以下、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更実施の形態が可能である。
本発明の感熱発色性積層体は、基材層と、基材層の少なくとも一方に、下地インキを含む白色下地層と、感熱発色インキを含む感熱発色層と、オーバーコート剤を含むオーバーコート層と、をこの順に設けた感熱発色性積層体であって、前記下地インキが水不溶性熱可塑性樹脂と白色の色材とを含有し、前記感熱発色インキが塩基性ロイコ染料と電子受容性顕色剤と水不溶性熱可塑性樹脂と炭化水素系溶剤とを含有し、前記オーバーコート剤が水不溶性熱可塑性樹脂と炭化水素系溶剤とを含有し、前記白色下地層、前記感熱発色層、前記オーバーコート層が、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式から選ばれる少なくとも1つによる形成層であることが好ましい。
白色下地層は、水不溶性熱可塑性樹脂と白色の色材とを含有する下地インキを含む形成層である。下地インキ中に含有される白色の色材は、5〜50質量%であることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
白色の色材は、特に制限はなく、基材層を白色様にするものであればよい。白色様にすることで、感熱発色層の記録情報の視認性が向上する。特に、白色顔料であることが好ましい。白色顔料は、酸化チタンが好ましいが、これ以外の白色顔料であってもよい。酸化チタンは、アナタース型でもルチル型でもよい。
水不溶性熱可塑性樹脂としては、ハロゲン化ビニル系樹脂(例えば、塩化ビニル系樹脂、フッ素含有ビニル系樹脂など)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリルスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリブチラール樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられる。
下地インキ中に含有される水不溶性熱可塑性樹脂は、2〜60質量%であることが好ましく、3〜50質量%であることがより好ましく、5〜40質量%であることがさらに好ましい。2質量%より少ないと、分散が困難となる。60質量%を超えると、流動性が劣る。
さらに、下地インキ中には、通常印刷インキに使用される有機溶剤が含まれることが好ましい。有機溶剤としては、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、ノルマルプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶剤、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸tert−ブチルなどのエステル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系溶剤およびこれらのエステル化物が挙げられ、エステル化物としては主にアセテート化したものが選ばれ、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどが挙げられる。下地インキ中において、有機溶剤の含有量は、30〜99質量%であり、40〜90質量%であることがより好ましい。
下地インキとしては、水不溶性熱可塑性樹脂および酸化チタンを十分含有し、分散性が良好な市販インキが使用できる。例えばLG−FK白、TPH白、LG−NT白、NOPL白、NT−VESTA白(以上、東京インキ(株)製)などとして入手できる。
白色下地層の塗布量は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.2〜4μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。5μmを超えると、ブロッキングしやすくなる。0.1μmより少ないと、白色度が劣り、視認性が低下する。
白色下地層は、感熱発色層の記録情報の視認性を向上させるだけではなく、基材層と感熱発色層との密着を向上させる効果もある。感熱発色層と、密着が劣る基材層であっても、白色下地層を介することによって、密着が向上する。
感熱発色層は、塩基性ロイコ染料と電子受容性顕色剤と水不溶性熱可塑性樹脂と炭化水素系溶剤とを含有する感熱発色インキを含む形成層である。
塩基性ロイコ染料としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、トリフェニルメタン系ロイコ染料、フルオラン系ロイコ染料、ジビニル系ロイコ染料などが好ましい。以下に、代表的な無色ないし淡色の塩基性無色染料の具体例を示す。また、これらの塩基性ロイコ染料は、一種類以上または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
トリフェニルメタン系ロイコ染料としては、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド[別名クリスタルバイオレットラクトン]、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)フタリド[別名マラカイトグリーンラクトン]、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジエチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3,3−ビス(p−ジブチルアミノフェニル)フタリドなどが挙げられる。
フルオラン系ロイコ染料としては、3−ジエチルアミノ−6−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,8−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−4’−トルイジノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−フルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−(o,p−ジメチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−n−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(m−メチルアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−t−ブチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−p−ブチルアニリノフルオラン、3−N−メチルシクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−n−ジペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−メチル−N−プロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−エトキシプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−7−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、2−(2−フルオロフェニルアミノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、6’−ジエチルアミノ−2’−(2−フルオロアニリノ)スピロ[フタリド−3,9’−[9H]キサンテン]などが挙げられる。
ジビニル系ロイコ染料としては、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔2−(p−ジメチルアミノフェニル)−2−(p−メトキシフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス−〔2,2−ビス(4−ピロリジノフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス−〔1−(4−メトキシフェニル)−1−(4−ピロリジノフェニル)ビニル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔2,2−ビス[4−(1−ピロリジニル)フェニル]ビニル〕−4,6,7−トリブロモ−5−クロロフタリド、3,3−ビス〔2,2−ビス[4−(1−ピロリジニル)フェニル]ビニル〕−4,5,7−トリブロモ−6−クロロフタリド、3,3−ビス[2,2−ビス〔4−(1−ピロリジニル)フェニル]ビニル〕−4,7−ジブロモ−5,6−ジクロロフタリドなどが挙げられる。
なかでも、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−フルオロアニリノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(m−トリフルオロメチルアニリノ)フルオラン、6’−ジエチルアミノ−2’−(2−フルオロアニリノ)スピロ[フタリド−3,9’−[9H]キサンテン]などが炭化水素系溶剤に相溶性があるためより好ましい。
電子受容性顕色剤としては、従来の感圧あるいは感熱記録紙分野で公知のものは全て使用可能であり、特に制限されるものではないが、下記一般式(1)で表されるジフェニルスルホン化合物であることがより好ましい。
ここで、式中、R1は、水素原子または炭素数が1〜4の直鎖型あるいは分岐型の飽和もしくは不飽和炭化水素を表す。R2およびR3は、それぞれ独立して、アルキル基またはアルケニル基を表す。mおよびnは、それぞれ0〜2の整数を表す。
前記ジフェニルスルホン化合物としては、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、4−ヒドロキシ−4’−イソプロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−n−プロポキシジフェニルスルホン、4−ヒドロキシ−4’−アリルオキシジフェニルスルホンから選ばれる少なくとも1つであることが好ましく、なかでもビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホンがより好ましい。これらの電子受容性顕色剤は、一種類以上または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
前記ロイコ染料と顕色剤の量は、特に限定されるものではないが、通常、ロイコ染料1部に対して顕色剤0.5〜10部の割合が適当である。
感熱発色インキ中に、ロイコ染料を1〜20質量%含有することが好ましく、2〜18質量%であることがより好ましい。ロイコ染料が1質量%より少ないと、発色しない。20質量%を超えると、分散が困難となる。
感熱発色インキ中に、顕色剤を0.5〜20質量%含有することが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。顕色剤が0.5質量%より少ないと、発色しない。20質量%を超えると、分散が困難となる。
水不溶性熱可塑性樹脂としては、炭化水素系溶剤に溶解すればよく、例えばハロゲン化ビニル系樹脂(例えば、塩化ビニル系樹脂、フッ素含有ビニル系樹脂など)、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリルスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられる。
感熱発色インキ中に含有される水不溶性熱可塑性樹脂は、1〜50質量%であることが好ましく、2〜40質量%であることがより好ましく、3〜30質量%であることがさらに好ましい。1質量%より少ないと、発色しない。50質量%を超えると、ブロッキングしやすくなる。
感熱発色インキ中には、炭化水素系溶剤を含むことが好ましい。例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。含有される炭化水素系溶剤は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜85質量%であることがさらに好ましい。5質量%より少ないと、流動性が劣る。99質量%を超えると、発色性および印刷適性が劣る。
感熱発色インキには、所望の効果を阻害しない範囲で従来公知の増感剤を含んでもよい。増感剤としては、ステアリン酸アミド、パルミチン酸アミド等の脂肪酸アミド、エチレンビスアミド、モンタン酸ワックス、ポリエチレンワックス、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジ−(4−メチルフェノキシ)エタン、p−ベンジルビフェニル、β−ベンジルオキシナフタレン、4−ビフェニル−p−トリルエーテル、m−ターフェニル、1,2−ジフェノキシエタン、シュウ酸ジベンジル、シュウ酸ジ(p−クロロベンジル)、シュウ酸ジ(p−メチルベンジル)、テレフタル酸ジベンジル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、ジ−p−トリルカーボネート、フェニル−α−ナフチルカーボネート、1,4−ジエトキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸フェニルエステル、o−キシレン−ビス(フェニルエーテル)、4−(m−メチルフェノキシメチル)ビフェニル、4,4’−エチレンジオキシ−ビス−安息香酸ジベンジルエステル、ジベンゾイルオキシメタン、1,2−ジ(3−メチルフェノキシ)エチレン、ビス[2−(4−メトキシ−フェノキシ)エチル]エーテル、p−ニトロ安息香酸メチル、p−トルエンスルホン酸フェニル、ジフェニルスルホン、4,4’−ジイソプロポキシジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、4−メチルジフェニルスルホン、4−クロロジフェニルスルホン、2,4−ジメチルジフェニルスルホン、2,5−ジメチルジフェニルスルホンなどが挙げられる。なかでも、1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン、1,2−ジフェノキシエタン、β−ベンジルオキシナフタレン、ジフェニルスルホン、4−メチルジフェニルスルホン、2,5−ジメチルジフェニルスルホンなどがより好ましい。これらの増感剤は、一種類以上または二種類以上組み合わせて使用してもよい。
さらに、感熱発色インキには画像保存安定剤を含んでもよい。画像保存安定剤としては、例えば1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン、2−メチル−2−[[4−[[4−(フェニルメトキシ)フェニル]スルホニル]フェノキシ]メチル]−オキシラン、2,4,8,10−(テトラ(t−ブチル)−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキサイドナトリウム塩、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジブロモフェニル)プロパン、4,4’−スルホニルビス(2,6−ジブロモフェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−ベンジルオキシ−4−(2−メチルグリジルオキシ)−ジフェニルスルホン、4,4’−ジグリジルオキシジフェニルスルホン、1,4−ジグリジルオキシベンゼン、4−(α−(ヒドロキシメチル)ベンジルオキシ)−4’−ヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−メチレンビス(4,6−tert−ブチルフェニル)フォスフェイトなどが挙げられる。なかでも、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−シクロヘキシルフェニル)ブタン、4−ベンジルオキシ−4’−(2−メチルグリシジルオキシ)ジフェニルスルホン、4,4’−ブチリデンビス(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(2,6−ジメチル−4−t−ブチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2−メチル−2−[[4−[[4−(フェニルメトキシ)フェニル]スルホニル]フェノキシ]メチル]−オキシラン、4,4’−スルホニルビス(2,6−ジブロモフェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾールがより好ましい。
また、感熱発色インキ中には、必要に応じて架橋剤、顔料、滑剤、その他の有機溶剤などを含有してもよい。
顔料としては、例えばカオリン、(焼成)カオリン、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、シリカなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
感熱発色インキ中の全体の固形分としては、5〜70質量%であることが好ましく、10〜60質量%であることがより好ましい。5質量%より少ないと、発色しない。70質量%を超えると、ブロッキングしやすくなる。
感熱発色層の塗布量は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.2〜4μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。5μmを超えると、ブロッキングしやすくなる。0.1μmより少ないと、視認性が劣る。
オーバーコート層は、水不溶性熱可塑性樹脂と炭化水素系溶剤とを含有するオーバーコート剤を含む形成層である。オーバーコート層を形成することによって、感熱発色層の書き換えや、容易に消去したりすることができない。また、感熱発色積層体の表面保護層的な役割を持ち、機械的あるいは物理的耐性、例えば、感熱印字装置による対ヘッド耐性、滑り性、耐摩擦性、耐擦過性、曲げ耐性、耐熱性を付与することができる。
水不溶性熱可塑性樹脂としては、炭化水素系溶剤に溶解すればよく、例えばハロゲン化ビニル系樹脂(例えば、塩化ビニル系樹脂、フッ素含有ビニル系樹脂など)、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、アクリルスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられる。
オーバーコート剤中に含有される水不溶性熱可塑性樹脂は、5〜60質量%であることが好ましく、10〜50質量%であることがより好ましい。5質量%より少ないと、感熱発色層の保護効果が低下し、耐摩擦性、耐擦過性などが劣る。60質量%を超えると、ブロッキングしやすくなる。
オーバーコート剤中に含有される炭化水素系溶剤は、例えばトルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤が挙げられる。含有される炭化水素系溶剤は、5〜99質量%であることが好ましく、10〜90質量%であることがより好ましく、20〜85質量%であることがさらに好ましい。5質量%より少ないと、流動性が劣る。99質量%を超えると、印刷適性が劣る。
また、オーバーコート剤中には、必要に応じて顔料、滑剤、その他の有機溶剤、硬化剤、帯電防止剤などの添加剤を含有してもよい。
オーバーコート層の塗布量は、0.1〜5μmであることが好ましく、0.2〜4μmであることがより好ましく、0.5〜3μmであることがさらに好ましい。5μmを超えると、感熱発色層へ熱が伝わらず、発色性が劣ったり、ブロッキングを起こすおそれがある。0.1μmより少ないと、感熱発色層の保護効果が低下し、耐摩擦性や耐熱性が劣る。
感熱発色性積層体は、前記感熱発色層とオーバーコート層との間や基材層と白色下地層との間あるいは白色下地層と感熱発色層との間にアンカーコート層や接着層を形成してもよい。アンカーコート層は、透明でもよいし、色材を含有するアンカーコート剤を使用して形成できるため、さまざまなカラーバリエーションやカラーデザインが得られる。
また、絵柄などの他の情報、例えば、メーカーの社名、ブランド名、製品名、記号、マーク、商標、内容物や成分表示、販売促進などのデザインなどを付加するために印刷インキ層を形成してもよい。印刷インキ層は感熱発色性を阻害しない範囲で任意の層間に適用できる。印刷インキ層は、通常のグラビアインキが使用でき、基材層に応じて、適宜選択できる。印刷適性や汎用性の観点から、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、アクリル樹脂、アクリルスチレン共重合体、ポリアクリル酸エステル、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ニトロセルロース樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、塩素化エチレン−ビニルアセテート樹脂、ポリブチラール樹脂、ロジン系樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、セルロースアセテートブチレート樹脂などのグラビアインキが好ましく、これらの樹脂が一種類または二種類以上組み合わせたグラビアインキであってもよい。また、2色以上のグラビアインキを使用する場合は、同じ樹脂系のインキである必要はなく、別の樹脂系のインキも適宜使用できる。市販品としては、LG−NT、TPH、VESTA、LRC−NT、KCNT、SYNA−S、LAMREK、LG−FK、NOPL(以上、いずれも東京インキ(株)製)などを用いることができる。
前記基材層としては、プラスチックフィルムまたはシートならびにこれらの積層体から選ばれる少なくとも1つであることが好ましい。例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステルフィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−ビニルアセテートなどのポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、エチレン−ビニルアルコール、ポリビニルアルコールなどのアルコール系フィルム、ポリアミドフィルムまたはバリア層を中間に配したバリア性ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリロニトリルフィルム、ポリイミドフィルム、セロハン、防湿セロハン、PETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミニウムの蒸着層を設けたアルミ蒸着ポリエステルフィルムまたはアルミ蒸着ポリアミドフィルムあるいはPETフィルムまたはポリアミドフィルムにアルミナやシリカなどの蒸着層を設けた透明蒸着ポリエステルフィルムまたは透明蒸着ポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリル酸樹脂などをコートした各種コーティングフィルムなどが挙げられる。これらは延伸、未延伸のどちらでもよく、一種類または二種類以上を積層していてもよい。機械的強度や寸法安定性などを考慮して、適切なものが選択できる。また、塗布面には下地層やオーバーコート層の密着性を向上させるため、コロナ処理、低温プラズマ処理、フレーム処理、溶剤処理、コート処理などを施すか、あらかじめ施されたものが選択できる。また、ヒートシール性を付与した積層体も基材として使用できる。ヒートシール性を付与する方法としては、公知のシーラントフィルムまたはシートの貼り合わせ、押出ラミネート加工による樹脂コーティング、ヒートシール剤によるヒートシール層の形成などが挙げられ、これらの方法によってヒートシール性が付与された層をヒートシール層ともいう。基材層の厚さは、印刷適性、巻き取り適性などに支障のない範囲内であれば、特に制限はないが、5〜300μmが好ましく、6〜250μmがより好ましい。
本発明の感熱発色性積層体は、前記白色下地層、前記感熱発色層、前記オーバーコート層が、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式から選ばれる少なくとも1つによる形成層であることが好ましく、特に、多色グラビア印刷機を用いたグラビア印刷方式による形成層であることが好ましい。このことにより、白色下地層、前記感熱発色層、オーバーコート層の各層が、この順にインラインで、1パスで形成することができる。さらに、前記アンカーコート層、前記印刷インキ層や前記ヒートシール層も同時に形成することができる。
感熱発色性積層体の製造方法は、基材層と、基材層の少なくとも一方に、下地インキを含む白色下地層と、感熱発色インキを含む感熱発色層と、オーバーコート剤を含むオーバーコート層と、がこの順に形成された印刷工程を含み、前記印刷工程が、シルクスクリーン印刷方式、グラビア印刷方式、オフセット印刷方式、フレキソ印刷方式、ローラーコーター方式、刷毛塗り方式、スプレー方式、ナイフジェットコーター方式から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。
なかでも、品質および生産性の高さからグラビア印刷方式、フレキソ印刷方式またはシルクスクリーン印刷方式のいずれかの印刷方式から選択されることが好ましく、特に、多色グラビア印刷機によるグラビア印刷方式であることがさらに好ましい。このことにより、インラインで、連続して基材層に白色下地層、感熱発色層、オーバーコート層、印刷インキ層、アンカーコート層、ヒートシール層などを部分的に形成でき、一連の流れのなか(1パス)で感熱発色性積層体を低コストで容易に作製することができる。また、発色性や印字濃度のコントロールが容易に行なうことができる。もちろん、グラビア印刷機の仕様や印刷環境、設備などの制約でインラインで、連続して形成できない場合もあるが、この場合オフライン(アウトライン)での形成も可能である。白色下地層、感熱発色層、オーバーコート層の形成は、必ずしも全面である必要はなく、感熱発色させたい部分だけに形成してもよい。
また、印刷インキ層が形成された印刷工程は、グラビアインキを1色以上形成するグラビア印刷方式であることが好ましく、感熱発色層の反対面や白色下地層と感熱発色層の間あるいは感熱発色層とオーバーコート層の間など任意に印刷インキ層を形成させることもできる。感熱発色層は、ほとんど着色がなく透明であるため、印刷インキ層の形成により、絵柄などの他の情報を阻害することなくインラインで同時に設けることができるため、さまざまなカラーバリエーションやカラーデザインが得られる。例えば、パッケージのデザインなどを付与でき、購買訴求効果を高めることができたり、開封箇所、開封方法や注意喚起の情報を表示したり、会社名、ロゴ、製品名、キャラクター、内容物、成分表示、応募方法やキャンペーンの告知、食べ方や使用方法、年月日、原産地、当たりくじなどの情報を付与することができる。
前記下地インキ、感熱発色インキ、オーバーコート剤、印刷インキ、アンカーコート剤といった各組成物は、白色の色材、ロイコ染料、顕色剤、増感剤、水不溶性熱可塑性樹脂、顔料、有機溶剤、各種添加剤などを均一に溶解、撹拌または分散することにより公知の方法で製造できる。溶解、撹拌または分散は、ディゾルバー、ロールミル、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、アトライター、ペイントシェーカー、アジテータ、ヘンシェルミキサー、コロイドミル、パールミル、超音波ホモジナイザー、湿式ジェットミル、ニーダー、ホモミキサーなどの各種撹拌機または分散機を使用できる。これらの装置は一種類または二種類以上組み合せて使用してもよい。各組成物中に気泡や粗大粒子が含まれる場合、印刷適性や印刷物品質を低下させるため、公知のろ過機や遠心分離機などを用いて、取り除くことが好ましい。
前記各組成物の粘度は、印刷に支障のない範囲であれば、特に制限はない。各組成物の製造適性、取扱いなどを考慮すれば、25℃において10〜1,000mPa・sであることが好ましい。
前記粘度は、ブルックフィールド型粘度計などの市販の粘度計を用いて測定することができる。
前記各組成物は、そのまま塗工することもできるが、塗工条件、塗工効果に応じ、ザーンカップ#3((株)離合社製)にて、希釈溶剤で希釈することにより所望の粘度に調整して使用できる。この場合の粘度は、25℃において10〜40秒であることが好ましい。
前記希釈溶剤は、前記各組成物の粘度を調整して使用できるものであれば、いずれでもよく、有機溶剤が挙げられ、市販のものも使用できる。市販品としては、PU515、SL9155、CN104、AC372、PP575、TH12(以上、いずれも東京インキ(株)製)などが挙げられる。
本発明のフィルムまたはシートは、感熱発色性積層体を用いて形成されることが好ましい。前記感熱発色性積層体をそのまま使用することもできるが、別の基材層を押出ラミネート法やドライラミネート法、あるいは接着剤などにより貼り合わせて形成できる。接着剤としては、ウレタン樹脂、ブタジエン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、イソシアネート樹脂、キレートなどが含有されるものが挙げられる。また、市販の接着剤を用いることができる。さらに、主剤と硬化剤が混合した一液型、あるいは主剤と硬化剤が別の二液型の接着剤であってもよい。二液型の接着剤の場合、適宜主剤と硬化剤の混合割合を調整、混合して使用する。また、別々の基材を前記ラミネート法、あるいは接着剤などにより貼り合わせた基材層を作成してから、前記印刷方式により、感熱発色層などを形成し、フィルムまたはシートにしてもよい。
本発明の包装袋は、感熱発色性積層体を用いて形成されることが好ましい。包装袋としては、オーバーコート層が表面側となるように、二方シール、三方シール、四方シール、ピローシール、帯封、サンドイッチ包装、おにぎり包装、スタンディングパウチ、封筒貼り、ガゼット、溶断シール、チューブ、キャラメル包装、オーバーホールド、フィンシール、まんじゅう包装、ひねり、ロケット、テトラパック、ゲーブルトップ、ブリックなどの形態であることが好ましい。
本発明の感熱発色性積層体について、その例を挙げて説明するが、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の感熱発色性積層体1の構成例で、基材層2に白色下地層3と感熱発色層4とオーバーコート層5をこの順に備えた例である。
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、実施例などにおいて「部」および「%」は特に断りのない限り、「質量部」および「質量%」を表わす。
[下地インキの作製]
下地インキ1
ウレタン系メジウム20部、酸化チタン30部、トルエン20部、メチルエチルケトン20部、イソプロピルアルコール10部を仕込み、撹拌して、下地インキ1を作成した。
下地インキ2
塩素化ポリプロピレン系メジウム30部、酸化チタン20部、トルエン30部、メチルエチルケトン20部を仕込み、撹拌して、下地インキ2を作成した。
下地インキ3
アクリル系エマルジョン40部、酸化チタン60部を仕込み、撹拌して、下地インキ3を作成した。
下地インキ4
ウレタン系メジウム20部、トルエン30部、メチルエチルケトン30部、イソプロピルアルコール20部を仕込み、撹拌して、下地インキ4を作成した。
[感熱発色インキの作製]
感熱発色インキ1
下記配合のA剤、B剤をそれぞれ別々に調製し、撹拌練肉し、各液を作成した。
A剤:アクリル系メジウム(固形分30%)60部、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン11部、トルエン29部
B剤:アクリル系メジウム(固形分30%)40部、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン11部、トルエン47部、1,2−ジフェノキシエタン(KS−235、三光(株)製)2部
ついで、各液を下記割合で混合し、感熱発色インキ1を作成した。
A剤:5部
B剤:10部
感熱発色インキ2
前記A剤、B剤を下記割合で混合し、感熱発色インキ2を作成した。
A剤:1部
B剤:15部
感熱発色インキ3
1,2−ジ−(3−メチルフェノキシ)エタン(KS−232、三光(株)製)20部、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン20部、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン10部、ポリビニルアルコール系メジウム(固形分6%)110部、ポリエチレンワックス10部、炭酸カルシウム28部、メチルセルロース系メジウム(固形分6%)120部を混合し、撹拌練肉し、感熱発色インキ3を作成した。
オーバーコート剤1
アクリル系メジウム60部、ポリエチレンワックス5部、トルエン35部を仕込み、撹拌して、オーバーコート剤1を作成した。
オーバーコート剤2
ポリビニルアルコール系エマルジョン(固形分10%)120部、水酸化アルミニウム5部、ウレタン系エマルジョン(固形分20%)40部を仕込み、撹拌して、オーバーコート剤2を作成した。
オーバーコート剤3
アクリル系メジウム60部、ポリエチレンワックス5部、酢酸エチル35部を仕込み、撹拌して、オーバーコート剤3を作成した。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ12μmのPETフィルム(略称:PET)に、第一ユニットで下地インキ1(略称:UD1)、第二ユニットで感熱発色インキ1(略称:TS1)、第三ユニットでオーバーコート剤1(略称:OC1)を印刷して、巻き取り、感熱発色インキを印刷した他方面のPETフィルムにドライラミネート法により、ウレタン系接着剤(略称:DL)を用いて、厚さ30μmのリニア低密度ポリエチレンフィルム(略称:LLDPE)を貼り合わせて、感熱発色性積層体1を作製した。このとき、下地インキ1はPU515、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12(いずれも東京インキ(株)製)にて、希釈し、それぞれ1.5μm、1.1μm、2μmであった。これによって、感熱発色性積層体1は、「OC1/TS1/UD1/PET/DL/LLDPE」の構成となった。
オーバーコート剤1の塗布層を0.5μmに変更した以外は感熱発色性積層体1と同じ作製条件にて、感熱発色性積層体2を作製した。このとき、下地インキ1はPU515、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ1.5μm、1.1μm、0.5μmであった。これによって、感熱発色性積層体2は、「OC1/TS1/UD1/PET/DL/LLDPE」の構成となった。
感熱発色インキ1を感熱発色インキ2(略称:TS2)に変更した以外は感熱発色性積層体1と同じ作製条件にて、感熱発色性積層体3を作製した。このとき、感熱発色インキ2はTH−12にて、希釈し、それぞれ1.8μm、0.9μm、2μmであった。これによって、感熱発色性積層体3は、「OC1/TS2/UD1/PET/DL/LLDPE」の構成となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ30μmのヒートシーラブル防曇延伸ポリプロピレンフィルム(略称:HS−OPP)に、第一ユニットで下地インキ2(略称:UD2)、第二ユニットで感熱発色インキ1、第三ユニットでオーバーコート剤1を印刷して、巻き取り、感熱発色性積層体4を作製した。このとき、下地インキ2はPP575、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ2μm、0.9μm、2μmであった。これによって、感熱発色性積層体4は、「OC1/TS1/UD2/HS−OPP」の構成となった。
反転機構付き8色機グラビア印刷機を用いて、厚さ15μmのナイロン(略称:NY)フィルムに、第一ユニットでLG−FK墨インキ(略称:墨)、第二ユニットでLG−FK藍インキ(略称:藍)、第三ユニットでLG−FK紅インキ(略称:紅)、第四ユニットでLG−FK黄インキ(略称:黄)、第五ユニットでLG−FK白インキ(略称:白)(以上、いずれも東京インキ(株)製)を絵柄印刷し、反転し、第六ユニットで下地インキ1、第七ユニットで感熱発色インキ1、第八ユニットでオーバーコート剤1を印刷して、巻き取り、前記絵柄印刷面のNYフィルムにドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmのイージーピールフィルム(略称:EP)を貼り合わせて、感熱発色性積層体5を作製した。このとき、下地インキ1はPU515、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ1.3μm、1μm、1.2μmであった。これによって、感熱発色性積層体5は、「OC1/TS1/UD1/NY/墨/藍/紅/黄/白/DL/EP」の構成となった。
反転機構付き8色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルム(略称:OPP)に、第一ユニットでLG−FK墨インキ、第二ユニットでLG−FK藍インキ、第三ユニットでLG−FK紅インキ、第四ユニットでLG−FK黄インキ第、五ユニットでLG−FK白インキを絵柄印刷し、反転し、第六ユニットで下地インキ2、第七ユニットで感熱発色インキ1、第八ユニットでオーバーコート剤1を印刷して、巻き取り、前記絵柄印刷面のOPPフィルムにドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(略称:CPP)を貼り合わせて、感熱発色性積層体6を作製した。このとき、下地インキ2はPP575、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ1.8μm、1.2μm、1.5μmであった。これによって、感熱発色性積層体6は、「OC1/TS1/UD2/OPP/墨/藍/紅/黄/白/DL/CPP」の構成となった。
反転機構付き8色機グラビア印刷機を用いて、厚さ20μmの延伸ポリプロピレンフィルムに、第一ユニットでLG−FK墨インキ、第二ユニットでLG−FK白インキで絵柄印刷し、さらに前記絵柄印刷部と重ならない部分に、第三ユニットで水性SA721W(ヒートシール剤、略称:HS、東京インキ(株)製)を印刷し、反転し、前記絵柄印刷部およびヒートシール部と重ならない部分に、第四ユニットで下地インキ2、第五ユニットで感熱発色インキ1、第六ユニットでオーバーコート剤1を印刷して、巻き取り、感熱発色性積層体7を作製した。このとき、下地インキ2はPP575、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ1.5μm、0.9μm、1.2μmであった。これによって、感熱発色性積層体7は、「OC1/TS1/UD2/OPP/墨/白/HS」の構成となった。
感熱発色インキ1を感熱発色インキ3(略称:TS3)に変更した以外は感熱発色性積層体1と同じ作製条件にて、感熱発色性積層体8を作製した。しかし、感熱発色インキ3の乾燥が劣り、ロールに取られ、フィルムに塗布できなかった。
下地インキ1を下地インキ4(略称:UD4)に変更した以外は感熱発色性積層体1と同じ作製条件にて、感熱発色性積層体9を作製した。このとき、下地インキ4はPU515、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ1.5μm、1.1μm、1.7μmであった。これによって、感熱発色性積層体9は、「OC1/TS1/UD4/PET/DL/LLDPE」の構成となった。
オーバーコート剤1をオーバーコート剤2(略称:OC2)に変更した以外は感熱発色性積層体1と同じ作製条件にて、感熱発色性積層体10を作製した。しかし、オーバーコート剤2の乾燥が劣り、ロールに取られ、フィルムに塗布できなかった。
オーバーコート剤1をオーバーコート剤3(略称:OC3)に変更した以外は感熱発色性積層体1と同じ作製条件にて、感熱発色性積層体11を作製した。しかし、オーバーコート剤3が感熱発色層を溶解し、地汚れしてしまった。
厚さ12μmのPETフィルムに、バーコーターを用いて、下地インキ3を6μmになるように塗布し、乾燥させて、巻き取った。つづいて、同コーターを用いて、該PETフィルムに形成した下地インキ3を塗布した白色下地層上に、感熱発色インキ3を3μmになるように塗布し、乾燥させて、巻き取った。さらにつづいて、オーバーコート剤2を6μmになるように塗布し、乾燥させて、巻き取り、感熱発色インキを印刷した他方面のPETフィルムにドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmのリニア低密度ポリエチレンフィルムを貼り合わせて、感熱発色性積層体12を作製した。これによって、感熱発色性積層体12は、「OC2/TS3/UD3/PET/DL/LLDPE」の構成となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ12μmのPETフィルムに、第一ユニットで感熱発色インキ1、第二ユニットでオーバーコート剤1を印刷して、巻き取り、感熱発色インキを印刷した他方面にPETフィルムにドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmのリニア低密度ポリエチレンフィルムを貼り合わせて、感熱発色性積層体13を作製した。このとき、感熱発色インキ1、オーバーコート剤1はTH−12にて、希釈し、それぞれ1μm、2μmであった。これによって、感熱発色性積層体13は、「OC1/TS1/PET/DL/LLDPE」の構成となった。
5色機グラビア印刷機を用いて、厚さ188μmの白色PETフィルム(略称:白色PET)に、第一ユニットおよび第二ユニットで感熱発色インキ1を6μmになるように印刷して、巻き取った。さらにつづいて、バーコーターを用いて、オーバーコート剤2を3μmになるように塗布し、乾燥させて、巻き取り、感熱発色インキを印刷した他方面のPETフィルムにドライラミネート法により、ウレタン系接着剤を用いて、厚さ30μmのリニア低密度ポリエチレンフィルムを貼り合わせて、感熱発色性積層体14を作製した。これによって、感熱発色性積層体14は、「OC2/TS1/白色PET/DL/LLDPE」の構成となった。
前記感熱発色性積層体1〜7、9、12、13、14を用いて、視認性、密着性、耐摩擦性、ヘッド耐性について評価し、表1に結果を示した。
<視認性>
40mm×40mmに切断した試料片を、150℃、1秒、3kgf/cm2の加重にて、ヒートシールし、シール部の発色を目視観察し、視認性を評価した。
◎:シール部が黒くはっきり視認される、○:シール部が視認される(実用上問題ない)、△:シール部がやや視認しにくい、×:シール部がほとんど視認されない、の4段階で評価した。
<密着性>
40mm×40mmに切断した試料片の感熱発色層面にセロファンテープを密着させて剥がしたときに、その感熱発色層面の剥離性の有無により密着性を評価した。
○:感熱発色層面が剥がれない、×:感熱発色層面が剥がれる、の2段階で評価した。
<耐摩擦性>
前記同様試料片を作成後、学振式摩擦試験機を用いて、試料片の感熱発色層面を金巾3号、試験荷重用おもりを200gとして、往復運動させたときの金巾への付着具合の状態により耐摩擦性を評価した。
◎:往復回数20回で、金巾への付着なし、○:往復回数10回で、金巾への付着はないが、20回で付着あり(実用上問題なし)、△:往復回数5回で、金巾への付着はないが、10回で付着あり、×:往復回数5回で、金巾への付着あり、の4段階で評価した。
<ヘッド耐性>
サーマルプリンタTHP−301L(イーデーエム(株)製)を用いて、20m/分にて、連続して200回印字をしたときの、該サーマルプリンタのサーマルヘッドへの付着状態によりヘッド耐性を評価した。
◎:まったく付着していない、○:ほとんど付着していない(実用上問題ない)、△:やや付着している、×:付着している、の4段階で評価した。
表1の結果より、実施例1〜7の感熱発色性積層体は、視認性、密着性、耐摩擦性、ヘッド耐性ともに良好であることが確認された。また、グラビア印刷でそれぞれの層が形成できるため、複雑な工程がなく、容易に感熱発色性積層体を作製することができた。引用文献10に類似した感熱発色インキを使用した例である比較例1の感熱発色性積層体8は、水溶性樹脂を使用しており、乾燥が劣り、印刷中にロールに取られてしまい、印刷では実用上作製することが困難であった。酸化チタン非含有の下地層を使用した比較例2の感熱発色性積層体9は、密着性、耐摩擦性およびヘッド耐性は良好であったが、視認性が劣ってしまった。引用文献10に類似したオーバーコート剤を使用した例である比較例3の感熱発色性積層体10は、水溶性樹脂を使用しており、乾燥が劣り、印刷中にロールに取られてしまい、印刷では実用上作製することが困難であった。炭化水素系溶剤以外を含有したオーバーコート剤を使用した例である比較例4の感熱発色性積層体11は、先に塗布された感熱発色層を溶解し、地汚れが発生してしまい、印刷では実用上作製することが困難であった。引用文献10に類似した構成とした例である比較例5の感熱発色性積層体12は、すべての塗布液が水溶性樹脂を使用しており、バーコーターによる塗布工程が必須で、複雑な作製工程となってしまうとともに、オーバーコート層が軟らかく、耐摩擦性およびヘッド耐性が劣ってしまった。下地層を有さない例である比較例6の感熱発色性積層体13は、視認性、密着性ともに劣った。引用文献4に類似した構成とした例である比較例7の感熱発色性積層体14は、感熱発色層は印刷可能なものであり、視認性も良好であったが、オーバーコート層は水溶性樹脂を使用しており、バーコーターによる塗布工程が必須で、複雑な作製工程となってしまうとともに、基材との密着性が劣り、オーバーコート層が軟らかく、ヘッド耐性が劣ってしまった。