JP6699022B2 - 液体麹の製造法 - Google Patents

液体麹の製造法 Download PDF

Info

Publication number
JP6699022B2
JP6699022B2 JP2016125055A JP2016125055A JP6699022B2 JP 6699022 B2 JP6699022 B2 JP 6699022B2 JP 2016125055 A JP2016125055 A JP 2016125055A JP 2016125055 A JP2016125055 A JP 2016125055A JP 6699022 B2 JP6699022 B2 JP 6699022B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
koji
liquid
acid
culture
resistant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016125055A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017225416A (ja
Inventor
森田 洋
洋 森田
咲紀 三貝
咲紀 三貝
菜々子 井
菜々子 井
将平 松尾
将平 松尾
敦 畠山
敦 畠山
智禎 高瀬
智禎 高瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE UNIVERSITY OF KITAKYUSHU
Original Assignee
THE UNIVERSITY OF KITAKYUSHU
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE UNIVERSITY OF KITAKYUSHU filed Critical THE UNIVERSITY OF KITAKYUSHU
Priority to JP2016125055A priority Critical patent/JP6699022B2/ja
Publication of JP2017225416A publication Critical patent/JP2017225416A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6699022B2 publication Critical patent/JP6699022B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、焼酎に代表される発酵飲食品の製造に用いられる液体麹の製造法に関する。
酒類等の製造に用いられる麹には、蒸煮等の処理後の原料に糸状菌の胞子を接種して培養する固体麹と、水に原料及びその他の栄養源を添加して液体培地を調製し、これに麹菌の胞子又は前培養した菌糸等を接種して培養する液体麹がある。
日本酒、焼酎、しょうゆ、みそ、みりん等の製造では、固体培養法により製麹された、いわゆる固体麹が広く利用されている。この固体培養法は、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリーゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)等の麹菌の胞子を、蒸煮した穀類等の固体原料へ散布し、その表面で麹菌を増殖させる培養方法である。
しかしながら、固体培養法は、酵素生産性は非常に高いものの、製麹における温度、水分量、各種栄養成分等の因子を均一にすることが困難であり、開放系で製麹されることも多く雑菌による汚染といった品質管理面の問題もある。
一方、液体培養法は、培養制御や品質管理が容易であり、効率的な生産に適した培養形態であるが、例えば焼酎製造に必要な酵素の生産性が十分でないという問題があるため、液体麹は焼酎麹として採用されていないのが現状である。
焼酎等のアルコール発酵に必要な酵素は、麹菌へのグルコース供給に必要な糖質分解酵素である白麹菌は非耐酸性α−アミラーゼと耐酸性α−アミラーゼという性質の異なる2種類のアミラーゼ遺伝子を有しているが、その発現様式は大きく異なっており、液体培養においては、非耐酸性α−アミラーゼは十分に生産されるものの、焼酎醸造の鍵酵素である耐酸性α−アミラーゼはほとんど生産されないことが知られている。焼酎製造では、焼酎もろみの腐造防止のために、例えばクエン酸を添加して低pH環境下で醸造する。しかし、非耐酸性α−アミラーゼは、低pH条件では速やかに失活してしまうため、焼酎醸造の糖質分解にはほとんど貢献しない。そのため、焼酎醸造の糖質分解に寄与していると考えられる耐酸性α−アミラーゼを、麹菌の液体培養で大量に生成させることが、焼酎製造のために不可欠である。
耐酸性のα−アミラーゼの生産性を向上させる手段としては、培養原料として表面が外皮で覆われた未加工の穀類、豆類、芋類等を含む液体培地で白麹菌及び/又は黒麹菌を培養して、培養物中にグルコアミラーゼと、耐酸性α−アミラーゼとを同時に生成、蓄積させることを特徴とする液体麹の製造方法(特許文献1、2)、表面の全部が穀皮で覆われた穀類(但し、粉砕物を除く)、硝酸ナトリウム及び硝酸カリウムから選ばれる1種又は2種である硝酸塩、リン酸2水素カリウム及びリン酸アンモニウムから選ばれる1種又は2種であるリン酸塩、並びに、硫酸マグネシウム7水和物、硫酸鉄7水和物及び硫酸アンモニウムから選ばれる1種ないし3種である硫酸塩を含有する液体培地で黄麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造方法(特許文献3)、表面の全部が穀皮で覆われた大麦、裸麦または小麦を含む液体培地で白麹菌又は黒麹菌を培養する際に、前記液体培地中における大麦、裸麦または小麦の使用量を1.4〜1.8%(w/vol)とすることにより、麹菌培養物中に少なくともグルコアミラーゼと、耐酸性α−アミラーゼと、セルロース分解酵素と、キシラン分解酵素と、を同時に生成、蓄積させることを特徴とする、セルロース分解酵素及びキシラン分解酵素が増強された液体麹の製造方法(特許文献4)、表面の全部が穀皮で覆われた穀類並びに硝酸カリウム、硝酸ナトリウム、酵母菌体、酵母菌体処理物、穀類穀皮及び穀類糠から選ばれる1種以上の窒素源を含有する液体培地で白麹菌または黒麹菌を培養することを特徴とする酵素活性の増強された液体麹の製造方法(特許文献5)など、表面が外皮で覆われた穀類、豆類、芋類等を使用した液体麹の製造方法が多数提案されている。
しかし、通常、焼酎仕込に外皮で覆われた原材料を使用することは無いため、このような方法で液体麹を製造する場合、新たな原料保管施設や倉庫が必要となる。
また、本発明者らは、液体麹の製造法を検討し、米粉(精白米)1.0%、K2HPO4 0.1%、KCl 0.1%、トリプトン 0.6%、MgSO47H2O 0.05%、FeSO4・7H2O 0.001%、ZnSO4・7H2O 0.0003%、CaCl2 0.021%、クエン酸 0.33%、pHを3.0に調整した培地(基本液体培地)に、ヨーグルトを添加することにより耐酸性α−アミラーゼ活性は向上し、ヨーグルトの替わりに牛乳を添加した方が耐酸性α−アミラーゼ活性は更に高くなること、その主な要因は、牛乳に含まれるリン酸カリウムであることを明らかにした(非特許文献1)。
特許第3718679号公報 特許第3718681号公報 特許第4068649号公報 特許第4113252号公報 特許第4083194号公報
第66回日本家政学会、研究発表要旨、2014年
本発明の課題は、通常の焼酎製造に用いられる原料を用いて耐酸性α−アミラーゼ活性が向上した液体麹の製造法を提供することにある。
そこで本発明者は、リン酸カリウム以外の成分で耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させる成分を種々探索したところ、全く意外にも亜鉛塩の濃度を一定濃度以上に上昇させた液体培地を用いることにより、耐酸性α−アミラーゼ活性が顕著に向上することを見出した。また、必要な濃度の亜鉛塩は、ゴマ又はゴマ加工物の添加により達成できることも見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔6〕を提供するものである。
〔1〕0.0005w/v%超0.01w/v%以下の亜鉛塩を含有する液体培地で麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造法。
〔2〕亜鉛塩として、ゴマ又はゴマ加工物を含有する〔1〕記載の液体麹の製造法。
〔3〕液体培地中に、さらにスキムミルクを含有する〔1〕又は〔2〕記載の液体麹の製造法。
〔4〕液体培地中に、さらに穀類、芋類及び豆類から選ばれる原料を含有する〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の液体麹の製造法。
〔5〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の液体麹を用いて、酒類を製造することを特徴とする酒類の製造方法。
〔6〕〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の液体麹を用いて、焼酎を製造することを特徴とする焼酎の製造方法。
本発明の方法によれば、液体培地中の亜鉛塩濃度を所定の範囲にすることで、耐酸性α−アミラーゼ活性が向上した液体麹が効率よく製造できるため、品質が一定した清酒、焼酎等を工業的に有利に製造することができる。
本発明の方法によれば、ゴマ等の焼酎の製造に使用することができる成分の添加により、耐酸性α−アミラーゼ活性が顕著に向上した液体麹が効率良く製造できるため、品質が一定した本格焼酎、その他の醸造酒、リキュール等を工業的に有利に製造することができる。
液体培地中の亜鉛塩濃度と耐酸性α−アミラーゼ活性との関係を示す。
本発明の液体麹の製造法は、0.0005w/v%超0.01w/v%以下の亜鉛塩を含有する液体培地で麹菌を培養することを特徴とする。
本発明に用いられる亜鉛塩としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、炭酸亜鉛等の無機酸亜鉛塩、グルコン酸亜鉛、酢酸亜鉛等の有機酸亜鉛塩が挙げられる。また亜鉛塩を直接用いてもよいが、亜鉛を含む植物や天然物、例えば酵母、ゴマ又はゴマ加工物を用いてもよい。現在の食品衛生法上、食品添加物として使用が認められている硫酸亜鉛とグルコン酸亜鉛を使用することが好ましい。硫酸亜鉛は安価であるのでより好ましい。
ゴマの種類は問わず、白ゴマ、黒ゴマ、黄ゴマのいずれでもよい。ゴマ加工物としては、炒りゴマ(いりゴマ)、切りゴマ、ひねりゴマ、すりゴマ等のいずれでもよい。炒りゴマを使用すると耐酸性α−アミラーゼ活性を高い液体麹を安定的に得やすいことから好ましい。
液体培地中の亜鉛塩の濃度は、耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させる点から、0.0005w/v%超0.01w/v%以下であり、その下限値は好ましくは0.0006w/v%であり、より好ましくは0.0007w/v%である。また上限値は、0.005w/v%が好ましく、0.001w/v%がより好ましい。ゴマ又はゴマ加工物を用いる場合、ゴマ中の亜鉛濃度は一般に0.05〜0.06mg/gであるから、亜鉛塩換算量で0.0005w/v%超0.01w/v%以下になるように添加すればよい。
液体培地には、亜鉛塩以外に、穀類、芋類、豆類等の発酵原料、スキムミルク、リン酸塩、pH調整剤、無機塩、その他の食品衛生法上認められている物品を含有させることができる。
ここで、スキムミルクの添加は、耐酸性α−アミラーゼ活性向上に有効であり、特に好ましい。スキムミルクは、牛乳から乳脂肪分及び水分を除去したものであり、脱脂粉乳である。スキムミルクは、タンパク質、炭水化物及びミネラルを含有し、脂質をほとんど含まないため、炭素源、窒素源となり得る。
スキムミルクの液体培地中の含有量は、耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させる点から、0.6w/v%以上が好ましく、1.0w/v%以上がより好ましく、2.0w/v%以上がさらに好ましい。上限値は限定されないが、例えば、10w/v%である。
リン酸塩の添加もまた、耐酸性α−アミラーゼ活性向上に有効である。リン酸塩としては、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸アンモニウム等が挙げられる。
リン酸塩の液体培地中の含有量は、耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させる点から、0.0001〜2.0w/v%が好ましく、0.001〜1.5w/v%がより好ましく、0.01〜1.0w/v%がさらに好ましい。
液体培地に添加される発酵原料としては、穀類、芋類、豆類、糖蜜等の糖質を含有する物品や糖質分解酵素の作用により糖類を生成する物品等が挙げられる。穀類としては、米、小麦、大麦、そば、ヒエ、アワ、キビ、コウリャン、トウモロコシが挙げられる。また、芋類としては、サツマイモが挙げられる。豆類としては、大豆、小豆等が挙げられる。これらの発酵原料は、特許文献1〜5のように表面が外皮で覆われた原料でなく、通常の焼酎や酒類の製麹の場合と同様に外皮を削除したものを用いるのが好ましい。例えば、米を用いる場合は、外皮がなくなるまで精米したものを用いるのが好ましい。大麦の場合も外皮がなくなるまで精白したものを用いるのが好ましい。精白したものを発酵原料に使用することで、耐酸性α−アミラーゼ活性を向上させやすくなる。精麦(白)率は、50〜99%の範囲内であることが好ましく、60〜90%の範囲内であることがより好ましく、65〜85%の範囲内であることがさらに好ましい。
これらの発酵原料の液体培地中の含有量は、含有量が増すにつれ液体培地の流動性が著しく低下し作業性が低下する点から、0.1〜10.0w/v%が好ましく、0.5〜5.0w/v%がより好ましく、1.0〜2.0w/v%がさらに好ましい。
これらの発酵原料は、これに含まれるデンプンを糊化しておくのが好ましい。発酵原料は、例えば蒸煮法、炒ごう等により糊化するのが好ましい。なお、液体培地の殺菌工程において糊化温度以上に加熱する場合は、この処理によりデンプンの糊化も同時に行なわれる。
本発明に用いる液体培地のpHは、例えば、クエン酸、乳酸など食品衛生法で添加が認められている酸類の添加により、湿熱滅菌直後では5.0以下とするのが好ましい。培養全般を通じ、pH7.0以下が望ましく、6.0以下がさらに望ましく、5.0以下が最も望ましい。
本発明に用いる液体培地には、前記成分以外の無機塩、ビタミン類、有機酸を添加することができる。無機塩としては、硝酸ナトリウム等の硝酸塩、硫酸アンモニウムなどの硫酸塩、硫酸アンモニウム等のアンモニウム塩等が挙げられる。また、ビタミン類としては、チアミン塩酸塩、葉酸、パントテン酸カルシウム、ナイアシン、ビオチン等が挙げられる。有機酸としては、コハク酸が挙げられる。
前記の原料を水と混合することにより得られる麹菌の液体培地は、必要に応じて滅菌処理を行なってもよく、処理方法には特に限定はない。例としては、高温高圧滅菌法を挙げることができ、121℃で15分間行なえばよい。
滅菌した液体培地を培養温度まで冷却後、麹菌を液体培地に接種する。
本発明で用いる麹菌としては、白麹菌としてはアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)等、黒麹菌としてはアスペルギルス・アワモリ(Aperigillus awamori)やアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)等が挙げられる。
また、培地に接種する麹菌の形態は任意であり、胞子又は菌糸を用いることができる。
これらの麹菌は1種類の菌株による培養、又は同種若しくは異種の2種類以上の菌株による混合培養のどちらでも用いることができる。これらは胞子又は前培養により得られる菌糸のいずれの形態のものを用いても問題はないが、菌糸を用いる方が対数増殖期に要する時間が短くなるので好ましい。
麹菌の液体培地への接種量には特に制限はないが、液体培地1mL当り、胞子であれば1×104〜1×107個程度、菌糸であれば前培養液を0.1〜10%程度接種することが好ましい。
麹菌の培養温度は、生育に影響を及ぼさない限りであれば特に限定はないが、好ましくは25〜45℃、より好ましくは30〜40℃で行なうのがよい。培養温度が低いと、麹菌の増殖が遅くなるため雑菌による汚染が起きやすくなる。培養時間は24〜72時間が適当である。
培養装置は、液体培養を行なうことができるものであればよいが、麹菌は好気培養を行なう必要があるので、酸素や空気を培地中に供給できる好気的条件下で行なう必要がある。また、培養中は培地中の原料、酸素、及び麹菌が装置内に均一に分布するように撹拌をするのが好ましい。撹拌条件や通気量については、培養環境を好気的に保つことができる条件であればいかなる条件でもよく、培養装置、培地の粘度等により適宜選択すればよい。
上記の培養法で培養することにより、デンプン分解酵素、セルロース分解酵素、タンパク分解酵素などの酵素、特に耐酸性α−アミラーゼが高生産され、焼酎等の製造に使用できる酵素活性、特に耐酸性α−アミラーゼ活性が向上した液体麹が得られる。
尚、本発明において液体麹とは、培養したそのものの他に、培養物を遠心分離等することにより得られる培養液、それらの濃縮物又はそれらの乾燥物等も包含するものとする。
本発明の製造法で得られた液体麹は、焼酎等の発酵飲食品の製造に好適に用いることができる。例えば、清酒を製造する場合には、酒母や各もろみ仕込み段階において、焼酎を製造する場合には、もろみ仕込み段階において、しょうゆを製造する場合には、盛り込みの段階において、味噌を製造する場合には、仕込み段階において、みりんを製造する場合は、仕込み段階において、甘酒を製造する場合には、仕込みの段階において、液体麹を固体麹の代わりに用いることができる。
また、得られた液体麹の一部を次の液体麹製造におけるスターターとして用いることもできる。このように液体麹を連続的に製造することにより、安定的な生産が可能になると同時に、生産効率の向上も図ることができる。
また、上記した液体麹を用いて焼酎等の発酵飲食品を製造する場合には、全工程を液相で行なうことができる。全工程を液相で行なう発酵飲食品の製造方法としては、例えば、焼酎を製造する場合、トウモロコシ、麦、米、いも、さとうきび等を掛け原料に用い、該原料を約80℃の高温で耐熱性酵素剤を使用して溶かして液化した後、これに上記した液体麹、及び酵母を添加することでアルコール発酵させたもろみを、常圧蒸留法又は減圧蒸留法等により蒸留して製造する方法が挙げられる。
本発明の方法で得られた液体麹は、その高い酵素活性から、酵素製剤、並びに消化剤などの医薬品などとしての利用も可能である。この場合、得られた麹菌培養物を所望の程度に濃縮・精製し、適当な賦形剤、増粘剤、甘味料などを添加して常法により製剤化すればよい。
以下、本発明を実施例によってより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
表1記載の材料を100mLの水道水に溶解し、滅菌した液体培地にAspergillus kawachii NBRC 4308株を接種して培養し、耐酸性α−アミラーゼ活性を測定した。すなわち、500mL坂口フラスコにpH3に調製した表1記載の液体培地100mLを入れ、121℃で20分滅菌後、室温まで冷却した。液体培地に胞子懸濁液を初発胞子数が1×107spore/mLになるように接種した。培養温度は30℃、振とう速度200rpmで72時間培養した。
耐酸性α−アミラーゼの活性測定法は、J. Ferment. Bioeng.,77, 483-489(1994)に記載の方法を若干改良し、培養物を酸処理することで非耐酸性α−アミラーゼ活性を失活させた後、α−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて行なった。より具体的には、培養液1mLに9mLの100mM酢酸緩衝液(pH3)を添加し、37℃で1時間酸処理を行なった後に、α−アミラーゼ測定キット(キッコーマン製)を用いて測定した。
亜鉛塩濃度と耐酸性α−アミラーゼ活性との関係を図1に示す。
図1から明らかなように、亜鉛塩濃度が0.0007w/v%のときに、耐酸性α−アミラーゼ活性が顕著に上昇していることがわかる。
実施例2
液体培地を表2の組成とし、実施例1と同様に培養し、耐酸性α−アミラーゼ活性を測定した。
表3に、得られた液体麹の耐酸性α−アミラーゼ活性を測定した結果およびその時の亜鉛塩濃度(培地に含有される亜鉛を硫酸亜鉛7水和物濃度に換算した濃度)を示す。スキムミルクを0.6%または1.0%、炒りゴマ(白)を5.08%使用した場合、K2HPO4を1.0%使用した液体麹と同等値となった。
次に、(表2)に示す改変SLS培地組成における米粉(精白米)、スキムミルク代替品、ZnSO4・7H2O代替品を下記培地条件に変更し、液体麹を培養した。なお、大麦は、精麦歩合を99%(表皮含有)、85%(表皮非含有)、70%(表皮非含有)とし、何れも粉砕して用いた。なお、炒りゴマは粉砕せずにそのまま用いた。
培地条件
・精麦歩合70%大麦(粉砕、表皮非含有)1%,炒りゴマ(白)5.08%,スキムミルク0〜4.0%
・精麦歩合85%大麦(粉砕、表皮非含有)1%,炒りゴマ(白)5.08%,スキムミルク0〜4.0%
・精麦歩合99%大麦(粉砕、表皮含有)1%,炒りゴマ(白)5.08%,スキムミルク0〜4.0%
表4に、得られた液体麹の耐酸性α−アミラーゼ活性測定結果およびその時の亜鉛塩濃度(培地に含有される亜鉛を硫酸亜鉛7水和物濃度に換算した濃度)を示す。大麦を使用し、炒りゴマを5.08%含有した場合、スキムミルク濃度を1%とした時に、K2HPO4を1.0%使用した液体麹と同等値となり、3%とした時に、ほぼ最大値となった。
次に、(表2)に示す改変SLS培地組成における米粉(精白米)、スキムミルク代替品、ZnSO4・7H2O代替品を下記培地条件に変更し、液体麹を培養した。なお、大麦は、精麦歩合を99%(表皮含有)、85%(表皮非含有)、70%(表皮非含有)とし、何れも粉砕して用いた。なお、炒りゴマは粉砕せずにそのまま用いた。
培地条件
・精麦歩合70%大麦(粉砕、表皮非含有)1%,炒りゴマ(白)0〜6.77%,スキムミルク3.0%
・精麦歩合85%大麦(粉砕、表皮非含有)1%,炒りゴマ(白)0〜6.77%,スキムミルク3.0%
・精麦歩合99%大麦(粉砕、表皮含有)1%,炒りゴマ(白)0〜6.77%,スキムミルク3.0%
得られた液体麹の耐酸性α−アミラーゼ活性を測定した結果を表5に示す。スキムミルク3%、炒りゴマを3.38%とした場合、最大値を示した。また、精麦歩合が低い方が高活性だった。
精麦歩合70%の大麦を使用しても、高耐酸性α−アミラーゼ活性の液体麹が得られた。このことは、既存の原料をそのまま使用すれば良く、新たな原料保管施設や倉庫を準備する必要は無いことを意味する。
実施例3
(1)精麦歩合70%大麦 1.0%、K2HPO4 0.1%、KCl 0.1%、スキムミルク 3%、MgSO4・7H2O 0.05%、炒りゴマ3.38%、CaCl2 0.021%、クエン酸 0.33%、水道水100mlを加え、pHを3.0に調整し、滅菌した培地に、Asp.kawachii NBRC4803株を1×106個/mLとなるよう添加し、30℃、3日間、振盪速度200rpmで培養した。この培地の亜鉛塩濃度は、硫酸亜鉛7水和物濃度に換算すると、0.0013%だった。
(2)固体麹仕込を対照とし、(1)で作製した液体麹を用いて、表6の配合により仕込を行った。大麦の精麦歩合は70%、使用酵母は鹿児島2号を用い、雰囲気温度25℃で発酵した。発酵終了後、減圧蒸留した。
出来上がったもろみのアルコール分は表7の通りとなり、ほぼ同等のアルコールが得られた。
得られた焼酎をヘッドスペースGC分析に供し、香気成分を測定した。その結果、表8の通り、何れも大差なかった。
得られた焼酎を、アルコール分20%に調整し、官能評価を行った。その結果、固体麹仕込と同等の評価だった。
本発明により、品質が安定した液体麹を効率良く製造する方法が提供される。しかも、この液体麹は、発酵飲食品の製造に好適である上に、耐酸性α−アミラーゼが高生産されるので、焼酎等の酒類の製造に適している。

Claims (4)

  1. 0.000w/v%以上0.01w/v%以下の亜鉛塩と、さらに0.6w/v%以上10w/v%以下のスキムミルクとを含有し、亜鉛塩として炒りゴマを含有する液体培地で麹菌を培養することを特徴とする液体麹の製造法。
  2. 液体培地中に、さらに穀類、芋類及び豆類から選ばれる原料を含有する請求項項記載の液体麹の製造法。
  3. 請求項1又は2記載の液体麹を用いて、酒類を製造することを特徴とする酒類の製造方法。
  4. 請求項1又は2記載の液体麹を用いて、焼酎を製造することを特徴とする焼酎の製造方法。
JP2016125055A 2016-06-24 2016-06-24 液体麹の製造法 Active JP6699022B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016125055A JP6699022B2 (ja) 2016-06-24 2016-06-24 液体麹の製造法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016125055A JP6699022B2 (ja) 2016-06-24 2016-06-24 液体麹の製造法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017225416A JP2017225416A (ja) 2017-12-28
JP6699022B2 true JP6699022B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=60889466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016125055A Active JP6699022B2 (ja) 2016-06-24 2016-06-24 液体麹の製造法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6699022B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017225416A (ja) 2017-12-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU2011200747B2 (en) Method of Manufacturing Liquid Koji
KR101394009B1 (ko) 액체국의 제조 방법
JP3718677B2 (ja) 液体麹の製造方法
JP4096026B2 (ja) 液体麹を用いた穀類又は芋類の液化方法
JP4083194B2 (ja) 液体麹の製造方法
JP4723340B2 (ja) 液体麹を用いた清酒の製造方法
JP4908815B2 (ja) 液体麹の製造法
JP2003250518A (ja) 保存安定性を高めた固形発酵スターター
JP6699022B2 (ja) 液体麹の製造法
JP3718681B1 (ja) 雑穀類を用いる液体麹の製造法
JP3718678B1 (ja) 玄米を用いる液体麹の製造方法
JP4482365B2 (ja) 液体麹の製造方法
JPH06133745A (ja) 米を原料とする飲料およびその製造法
JP6963278B2 (ja) 液体麹の製造法
JP3718679B1 (ja) 豆類又は芋類を用いる液体麹の製造法
JP5080730B2 (ja) 液体麹の連続製造方法
KR101171401B1 (ko) 액체국의 제조방법
JP2007125005A (ja) 黄麹菌を用いた液体麹の製造方法
JP4489488B2 (ja) 液体麹酒母の製造方法とそれを用いた酒類の製造方法
JP2006180809A (ja) 液体麹と固体麹を併用した酒類の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20190122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191009

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191105

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191227

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200403

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6699022

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250