JP6699855B2 - シリカ系スケール防止剤及び防止方法 - Google Patents
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Description
これらのうち、炭酸カルシウムスケールの付着や堆積の防止には、アクリル酸(AA)、メタクリル酸、マレイン酸又はイタコン酸等を重合したカルボキシル基を有する重合体や、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸(HEDP)又は2−ホスホノブタン−1,3,4−トリカルボン酸(PBTC)等のホスホン酸等が有効であることが知られている。
その他のスケール種の付着や堆積防止には、アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体の少なくとも1種と、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(AMPS)、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HAPS)、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(HEMA)及びt−ブチルアクリルアミド(tBuAA)等の単量体から選ばれる少なくとも1種との共重合体が、用途に応じて使用されている。
また、特許文献2には、シリカ系スケール及びリン酸カルシウム系スケールに対して有効なスケール防止剤として、アクリル酸と、1〜100モルのエチレンオキシドを含むアンモニウムアリルポリエトキシサルフェート(APES)と、HAPSとの3元共重合体を水系に添加することが記載されている。
[1](メタ)アクリル酸と、下記一般式(1)及び(2)に示すオキシアルキレン系単量体のうちの少なくともいずれか1種とを構成単量体として含む共重合体を含有する、シリカ系スケール防止剤。
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2は単結合、メチレン基又はエチレン基を表す。Z1は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。mは1〜100の整数である。)
(式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を表す。R4は単結合、メチレン基又はエチレン基を表す。nは1〜100の整数である。X1及びX2は少なくともいずれか一方が水酸基であり、他は−SO3M(Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基及び有機アンモニウム基のうちのいずれかである。)。)
したがって、本発明のシリカ系スケール防止剤は、石油化学コンビナートや一般工場、ビル空調等に設置されている熱交換器や冷凍機を備えた冷却水系やボイラ水系に好適に適用することができ、特に、濃縮倍数が高い開放循環冷却水系におけるシリカ系スケール防止に有効である。また、洗浄水系や膜処理に係る水系、地熱発電所の還元井に係る水系等の種々の水系にも好適に適用することができる。
本発明のシリカ系スケール防止剤は、(メタ)アクリル酸と、下記一般式(1)及び(2)に示すオキシアルキレン系単量体のうちの少なくともいずれか1種とを構成単量体として含む共重合体を含有するものである。
このような、(メタ)アクリル酸と、特定の構造を有するオキシアルキレン系単量体とを少なくとも有する2元以上の共重合体を必須成分とするスケール防止剤によれば、優れたシリカ系スケール防止効果が得られる。
前記共重合体の単量体の1種である(メタ)アクリル酸は、アクリル酸でも、メタクリル酸(メタアクリル酸)であってもよいことを意味する。これらは、いずれか一方を用いても、両方を併用してもよい。
前記共重合体の構成単量体の1種として、下記一般式(1)又は(2)に示すいずれかのオキシアルキレン系単量体を含む。このオキシアルキレン系単量体は、一般式(1)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種と、一般式(2)で表される化合物群から選ばれる少なくとも1種とを、単独で用いても、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
ここで、Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基及び有機アンモニウム基のうちのいずれかである。前記金属原子としては、例えば、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。前記有機アミン基としては、例えば、モノエタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等が挙げられる。前記有機アンモニウム基としては、例えば、酢酸アンモニウム基等が挙げられる。
また、一般式(2)で表されるオキシアルキレン系単量体の代表例であるIPES10は、IPN10の末端水酸基において、エピクロルヒドリンによるエーテル合成を行い、得られた化合物のエポキシ末端に、亜硫酸水素ナトリウムを付加反応させることにより得られる。後述する実施例において、具体的な合成例を示す。
前記共重合体は、(メタ)アクリル酸と前記オキシアルキレン系単量体の2種の構成単量体からなる2元共重合体でもよく、あるいはまた、本発明の効果を阻害しない範囲内においてその他の構成単量体を含む3元以上の共重合体であってもよい。
3元以上の共重合体である場合、すべての構成単量体100モル%中、(メタ)アクリル酸と前記オキシアルキレン系単量体の2種の構成単量体の合計は、十分なシリカ系スケール防止効果の観点から、70モル%以上であることが好ましく、より好ましくは85モル%以上である。
3元以上の共重合体である場合、(メタ)アクリル酸と前記オキシアルキレン系単量体の2種の構成単量体以外の単量体としては、AMPS、HAPS、(メタ)アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体、及びこれらの塩;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルホルムアミド、N−ビニル−メチルアセトアミド、N−ビニルオキサゾリドン等のN−ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド等の窒素含有ノニオン性不飽和単量体、3−(メタ)アリルオキシ−1,2−ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有不飽和単量体;(メタ)アリルアルコールにエチレンオキシドを1〜200モル程度付加させた化合物等のポリオキシエチレン基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;マレイン酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸単量体;スチレン等の芳香族不飽和単量体等が挙げられる。
なお、上記各単量体において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル基でも、メタクリル基(メタアクリル基)でもよいことを意味する。また、「(メタ)アリル」とは、アリル基でも、メタリル基(メタアリル基)でもよいことを意味する。
前記共重合体の重量平均分子量は、3000以上100000未満であることが好ましく、より好ましくは8000以上30000未満である。上記範囲内の重量平均分子量であれば、十分なシリカ系スケール防止効果が得られる。
なお、ここで言う重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC法)による標準ポリアクリル酸換算の値である。
本発明のシリカ系スケール防止剤は、前記共重合体を主成分とするものであるが、本発明の効果を阻害しない範囲内において、他の成分を含んでいてもよい。この場合、シリカ系スケール防止剤中の前記共重合体の含有量は、該共重合体によるシリカ系スケール防止効果を十分に得る観点から、50質量%以上であることが好ましく、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
前記共重合体の製造方法は特に限定されるものではないが、具体的な方法としては、ラジカル重合法により、(メタ)アクリル酸、前記オキシアルキレン系単量体、及び必要に応じて用いられる他の1種以上の単量体を含む単量体混合物を、所定の溶媒中で重合開始剤、及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤やその他の添加剤の存在下で共重合させる方法が挙げられる。
重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物等が好適に用いられる。これらのうち、得られる共重合体のゲル化抑制の観点から、過硫酸塩が好ましく、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムが特に好ましい。
重合開始剤の使用量は、前記単量体混合物の共重合反応が開始可能な量であれば特に限定されないが、前記単量体混合物の全単量体の合計1モルに対して、15g以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10g、さらに好ましくは1〜2gである。
前記共重合体の製造方法においては、共重合体が必要以上に高分子量化することを抑制する観点から、共重合反応に悪影響を及ぼさない範囲内で必要に応じて、連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤の具体例としては、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3−メルカプトプロピオン酸オクチル、2−メルカプトエタンスルホン酸、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール;亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩(次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム等)や、亜硫酸、重亜硫酸、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、及びこれらの塩(重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウム、亜二チオン酸ナトリウム、亜二チオン酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム等;以下、これらを重亜硫酸(塩)類と総称する。)等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、得られる共重合体のゲル化抑制の観点から、重亜硫酸(塩)類が好ましく、重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸カリウム、重亜硫酸アンモニウムが特に好ましい。
連鎖移動剤の添加量は、共重合反応のスムーズな進行を妨げない量であれば特に限定されないが、前記単量体混合物の全単量体の合計に対して、1〜20g/モルであることが好ましく、より好ましくは1.5〜10g/モル、さらに好ましくは2〜4g/モルである。
前記共重合体の製造方法においては、重合開始剤及び連鎖移動剤以外に、共重合反応に悪影響を及ぼさない範囲内で必要に応じて、他の添加剤を添加してもよい。例えば、重金属濃度調整剤、pH調整剤等が挙げられる。
重金属濃度調整剤は、反応促進の観点から添加されるものであり、特に限定されるものではなく、多価金属の化合物又は単体を用いることができる。具体例としては、オキシ三塩化バナジウム、三塩化バナジウム、シュウ酸バナジル、硫酸バナジル、無水バナジン酸、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムハイポバナダス[(NH4)2SO4・VSO4・6H2O]、硫酸アンモニウムバナダス[(NH4)V(SO4)2・12H2O]、酢酸銅(II)、銅、臭化銅(II)、銅(II)アセチルアセトナート、塩化銅(II)アンモニウム、塩化銅(I)アンモニウム、炭酸銅(II)、塩化銅(II)、クエン酸銅(II)、ギ酸銅(II)、水酸化銅(II)、硝酸銅(II)、ナフテン酸銅(II)、オレイン酸銅(II)、マレイン酸銅(II)、リン酸銅(II)、硫酸銅(II)、塩化銅(I)、シアン化銅(I)、ヨウ化銅(II)、酸化銅(I)、チオシアン酸銅(II)、鉄(II)アセチルアセトナート、クエン酸鉄(II)アンモニウム、シュウ酸鉄(III)アンモニウム、硫酸鉄(II)アンモニウム、硫酸鉄(III)アンモニウム、クエン酸鉄(II)、フマル酸鉄(II)、マレイン酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、鉄(II)ペンタカルボニル、リン酸鉄(III)、ピロリン酸鉄(III)等の水溶性多価金属塩(水和物も含む);五酸化バナジウム、酸化銅(II)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)等の多価金属酸化物;硫化鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化銅(II)等の多価金属硫化物;銅粉末、鉄粉末等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
pH調整剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属(ここでは、広義にマグネシウムも含むものとする。)の水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物が好ましく、水酸化ナトリウムが特に好ましい。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。なお、共重合の反応液の粘度の上昇を抑制し、単量体混合物を高濃度の状態で効率的に共重合反応を進行させる観点から、反応液は25℃でpHが1〜6の酸性であることが好ましく、より好ましくは1〜5、さらに好ましくは1〜4である。
前記共重合体の重合反応系の溶媒としては、通常、水、アルコール、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール類等の水性の溶媒が用いられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらのうち、入手容易性、取り扱い容易性等の観点から、水が特に好ましい。
また、前記単量体混合物の溶媒への溶解性を向上させるために、共重合反応に悪影響を及ぼさない範囲内で必要に応じて、有機溶媒を添加してもよい。具体的には、メタノール、エタノール等の低級アルコール;ジメチルホルムアルデヒドなどのアミド類;ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
重合溶媒の使用量は、共重合反応のスムーズな進行等の観点から、前記単量体混合物100質量%に対して、40〜200質量%であることが好ましく、より好ましくは45〜180質量%、さらに好ましくは50〜150質量%である。
なお、重合溶媒は、重合反応前に反応容器内に全量仕込んでおいてもよく、あるいはまた、共重合反応中に、一部を反応系内に添加(滴下)したり、単量体や重合開始剤等の添加剤を予め溶解させた溶媒を、これらの成分とともに反応系内に添加(滴下)してもよい。
前記共重合体の重合温度は、重合反応が効率よく進行すれば、特に限定されるものではないが、50〜99℃であることが好ましく、より好ましくは70〜95℃、さらに好ましくは80〜90℃である。
重合温度に達するまでの昇温時間は、例えば、室温から重合を開始し、1バッチ当たりの重合時間が180分間である場合は、70分以内であることが好ましく、より好ましくは0〜50分間、さらに好ましくは0〜30分間である。その後、重合温度を保持することが好ましい。なお、重合時間が異なる場合には、当該例を参照に、重合時間に対する昇温時間の割合が同様になるように、昇温時間を設定することが好ましい。
前記共重合体の反応系内の圧力は、特に限定されない。装置の簡素化及び製造コストの低減化等の観点からは、常圧(大気圧)が好ましい。
また、空気雰囲気のままでもよいが、重合開始剤の失活防止の観点から、重合開始前に反応系内を窒素等の不活性ガスで置換して不活性雰囲気としておくことが好ましい。
共重合原料である単量体混合物、重合開始剤、連鎖移動剤及びその他の添加剤の混合方法は、特に限定されるものではない。原料のすべてを反応容器内に仕込んでおいてもよいが、原料のうちのいずれか1種以上を、予め溶媒にそれぞれ溶解しておき、反応容器内に仕込んだ溶媒に所定の滴下時間をかけて滴下することが好ましい。滴下用の溶媒は、反応容器内の溶媒と同種であることが好ましい。滴下方法は、連続的でも、断続的でもよい。また、滴下速度は、一定でも、重合温度に応じて変化させてもよい。滴下する溶液は、重合温度を一定に保持する観点から、反応液の温度と同程度に温度調整しておくことが好ましい。
原料を滴下する場合の所要時間は、共重合反応のスムーズな進行の観点から、150〜600分であることが好ましく、より好ましくは160〜450分、さらに好ましくは180〜300分である。
また、各原料溶液の滴下終了時間は、上記と同様の観点から、オキシアルキレン系単量体の方が、(メタ)アクリル酸よりも、1〜50分早いことが好ましく、より好ましくは1〜40分、さらに好ましくは1〜30分早くする。また、(メタ)アクリル酸の方が、重合開始剤よりも1〜30分早いことが好ましく、より好ましくは1〜20分、さらに好ましくは1〜15分早くする。
すべての共重合原料混合後、共重合体の重合度向上の観点から、前記重合温度にて、1〜120分間保持することが好ましく、より好ましくは5〜90分間、さらに好ましくは10〜60分間保持する。
共重合は、上述したとおり、酸性下で行われることが好ましく、得られた共重合体の中和度の調整が必要な場合は、前記pH調整剤と同様の成分の添加により中和度を調整する後処理を行ってもよい。
本発明のシリカ系スケール防止方法は、前記シリカ系スケール防止剤を水系に添加する方法である。本発明のシリカ系スケール防止剤を用いることにより、シリカ系スケールが効果的に防止される。
本発明のシリカ系スケール防止剤は、水系において好適に用いられるものであり、熱交換器や冷凍機等を備えた冷却水系やボイラ水系において発生するシリカ系スケールの付着や堆積防止に有効であり、特に、濃縮倍数が高い開放循環冷却水系におけるシリカ系スケール防止に有効である。ただし、本発明の方法が適用される対象水系は、これらに限定されるものではなく、シリカ系スケールが発生しやすい水系において好適に適用することができる。
なお、水系においては、ろ過器等の各種水処理機器が用いられていてもよい。
前記シリカ系スケール防止方法においては、前記シリカ系スケール防止剤以外に、防食剤、スケール抑制剤(シリカ系スケール抑制剤を除く。)、分散剤、スライムコントロール剤、剥離剤及び消泡剤等から選ばれる1種以上の薬剤を併用してもよい。
例えば、前記シリカ系スケール防止剤では炭酸カルシウムスケール防止効果が不十分である場合、このような効果を補う等の目的で、ポリマレイン酸やホスホン酸をスケール抑制剤として併用してもよい。また、防食効果を付与するために、リン酸塩や重合リン酸塩、亜鉛塩等の防食剤を併用してもよい。
前記シリカ系スケール防止剤の添加方法は、特に限定されるものではない。前記シリカ系スケール防止剤を単独で水系に添加してもよく、あるいはまた、併用される前記薬剤と混合して添加してもよい。また、前記シリカ系スケール防止剤は、任意の濃度に調整した水溶液として添加してもよい。
前記シリカ系スケール防止剤の添加量は、水系の水質に応じて適宜設定されるが、直接添加の場合、又は水溶液としての添加の場合のいずれの方法においても、前記共重合体によるシリカ系スケール防止効果を十分に得る観点から、水系における前記共重合体の濃度が、0.01〜200mg/Lとなるように設定されることが好ましく、より好ましくは2〜50mg/Lである。
下記の各試料の製造において、オキシアルキレン系単量体として、以下に示す単量体A、Bを用いた。
なお、IPN10は、以下のようにして合成した。
ステンレス製高圧反応器に、イソプレノール330g、水酸化ナトリウム4.4g(ナトリウムアルコキシドの理論収量に対して0.22質量%)を仕込み、窒素ガス導入下、撹拌しながら100℃まで昇温した。そして、100℃を保持したまま、気相部のエチレンオキシド濃度が50%以下になるようにして、エチレンオキシド1670gを8時間かけて反応器内に導入した後、さらに2時間、100℃で保持して、エチレンオキシドの付加反応を行い、IPN10 2004.4gを得た。
なお、IPES10は、以下のようにして合成した。
撹拌翼、温度計及び冷却管を備えた1リットル4つ口フラスコに、IPN10 400g、エピクロルヒドリン351.7g、48%水酸化ナトリウム水溶液94.9gを仕込み、50℃で6時間撹拌して反応させた。反応後、生成した塩を除去して得られた有機層からエピクロルヒドリン及び水を除去し、反応液451.2gを得た。液体クロマトグラフィーにて、反応液中にはIPN10 64.1g及びIPES10の中間体324.9gが含まれていることが確認された。
次に、撹拌機、温度計、窒素ガス流入管及び窒素ガス流出口に冷却トラップを備えた1リットルのSUS製セパラブルフラスコに、窒素ガス導入下、純水129.5g、48%水酸化ナトリウム水溶液6.0g、40%亜硫酸水素ナトリウム水溶液50.0gを仕込み、撹拌しながら63℃まで昇温した。これに、撹拌下63℃に保持しながら、前記反応液140.0gを120分間かけて滴下した。このようにして、IPES10を含む溶液を325.5g得た。
撹拌翼、温度計、冷却管、窒素ガス流入管及び3つの滴下装置を備えた500mlフラスコに、水213.4gとモール塩(硫酸鉄(II)アンモニウム6水和物)0.01gを入れ、窒素ガス導入下、撹拌しながら87℃まで昇温した。このフラスコ内に、撹拌しながら、AAの80質量%水溶液96.9gと、IPN10(単量体A)124.6gと、重合開始剤として過硫酸ナトリウムの15質量%水溶液47.3gと、連鎖移動剤として重亜硫酸ナトリウムの35%水溶液17.8gとを、それぞれ滴下した。滴下終了後、87℃で60分間保持した。このようにして、構成単量体がAA82モル%と単量体A18モル%である共重合体(試料1:AA/単量体A=82/18)を得た。
滴下装置を4つ備えたフラスコを用い、水152.6gとモール塩0.01gを入れ、AAの80質量%水溶液89.5gと、単量体A87.3gと、HAPSの40質量%水溶液90.4gと、重合開始剤として重合開始剤として過硫酸ナトリウムの15質量%水溶液61.9gと、重亜硫酸ナトリウムの35%水溶液18.4gとを、それぞれ滴下し、それ以外は、実施例1と同様にして、構成単量体がAA75モル%と単量体A12.5モル%とHAPS12.5モル%である共重合体(試料2:AA/単量体A/HAPS=75/12.5/12.5)を得た。
各構成単量体のモル比を下記表1に示すような組成に変更し、それ以外は試料2と同様にして、試料3,4の共重合体を得た。
撹拌翼、温度計、冷却管、窒素ガス流入管及び3つの滴下装置を備えた500mlフラスコに、水84.2gとモール塩0.01gを入れ、窒素ガス導入下、撹拌しながら87℃まで昇温した。このフラスコ内に、窒素ガス導入下、撹拌しながら、AAの80質量%水溶液110.3gと、IPES10(単量体B)の40質量%水溶液239.2gと、過硫酸ナトリウムの15質量%水溶液45.4gと、重亜硫酸ナトリウムの35%水溶液21.0gとを、それぞれ、滴下した。滴下終了後、60分間87℃を保持した。このようにして、構成単量体がAA90モル%と単量体B10モル%である共重合体(試料5:AA/単量体B=90/10)を得た。
各構成単量体のモル組成比を下記表1に示すように変更し、それ以外は試料5と同様にして、試料6の共重合体を得た。
試料2,3において、単量体Aに代えて単量体Bを用い、それ以外は試料2,3と同様にして、試料7,8の共重合体を得た。
試料1において、単量体Aに代えてHAPS又はAMPSを用い、下記表1に示すようなモル組成比とし、それ以外は試料1と同様にして、試料9,10の共重合体を得た。
試料2において、単量体Aに代えてAPESを用い、それ以外は試料2と同様にして、試料11の共重合体を得た。
前記特許文献1(特開平4−356580号公報)に記載の方法で、構成単量体がAA77モル%とAMPS12モル%とtBuAA11モル%である共重合体(試料12:AA/AMPS/tBuAA=77/12/11)を得た。
上記において製造した各シリカ系スケール防止剤試料の共重合体の重量平均分子量は、高速GPC装置を用いて、以下の測定条件にて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製「HLC−8320GPC」
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製「SHODEX Asahipak GF−310−HQ、GF−710−HQ、GF−1G 7B」
カラム温度:40℃
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液
流速:0.5ml/分
検量線:ポリアクリル酸標準試料(創和科学株式会社製)
上記において製造した各スケール防止剤試料を用いて、以下に示すような熱交換器を備えた、保有水量が0.1m3の循環冷却水系モデルにおけるスケール付着性の評価試験を行った。
(熱交換器)
伝熱面積:約0.01m2
材質:SUS304
循環水チューブ外径:19mm
(冷却水)
カルシウム硬度:250mg−CaCO3/L
マグネシウム硬度:300mg−CaCO3/L
Mアルカリ度:250mg−CaCO3/L
シリカ濃度:200mg−SiO2/L
HEDP濃度:2mg−PO4/L
pH:8.7
(運転条件)
時間:2日間
熱交換器入口温度:30℃
伝熱面表面温度:90℃
循環水チューブ内の通水速度:0.5m/s
なお、表1においては、スケール速度が5mg/cm2/月未満の場合を◎、5mg/cm2/月以上10mg/cm2/月未満の場合を○、10mg/cm2/月以上20mg/cm2/月未満の場合を△、20mg/cm2/月以上の場合を×として示す。
これに対して、AAとHAPS(試料9)、及びAAとAMPS(試料10)の2元共重合体のスケール防止剤試料を用いた場合(比較例1,2)は、十分なシリカ系スケール防止効果は得られなかった。
また、従来例である、単量体A,Bに代えて、これらと異なる構造のエチレングリコール鎖を持つ単量体(APES)とした共重合体のスケール防止剤試料(試料11)を用いた場合(比較例3)、AAとAMPSと置換アクリルアミドであるtBuAAとの共重合体のスケール防止剤試料(試料12)を用いた場合(比較例4)も、十分なシリカ系スケール防止効果は得られなかった。
Claims (3)
- (メタ)アクリル酸と、下記一般式(1)及び(2)に示すオキシアルキレン系単量体のうちの少なくともいずれか1種とを構成単量体として含む共重合体を含有し、
すべての構成単量体100モル%中、(メタ)アクリル酸が70〜95モル%である、シリカ系スケール防止剤。
(式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表す。R2 はメチレン基又はエチレン基を表す。Z1は炭素数2〜4のオキシアルキレン基を表す。mは2〜50の整数である。)
(式(2)中、R3は水素原子又はメチル基を表す。R4は単結合、メチレン基又はエチレン基を表す。nは2〜50の整数である。X1及びX2は少なくともいずれか一方が水酸基であり、他は−SO3M(Mは水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基及び有機アンモニウム基のうちのいずれかである。)。) - 前記式(1)におけるmが5〜10の整数であり、前記式(2)におけるnが5〜10の整数である、請求項1に記載のシリカ系スケール防止剤。
- 請求項1又は2に記載のシリカ系スケール防止剤を水系に添加する、シリカ系スケール防止方法。
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