JP2010234434A - シリンダ装置の加工方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】加工時の残留応力に起因するベースシェルの曲がりが抑制されるシリンダ装置の加工方法を提供する。
【解決手段】マンドレル5が挿入されたベースシェル1の外径を拘束型4で強固に拘束し、ベースシェル1の上側に位置する部分を押し型6により局部的に潰し加工(冷間加工)してベースシェル1に凹部2を成形すると同時に、ベースシェル1の外径の下側に位置する部分に曲がり矯正型7が受けた押し型6による加工力Fの反力Rにより曲がり矯正型7の圧痕21を形成した。これにより、ベースシェル1の凹部2に発生する残留応力と、凹部2の反対側に形成された圧痕21に発生する残留応力と、を等しくすることができる。その結果、ベースシェル1の直径方向両側に発生する残留応力を均等にすることができ、ベースシェル1の曲がりを効果的に抑制することができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、シリンダ装置の加工方法に関する。
ストラット式のシリンダ装置において、車両の周囲部材と干渉するのを防止するため、外筒に凹みを設ける構成については、例えば特許文献1に示されている。
特開平5−263860号公報
外筒に設ける凹みの加工精度を高めることが望まれている。
そこで本発明は、外筒に設ける凹みの加工精度を高めるシリンダ装置の加工方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のシリンダ装置の加工方法は、一部に平面を有する柱状のマンドレルを外筒の内側に挿入し、分割された拘束型で前記外筒の外径を拘束し、前記分割された拘束型の前記マンドレルの平面に対向する位置に設けられた第1の窓に押し型を挿入し、前記分割された拘束型の前記第1の窓に対向する位置に設けられた第2の窓に曲がり矯正型を挿入し、前記曲がり矯正型で前記外筒を支持しながら、前記押し型で前記外筒を潰し加工することを特徴とする。
外筒に設ける凹みの加工精度を高めることができるシリンダ装置の加工方法を提供することができる。
本実施形態の潰し型を使用してベースシェルを潰し加工する様子を示す図で、ベースシェルの軸断面における断面図である。 図1におけるA−A断面図である。 上型あるいは下型に形成された第1の窓あるいは第2の窓を示す図である。 ベースシェルの凹部および圧痕を含む面による軸断面図である。 ベースシェルに形成された凹部を示す斜視図である。 ベースシェルに形成された曲がり矯正型の圧痕を示す斜視図である。 本実施形態が採用されるシリンダ装置の断面図である。
本発明の一実施形態を添付した図を参照して説明する。ここで、まず本実施形態の課題を以下詳述する。
ストラット式サスペンションにおいて、ストラット軸と荷重入力軸とのずれ量を極力小さく設定することは、車両の乗り心地を向上させる点で有利である。ストラット軸と荷重入力軸とのずれ量を小さく設定するには、ストラット軸を起こせば(立てれば)よいが、ストラットを構成するシリンダ装置とタイヤとの干渉が問題になる。そこで、タイヤとの干渉を回避するため、外筒、ここではベースシェルと称する部材に凹部を形成したシリンダ装置が知られている。しかしながら、ストラット式サスペンションにおいては、減衰力特性を向上させるため、ツインチューブ型シリンダ装置のインナチューブの内径が大きくなる傾向にある。これに伴い、リザーバ室の隙間、すなわち、ベースシェルとインナチューブとの隙間が小さくなる傾向にあり、ベースシェルに形成される凹部に対して厳しい加工精度が要求されている。そこで、本実施形態では、厳しい加工精度で外筒に凹部を形成する加工方法の一例を説明する。
以下、ストラット式サスペンションのストラットを構成する油圧緩衝器(シリンダ装置)の加工方法を説明する。より詳しくは、ツインチューブ型油圧緩衝器のベースシェル1に、タイヤとの干渉を回避するための凹部2を加工する場合を説明する。
まず、図7に本実施の形態が採用されるシリンダ装置100の全体断面図を示す。以下、図1、2を用いてシリンダ装置100のベースシェル1の潰し加工に使用される潰し型3を示し、説明する。この潰し型3は、拘束型4、マンドレル5、押し型6および曲がり矯正型7を有する。拘束型4は、上型8と下型9とに分割されており、これら一対の型8,9により、ベースシェル1の被拘束部1a、すなわち、ベースシェル1の軸方向中央部分の外径(外周面)が拘束される。また、上型8の合わせ面8aには、ベースシェル1の被拘束部1aの図1および図2における外径の上側に位置する部分に対応する半割内円筒形状の拘束面10が形成される。また、下型9の合わせ面9aには、ベースシェル1の被拘束部1aの図1および図2における外径の下側に位置する部分に対応する半割内円筒形状の拘束面11が形成される。
拘束型4は、上型8の拘束面10と下型9の拘束面11とでベースシェル1の被拘束部1aを挟み込んだ状態で、各締め付けボルト12を締め付けて上型8と下型9とを結合させることにより、ベースシェル1の被拘束部1aの外径(外周面)を拘束する構造になっている。なお、各締め付けボルト12を締め付ける前の状態で、上型8の合わせ面8aと下型9の合わせ面9aとの間に適当な締め代(隙間)を設けることにより、ベースシェル1の外径を強固に拘束することができる。
図2に示されるように、マンドレル5は、柱状に形成されており、上側に位置する部分の軸直角方向左右両側(図2における左右両側)と下側に位置する底部5aとが、拘束型4により拘束されたベースシェル1の被拘束部1aの内径(内周面)に当接される断面形状を有する。また、マンドレル5は、軸方向(図1における左右方向)中央の上方へ向けられる部分を軸直角方向へ切欠いて形成した型取付部13に、押し型6による荷重を受圧するための下受け型14(マンドレル5の平面)が取付けられる。また、マンドレル5は、拘束型4の下型9の前後(図1における左右)に設けられたマンドレルガイド15により両端部が支持される。なお、ベースシェル1に挿入されたマンドレル5の両端面には、マンドレル5のベースシェル1および拘束型4に対する相対移動を阻止するストッパ16が取付けられる。また、ベースシェル1とマンドレル5との間には図2における左右にクリアランスが設けてある。これはベースシェル1からマンドレル5を抜く際に抜きやすくするために設けられている。
拘束型4は、一側(上側)が上型8の上面中央に開口して他側(下側)が上型8の拘束面10に開口する矩形の第1の窓17(図3参照)を有する。この第1の窓17には、ベースシェル1の側壁を介して下受け型14に対向する押し型6が、上下方向へスライド可能に挿入される。また、拘束型4は、一側(上側)が下型9の拘束面11に開口して他側(下側)が下型9の下面中央に開口する矩形の第2の窓18を有する。この第2の窓18には、内部にマンドレル5が挿入されたベースシェル1を介して押し型6に対向する曲がり矯正型7が、下型9に対して上下方向へ相対移動可能に挿入される。
曲がり矯正型7は、上面が拘束型4の下型9の下面に所定間隔を有して対面する基部7aを有する。曲がり矯正型7の基部7aの四隅には、それぞれガイドポスト19が立設される。各ガイドポスト19は、拘束型4の下型9に設けられた対応する各ガイド穴20に相対移動可能に挿入される。これにより、拘束型4は、図1および図2に示されるベースシェル1が当該拘束型4で拘束された状態において、曲がり矯正型7に対して上下方向へ移動可能にフローティング支持される。なお、各ガイド穴20にそれぞれガイドブッシュ(スリーブ)を設けておいて、各ガイドブッシュに各ガイドポスト19を挿入して潰し型3を構成してもよい。これにより、拘束型4の各ガイドポスト19に対する摺動抵抗が低減されて拘束型4を上下方向へより円滑に移動させることができる。
そして、潰し型3は、押し型6の成形面の実質的な面積(以下、押し型6の加工有効面積という)と曲がり矯正型7の受け面の実質的な面積(以下、曲がり矯正型7の受け面積という)とが等しく設定されている。これにより、ベースシェル1に作用する押し型6による加工力Fと曲がり矯正型7からの反力Rとが等しい大きさになる。したがって、本実施形態では、押し型6による潰し加工によりベースシェル1に形成された凹部2(図5参照)に発生する応力と、潰し加工時に曲がり矯正型7が受けた加工力の反力によりベースシェル1の凹部2の反対側(ベースシェル1の周方向へ180°の位置)に形成された曲がり矯正型7の圧痕21(図6参照)に発生する残留応力と、が等しくなる。その結果、ベースシェル1の直径方向(図4における上下方向)両側に発生する残留応力が均等になり、図4に示されるようなベースシェル1の曲がりが抑制される。
次に、本実施形態の作用を説明する。まず、内部にマンドレル5が挿入されたベースシェル1の被拘束部1aを上型8の拘束面10と下型9の拘束面11とで挟み込み、各締め付けボルト12を締め付けて上型8と下型9とを結合させる。これにより、ベースシェル1の被拘束部1aの外径(外周面)が拘束型4により強固に拘束される。なお、一対のマンドレルガイド15により支持されたマンドレル5の両端部にそれぞれストッパ16を取付けることにより、マンドレル5を拘束型4に対して位置決めすることができる。図2に示されるように、ベースシェル1が拘束型4で拘束された状態では、押し型6と曲がり矯正型7とはベースシェル1を介して上下に対向して、さらに、曲がり矯正型7がベースシェル1の被拘束部1aの外径の下側に位置する部分に当接して、拘束型4が曲がり矯正型7によりフローティング支持されている。
この状態で、ベースシェル1の被拘束部1aの外径の上側に位置する部分を、マンドレル5の平面に形成された受圧部で受けながら押し型6により20〜30 tonの加工力Fで局部的に潰し加工して、ベースシェル1に、図5に示されるような矩形平面の圧痕が形成された凹部2を成形する。これと同時に、ベースシェル1の凹部2の反対側、すなわち、曲がり矯正型7が当接していた部分には、曲がり矯正型7が受けた押し型6による加工力Fの反力Rにより、図6に示されるような曲がり矯正型7の圧痕21が形成される。そして、本実施形態では、ベースシェル1の外径(外周面)を拘束型4により強固に拘束すると共に押し型6の加工有効面積と曲がり矯正型7の受け面積とを等しく形成し、さらに、潰し加工を冷間加工としたことにより、押し型6による加工力Fに等しい大きさの反力R(R=20〜30 ton)を、曲がり矯正型7からベースシェル1へ作用させることができる。
これにより、ベースシェル1の凹部2(図5参照)に発生する残留応力と、凹部2の反対側に形成された圧痕21に発生する残留応力(図6参照)と、を等しくすることができる。その結果、ベースシェル1の直径方向(図4における上下方向)両側に発生する残留応力を均等にする(釣り合わせる)ことができ、図4に示されるようなベースシェル1の曲がりを効果的に抑制することができる。
この実施形態では以下の効果を奏する。
本実施形態によれば、マンドレル5が挿入されたベースシェル1の外径(外周面)を拘束型4で強固に拘束し、この状態で、ベースシェル1の上側に位置する部分を押し型6により局部的に潰し加工(冷間加工)してベースシェル1に凹部2を成形すると同時に、ベースシェル1の外径の下側に位置する部分、すなわち、凹部2の反対側に、曲がり矯正型7が受けた押し型6による加工力の反力により当該曲がり矯正型7の圧痕21を形成した。
したがって、ベースシェル1の外径を拘束型4で強固に拘束したことで、押し型6による加工力Fがベースシェル1の弾性変形等に消費されてしまうことがないことに加えて、押し型6の加工有効面積と曲がり矯正型7の受け面積とを等しく形成したことにより、ベースシェル1に作用する押し型6による加工力Fと曲がり矯正型7からの反力Rとを等しい大きさにすることができる。
これにより、ベースシェル1の凹部2に発生する残留応力と、凹部2の反対側に形成された圧痕21に発生する残留応力と、を等しくすることができる。その結果、ベースシェル1の直径方向両側に発生する残留応力を均等にする(釣り合わせる)ことができ、ベースシェル1の曲がりを効果的に抑制することができる。
なお、本実施の形態ではベースシェルに凹みを設ける際の加工方法を例にあげて説明したが、これに限らず、例えばスプリングシート固定部やブラケット取付けの際に必要なベースシェルに設ける凸部を設ける際の加工方法として適用してもよい。その際には、マンドレル5の型下受け型9に凸部を形成し、押し型6に凹みを設けるようにする。そのようにしても、本実施の形態で述べた効果を奏することができる。
1 外筒(ベースシェル)、4 拘束型、5 マンドレル、6 押し型、7 曲がり矯正型、14 下受け型(マンドレルの平面)、17 第1の窓、18 第2の窓

Claims (4)

  1. 外筒を加工する方法であって、一部に平面を有する柱状のマンドレルを外筒の内側に挿入し、分割された拘束型で前記外筒の外径を拘束し、前記分割された拘束型の前記マンドレルの平面に対向する位置に設けられた第1の窓に押し型を挿入し、前記分割された拘束型の前記第1の窓に対向する位置に設けられた第2の窓に曲がり矯正型を挿入し、前記曲がり矯正型で前記外筒を支持しながら、前記押し型で前記外筒を潰し加工することを特徴とするシリンダ装置の加工方法。
  2. 前記押し型の加工有効面積と前記曲がり矯正型の受け面積とが等しいことを特徴とする請求項1に記載のシリンダ装置の加工方法。
  3. 前記マンドレルの平面が下受け型であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリンダ装置の加工方法。
  4. 前記拘束型は上型と下型とに分割されており、前記下型の前記拘束型と前記曲がり矯正型とは、相互間に縦に配置されたガイドポストにより位置が規制されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のシリンダ装置の加工方法。
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