JP2021098779A - 水硬性組成物用添加剤の製造方法 - Google Patents

水硬性組成物用添加剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エステル化工程における反応液の容量が大きい場合にも、このエステル化工程におけるゲルの発生を抑制し、発生したゲルに起因する配管の閉塞を防止でき、更に、得られる水硬性組成物用添加剤を用いた場合に、従来と同様の性能を有する水硬性組成物を得ることができる水硬性組成物用添加剤の製造方法を提供する。【解決手段】不飽和カルボン酸と、特定の片末端封鎖ポリアルキレングリコールとを、酸触媒、重合禁止剤A、及び重合禁止剤Bを存在させた条件において、反応容器の空隙率を30容量%以上とし、加熱及び減圧条件下でエステル化反応させて、ポリエーテルエステル単量体を得る工程1、及び得られたポリエーテルエステル単量体と、当該ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させる工程2を有する水硬性組成物用添加剤の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、水硬性組成物用添加剤の製造方法に関する。更に詳細には、量産する場合にも、エステル化反応を行う工程においてゲルが発生し難い水硬性組成物用添加剤の製造方法に関する。
従来、モルタルやコンクリートのような水硬性セメント組成物には、水硬性セメント組成物に流動性を付与するためのセメント分散剤が配合されている。そして、このセメント分散剤は、水溶性ビニル共重合体を主成分としており、この水溶性ビニル共重合体の性能がセメント分散剤の機能に大きな影響を与えている。
水溶性ビニル共重合体の製造方法としては、例えば、所定の条件下で、片末端置換ポリアルキレングリコールと、不飽和カルボン酸とをエステル化反応させてポリエーテルエステル単量体を得た後、このポリエーテルエステル単量体とビニル単量体とをラジカル重合させて水溶性ビニル共重合体を得る方法が知られている(特許文献1参照)。このような製造方法によれば、高品質な水溶性ビニル共重合体を製造することができる。
特開2002−265594号公報
しかしながら、特許文献1に記載の製造方法では、実験室レベルでの製造方法を開示しており、例えば100L以上の反応容器を用いてビニル共重合体(水硬性組成物用添加剤)を量産するような場合については記載されていない。ここで、例えば100L以上の反応容器を用いてビニル共重合体を量産するような場合(即ち、エステル化工程における反応液の容量が大きい場合)、別言すれば、特許文献1の製造方法からスケールアップする場合、以下の問題が生じることがあった。即ち、エステル化反応を行う工程において、ゲルが発生し、製造の途中で配管内のフィルタ(ストレーナ)が閉塞するという問題が生じることがあった。このように配管内のストレーナが閉塞すると、製造作業を一旦中断してストレーナの交換作業を行う必要があった。また、製造作業を中断することを避けるために、ストレーナが閉塞する前に、他の配管に流路を切り替えて別のストレーナに流すことで製造するなどの手間がかかっていた。
そこで、ビニル共重合体を量産するような場合にも、エステル化反応を行う工程においてゲルが発生し難く、更に、得られた水硬性組成物用添加剤を用いた場合に、従来と同様の性能(スランプ等について同程度の性能)を有する水硬性組成物を得ることができる水硬性組成物用添加剤の製造方法の開発が切望されていた。
本発明が解決しようとする課題は、ビニル共重合体(水硬性組成物用添加剤)を量産するような場合にも、エステル化反応を行う工程においてゲルが発生し難く、更に、得られた水硬性組成物用添加剤を用いた場合に、従来と同様の性能を有する水硬性組成物を製造することができる水硬性組成物用添加剤の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、本発明の課題を解決すべく研究した結果、ポリエーテルエステル単量体を得る工程1において、特に反応容器の空隙率を30容量%以上とすると、エステル化反応を行う工程においてゲルの発生を抑制することができ、更に、製造される水硬性組成物の性能も従来と同程度に維持されることを見出した。本発明によれば、以下の水硬性組成物用添加剤の製造方法が提供される。
[1] 下記の工程1、及び前記工程1の後に行う下記の工程2を有する水硬性組成物用添加剤の製造方法。
工程1:不飽和カルボン酸と、下記の一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとを、酸触媒、下記重合禁止剤A、及び下記重合禁止剤Bを存在させた条件において、反応容器の空隙率を30容量%以上とし、加熱及び減圧条件下でエステル化反応させて、ポリエーテルエステル単量体を得る工程
Figure 2021098779
(但し、一般式(1)中、Rは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数6〜30の芳香族基を表し、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基を表し、nは1〜300の整数を表す。)
重合禁止剤A:25℃の蒸気圧が0.01Pa以上のリン原子未含有の重合禁止剤
重合禁止剤B:25℃の蒸気圧が0.01Pa未満のリン原子未含有の重合禁止剤
工程2:前記工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、当該ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用添加剤を得る工程
[2] 前記工程1を溶媒の非存在下で行う、前記[1]に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[3] 前記重合禁止剤Aが、パラベンゾキノンを含むものである、前記[1]又は[2]に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[4] 前記重合禁止剤Bが、フェノチアジンを含むものである、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[5] 前記一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する前記重合禁止剤Aの添加割合が、0.01〜0.5質量%であり、
前記一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する前記重合禁止剤Bの添加割合が、0.005〜0.5質量%である、前記[1]〜[4]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[6] 前記工程1で用いる前記反応容器が100L以上である、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[7] 前記工程1で用いる前記反応容器が1000〜50000Lである、前記[1]〜[6]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[8] 前記工程2では、前記反応容器の後段に配置され当該反応容器とは異なる反応容器である第二反応容器を用いて前記水硬性組成物用添加剤を得る、前記[1]〜[7]のいずれかに記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[9] 前記第二反応容器として、100L以上の反応容器を用いる、前記[8]に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
[10] 前記第二反応容器として、1000〜100000Lの反応容器を用いる、前記[8]または[9]に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法によれば、水硬性組成物用添加剤を量産するような場合にも、エステル化反応を行う工程においてゲルが発生し難く、更に、得られた水硬性組成物用添加剤を用いた場合に、従来と同様の性能を有する水硬性組成物を製造することができるという効果を奏する。
以下、本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施形態に対し適宜変更、改良等が加えられ得ることが理解されるべきである。なお、以下の実施例等において、別に記載しない限り、%は質量%を、また部は質量部を意味する。
(1)水硬性組成物用添加剤の製造方法:
本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法の一の実施形態は、下記工程1、及びこの工程1の後に行う下記の工程2を有するものである。
工程1:不飽和カルボン酸と、下記の一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとを、酸触媒、下記重合禁止剤A、及び下記重合禁止剤Bを存在させた条件において、反応容器の空隙率を30容量%以上とし、加熱及び減圧条件下でエステル化反応させて、ポリエーテルエステル単量体を得る工程
Figure 2021098779
(但し、一般式(1)中、Rは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数6〜30の芳香族基を表し、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基を表し、nは1〜300の整数を表す。)
重合禁止剤A:25℃の蒸気圧が0.01Pa以上のリン原子未含有の重合禁止剤
重合禁止剤B:25℃の蒸気圧が0.01Pa未満のリン原子未含有の重合禁止剤
工程2:工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、当該ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用添加剤を得る工程
このような製造方法によれば、水硬性組成物用添加剤を量産するような場合にも、エステル化反応を行う工程においてゲルが発生し難くなる。更に、得られた水硬性組成物用添加剤を用いた場合に、従来と同様の性能を有する水硬性組成物を製造することができる。
(1−1)工程1:
まず、工程1について説明する。不飽和カルボン酸は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等が挙げられる。これらの中でも、特に、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも一つが好ましい。
片末端封鎖ポリアルキレングリコールは、下記一般式(1)で示される。
Figure 2021098779
一般式(1)において、Rは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数6〜30の芳香族基である。
炭素数1〜22のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基、ドコサニル基等が挙げられる。
炭素数6〜30の芳香族基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、アントラセニル基、ピレニル基、ナフトピレニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基、プロピルナフチル基、ブチルナフチル基、ペンチルナフチル基、ヘキシルナフチル基、ヘプチルナフチル基、オクチルナフチル基、ノニルナフチル基、デシルナフチル基、ウンデシルナフチル基、ドデシルナフチル基、トリデシルナフチル基、テトラデシルナフチル基、ペンタデシルナフチル基、ヘキサデシルナフチル基、ヘプタデシルナフチル基、オクタデシルナフチル基、(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェニル基、クミル基、(モノ、ジまたはトリ)ベンジルフェニル基、ジフェニル基等が挙げられる。
AOは、炭素数2又は3のオキシアルキレン基である。このオキシアルキレン基としては、例えば、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられる。なお、2種以上のオキシアルキレン基を含む場合、ランダム付加、ブロック付加、交互付加等のいずれの付加形態であってもよい。
nは1〜300の整数である。なお、全オキシアルキレン基中の95モル%以上が炭素数2のオキシエチレン基であることが好ましい。
一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとしては、具体的には、メトキシポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、エトキシポリエチレングリコール、エトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、プロポキシポリエチレングリコール、プロポキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ブトキシポリエチレングリコール、ブトキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、ラウリルオキシポリエチレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコール、ベンジルオキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、フェノキシポリエチレングリコール、フェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコール、アルキルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール、(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェノキシポリエチレングリコール、(モノ、ジまたはトリ)スチリルフェノキシポリエチレングリコールポリプロピレングリコール等が挙げられる。
本工程1では、上述した、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールと、不飽和カルボン酸とを、酸触媒、重合禁止剤A、及び重合禁止剤Bを存在させた条件において、反応容器の空隙率を30容量%以上とし、加熱及び減圧条件下、生成水を留去させつつ、エステル化反応させ、ポリエーテルエステル単量体を得る。
酸触媒としては、例えば、硫酸、パラトルエンスルホン酸、燐酸、メタンスルホン酸等を単独又は混合して使用することができる。酸触媒の使用量は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対して、1〜50モル%とすることが好ましい。
重合禁止剤Aは、25℃の蒸気圧が0.01Pa以上である、リン原子未含有の(即ち、リン原子を含有しない)重合禁止剤である。
このような重合禁止剤Aとしては、例えば、パラベンゾキノン(25℃の蒸気圧:13Pa)、ナフトキノン(25℃の蒸気圧:0.0225Pa)、キンヒドリン(25℃の蒸気圧が13Paであるパラベンゾキノンと25℃の蒸気圧が0.0893Paであるハイドロキノンとの1:1混合物)等が挙げられる。これらは単独でも2種以上を使用してもよい。これらの中でも、特に、パラベンゾキノンを含むことが好ましい。
重合禁止剤Bは、25℃の蒸気圧が0.01Pa未満である、リン原子未含有の(即ち、リン原子を含有しない)重合禁止剤である。
このような重合禁止剤Bとしては、例えば、フェノチアジン(25℃の蒸気圧:0.000119Pa)等が挙げられる。重合禁止剤Bは、フェノチアジンを含むものであることが好ましい。
本工程1においては、重合禁止剤A,B以外にその他の重合禁止剤(重合禁止剤C)を更に添加してもよい。
重合禁止剤Cとしては、リン原子含有重合禁止剤などを挙げることができる。このリン原子含有重合禁止剤は、リン原子を含有する重合禁止剤のことである。
リン原子含有重合禁止剤としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸エステル等が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、例えば、亜リン酸トリブチル、亜リン酸トリフェニル等が挙げられる。
一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する重合禁止剤Aの添加割合は、0.01〜0.5質量%であることが好ましく、0.02〜0.45質量%であることが更に好ましい。重合禁止剤Aの添加割合が上記下限値未満であると、配管や気化した空隙内でのゲル化の防止効果が充分に発揮されないおそれがある。また、重合禁止剤Aの添加割合が上記上限値超であると、工程2において、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として使用し、水硬性組成物用添加剤としてのビニル共重合体を製造する際、ラジカル共重合反応が円滑に進行しないおそれがある。
一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する重合禁止剤Bの添加割合は、0.005〜0.5質量%であることが好ましく、0.005〜0.1質量%であることが更に好ましい。重合禁止剤Bの添加割合が上記下限値未満であると、液体部分のゲル化の防止効果が充分に発揮されないおそれがある。また、重合禁止剤Bの添加割合が上記上限値超であると、工程2において、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として使用し、ビニル共重合体を製造する際、ラジカル共重合反応が円滑に進行しないおそれがある。
その他の重合禁止剤の添加割合は、特に制限はなく、例えば、0.005〜0.8質量%とすることができ、0.05〜0.5質量%とすることが更に好ましい。重合禁止剤Cの添加割合が上記下限値未満であると、液体部分のゲル化の防止効果が充分に発揮されないおそれがある。また、重合禁止剤Cの添加割合が上記上限値超であると、工程2において、得られるポリエーテルエステル単量体を中間原料として使用し、ビニル共重合体を製造する際、ラジカル共重合反応が円滑に進行しないおそれがある。
本工程1では、反応容器の空隙率を30容量%以上とする必要がある。このように空隙率を30容量%以上とすることによって、反応液からの飛沫が反応容器から延びる送液用の配管内に侵入しづらくなるため、エステル化反応を行う工程である本工程1においてエステル化率を維持したままでゲルが発生し難くなる。つまり、ゲルの発生の原因の一つには、反応液からの飛沫が上記送液用の配管内に侵入し、この侵入した飛沫が配管内でゲル化することが考えられ、空隙率を上記範囲とすることでこのゲル化を良好に防止できることになる。
なお、従来、100L以上の反応容器を用いた製造では、1回の製造における生産効率を高くするために反応容器の空隙率をなるべく低くすること(即ち、反応容器の充填率を高くすること)が通常である。具体的には、反応容器の空隙率は、10〜20容量%程度である。
反応容器の空隙率は、上記のように30容量%以上であり、32〜70容量%とすることが好ましく、35〜60容量%とすることが更に好ましい。
「空隙率」は、60℃におけるものとし、次のように算出される値である。空隙率は、まず、反応前の仕込み量(重量)を合計し、そのときの60℃における密度を測定し、仕込み容積量とする。また、反応容器の内容積を算出する。なお、この反応容器の内容積は、通常、反応容器の設計図面により算出することができる。その後、式:空隙率(%)={(反応容器の内容積−仕込み容積量)/反応容器の内容積}×100の計算式によって算出するものとする。
工程1で用いる反応容器としては、特に制限はないが、例えば、100L以上のものとすることができ、1000〜50000Lのものとすることがよい。このようにすることで、製造コストが削減される。また、ゲル化の発生は、上記の通り、反応液からの飛沫が一つの原因であるが、100L以上の反応溶液を使用する場合、この飛沫の量が多くなり、発生するゲルによる影響(即ち、ストレーナが詰まるなどの問題)が大きくなる。そのため、本発明は、反応容器を100L以上となるようにスケールアップした場合に更に良好に効果が発揮される。
エステル化反応時における加熱条件としては、例えば、105〜140℃とすることができる。このような加熱の条件は、上記温度範囲内へ徐々に又は段階的に昇温させることが好ましい。
圧力条件としては、例えば、15〜0.5kPaとすることができる。この圧力は、大気圧(101.3kPa)から、上記圧力範囲内に徐々に又は段階的に減らす(即ち減圧する)ことがよい。
エステル化反応に際して、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との原料比率(モル比率)は、一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコール/不飽和カルボン酸=1/1.5〜1/8(モル比)とすることができる。
なお、エステル化反応後に、過剰分の不飽和カルボン酸を留去してもよいし、不飽和カルボン酸を残したまま工程2に用いても良い。不飽和カルボン酸を残したまま工程2に用いる場合、過剰分の不飽和カルボン酸の量は、種々分析により定量し、工程2で所望の配合比で重合を行うことができる。その分析方法としては、各種クロマトグラフィーや、酸価(JIS K 0070)を用いることができる。
また、エステル化反応終了後のエステル化率(%)については、公知の方法で分析することができる。例えば、各種クロマトグラフィーを用いた方法や水酸基価(JIS K 0070)を測定する方法により分析が可能である。
なお、工程1と工程2において、反応容器をそれぞれ別々のもの(工程1の反応容器と第二反応容器)を用いる場合、工程1の反応容器から第二反応容器への反応液の移送の際には、この反応液の温度を、20〜80℃とすることがよい。このような温度とすることで、ゲルの発生量を低減させることができる。
本工程1では、溶媒を加えてもよいし、無溶媒で反応させてもよい(即ち、溶媒の非存在下でエステル化反応を行うことでもよい)。溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、キシロール、ヘキサン、シクロヘキサン等が挙げられる。これらの中でも無溶媒で反応を行うことが好ましく、このように溶媒を加えない方が、よりコストが低減できる。
(1−2)工程2:
次に、工程2について説明する。工程2では、工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体とを、水溶媒中でラジカル共重合反応させる。
工程2では、工程1で用いる反応容器の後段に配置され且つこの反応容器とは異なる反応容器である第二反応容器(即ち、反応缶など)を用いて、水硬性組成物用添加剤を得ることがよい。このようにすることで、工程1で生成したゲルがその反応容器に残っていても、当該反応容器から第二反応容器に送液する際に上記ゲルをストレーナ等で取り除く工程を導入することができる。そのため、工程2において、工程1で生じたゲルの影響を受けにくくなる。
この第二反応容器は、従来公知の反応容器を適宜選択して用いることができる。
工程2では、第二反応容器として、100L以上の反応容器を用いることができ、1000〜100000Lの反応容器を用いることがよい。このようにすることで、製造コストが削減される。また、上述の通り、工程1で用いる反応容器として100L以上のものを用いる場合があり、この場合に適切に対応することができる。即ち、工程1で用いる反応容器が100L以上である場合に、第二反応容器として100L未満のものを採用してもよいが、工程2において複数の反応容器を用意することなどが必要になるため、製造工程における手間がかかる。
ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル、スチレン、アクリルアミド、(メタ)アリルスルホン酸及びこれらの塩等、共重合可能なビニル単量体であれば特に制限されるものではない。
各ビニル単量体の塩としては、例えば、ナトリウム塩やカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩やマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、ジエタノールアミン塩やトリエタノールアミン塩等のアミン塩等が挙げられる。
ポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体と、のラジカル共重合の割合は、特に限定されないが、ポリエーテルエステル単量体と、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩とをラジカル共重合反応させる場合には、ポリエーテルエステル単量体を5〜95質量%、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩を5〜95質量%、その他の共重合可能な単量体を0〜10質量%(但し、これらの合計は100質量%)とするのが好ましい。
ラジカル共重合反応は、例えば、特開平8−290948号公報に記載されているような反応を採用できる。
例えば、工程1で得たポリエーテルエステル単量体と、これと共重合可能なビニル単量体と、連鎖移動剤とを含む水溶液を調製し、窒素ガス雰囲気下で、ラジカル開始剤を加えて、反応温度50〜90℃で4〜8時間ラジカル共重合反応させることにより、ビニル共重合体を得ることができる。
連鎖移動剤としては、2−メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸、チオグリコール酸等の水溶性の連鎖移動剤の他、α−メチルスチレンダイマー、ドデカンチオール等の非水溶性の連鎖移動剤が挙げられる。
ラジカル開始剤としては、過酸化水素、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩や2,2’−アゾビス(2−アミノジノプロパン)二塩酸塩等の水溶性ラジカル開始剤が挙げられる。
なお、ラジカル開始剤を効率的に作用させるため、還元剤を用いてもよい。還元剤としては、例えば、硫酸鉄(II)・七水和物やL−アスコルビン酸、亜硫酸塩、ヒドロキシメタンスルフィン酸(塩)、ホスフィン酸塩などが挙げられる。
ラジカル共重合反応により得られるビニル共重合体は、その質量平均分子量(GPC法によるポリエチレングリコール換算の質量平均分子量、以下、同じ)を、3500〜100000のものとするのが好ましく、5000〜40000のものとするのがより好ましい。
このようにして得られるビニル共重合体は、セメント又はセメントと微粉末混和材料を結合材とする各種の水硬性セメント組成物、代表的には、モルタルやコンクリートに使用できる水硬性組成物用添加剤として用いることができる。
セメントとしては、例えば、普通セメント、早強セメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、フライアッシュセメント、シリカフュームセメント等の各種混合セメント等が挙げられる。
微粉末混和材料としては、例えば、石灰石粉、炭酸カルシウム、シリカフューム、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ等が挙げられる。
本実施形態において、水硬性組成物用添加剤の使用量は、セメント又はセメントと微粉末混和材料とからなる結合材100質量部に対し固形分換算で、通常、0.01〜2.5質量部、好ましくは0.05〜1.5質量部である。
なお、水硬性組成物用添加剤は、通常、水硬性組成物を調製する際に練混ぜ水と一緒に添加して使用することができる。
試験区分1:
工程1で用いる各片末端封鎖ポリアルキレングリコール(PAG)を調製した。
・片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P−1)の調製
ジエチレングリコールモノメチルエーテル1280kgと28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液20kgをオートクレーブに仕込み、内部を十分に窒素置換した後、撹拌しながら、反応温度を120℃に維持し、圧力0.4MPaにて、エチレンオキサイド9896kgを圧入して、開環付加反応を行った。開環付加反応後、同温度(上記反応温度)で1時間熟成した。さらに、キョーワード700SL(協和化学社製)を56kg加え、110℃の加温下で1時間減圧脱水し、80℃に冷却した後、濾過し、濾液として片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P−1)を得た。
・片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P−2)〜(P−4)の調製
片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P−1)と同様にして、表1に示す片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P−2)〜(P−4)を調製した。
Figure 2021098779
表1におけるP−1〜P−4について以下に説明する。
P−1:ポリオキシエチレン(n=22)モノメチルエーテル
P−2:ポリオキシエチレン(n=9)モノメチルエーテル
P−3:ポリオキシエチレン(n=45)モノメチルエーテル
P−4:ポリオキシエチレン(n=67)オキシプロピレン(n=1)モノメチルエーテル
試験区分2(工程1):
調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(PAG)を用いて、ポリエーテルエステル単量体を調製した。
(実施例1)(工程1)
公称8kLのグラスライニング製の反応容器に、試験区分1で調製した片末端封鎖ポリアルキレングリコール(P−1)3917kg、不飽和カルボン酸であるメタクリル酸1012kg、重合禁止剤Aであるパラベンゾキノン(25℃における蒸気圧13Pa)11.8kg、重合禁止剤Bであるフェノチアジン(25℃における蒸気圧0.000119Pa)0.59kg、亜リン酸トリフェニル4.7kg、酸触媒であるメタンスルホン酸(市販の70%水溶液)53.8kgを仕込み、溶媒の非存在下で、撹拌しながら徐々に昇温すると共に減圧し、エステル化反応により生成する水を水/メタクリル酸共沸混合物として反応系外に留去しつつ、温度120℃、圧力1.5kPaの条件下で、6時間エステル化反応を行った。反応終了後、60℃まで冷却し、ポリエーテルエステル単量体混合物(MM−1)を得た。酸価(JIS K 0070)の値を測定することにより、メタクリル酸の質量含有率を求めたところ、メタクリル酸を10%含有していた。
(実施例2〜7、比較例1〜4)
表2に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜7、比較例1〜4のポリエーテルエステル単量体混合物(MM−2)〜(MM−7)、(RM−1)〜(RM−4)の調製を行った。すべてメタクリル酸を10%含有していた。
実施例1〜7、比較例1〜4の内容(工程1)を表2、表3にまとめて示した。
Figure 2021098779
Figure 2021098779
表2におけるQ−1等について以下に説明する。
Pに対する質量%:片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する重合禁止剤の使用量(質量%)
酸触媒の割合(モル%):片末端封鎖ポリアルキレングリコールと不飽和カルボン酸との合計量に対する酸触媒の使用量(モル%)
(不飽和カルボン酸)
Q−1:メタクリル酸
(酸触媒)
S−1:メタンスルホン酸
S−2:パラトルエンスルホン酸
S−3:硫酸
(重合禁止剤)
A−1:パラベンゾキノン(25℃における蒸気圧13Pa)
B−1:フェノチアジン(25℃における蒸気圧0.000119Pa)
C−1:亜リン酸トリフェニル
(空隙率(%))
空隙率は、60℃におけるものとし、次のように測定した。まず、反応前の仕込み量(重量)を合計し、そのときの60℃における密度を測定し、仕込み容積量とした。また、反応容器の設計図面から反応容器の内容積を算出した。その後、式:空隙率(%)={(反応容器の内容積−仕込み容積量)/反応容器の内容積}×100の計算式によって空隙率を算出した。
Figure 2021098779
(ゲルの発生)
上記工程1で得られた生成物(ポリエーテルエステル単量体とメタクリル酸の混合物)を、この工程1で用いた反応容器から工程2を行う反応缶へ1.5インチの配管を用いて液温60℃で移送した。そして、その際、50メッシュのステンレス製のU形ストレーナ(直径10.5cm×長さ10cm)を通し、生成物の全量(4000〜7000L)を移送するまでに要したストレーナの交換回数を数えた。なお、反応容器からストレーナまでの距離は、3mであった。
なお、ストレーナの交換の時期は、ストレーナ交換直後の流速を基準値とし、流速がこの基準値から1/10に低下した時点とした。
ゲルの発生の判定は、以下の基準で行った。
A:0〜3回
B:4〜7回
C:9〜10回
D:11回以上
(エステル化率)
後述の工程2の反応後、水酸基価をJIS K 0070の中和滴定法に準拠して測定して、反応率を求めた。この反応率をエステル化率とした。
試験区分3(工程2):
上記工程1の後、当該工程1で調製したポリエーテルエステル単量体を用いて、水硬性組成物用添加剤としてのビニル共重合体を調製した。
(実施例1)(工程2)
公称15kLのステンレス製の反応缶(第二反応容器)に水道水5524kgと試験区分2で得た2ロット分のポリエーテルエステル単量体混合物(MM−1)5600kg(メタクリル酸569kgを含む)、メタクリル酸127kg、3−メルカプトプロピオン酸57kg加え、撹拌しながら雰囲気を窒素置換し、反応系の温度を温水をジャケットに通すことにより65℃とした。反応缶に過硫酸ナトリウム112kgを水道水1684kgに溶解した溶液2時間かけて滴下して重合を行った。その後、65℃のまま2時間重合反応を継続して重合を完結し、40℃まで冷却後、pH6になるよう30%水酸化ナトリウム水溶液を加え、水道水で希釈し、ビニル共重合体の濃度40%水溶液を得た。このビニル共重合体を上述の測定条件にて分析したところ、質量平均分子量23000のビニル共重合体(PC−1)であった。このようにしてビニル共重合体(PC−1)を調製した。
(実施例2〜7)
表5に示すように変更したこと以外は、実施例1(工程2)と同様にして、実施例2〜7のビニル共重合体(PC−2)〜(PC−7)の調製を行った。なお、表5中、ポリエーテルエステル単量体の共重合比(質量%)は、ポリエーテルエステル単量体混合物(MM−1)に含有したメタクリル酸(Q−1)を除いて算出した値(質量%)を示している。ビニル単量体の共重合比(質量%)は、ポリエーテルエステル単量体混合物中に含まれるメタクリル酸(Q−1)も含めた上で算出した値である。
(比較例1〜4)
ポリエーテルエステル単量体混合物(MM−1)を試験区分2(工程1)で得たポリエーテルエステル単量体(RM−1)〜(RM−4)にそれぞれ代えること等のように表5に示す条件としたこと以外は、実施例1(工程2)と同様にして、比較例1〜4のビニル共重合体(RPC−1)〜(RPC−4)の調製を行った。
なお、比較例4は、空隙率を変えたこと以外は実施例1と同じ条件でポリエーテルエステル単量体を作製し、この単量体を用いてビニル共重合体(RPC−4)の調製を行った。
実施例1〜7、比較例1〜4の内容(工程2)を表5にまとめて示した。
Figure 2021098779
表5中のHEA、MA、SAS、Q−1について以下に説明する。
HEA:アクリル酸ヒドロキシエチル
MA:アクリル酸メチル
SAS:アリルスルホン酸ナトリウム
Q−1:メタクリル酸
(質量平均分子量(Mw))
ビニル共重合体の質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにて以下の測定条件で測定した。
<測定条件>
装置:Shodex GPC−101(昭和電工社製)
カラム:OHpak SB−G+SB−806M HQ+SB−806M HQ(昭和電工社製)
検出器:示差屈折計(RI)
溶離液:50mM硝酸ナトリウム水溶液
流量:0.7mL/分
カラム温度:40℃
試料濃度:試料濃度0.5重量%の溶離液溶液
標準物質:ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール
試験区分4(コンクリート組成物):
実施例1〜7、比較例1〜3で得られた各ビニル共重合体を用いて、水硬性組成物としてのコンクリート組成物を調製し、その後、スランプ等の各評価を行った。
・コンクリート組成物の調製
表6に記載の調合条件で、各試験例のコンクリート組成物を次のように調製した。50Lのパン型強制練りミキサーに普通ポルトランドセメント(比重=3.16)、細骨材(大井川水系陸砂、比重=2.58)及び粗骨材(岡崎産砕石、比重=2.66)を順次投入して15秒間空練りした。次いで、試験区分3で調製した水硬性組成物用添加剤としてのビニル共重合体を練り混ぜ水(蒲郡市水道水)とともに添加し、120秒間練り混ぜた。この際、消泡剤(竹本油脂製:商品名AFK−2)をセメントに対して0.0005%とAE剤(竹本油脂製:商品名AE−300)を目標空気量4.5±0.5%以内になるよう適宜調整し添加した。
Figure 2021098779
・コンクリート組成物の評価
調製した各試験例のコンクリートについて、次の評価を行った。結果を表7にまとめて示した。
(スランプ)
練り混ぜ直後(即ち、練り混ぜ後0分)、練り混ぜ後30分静置させた後に、それぞれ、JIS−A 1101に準拠して測定した。
(空気量)
練り混ぜ直後(即ち、練り混ぜ後0分)、練り混ぜ後30分静置させた後に、それぞれ、JIS−A 1128に準拠して測定した。
(圧縮強度)
JIS−A 1108に準拠し、温度20℃、湿度80%の恒温室で、直径100mm×高さ200mmの鋼製の型枠にコンクリート組成物を充填し、硬化させ、材齢1日で脱型した。その後、水温20℃の養生槽にて材齢28日となるまで水中養生した。養生後、材齢28日の試験体について圧縮強度を測定した。
Figure 2021098779
(結果)
表4に示すように、工程1の条件を満たすと(特に、反応容器の空隙率を30容量%以上とすると)、ゲルの発生を防止することができることが分かる。なお、比較例3,4では、工程1における反応容器の空隙率が30容量%以上の条件を満たさないため、工程1においてエステル化率を維持できず(90%,95%)、更に、ゲルが多量に発生した。また、表7に示すように、本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法で得られた水硬性組成物用添加剤を用いると、得られるコンクリート組成物(水硬性組成物)は、比較例1〜4の水硬性組成物用添加剤を用いたものと同程度の性能を有していることが分かる。従って、本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法によれば、スケールアップした場合(例えば、工程1の反応容器を100L以上とした場合)にもゲルの発生が抑制され、更に、スランプ等の性能において従来と同様の性能を有するコンクリート組成物を作製することができる。
本発明の水硬性組成物用添加剤の製造方法は、セメント等の水硬性組成物用の分散剤として利用できるビニル共重合体の原料となるポリエーテルエステル単量体としての水硬性組成物用添加剤を製造することができる。

Claims (10)

  1. 下記の工程1、及び前記工程1の後に行う下記の工程2を有する水硬性組成物用添加剤の製造方法。
    工程1:不飽和カルボン酸と、下記の一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールとを、酸触媒、下記重合禁止剤A、及び下記重合禁止剤Bを存在させた条件において、反応容器の空隙率を30容量%以上とし、加熱及び減圧条件下でエステル化反応させて、ポリエーテルエステル単量体を得る工程
    Figure 2021098779
    (但し、一般式(1)中、Rは炭素数1〜22のアルキル基又は炭素数6〜30の芳香族基を表し、AOは炭素数2又は3のオキシアルキレン基を表し、nは1〜300の整数を表す。)
    重合禁止剤A:25℃の蒸気圧が0.01Pa以上のリン原子未含有の重合禁止剤
    重合禁止剤B:25℃の蒸気圧が0.01Pa未満のリン原子未含有の重合禁止剤
    工程2:前記工程1で得られたポリエーテルエステル単量体と、当該ポリエーテルエステル単量体と共重合可能なビニル単量体と、を水溶媒中でラジカル共重合させて水硬性組成物用添加剤を得る工程
  2. 前記工程1を溶媒の非存在下で行う、請求項1に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  3. 前記重合禁止剤Aが、パラベンゾキノンを含むものである、請求項1又は2に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  4. 前記重合禁止剤Bが、フェノチアジンを含むものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  5. 前記一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する前記重合禁止剤Aの添加割合が、0.01〜0.5質量%であり、
    前記一般式(1)で示される片末端封鎖ポリアルキレングリコールに対する前記重合禁止剤Bの添加割合が、0.005〜0.5質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  6. 前記工程1で用いる前記反応容器が100L以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  7. 前記工程1で用いる前記反応容器が1000〜50000Lである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  8. 前記工程2では、前記反応容器の後段に配置され当該反応容器とは異なる反応容器である第二反応容器を用いて前記水硬性組成物用添加剤を得る、請求項1〜7のいずれか一項に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  9. 前記第二反応容器として、100L以上の反応容器を用いる、請求項8に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
  10. 前記第二反応容器として、1000〜100000Lの反応容器を用いる、請求項8または9に記載の水硬性組成物用添加剤の製造方法。
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