JP6698513B2 - エンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールド - Google Patents

エンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールド Download PDF

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Description

この発明は、低圧ループ式の排気還流装置を備えたエンジンシステム及びそのエンジンシステムに使用される吸気マニホールドに関する。
従来、この種の技術として、例えば、下記の特許文献1に記載されるエンジンシステムが知られている。このエンジンシステムは、エンジンと、エンジンの複数の気筒に連通する吸気通路及び排気通路と、吸気通路を流れる吸気量を調節する電子スロットル装置と、電子スロットル装置より上流の吸気通路と排気通路に設けられる過給機と、エンジンの各気筒から排気通路へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路へ流してエンジンへ還流させる低圧ループ式のEGR装置と、電子スロットル装置より下流の吸気通路へ新気を導入する新気導入通路と、新気導入通路における新気流量を調節する新気導入弁とを備える。EGR装置は、EGR通路を含み、EGR通路の入口は排気通路に接続され、EGR通路の出口は、過給機のコンプレッサより上流の吸気通路に接続される。ここで、電子スロットル装置より下流の吸気通路には、サージタンクと複数の分岐管とを含む吸気マニホールドが設けられ、サージタンクに流入した吸気を各分岐管を介してエンジンの各気筒へ分配されるようになっている。新気導入通路の出口は、電子スロットル装置より下流であってサージタンクより上流の吸気通路に接続される。新気導入通路の入口は、コンプレッサ及びEGR通路の出口より上流の吸気通路に接続される。
上記のエンジンシステムでは、エンジンの減速時に、開弁中のEGR弁を閉弁して吸気通路へのEGRガスの導入を遮断すると共に、閉弁中の新気導入弁を開弁してサージタンクより上流の吸気通路へ新気を導入するようになっている。これにより、サージタンクに残留しているEGRガスや電子スロットル装置より上流の吸気通路に残留して電子スロットル装置より下流の吸気通路へ流れる残留EGRガスを新気により希釈し、エンジンに対するEGRを減衰させて、エンジンの減速失火を防止するようになっている。
特開2015−040549号公報
ところが、特許文献1に記載のエンジンシステムでは、サージタンクがある程度の容積を有することから、その上流から導入される新気によってサージタンクの中の残留EGRガスを速やかに希釈することが難しかった。このため、エンジンの減速時に残留EGRガスの濃度を速やかに低下させることが難しく、EGR減衰に時間を要するという問題があった。この意味で、エンジンの減速失火対策が十分でなかった。
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、エンジンの減速時にエンジンに導入される残留排気還流ガスの濃度を速やかに低下させることを可能としたエンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールドを提供することにある。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、複数の気筒を有するエンジンと、エンジンの各気筒へ吸気を導入するための吸気通路と、エンジンから排気を導出するための排気通路と、吸気通路と排気通路に設けられ、吸気通路における吸気を昇圧させるための過給機と、過給機は、吸気通路に配置されたコンプレッサと、排気通路に配置されたタービンと、コンプレッサとタービンを一体回転可能に連結する回転軸とを含むことと、エンジンの直上流にて吸気通路に配置され、吸気が導入されるサージタンクと、サージタンクに導入された吸気をエンジンの各気筒へ分配するための複数の分岐管とを含む吸気マニホールドと、吸気マニホールドより上流の吸気通路に配置され、吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁と、エンジンから排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして吸気通路へ流してエンジンへ還流させるための排気還流通路と、排気還流通路における排気還流ガス流量を調節するための排気還流弁とを含む排気還流装置と、排気還流通路は、その入口がタービンより下流の排気通路に接続され、その出口がコンプレッサより上流の吸気通路に接続されることと、吸気量調節弁より下流の吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、新気導入通路は、その入口が排気還流通路の出口より上流の吸気通路に接続されることと、新気導入通路を流れる新気量を調節するための新気導入弁とを備えたエンジンシステムにおいて、新気導入通路の出口側に、吸気マニホールドの複数の分岐管のそれぞれに新気を分配するための新気分配手段が設けられることを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、エンジンの減速時には、開弁中の吸気量調節弁が閉弁されることにより、吸気量調節弁から吸気マニホールド及びエンジンへ流れる吸気が絞られる。このとき、開弁中の排気還流弁が閉弁されることにより、排気還流通路から吸気通路への排気還流ガスの導入が遮断される。しかし、吸気マニホールドのサージタンクの容積が比較的大きいことから、その中に排気還流ガスが残留する。また、排気還流通路の出口から吸気量調節弁までの流路が比較的長く、ある程度の容積があることから、その流路に排気還流ガスが残留する。この残留排気還流ガスは、吸気量調節弁の隙間を介してサージタンクへ徐々に流れる。このとき、閉弁中の新気導入弁が開弁することにより、新気導入通路及び新気分配手段から吸気マニホールドの各分岐管へ新気が流れる。従って、サージタンクに残留する排気還流ガスや吸気量調節弁より上流の吸気通路から吸気量調節弁を介してサージタンクへ流れる残留排気還流ガスが、各分岐管にて新気により希釈される。
上記目的を達成するために、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、新気分配手段は、新気が導入される一つの新気入口と、複数の分岐管のそれぞれに形成された新気出口と、新気入口から導入される新気を複数の新気出口へ分配するために分岐する新気分配通路とを含むことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、請求項1に記載の発明の作用に加え、新気導入通路から新気分配手段へ流れた新気は、新気入口から分岐した新気分配通路へ流れ、各新気出口から各分岐管へ分配される。
上記目的を達成するために、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のエンジンシステムに設けられる吸気マニホールドであって、新気分配手段が一体に設けられたことを趣旨とする。
上記発明の構成によれば、新気分配手段が吸気マニホールドに一体に設けられるので、新気分配手段のための配管を別途設けた場合と比べ、構成部品点数が少なくなり、部品の取り付けの手間が少なくなる。
請求項1に記載の発明によれば、エンジンの減速時にエンジンの各気筒に導入される残留排気還流ガスの濃度を速やかに低下させることができる。この結果、エンジンの減速時に残留排気還流ガスによるエンジンの失火をより確実に防止することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、各分岐管へ適量の新気を流すことができる。
請求項3に記載の発明によれば、吸気マニホールドに対する新気分配手段の取り付け工程を省略することができ、新気導入通路を装備したエンジンシステムの簡略化と製造コストの低減を図ることができる。
第1実施形態に係り、ガソリンエンジンシステムを示す概略構成図。 第1実施形態に係り、サージタンク及び分岐管におけるEGR率の挙動を示すタイムチャート。 第2実施形態に係り、新気分配管を含む吸気マニホールドとエンジンを示す平面図。 第3実施形態に係り、吸気マニホールドを示す正面図。 第3実施形態に係り、吸気マニホールドを示す背面図。 第3実施形態に係り、吸気マニホールドを示す平面図。 第3実施形態に係り、吸気マニホールドを示す図6のA−A線断面図。 第3実施形態に係り、吸気マニホールドを示す図6のB−B線断面図。 第4実施形態に係り、吸気マニホールドを示す正面図。 第4実施形態に係り、吸気マニホールドを示す左側面図。 第4実施形態に係り、一つの樹脂成形体の一部を示す背面図。 別の実施形態に係り、ガソリンエンジンシステムを示す概略構成図。
<第1実施形態>
以下、本発明のエンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールドをガソリンエンジンシステムに具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
図1に、この実施形態のガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。自動車に搭載されたガソリンエンジンシステムは、複数の気筒を有するエンジン1を備える。このエンジン1は、4気筒、4サイクルのレシプロエンジンであり、ピストン及びクランクシャフト等の周知の構成を含む。エンジン1には、各気筒へ吸気を導入するための吸気通路2と、エンジン1の各気筒から排気を導出するための排気通路3が設けられる。吸気通路2と排気通路3には、過給機5が設けられる。吸気通路2には、その上流側から順に吸気入口2a、エアクリーナ4、過給機5のコンプレッサ5a、電子スロットル装置6、インタークーラ7及び吸気マニホールド8が設けられる。
電子スロットル装置6は、吸気マニホールド8より上流の吸気通路2に配置され、運転者のアクセル操作に応じてバタフライ式のスロットル弁6aを開度可変に駆動させることで、吸気通路2を流れる吸気量を調節するようになっている。電子スロットル装置6は、本発明の吸気量調節弁の一例に相当する。吸気マニホールド8は、エンジン1の直上流にて吸気通路2に配置され、吸気が導入されるサージタンク8aと、サージタンク8aに導入された吸気をエンジン1の各気筒へ分配するための複数(4つ)の分岐管8bとを含む。排気通路3には、その上流側から順に排気マニホールド9、過給機5のタービン5b及び触媒10が設けられる。触媒10は、排気を浄化するためのものであり、例えば、三元触媒により構成することができる。
過給機5は、吸気通路2における吸気を昇圧するために設けられ、吸気通路2に配置されたコンプレッサ5aと、排気通路3に配置されたタービン5bと、コンプレッサ5aとタービン5bを一体回転可能に連結する回転軸5cとを含む。そして、タービン5bが、排気の流れにより回転動作し、それに連動してコンプレッサ5aが回転動作することにより、吸気通路2を流れる吸気が昇圧されるようになっている。インタークーラ7は、コンプレッサ5aで昇圧された吸気を冷却するようになっている。
エンジン1には、各気筒に対応して燃料を噴射するための燃料噴射装置(図示略)が設けられる。燃料噴射装置は、燃料供給装置(図示略)から供給される燃料をエンジン1の各気筒へ噴射するように構成される。各気筒では、燃料噴射装置から噴射される燃料と吸気マニホールド8から導入される吸気とにより可燃混合気が形成される。
また、エンジン1には、各気筒に対応して点火装置(図示略)が設けられる。点火装置は、各気筒にて可燃混合気に点火するように構成される。各気筒内の可燃混合気は、点火装置の点火動作により爆発・燃焼し、燃焼後の排気は、各気筒から排気マニホールド9、タービン5b及び触媒10を経て外部へ排出される。このとき、各気筒でピストン(図示略)が上下運動し、クランクシャフト(図示略)が回転することにより、エンジン1に動力が得られる。
この実施形態のガソリンエンジンシステムは、低圧ループタイプの排気還流装置(EGR装置)21を備える。このEGR装置21は、各気筒から排気通路3へ排出される排気の一部を排気還流ガス(EGRガス)として吸気通路2へ流してエンジン1の各気筒へ還流させるための排気還流通路(EGR通路)22と、EGR通路22におけるEGRガス流量を調節するための排気還流弁(EGR弁)23とを備える。EGR通路22は、入口22aと出口22bを含む。EGR通路22の入口22aは、触媒10より下流の排気通路3に接続され、同通路22の出口22bは、コンプレッサ5aより上流の吸気通路2に接続される。また、EGR弁23より上流のEGR通路22には、EGRガスを冷却するためのEGRクーラ24が設けられる。
この実施形態で、EGR弁23は、開度可変な電動弁により構成される。このEGR弁23として、大流量、高応答及び高分解能の特性を有することが望ましい。そこで、この実施形態では、EGR弁23の構造として、例えば、特許第5759646号公報に記載される「二重偏心弁」を採用することができる。この二重偏心弁は、大流量制御に対応して構成される。
このガソリンエンジンシステムにおいて、過給機5が作動する過給域(吸気量が相対的に多くなる。)において、EGR弁23が開弁することにより、排気通路3を流れる排気の一部が、EGRガスとして、入口22aからEGR通路22に流入し、EGRクーラ24及びEGR弁23を経由して吸気通路2へ流れ、コンプレッサ5a、電子スロットル装置6、インタークーラ7及び吸気マニホールド8を経由してエンジン1の各気筒へ還流される。
この実施形態において、吸気通路2には、電子スロットル装置6より下流の吸気通路2へ新気を導入するための新気導入通路31が設けられる。新気導入通路31は、入口31aを備え、その入口31aがEGR通路22の出口22bより上流の吸気通路2に接続される。また、新気導入通路31には、同通路31を流れる新気量を調節するための新気導入弁32が設けられる。新気導入通路31の出口側には、吸気マニホールド8の各分岐管8bのそれぞれに新気を分配するための新気分配管33が設けられる。すなわち、新気導入通路31の出口側は、電子スロットル装置6より下流の吸気通路2(吸気マニホールド8)に、新気分配管33を介して接続される。新気分配管33は、長尺な管状をなし、複数の分岐管8bを横切るように吸気マニホールド8に設けられる。新気分配管33は、新気が導入される一つの新気入口33aと、複数の分岐管8bのそれぞれに対応して形成された複数の新気出口33bとを含み、各新気出口33bが各分岐管8bの中に連通する。新気入口33aは、新気分配管33の長手方向の一端に形成される。この新気入口33aに対し、新気導入通路31の出口側が、新気導入弁32を介して接続される。これにより、新気導入弁32から各分岐管8bまでの容積が縮小化されている。この実施形態で、新気分配管33は、本発明の新気分配手段の一例に相当する。
以上説明したこの実施形態におけるガソリンエンジンシステムによれば、エンジン1の減速時には、開弁中の電子スロットル装置6のスロットル弁6aがほぼ全閉(ある程度の吸気の通過を許容する状態)となる。これにより、電子スロットル装置6から吸気マニホールド8及びエンジン1へ流れる吸気が絞られる。このとき、開弁中のEGR弁23が閉弁されることにより、EGR通路22から吸気通路2へのEGRガスの導入が遮断される。しかし、吸気マニホールド8のサージタンク8aの容積が比較的大きいことから、その中にEGRガスが残留することになる。また、EGR通路22の出口22bから電子スロットル装置6までの流路が比較的長く、ある程度の容積があることから、その流路にEGRガスが残留することになる。この残留EGRガスは、電子スロットル装置6の隙間を介してサージタンク8aへ徐々に流れることになる。このとき、閉弁中の新気導入弁32が開弁することにより、新気導入通路31及び新気分配管33から吸気マニホールド8の各分岐管8bへ新気が流れることになる。従って、サージタンク8aに残留するEGRガスや電子スロットル装置6より上流の吸気通路2から電子スロットル装置6を介してサージタンク8aへ流れる残留EGRガスが、各分岐管8bにて新気により希釈される。このため、エンジン1の減速時にエンジン1の各気筒に導入される残留EGRガスの濃度を速やかに低下させることができる、すなわち、EGR率を速やかに減衰させることができる。この結果、エンジン1の減速時に残留EGRガスによるエンジン1の失火をより確実に防止することができる。
図2に、吸気マニホールド8のサージタンク8a及び分岐管8bにおけるEGR率の挙動をタイムチャートにより示す。図2に示すように、時間「0」にてエンジン1の減速が開始されると、分岐管8bでは、減速開始から「0.5秒」が経過する前に、減速開始前のEGR率(約0.21)が「0.05」まで急激に減衰し、その後緩やかに減衰している。これに対し、サージタンク8aでは、減速開始から「1.5秒」が経過しないと、減速開始前のEGR率が「0.05」まで減衰することがない。このことから、エンジン1の減速開始後に、各分岐管8bにてEGR率を速やかに減衰できることがわかる。
また、この実施形態では、EGRガス濃度を低下させるために、サージタンク8aではなく、各分岐管8bへ新気を直接導入しているので、余分な容積分におけるEGRガスの希釈が不要となり、EGRガス希釈に必要な新気量が少なくなる。このため、エンジン1の各気筒へ必要以上に新気が流れることがなくなり、エンジン1の不意なトルクアップの発生を抑えることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明のエンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールドをガソリンエンジンシステムに具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、新気分配管33における新気入口33aの配置の点で第1実施形態と構成が異なる。図3に、新気分配管33を含む吸気マニホールド8とエンジン1を平面図により示す。この実施形態では、新気分配管33の新気入口33aが、新気分配管33の長手方向中間に配置され、その新気入口33aを中心に左右対称(図3において)に2つずつの新気出口33bが配置される。
この実施形態の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、新気分配管33において、新気入口33aが、同管33の長手方向中間に配置され、その新気入口33aを中心に左右対称に2つずつの新気出口33bが配置される。従って、新気入口33aから各新気出口33bまでの流路を互いに等しい長さに近付けることができる。このため、各分岐管8bに導入される新気を互いに等しい量に近付けることができ、各気筒でのEGR率のバラツキを極力少なくすることができる。
<第3実施形態>
次に、本発明のエンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールドをガソリンエンジンシステムに具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、吸気マニホールドと新気分配手段の構成の点で前記各実施形態と構成が異なる。この実施形態では、新気分配手段が樹脂製の吸気マニホールドに一体に形成される。図4に、この吸気マニホールド41を正面図により示す。図5に、吸気マニホールド41を背面図により示す。図6に、吸気マニホールド41を平面図により示す。図7に、吸気マニホールド41を図6のA−A線断面図により示す。図8に、吸気マニホールド41を図6のB−B線断面図により示す。この吸気マニホールド41は、図4、図5に示す状態が、エンジンに装着される配置状態を示し、その上下左右は図4、図5に示す通りである。吸気マニホールド41は、全体が樹脂より形成され、サージタンク42と、そのサージタンク42から分岐する複数の分岐管43A,43B,43Cとを備える。各分岐管43A〜43Cは、サージタンク42から並列に同一方向へ伸びて湾曲するように形成される。この実施形態で、吸気マニホールド41は、3気筒のエンジンに対応した三つの分岐管43A〜43Cを有する。
図4〜図8に示すように、サージタンク42には、同タンク42内へ吸気を導入するための吸気入口44が設けられる。吸気入口44の外周には、入口フランジ45が設けられる。入口フランジ45には、電子スロットル装置が接続されるようになっている。また、各分岐管43A〜43Cの下流端には、エンジンの各吸気ポートへ向けて吸気を導出するための複数の吸気出口46A,46B,46Cが設けられる。吸気出口46A〜46Cの外周には、出口フランジ47が設けられる。出口フランジ47はエンジンの吸気ポートに接続されるようになっている。
図4〜図8に示すように、各分岐管43A〜43Cの湾曲部の内側には、各分岐管43A〜43Cのそれぞれに新気を分配するための新気分配部51が設けられる。この新気分配部51は、本発明の新気分配手段の一例に相当する。
図4〜図8に示すように、新気分配部51には、その内側へ新気を導入するための新気入口56が設けられる。新気入口56の外周には、入口フランジ57が設けられる。入口フランジ57には、新気入口56に新気を流すために新気導入通路の配管が新気導入弁を介して接続されるようになっている。
図7、図8からわかるように、新気分配部51は、その長手方向において断面形状が一部異なる。そこで、これらの断面形状を、代表的な図7を参照して以下に説明する。図7に示すように、新気分配部51は、各分岐管43A〜43Cの出口フランジ47に近付いて配置される。新気分配部51は、その長手方向に直交する断面が略長方形をなしている。図8に示すように、新気分配部51の内部には、新気入口56に隣接して新気が一旦集合する新気チャンバ66と、新気チャンバ66から分岐され、各分岐管43A〜43Cにそれぞれ連通する3つの新気分配通路67A,67B,67C(異なる矢印で示す部分。)が設けられる。新気チャンバ66と各新気分配通路67A〜67Cは、壁68a,68b,68cにより仕切られる。図7、図8に示すように、各新気分配通路67A〜67Cの出口側には、各分岐管43A〜43Cに連通するノズル69a,69b,69cが設けられる。これらノズル69a〜69cが、本発明の新気出口の一例に相当する。
以上説明したこの実施形態の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、新気分配部51が、樹脂製の吸気マニホールド41に一体に設けられるので、新気分配部のための配管を別途設けた場合と比べ、構成部品点数が少なくなり、部品の取り付けの手間が少なくなる。このため、吸気マニホールド41対する新気分配部61の取り付け工程を省略することができ、新気導入通路を装備したガソリンエンジンシステムの簡略化と製造コストの低減を図ることができる。
この実施形態の構成によれば、新気導入通路から新気分配部51へ流れた新気は、新気入口56から分岐した新気分配通路67A〜67Cへ流れ、各ノズル69a〜69cから各分岐管43A〜43Cへ分配される。このため、各分岐管43A〜43Cへ適量の新気を流すことができる。
また、この実施形態の構成によれば、吸気マニホールド41が樹脂で形成されるので、吸気マニホールド41が軽量となる。また、新気分配部51が、湾曲する各分岐管43A〜43Cの湾曲部の内側に配置されるので、新気分配部51が吸気マニホールド41の外側へ張り出さなくなる。このため、吸気マニホールド41の小型化を図ることができ、吸気マニホールド41のエンジンに対する組み付け性及び車両における搭載性を向上させることができる。
<第4実施形態>
次に、本発明のエンジンシステム及びそれに使用される吸気マニホールドをガソリンエンジンシステムに具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
この実施形態では、吸気マニホールドにおける新気分配手段の配置の点で前記第3実施形態と構成が異なる。この実施形態でも、新気分配手段が樹脂製の吸気マニホールドに一体に形成される。図9に、この実施形態の吸気マニホールド71を正面図により示す。図10に、吸気マニホールド71を左側面図により示す。
この吸気マニホールド71は、樹脂製のマニホールド本体72を備える。マニホールド本体72は、吸気通路に接続されるサージタンク73と、サージタンク73から分岐した複数の分岐管74とを備える。この実施形態で、吸気マニホールド71は、4気筒のエンジンに対応した四つの分岐管74を有する。吸気マニホールド71は、可変吸気弁(図示略)を内蔵しており、その可変吸気弁を開閉するためにダイアフラム式のアクチュエータ75が組み付けられる。
図9、図10に示すように、サージタンク73の吸気入口73aには、入口フランジ76が設けられる。この入口フランジ76には、電子スロットル装置が接続されるようになっている。吸気マニホールド71の背面側には、エンジンに接続される出口フランジ77が設けられる。この出口フランジ77には、各分岐管74の吸気出口74a(図11参照)がそれぞれ形成される。各分岐管74の吸気出口74aの近傍、すなわち出口フランジ77の近傍には、内部に新気分配通路80を有する新気分配部78が設けられる。この新気分配部78は、吸気マニホールド71の使用状態において、各分岐管74の天側、すなわち吸気マニホールド71の上側に位置するように配置される。図9、図10に示すように、新気分配部78は、吸気マニホールド71の上側にて、斜め上方へ張り出した平板状をなす。この新気分配部78の中央には、一つの管継ぎ手79が突出して設けられる。この管継ぎ手79に対応して、新気を導入するための一つの新気入口79aが設けられる。図9に示すように、この新気分配部78及びその内部の新気分配通路80(図9に破線で示す。)の正面形状は、管継ぎ手79(新気入口79a)から各分岐管74にかけて段階的(二段階)に分岐して延び、管継ぎ手79(新気入口79a)を中心に左右対称となる、いわゆる「トーナメント分岐形状」をなす。
この実施形態で、マニホールド本体72は、予め複数に分割して樹脂成形された複数の樹脂成形体を一体的に接合することで形成される。この実施形態で、マニホールド本体72は、四つの樹脂成形体81A,81B,81C,81Dを互いに一体的に接合することにより形成される。
図11に、一つの樹脂成形体81Cの一部を背面図により示す。図11に示すように、新気分配部78の接合面には、新気分配通路80を構成する通路溝80aが形成される。各通路溝80aの末端は、各分岐管74に連通しており、各分岐管74にそれぞれ開口する新気出口82が形成される。この通路溝80aの形状から、新気分配通路80の全体形状が分かる。図11から分かるように、新気入口79a、各新気出口82及び新気分配通路80は、各分岐管74の吸気出口74aの近傍に設けられ、使用状態において各分岐管74の天側に配置され、新気入口79aが上側に配置され、各新気出口82が下側に配置される。
以上説明したこの実施形態の構成によれば、第1実施形態の作用及び効果に加え、次のような作用及び効果を得ることができる。すなわち、新気分配部78が、樹脂製のマニホールド本体72に一体に形成されるので、新気分配部のための配管を別途設けた場合と比べ、構成部品点数が少なくなり、部品の取り付けの手間が少なくなる。このため、ガソリンエンジンシステムの簡略化と製造コストの低減を図ることができる。
この実施形態の構成によれば、新気分配部78の新気分配通路80が、新気入口79aから各新気出口82にかけて段階的に分岐して延び、新気入口79aを中心に左右対称となるトーナメント分岐形状をなしている。このため、新気入口79aから導入される新気が、各新気出口82に達するまでに、各分岐部分にて段階的に均等に振り分けられることになる。このため、吸気マニホールド71がエンジンに装着されて使用されることにより、エンジンの各気筒に対して新気を均等に分配することができる。
一般に、吸気マニホールドにおいて、各分岐管の出口は、エンジンの吸気ポートに直接的に接続される。吸気ポートには、エンジンの各気筒で生じるほぼ同等の負圧が作用することになる。ここで、この実施形態の吸気マニホールド71によれば、新気分配部78に設けられる新気入口79a、各新気出口82及び新気分配通路80が、各分岐管74の吸気出口74aの近傍に配置されるので、各新気出口82は、吸気ポートの近傍に配置されることになる。従って、仮に、各分岐管74の長さに多少の違いがあったとしても、各新気出口82には、エンジンの各気筒で発生するほぼ同等の負圧が作用することになる。このため、各分岐管74の長さの違いにかかわらず、エンジンの各気筒に新気をより一層均等に分配することができる。
また、この実施形態では、新気分配部78に設けられた新気入口79a、各新気出口82及び新気分配通路80が、エンジンでの使用状態における各分岐管74の天側に配置されると共に、新気入口79aが上側に配置され、各新気出口82が下側に配置されるので、新気分配通路80は、新気入口79aから各新気出口82にかけて下向きの通路となる。このため、新気分配通路80内に侵入する水分に下向きの流れを付与することができ、新気分配通路80内に水分が溜まることを防止することができる。この結果、新気分配通路80における新気の通りを常に良好な状態に保つことができる。
また、この実施形態の構成によれば、マニホールド本体72が樹脂で形成されるので、吸気マニホールド71が軽量となる。また、新気入口79a及び新気分配通路80が、各分岐管74から上方へ張り出して一体に形成された新気分配部78に設けられる。従って、新気分配通路80をマニホールド本体72の内部に形成する場合に比べ、新気分配通路80の形成が容易となる。この意味で、新気分配通路80を備えた吸気マニホールド71(マニホールド本体72)を、樹脂成形により比較的容易に製造することができ、軽量化を図ることができる。
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
(1)前記各実施形態のガソリンエンジンシステムとは異なり、図12に示すように、EGR通路22の入口22aより下流の排気通路3に、背圧を制御するための排気絞り弁36を設けたり、EGR通路22の出口22bより上流の吸気通路2に、負圧を発生させるための吸気絞り弁37を設けたりすることができる。これにより、EGR通路22にてEGRガスを更に円滑に流すことができる。図12は、ガソリンエンジンシステムを示す図1に準ずる概略構成図である。
(2)前記各実施形態では、新気分配手段を備えた吸気マニホールドを、3気筒又は4気筒のエンジンに装着される吸気マニホールド8,41,71に具体化した、すなわち、分岐管の数を3又は4とした。これに対し、吸気マニホールドの分岐管の数は、適宜増減することができる。
(3)前記第3及び第4の実施形態では、樹脂製の吸気マニホールド41,71に対し、新気分配部51,78を同じ樹脂材料で一体に形成したが、吸気マニホールドに対し、異種材料で形成された新気分配部を接合又はインサート成形することで一体に設けることもできる。
(4)前記各実施形態では、本発明をガソリンエンジンシステムに具体化したが、本発明をディーゼルエンジンシステムに具体化することもできる。
この発明は、ガソリンエンジンシステム又はディーゼルエンジンシステムと、それらに使用される吸気マニホールドに利用することができる。
1 エンジン
2 吸気通路
3 排気通路
5 過給機
5a コンプレッサ
5b タービン
5c 回転軸
6 電子スロットル装置(吸気量調節弁)
8 吸気マニホールド
8a サージタンク
8b 分岐管
21 EGR装置(排気還流装置)
22 EGR通路(排気還流通路)
22a 入口
22b 出口
23 EGR弁(排気還流弁)
31 新気導入通路
31a 入口
32 新気導入弁
33 新気分配管(新気分配手段)
33a 新気入口
33b 新気出口
41 吸気マニホールド
42 サージタンク
43A 分岐管
43B 分岐管
43C 分岐管
51 新気分配部(新気分配手段)
56 新気入口
67A 新気分配通路
67B 新気分配通路
67C 新気分配通路
69a ノズル(新気出口)
69b ノズル(新気出口)
69c ノズル(新気出口)
71 吸気マニホールド
72 マニホールド本体
73 サージタンク
74 分岐管
78 新気分配部(新気分配手段)
79a 新気入口
80 新気分配通路
82 新気出口

Claims (3)

  1. 複数の気筒を有するエンジンと、
    前記エンジンの各気筒へ吸気を導入するための吸気通路と、
    前記エンジンから排気を導出するための排気通路と、
    前記吸気通路と前記排気通路に設けられ、前記吸気通路における吸気を昇圧させるための過給機と、
    前記過給機は、前記吸気通路に配置されたコンプレッサと、前記排気通路に配置されたタービンと、前記コンプレッサと前記タービンを一体回転可能に連結する回転軸とを含むことと、
    前記エンジンの直上流にて前記吸気通路に配置され、前記吸気が導入されるサージタンクと、前記サージタンクに導入された前記吸気を前記エンジンの前記各気筒へ分配するための複数の分岐管とを含む吸気マニホールドと、
    前記吸気マニホールドより上流の前記吸気通路に配置され、前記吸気通路を流れる吸気量を調節するための吸気量調節弁と、
    前記エンジンから前記排気通路へ排出される排気の一部を排気還流ガスとして前記吸気通路へ流して前記エンジンへ還流させるための排気還流通路と、前記排気還流通路における排気還流ガス流量を調節するための排気還流弁とを含む排気還流装置と、
    前記排気還流通路は、その入口が前記タービンより下流の前記排気通路に接続され、その出口が前記コンプレッサより上流の前記吸気通路に接続されることと、
    前記吸気量調節弁より下流の前記吸気通路へ新気を導入するための新気導入通路と、
    新気導入通路は、その入口が前記排気還流通路の前記出口より上流の前記吸気通路に接続されることと、
    前記新気導入通路を流れる新気量を調節するための新気導入弁と
    を備えたエンジンシステムにおいて、
    前記新気導入通路の出口側に、前記吸気マニホールドの前記複数の分岐管のそれぞれに前記新気を分配するための新気分配手段が設けられることを特徴とするエンジンシステム。
  2. 前記新気分配手段は、前記新気が導入される一つの新気入口と、前記複数の分岐管のそれぞれに形成された新気出口と、前記新気入口から導入される前記新気を前記複数の新気出口へ分配するために分岐する新気分配通路とを含むことを特徴とする請求項1に記載のエンジンシステム。
  3. 請求項1又は2に記載のエンジンシステムに設けられる吸気マニホールドであって、
    前記新気分配手段が一体に設けられたことを特徴とする吸気マニホールド。
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