JP6698054B2 - カシメ方法 - Google Patents

カシメ方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6698054B2
JP6698054B2 JP2017159606A JP2017159606A JP6698054B2 JP 6698054 B2 JP6698054 B2 JP 6698054B2 JP 2017159606 A JP2017159606 A JP 2017159606A JP 2017159606 A JP2017159606 A JP 2017159606A JP 6698054 B2 JP6698054 B2 JP 6698054B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
caulking
housing
ball
crimping
peripheral edge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017159606A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017215048A (ja
Inventor
黒田 茂
茂 黒田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NHK Spring Co Ltd
Original Assignee
NHK Spring Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NHK Spring Co Ltd filed Critical NHK Spring Co Ltd
Priority to JP2017159606A priority Critical patent/JP6698054B2/ja
Publication of JP2017215048A publication Critical patent/JP2017215048A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6698054B2 publication Critical patent/JP6698054B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pivots And Pivotal Connections (AREA)
  • Mounting, Exchange, And Manufacturing Of Dies (AREA)
  • Forging (AREA)

Description

本発明は、車両のサスペンション装置とスタビライザ装置との間を連結するスタビリンク等を構成するボールジョイントのハウジングのカシメ方法及びカシメ用型に関する。
車両のサスペンション装置は、路面から車体に伝わる衝撃を軽減し、スタビライザ装置は、車体のロール剛性(捩れに対する剛性)を高める。このサスペンション装置とスタビライザ装置は、スタビリンクを介して連結されている。スタビリンクは、棒状のサポートバーの両端にボールジョイントを備えて構成されている。各ボールジョイントは、カップ状のハウジングの内部に、樹脂によるボールシートを介して、ボールスタッドの球体状のボール部が回動可能に収容されている。潤滑剤としての作用を有するボールシートは、ハウジングとボール部との間に介在され、ハウジングの開口部の開口周縁部によってカシメられ、このカシメ(カシメ部)により押圧固定されている。
この種のカシメ部として、特許文献1に記載のボールジョイントにおけるカシメ部がある。このカシメ部は、ハウジングの開口部に設けられており、開口部の端壁と一体に形成された薄板状の突縁(開口周縁部)を塑性変形させて構成される。カシメ部によるカシメ方法は、まず、開口部の径方向の荷重P1によって突縁を45°程度に傾斜変形させ(折り曲げ)、次に、軸線方向の荷重P2を加えることによって更に折り曲げてカシメを行っている。このようにボールシートを押圧するカシメを行うことにより、ハウジング内にボールシートを介して挿入したボールスタッドが、揺動及び回動する際の揺動トルク及び回転トルクを、適正に調整できるように成されている。
国際公開第2006/019145号公報
ところで、上述したようにハウジングでボールシートをカシメる際に、図8のハウジング11の一部断面図に示すように、金属製のハウジング11の板状の開口周縁部を、符号11kmで示す通り内側に折り曲げてボールシート(図示せず)をカシメる。しかし、そのように開口周縁部を折り曲げると、折り曲げ部分の外周側が先端側に引かれる肉引きが生じ、その折り曲げ部分の厚さTkmが元の厚さよりも薄くなるので、残留応力が大きく残る。このため、カシメた直後に、矢印YBで示すように、折り曲げたカシメ部11kmが、折り曲げ前の方向に若干戻るスプリングバックが生じる。
これにより、カシメ部の位置精度が低下して、カシメ部が、揺動するボールスタッドと干渉したり、カシメ部とボールシートとが設計通りに形成されず、カシメ部によるボールシートの押圧力が弱くなることがある。その結果、ボールシートの耐久性が低下したり、ボールスタッドの揺摺動トルクのバラツキが大きくなる等の不具合が生じる。
本発明は、このような背景に鑑みてなされたものであり、カシメ部のスプリングバックを抑制してボールシートを適正に押圧するカシメを行うことができるカシメ方法を提供することを課題とする。
前記した課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、連結部の他端部に球体部が一体に繋ぎ合わされて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回動可能に支持する一方が開口した空間を有する金属材料によるハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される支持部材とを有するボールジョイントにおいて、前記ハウジングの開口周縁のカシメ部で前記支持部材をカシメるカシメ方法であって、前記ハウジングの開口周縁部分を折り曲げ、この折り曲げの先端側から折り曲げ部分に向かい押圧して、当該折り曲げ部分が、折り曲げ加工前のカシメ対象部の断面で示す板厚以上の厚みとなった断面山形状の前記カシメ部となる塊部に変形させ、前記カシメ対象部を押圧してカシメる金型は、一面に周回状に窪んで形成した凹部を有し、前記凹部は、当該凹部の底部から離れるほど互いに離間する一対の傾斜面を有し、径方向内側の傾斜面の下端部は、径方向外側の傾斜面の下端部よりも下方に配置されていることを特徴とするカシメ方法である。
この方法によれば、ハウジングの開口周縁の折り曲げ部分の肉厚が塊部(カシメ部)に変形される。このため、折り曲げ部分のスプリングバックが殆んど無くなる。一方、ハウジングの開口周縁部分を単に折り曲げただけでは、折り曲げ部分の外周側が先端側に引かれる肉引きが生じ、その折り曲げ部分の厚さが元の厚さよりも薄くなるので残留応力が大きく残りスプリングバックが生じる。しかし、本発明の方法では、折り曲げの先端側から折り曲げ部分に向かい押圧して、開口周縁部分の少なくとも一部を塊部に変形させるので、折り曲げ部分の外周側に肉引きが生じ難くなり、残留応力が小さくなりスプリングバックが生じ難くなる。従って、カシメ部(塊部)と支持部材とを設計通りに形成して、支持部材を適正にカシメ部で押圧するカシメを行うことができる。
請求項2に係る発明は、連結部の他端部に球体部が一体に繋ぎ合わされて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回動可能に支持する一方が開口した空間を有する金属材料によるハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される支持部材とを有するボールジョイントにおいて、前記ハウジングの開口周縁のカシメ部で前記支持部材をカシメるカシメ方法であって、前記ハウジングの開口周縁に、周回面が所定の第1角度傾斜した折曲面を有する第1型の当該折曲面を当接し、当該折曲面を前記支持部材の方向へ押圧して当該ハウジングの開口周縁部分を所定角度折り曲げる第1工程と、前記第1工程で折り曲げられた開口周縁部分の先端に、周回面が前記第1角度よりも緩やかな角度傾斜した折曲面を有する第2型の当該折曲面を当接し、当該折曲面を前記支
持部材の方向へ押圧して当該開口周縁部分を前記第1工程よりも更に折り曲げる第2工程と、前記第2工程で折り曲げられた開口周縁部分の先端を、一面に周回状に窪んで形成した凹部を有する第3型の当該凹部に挿入し、当該凹部を前記支持部材の方向へ押圧して当該第2工程で折り曲げられた開口周縁部分を変形させ、当該変形する折り曲げ部分が、折り曲げ加工前のカシメ対象部の断面で示す板厚以上の厚みとなった断面山形状の前記カシメ部となる塊部とし、この塊部で前記支持部材をカシメる第3工程と、を実行し、前記凹部は、当該凹部の底部から離れるほど互いに離間する一対の傾斜面を有し、径方向内側の傾斜面の下端部は、径方向外側の傾斜面の下端部よりも下方に配置されていることを特徴とするカシメ方法である。
この方法によれば、ハウジングの開口周縁部分が第1〜第3型での変形により塊部としてのカシメ部となる。このため、従来のようなスプリングバックが無くなり、カシメ部とボールシートとが設計通りに形成されなくなるといったことが無くなる。
本発明によれば、カシメ部のスプリングバックを抑制してボールシートを適正に押圧するカシメを行うことができるカシメ方法及びカシメ用型を提供することができる。
本発明に係る実施形態のボールジョイントを備えるスタビリンクが、ダンパとスタビライザとを連結する状態を示す斜視図である。 図1の一点鎖線枠A内の部分を分解した状態を示す分解斜視図である。 (a)ボールジョイントの縦断面図、(b)(a)の丸枠F1内の拡大図、(c)ハウジングの開口周縁部部分の斜視図である。 (a)〜(g)ハウジングの開口周縁部が変形される様子を変形順に示す図である。 カシメ用型の構成を示し、(a)第1カシメ用型、(b)第2カシメ用型、(c)第3カシメ用型の構成を示す図である。 (a)〜(j)カシメ用型でハウジングの開口周縁部をカシメる手順を第1工程〜第3工程の順番に示す図である。 本実施形態による圧縮荷重による変形により形成されたカシメ部の縦断面図である。 従来の折り曲げによるカシメ部の縦断面図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<実施形態>
図1は、本発明に係る実施形態のボールジョイントを備えるスタビリンクが、ダンパとスタビライザとを連結する状態を示す斜視図である。図2は図1の一点鎖線枠A内の部分を分解した状態を示す分解斜視図である。図3はスタビリンクのボールジョイントの縦断面図である。
本実施形態の特徴は、図3(a)に示すカシメ部11k3を、図4(a)に示すハウジング11の胴部11jよりも薄く形成された開口周縁部(カシメ対象部)11kの一部を、圧縮荷重により断面山形状に変形させた塊部(図7参照)に形成した点にある。なお、開口周縁部(カシメ対象部)11kは、請求項記載の開口周縁部分である。
次に、図1に示すスタビリンク1、スタビライザ装置2及びサスペンション装置3について説明する。車両(図示せず)の走行に使用される車輪Wは、サスペンション装置3を介して車体(図示せず)に取り付けられている。サスペンション装置3は、コイルスプリング3aと、ダンパ(サスペンションダンパ)3bとを有する。ダンパ3bは、車輪Wを回転可能に支持する。ダンパ3b、コイルスプリング3aは、車輪Wから車体に加わる衝撃を緩衝する。
ダンパ3bは、コイルスプリング3aを介して車体(図示せず)に取り付けられる。ダンパ3bの伸縮の際の粘性減衰力とコイルスプリング3aの弾性力とによって車体に伝わる揺動及び振動が、サスペンション装置3で減衰される。
左右のサスペンション装置3の間には、コ字形状の金属棒によるスタビライザ装置2が連結されている。スタビライザ装置2は、車体のロール剛性(捩れに対する剛性)を高めて車両のローリングを抑制する。スタビライザ装置2は、車輪W,W間に延びるトーションバー2aと、トーションバー2aの両端から当該バー2aに対して垂直方向に延びる一対のアーム部2b、2bとを有している。
スタビライザ装置2は、車両の形状に合わせて適宜折り曲げられた棒状のばね部材で構成されている。このスタビライザ装置2と、車輪Wを支持するダンパ3bとはスタビリンク1を介して連結されている。この連結は、対向する両車輪W,W側において同様である。
詳細には、スタビリンク1は、両端にボールジョイント1bを備えており、一方のボールジョイント1bにスタビライザ装置2のアーム部2bの先端部が接続され、他方のボールジョイント1bにダンパ3bが接続されている。
トーションバー2aは、車輪W,W間に延設され、車両が旋回するとき等、両側のダンパ3b,3bの伸縮量の違いに応じて、スタビリンク1を介してアーム部2bが偏移することにより捩れる。この際、トーションバー2aは、その捩れを復元するねじり弾性力で車両のローリングを抑制している。
次に、スタビリンク1について図2を参照して説明する。スタビリンク1は、棒状のサポートバー1aとボールジョイント1bとを備えて構成される。サポートバー1aの両端にボールジョイント1bが配設されている。
ボールジョイント1bには、図3(a)に示すように、ボールスタッド10がハウジング11に収容されて揺動及び回動可能に支持されている。ボールスタッド10のスタッド部10sには、周回状に拡がる鍔部10a1と小鍔部10a2とが離間して形成され、鍔部10a1よりも先端側のスタッド部10sには、雄ねじ10nが形成されている。なお、スタッド部10sは請求項記載の連結部を構成する。
ハウジング11の上端部と鍔部10a1との間には、ダストカバー13の上端周回部分が、鍔部10a1と小鍔部10a2との間の周回凹部10eに嵌め込まれ、下端周回部分に埋め込まれた鉄リンク13aの部分が、ハウジング11の上部に嵌合固定されている。この嵌合固定のために、サポートバー1aは、先端部1a1が垂直軸線V1方向に薄く潰してある。
図2に示すサポートバー1aの一方のボールジョイント1bから突き出るボールスタッド10は、ダンパ3bのブラケット3cに締結固定される。また、他方のボールジョイント1bから突き出るボールスタッド10は、スタビライザ装置2のアーム部2bに締結固定される。ダンパ3bに取り付けられたブラケット3cは、ダンパ3bから直交方向に延在する平面部3c1を有する。この平面部3c1には、取付孔3c2が開口されている。一方、アーム部2bの先端部2b1は、平らに塑性変形され、取付孔2b2が開口されている。そのアーム部2bの先端部2b1とブラケット3cの平面部3c1とは、スタビリンク1により連結されている。
この連結について説明する。スタビリンク1の一方のスタッド部10sは、ブラケット3cの取付孔3c2に鍔部10a1の位置まで挿通され、ナットN1が螺合されて締め付けられ、ボールスタッド10がダンパ3bに固定される。他方のスタッド部10sは、鍔部10a1の位置までアーム部2bの取付孔2b2に挿通され、スタッド部10sの雄ねじ10nにナットN2が螺合されて締め付けられ、ボールスタッド10がスタビライザ装置2のアーム部2bに固定される。
このように、スタビリンク1は、サポートバー1aの両端に備わるボールスタッド10を介してダンパ3bと、スタビライザ装置2のアーム部2bとに固定されている。このスタビリンク1は、両側のボールジョイント1bにボールスタッド10が揺動及び回動可能に支持されているので、ダンパ3b及びトーションバー2a(図1)に対して可動可能な構成となっている。つまり、スタビリンク1は、サスペンション装置3及びスタビライザ装置2の動きに応じて可動する。
次に、ボールジョイント1bの構成について、図3(a)〜(c)を参照して詳細に説明する。図3(a)に示すように、ボールジョイント1bは、ボールスタッド10と、ハウジング11と、ボールシート12と、上述したダストカバー13とを備えて次のように構成されている。
即ち、ボールスタッド10がボール部10b及びボールシート12を介してハウジング11に揺動及び回動可能に収容されている。ボールスタッド10は、仮に鉛直方向を向いているとする。このボール部10bの中心P1を通る鉛直方向の軸線(垂直複線)V1と、同中心P1を通り軸線V1に直交する水平方向の軸線H1(水平軸線H1)とを一点鎖線で示した。なお、ボール部10bは、請求項記載の球体部を構成し、ボールシート12は、請求項記載の支持部材を構成する。
ボールスタッド10は、真球又は真球に近い形状である球体状のボール部10bと、ボール部10bから一方向(垂直軸線V1方向)に延設されるスタッド部10sとを有する。ボール部10bの上部は、ボールスタッド10sと接続され、ボール部10bの下部は、ハウジング11内のグリース室11gの体積確保のための形状とされており、平坦となっている。ボール部10bは、許容される範囲において真球化してもよい。
なお、スタビリンク1においてスタッド部10sが延出する方向は、ダンパ3b(図2参照)と、スタビライザ装置2のアーム部2bとの位置関係に応じて適宜決定される。
ボールシート12は、ハウジング11とボール部10bとの間に介在され、上下が開口した筒状を成し、摩耗耐久性と柔軟性を有する熱可塑性樹脂を射出成形して形成されている。熱可塑性樹脂には、PA66(Polyamide66)、PA6(Polyamide6)、PPS(Polyphenylenesulfide)、POM(Polyacetal)等の弾性体であるエンジニアリングプラスチック、若しくはスーパーエンジニアリングプラスチックを用いる。また、ボールシート12の内面と外面との間の肉厚は一定又は略一定である。ボールシート12の上開口の周回端は、フラットを基本形状とする。但し、各周回端はフラット以外の形状であってもよい。また、ボールシート12は、スタッド部10sが突き出る上のみが開口した形状であってもよい。
ハウジング11は、塑性加工が可能な機械構造用炭素鋼等の鋼材や、アルミニュウム等の金属材料が素材として用いられる。このハウジング11は、カップ状を成し、内部がボールシート12を介してボール部10bを収容可能な球形状の内面(球形状内面)11aとなっている。但し、球形状内面11aは、球形の上端部が水平軸線H1と平行にカットされた形状を成す。この球形状内面11aには、ボールシート12が隙間なく配設されるようになっている。また、球形状内面11aには、ボールシート12を介してボール部10bを収容した際に、ボール部10bの下方側にグリース室11gが形成される。
<カシメ部>
カシメ対象部11kは、図3(a)に示すように、ハウジング11の開口周縁部が圧縮荷重による変形により断面山形状のカシメ部11k3に成形され、ボールシート12をカシメた際に、ボールシート12に対して次のように作用する。即ち、カシメ部11k3は、ハウジング11の球形状内面11aとボール部10bの外周面との間に介在するボールシート12を、垂直軸線V1に沿った上方から下方に向かって押圧して固定する。
ハウジング11には、図3(a)の枠F1内の部位を拡大した図3(b)に示すカシメ部11k3が設けられている。このカシメ部11k3は、図4(a)に示すハウジング11の開口周縁部が環状の板状に形成されたカシメ対象部11kから、図4(b)〜(g)に示す工程を経て次のように形成される。
即ち、カシメ対象部11kは、図4(b)に示すように、後述のカシメ用型50で上から下へ向かって圧縮荷重Y1が加えられて符号11k1で示すように折り曲げられる。この折り曲げ後の図4(c)に示すカシメ対象部11k1を、図4(d)に示すように後述のカシメ用型60で圧縮荷重Y2を加えて符号11k2で示すように更に折り曲げる。この折り曲げ後の図4(e)に示すカシメ対象部11k2を、図4(f)に示すように後述の第3カシメ用型70に入れる。そして、圧縮荷重Y3を加え、この後、更に図4(g)に示すように、更に圧縮荷重Y4を加え、断面山形状に変形させてカシメ部11k3が形成されている。但し、断面山形状とは、図7に実際のカシメ部11k3を拡大して示すように、上端が平らな概略台形状となっているが、上端が三角状の尖った形状など他の形状であってもよい。
ここで、カシメ対象部11k2を断面山形状に変形させてカシメ部11k3を形成することの優位性について説明する。
上述した図4(f)及び(g)に示す第3カシメ用型(型)70は、図5(d)に示すように、断面山形状に凹んだカシメ凹部(凹部)71dを有する。凹部71dは、内周傾斜面(傾斜面)71eと、この内周傾斜面71eに所定間隔離間して対向する内周傾斜面71fとを有している。
一方の傾斜面71eは、図6(j)に示すように、型70でボールシート12をカシメる際に、ボールシート12側に位置し、図5(d)に示すように、その傾斜面71eが他方の傾斜面71fよりも長くなっている。この長い傾斜面71eは、図4(f)に示すように、カシメ対象部11k2の先端側から折り曲げ部分に向かう方向に押圧するための面となっている。他方の傾斜面71fは、その折り曲げ部分を拘束し、前記押圧の力に抗する反力を生成するための面となっている。
上述したように、図4(f)に示す所定角度に折り曲げたカシメ対象部11k2を、型70により図4(g)に示す断面山形状のカシメ部11k3に変形させる場合、カシメ対象部11k2には次のような力が働く。即ち、図4(f)に示すカシメ対象部11k2には、型70の各傾斜面71e,71fの間の上面で下方へ向かって押圧される力と、各傾斜面71e,71fにより対向方向へ押圧される力とが作用する。
このため、折り曲げられたカシメ対象部11k2は、上から下へ向かって徐々に圧縮されると共に、カシメ対象部11k2の先端側から折り曲げ部分に向かい押圧する力と、この力の反力とで概略横方向に圧縮される。このため、図7に示すように、カシメ対象部11k2は、折り曲げ部分の外周側に金属が移動して当該折り曲げ部分が所定以上の厚みとなった断面山形状の塊部(カシメ部11k3)に変形される。その所定以上の厚みとは、少なくとも、折り曲げ部分の厚みTk1{図3(b)}が、従来のように折り曲げた際の折り曲げ部分の厚み(肉引きが生じた際の厚み)Tkm(図8)よりも厚い寸法をいう。更に、所定以上の厚みは、図4(a)に示す折り曲げ加工前のカシメ対象部11kの断面で示す板厚Tk以上であることが好ましい。
カシメ部11k3は、胴部11jとカシメ対象部(開口周縁部)11k2との付根部分が所定以上の厚みとなって折れ曲がり、この先端側の部分が断面山形状に変形された形状となる。このような形状では、図8に示した従来のハウジング11の開口周縁部のように、折り曲げ部分の外周側が先端側に引かれる肉引きが生じることが無く、残留応力が大きく残ることが無くなる。つまり、本実施形態のカシメ部11k3では、残留応力が従来に比べて小さくなるので、スプリングバックが生じなくなる。
なお、本実施形態のハウジング11のカシメ対象部11k{図4(a)}を変形させる場合、冷間圧造によって行なう。この他、ボールシート12が溶融変形しない温度にカシメ対象部11kを加熱して行なってもよい。
このように本発明の特徴は、カシメ対象部11kを変形させた塊部をカシメ部11k3とし、このカシメ部11k3でボールシート12のカシメを行うようにした点にある。
図4(a)に示すカシメ対象部11kの断面で示す板厚(第1板厚)Tkは、この下方側のハウジング11の胴部11jの断面で示す板厚(第2板厚)Tjよりも薄く形成(図では1/2程度)されている。カシメ対象部11kの板厚Tkは、ハウジング胴部の板厚Tjに対して、0.3〜0.6の比率(第1の比率)とされている。これを不等式で記載すると、0.3≦(Tk/Tj)≦0.6となる。
ここで、第1の比率が大きくなればなる程、板厚Tkが板厚Tjに近づき厚くなるが、厚くなる程にカシメ対象部11kが変形し難くなり、断面山形状のカシメ部11kの成形が難しくなる。更に、第1の比率の上限(0.6)を超えると、ハウジング11の胴部11jへの変形が生じ易くなる。この逆に、板厚Tkが薄すぎると、変形で断面山形状にならず、折畳まれた形状となってしまう。比率の下限(0.3)を下回ると、プレス、冷鍛、圧造等の加工性が大きく損なわれる。そこで、カシメ対象部11kの板厚Tkを、胴部11jの板厚Tjに対して第1の比率の範囲内とした。
また、カシメ対象部11kの長さLkは、その板厚Tkに対して、2.0〜3.5の比率(第2の比率)とされている。これを不等式で記載すると、2.0≦(Lk/Tj)≦3.5となる。
ここで、第2の比率が上限(3.5)を超えると、言い換えれば、長さLkが所定以上長いと、変形し易くなり過ぎて折畳まれた形状等になってしまう。また、第2の比率が下限(2.0)を下回ると、所定形状への加工が難しくなる。つまり、変形し難くなる。そこで、カシメ対象部11kの長さLkを、板厚Tkに対して第2の比率の範囲内とした。
<カシメ用型>
次に、ハウジング11のカシメ対象部11kをカシメる際に用いられるカシメ用型の構成を、図5(a)〜(c)を参照して説明する。図5(a)は第1カシメ用型(第1型)50の構成図、図5(b)は第2カシメ用型(第2型)60の構成図、図5(c)は第3カシメ用型(第3型)70の構成図である。各カシメ用型50〜70は外形部分が例えば直方体形状(又は円筒形状等の他の形状)を成し、縦半分に分割可能となっており、図5(a)〜(c)は分割した状態の構成図を示している。なお、各カシメ用型50〜70の直方体形状の外形部分は、請求項記載の型枠を構成する。
図5(a)に示す第1型50は、直方体の中心軸に沿って上下に貫通し、ボールスタッド10を収容{図6(a)参照}する収容部51を備える。この収容部51は、ボールスタッド10の外形よりも大きい概略相似形を成し、スタッド部10sが収容されるスタッド部収容部51aと、鍔部10a1を含むその周辺部分が収容される鍔部収容部51bとを備える。更に、ボール部10b{図3(a)参照}が連結されて小鍔部10a2まで延びるボール連結部分が収容されるボール連結部分収容部51cを備えて構成されている。
ボール連結部分収容部51cの下端側は、円形状に開口しており、この開口周縁部分には、カシメ対象部11kを当接させて折り曲げるためのカシメ折曲面51dが円錐状に周回して形成されている。このカシメ折曲面51dは、第1型50の水平な下面に対して45°の角度で形成されている。
このような構成の第1型50は、鉛直方向に2分割する型枠を1つの直方体に組合せた後、2つのネジ穴50n,50nに図示せぬネジを螺合して一体に固定してある。この第1型50を2分割する場合は、ネジを緩めて行なう。但し、2分割の型枠は、ネジ穴50n,50nにネジを螺合して一体固定する以外に、凹凸の組合せ等の他の方法で一体固定する構造であってもよい。第1型50は、分割後に収容部51の分割面凹部にボールスタッド10を収容し、この収容後に他方の半分の型を一体に組合せて、図6(a)に示すようにボールスタッド10を収容する。
図5(b)に示す第2型60は、第1型50と同じ外形形状を成すと共に、ボールスタッド10を収容{図6(d)参照}する収容部61を備える。この収容部61は、スタッド部収容部61a、鍔部収容部61b及びボール連結部分収容部61cから構成されている。ボール連結部分収容部61cの開口周縁部分には、カシメ対象部11kを当接させて折り曲げるためのカシメ折曲面61dが形成されている。このカシメ折曲面61dは、第2型60の水平な下面に対して20°の角度で形成されている。このような構成の第2型60は、第1型50と同様にネジ穴60nに螺合されるネジ(図示せず)を外して分割可能となっており、図6(d)に示すようにボールスタッド10を収容する。
図5(c)に示す第3型70は、第1型50と同じ外形形状を成すと共に、ボールスタッド10を収容{図6(i)参照}する収容部71を備える。この収容部71は、スタッド部収容部71a、鍔部収容部71b及びボール連結部分収容部71cから構成されている。ボール連結部分収容部71cの開口周縁から水平方向に所定長さ離間した本体下面位置には、円形の開口周縁に対して同心円状に凹溝を形成したカシメ凹部71dが形成されている。なお、カシメ凹部71dは、請求項記載の凹部を構成する。
カシメ凹部71dの断面形状を、図5(c)の枠F2内の部分を拡大した図5(d)に示す。このカシメ凹部71dは、カシメ対象部11kを変形させて前述の断面山形状{図3(b)の符号11k3参照}にカシメるために、断面山形状に窪んで周回する凹溝の形状を成す。この形状のカシメ凹部71dの内周傾斜面71eは、図3(b)に示す断面山形状のカシメ部11k3の傾斜面11tを形成する傾斜角度で形成されている。
その傾斜面11tは、ボールシート12の傾斜面12tの傾斜傾向に合わせて形成されている。ボールシート12の傾斜面12tは、ボールスタッド10の揺動角度を規制するためのものであり、ハウジング11の内側から外側に向かって所定角度で上る円錐状に形成されている。このように、カシメ部11k3の傾斜面11tを、ボールシート12の傾斜面12tに合わせて形成すれば、カシメ部11k3は、樹脂製のボールシート12よりも硬い金属材料なので、ボールスタッド10は、実質的には、カシメ部11k3の傾斜面11tにより揺動角度が規制されることとなる。
但し、カシメ部11k3の傾斜面11tは、図3(b)に破線11taで示すように、傾斜面11tよりもハウジング11の外側に所定長さ変位した位置に形成されていてもよい。この傾斜面11taを形成する場合、図5(d)に示すカシメ凹部71dの内周傾斜面71eは、この対向側の内周傾斜面71fの方へ近づいて配置されることになる。
また、カシメ凹部71dには、図6(i)の丸枠F5の部分を拡大した図6(j)に示すように、カシメ時に、断面山形状のカシメ部11k3が収容状態となっている。このカシメ部11k3を収容する容積が、カシメ部11k3の体積に対して40%〜100%の間となるように、カシメ凹部71dが形成されている。つまり、カシメ凹部71dは、カシメ部11k3の最大100%から最小40%の大きさとなる。
カシメ凹部71dは、厚みTkのカシメ対象部11kを圧縮変形で断面山形状に変形する際に、そのカシメ対象部11kの略全ての体積容量を断面山形状に変形してカシメ部11k3とする容積を有する。また、カシメ凹部71dでカシメられるカシメ対象部11kと、カシメ後の塊部によるカシメ部11k3との体積は同じである。
更には、最大カシメ時に、図6(j)の丸枠F5内に間隔G1で示すように、カシメ凹部71dの先端面が、ボールシート12の上端面との間で所定間隔離間する状態に、第3型70の下面が形成されている。つまり、カシメ凹部71dは、カシメ時に、その凹部71d内の上面及び側面による塊部(カシメ部11k3)の接触反力が相殺され、ボールシート12が変形しないように形成されている。
また、カシメ凹部71dの内面は、カシメ時にカシメ対象部11kとの間で摩擦抵抗を上げるための加工、例えばショットピーニング加工等が施された摩擦抵抗面となっている。なお、カシメ凹部71dの内面に、摩擦抵抗面に代わる滑り止めを設けてもよい。
更に、カシメ凹部71dが断面山形状や角型の場合、上隅をR形状とする。Rは0.2〜0.8の範囲とする。これは、カシメ凹部71dへのカシメ部11k3の充填度を高め、カシメ部11k3を所定形状に形成するためである。カシメ凹部71dの上隅が角張っていると、カシメ部11k3の上隅部分との間に空間ができ、充填度が低下し、所定形状のカシメ部11k3が形成されなくなる恐れがある。また、カシメ凹部71dの上隅の0.2〜0.8の範囲のR形状は、カシメ対象部11kを適正に変形可能な形状となっている。
また、図5(d)に示すカシメ凹部71dの側面71e,71fは、カシメ時にカシメ対象部11kの被カシメ部分が、凹溝内から外部へ食み出さないようにブロック(拘束)できる形状となっている。なお、カシメ凹部71dの形状は、断面山形状以外に、凹状に凹んだ形状であればどの様な形状でもよい。
このような構成の第3型70も、第1型50と同様にネジ穴70nに螺合されるネジ(図示せず)を外して分割可能となっており、図6(g)に示すようにボールスタッド10を収容する。
<カシメ方法>
次に、上述したカシメ用型50〜70を用いたハウジング11のカシメ対象部11kのカシメ方法について、図6(a)〜(j)に示す縦断面図を参照して説明する。但し、図3を参照するように、ボールスタッド10のボール部10bはボールシート12の球形状空間に挿入して組合せられ、この組合せ後のボール部10b及びボールシート12がハウジング11の内面11aに挿入されている。このように、ボールスタッド10がボールシート12を介してハウジング11に一体に組合されているとする。この一体物のハウジング11のカシメ加工を、後述の第1工程、第2工程、第3工程によって行なう。
但し、本カシメ加工は、冷間で行なうのが好ましい。これは、熱間で行うとハウジング11内の樹脂材料のボールシート12が融けるので、これを防止するためである。カシメ対象部11kが比較的小さい場合は冷間で十分行なうことができる。また、カシメ加工に当たって原則、加工油の塗布は行なわない。これは、カシメ対象部11kの摩擦力の阻害を抑制するためである。更に、カシメ対象部11kにおいて、カシメ対象部11kとハウジング11の胴部11j{図4(a)参照}とのカシメで屈曲する屈曲部{図7(b)のF10参照}は、カシメ対象部11kの板厚Tkの変化点と概ね一致させるのが好ましい。
(第1工程)
図6(a)に示すように、第1型50の収容部51に、ハウジング11が第1型50の下面外方に突出した状態でボールスタッド10をセットする。但し、ハウジング11の下面は図示せぬ台や治具等の上に固定されているとする。次に、図6(b)に矢印Y11で示すように、第1型50を上から下へ向かって下げる。更に、図6(b)の丸枠F3を拡大した図6(c)に示す第1型50の45°のカシメ折曲面51dで、カシメ対象部11kの上端に圧縮荷重Y11aを加える。これによって、カシメ対象部11kの上端を符号11k1で示すように折り曲げる。この後、第1型50を外す。
(第2工程)
次に、図6(d)に示すように、カシメ対象部11k1が折り曲げられたボールスタッド10を、第2型60の収容部61にセットする。次に、図6(e)に矢印Y12で示すように、第1型50を上から下へ向かって下げる。更に、図6(e)の丸枠F4を拡大した図6(f)に示す第2型60の20°のカシメ折曲面61dで、カシメ対象部11k1の上端に、圧縮荷重Y12aを加える。これによって、カシメ対象部11k1の上端を符号11k2で示すように更に折り曲げる。この後、第2型60を外す。
(第3工程)
次に、図6(g)に示すように、カシメ対象部11k2が折り曲げられたボールスタッド10を、第3型70の収容部71にセットする。次に、図6(h)に矢印Y13で示すように、第3型70を上から下へ向かって下げ、カシメ凹部71dにカシメ対象部11k2の先端を挿入{図4(f)参照}する。
次に、図6(i)に矢印Y14で示すように第3型70のカシメ凹部71dでカシメ対象部11k2の上端に、圧縮荷重Y14を加えて変形させる。次に、図6(j)の丸枠F5に示すように、カシメ凹部71dでカシメ対象部11k2に、圧縮荷重Y14aを加え、更に変形させる。これによって、カシメ対象部11k2が断面山形状のカシメ部11kに成形される。このカシメ部11k3でボールシート12がカシメられる。
<実施形態の効果>
このような本実施形態の特徴構成及び効果について、後述の(1)〜(9)で説明する。
(1)カシメ部11k3を、ハウジング11の胴部11jよりも薄く形成された開口周縁部(カシメ対象部)11kが圧縮荷重により少なくとも一部が断面山形状の塊部とした。
この構成によれば、カシメ部11k3は、断面山形状を有する塊部となっている。このカシメ部11k3は、圧縮荷重によりハウジング11の開口周縁部が断面山形状に変形されて形成されているため、スプリングバックが殆んど無くなり、図7に示すように、カシメ部11k3とボールシート12とが設計通りに形成される。従って、カシメ部11k3でボールシート12を適正に押圧するカシメを行うことができる。
(2)開口周縁部11kのカシメ前の厚みである第1板厚Tkは、ハウジング11胴部11jの厚みである第2板厚Tjに対して、0.3〜0.6の間の比率とした。
この構成によれば、次のような作用効果を得ることができる。第1板厚Tkの第2板厚Tjに対する比率が0.3を下回ると、プレス、冷鍛、圧造等の加工性が大きく損なわれる不具合が生じる。一方、その比率が大きくなる程に変形し難くなり、0.6を超えるとハウジング11の胴部11jへの変形が生じ易くなる不具合が生じる。そこで、その比率を0.3〜0.6とすることで、それら不具合を無くすことができる。
(3)開口周縁部11kのハウジング11の胴部11jへの付根から開口端までの長さLkは、第1板厚Tkに対して、2.0〜3.5の間の比率とされている構成とした。
この構成によれば、次のような作用効果を得ることができる。開口周縁部11kの長さLkの第1板厚Tkに対する比率が、2.0を下回ると所定形状への加工が難しくなる不具合がある。一方、その比率が3.5を超えると、変形し易くなり過ぎて折畳まれた形状となってしまう不具合がある。そこで、その比率を2.0〜3.5とすることで、それら不具合を無くすことができる。
(4)カシメ部11k3としての塊部は断面山形状を成し、当該断面山形状の開口側の傾斜面11tの角度が、ボールシート12のボールスタッド10の揺動角となる傾斜面12tの角度に合わされている構成とした。
この構成によれば、カシメ部11k3の断面山形状の開口側の傾斜面11tが、ボールシート12の傾斜面12tの角度に合わされているので、ボールスタッド10の揺動角を、実質的にカシメ部11k3の傾斜面11tでも規制することができる。このため、ボールスタッド10の揺動角をより適正に規制することができる。
(5)ハウジング11の開口周縁のカシメ部11k3でボールシート12をカシメるカシメ方法であって、ハウジング11の開口周縁部を折り曲げ、この折り曲げ部分の肉厚が所定の厚み以上となるように、折り曲げの先端側から折り曲げ部分に向かい押圧して、開口周縁部の少なくとも一部を、カシメ部11k3となる塊部に変形させるようにした。
この方法によれば、ハウジング11の開口周縁の折り曲げ部分の肉厚が所定の厚み以上となる塊部(カシメ部11k3)に変形される。このため、折り曲げ部分のスプリングバックが殆んど無くなる。一方、従来のようにハウジング11の開口周縁部を単に折り曲げただけでは、折り曲げ部分の外周側が先端側に引かれる肉引きが生じ、その折り曲げ部分の厚さTkm(図8)が元の厚さTk{図4(a)}よりも薄くなるので残留応力が大きく残りスプリングバックが生じる。
しかし、本実施形態の方法では、折り曲げの先端側から折り曲げ部分に向かい押圧して、開口周縁部の少なくとも一部を塊部(カシメ部11k3)に変形させる。このため、折り曲げ部分の外周側に肉引きが生じ難くなり、その折り曲げ部分の厚さTk1{図3(b)}が、従来のように折り曲げた際の折り曲げ部分の厚さTkmよりも厚くなるので、残留応力が小さくなりスプリングバックが生じ難くなる。従って、カシメ部11k3とボールシート12とを設計通りに形成して、ボールシート12を適正にカシメ部11k3で押圧するカシメを行うことができる。
(6)ハウジング11の開口周縁部11kでボールシート12をカシメるカシメ方法を次の第1工程〜第3工程で行なうようにした。
第1工程は、ハウジング11の開口周縁部11kの先端に、周回面が所定の第1角度傾斜した折曲面51dを有する第1型50の当該折曲面51dを当接し、当該折曲面51dをボールシート12の方向へ押圧して開口周縁部11kを所定角度折り曲げる。
第2工程は、第1工程で折り曲げられた開口周縁部11kの先端に、周回面が第1角度よりも緩やかな角度傾斜した折曲面61dを有する第2型60の当該折曲面61dを当接し、当該折曲面61dをボールシート12の方向へ押圧して開口周縁部11kを第1工程よりも更に折り曲げる。
第3工程は、第2工程で折り曲げられた開口周縁部11kの先端を、一面に周回状に窪んで形成したカシメ凹部(凹部)71dを有する第3型の当該凹部71dに挿入する。更に、凹部71dをボールシート12の方向へ圧縮荷重で押圧して開口周縁部11kを変形させてカシメ部11k3となる塊部とし、この塊部のカシメ部11k3でボールシート12をカシメる。
この方法によれば、ハウジング11の開口周縁部11kが第1〜第3型での変形により塊部としてのカシメ部11k3となる。このため、従来のようなスプリングバックが無くなり、カシメ部11k3とボールシートとを設計通りに形成することができる。
(7)ハウジング11の開口周縁部11kでボールシート12をカシメるためのカシメ用型70を次のように構成した。即ち、型枠内に上下に貫通して設けられ、ボールスタッド10をハウジング11が外部へ突出する状態で収容可能な収容部71aと、型枠のハウジング11が突出する開口を有する一面に周回状に窪んで形成された凹部71dとをカシメ用型70に備える。そして、凹部71dにハウジング11の開口周縁部11kの先端を挿入し、当該凹部71dをボールシート12の方向へ所定の圧縮荷重で押圧して開口周縁部11kを変形させて塊部とする。この塊部のカシメ部11k3でボールシート12をカシメるように構成した。
この構成によれば、カシメ用型70によって、ハウジング11の開口周縁部11kの先端を変形させて塊部とし、この塊部であるカシメ部11k3でボールシート12をカシメる。このため、カシメ部11k3では従来のようなスプリングバックが無くなり、カシメ部11k3とボールシートとを設計通りに形成することができる。
(8)凹部71dの内面は断面山形状に窪み、当該断面山形状の型枠の開口側に位置する傾斜面71eが、ボールシート12におけるボールスタッド10の揺動角で傾斜した傾斜面12tに合わされた構成とした。
この構成によれば、カシメ用型70でカシメ部11k3を形成した際に、そのカシメ部11k3の断面山形状の開口側の傾斜面が、ボールスタッド10の揺動角に合わされた形状となる。このカシメ部11k3の傾斜面でも、ボールスタッド10の揺動角を規制することができるので、ボールスタッド10の揺動角をより適正に規制することができる。
(9)凹部71dは、当該凹部71dでハウジング11の開口周縁部11kを変形させて塊部とした際に、当該塊部の体積に対して40%〜100%の間となる容積を有するようにした。
これによれば、カシメ用型でカシメ部11k3を形成した際に、そのカシメ部11k3を断面山形状に形成することができる。
(10)凹部71dの内面を、ハウジング11の開口周縁部11kの先端との間に、摩擦が生じる複数の波形状及び凹凸形状に代表される摩擦抵抗面とした。
これによれば、凹部71dにハウジング11の開口周縁部11kの先端を挿入して圧縮荷重で押圧した際に、先端が凹部71d内面との摩擦で滑らないので、開口周縁部11kを適正に変形させることができる。
その他、具体的な構成について、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
本発明のカシメ部を有するボールジョイントは、産業用ロボットや人型ロボット等のロボットアームの関節部分や、ショベルカーやクレーン車等のアームが関節部分で回動する装置に適用可能である。
1 スタビリンク
1b ボールジョイント
2 スタビライザ装置(構造体)
3 サスペンション装置(構造体)
10 ボールスタッド
10b ボール部(球体部)
10s スタッド部
11 ハウジング
11a 球形状内面
11k カシメ対象部(ハウジングの開口周縁部)
11k3 カシメ部(塊部)
12 ボールシート(支持部材)
12k 球形状空間
50 第1カシメ用型(第1型)
60 第2カシメ用型(第2型)
70 第3カシメ用型(第3型)
71d カシメ凹部(凹部)

Claims (2)

  1. 連結部の他端部に球体部が一体に繋ぎ合わされて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回動可能に支持する一方が開口した空間を有する金属材料によるハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される支持部材とを有するボールジョイントにおいて、前記ハウジングの開口周縁のカシメ部で前記支持部材をカシメるカシメ方法であって、
    前記ハウジングの開口周縁部分を折り曲げ、この折り曲げの先端側から折り曲げ部分に向かい押圧して、当該折り曲げ部分が、折り曲げ加工前のカシメ対象部の断面で示す板厚以上の厚みとなった断面山形状の前記カシメ部となる塊部に変形させ
    前記カシメ対象部を押圧してカシメる金型は、一面に周回状に窪んで形成した凹部を有し、
    前記凹部は、当該凹部の底部から離れるほど互いに離間する一対の傾斜面を有し、
    径方向内側の傾斜面の下端部は、径方向外側の傾斜面の下端部よりも下方に配置されている
    ことを特徴とするカシメ方法。
  2. 連結部の他端部に球体部が一体に繋ぎ合わされて成るボールスタッドと、当該ボールスタッドの球体部を揺動及び回動可能に支持する一方が開口した空間を有する金属材料によるハウジングと、当該ハウジングと前記球体部との間に介在される支持部材とを有するボールジョイントにおいて、前記ハウジングの開口周縁のカシメ部で前記支持部材をカシメるカシメ方法であって、
    前記ハウジングの開口周縁に、周回面が所定の第1角度傾斜した折曲面を有する第1型の当該折曲面を当接し、当該折曲面を前記支持部材の方向へ押圧して当該ハウジングの開口周縁部分を所定角度折り曲げる第1工程と、
    前記第1工程で折り曲げられた開口周縁部分の先端に、周回面が前記第1角度よりも緩やかな角度傾斜した折曲面を有する第2型の当該折曲面を当接し、当該折曲面を前記支持部材の方向へ押圧して当該開口周縁部分を前記第1工程よりも更に折り曲げる第2工程と、
    前記第2工程で折り曲げられた開口周縁部分の先端を、一面に周回状に窪んで形成した凹部を有する第3型の当該凹部に挿入し、当該凹部を前記支持部材の方向へ押圧して当該第2工程で折り曲げられた開口周縁部分を変形させ、当該変形する折り曲げ部分が、折り曲げ加工前のカシメ対象部の断面で示す板厚以上の厚みとなった断面山形状の前記カシメ部となる塊部とし、この塊部で前記支持部材をカシメる第3工程と、
    を実行し、
    前記凹部は、当該凹部の底部から離れるほど互いに離間する一対の傾斜面を有し、
    径方向内側の傾斜面の下端部は、径方向外側の傾斜面の下端部よりも下方に配置されている
    ことを特徴とするカシメ方法。
JP2017159606A 2017-08-22 2017-08-22 カシメ方法 Active JP6698054B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017159606A JP6698054B2 (ja) 2017-08-22 2017-08-22 カシメ方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017159606A JP6698054B2 (ja) 2017-08-22 2017-08-22 カシメ方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016008559A Division JP6228995B2 (ja) 2016-01-20 2016-01-20 ボールジョイント、カシメ方法及びカシメ用型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017215048A JP2017215048A (ja) 2017-12-07
JP6698054B2 true JP6698054B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=60575561

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017159606A Active JP6698054B2 (ja) 2017-08-22 2017-08-22 カシメ方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6698054B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR102575092B1 (ko) * 2019-07-26 2023-09-06 현대모비스 주식회사 차량 서스펜션용 볼조인트 및 그 조립방법

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4681475A (en) * 1986-03-26 1987-07-21 Rhythm Motor Parts Mfg. Co., Ltd. Ball joint socket
JPH05329566A (ja) * 1992-05-29 1993-12-14 Musashi Seimitsu Ind Co Ltd ハウジングのかしめ方法
JP5476402B2 (ja) * 2012-02-16 2014-04-23 日本発條株式会社 スタビリンクおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017215048A (ja) 2017-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
WO2017057371A1 (ja) ボールジョイント
TWI576258B (zh) 支柱式懸吊裝置
KR102067684B1 (ko) 볼 조인트 및 이것을 사용한 스태빌라이저 링크
JP6698054B2 (ja) カシメ方法
JPS6044629A (ja) ゴム金属ブツシユ
JP2006275149A (ja) シリンダ装置及び管端部のかしめ方法
JP6228995B2 (ja) ボールジョイント、カシメ方法及びカシメ用型
JP6964662B2 (ja) 減衰軸受、減衰軸受の製造方法、及び、減衰軸受を備えたパワーステアリングシステム
US20160273575A1 (en) Drive shaft for motor vehicles and method for manufacturing a drive shaft of this type
US20100117276A1 (en) Bump stopper
JP2012031933A (ja) シリンダ装置
JP5847216B2 (ja) リンクアーム部材の製造方法
JP5112226B2 (ja) 締結機構およびそれを用いた防振装置
JP6434756B2 (ja) 弾性体シート
JP6244050B1 (ja) 十字継手および推進軸
JP7300336B2 (ja) ボールジョイントのボールシート固定方法及びボールシート固定構造
JP6707992B2 (ja) ダンパー構造及びダンパーの製造方法
WO2021152941A1 (ja) ボールジョイント
JP7347140B2 (ja) ステアリング装置用中間軸、及びステアリング装置
JP6819253B2 (ja) 中間シャフト
JP6562663B2 (ja) 防振装置
WO2017146085A1 (ja) シリンダ装置
JP6297388B2 (ja) 防振装置
JP2023056924A (ja) 防振装置の製造方法
JP2020118286A (ja) 車両用懸架装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180806

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190606

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190618

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190711

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190924

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20191122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200407

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200427

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6698054

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250