JP6698990B2 - 空中像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、再帰性反射材を用いた空中像表示装置に関する。
画像表示装置からの表示画像を空中に結像することで、空中に画像を表示する空中像表示装置が近年注目されている。
空中像表示装置は、画像を結像するための結像素子を必要とする。
そして、微小な二面コーナーリフレクタをアレイ化したマイクロミラー結像素子を用いた空中像表示装置や、ハーフミラーと再帰性反射材の組み合わせによる再帰性反射結像素子を用いた空中像表示装置等が提案されている(例えば、特許文献1〜特許文献4を参照)。
マイクロミラー結像素子を用いた空中像表示装置は、高精細かつ高輝度な空中像を提供することができる。
しかし、マイクロミラー結像素子を用いた空中像表示装置は、視野角特性が狭いこと、奇数回反射光による迷光が見えてしまうこと、さらに、数百μm単位の規則的なパターンを成型しなければならないため、結像素子が非常に高価であり、かつ結像素子の大面積化が困難であること、が問題として挙げられる。
再帰性反射結像素子を用いた空中像表示装置は、マイクロミラー結像素子を用いた空中像表示装置に生じる上述した問題を解決することができる。
しかし、再帰性反射結像素子を用いた空中像表示装置は、空中像の輝度が低いことが問題として挙げられる。
そこで、再帰性反射結像素子を用いた空中表示装置において、ハーフミラーとして偏光を特異的に反射する反射型偏光板により、空中像の光の利用効率を上げて輝度を向上させる検討がなされている(例えば、特許文献5〜特許文献6参照)。
特開昭56−158320号公報 特表昭59−500189号公報 国際公開第2007/116639号 国際公開第2009/131128号 特表平9−506717号公報 米国特許第3620592号明細書
しかしながら、特許文献5〜特許文献6で好ましいと記載されているプリズム型再帰性反射材を用いた場合、空中像表示装置の空中像の輝度は十分なレベルとは言えない。
本発明は、再帰性反射材を用いた空中像表示装置において、十分な輝度が得られ、高画質な空中像の表示を可能にするものである。
本発明の空中像表示装置は、下記の構成を有する。
[1]画像表示装置、ハーフミラー、再帰性反射材を有する空中像表示装置であって、前記ハーフミラーが反射型偏光板であり、前記反射型偏光板と前記再帰性反射材の間にλ/4板を有し、前記再帰性反射材の偏光維持度が50%以上であり、前記画像表示装置と前記ハーフミラーの間に偏光解消素子を有する空中像表示装置。
[2]前記再帰性反射材の反射率が15%以上であり、前記再帰性反射材の広がり率αが1.20%/mm未満である[1]の空中像表示装置。
本発明によれば、再帰性反射材を用いた空中像表示装置において、高画質な空中像表示装置を実現することができる。より具体的には、上記手段[1]により高輝度な空中像表示装置を実現することができる。さらに、上記手段[2]により精細度を向上することができる。また、上記手段[1]により色味を改良することができる。
本発明の空中像表示装置の一般的な構成を示す概略図である。 遮光壁を設けた空中像表示装置の一形態を示す概略図である。 遮光壁を設けた空中像表示装置のさらに他の形態を示す概略図である。 吸収型偏光板を設けた空中像表示装置の形態を示す概略図である。 画像表示装置に偏光解消素子を設けた空中像表示装置の形態を示す概略図である。 再帰性反射材の偏光維持度の測定用の光学系の概略図である。 再帰性反射材の反射率の測定用の光学系の概略図である。 A、B 再帰性反射材の広がり率の測定用の光学系の概略図である。 A、B 屈折率2.0のマイクロビーズを用いた再帰性反射材の一例の概略図である。 実施例の空中像表示装置の構成を示す概略図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の空中像表示装置の一般的な構成の概略図(側方から見た図)を、図1に示す。
図1に示す空中像表示装置は、画像表示装置1、ハーフミラー2、再帰性反射材3、λ/4板6を有して構成されている。
図1に示す空中像表示装置210は、画像表示装置1から出射された画像光がハーフミラー2によって反射される方向に、再帰性反射材3が配置されている構成である。図1に示す空中像表示装置210では、再帰性反射材3で再帰性反射された画像光が再度ハーフミラー2に到達して、ハーフミラー2を透過した画像光が空中像4となって結像される。
なお、空中像4は、画像表示装置1のハーフミラー2に対する面対称位置に結像された実像である。
そして、空中像表示装置210において、再帰性反射材3の表面に、λ/4板6が設けられている。
本発明の空中像表示装置は、図1に示した空中像表示装置210において、ハーフミラー2を反射型偏光板である構成とし、また、再帰性反射材3の偏光維持度が50%以上、好ましくは95%以上である構成とする。
ハーフミラー2が反射型偏光板であり、再帰性反射材3の表面にλ/4板6が設けられ、再帰性反射材3の偏光維持度が50%以上、好ましくは95%以上であることにより、高い輝度を実現することができる。
ハーフミラー2を反射型偏光板として、再帰性反射材3上にλ/4板6を設けたことにより、画像表示装置1からハーフミラー2を経て再帰性反射材3に入った光は、その偏光の方向がλ/4板6によって変えられて、ハーフミラー2の反射型偏光板に再度入射した際に、画像表示装置1からの入射光と効率良く偏光分離されるので、空中像の輝度を向上することができる。
また、さらに、再帰性反射材3上に透明粘着剤を介してλ/4板6が貼合させた構成とすると、再帰性反射材3とλ/4板6の界面での反射が抑制され、これによっても、空中像の輝度を向上することができる。
なお、本発明の空中像表示装置は、λ/4板を再帰性反射材上に設けた構成には限定されず、ハーフミラーと再帰性反射材の中間にλ/4板を設けた構成とすることも可能である。
以下、本発明の空中像表示装置の各部の構成について説明する。
(ハーフミラー)
ハーフミラーは、入射した光の一部を反射し、残りの一部を透過する光学素子である。ハーフミラーの正反射率Rpと平行光線透過率Tpの積を大きくすれば、空中像の輝度を向上させることができる。具体的には、吸収が小さい無色透明板や、ハーフミラーとしては一般的な金属薄膜板、誘電体多層板、直交する2つの偏光に分離できる反射型偏光板が挙げられる。
本発明の空中像表示装置では、ハーフミラーとして反射型偏光板を用いる。
反射型偏光板は、反射面と非反射面を有する。よって、図1に示す空中像表示装置210では反射面が下側になるように設置される。
なお、ハーフミラーの反りやカールを抑えるために、ハーフミラーの反射型偏光板に透明粘着剤を介して無色透明板を貼り合わせても良い。
この構成の無色透明板としては、無色で透明なものであれば特に限定されないが、屈折率異方性の小さいものが好ましい。より具体的には、アクリルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリオレフィンフィルム等のプラスチックフィルムや、アルカリガラス、石英ガラス、化学強化ガラス、アルミナガラス等のガラス板が挙げられる。
なお、本発明において、「ハーフミラー」とは、画像表示装置からの入射光と、再帰性反射材からの反射光とを、異なる方向に分離する作用を有する光学部品を指す。
そして、単独で用いた場合にハーフミラーとして作用する光学部品を複数貼り合わせて積層構造とした場合に、上述した入射光と反射光を分離する作用を有するのは、複数の光学部品のうち最も画像表示装置側に配置されたものである。例えば、反射型偏光板と、ハーフミラーとして作用する無色透明板とを貼合して積層構造として、反射型偏光板を画像表示装置側に配置した場合には、無色透明板はハーフミラーとして作用しないため、本発明において、この積層構造の無色透明板は「ハーフミラー」とは呼ばない。
(反射型偏光板)
反射型偏光板として具体的には、P偏光とS偏光の直線偏光を分離する一軸延伸誘電体多層板やワイヤーグリッド偏光板、右円偏光と左円偏光の円偏光を分離するコレステリック液晶板が挙げられる。一軸延伸誘電体多層板の市販品としては、例えば、DBEF(3M社製)、APCF(輝度向上フィルム)付偏光板(日東電工社製)等が挙げられる。ワイヤーグリッド偏光板の市販品としては、例えば、WGF(旭化成イーマテリアルズ社製)、ProFluxPPL02(Moxtek社製)等が挙げられる。コレステリック液晶板の市販品としては、例えば、ニポックスAPCF(日東電工社製)等が挙げられる。
(λ/4板)
λ/4板を再帰性反射材上に設置することにより、空中像の輝度を向上させることができる。また、λ/4板を再帰性反射材上に透明粘着剤を介して貼合することで、界面での反射を低減して輝度を向上させることができる。
ここで、逆波長分散タイプは順分散タイプに比べて、画像表示装置の色味と空中像の色味をより近くすることができるので好ましい。λ/4板の市販品としては、正波長分散タイプのエルメックR140、エルメックR40−#140(以上、カネカ社製)、ピュアエースGT−138、ピュアエースGR−138、ピュアエースTT−140、ピュアエースGS−120(以上、帝人社製)等や、逆波長分散タイプのピュアエースWRS−148、ピュアエースWRW−142(以上、帝人社製)等が挙げられる。
(再帰性反射材)
本発明の空中像表示装置の再帰性反射材は、JIS Z 8713:1995で定義されている再帰性反射材を意味しており、広い照射角にわたって、反射光のほとんどが入射光の光路にほぼ沿う方向に選択的に戻る反射材料を意味する。
再帰性反射材は、交通の安全及び交通の円滑化を図るための道路標識、夜間又は暗所における災害防止のための保安機材として広く使用されており、主にプリズム型又はマイクロビーズ型に分類される様々な色味の商品が数多く市販されている。
プリズム型の市販品としては、ニッカライトクリスタルグレード(日本カーバイド社製)、ダイヤモンドグレードDG超高輝度反射シート2090/4090(3M社製)、リフレクサイト18605(オラフォル社製)等が挙げられる。
また、マイクロビーズ型の市販品としては、スコッチカル反射シート1570、スコッチカル反射シート680−10/85、スコッチライトハイゲイン7610、スコッチライト反射布8910(以上、3M社製)、キワライト#19513(紀和化学工業社製)、スパークライトMR501、スパークライトMR718BT(以上、ユニチカスパークライト社製)、レフライト9301、レフライト8318(以上、レフライト社製)などが挙げられる。
さらに、再帰性反射材に対して3次元的な形状を付与することにより、3次元空中像を表示することが可能になる。
(吸収型偏光板)
本発明の空中像表示装置において、さらに、吸収型偏光板をハーフミラー上に設置することにより、空中像のコントラストを向上させることができる。また、ハーフミラー上に透明粘着剤を介して貼合することで、界面の反射を低減して輝度を向上させることができる。
コントラストを向上させるためには、単に光量を下げるためのNDフィルターでも効果が見られるが、吸収型偏光板であることが好ましく、吸収型偏光板の市販品としては、NPF−F1205DU、NPF−FW1225DU、NPF−G1220DUN、NPF−EGW1225DU、NPF−SEG1425DU、NPF−TEG1465DU(以上、日東電工社製)、スミカランSR−W842、スミカランSR−W862A、スミカランSR−F862(以上、住友化学社製)等が挙げられる。
また、吸収型偏光板の貼合工程を省くことができることから、吸収型偏光板付反射型偏光板を用いることがより好ましく、吸収型偏光板付反射型偏光板の市販品としては、DBEF−Q(3M社製)、APCF付偏光板、ニポックスAPCF(以上、日東電工社製)等が挙げられる。
なお、吸収型偏光板を設置する場合には、反射型偏光板の非反射面側に設置することが必須であり、反射型偏光板と吸収型偏光板の間に無色透明板を設置しても構わない。ただし、界面の反射を低減して輝度を向上させるために、透明粘着剤を介してこれらを貼合することが好ましい。
さらに、吸収型偏光板の透過軸と反射型偏光板の透過軸の方向を考慮することが必要である。図1に示す空中像表示装置210では、吸収型偏光板の透過軸と反射型偏光板の透過軸の方向が平行となるように、設置する必要がある。
ここで、吸収型偏光板を設けた形態を、図4に示す。
図4に示す空中像表示装置260は、図1に示した空中像表示装置210の構成に対して、さらに、反射型偏光板であるハーフミラー2上に吸収型偏光板7を設けた構成である。
ハーフミラー2上に吸収型偏光板7を設けたことにより、再帰性反射材3からの反射光が吸収型偏光板7を1回だけ透過するのに対して、ハーフミラー2に入射した外光は吸収型偏光板7を2回透過する。これにより、外光が大幅に減光されるので、再帰性反射材3からの反射光のコントラストを向上することができる。
なお、吸収型偏光板は、図1に示した空中像表示装置210の構成に限らず、本発明の範囲内の他の構成の空中像表示装置にも適用することができる。
また、本発明の空中像表示装置は、吸収型偏光板をハーフミラー上に設けた構成には限定されない。例えば、ハーフミラーと観察者の中間に吸収型偏光板を設けた構成とすることも可能である。ただし、外光が吸収型偏光板を2回透過するような位置に、吸収型偏光板を配置する必要がある。
(遮光壁)
また、空中像のコントラストを向上する方法として、例えば図2〜図3にそれぞれ示すように、空中像の結像位置の周りに外光を遮るための遮光壁5を設置することが挙げられる。
図2に示す空中像表示装置230は、図1に示した空中像表示装置210の周囲に遮光壁5を設けた形態である。遮光壁5の側面は上下方向に形成され、遮光壁5の底面は水平方向に形成され、遮光壁5の上面は、ハーフミラー2から空中像4までの上を覆って斜め方向に形成されている。
図3に示す空中像表示装置250は、図1に示した空中像表示装置210の周囲に遮光壁5を設けた形態であり、図2に示した空中像表示装置230から遮光壁5の上面を除いた構成である。
なお、遮光壁を設けた構成は、図2〜図3に示した形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で適宜変形することが可能である。
(偏光解消素子)
本発明の空中像表示装置において、さらに、偏光解消素子を画像表示装置上に設置することにより、空中像表示装置における空中像の色味の変化(虹ムラ)を改善することができる。ここで、空中像の色味の変化(虹ムラ)とは、画像表示装置中のタッチセンサーフィルム等によって、空中像に緑色やマゼンタ色のムラが発生してしまう現象を意味する。この現象が発生してしまう画像表示装置としては、例えば、iPhone5S、iPhone5C(以上、登録商標,アップル社製)、XperiaA2(ソニーエリクソン社製)、AQUOSZETASH−04F(シャープ社製)等が挙げられる。
偏光解消素子の市販品としては、コスモシャインSRF(東洋紡社製)、偏光解消粘着剤(長瀬産業社製)が挙げられる。コスモシャインSRF(東洋紡社製)の場合、画像表示装置上に粘着剤を貼合することにより、界面の反射を低減して輝度を向上させることができる。また、偏光解消粘着剤の場合、無色透明板と画像表示装置とを、偏光解消粘着剤を介して貼合することで使用される。
ここで、偏光解消素子を設けた形態を、図5に示す。
図5に示す空中像表示装置270は、図1に示した空中像表示装置210の構成に対して、さらに、画像表示装置1上に偏光解消素子8を設けた構成である。
画像表示装置1上に偏光解消素子8を設けたことにより、空中像の色味を改善することができる。
なお、偏光解消素子は、図1に示した空中像表示装置210の構成に限らず、本発明の範囲内の他の構成の空中像表示装置にも適用することができる。
また、本発明の空中像表示装置は、偏光解消素子を画像表示装置上に設けた構成には限定されず、画像表示装置とハーフミラーの中間に偏光解消素子を設けた構成とすることも可能である。
(再帰性反射材の偏光維持度)
本発明の空中像表示装置では、ハーフミラーとして反射型偏光板を用いているため、空中像の輝度を向上させるために、再帰性反射材の偏光維持度が高いことが好ましく、より具体的には、前述したように、50%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
ここで、再帰性反射材の偏光維持度は、例えば、図6に示す光学系を用いて、測定されるIp,Icに対して、Ip/(Ic+Ip)として定義される。
そして、図6に示す光学系において、LED光源10、ハーフミラー2、再帰性反射材3、輝度計12と、さらに、LED光源10とハーフミラー2の間の第1の吸収型偏光板15と、ハーフミラー2と空中像4の間の第2の吸収型偏光板15を備え、LED光源10と再帰性反射材3の距離D1を175mm、再帰性反射材3とハーフミラー2の距離D2を75mm、LED光源10とハーフミラー2の距離D3を75mmとする。
ここで、図6に示す光学系において、2つの吸収型偏光板15の透過軸の方向が一致するように配置した際に、輝度計12で測定した空中像の輝度値がIp、2つの吸収型偏光板15の透過軸の方向が直交となるように配置した際の輝度値がIcである。
(再帰性反射材の反射率)
空中像の輝度を向上させるためには、再帰性反射材の反射率は高い方が好ましく、より具体的には15%以上であることが好ましく、20%以上であることがより好ましい。また、単色の空中像にならないようにするため、再帰性反射材の色味はシルバー、ホワイトもしくは黒であることが好ましく、反射率の高いシルバー及びホワイトがより好ましく、正面反射率の高いシルバーが最も好ましい。
再帰性反射材の反射率は、例えば、図7に示す光学系を用いて、測定することができる。図7に示す光学系は、光源11、照度計16、ビームスプリッタ13、反射材14を備え、光源11から出射した光がビームスプリッタ13で反射され、さらに反射材14で反射され、反射材14からの反射光がビームスプリッタ13を透過して、照度計16で輝度が測定される構成である。
再帰性反射材の反射率Rは、図7に示す光学系において、反射材14としてミラーを置いた場合の輝度をIm、反射材14として再帰性反射材を置いた場合の輝度をIr、ミラーの絶対反射率をRmとした場合、R=Ir×Rm/Imで定義される。
(再帰性反射材の広がり率)
高精細かつ高輝度な空中像を実現するためには、一般的にはプリズム型の再帰性反射材を用いることが好ましいが、本発明においては、プリズム型がマイクロビーズ型よりも高精細になるという一般論ではなく、好ましくは再帰性反射材の広がり率α<1.20%/mm、より好ましくは広がり率α<1.00%/mmとなる再帰性反射材を用いることで、空中像を高精細にできることを確認した。
広がり率α<1.20%/mmの再帰性反射材の市販品として、より具体的には、プリズム型のニッカライトクリスタルグレード白(日本カーバイド社製)、リフレクサイト18605(オラフォル社製)等が挙げられるが、この中では、ニッカライトクリスタルグレード白(日本カーバイド社製)が最も好ましい。
(屈折率2.0のマイクロビーズを用いた再帰性反射材)
また、屈折率約2.0のマイクロビーズを用いた再帰性反射材を使用することによって、本発明の空中像をさらに高精細にすることができる。
屈折率2.0のマイクロビーズを用いた再帰性反射材の一例の概略図を、図9A及び図9Bに示す。図9Aは平面図であり、図9Bは断面図である。
図9A及び図9Bに示すように、基板21上の樹脂層22に屈折率約2.0のマイクロビーズ23が配置され、ビーズ23の下部が樹脂層22に埋め込まれている。マイクロビーズ23は、図9Aに示すように、樹脂層22の上に二次元最密構造で配置されている。また、図9Bに示すように、マイクロビーズ23の下半分には、反射層24が形成されている。
屈折率2.0のマイクロビーズとして、屈折率が約2.0のビーズであれば特に限定されないが、屈折率2.0に近い方が好ましい。市販品としてより具体的には、屈折率1.9のマイクロビーズK−PSFn1や屈折率2.0のマイクロビーズK−PSFn2(以上、住田光学ガラス社製)等があげられ、K−PSFn2が好ましい。
ここで、本発明における、広がり率αは、図8A及び図8Bに示す光学系において測定されるS、S0、L0に対して、α=S/S0/L0として定義される。
そして、図8Aに示す光学系は、LED光源10、ハーフミラー2、再帰性反射材3,スクリーン17を備え、LED光源10と再帰性反射材3の距離D1を175mm、再帰性反射材3とハーフミラー2の距離D2を75mm、LED光源10とハーフミラー2の距離D3を100mmとする。
まず、Sは、図8Aに示す光学系において、空中像4の位置にスクリーン17を配置して測定した、空中像4の大きさである。
次に、L0は、図8Bに示す光学系において、LED光源10から空中像4までの最短光路であり、L0=(D2+D3)/cos(arctan(D1/(D2+D3)))で求められる。距離D1〜D3を上述したそれぞれの値としたことから、L0は247mmとなる。
最後に、S0は、LED光源10の大きさであり、図8Bに示す光学系において、LED光源10とスクリーン17の距離Dを変化させながらスクリーン17上の像の大きさTを測定し、Dに対するTを線形近似したときの距離D=0に外挿したゼロ切片をS0と定義した。
(画像表示装置)
本発明に係る画像表示装置とは、静止画又は動画の映像信号を表示する機器であり、ブラウン管(CRT)や液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機ELディスプレイ、LEDディスプレイ等が挙げられる。特に、本発明の空中像表示装置は大型化に適しており、空中像看板としての用途等が考えられる。この、空中像看板としては、明るい外光の環境下でも視認しやすい、輝度が高いLEDディスプレイが好ましい。LEDディスプレイは解像度を高くすることはできないものの、看板などの遠くから観察する用途では好ましい。また、近年、ハコビジョン(バンダイ社製)のような、個人のスマートフォンやタブレットを利用する玩具ディスプレイが注目されており、本発明の空中像表示装置はこのような用途にも適用できる。この場合、スマートフォンやタブレットに広く採用されているLCDや有機ELディスプレイが好ましい。
なお、本発明の空中像表示装置では、ハーフミラーとして反射型偏光板を用いるので、画像光が直線偏光もしくは円偏光である画像表示装置を選定することが好ましい。このことにより、ハーフミラーにおける反射率Rpを最大にすることができる。直線偏光である画像表示装置の市販品としては、XperiaZ2(ソニーエリクソン社製)、NEXUS5(Google社製)等が挙げられ、円偏光である市販品はGalaxyS5(Samsung社製)等が挙げられる。
上述した、空中像表示装置の各部の構成や図示した各形態の構成は、互いに矛盾しない限り、本発明の範囲内において適宜組み合わせることが可能である。
以下に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、構成、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
(偏光維持度の測定)
各種再帰性反射材の偏光維持度を測定するに当たって、図6に示した光学系において、LED光源10として波長528nmの砲弾型緑色LEDを、ハーフミラー2としてプレート型B/S50R/50T(エドモンド・オプティクス社製)を、2つの吸収型偏光板15としてSPF−30C−32(シグマ光機社製)、輝度計12としてCS−2000(コニカミノルタ社製)を使用した。
(反射率の測定)
各種再帰性反射材の反射率を測定するに当たって、図7に示した光学系において、He−Ne光源11として波長632.8nmの赤色レーザー05LHP111(メレスグリオ社製)を、照度計16としてLX2(三和電機計器社製)を、ビームスプリッタ13としてプレート型B/S50R/50T(エドモンド・オプティクス社製)を、ミラーとして広帯域誘電体ミラーBB1−E02(ソーラボ社製)を使用した。ここで、波長632.8mmにおけるミラーの絶対反射率Rmは、ソーラボ社カタログ値から99.1%とした。
(広がり率の測定)
各種再帰性反射材の広がり率を測定するに当たっては、図8A及び図8Bに示した各光学系において、LED光源10として波長528nmの砲弾型緑色LEDを、ハーフミラー2としてプレート型B/S50R/50T(エドモンド・オプティクス社製)を使用した。ここで、LED光源10の大きさS0を測定したところ、1.7mmであった。
(画像表示装置Aの作製)
偏光解消素子コスモシャインSRF80μm(東洋紡社製)を、高透明性接着剤転写テープ8172CL(3M社製)を介して、iPhone5S(アップル社製)に貼合した画像表示装置Aを作製した。
(画像表示装置Bの作製)
スミペックス000(住化アクリル販売社製)を、偏光解消粘着剤(長瀬産業社製)を介して、iPhone5S(アップル社製)に貼合した画像表示装置Bを作製した。
(反射型偏光板Aの作製)
高透明性接着剤転写テープ8172CL(3M社製)を介して、反射型偏光板WGF(旭化成イーマテリアルズ社製)の非反射面と吸収型偏光板NPF−SEG1425DU(日東電工社製)を貼合した反射型偏光板Aを作製した。ここで、反射型偏光板WGFの透過軸の方向と吸収型偏光板NPF−SEG1425DUの透過軸の方向が平行となるようにした。
(反射型偏光板Bの作製)
高透明性接着剤転写テープ8172CL(3M社製)を介して、吸収型偏光板付反射型偏光板DEBF−Q(3M社製)の吸収型偏光板の面とスミペックス000(住化アクリル販売社製)を貼合した反射型偏光板Bを作製した。
(再帰性反射材Aの作製)
直径2mm、屈折率n=2.0のガラスビーズK−PSFn2(住田光学ガラス社製)168個を、アセトン及びエタノールで各10分間超音波洗浄し、同様の方法で洗浄したガラス板上に等間隔に並べた。次に、アセトンで超音波洗浄したアルミ片1gと共に真空蒸着機内にセットし、1.8μTorrまで真空引きした後に電流を流して、ガラスビーズの片面にアルミ蒸着を行って反射層を形成した。
スライドガラスS1111(松浪硝子工業社製)を24mmにカットした後、アセトン及びエタノールで各10分間超音波洗浄し、紫外線硬化型の光学接着剤NOA61(ノーランド・プロダクツ社製)を0.5mm厚となるように塗工した。次に、アルミ蒸着をしたガラスビーズ168個を、アルミ蒸着面が下になり、また、二次元最密構造となるように、スライドガラス上に敷き詰め、出力180Wの紫外線照射装置FP−35L(ビルバー・ルーマット社製)を用いて20分間照射して光学接着剤を硬化させることにより、再帰性反射材Aを作製した。
(再帰性反射材Bの作製)
直径2mm、屈折率n=2.0のガラスビーズK−PSFn2の代わりに、直径2mm、屈折率n=1.9のガラスビーズK−PSFn1(住田光学ガラス社製)を用いた以外は再帰性反射材Aと同様の方法で再帰性反射材Bを作製した。
(実施例1)
図3に示す空中像表示装置250の構成で、画像表示装置1として画像表示装置Aを、ハーフミラー2として反射型偏光板Aを、再帰性反射材3として再帰性反射材Aを、λ/4板6としてλ/4板ピュアエースWRW−142(帝人社製)をそれぞれ用いて、実施例1の空中像表示装置を作製した。ここで、反射型偏光板Aの反射面が画像表示装置AのiPhone5S側になるように、また、反射型偏光板Aの反射軸とλ/4板6の遅相軸の角度が45度になるように配置した。本実施例の空中像表示装置は、画像表示装置A及び反射型偏光板Aを使用しているため、実際には、図10に示す空中表示装置280の構成で、画像表示装置1上に偏光解消素子8が配置され、ハーフミラー2の反射型偏光板の非反射面上に吸収型偏光板7が形成された構成である。
(実施例2)
再帰性反射材3として再帰性反射材Bを用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例2の空中像表示装置を作製した。
(実施例3)
再帰性反射材3として再帰性反射材ニッカライトクリスタルグレード白(日本カーバイド社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例3の空中像表示装置を作製した。
(実施例4)
再帰性反射材3として再帰性反射材スコッチライト反射布8910(3M社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の空中像表示装置を作製した。
(実施例5)
再帰性反射材3として再帰性反射材レフライト9301(レフライト社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例5の空中像表示装置を作製した。
(比較例1)
再帰性反射材3として再帰性反射材リフレクサイト18605(オラフォル社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例1の空中像表示装置を作製した。
(比較例2)
再帰性反射材3として再帰性反射材キワライト#19513(紀和化学工業社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、比較例2の空中像表示装置を作製した。
(実施例6)
ハーフミラー2として反射型偏光板WGF(旭化成イーマテリアルズ社製)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、実施例6の空中像表示装置を作製した。
(実施例7)
ハーフミラーとして吸収型偏光板付反射型偏光板DBEF−Q(3M社製)を用いた以外は、実施例3と同様の方法で、実施例7の空中像表示装置を作製した。
(実施例8)
画像表示装置Aの代わりに画像表示装置Bを用いた以外は、実施例7と同様の方法で、実施例8の空中像表示装置を作製した。
(実施例9)
画像表示装置Aの代わりにiPhone5S(アップル社製)を用いた以外は、実施例7と同様の方法で、実施例9の空中像表示装置を作製した。
(実施例10)
画像表示装置Aの代わりに画像光が直線偏光のXperiaZ2(ソニーエリクソン社製)を用いた以外は、実施例7と同様の方法で、実施例10の空中像表示装置を作製した。
(実施例11)
再帰性反射材3として再帰性反射材Aを用いた以外は、実施例10と同様の方法で、実施例11の空中像表示装置を作製した。
(空中像の観察評価)
実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例2の各空中像表示装置について、空中像の観察評価(明るさ、コントラスト、画像ボケ、色味)の評価を行い、また、実施例1〜実施例11及び比較例1〜比較例2で使用した再帰性反射材の光学特性評価(偏光維持度、広がり率、反射率)を行った。
空中像の観察評価の評価基準を表1に示し、空中像の観察評価及び再帰性反射材の光学特性評価の評価結果を表2に示す。
Figure 0006698990
Figure 0006698990
実施例1〜実施例5と比較例1〜比較例2の比較から、偏光維持度が50%以上の再帰性反射材を用いることによって、また、実施例1〜実施例4と実施例5の比較から、反射率が15%以上の再帰性反射材を用いることによって、さらに、実施例3と実施例10の比較から、画像表示装置の出射光を偏光にすることによって、空中像の明るさやコントラストが高くなることがわかる。
次に、実施例1〜実施例5の比較から、広がり率α<1.20%/mmの再帰性反射材を用いることによって、空中像の画像ボケが良化することがわかる。
さらに、実施例3及び実施例7と実施例6の比較から、吸収型偏光板を用いることによって、空中像のコントラストが高くなることがわかる。
最後に、実施例7〜実施例9の比較から、偏光解消素子を用いることによって、空中像の色味が良化することがわかる。
1 画像表示装置、2 ハーフミラー、3 再帰性反射材、4 空中像、5 遮光壁、6
λ/4板、7,15 吸収型偏光板、8 偏光解消素子、10 LED光源、11 光源、12 輝度計、13 ビームスプリッタ、14 反射材、16 照度計、17 スクリーン、21 基板、22 樹脂層、23 マイクロビーズ、24 反射層、210,230,250,260,270,280 空中像表示装置

Claims (2)

  1. 画像表示装置、ハーフミラー、再帰性反射材を有する空中像表示装置であって、
    前記ハーフミラーが反射型偏光板であり、
    前記反射型偏光板と前記再帰性反射材の間にλ/4板を有し、
    前記再帰性反射材の偏光維持度が50%以上であり、
    前記画像表示装置と前記ハーフミラーの間に偏光解消素子を有する
    空中像表示装置。
  2. 前記再帰性反射材の反射率が15%以上であり、
    前記再帰性反射材の広がり率α<1.20%/mmを満たす
    請求項1に記載の空中像表示装置。
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