JP6700140B2 - 転がり案内装置 - Google Patents

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Description

本発明は、転がり案内装置に関するものである。
従来から用いられている機械要素として、例えば、ボールねじやリニアガイド、直動ベアリング、ボールスプライン等といった転がり案内装置が知られている。かかる転がり案内装置は、外面に転走面を有する内方部材と、内方部材の前記転走面に対向する負荷転走面を有して内方部材の外側に配置された外方部材と、前記転走面と前記負荷転走面との間に転動自在に配置された複数の転動体と、を有することにより、外方部材が内方部材の軸線方向又は周方向に往復運動自在又は回転運動自在とされる装置である。
この種の転がり案内装置は、内方部材と外方部材との間に配設される複数の転動体が繰り返し転がり運動を行うことになるので、これら転がり案内装置の構成部材には繰り返し接触応力が加わることとなる。そのため、内方部材、外方部材、および転動体を構成する材料には、一般的に、疲労寿命や耐摩耗性等に優れた金属材料や樹脂材料等が採用されている。
ところで、上述した従来の転がり案内装置については、転走面間の摩擦抵抗の低減および焼き付き防止等のために、転走面上に固体潤滑材を形成する技術が公知である。例えば、下記特許文献1には、金属転走面上に複数の凹部を加工形成し、その中に固体潤滑材を埋設することで、転走面間の摩擦抵抗の低減および焼き付き防止等を実現した摺動部品が提案されている。そして、特許文献1に開示の方法によれば、転走面上に形成された孔又は凹部に対して珪酸ナトリウムを被着させて塊状にした固体潤滑材を埋設させることで、転走面は珪酸ナトリウムおよび固形潤滑材の機能により、高温かつ乾燥条件環境下においても良好な摺動性能を発揮するとされている。
特許第3960672号明細書
しかしながら、上述したように、転がり案内装置の構成部材には繰り返し接触応力が加わることとなるため、転走面上に形成された固体潤滑材の膜の密着性の関係上、非コーティング品と同様の性能が保証できないという課題が存在していた。したがって、従来の転がり案内装置では、例えば、潤滑環境に制限がある場合に固体潤滑材が適用されることが一般的であり、その適用範囲は極めて限定的なものであった。
本発明は、上述した従来技術の抱える課題の存在に鑑みて成されたものであって、その目的は、転がり案内装置の転走面上に好適な固体潤滑材を適用することで、高負荷環境下での接線力低減による転がり要素部品の寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たな技術を提供することにある。
本発明に係る転がり案内装置は、外面に転走面を有する内方部材と、前記内方部材の前記転走面に対向する負荷転走面を有して前記内方部材の外側に配置された外方部材と、前記転走面と前記負荷転走面との間に転動自在に配置された複数の転動体と、を備える転がり案内装置であって、前記内方部材が有する前記転走面、前記外方部材が有する前記負荷転走面および前記転動体のうちの少なくとも1つが、金属材料又は樹脂材料から成る基材と、当該基材の表層に形成される固体潤滑材とから構成されており、前記固体潤滑材は、テープ状に形成された固体潤滑テープを前記基材に貼り付けた上で、転圧加圧加工を受けて形成されていることを特徴とするものである。
本発明によれば、転がり案内装置の転走面上にテープ状に形成された固体潤滑材を適用することで、高負荷環境下での接線力低減による転がり要素部品の寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たな技術を提供することができる。
転がり軸受において、転動体が転走面間で起こす微小滑りの様子を示す模式図である。 PTFEテープを基材である金属材料にコーティングするための手順を説明するための模式図であり、図中の分図(a)が外観を示しており、分図(b)が縦断面の様相を示している。 図2で示した手順で得られた試料の検証のために行った転がり疲労試験で用いた試験機の概要を説明するための図である。 本実施形態で行った転がり疲労試験の試験結果を示す図である。 転走面がローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープによって形成される本実施形態に係るリニアガイド装置の一形態を例示する外観斜視図である。 図5Aで示したリニアガイド装置が備える無限循環路を説明するための断面図である。 本実施形態に係る転がり案内装置をボールねじ装置として構成した場合を例示する図である。 本実施形態に係る転がり案内装置をスプライン装置として構成した場合を例示する図である。 本実施形態に係る転がり案内装置を回転ベアリング装置として構成した場合の一形態を例示する部分縦断斜視図である。 図8Aに示す回転ベアリング装置の縦断面を示す図である。 本発明の多様な適用事例を説明するための図であり、リニアモーションガイドとボールねじが組み合わされて一体構造となっている形式の転がり案内装置を示す外観斜視部分断面図である。
まず、本発明者らは、転がり案内装置の転走面上に固体潤滑材を適用するための新たな技術を創案するに際して、転走面間で転がり運動を行う転動体の動作について、把握することとした。ここで、発明者らが検討した内容を説明するために、図1を示す。図1は、転がり軸受において、転動体が転走面間で起こす微小滑りの様子を示す模式図である。
転がり軸受の転走面において、転がり運動を行う転動体との接触面は、当該転走面に加わる接線力やスピンモーメントに応じて、相対滑りのない領域と微小滑りを起こしている領域とに分かれることが知られており、その様子が図1において模式的に示されている。この微小滑りの滑り長さは、図1に示されるように、接触面の真実接触部1個の大きさより小さいが、この微小滑りに起因して転走面表面が摩耗を起こすことが知られている。この事実から、例えば、転がり案内装置の転走面上に固体潤滑材を適用した場合にも、この固体潤滑材と転動体との接触面で微小滑りが発生し、固体潤滑材の摩耗が進行することとなる。固体潤滑材の摩耗の進行がある程度進むことで、固体潤滑材の剥離等の不具合が発生し、転がり案内装置の早期破損が発生していたと考えられる。
以上の現象を踏まえた上で、発明者らは、たとえ微小滑りが発生したとしても、摩耗の進行を好適に抑えることのできる固体潤滑材の適用方法があるのではないかとの着想に基づき、鋭意研究した結果、PTFE(polytetrafluoroethylene)テープなどの固体潤滑テープを適用すれば、摩耗の進行を抑えることができるのではないかとの発想を得るに至った。その理由として、PTFEテープは伸縮性があるので微小滑りが発生したとしても切れることはなく、微小滑りを吸収できる程度の伸縮性を発揮できると考えたからである。そこで、次に、本発明者らは、固体潤滑テープを適用する技術の有効性を検証すべく、検証実験を行った。この検証実験について、図2および図3を用いて説明を行う。ここで、図2は、PTFEテープを基材である金属材料にコーティングするための手順を説明するための模式図であり、図中の分図(a)が外観を示しており、分図(b)が縦断面の様相を示している。また、図3は、図2で示した手順で得られた試料の検証のために行った転がり疲労試験で用いた試験機の概要を説明するための図である。
まず、図2を参照して、PTFEテープを基材である金属材料にコーティングするための手順を説明する。初めに、金属材料から成る基材11を用意する。この基材11は、転がり案内装置の転走面となることを想定しており、本発明者らが行った検証実験では、軸受鋼(SUJ2)を用いた。そして、この基材11の表面に対して、本実施形態に係る表面処理であるショットピーニング処理を行うことで、ミクロン単位のディンプル21を形成した(図2中の分図(a)の(1)および分図(b)の(1)参照)。金属材料から成る基材11の表面に対してショットピーニング処理によってディンプル21を形成した理由としては、後述するPTFEテープ12を貼り付けた際に、ディンプル21の作用によってPTFEテープ12が確実に基材11の表面に対して貼り付いた状態を維持させるためである。ショットピーニングの副次的な効果としては、転走面表層部への圧縮残留応力の導入による寿命向上効果も現れる。なお、本実施形態に係る表面処理であるショットピーニング処理で使用するメディア22(ショット粒)については、スチール、アルミナ、ガラスビーズといった種々のメディアを採用することができるが、転がり案内装置の転走面に用いる際には、表面粗さの悪化および表層部の結晶粒微細化による脆化を防止する目的から、ガラスビーズを用いることが最適であることが、本発明者らの検証実験によって明らかとなっている。また、本発明者らの検証実験によって、ガラスビーズの粒子径は0.01mm〜0.10mmのものを採用することができ、ショットピーニング処理を行う際に噴射されるメディア22に対する基材11の送り速度は0.3mm/s〜1.0mm/sであることが好適であると確認できている。
以上のようにしてミクロン単位のディンプル21が形成された基材11の表面に対して、PTFEテープ12を貼り付ける(図2中の分図(a)の(2)参照)。そして、基材11の表面に貼り付けられたPTFEテープ12の上側から転圧加圧加工を行った。この転圧加圧加工については、具体的には、バニシングロール23を用いてローラバニシング加工を行った(図2中の分図(b)の(2)参照)。なお、本発明者らの検証実験によって、PTFEテープ12のテープ厚は、0.02mm〜0.10mm程度を用いることが可能であり、また、バニシングロール23を用いて行うローラバニシング加工のバニシング圧は、2.0GPa〜4.0GPa程度が好適であることが確認されている。このローラバニシング加工は、滑らかな表面を持つバニシングロール23をPTFEテープ12の表面に対して押し付けながら移動させる加工法であり、かかる加工によって、PTFEテープ12がディンプル21を隙間なく埋めて配置されるとともに、PTFEテープ12の表面が平滑化されることとなる。すなわち、高い密着性と良好な表面粗さを両立させることができる。また、本実施形態に係る転圧加圧加工としてのローラバニシング加工では、転走面を想定した基材11の表面の全面がPTFEテープ12によって覆われるように、つまり、PTFEテープ12が表面全面に残るように実施される。したがって、本実施形態では、転がり案内装置の転走面表面は、PTFEテープ12によって形成されることが想定されている。このようにして、基材11である金属材料にPTFEテープ12をコーティングした試料15が完成する(図2中の分図(a)の(3)および分図(b)の(3)参照)。
続いて、得られた試料15の検証のために行った転がり疲労試験についての説明を行う。この転がり疲労試験は、図3で示す試験機を用いて行われており、この試験機30は、下方側において回転可能に構成された回転台31の上に試料15を固定し、一方、上方側には、ガイド32と保持器33によって転動自在な状態で保持された3個のボール34が配置されて構成されている。そして、この試験機30では、下方側の回転台31を所定の回転数と負荷荷重をもって回転させることで、試料15とボール34を一定の条件下で転がり接触させ、例えば、試料15が破損するまでの回転台31の回転回数を計測することで、試料15の評価を行った。なお、本実施形態で行った転がり疲労試験の試験条件を、表1として示す。また、本実施形態で行った転がり疲労試験の試験結果を、図4に示す。
図4に示すように、本実施形態で行った転がり疲労試験では、上述した本実施形態の方法で作成された試料15の有効性を確認するために、試料15との対比のための比較例を準備した。図4で示す(比較例1)については、軸受鋼(SUJ2)に対して何らの処理も行っていない未処理のものであり、従来の転がり案内装置の転走面を想定したものである。また、図4で示す(比較例2)については、軸受鋼(SUJ2)に対してショットピーニング処理を施したのちにローラバニシング加工を行ったものである。さらに、図4で示す(本発明1)および(本発明2)は、図2を用いて説明した手順によって作成された試料15であり、(本発明1)と(本発明2)の違いは、試料15を回転した繰返し数(N)の違いのみである。なお、図4で示す(本発明1)および(本発明2)で用いた試料については、ショットピーニング処理がガラスビーズの粒子径0.10mm、メディア22に対する基材11の送り速度1.0mm/sで行われ、PTFEテープ12のテープ厚が0.10mm、バニシングロール23を用いて行うローラバニシング加工のバニシング圧が2.0GPaといった条件値にて準備されたものを使用した。
試験結果としては、図4に示すように、(比較例1)と(比較例2)については、試料表面が破損した時点の繰返し数(N)が示されている。一方、(本発明1)と(本発明2)は、従来の転がり案内装置の転走面を想定した(比較例1)に対して8〜10倍の繰返し数(N)に到達した時点で転がり疲労試験を終了しており、試験終了時において破損していないことが確認できた。すなわち、本発明によれば、従来技術に比べて、少なくとも8〜10倍以上の疲労寿命向上効果を得られることが確認できた。
また、(比較例1)に対して(比較例2)の方が良い結果が得られているが、この理由として、発明者らは、ショットピーニング処理の副次的な効果として、転走面表層部への圧縮残留応力導入による寿命向上効果が表れたものと判断している。このことから、本発明の疲労寿命向上効果は、主としてPTFEテープ12に基づくものであると考えられるものの、PTFEテープ12を好適に基材11の表面上に保持するために施したショットピーニング処理の副次的効果も相まって、得られたものであるということができる。
上述した本実施形態のように、転がり案内装置の転走面を金属材料から成る基材11と、当該基材11の表層に形成される固体潤滑材とから構成するとともに、この固体潤滑材を、テープ状に形成された固体潤滑テープであるPTFEテープ12として基材11表面に貼り付けた上で、転圧加圧加工としてのローラバニシング加工を施すことにより、装置寿命を向上した転がり案内装置を提供することが可能となる。また、本実施形態によって得られた転走面が、従来技術に比べて少なくとも8〜10倍以上の疲労寿命向上効果を得られていることから、転がり案内装置の稼働速度向上を実現することも可能となっている。
以上、本発明の主要な内容を説明した。次に、転走面がローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープによって形成された本実施形態に係る転がり案内装置の、具体的な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で例示する転がり案内装置の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本明細書における「転がり案内装置」は、例えば、工作機械などに用いられる転がり軸受全般や真空中で使用される無潤滑軸受、リニアガイドや直線案内装置、ボールスプライン装置、ボールねじ装置、ローラねじ装置、クロスローラリングなどのような、あらゆる転動動作を伴う装置を含むものである。
(リニアガイド装置への適用例)
本実施形態に係る転がり案内装置は、図5Aおよび図5Bに示すようなリニアガイド装置として構成することが可能であり、かかるリニアガイド装置の転走面がローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープによって形成されることによって、寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たな転がり案内装置を実現することができる。ここで、図5Aは、転走面がローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープによって形成される本実施形態に係るリニアガイド装置の一形態を例示する外観斜視図である。また、図5Bは、図5Aで示したリニアガイド装置が備える無限循環路を説明するための断面図である。
まず、図5Aおよび図5Bに例示するリニアガイド装置40の構成について説明すると、本実施形態に係る転がり案内装置としてのリニアガイド装置40は、内方部材としての軌道レール41と、軌道レール41に複数の転動体として設置されるボール42…を介してスライド可能に取り付けられた外方部材としての移動体43とを備えている。軌道レール41はその長手方向と直交する断面が概略矩形状に形成された長尺の部材であり、その表面(上面および両側面)には、ボール42…が転がる際の軌道になる転走面としての転動体転走面41a…が軌道レール41の全長に渡って形成されている。
ここで軌道レール41は、直線的に伸びるように形成されることもあるし、曲線的に伸びるように形成されることもある。また、図5Aおよび図5Bにおいて例示する転動体転走面41a…の本数は左右で2条ずつ合計4条設けられているが、その条数はリニアガイド装置40の用途等に応じて任意に変更することができる。
一方、移動体43には、転動体転走面41a…とそれぞれ対応する位置に負荷転走面としての負荷転動体転走面43a…が設けられている。軌道レール41の転動体転走面41a…と移動体43の負荷転動体転走面43a…とによって負荷転走路52…が形成され、複数のボール42…が挟まれている。さらに、移動体43には、各転動体転走面41a…と平行に伸びる4条の無負荷転走路53…と、各無負荷転走路53…と各負荷転走路52…とを結ぶ方向転換路55…が設けられている。1つの負荷転走路52および無負荷転走路53と、それらを結ぶ一対の方向転換路55との組み合わせによって、1つの無限循環路が構成される(図5B参照)。
そして、複数のボール42…が、負荷転走路52と無負荷転走路53と一対の方向転換路55,55とから構成される無限循環路に無限循環可能に設置されることにより、移動体43が軌道レール41に対して相対的に往復運動可能となっている。
以上のような構成を備える本実施形態に係るリニアガイド装置40においては、内方部材としての軌道レール41が有する転走面としての転動体転走面41a、外方部材としての移動体43が有する負荷転走面としての転動体転走面43aおよび複数の転動体として設置されるボール42…の少なくとも1つの表面全面が、ローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープによって形成されることが好適である。
(転動体ねじ装置への適用例)
また、本実施形態に係る転がり案内装置は、例えば、図6において示されるようなボールねじ装置56として構成することが可能である。図6は、本実施形態に係る転がり案内装置をボールねじ装置として構成した場合を例示する図である。かかるボールねじ装置56は、内方部材としてのねじ軸57と、このねじ軸57に複数のボール58を介して相対回転可能に取り付けられる外方部材としてのナット部材59とを備えた装置である。
ねじ軸57は、外周面に螺旋状の転走面としての転動体転走溝57aが形成される内方部材であり、一方、ナット部材59は、内周面に転動体転走溝57aに対応する螺旋状の負荷転走面としての負荷転走溝が形成される外方部材である。ねじ軸57のナット部材59に対する相対的な回転運動に伴って、ナット部材59がねじ軸57に対して相対的に往復運動可能となっている。
そして、ボールねじ装置56を構成するねじ軸57の転動体転走溝57aやナット部材59の負荷転走溝、転動体としてのボール58の表面全面に対して、上述したローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープを形成することができる。かかる構成の採用によって、寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たなボールねじ装置56を実現することができる。
(スプライン装置への適用例)
さらに、本実施形態に係る転がり案内装置は、例えば、図7において示されるようなスプライン装置60として構成することが可能である。図7は、本実施形態に係る転がり案内装置をスプライン装置として構成した場合を例示する図である。
ここで、図7に示されるスプライン装置60の構成を簡単に説明すると、スプライン装置60は、内方部材としてのスプライン軸61と、そのスプライン軸61に複数の転動体としてのボール62…を介して移動自在に取り付けられた外方部材としての円筒状の外筒63とを有している。スプライン軸61の表面には、ボール62の軌道となり、スプライン軸61の軸線方向に延びる転走面としての転動体転走面61a…が形成されている。スプライン軸61に取り付けられる外筒63には、転動体転走面61aに対応する負荷転走面としての負荷転動体転走面が形成される。これらの負荷転動体転走面には、転動体転走面61a…が伸びる方向に伸びる複数条の突起が形成されている。外筒63に形成した負荷転動体転走面とスプライン軸61に形成した転動体転走面61aとの間で負荷転走路が形成される。負荷転走路の隣には、荷重から解放されたボール62…が移動する無負荷戻し通路が形成されている。外筒63には、複数のボール62…をサーキット状に整列・保持する保持器64が組み込まれている。そして、複数のボール62…が、外筒63の負荷転動体転走面とスプライン軸61の転動体転走面61aとの間に転動自在に設置され、無負荷戻し通路を通って無限循環するように設置されることによって、外筒63がスプライン軸61に対して相対的に往復運動可能となっている。
そして、図7において示すスプライン装置60の場合においても、スプライン装置60を構成するスプライン軸61の転動体転走面61aや外筒63の負荷転動体転走面、転動体としてのボール62の表面全面に対して、上述したローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープを形成することができる。かかる構成の採用によって、寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たなスプライン装置60を実現することができる。
(回転ベアリング装置への適用例)
またさらに、本実施形態に係る転がり案内装置は、例えば、図8Aおよび図8Bにおいて示されるような回転ベアリング装置70として構成することが可能である。ここで、図8Aは、本実施形態に係る転がり案内装置を回転ベアリング装置として構成した場合の一形態を例示する部分縦断斜視図である。また、図8Bは、図8Aに示す回転ベアリング装置の縦断面を示す図である。
図8Aおよび図8Bに示すように、回転ベアリング装置70として構成される転がり案内装置は、外周面に断面V字形状の内側転走面72を有する内方部材としての内輪71と、内周面に断面V字形状の外側転走面74を有する外方部材としての外輪73と、内側転走面72と外側転走面74とによって形成される断面略矩形状の軌道路75の間に転動可能にクロス配列される複数の転動体としてのローラ77…とを有することにより、内輪71および外輪73が周方向に相対的な回転運動を行うものである。
このような回転ベアリング装置70の場合においても、回転ベアリング装置70を構成する内輪71の内側転走面72や外輪73の外側転走面74、転動体としてのローラ77の表面全面に対して、上述したローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープを形成することができる。かかる構成の採用によって、寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たな回転ベアリング装置70を実現することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、図9において示されるような、リニアモーションガイドとボールねじが組み合わされて一体構造となっている形式の転がり案内装置90について、本発明を適用することが可能である。図9において示す転がり案内装置90の場合、ねじ軸91と移動ブロック93とは、複数のボール95…を介して設置されており、このような転がり接触する箇所に本発明を適用することで、上述した本実施形態と同様の作用効果を発揮し得る転がり案内装置90を実現することが可能となる。
また、上述した実施形態や実施例では、本発明を適用可能な転動体としてボール42、58、62、95やローラ77を例示したが、本発明を適用可能な転動体はこれらに限られず、円筒形や円錐形をしたコロなど、あらゆる転動体に本発明を適用することが可能である。
なお、本発明に係る転がり案内装置の転動体にローラを適用した場合、ローラが負荷を受けることとなるローラの転走面に対して、テープ状に形成された固体潤滑テープを基材に貼り付けた上で、転圧加圧加工を受けて形成される固体潤滑材を適用できることはもちろんであるが、本発明の適用範囲は、負荷を受ける転走面に限られるものではない。すなわち、本発明に係る固体潤滑材を、ローラの転走面以外の両端面と、当該両端面と対向する外方部材の部位とを含む箇所に対して、形成することも好適である。負荷を受ける転走面以外の箇所に対して本発明に係る固体潤滑材を適用することによっても、寿命向上や稼働速度向上を実現した転がり案内装置を得ることが可能となる。
また、上述した実施形態では、固体潤滑テープとしてPTFEテープ12を用いた場合を例示したが、本発明者らの研究によって、超高分子量ポリエチレンテープやナイロンテープ、あるいはPEEKテープなどといった、他の固体潤滑テープを用いた場合であっても、上述した本実施形態と同様の作用効果を得られることが確認されている。つまり、本発明に係る固体潤滑テープを、PTFEテープ、超高分子量ポリエチレンテープ、ナイロンテープ又はPEEKテープのうちの少なくとも1つによって構成することで、高負荷環境下での接線力低減による転がり要素部品の寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たな転がり案内装置を提供することが可能となる。
また、上述した実施形態では、固体潤滑テープを貼り付ける基材11が金属材料によって構成されている場合を例示したが、基材11の材質については、例えば、CFRP等の樹脂材料を採用することも可能である。樹脂材料から成る基材11の転走面に対して上述したローラバニシング加工を受けた固体潤滑テープを形成することで、寿命向上や稼働速度向上を実現することのできる新たな転がり案内装置を実現することができる。
また、上述した実施形態では、表面処理としてショットピーニングを用いたが、例えば、ケミカルエッチングによりディンプルを形成する手法を採用しても、上述した本実施形態と同様の効果を得ることができる。
その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
11 基材、12 PTFEテープ、15 試料、21 ディンプル、22 メディア、23 バニシングロール、30 試験機、31 回転台、32 ガイド、33 保持器、34 ボール、40 リニアガイド装置、41 軌道レール、41a 転動体転走面、42 ボール、43 移動体、43a 負荷転動体転走面、48,49 ねじ孔、52 負荷転走路、53 無負荷転走路、55 方向転換路、56 ボールねじ装置、57 ねじ軸、57a 転動体転走溝、58 ボール、59 ナット部材、60 スプライン装置、61 スプライン軸、61a 転動体転走面、62 ボール、63 外筒、64 保持器、70 回転ベアリング装置、71 内輪、72 内側転走面、73 外輪、74 外側転走面、75 軌道路、77 ローラ、90 転動装置、91 ねじ軸、93 移動ブロック、95 ボール。

Claims (5)

  1. 外面に転走面を有する内方部材と、
    前記内方部材の前記転走面に対向する負荷転走面を有して前記内方部材の外側に配置された外方部材と、
    前記転走面と前記負荷転走面との間に転動自在に配置された複数の転動体と、
    を備える転がり案内装置において、
    前記内方部材が有する前記転走面、前記外方部材が有する前記負荷転走面および前記転動体のうちの少なくとも1つが、金属材料又は樹脂材料から成る基材と、当該基材の表層に形成される固体潤滑材とから構成されており、
    前記固体潤滑材は、テープ状に形成された固体潤滑テープを前記基材に貼り付けた上で、転圧加圧加工を受けて形成されていることを特徴とする転がり案内装置。
  2. 請求項1に記載の転がり案内装置において、
    前記固体潤滑テープが貼り付けられる前記基材の表面は、表面処理を受けることでディンプルが形成されており、
    前記固体潤滑テープが前記ディンプルを埋めて配置されていることを特徴とする転がり案内装置。
  3. 請求項1又は2に記載の転がり案内装置において、
    前記固体潤滑材は、前記内方部材が有する前記転走面、前記外方部材が有する前記負荷転走面又は前記転動体の表面の一部を覆って形成されていることを特徴とする転がり案内装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の転がり案内装置において、
    前記固体潤滑テープは、PTFEテープ、超高分子量ポリエチレンテープ、ナイロンテープ又はPEEKテープのうちの少なくとも1つによって構成されていることを特徴とする転がり案内装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の転がり案内装置において、
    前記転動体はローラであり、
    前記固体潤滑材が、前記ローラの転走面以外の両端面と、当該両端面と対向する前記外方部材の部位とを含む箇所に形成されていることを特徴とする転がり案内装置。
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