被記録媒体に印刷する(S36)。S36を終えたら、図10に示す画像形成処理を終了して図8(A)に示すIDコピー処理を終了する。
[効果]
このように構成された複合機1によれば、処理部11が図10に示す画像形成処理を実行することにより、被記録媒体50の一面(画像形成領域内)には、S26(本明細書でいう第一読み取り処理の一例に相当。)によって読み取られた第一の画像51Aと、S28(本明細書でいう第二読み取り処理の一例に相当。)によって読み取られた第二の画像51Bが、原寸大で形成される。
しかも、処理部11がS13(本明細書でいう余白サイズ設定処理の一例に相当。)を実行することにより、第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間に設けられる余白のサイズが、複数通りのサイズのいずれかに設定される。その後、S22〜S25が実行されることにより、図10に示す画像形成処理では、S13により設定された余白のサイズに
基づいて、当該サイズの余白が第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間に設けられる。
したがって、余白のサイズを変更不能な技術や、第一の画像51A、第二の画像51B、及び余白を含む全体のサイズが拡大・縮小される技術等とは異なり、画像形成領域内で余白を好適なサイズに調節しつつ、第一の画像51A及び第二の画像51Bを原寸大で形成することができる。よって、例えば、第一の画像51A及び第二の画像51Bのサイズを変更しなくても、余白のサイズを調節することによって、第一の画像51A、第二の画像51B、及び余白を含む全体を画像形成領域内に収めることも可能となる。また、例えば、使用目的等に合わせて、より好適な余白のサイズを設定し、第一の画像51A及び第二の画像51Bを画像形成領域内において所望の位置に配置することができる。
特に、本実施形態の複合機1の場合、処理部11は、S23〜S25(本明細書でいう読み取りサイズ算出処理の一例に相当。)により、第一の画像51Aのサイズ、及びS13によって設定された余白のサイズに基づいて、S26における読み取りサイズを算出する。そして、S26においては、S23〜S25によって算出された読み取りサイズの範囲内を読み取り対象として画像を読み取ることにより、第一の画像51Aに加えて余白となる画像である余白画像をも読み取り、図10に示す画像形成処理においては、第一の画像51A及び余白画像を形成し、余白画像と隣接する位置に第二の画像51Bを形成することにより、第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間に余白が設けられる。したがって、S26を実行するだけで、第一の画像51A及び余白画像を一括で得ることができるので、第一の画像51Aを読み取る処理とは別に、余白画像を作成する処理を実行しなくても済む。
また、本実施形態の複合機1の場合、S26において、主走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第一の画像51A及び余白のサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされ、副走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第一の画像51Aのサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされる。したがって、画像形成には不要な領域を冗長に読み取るように構成されている場合に比べ、読み取り処理で必要なメモリを削減することができる。
また、本実施形態の複合機1の場合、S28において、主走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第二の画像51Bのサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされ、副走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第二の画像51Bのサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされる。
したがって、画像形成には不要な領域を冗長に読み取るように構成されている場合に比べ、読み取り処理で必要なメモリを削減することができる。
また、本実施形態の複合機1の場合、S13(本明細書でいう余白サイズ選択処理の一例に相当。)では、余白のサイズに関する複数の選択肢があらかじめ用意され、複数の選択肢の中から利用者操作によって指定される一つの選択肢を選択することができる。したがって、第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間に設けられる余白のサイズを、あらかじめ用意された選択肢の中から選ぶだけで容易に設定することができる。
また、本実施形態の複合機1の場合、S13では、選択肢として「自動(本明細書でいう第一の選択肢の一例に相当。)」及び「余白量1(本明細書でいう第二の選択肢の一例に相当。)」が含まれる。これらは、いずれが選択された場合であっても、画像形成領域が例えば2個の領域に分割され、それら分割後の領域である2個の分割領域のうち、隣り
合う位置にある二つの分割領域の一方に第一の画像51Aが形成されて他方に第二の画像51Bが形成される。第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間には、「自動」又は「余白量1」に対応するサイズの余白が設けられ、「余白量1」が選択された場合(図7参照。)には、「自動」が選択された場合(図4(B)参照。)に比べ、第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間に設けられる余白のサイズが小さくされる。したがって、例えば、第一の画像51Aと第二の画像51Bとの間に跨がるように印鑑(スタンプ)を押す必要がある場合等に便利である。
また、本実施形態の複合機1の場合、S12(本明細書でいう媒体サイズ選択処理の一例に相当。)では、被記録媒体50のサイズに関する複数の選択肢があらかじめ用意され、複数の選択肢の中から利用者操作によって指定される一つの選択肢を選択することができる。そして、画像を形成する際には、S12において選択された被記録媒体50のサイズに応じて、余白のサイズを最適にすることができる。
また、本実施形態の複合機1の場合、S31(本明細書でいう媒体サイズ検出処理の一例に相当。)によって被記録媒体50のサイズを検出することができ、S35により、検出された被記録媒体50のサイズに応じて、余白のサイズを最適にすることができる。
[補足]
以上、画像処理装置について、例示的な実施形態を挙げて説明したが、上述の実施形態は本発明の一態様として例示されるものに過ぎない。すなわち、本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内において、様々な形態で実施することができる。
例えば、上記実施形態では、図8(A)に示すIDコピー処理について、複合機1の操作部15においてIDコピー機能の実行開始を指示する入力操作がなされた場合に実行される旨を説明したが、他のイベントを契機にして実行されてもよい。例えば、複合機1に接続された他の機器(例えばPC(Personal Computer)。)からIDコピー機能の実行開始を指示するコマンドが送信され、そのコマンドを複合機1の通信部17において受信した場合に、IDコピー処理が実行されてもよい。
また、上記実施形態では、IDコピー機能による出力画像が、被記録媒体50に対して印刷出力される例を示したが、IDコピー機能による出力画像は、表示又は印刷可能なファイルに出力されてもよい。具体的には、例えばpdf(Portable Document Format)のような電子文書データ形式、あるいはTIFF(Tagged Image File Format)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)のような画像データ形式など、周知の各種データ形式でファイルを出力してもよい。
なお、以上説明した例示的な実施形態から明らかなように、本明細書で説明した画像処理装置は、更に以下に挙げるような構成を備えていてもよい。
まず、本明細書で説明した画像処理装置において、処理部は、第一の画像のサイズ、及び余白サイズ設定処理によって設定された余白のサイズに基づいて、第一読み取り処理における読み取りサイズを算出する読み取りサイズ算出処理を実行可能に構成され、第一読み取り処理においては、読み取りサイズ算出処理によって算出された読み取りサイズの範囲内を読み取り対象として画像を読み取ることにより、第一の画像に加えて余白となる画像である余白画像をも読み取り、画像形成処理においては、第一の画像及び余白画像を形成し、余白画像と隣接する位置に第二の画像を形成することにより、第一の画像と第二の画像との間に余白が設けられてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、第一読み取り処理において、第一の画像
に加えて余白画像をも読み取る。画像形成処理では、画像形成領域内に第一の画像及び余白画像が形成され、余白画像と隣接する位置に第二の画像が形成され、これにより、第一の画像と第二の画像との間に余白が設けられる。
したがって、第一読み取り処理を実行するだけで、第一の画像及び余白画像を一括で得ることができるので、第一の画像を読み取る処理とは別に、余白画像を作成する処理を実行しなくても済む。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、読み取り部は、一方向に配列された複数の受光素子を有し、受光素子が配列された方向を主走査方向、主走査方向に直交する方向を副走査方向として、支持部に沿って副走査方向へ移動しながら、受光素子によって第一の画像及び第二の画像それぞれを読み取り可能に構成され、第一読み取り処理において、主走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第一の画像及び余白のサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされ、副走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第一の画像のサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、第一読み取り処理において、第一の画像及び余白の形成に必要となる範囲だけを読み取ることができる。したがって、画像形成には不要な領域を冗長に読み取るように構成されている場合に比べ、読み取り処理で必要なメモリを削減することができる。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、第二読み取り処理において、主走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第二の画像のサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされ、副走査方向については、あらかじめ定められた原点の位置と、当該原点の位置から第二の画像のサイズ分だけ離間した位置との間の範囲が読み取り対象とされてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、第二読み取り処理において、第二の画像の形成に必要となる範囲だけを読み取ることができる。したがって、画像形成には不要な領域を冗長に読み取るように構成されている場合に比べ、読み取り処理で必要なメモリを削減することができる。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、処理部は、余白のサイズに関する複数の選択肢があらかじめ用意され、複数の選択肢の中から利用者操作によって指定される一つの選択肢を選択する余白サイズ選択処理を実行可能に構成され、余白サイズ設定処理においては、余白サイズ選択処理において選択された一つの選択肢に対応する余白のサイズが設定されてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、第一の画像と第二の画像との間に設けられる余白のサイズを、あらかじめ用意された選択肢の中から選ぶだけで容易に設定することができる。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、余白サイズ選択処理において、複数の選択肢には、少なくとも第一の選択肢及び第二の選択肢が含まれ、第一の選択肢及び第二の選択肢のいずれが選択された場合であっても、画像形成処理においては、画像形成領域がn個(ただしnは2以上の整数。)の領域に分割され、それら分割後の領域であるn個の分割領域のうち、隣り合う位置にある二つの分割領域の一方に第一の画像が形成されて他方に第二の画像が形成され、それら第一の画像と第二の画像との間に、余白サイズ選択処理において選択された一つの選択肢に対応するサイズの余白が設けられ、第二の選択
肢が選択された場合には、第一の選択肢が選択された場合に比べ、第一の画像と第二の画像との間に設けられる余白のサイズが小さくされてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、第二の選択肢が選択された場合には、第一の選択肢が選択された場合に比べ、第一の画像と第二の画像が近接した位置に形成される。そのため、例えば、第一の選択肢を選択すれば、第一の画像と第二の画像との間に十分な余白を設けることができる。また、第二の選択肢を選択すれば、第一の選択肢を選択した場合に比べ、第一の画像と第二の画像をより近づけた位置に形成することができる。したがって、例えば、第一の画像と第二の画像との間に跨がるように印鑑(スタンプ)を押す必要がある場合等に便利である。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、画像形成領域となる面を有する被記録媒体に対して画像を形成可能な画像形成部を備えており、処理部は、画像形成処理においては、画像形成部によって被記録媒体に第一の画像及び第二の画像を形成してもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、画像形成部によって被記録媒体に第一の画像及び第二の画像を形成することができる。その際、第一の画像及び第二の画像の双方が被記録媒体に収まるようなサイズの余白を、第一の画像と第二の画像との間に設けることができる。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、処理部は、被記録媒体のサイズに関する複数の選択肢があらかじめ用意され、複数の選択肢の中から利用者操作によって指定される一つの選択肢を選択する媒体サイズ選択処理を実行可能に構成され、画像形成処理において、媒体サイズ選択処理において選択された被記録媒体のサイズに応じて、余白のサイズを設定可能に構成されていてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、媒体サイズ選択処理において選択された被記録媒体のサイズに応じて、余白のサイズを最適にすることができる。
また、本明細書で説明した画像処理装置において、処理部は、被記録媒体のサイズを検出する検出処理を実行可能に構成され、画像形成処理においては、検出処理によって検出された被記録媒体のサイズに応じて、余白のサイズを設定可能に構成されていてもよい。
このように構成された画像処理装置によれば、検出部によって検出された被記録媒体のサイズに応じて、余白のサイズを最適にすることができる。