WO2022054313A1 - スケール防止剤およびスケール防止方法 - Google Patents
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Abstract
重合性不飽和カルボン酸(塩)に由来する構成単位(i)と、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)に由来する構成単位(ii)とを有し、少なくとも一つの主鎖末端基にスルホン酸(塩)基を有し、構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比が99:1~95:5の範囲、重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲、下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下である共重合体を含むスケール防止剤。 構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I) Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計100モル%中の構成単位(ii)の含有モル%。Mは該共重合体の重量平均分子量である。
Description
本発明は、スケール防止剤およびスケール防止方法に関する。詳しくは、リンを用いずに水系のスケールの発生を効果的に防止する剤および方法に関する。
冷却水系、ボイラ水系などの水と接触する伝熱面や配管内ではスケール障害が発生する。開放循環式冷却水系においては、省資源・省エネルギーの立場から、冷却水の系外への排棄(ブロー)を少なくして、冷却水の高濃縮運転が行われる。そのため、補給水中に溶存している塩類が濃縮され、伝熱面が腐食しやすくなるのみならず、難溶性の塩が析出してスケール化する。特に、近年、節水の観点から、今まで以上の高濃縮運転が求められている。
生成するスケール種としては、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、リン酸亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛などがある。冷却水系において使用される水は、通常は工業用水や水道水などであるため、水中には種々のイオン種が溶存している。冷却水の高濃縮運転が行われた場合、上記のような種々のスケール種が発生する危険性が非常に高い。特に、カルシウム系スケール、シリカ系スケールの生成が冷却水系の効率的な熱伝導や流体の流動を妨げるため、効果的にカルシウム系スケール、シリカ系スケールの発生を同時に防止できるスケール防止剤が求められている。また、近年の環境負荷低減の動向、例えば湖沼の富栄養化や閉鎖性海域における赤潮発生等を防止するために各種リン系化合物の使用の低減が望まれていることから、無リン系のスケール防止剤が必要とされている。
従来、カルシウム系スケールに対するスケール防止剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリマレイン酸が汎用されている。しかしながら、高濃縮運転されている高硬度の冷却水系にポリ(メタ)アクリル酸やポリマレイン酸を添加した場合、カルシウムイオンと結合して不溶性の塩を形成するため、効果的なスケール防止効果は得られない。
米国特許第3928196号明細書には、不溶性の塩を形成しにくいカルシウム系スケールのスケール防止剤として、アクリル酸と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸とを特定のモル比で重合した共重合体が報告されている。しかし、この共重合体を使用しても、炭酸カルシウムの析出抑制能が低く、効果的にカルシウム系スケールの発生を防止することができない。
特開2016-043303号公報には、スルホン酸単量体比の異なるカルボン酸系ポリマーを組み合わせる方法が報告されている。しかし、2種類のポリマーを組み合わせると、一方のポリマーが系内で消耗された場合、性能を維持できない懸念がある。
特許第6054981号公報には、全単量体由来の構造単位100モル%に対して、2モル%以上、8モル%以下の3-アリルオキシ-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸ナトリウム等の単量体に由来する構造単位(a)、92モル%以上、98モル%以下の(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位(b)、を必須構造単位として有する共重合体であって、少なくとも一つの主鎖末端にスルホン酸(塩)基を有し、重量平均分子量が7000~100000である共重合体が報告されている。しかし、このものは、炭酸カルシウム系スケール防止能に着目しており、共重合体の分子量が高く、高温伝熱面では不溶性の塩を形成しやすいため、シリカ系スケールに対しては十分な効果が得られない。
このようなことから、不溶性の塩を形成しにくくかつ効果的にカルシウム系スケールとシリカ系スケールの発生を同時に防止でき、無リン系であり、単剤でもスケールを有効に防止できるスケール防止剤の開発が求められている。
本発明の目的は、水系の配管や熱交換器などの壁面に対するスケールの付着を効果的に防止するスケール防止剤であって、非リン系で、炭酸カルシウム系スケールとシリカ系スケールとを同時に防止することができるスケール防止剤と、このスケール防止剤を用いたスケール防止方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を重ねた結果、特定の共重合体が上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] (i)重合性不飽和カルボン酸及び/又はその塩に由来する構成単位(以下、「構成単位(i)」と称す。)と、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩に由来する構成単位(以下、「構成単位(ii)」と称す。)とを有し、かつ少なくとも一つの主鎖末端基にスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有し、構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比が99:1~95:5の範囲であり、重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲であり、下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下である共重合体を含むことを特徴とするスケール防止剤。
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
(式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。)
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
(式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。)
[2] 前記構成単位(i)がアクリル酸に由来する構成単位であることを特徴とする[1]に記載のスケール防止剤。
[3] 前記構成単位(ii)が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に由来する構成単位であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のスケール防止剤。
[4] [1]ないし[3]のいずれかに記載のスケール防止剤を水系に添加するスケール防止方法。
[5] 前記水系のシリカ濃度が20mg-SiO2/Lを超えることを特徴とする[4]に記載のスケール防止方法。
[6] 前記水系のカルシウム硬度が250mg-CaCO3/Lを超えることを特徴とする[4]又は[5]に記載のスケール防止方法。
本発明によれば、非リン系の単剤よりなるスケール防止剤を用いて、水系のカルシウム系スケールとシリカ系スケールとを同時にかつ効果的に防止して、配管や熱交換器などの壁面へのスケールの付着を有効に防止することができる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が限定されて解釈されることはない。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をさす。「(メタ)アクリレート」についても同様である。
[スケール防止剤]
本発明のスケール防止剤は、(i)重合性不飽和カルボン酸及び/又はその塩(以下、「重合性不飽和カルボン酸(塩)」と称す。)に由来する構成単位(以下、「構成単位(i)」と称す。)と、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩(以下、「2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)」と称す。)に由来する構成単位(以下、「構成単位(ii)」と称す。)とを有し、かつ少なくとも一つの主鎖末端基にスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基(以下、「スルホン酸(塩)基」と称す。)を有し、
構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比が99:1~95:5の範囲であり、
重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲であり、
下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下である共重合体(以下、「本発明の共重合体」と称す。)を含むことを特徴とする。
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
(式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。)
本発明のスケール防止剤は、(i)重合性不飽和カルボン酸及び/又はその塩(以下、「重合性不飽和カルボン酸(塩)」と称す。)に由来する構成単位(以下、「構成単位(i)」と称す。)と、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩(以下、「2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)」と称す。)に由来する構成単位(以下、「構成単位(ii)」と称す。)とを有し、かつ少なくとも一つの主鎖末端基にスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基(以下、「スルホン酸(塩)基」と称す。)を有し、
構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比が99:1~95:5の範囲であり、
重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲であり、
下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下である共重合体(以下、「本発明の共重合体」と称す。)を含むことを特徴とする。
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
(式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。)
<構成単位(i)>
本発明の共重合体に含まれる構成単位(i)を構成する重合性不飽和カルボン酸(塩)は、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)と共重合し得る重合性不飽和カルボン酸(塩)であれば特に制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、或いはこれらのナトリウム塩等の塩が挙げられる。これらの中で、アクリル酸は、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)との共重合性が良好であり、スケール防止効果が大きいので、特に好適に使用することができる。
本発明の共重合体に含まれる構成単位(i)を構成する重合性不飽和カルボン酸(塩)は、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)と共重合し得る重合性不飽和カルボン酸(塩)であれば特に制限はなく、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、或いはこれらのナトリウム塩等の塩が挙げられる。これらの中で、アクリル酸は、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)との共重合性が良好であり、スケール防止効果が大きいので、特に好適に使用することができる。
本発明の共重合体の製造において、重合性不飽和カルボン酸(塩)は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよいが、3元共重合体は製造費が高くつくことから、本発明の共重合体は、重合性不飽和カルボン酸(塩)を1種のみ用いた2元共重合体であることが好ましい。
<構成単位(ii)>
本発明の共重合体に含まれる構成単位(ii)を構成する2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸或いはこれらのナトリウム塩等の塩であり、好ましくは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である。
本発明の共重合体に含まれる構成単位(ii)を構成する2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸或いはこれらのナトリウム塩等の塩であり、好ましくは、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸である。
本発明の共重合体の製造において、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)についても1種のみを用いても、2種を併用してもよいが、製造費の面から1種のみを用いることが好ましい。
<構成単位(i)と構成単位(ii)のモル比>
本発明の共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比は99:1~95:5の範囲であり、好ましくは98:2~96:4の範囲である。この範囲よりも構成単位(i)が多く、構成単位(ii)が少ないと炭酸カルシウム系スケールの防止効果が不足し、逆に構成単位(i)が少なく、構成単位(ii)が多いとシリカ系スケールの防止効果が不足する。
本発明の共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比は99:1~95:5の範囲であり、好ましくは98:2~96:4の範囲である。この範囲よりも構成単位(i)が多く、構成単位(ii)が少ないと炭酸カルシウム系スケールの防止効果が不足し、逆に構成単位(i)が少なく、構成単位(ii)が多いとシリカ系スケールの防止効果が不足する。
<重量平均分子量>
本発明の共重合体の重量平均分子量は、2,000以上12,000未満である。共重合体の重量平均分子量が2,000未満では、炭酸カルシウムの結晶成長抑制能が低くなり、上記12,000以上では、ポリマーとカルシウムイオンが結合して不溶性の塩が生成することによりスケール防止効果が低下する。本発明の共重合体の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上10,000以下、より好ましくは3,000以上9,000以下、特に好ましくは3,000以上7,000以下である。
本発明の共重合体の重量平均分子量は、2,000以上12,000未満である。共重合体の重量平均分子量が2,000未満では、炭酸カルシウムの結晶成長抑制能が低くなり、上記12,000以上では、ポリマーとカルシウムイオンが結合して不溶性の塩が生成することによりスケール防止効果が低下する。本発明の共重合体の重量平均分子量は、好ましくは3,000以上10,000以下、より好ましくは3,000以上9,000以下、特に好ましくは3,000以上7,000以下である。
ここで、共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC法)による標準ポリアクリル酸ナトリウム換算の値である。具体的な測定条件は、後掲の実施例の項に記載の通りである。
<構成単位(ii)の相対比>
本発明の共重合体は、下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下であることを特徴とする。
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
(式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。)
本発明の共重合体は、下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下であることを特徴とする。
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
(式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。)
構成単位(ii)の相対比が1を超えるものでは十分なスケール防止効果が得られない。
本発明の共重合体の構成単位(ii)の相対比は、特に0.8以下であることが好ましい。一方、スケール防止効果がより向上する観点から、構成単位(ii)の相対比は0.2以上であることが好ましい。
本発明の共重合体の構成単位(ii)の相対比は、特に0.8以下であることが好ましい。一方、スケール防止効果がより向上する観点から、構成単位(ii)の相対比は0.2以上であることが好ましい。
<主鎖末端基>
本発明の共重合体の少なくとも一つの主鎖末端基は、スルホン酸(塩)基である。スルホン酸塩基としては、スルホン酸のナトリウム塩基等が挙げられる。
本発明の共重合体の少なくとも一つの主鎖末端基は、スルホン酸(塩)基である。スルホン酸塩基としては、スルホン酸のナトリウム塩基等が挙げられる。
少なくとも一つの主鎖末端にスルホン酸(塩)基を有するとは、1又は2以上の主鎖末端にスルホン酸(塩)基を有することをいい、例えば直鎖状の共重合体分子であれば2つの主鎖末端にスルホン酸(塩)基を有していてもよく、分岐状の共重合体分子であれば、3以上の主鎖末端にスルホン酸(塩)基を有していても良い。少なくとも一つの主鎖末端にスルホン酸(塩)基を有することにより耐ゲル性が向上する傾向にあり、カルシウム系スケールとシリカ系スケールを効果的に防止することができることから、好ましい。
本発明において、共重合体の主鎖とは、構成単位(i)及び構成単位(ii)が連続的に繰り返し結合して構成される最も長い鎖状構造部分をさす。
主鎖末端基のスルホン酸(塩)基は、後掲の実施例の項に記載の方法で確認することができる。
<その他の構成単位>
本発明の共重合体は、少なくとも構成単位(i)と構成単位(ii)とを前記の割合で有していればよいが、本発明の共重合体のスケール防止効果を阻害しない範囲で、これらの他に、(i)重合性不飽和カルボン酸(塩)又は(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)と共重合可能な他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。この場合、構成単位(i)及び構成単位(ii)によるスケール防止効果を有効に得るために、他の単量体に由来する構成単位のモル比は、本発明の共重合体の製造に用いた全単量体に由来する構造単位100モル%に対して10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
本発明の共重合体は、少なくとも構成単位(i)と構成単位(ii)とを前記の割合で有していればよいが、本発明の共重合体のスケール防止効果を阻害しない範囲で、これらの他に、(i)重合性不飽和カルボン酸(塩)又は(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)と共重合可能な他の単量体に由来する構成単位を含んでいてもよい。この場合、構成単位(i)及び構成単位(ii)によるスケール防止効果を有効に得るために、他の単量体に由来する構成単位のモル比は、本発明の共重合体の製造に用いた全単量体に由来する構造単位100モル%に対して10モル%以下であることが好ましく、5モル%以下であることがより好ましい。
他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2-スルホエチルメタクリレート等のスルホン酸基含有不飽和単量体及びそれらの塩;N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルホルムアミド、N-ビニル-メチルアセトアミド、N-ビニルオキサゾリドン等のN-ビニル単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド等の窒素含有ノニオン性不飽和単量体;3-(メタ)アリルオキシ-1,2-ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコール、イソプレノール等の水酸基含有不飽和単量体;3-(メタ)アリルオキシ-1,2-ジヒドロキシプロパンにエチレンオキサイドを1~200モル程度付加させた化合物(3-(メタ)アリルオキシ-1,2-ジ(ポリ)オキシエチレンエーテルプロパン)、(メタ)アリルアルコールにエチレンオキサイドを1~100モル程度付加させた化合物等のポリオキシエチレン基含有不飽和単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル単量体;イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸単量体;スチレン等の芳香族不飽和単量体等が挙げられる。
これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。ただし、本発明の共重合体は、他の単量体に由来する構成単位を含まない2元共重合体であることが、製造費の面から好ましい。
<製造方法>
本発明の共重合体を製造する方法としては、共重合体原料として少なくとも(i)重合性不飽和カルボン酸(塩)と(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)を用いて、ラジカル重合法により共重合する方法が挙げられる。例えば、アクリル酸と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を水に溶解し、雰囲気を不活性ガスで置換し、重合開始剤の存在下に重合温度50~100℃で、水溶液重合を行うことで本発明の共重合体を製造することができる。
本発明の共重合体を製造する方法としては、共重合体原料として少なくとも(i)重合性不飽和カルボン酸(塩)と(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)を用いて、ラジカル重合法により共重合する方法が挙げられる。例えば、アクリル酸と2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸を水に溶解し、雰囲気を不活性ガスで置換し、重合開始剤の存在下に重合温度50~100℃で、水溶液重合を行うことで本発明の共重合体を製造することができる。
重合開始剤としては公知のものを使用することができ、例えば、過硫酸系(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系(ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)等)、過酸化物(過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ-t-ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等)、過酸化水素などの水溶性ラジカル重合開始剤を用いることができる。これらのうち過硫酸系開始剤を使用することが好ましい。
共重合体の主鎖末端にスルホン酸(塩)基を含む構造単位を形成する方法としては、(i)重合性不飽和カルボン酸(塩)と(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)を必須に含む単量体成分を、重亜硫酸(塩)類(亜硫酸、重亜硫酸、亜二チオン酸、メタ重亜硫酸、又はその塩等をいう)の存在下で重合する方法が好ましく用いられる。この場合、重亜硫酸(塩)類が連鎖移動剤等として作用することにより、スルホン酸(塩)基が共重合体分子内に取り込まれることとなる。また、重亜硫酸(塩)類以外の連鎖移動剤を適宜併用しても良い。重亜硫酸(塩)類以外の連鎖移動剤としては、具体的には、メルカプトエタノール、チオグリセロール、チオグリコール酸、2-メルカプトプロピオン酸、3-メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸オクチル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、2-メルカプトエタンスルホン酸、n-ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、ブチルチオグリコレート等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン、ブロモホルム、ブロモトリクロロエタン等のハロゲン化物;イソプロパノール、グリセリン等の第2級アルコール等が挙げられる。
本発明の共重合体の製造方法としては、重合開始剤として過硫酸系開始剤、連鎖移動剤として重亜硫酸(塩)類をそれぞれ一種類以上組み合わせて用いることが好ましい。これにより、共重合体の主鎖末端にスルホン酸(塩)基を効率良く導入し、炭酸カルシウム系スケールとシリカ系スケールを効果的に防止することができる共重合体を得ることができる。
<その他の成分>
本発明のスケール防止剤は、本発明の共重合体を含むものであるが、本発明の共重合体と共に後述の本発明のスケール防止剤と併用できるスケール防止剤や、防食剤、スライムコントロール剤等を含むものであってもよい。
本発明のスケール防止剤は、本発明の共重合体を含むものであるが、本発明の共重合体と共に後述の本発明のスケール防止剤と併用できるスケール防止剤や、防食剤、スライムコントロール剤等を含むものであってもよい。
<対象水系>
本発明のスケール防止剤は、冷却水系、ボイラ水系、逆浸透膜処理水系、地熱発電所水系等、炭酸カルシウム系スケールとシリカ系スケールが生成する水系において好適に用いることができる。特に水温が高く、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、シリカ濃度が高い冷却水系の熱交換器や、地熱発電所水系に好適である。
本発明のスケール防止剤は、冷却水系、ボイラ水系、逆浸透膜処理水系、地熱発電所水系等、炭酸カルシウム系スケールとシリカ系スケールが生成する水系において好適に用いることができる。特に水温が高く、カルシウム硬度、マグネシウム硬度、シリカ濃度が高い冷却水系の熱交換器や、地熱発電所水系に好適である。
具体的には、ランゲリア指数LSI=3.0の水質(例えば、カルシウム硬度500mg-CaCO3/L、Mアルカリ度500mg-CaCO3/L、pH=9.0、表面温度50℃)において、マグネシウム硬度230mg-CaCO3/L、シリカ濃度230mg-SiO2/Lまでに適用できる。カルシウム硬度は250mg-CaCO3/Lを超えてもよく、300mg-CaCO3/L以上1000mg-CaCO3/L以下であってよい。
シリカ濃度は、20mg-SiO2/Lを超えてもよく、50mg-SiO2/L以上230mg-SiO2/L以下であってよい。
[スケール防止方法]
本発明のスケール防止方法においては、本発明の共重合体を含む本発明のスケール防止剤を、処理対象の水系に添加して、スケール障害を防止する。なお、本発明のスケール防止剤を適用する場合の水系の運転条件には特に制限はない。
本発明のスケール防止方法においては、本発明の共重合体を含む本発明のスケール防止剤を、処理対象の水系に添加して、スケール障害を防止する。なお、本発明のスケール防止剤を適用する場合の水系の運転条件には特に制限はない。
本発明のスケール防止剤の使用形態には特に制限はなく、例えば、亜鉛等の防食剤、マレイン酸系ポリマー等のスケール防止剤、スライムコントロール剤等を含有する水溶液に添加して、1液型の処理剤として用いてもよいし、これらを別々に水系に添加してもよい。本発明のスケール防止剤は、適用する水系に、任意の濃度に調整した水溶液として添加することができる。その添加量に特に制限はなく、添加する水系の水質に応じて適宜選択することができるが、例えば冷却水系では、水系の本発明の共重合体の濃度が5~20mg/L程度となるように添加することが好ましい。
<併用できるスケール防止剤>
本発明のスケール防止剤と併用できるスケール防止剤としては、例えば、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、マレイン酸共重合物、マレイン酸/アクリル酸、マレイン酸/イソブチレン、マレイン酸/スルホン酸、アクリル酸/スルホン酸、アクリル酸/ノニオン基含有モノマーのコポリマー、アクリル酸/スルホン酸/ノニオン基含有モノマーのターポリマー等を挙げることができる。
本発明のスケール防止剤と併用できるスケール防止剤としては、例えば、ポリマレイン酸、ポリアクリル酸、マレイン酸共重合物、マレイン酸/アクリル酸、マレイン酸/イソブチレン、マレイン酸/スルホン酸、アクリル酸/スルホン酸、アクリル酸/ノニオン基含有モノマーのコポリマー、アクリル酸/スルホン酸/ノニオン基含有モノマーのターポリマー等を挙げることができる。
前記スケール防止剤におけるスルホン酸としては、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2―メチルプロパンスルホン酸、2-メタクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、メタクリル酸4-スルホブチル、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸及びそれらの金属塩等が挙げられる。
また、前記スケール防止剤におけるノニオン基含有モノマーとしては、例えば、アルキルアミド(炭素数1~5のアルキルアミド)、ヒドロキシエチルメタクリレート、付加モル数1~30の(ポリ)エチレン/プロピレンオキサイドのモノ(メタ)アクリレート、付加モル数1~30のモノビニルエーテルエチレン/プロピレンオキサイド等が挙げられる。
<併用できる防食剤>
本発明のスケール防止剤と併用できる防食剤としては、例えば、亜鉛塩、ニッケル塩、モリブデン塩、タングステン塩、オキシカルボン酸塩、トリアゾール類、アミン類等を挙げることができる。
本発明のスケール防止剤と併用できる防食剤としては、例えば、亜鉛塩、ニッケル塩、モリブデン塩、タングステン塩、オキシカルボン酸塩、トリアゾール類、アミン類等を挙げることができる。
<併用できるスライムコントロール剤>
本発明のスケール防止剤と併用できるスライムコントロール剤としては、例えばアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、クロルメチルトリチアゾリン、クロルメチルイソチアゾリン、メチルイソチアゾリン、又はエチルアミノイソプロピルアミノメチルチアトリアジン、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜塩素酸とスルファミン酸の混合物等が挙げられる。
また、これらに更に酵素、殺菌剤、着色剤、香料、水溶性有機溶媒、及び消泡剤等を含むものであってもよい。
本発明のスケール防止剤と併用できるスライムコントロール剤としては、例えばアルキルジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の四級アンモニウム塩、クロルメチルトリチアゾリン、クロルメチルイソチアゾリン、メチルイソチアゾリン、又はエチルアミノイソプロピルアミノメチルチアトリアジン、次亜塩素酸、次亜臭素酸、次亜塩素酸とスルファミン酸の混合物等が挙げられる。
また、これらに更に酵素、殺菌剤、着色剤、香料、水溶性有機溶媒、及び消泡剤等を含むものであってもよい。
前記のスケール防止剤、防食剤、スライムコントロール剤は、それぞれ1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
[作用機構]
本発明のスケール防止剤が、リンを含まず、単剤で伝熱面や配管壁面で生成する炭酸カルシウム系スケール及びシリカ系スケールの付着を防止することができる作用機構の詳細は明らかではないが、本発明の共重合体中のカルボキシル基が、スケール成分の析出、析出したスケールの成長を防止し、一方、本発明の共重合体中のスルホン酸(塩)基が、伝熱面や配管壁面への付着を防止しているものと考えられる。
本発明のスケール防止剤が、リンを含まず、単剤で伝熱面や配管壁面で生成する炭酸カルシウム系スケール及びシリカ系スケールの付着を防止することができる作用機構の詳細は明らかではないが、本発明の共重合体中のカルボキシル基が、スケール成分の析出、析出したスケールの成長を防止し、一方、本発明の共重合体中のスルホン酸(塩)基が、伝熱面や配管壁面への付着を防止しているものと考えられる。
炭酸カルシウム系スケール抑制には、カルボキシル基が多いほど有効であるが、スルホン酸(塩)基が存在しない場合、カルシウムと共重合体のゲル化物が生成するため、炭酸カルシウム系スケール防止とゲル化抑制には、最適な構成単位(i)と構成単位(ii)のモル比が存在する。
また、シリカ系スケールの防止にはスルホン酸(塩)基の比率が高いほどスケール防止効果が高くなるが、炭酸系カルシウムスケールとシリカ系スケールを同時に防止するためには、最適な構成単位(i)と構成単位(ii)のモル比が存在する。
共重合体の分子量が高いとカルシウムと共重合体のゲル化物が生成しやすく、分子量が低いと炭酸カルシウムへの吸着能が弱く、炭酸カルシウム系スケールを防止することができないが、重量平均分子量が2,000以上12,000未満の本発明の共重合体は、このような問題がない。
更に、このような分子量範囲において、構成単位(ii)の相対比が1以下であることによりスケール防止効果がより優れる。
以下に実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明する。なお、本発明の範囲は以下の実施例に限定されるものではない。
[実験条件]
1)スケール付着試験
図1に示す、伝熱面積約0.01m2の伝熱ヒーター54を備える熱交換器を有し、保有水量が0.1m3である高熱負荷試験装置を用いて行った。この熱交換器は、材質がSUS304で、外径が19mmのチューブ53を備えている。このモデル冷却水系に、スケール防止剤を10mg-solid/Lの濃度で含有する以下の水質条件の試験水を補給水として加え、ポンプ51によりタンク50-試験槽52間を循環させて2日間運転した。この間、循環水の熱交換器入口温度は30℃に保った。また、循環水の熱交換器チューブを通過する速度は0.5m/sとした。2日間運転を継続したのち、熱交換器のチューブ53を取り外して、スケールの付着したチューブ53を乾燥、秤量し、スケール付着前後のチューブ53の重量差から、スケール付着量(mg)を算出した。
1)スケール付着試験
図1に示す、伝熱面積約0.01m2の伝熱ヒーター54を備える熱交換器を有し、保有水量が0.1m3である高熱負荷試験装置を用いて行った。この熱交換器は、材質がSUS304で、外径が19mmのチューブ53を備えている。このモデル冷却水系に、スケール防止剤を10mg-solid/Lの濃度で含有する以下の水質条件の試験水を補給水として加え、ポンプ51によりタンク50-試験槽52間を循環させて2日間運転した。この間、循環水の熱交換器入口温度は30℃に保った。また、循環水の熱交換器チューブを通過する速度は0.5m/sとした。2日間運転を継続したのち、熱交換器のチューブ53を取り外して、スケールの付着したチューブ53を乾燥、秤量し、スケール付着前後のチューブ53の重量差から、スケール付着量(mg)を算出した。
2)分子量
ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)を用い、以下の条件で測定した。
検出器 :RI
カラム :東ソー株式会社製 TSK-GEL G2500PWXL+TSK-GEL G4000PWXL
溶離液 :0.1Mリン酸緩衝液/MeCN=80/20
流速 :0.6ml/分
カラム温度:40℃
検量線 :標準ポリアクリル酸ナトリウム
ポリマーの重量平均分子量は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC-8220GPC」)を用い、以下の条件で測定した。
検出器 :RI
カラム :東ソー株式会社製 TSK-GEL G2500PWXL+TSK-GEL G4000PWXL
溶離液 :0.1Mリン酸緩衝液/MeCN=80/20
流速 :0.6ml/分
カラム温度:40℃
検量線 :標準ポリアクリル酸ナトリウム
3)主鎖末端基の確認
ポリマーの主鎖末端のスルホン酸基は例えばpHを7に調整したポリマー水溶液を凍結乾燥し水を除去した後、重水を溶媒に用いて1HNMR測定を行い、ポリマー主鎖末端にスルホン酸基が導入されたことに由来する2.6ppmのピークの有無により確認した。
ポリマーの主鎖末端のスルホン酸基は例えばpHを7に調整したポリマー水溶液を凍結乾燥し水を除去した後、重水を溶媒に用いて1HNMR測定を行い、ポリマー主鎖末端にスルホン酸基が導入されたことに由来する2.6ppmのピークの有無により確認した。
[実施例1~5、比較例1~8]
表2に示すスケール防止剤を用いて上記の実験条件でスケール付着試験を行った。結果を表2に示す。
なお、表2中、各略号は以下のものを示す。
AA:アクリル酸に由来する構成単位(構成単位(i))
MA:マレイン酸に由来する構成単位
AMPS:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に由来する構成単位(構成単位(ii))
PBTC:ホスホノブタントリカルボン酸
S:スルホン酸基
表2に示すスケール防止剤を用いて上記の実験条件でスケール付着試験を行った。結果を表2に示す。
なお、表2中、各略号は以下のものを示す。
AA:アクリル酸に由来する構成単位(構成単位(i))
MA:マレイン酸に由来する構成単位
AMPS:2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に由来する構成単位(構成単位(ii))
PBTC:ホスホノブタントリカルボン酸
S:スルホン酸基
例えば、実施例1におけるAA/AMPS、97/3(モル比)は、AA/AMPSコポリマーであって、構成単位(i)であるAAに由来する構成単位と構成単位(ii)であるAMPSに由来する構成単位とを97:3のモル比で含むことを示す。
比較例1,2のAAはアクリル酸ホモポリマーであり、比較例7のMAはマレイン酸ホモポリマーである。比較例8のPBTCはホスホノブタントリカルボン酸である。
実施例1~5および比較例1~8の結果より、以下のことが分かる。
比較例1、2、7と実施例1~5を比較すると、構成単位(ii)を1~5モル%を含まない比較例1、2、7では、スケールが付着しにくい条件1においてもスケール付着を防止することができないことが分かる。
比較例1、2、7と実施例1~5を比較すると、構成単位(ii)を1~5モル%を含まない比較例1、2、7では、スケールが付着しにくい条件1においてもスケール付着を防止することができないことが分かる。
比較例4と実施例1~5を比較すると、構成単位(ii)を1~5モル%含んでいても、重量平均分子量が12,000の比較例4では、スケールが付着しにくい条件1においてもスケールの付着を防止できないことが分かる。
比較例3と実施例1~5を比較すると、構成単位(ii)を1~5モル%含み、重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲であっても、構成単位(ii)の相対比が1より大きい場合、スケールが付着しにくい条件1においてもスケールの付着を防止できないことが分かる。
比較例8と実施例1~5を比較すると、ポリホスホノブタントリカルボン酸は、炭酸カルシウム系スケールのみが付着しやすい条件1においては高いスケール防止効果を示しているが、シリカ系スケールも付着しやすい条件2においては、スケールの付着を防止することができないことが分かる。
一方で、構成単位(i)と構成単位(ii)とを含み、構成単位(i):構成単位(ii)=99:1~95:5(モル比)であり、重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲で、構成単位(ii)の相対比が1以下の実施例1~5では、条件1、2のいずれにおいても、スケールの付着を防止できている。
以上の結果より、リンを含まず、種々のスケール種に対して良好なスケール防止効果を示したのは、本発明の共重合体が、(i)重合性不飽和カルボン酸(塩)に由来する構成単位(i)と、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(塩)に由来する構成単位(ii)とを有し、かつ少なくとも一つの主鎖末端基にスルホン酸(塩)基を有し、構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比が99:1~95:5の範囲であり、重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲であり、構成単位(ii)の相対比が1以下であることによることが分かる。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2020年9月14日付で出願された日本特許出願2020-153865に基づいており、その全体が引用により援用される。
本出願は、2020年9月14日付で出願された日本特許出願2020-153865に基づいており、その全体が引用により援用される。
50 タンク
51 ポンプ
52 試験槽
53 チューブ
54 伝熱ヒーター
51 ポンプ
52 試験槽
53 チューブ
54 伝熱ヒーター
Claims (6)
- (i)重合性不飽和カルボン酸及び/又はその塩に由来する構成単位(以下、「構成単位(i)」と称す。)と、(ii)2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸及び/又はその塩に由来する構成単位(以下、「構成単位(ii)」と称す。)とを有し、かつ少なくとも一つの主鎖末端基にスルホン酸基及び/又はスルホン酸塩基を有し、
構成単位(i)と構成単位(ii)とのモル比が99:1~95:5の範囲であり、
重量平均分子量が2,000以上12,000未満の範囲であり、
下記式(1)で算出される構成単位(ii)の相対比が1以下である共重合体を含むことを特徴とするスケール防止剤。
構成単位(ii)の相対比=Y/(M/1000) …(I)
式(1)中、Yは、該共重合体に含まれる構成単位(i)と構成単位(ii)との合計を100モル%としたときの構成単位(ii)の含有モル%を表し、Mは該共重合体の重量平均分子量を表す。 - 前記構成単位(i)がアクリル酸に由来する構成単位であることを特徴とする請求項1に記載のスケール防止剤。
- 前記構成単位(ii)が、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸に由来する構成単位であることを特徴とする請求項1又は2に記載のスケール防止剤。
- 請求項1ないし3のいずれか1項に記載のスケール防止剤を水系に添加するスケール防止方法。
- 前記水系のシリカ濃度が20mg-SiO2/Lを超えることを特徴とする請求項4に記載のスケール防止方法。
- 前記水系のカルシウム硬度が250mg-CaCO3/Lを超えることを特徴とする請求項4又は5に記載のスケール防止方法。
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CN114573122A (zh) * | 2022-03-29 | 2022-06-03 | 广东天祺环保科技有限公司 | 一种水处理用复合缓蚀阻垢剂的制备方法 |
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