JP2012031933A - シリンダ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工時の残留応力に起因するベースシェルの曲がりが抑制されるシリンダ装置の加工方法を提供する。
【解決手段】マンドレル5が挿入されたベースシェル1の外径を拘束型4で強固に拘束し、ベースシェル1の上側に位置する部分を押し型6により局部的に潰し加工(冷間加工)してベースシェル1に凹部2を成形すると同時に、ベースシェル1の外径の下側に位置する部分に曲がり抑制型7が受けた押し型6による加工力Fの反力Rにより曲がり抑制型7の圧痕21を形成した。これにより、ベースシェル1の凹部2に発生する残留応力と、凹部2の反対側に形成された圧痕21に発生する残留応力と、を等しくすることができる。その結果、ベースシェル1の直径方向両側に発生する残留応力を均等にすることができ、ベースシェル1の曲がりを効果的に抑制することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリンダ装置に関する。
ストラット式のシリンダ装置において、車両の周囲部材と干渉するのを防止するため、外筒に凹みを設ける構成については、例えば特許文献1に示されている。
特開平5−263860号公報
外筒に凹み等の加工した際にゆがみが生じることがある。
そこで本発明は、精度を高めた外筒を用いたシリンダ装置を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、径方向一方から凹んだ凹部が設けられた円筒状の外筒の側面に、前記凹部の径方向に対向する位置に残量応力値がその周囲の残量応力値より前記凹部の残留応力値に近い残量応力調整部を設けたことを特徴とする。
精度を高めた外筒を用いたシリンダ装置を提供することができる。
本実施形態の潰し型を使用してベースシェルを潰し加工する様子を示す図で、ベースシェルの軸断面における断面図である。 図1におけるA−A断面図である。 上型あるいは下型に形成された第1の窓あるいは第2の窓を示す図である。 ベースシェルの凹部および圧痕を含む面による軸断面図である。 ベースシェルに形成された凹部を示す斜視図である。 ベースシェルに形成された曲がり抑制型の圧痕を示す斜視図である。 本実施形態が採用されるシリンダ装置の断面図である。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。ここで、まず本実施形態の課題を以下詳述する。
ストラット式サスペンションにおいて、ストラット軸と荷重入力軸とのずれ量を極力小さく設定することは、車両の乗り心地を向上させる点で有利である。ストラット軸と荷重入力軸とのずれ量を小さく設定するには、ストラット軸を起こせば(立てれば)よいが、ストラットを構成するシリンダ装置とタイヤとの干渉が問題になる。そこで、タイヤとの干渉を回避するため、外筒、ここではベースシェルと称する部材にタイヤをよける凹部を形成したシリンダ装置が知られている。しかしながら、ストラット式サスペンションにおいては、減衰力特性を向上させるため、ツインチューブ型シリンダ装置のピストンと摺動するインナチューブの内径が大きくなる傾向にある。これに伴い、ベースシェルとインナチューブとの間に形成されたリザーバ室の隙間、すなわち、ベースシェルとインナチューブとの隙間が小さくなる傾向にあり、ベースシェルに形成される凹部に対して厳しい加工精度が要求されている。凹部を形成するにあたり径方向外側から型で圧すので加工精度が出ないため、内周にマンドレルを挿入し、外径方向から大きな力でプレス加工する必要がある。しかし、ベースシェル側面に凹部を形成した際に凹部による残留応力の変化により、ベースシェルに反り(円筒の中心軸が曲がる)が発生する。そこで、本実施形態では、厳しい加工精度で外筒に凹部を形成する加工方法の一例とその外筒を用いたシリンダ装置の一例を示し説明をする。
まず、図7に本実施の形態が採用されるシリンダ装置100の全体断面図を示す。
シリンダ装置100は、外筒を形成するベースシェル1と、ベースシェル1内に同軸上に配置された内筒としてインナチューブ101と、このインナチューブ内に摺動するピストン102と、ピストン102に一端が接続され他端がベースシェル1の一端からシール104を有するロッドガイド105を貫通して突出するピストンロッド103から大略構成される。ベースシェル1の外周には、車両との間の懸架用のスプリングが設けられるスプリングシート107が嵌合されている。また、ベースシェル1の下端側には、車輪のスピンドルが取り付けられるブラケット108が取り付けられている。
ピストン102には、減衰力を発生する減衰バルブ109が設けられている。
ピストンロッド103の他端の先端部は、マウントを介して車体に取り付けられるボルト部110が形成されている。
ベースシェル1の外周には、車体に取付た際に車輪との干渉を回避する凹部2が設けられており、また、ベースシェル1の凹部2の径方向に対向する位置には、本発明の残量応力調整部としての圧痕21が形成されている。この圧痕21は、外見的に、この圧痕21の周囲の111と何ら変わりがなく、加える圧力が高い場合は、圧痕21の外周囲に段差が出来る。但し、塗装した状態では、圧痕21の存在はわからない程度のものである。
なお、上記説明では、凹部2を車輪の干渉を避けるために設けた例を示したが、ブレーキホースやセンサ、サスペンションアームやスタビライザを避けるために、同一の場所または異なる場所に凹部2を設けても良い。また、形状も回避するものに合わせた形状となる。
以下、ストラット式サスペンションのストラットを構成する油圧緩衝器(シリンダ装置)の加工方法を説明する。より詳しくは、ツインチューブ型油圧緩衝器のベースシェル1に、タイヤとの干渉を回避するための凹部2を加工する場合を説明する。
図1、2を用いてシリンダ装置100のベースシェル1に凹部2を形成するための潰し加工に使用される潰し型3を示し、説明する。この潰し型3は、拘束型4、マンドレル5、押し型6および曲がり抑制型7を有する。拘束型4は、上型8と下型9とに分割されており、これら一対の型8,9により、ベースシェル1の被拘束部1a、すなわち、ベースシェル1の軸方向中央部分の外径(外周面)が拘束される。また、上型8の合わせ面8aには、ベースシェル1の被拘束部1aの図1および図2における外径の上側に位置する部分に対応する半割内円筒形状の拘束面10が形成される。また、下型9の合わせ面9aには、ベースシェル1の被拘束部1aの図1および図2における外径の下側に位置する部分に対応する半割内円筒形状の拘束面11が形成される。
拘束型4は、上型8の拘束面10と下型9の拘束面11とでベースシェル1の被拘束部1aを挟み込んだ状態で、各締め付けボルト12を締め付けて上型8と下型9とを結合させることにより、ベースシェル1の被拘束部1aの外径(外周面)と全周に渡り接触して拘束する構造になっている。なお、各締め付けボルト12を締め付ける前の状態で、上型8の合わせ面8aと下型9の合わせ面9aとの間に適当な締め代(隙間)を設けることにより、ベースシェル1の外径を強固に拘束することができる。なお、図面は、試作等の少量生産用の型であるのでボルト12を用いているが、大量生産する場合は、上型8と下型9を油圧等で離接方向に移動可能に設け、この油圧で管を拘束してもよい。
図2に示されるように、マンドレル5は、柱状に形成されており、上側に位置する部分の軸直角方向左右両側(図2における左右両側)と下側に位置する底部5aとが、拘束型4により拘束されたベースシェル1の被拘束部1aの内径(内周面)に当接される断面形状を有する。また、マンドレル5は、軸方向(図1における左右方向)中央の上方へ向けられる部分を軸直角方向へ切欠いて形成した型取付部13に、押し型6による荷重を受圧するための下受け型14(マンドレル5の平面)が取付けられる。また、マンドレル5は、拘束型4の下型9の前後(図1における左右)に設けられたマンドレルガイド15により両端部が支持される。マンドレルガイド15は摺動部15Aを有し、下型9に対し上下方向に相対移動可能に設けられている。なお、ベースシェル1に挿入されたマンドレル5の両端面には、マンドレル5のベースシェル1および拘束型4に対する相対移動を阻止するストッパ16が取付けられる。また、ベースシェル1とマンドレル5との間には図2における左右にクリアランスが設けてある。これはベースシェル1からマンドレル5を抜く際に抜きやすくするために設けられている。
拘束型4は、一側(上側)が上型8の上面中央に開口して他側(下側)が上型8の拘束面10に開口する矩形の第1の窓17(図3参照)を有する。この第1の窓17には、ベースシェル1の側壁を介して下受け型14に対向する押し型6が、上下方向へスライド可能に挿入される。また、拘束型4は、一側(上側)が下型9の拘束面11に開口して他側(下側)が下型9の下面中央に開口する矩形の第2の窓18を有する。この第2の窓18には、内部にマンドレル5が挿入されたベースシェル1を介して押し型6に対向する曲がり抑制型7が、下型9に対して上下方向へ相対移動可能に挿入される。また、下型9は、抑制型7の基部7a上にスプリング7bにより上下方向に支えられて設けられている。
曲がり抑制型7は、上面が拘束型4の下型9の下面に所定間隔を有して対面する基部7aを有する。曲がり抑制型7の基部7aの四隅には、それぞれガイドポスト19が立設される。各ガイドポスト19は、拘束型4の下型9に設けられた対応する各ガイド穴20に相対移動可能に挿入される。これにより、拘束型4は、図1および図2に示されるベースシェル1が当該拘束型4で拘束された状態において、曲がり抑制型7に対して上下方向へ移動可能にフローティング支持される。なお、各ガイド穴20にそれぞれガイドブッシュ(スリーブ)を設けておいて、各ガイドブッシュに各ガイドポスト19を挿入して潰し型3を構成してもよい。これにより、拘束型4の各ガイドポスト19に対する摺動抵抗が低減されて拘束型4を上下方向へより円滑に移動させることができる。
そして、潰し型3は、押し型6の成形面のテーパー部6Aを除いた実質的な面積(以下、押し型6の加工有効面積という)と曲がり抑制型7の受け面の実質的な面積(以下、曲がり抑制型7の受け面積という)とが略等しく設定されている。これにより、ベースシェル1に作用する押し型6による加工力Fと曲がり抑制型7からの反力Rとが等しい大きさになる。したがって、本実施形態では、押し型6による潰し加工によりベースシェル1に形成された凹部2(図5参照)に発生する応力と、潰し加工時に曲がり抑制型7が受けた加工力の反力によりベースシェル1の凹部2の反対側(ベースシェル1の周方向へ180°の位置)に形成された曲がり抑制型7の圧痕21(図6参照)に発生する残留応力とが略等しくなる。その結果、ベースシェル1の直径方向(図4における上下方向)両側に発生する残留応力が均等に近くなり、図4に示されるようなベースシェル1の曲がりが抑制される。なお、実際の製品においては、製品をテストをしながら押し型6の実質的な面積や加工力Fを微調整し、曲がりの小さな管が成形できるようにする。
次に、本実施形態の作用を説明する。まず、内部にマンドレル5が挿入されたベースシェル1の被拘束部1aを上型8の拘束面10と下型9の拘束面11とで挟み込み、各締め付けボルト12を締め付けて上型8と下型9とを結合させる。これにより、ベースシェル1の被拘束部1aの外径(外周面)が拘束型4により強固に拘束される。なお、一対のマンドレルガイド15により支持されたマンドレル5の両端部にそれぞれストッパ16を取付けることにより、マンドレル5を拘束型4に対して位置決めすることができる。図2に示されるように、ベースシェル1が拘束型4で拘束された状態では、押し型6と曲がり抑制型7とはベースシェル1を介して上下に対向して、さらに、曲がり抑制型7がベースシェル1の被拘束部1aの外径の下側に位置する部分に当接して、拘束型4が曲がり抑制型7によりフローティング支持されている。
この状態で、ベースシェル1の被拘束部1aの外径の上側に位置する部分を、マンドレル5の平面に形成された受圧部で受けながら押し型6により20〜30 tonの加工力Fで局部的に潰し加工して、ベースシェル1に、図5に示されるような矩形平面の圧痕が形成された凹部2を成形する。これと同時に、ベースシェル1の凹部2の反対側、すなわち、曲がり抑制型7が当接していた部分には、曲がり抑制型7が受けた押し型6による加工力Fの反力Rにより、図6に示されるような曲がり抑制型7の圧痕21が形成される。そして、本実施形態では、ベースシェル1の外径(外周面)を拘束型4により強固に拘束すると共に押し型6の加工有効面積と曲がり抑制型7の受け面積とを等しく形成し、さらに、潰し加工を冷間加工としたことにより、押し型6による加工力Fに等しい大きさの反力R(R=20〜30 ton)を、曲がり抑制型7からベースシェル1へ作用させることができる。
これにより、ベースシェル1の凹部2(図5参照)に発生する残留応力と、凹部2の反対側に形成された圧痕21に発生する残留応力(図6参照)と、を等しくする方向に変更することができる。上記実施の形態では冷間で加工するので、加工中に熱による応力変化の影響を受けることが殆どない。
ここで、実際に応力測定した結果に付き、説明する。ベースシェル1として機械構造用炭素鋼鋼管(STKM13A)からなる外径60mm、厚さ3mm、長さ370mmの電縫管を上述の加工方法で加工後、軸方向の応力についてX線回折法により測定した。その結果、圧痕21の周囲の111の応力は、96Mpaで、凹部2の応力は、−83MPa〜29Mpaの応力を示した。これに対し、圧痕21では、−16〜32Mpaの応力を示した。この結果、凹部2及び圧痕21の応力は、加工していない分部と比較し、圧縮側の応力に変化していることがわかる。この結果、反りが0.05mmと極めて少ない結果となった。
このように、本発明によれば、ベースシェル1の直径方向(図4における上下方向)両側に発生する残留応力を均等に近づけることができ、図4に示されるようなベースシェル1の曲がりを効果的に抑制することができる。
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、マンドレル5が挿入されたベースシェル1の外径(外周面)を拘束型4で強固に拘束し、この状態で、ベースシェル1の上側に位置する部分を押し型6により局部的に潰し加工(冷間加工)してベースシェル1に凹部2を成形すると同時に、ベースシェル1の外径の下側に位置する部分、すなわち、凹部2の反対側に、曲がり抑制型7が受けた押し型6による加工力の反力により当該曲がり抑制型7の圧痕21を形成した。
したがって、ベースシェル1の外径を拘束型4で強固に拘束したことで、押し型6による加工力Fがベースシェル1の弾性変形等に消費されてしまうことがないことに加えて、押し型6の加工有効面積と曲がり抑制型7の受け面積とを等しく形成したことにより、ベースシェル1に作用する押し型6による加工力Fと曲がり抑制型7からの反力Rとを等しい大きさにすることができる。
これにより、ベースシェル1の凹部2に発生する残留応力と、凹部2の反対側に形成された圧痕21に発生する残留応力と、を略等しくすることができる(現実的には、等しくはならない)。その結果、ベースシェル1の直径方向両側に発生する残留応力を均等に近づけることができ、ベースシェル1の曲がりを効果的に抑制することができる。
なお、本実施の形態ではベースシェルに凹みを設ける際の加工方法を例にあげて説明したが、これに限らず、例えばスプリングシート固定部やブラケット取付けの際に必要なベースシェルに設ける凸部を設ける際の加工方法として適用してもよい。その際には、マンドレル5の型下受け型9に凸部を形成し、押し型6に凹みを設けるようにする。そのようにしても、本実施の形態で述べた効果を奏することができる。
1 外筒(ベースシェル)、4 拘束型、5 マンドレル、6 押し型、7 曲がり抑制型、14 下受け型(マンドレルの平面)、17 第1の窓、18 第2の窓

Claims (5)

  1. 円筒状の外筒を有するシリンダ装置であって、前記外筒の側面には、径方向一方から凹んだ凹部が設けられ、前記凹部の径方向に対向する位置に残量応力値がその周囲の残量応力値より前記凹部の残留応力値に近い残量応力調整部を設けたことを特徴とするシリンダ装置。
  2. 前記外筒の残留応力調整部は、少なくともその内周面がその周囲の円筒部に対し変形していないことを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置。
  3. 前記外筒の残留応力調整部は、その外周面がその周囲の円筒部に対し変形していないことを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダ装置。
  4. 前記外筒の前記凹部が形成される部分の形状と、前記外筒の前記残量応力調整部が形成される部分の形状が略同形上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシリンダ装置。
  5. 前記残量応力調整部の軸方向の残留応力値は、その周囲の軸方向の残量応力値より圧縮側の値であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載シリンダ装置。
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