JP2007100759A - 転がり軸受 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高速回転下で使用した場合であっても、潤滑性能の向上を図りつつ、低トルク化や発熱量の減少を図ることができる転がり軸受を提供する。
【解決手段】 内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aに、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μ以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層4を介して、潤滑油Jに対する接触角θが50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層5を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aに、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μ以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層4を介して、潤滑油Jに対する接触角θが50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層5を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、転がり軸受に関する。
工作機械の主軸を支持するために用いられる転がり軸受としては、アンギュラ玉軸受や円筒ころ軸受、或いはこれらを組み合わせたものを用いることが知られている。工作機械の主軸は、加工精度と生産性の向上を図るために回転の高速化が望まれているが、主軸を支持する転がり軸受は高速回転下で使用する程、予荷重が増大してトルクが大きくなるとともに、発熱量が多くなるため、焼付きや軸受損傷が生じ易くなる。また、転がり軸受において発熱量が多くなると、工作機械全体が熱変形して加工精度が低下する場合もある。
このため、特許文献1では、内輪軌道面、外輪軌道面、及び転動面のうち少なくとも一つの転がり面に撥油処理を施して、軸受内の潤滑剤(例えば、潤滑油やグリース)をそれ自身の表面張力で転がり面に保持することにより、トルクや発熱量の上昇を抑制し、焼付きや軸受損傷を生じ難くする技術が提案されている。
特開平10−176719号公報
近年、工作機械の更なる加工精度及び生産性の向上を図るために、主軸の更なる高速回転化が進むにつれて、この主軸を支持する転がり軸受においては、潤滑性能の向上を図りつつ、更なる低トルク化や発熱量の減少を図ることが要求されている。また、環境問題の観点から、自動車の燃費や風力発電機の発電効率の向上を図るために、これらに用いられる転がり軸受においても、潤滑性能の向上を図りつつ、更なる低トルク化や発熱量の減少を図ることが要求されている。
しかしながら、上述した特許文献1に記載の転がり軸受には、高速回転下で使用されると、転がり面に施した撥油処理による被膜が剥離し易くなり、潤滑性能の向上を図りつつ、さらなる低トルク化や発熱量の減少を図ることが難しいという問題がある。
そこで、本発明は、このような従来の問題に着目してなされたものであり、高速回転下で使用した場合であっても、潤滑性能の向上を図りつつ、低トルク化や発熱量の減少を図ることができる転がり軸受を提供することを課題としている。
そこで、本発明は、このような従来の問題に着目してなされたものであり、高速回転下で使用した場合であっても、潤滑性能の向上を図りつつ、低トルク化や発熱量の減少を図ることができる転がり軸受を提供することを課題としている。
このような課題を解決するために、本発明は、内輪と、外輪と、複数の転動体と、を備え、前記内輪及び前記外輪の軌道面と前記転動体の転動面との間が潤滑剤により潤滑される転がり軸受において、前記軌道面及び前記転動面のうち少なくとも一つの転がり面の表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下であるとともに、この転がり面に前記潤滑剤に対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施されていることを特徴とする転がり軸受を提供する。
本発明によれば、軌道面及び転動面のうち少なくとも一つの転がり面の表面粗さ(Ra)を0.05μm以上2.0μm以下とし、この転がり面に潤滑剤(例えば、潤滑油やグリース)に対する接触角が50°以上となるような撥油処理を施したことにより、撥油処理による被膜が転がり面に形成した凹部に保持されて、転がり面に密着して形成できるようになる。このため、転がり面と潤滑剤との接触面で速度勾配が小さく(つまり、見かけの動粘度が小さく)なるため、潤滑性能の向上を図りつつ、転がり軸受の低トルク化及び発熱量の減少を図ることができる。
ここで、高速回転下において、潤滑性能の向上を図りつつ、低トルク化及び発熱量の減少を図るために、潤滑剤に対する接触角が50°以上となるような撥油処理を施す。一方、潤滑剤に対する接触角は、180°に近づく程、油をはじく能力(撥油性)が向上するため、出来るだけ大きくすることが好ましいが、撥油処理に要するコストを考慮して、潤滑剤に対する接触角が160°以下となるような撥油処理を施すことが好ましい。
また、撥油処理による被膜を転がり面に密着して形成するために、転がり面の表面粗さ(Ra)は0.05μm以上とする。一方、低トルク化及び発熱量の減少を図るために、転がり面の表面粗さ(Ra)は2.0μm以下とする。
本発明の転がり軸受は、例えば、工作機械、自動車等のトランスミッション、ターボチャージャ、風力発電機の回転部を支持する転がり軸受として好適に用いることができる。
なお、転がり面の表面粗さ(Ra)は、例えば、転がり面に、略球状をなすショット材(例えば、直径2.5μm以上60μm以下のショット粉末)を所定の噴射圧力(例えば、0.2MPa以上1.0MPa)で噴射(ショットピーニング)することで調節することができる。
本発明の転がり軸受は、例えば、工作機械、自動車等のトランスミッション、ターボチャージャ、風力発電機の回転部を支持する転がり軸受として好適に用いることができる。
なお、転がり面の表面粗さ(Ra)は、例えば、転がり面に、略球状をなすショット材(例えば、直径2.5μm以上60μm以下のショット粉末)を所定の噴射圧力(例えば、0.2MPa以上1.0MPa)で噴射(ショットピーニング)することで調節することができる。
また、本発明における撥油処理の方法としては、例えば、撥油剤を希釈した溶液中に転動部材(内輪、外輪、及び転動体)を所定時間浸漬させた後に引きあげて、転動部材に付着した溶液を乾燥させる方法や、転動部材の転がり面に撥油剤を希釈した溶液をスプレーを用いて噴射して、転動部材に付着した溶液を乾燥させる方法や、テフロン(登録商標)等のフッ素系改質膜をスパッタリングすることによる方法が挙げられる。特に、転がり面に撥油処理を薄く均一に施すためには、撥油剤を希釈した溶液中に転動部材を所定時間浸漬させた後に引きあげて、転動部材に付着した溶液を乾燥させる方法を用いることが好ましい。
撥油剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤、フッ素系シランカップリング剤、フッ素系ポリマー等のフッ素系処理剤が挙げられる。なお、潤滑剤として、鉱油又は合成油の潤滑油を使用する場合には、撥油剤としてフッ素系界面活性剤を用いることが好ましい。 さらに、撥油処理による被膜の潤滑剤に対する接触角は、例えば、撥油剤を希釈した溶液の希釈率、乾燥前の付着量、及び乾燥条件等によって調整することができる。
本発明の転がり軸受によれば、軌道面及び転動面のうち少なくとも一つの転がり面の表面粗さ(Ra)を0.05μm以上2.0μm以下とするとともに、この転がり面に潤滑剤に対する接触角が50°以上となるような撥油処理を施すことにより、撥油処理による被膜を転がり面に密着して形成できる。よって、高速回転下で使用した場合であっても、潤滑性能の向上を図るとともに、低トルク化や発熱量の減少を図ることができる。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
<第一実施形態>
図1は、本発明に係る転がり軸受として玉軸受の一例を示す断面図である。
本実施形態の玉軸受は、図1に示すように、内輪1と、外輪と、玉3とからなり、内輪1及び外輪2の軌道面(転がり面)1a,2aには、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施された凹凸部(以下、「ショットピーニング層」と記す。)4を介して、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aとからなる転がり面に供給された潤滑油(潤滑剤)Jに対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施された層(以下、「撥油性層」と記す。)5が形成されている。
本実施形態の玉軸受では、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aにショットピーニング層4を介して撥油性層5が形成されているため、軌道面1a,2aに撥油性層5を密着して形成することができる。
<第一実施形態>
図1は、本発明に係る転がり軸受として玉軸受の一例を示す断面図である。
本実施形態の玉軸受は、図1に示すように、内輪1と、外輪と、玉3とからなり、内輪1及び外輪2の軌道面(転がり面)1a,2aには、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施された凹凸部(以下、「ショットピーニング層」と記す。)4を介して、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aとからなる転がり面に供給された潤滑油(潤滑剤)Jに対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施された層(以下、「撥油性層」と記す。)5が形成されている。
本実施形態の玉軸受では、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aにショットピーニング層4を介して撥油性層5が形成されているため、軌道面1a,2aに撥油性層5を密着して形成することができる。
<第二実施形態>
図2は、本発明に係る転がり軸受として玉軸受の他の例を示す断面図である。
本実施形態の玉軸受は、図2に示すように、内輪1と、外輪と、玉3とからなり、玉3の転動面(転がり面)3aには、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層4を介して、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aとからなる転がり面に供給される潤滑油(潤滑剤)Jに対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層5が形成されている。
本実施形態の玉軸受では、玉3の転動面3aにショットピーニング層4を介して撥油性層5が形成されているため、転動面3aに撥油性層5を密着して形成することができる。
図2は、本発明に係る転がり軸受として玉軸受の他の例を示す断面図である。
本実施形態の玉軸受は、図2に示すように、内輪1と、外輪と、玉3とからなり、玉3の転動面(転がり面)3aには、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層4を介して、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aとからなる転がり面に供給される潤滑油(潤滑剤)Jに対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層5が形成されている。
本実施形態の玉軸受では、玉3の転動面3aにショットピーニング層4を介して撥油性層5が形成されているため、転動面3aに撥油性層5を密着して形成することができる。
<第三実施形態>
図3は、本発明に係る転がり軸受として玉軸受の他の例を示す断面図である。
本実施形態の玉軸受は、図3に示すように、内輪1と、外輪と、玉3とからなり、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aには、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層4を介して、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aとからなる転がり面に供給される潤滑油(潤滑剤)Jに対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層5が形成されている。
図3は、本発明に係る転がり軸受として玉軸受の他の例を示す断面図である。
本実施形態の玉軸受は、図3に示すように、内輪1と、外輪と、玉3とからなり、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aには、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層4を介して、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aとからなる転がり面に供給される潤滑油(潤滑剤)Jに対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層5が形成されている。
本実施形態の玉軸受では、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aと玉3の転動面3aにショットピーニング層4を介して撥油性層5が形成されているため、軌道面1a,2a及び転動面3aに撥油性層5を密着して形成することができる。
なお、本実施形態では、転がり軸受の一例として単列の玉軸受について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、複列の軌道面を有する複列の転がり軸受や、保持器を有する転がり軸受や、転動体としてころを用いた転がり軸受に適用してもよい。
また、本実施形態では、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aや玉3の転動面3aのみにショットピーニング層4及び撥油性層5を形成した場合について説明したが、これら以外の部分(例えば、内輪1及び外輪2の内外周面や軸方向端面)にもショットピーニング層4や撥油性層5を形成するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、転がり軸受の一例として単列の玉軸受について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、複列の軌道面を有する複列の転がり軸受や、保持器を有する転がり軸受や、転動体としてころを用いた転がり軸受に適用してもよい。
また、本実施形態では、内輪1及び外輪2の軌道面1a,2aや玉3の転動面3aのみにショットピーニング層4及び撥油性層5を形成した場合について説明したが、これら以外の部分(例えば、内輪1及び外輪2の内外周面や軸方向端面)にもショットピーニング層4や撥油性層5を形成するようにしてもよい。
以下、本発明の効果を検証した結果について、図面を参照しながら説明する。
本実施例では、転がり軸受の一例として、呼び番号7305ACTYの単列アンギュラ玉軸受(内径:25mm,外径:62mm,幅:17mm)No.1〜No.25を、以下に示す手順で製した。
まず、高炭素クロム軸受鋼二種(SUJ2)からなる素材を所定形状に加工した後、熱処理を施すことにより、転動部材として内輪、外輪及び玉(転動体)を作製した。
次に、No.1〜No.15、No.17〜No.19、No.22〜No.25の玉軸受を構成する転動部材のうち少なくとも一つの転がり面(軌道面や転動面)に、ショットピーニング層を形成した。具体的には、直径20μmの鋼球(ショット材)を噴射圧0.5MPaで噴射するショットピーニング処理により形成した。
本実施例では、転がり軸受の一例として、呼び番号7305ACTYの単列アンギュラ玉軸受(内径:25mm,外径:62mm,幅:17mm)No.1〜No.25を、以下に示す手順で製した。
まず、高炭素クロム軸受鋼二種(SUJ2)からなる素材を所定形状に加工した後、熱処理を施すことにより、転動部材として内輪、外輪及び玉(転動体)を作製した。
次に、No.1〜No.15、No.17〜No.19、No.22〜No.25の玉軸受を構成する転動部材のうち少なくとも一つの転がり面(軌道面や転動面)に、ショットピーニング層を形成した。具体的には、直径20μmの鋼球(ショット材)を噴射圧0.5MPaで噴射するショットピーニング処理により形成した。
次に、ショットピーニング層が形成された後の転がり面と、No.20の玉軸受を構成する玉の転動面と、No.21の玉軸受を構成する内輪及び外輪の軌道面とに、撥油性層を形成した。具体的には、撥油剤として、下記(1)式で示されるフッ素系界面活性剤(パーフルオロアルキル−エチルアクリレート共重合体,日本メクトロン株式会社製,ノックスガードST−430)を希釈した溶液をスプレーを用いて噴射して、転動部材に付着した溶液を乾燥させることにより、撥油性層を形成した。この時、撥油性層の潤滑剤に対する接触角θを変化させるために、乾燥前の溶液の付着量を調整した。
但し、上記(1)中のl,m,nはそれぞれ1〜30の整数である。
その後、公知の接触角試験機を用いて、各転がり面に潤滑剤を滴下して、潤滑剤に対する接触角θを以下に示す条件で測定した。この結果を、表1に併せて示した。
<接触角測定条件>
試験温度:室温(約25.0℃)
潤滑剤:ポリーαーオレフィン油(40℃における動粘度:30.3mm2 /s)
潤滑剤滴下量:3μl
接触角の観察条件:潤滑剤を滴下してから6秒後
その後、公知の接触角試験機を用いて、各転がり面に潤滑剤を滴下して、潤滑剤に対する接触角θを以下に示す条件で測定した。この結果を、表1に併せて示した。
<接触角測定条件>
試験温度:室温(約25.0℃)
潤滑剤:ポリーαーオレフィン油(40℃における動粘度:30.3mm2 /s)
潤滑剤滴下量:3μl
接触角の観察条件:潤滑剤を滴下してから6秒後
また、No.1とNo.16の玉軸受を構成する内輪及び外輪の軌道面においては、潤滑剤を滴下してから6秒経過するまでの潤滑剤に対する接触角θの測定を連続して行い、潤滑剤に対する接触角θの経時変化を示す図4のグラフを作成した。
次に、このようにして得られた転動部材と、ポリアミド製でショットピーニング層及び撥油性層が形成されていない保持器と、を用いて表1に示すNo.1〜No.25の玉軸受を組み立てた後、転がり面に上述した接触角θの測定時と同様の潤滑剤を供給した。
次に、このようにして得られた転動部材と、ポリアミド製でショットピーニング層及び撥油性層が形成されていない保持器と、を用いて表1に示すNo.1〜No.25の玉軸受を組み立てた後、転がり面に上述した接触角θの測定時と同様の潤滑剤を供給した。
次に、これらの玉軸受を、高速回転下で使用することを想定した以下に示す条件で回転させることにより、トルク試験を行った。
このトルク試験では、No.1とNo.16の玉軸受のトルク試験開始から480秒経過するまでのトルクを連続して測定し、回転時間とトルクとの関係を示す図5のグラフを作成した。
また、このトルク試験では、トルク試験開始から480秒経過後のトルクを測定し、転がり面にショットピーニング層及び撥油性層のいずれも形成していないNo.16の玉軸受のトルクに対する減少率を算出した。この結果は、トルク減少率として表1に併せて示した。また、この結果を用いて、撥油性層の潤滑剤に対する接触角θと、トルク減少率との関係を示す図6のグラフを作成した。
このトルク試験では、No.1とNo.16の玉軸受のトルク試験開始から480秒経過するまでのトルクを連続して測定し、回転時間とトルクとの関係を示す図5のグラフを作成した。
また、このトルク試験では、トルク試験開始から480秒経過後のトルクを測定し、転がり面にショットピーニング層及び撥油性層のいずれも形成していないNo.16の玉軸受のトルクに対する減少率を算出した。この結果は、トルク減少率として表1に併せて示した。また、この結果を用いて、撥油性層の潤滑剤に対する接触角θと、トルク減少率との関係を示す図6のグラフを作成した。
さらに、このトルク試験では、転がり面に撥油性層が形成されたNo.1〜No.15,No.17〜No.25の玉軸受のトルクが初期値の40%上昇するまでの回転時間を測定し、この回転時間を撥油性層の寿命とした。この結果は、上述した特許文献1に相当するNo.20の撥油性層の寿命を100%とした時の割合を算出し、撥油性層の寿命として表1に併せて示した。
さらに、このトルク試験では、No.1〜No.25の玉軸受のトルク試験前と480秒試験後の軸受温度の測定も行った。この結果は、軸受温度として表1に併せて示した。<トルク試験条件>
試験機:日本精工株式会社製トルク試験機
潤滑剤:ポリーαーオレフィン油(40℃における動粘度:30.3mm2 /s)
潤滑剤充填量:0.3g
ラジアル荷重:30N
アキシャル荷重:400N
回転速度:8700min-1
さらに、このトルク試験では、No.1〜No.25の玉軸受のトルク試験前と480秒試験後の軸受温度の測定も行った。この結果は、軸受温度として表1に併せて示した。<トルク試験条件>
試験機:日本精工株式会社製トルク試験機
潤滑剤:ポリーαーオレフィン油(40℃における動粘度:30.3mm2 /s)
潤滑剤充填量:0.3g
ラジアル荷重:30N
アキシャル荷重:400N
回転速度:8700min-1
表1に示すように、No.1〜No.15の玉軸受では、No.16〜No.25の玉軸受と比べて、トルク減少率が大きく、回転前後の軸受温度の差が小さく、さらに撥油性層の寿命が長くなっていた。
また、図4に示すように、No.1の玉軸受では、潤滑剤に対する接触角θが、滴下時と滴下してから6秒経過後とで略同一になっていた。一方、No.16の玉軸受では、時間とともに接触角θが小さくなり、滴下してから6秒経過後の接触角θが滴下時の接触角θの17%以下になっていた。
さらに、図5に示すように、No.1の玉軸受では、約480秒回転後のトルクが、No.16の玉軸受の約半分まで減少していた。
さらに、図6に示すように、潤滑剤に対する接触角θが50°以上であると、玉軸受のトルク減少率がNo.20の約30%以上となっていることが分かる。
また、図4に示すように、No.1の玉軸受では、潤滑剤に対する接触角θが、滴下時と滴下してから6秒経過後とで略同一になっていた。一方、No.16の玉軸受では、時間とともに接触角θが小さくなり、滴下してから6秒経過後の接触角θが滴下時の接触角θの17%以下になっていた。
さらに、図5に示すように、No.1の玉軸受では、約480秒回転後のトルクが、No.16の玉軸受の約半分まで減少していた。
さらに、図6に示すように、潤滑剤に対する接触角θが50°以上であると、玉軸受のトルク減少率がNo.20の約30%以上となっていることが分かる。
以上の結果より、軌道面及び転動面のうち少なくとも一つの転がり面に、表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下となるようなショットピーニング処理が施されたショットピーニング層を介して、潤滑剤に対する接触角θが50°以上となるような撥油処理が施された撥油性層を形成することにより、転がり面に撥油性層を密着して形成できるとともに、玉軸受のトルクを小さく、且つ、発熱量を小さくできることが分かった。
1 内輪
1a 軌道面(転がり面)
2 外輪
2a 軌道面(転がり面)
3 玉
3a 転動面(転がり面)
4 ショットピーニング層
5 撥油性層
J 潤滑油(潤滑剤)
1a 軌道面(転がり面)
2 外輪
2a 軌道面(転がり面)
3 玉
3a 転動面(転がり面)
4 ショットピーニング層
5 撥油性層
J 潤滑油(潤滑剤)
Claims (1)
- 内輪と、外輪と、複数の転動体と、を備え、前記内輪及び前記外輪の軌道面と前記転動体の転動面との間が潤滑剤により潤滑される転がり軸受において、
前記軌道面及び前記転動面のうち少なくとも一つの転がり面の表面粗さ(Ra)が0.05μm以上2.0μm以下であるとともに、この転がり面に前記潤滑剤に対する接触角が50°以上となるような撥油処理が施されていることを特徴とする転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005289230A JP2007100759A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005289230A JP2007100759A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 転がり軸受 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007100759A true JP2007100759A (ja) | 2007-04-19 |
Family
ID=38027917
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005289230A Pending JP2007100759A (ja) | 2005-09-30 | 2005-09-30 | 転がり軸受 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007100759A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010190390A (ja) * | 2009-02-20 | 2010-09-02 | Meijo Univ | 転がり摺動部材及び転がり軸受並びに転がり摺動部材の製造方法 |
JP2013076469A (ja) * | 2013-01-21 | 2013-04-25 | Meijo Univ | 転がり摺動部材及び転がり軸受並びに転がり摺動部材の製造方法 |
EP3699446A1 (en) * | 2019-02-21 | 2020-08-26 | Siemens Gamesa Renewable Energy A/S | Rolling bearing and wind turbine comprising a rolling bearing |
-
2005
- 2005-09-30 JP JP2005289230A patent/JP2007100759A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN111594549A (zh) * | 2019-02-21 | 2020-08-28 | 西门子歌美飒可再生能源公司 | 滚动轴承和包括滚动轴承的风力涡轮机 |
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