特許文献1に示すように、収納容器の側面、上面および下面の測定を行う場合に測定時間を短縮化する要望がある。
また、特許文献1に示すように、収納容器の側面の測定を行う場合に測定誤差を低減する要望がある。
また、特許文献2から7に示すように、収納容器の表面から試料を採取し放射線量を測定する時間を短縮化する要望がある。
また、特許文献1や特許文献2から7に示すような検査装置を一連に配置した検査設備においても、設備全体での検査時間を短縮化する要望がある。
本発明は上述した課題の少なくとも1つを解決することのできる放射能と放射線量の測定方法、放射能と放射線量の測定装置および検査設備を提供することを目的とする。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させながら前記測定対象の側面における放射線を測定する側面測定工程と、前記側面測定工程中に、回転移動および前記軸心に沿って移動される前記測定対象の上面と下面における放射線を測定する上下面測定工程と、を含む。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、測定対象を回転移動および軸心に沿う移動をしながら停止せずに側面、上面および下面の放射線を測定しているため、上面および下面に対する測定時間を短くすることができる。
本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法では、回転移動および前記軸心に沿って移動される前記測定対象の上面および下面における放射線量を積算して前記軸心に沿って移動しきるまで累積した測定値から、予め設定した換算係数を用いて放射線量に換算することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、停止せずに上面および下面の測定を行う場合に測定誤差を低減することができる。
本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法では、前記測定対象の側面を周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、前記上下面測定工程において周方向および上下方向に隣接する複数の前記分割点を含む計測域の放射線を計測すると共に、周方向および上下方向に隣接する前記計測域の前記分割点を重複して計測し、各前記計測域における各分割点の平均を算出することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法では、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させながら前記測定対象の側面と上面と下面とに濾紙を押し付けて試料を採取することで前記試料における放射線を測定する試料測定工程をさらに備え、前記試料測定工程は、前記測定対象の前記側面の上下寸法に対応する長手状の濾紙と、前記測定対象の前記上面の径寸法に対応する長手状の濾紙と、前記測定対象の前記下面の径寸法に対応する長手状の濾紙とを用い、前記測定対象の1回転において各前記濾紙にて試料を採取した後に固定の検出器に対して各前記濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、円柱形状の測定対象の側面の上下寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の上面の径寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の下面の径寸法に対応する長手状の濾紙とを用い、収納容器の1回転において各濾紙にて測定対象の表面の試料を採取することができる。その後に、固定の汚染検出器に対して各濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定することができる。この結果、測定時間を短縮化することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させながら前記測定対象の側面における放射線を測定する放射能と放射線量の測定方法において、前記測定対象の側面を周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、周方向および上下方向に隣接する複数の前記分割点を含む計測域の放射線を計測すると共に、周方向および上下方向に隣接する前記計測域の前記分割点を重複して計測し、各前記計測域における各分割点の平均を算出する。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させながら前記測定対象の側面における放射線を測定する放射能と放射線量の測定方法において、前記測定対象の側面を周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、周方向または上下方向に隣接する複数の前記分割点を含む計測域の放射線を計測すると共に、周方向または上下方向に隣接する前記計測域の前記分割点を重複して計測し、各前記計測域における各分割点の平均を算出する。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定方法は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させながら前記測定対象の側面と上面と下面とに濾紙を押し付けて試料を採取することで前記試料における放射線を測定する放射能と放射線量の測定方法において、前記測定対象の前記側面の上下寸法に対応する長手状の側面用濾紙と、前記測定対象の前記上面の径寸法に対応する長手状の上面用濾紙と、前記測定対象の前記下面の径寸法に対応する長手状の下面用濾紙とを用い、前記測定対象の1回転において各前記濾紙にて試料を採取した後に固定の検出器に対して各前記濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定する。
この放射能と放射線量の測定方法によれば、円柱形状の測定対象の側面の上下寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の上面の径寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の下面の径寸法に対応する長手状の濾紙とを用い、収納容器の1回転において各濾紙にて測定対象の表面の試料を採取することができる。その後に、固定の汚染検出器に対して各濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定することができる。この結果、測定時間を短縮化することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させる移動機構と、前記測定対象の側面に対向して配置される側面用放射線検出器と、前記測定対象の上面に対向して配置される上面用放射線検出器と、前記測定対象の下面に対向して配置される下面用放射線検出器と、前記移動機構における移動を制御すると共に、各前記放射線検出器が検出した放射線の計数値を取得する制御部と、を備え、前記制御部は、前記移動機構を制御して前記測定対象を回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させながら前記側面用放射線検出器が検出した放射線の計数値を取得し、当該測定対象の回転移動および前記軸心に沿う移動に伴い前記上面用放射線検出器および前記下面用放射線検出器が検出した放射線の計数値を取得する。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、測定対象を回転移動および軸心に沿う移動をしながら停止せずに側面、上面および下面の放射線を測定しているため、上面および下面に対する測定時間を短くすることができる。
本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置では、前記制御部は、回転移動および前記軸心に沿って移動される前記測定対象の上面および下面における放射線量を積算して前記軸心に沿って移動しきるまで累積した測定値から、予め設定された換算係数を用いて放射線量に換算することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、停止せずに上面および下面の測定を行う場合に測定誤差を低減することができる。
本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置では、前記制御部は、前記測定対象の側面を周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、前記側面用放射線検出器から周方向および上下方向に隣接する複数の前記分割点を含む計測域の放射線の計数値を取得すると共に、周方向および上下方向に隣接する前記計測域の前記分割点を重複して取得し、各前記計測域における各分割点の平均を算出することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させる回転移動機構と、前記測定対象の前記側面の上下寸法に対応する長手状の側面用濾紙を長手方向に移送可能に支持する側面用濾紙支持機構と、前記測定対象の前記上面の径寸法に対応する長手状の上面用濾紙を長手方向に移送可能に支持する上面用濾紙支持機構と、前記測定対象の前記下面の径寸法に対応する長手状の下面用濾紙を長手方向に移送可能に支持する下面用濾紙支持機構と、前記側面用濾紙支持機構における側面用濾紙に対面して配置される側面用汚染検出器と、前記上面用濾紙支持機構における上面用濾紙に対面して配置される上面用汚染検出器と、前記下面用濾紙支持機構における下面用濾紙に対面して配置される下面用汚染検出器と、をさらに備え、前記制御部は、前記回転移動機構による前記測定対象の1回転により各前記濾紙にて採取された試料から、固定された各前記汚染検出器に対して各前記濾紙支持機構により各前記濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、円柱形状の測定対象の側面の上下寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の上面の径寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の下面の径寸法に対応する長手状の濾紙とを用い、収納容器の1回転において各濾紙にて測定対象の表面の試料を採取することができる。その後に、固定の汚染検出器に対して各濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定することができる。この結果、測定時間を短縮化することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させる移動機構と、前記測定対象の側面に対向して配置される側面用放射線検出器と、前記移動機構における移動を制御すると共に、前記側面用放射線検出器が検出した放射線の計数値を取得する制御部と、を備え、前記制御部は、前記測定対象の側面を周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、前記側面用放射線検出器から周方向および上下方向に隣接する複数の前記分割点を含む計測域の放射線の計数値を取得すると共に、周方向および上下方向に隣接する前記計測域の前記分割点を重複して取得し、各前記計測域における各分割点の平均を算出する。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させると共に前記軸心に沿って移動させる移動機構と、前記測定対象の側面に対向して配置される側面用放射線検出器と、前記移動機構における移動を制御すると共に、前記側面用放射線検出器が検出した放射線の計数値を取得する制御部と、を備え、前記制御部は、前記測定対象の側面を周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、前記側面用放射線検出器から周方向または上下方向に隣接する複数の前記分割点を含む計測域の放射線の計数値を取得すると共に、周方向または上下方向に隣接する前記計測域の前記分割点を重複して取得し、各前記計測域における各分割点の平均を算出する。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置は、円柱形状の測定対象を立てた状態で鉛直な軸心の廻りに回転移動させる回転移動機構と、前記測定対象の側面の上下寸法を含む長手状の側面用濾紙を長手方向に移送可能に支持する側面用濾紙支持機構と、前記測定対象の上面の径寸法を含む長手状の上面用濾紙を長手方向に移送可能に支持する上面用濾紙支持機構と、前記測定対象の下面の径寸法を含む長手状の下面用濾紙を長手方向に移送可能に支持する下面用濾紙支持機構と、前記側面用濾紙支持機構における側面用濾紙に対面して配置される側面用汚染検出器と、前記上面用濾紙支持機構における上面用濾紙に対面して配置される上面用汚染検出器と、前記下面用濾紙支持機構における下面用濾紙に対面して配置される下面用汚染検出器と、をさらに備え、制御部は、前記回転移動機構による前記測定対象の1回転により各前記濾紙にて採取された試料から、固定された各前記汚染検出器に対して各前記濾紙支持機構により各前記濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定する。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、円柱形状の測定対象の側面の上下寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の上面の径寸法に対応する長手状の濾紙と、測定対象の下面の径寸法に対応する長手状の濾紙とを用い、収納容器の1回転において各濾紙にて測定対象の表面の試料を採取することができる。その後に、固定の汚染検出器に対して各濾紙を長手方向に移動させて放射線を測定することができる。この結果、測定時間を短縮化することができる。
本発明の一態様に係る放射能と放射線量の測定装置では、各前記濾紙支持機構は、前記測定対象の回転移動に際して濾紙の位置ズレを防ぐズレ防止部を有することが好ましい。
この放射能と放射線量の測定装置によれば、濾紙の位置ズレを防止することで、測定対象の表面の試料を確実に濾紙に付着させることができ、測定不能や、測定漏れを防ぐことができる。
上述の目的を達成するために、本発明の一態様に係る検査設備は、上述した放射能と放射線量の測定装置のうち測定対象を軸心の廻りに回転移動させつつ濾紙を測定対象の表面に押し付ける放射能測定ユニットと、上述した放射能と放射線量の測定装置のうち測定対象を軸心の廻りに回転移動させると共に軸心に沿って移動させて測定を行う放射線量測定ユニットと、前記放射能測定ユニットおよび前記放射線量測定ユニットに測定対象を移送するユニット間移送機構と、を備える。
この検査設備によれば、放射能測定ユニットおよび放射線量測定ユニットによる測定を連続して行うことができる。
本発明によれば、円柱形状の測定対象の側面、上面および下面の測定時間を短縮化することができる。本発明によれば、円柱形状の測定対象の側面における測定誤差を低減することができる。本発明によれば、円柱形状の測定対象の表面から試料を採取し放射線を測定する時間を短縮化することができる。
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
図1は、本実施形態に係る検査設備の構成図である。
本実施形態の検査設備100は、例えば、原子力発電所において発生する放射性廃棄物が収納された収納容器200を移送しながら検査などを行うものである。収納容器200は、本実施形態における測定対象であって、収納された放射性廃棄物を保管するにあたって規格化されたもので、密閉可能な、例えば、200リットルの容量の円柱形状のドラム缶が用いられる。また、収納容器200に収納される放射性廃棄物は、濃縮廃液や使用済樹脂を固化した均一固化体と、金属やプラスチックなどの放射性廃棄物を収納容器200内で充填材(モルタルなど)により固化した充填固化体とがある。
検査設備100は、複数のユニット101,102,103,104,105,106,107と、ユニット間移送機構110とを有している。
ユニット101,102,103,104,105,106,107は、一列に並んで配置されている。ユニット101は、載置台であって、検査前の収納容器200を円形状の各面を上下面とし筒状の面を側面として立てた状態で載置するものである。
ユニット102は、放射能と放射線量の測定装置のうちの放射能の測定装置であり、放射能測定ユニットともいう。放射能測定ユニット102は、収納容器200の表面汚染(Bq/cm2)を測定すると共に外観検査を行う。表面汚染の測定は、収納容器200を立てた状態で、回転移動および昇降移動させながら、収納容器200の上面、下面、側面に濾紙を押し付けて汚れを拭き取った後、濾紙に付着した汚れを放射能検出器で測定することで、収納容器200の表面の放射能による汚染を判定する。外観検査は、表面汚染の測定と同時に行われ、収納容器200を立てた状態で、回転移動および昇降移動させながらカメラを用いて収納容器200の上面、下面、側面を撮像し、この映像を基づいて収納容器200の外観を検査する。放射能測定ユニット102の構成については後述する。
ユニット103は、放射能と放射線量の測定装置のうちの放射線量の測定装置であり、放射線量測定ユニットともいう。放射線量測定ユニット103は、収納容器200における線量当量率(mSv/h)を測定すると共に放射能濃度を測定する。線量当量率の測定は、収納容器200を立てた状態で、回転移動および昇降移動させながら、収納容器200の上面、下面、側面の線量当量率を放射能(γ線)で測定する。放射能濃度の測定は、線量当量率を測定する放射能(γ線)に基づいて濃度を算出する。また、放射線量測定ユニット103は、収納容器200の重量測定も行う。放射線量測定ユニット103の構成については後述する。
ユニット104は、放射能測定ユニット102および放射線量測定ユニット103における測定結果に応じたラベルを収納容器200に貼り付ける。例えば、本実施形態の検査設備100が、放射性廃棄物が収納された収納容器200を原子力発電所から外部の処分場に搬送する場合において、表面汚染や線量当量率や放射能濃度を区分けして管理できる番号や色のラベルを収納容器200に貼り付ける。
ユニット105は、輸送コンテナ配置部である。輸送コンテナは、ユニット102,103,104を経た収納容器200を複数(例えば、8個)まとめて載置し、本検査設備100からフォークリフトなどで運搬し、船舶輸送するためのものである。
ユニット106,107は、それぞれ載置台であって、ユニット105の輸送コンテナに入れるための検査後の収納容器200を、上記区分けに従ってそれぞれ分けて載置するものである。
ユニット間移送機構110は、各ユニット101,102,103,104,105,106,107に収納容器200を移送するものである。ユニット間移送機構110は、一列に並んで配置された各ユニット101,102,103,104,105,106,107の列に沿うレール110Aと、当該レール101Aに沿って移動可能な移動台110Bと、移動台110Bに設けられて、収納容器200を掴むハンド110Caを各ユニット101,102,103,104,105,106,107に対して近づけたり遠ざけたりするハンドリング装置110Cと、を有する。
以下、本実施形態の放射線量の測定装置である放射線量測定ユニット103について説明する。図2は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の概略構成図である。図3は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の測定の説明図である。図4は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の測定の説明図である。図5は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の上下面の測定の説明図である。図6は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の上下面の測定結果の説明図である。図7は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の上下面の測定結果の説明図である。図8は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の側面の測定の説明図である。図9は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の側面の測定の説明図である。図10は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の側面の測定の説明図である。図11は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の側面の測定の説明図である。図12は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の側面の測定の説明図である。図13は、本実施形態に係る放射線量の測定装置の側面の測定結果の説明図である。図14は、図13における相対誤差の説明図である。
放射線量の測定装置である放射線量測定ユニット103は、主に、収納容器200から出る放射線を測定して放射線量に換算するものである。本実施形態でいう放射線量は、人間が単位時間当たりに受ける放射線によって現れる影響の度合いを示す線量当量率に相当する。
放射線量測定ユニット103は、図2に示すように、回転機構2と、昇降機構3と、放射線検出器4と、データ収集部5と、記憶部6と、データ処理部7と、駆動部8と、を有する。
回転機構2は、収納容器200を立てた状態で載置し、当該収納容器200を円筒形状の中心である軸心Sの廻りに回転移動させる。
昇降機構3は、回転機構2を収納容器200と共に軸心Sに沿って昇降(スライド)移動させる。
従って、放射線量測定ユニット103は、回転機構2と昇降機構3とを共に用いることで収納容器200を回転移動させながら昇降移動させることができる。
放射線検出器4は、放射線を検出するものである。本実施形態では、例えば、測定対象をγ線とし、Si半導体検出器やCsIシンチレーション検出器などが適用される。また、本実施形態において、放射線検出器4は、3箇所に配置されている。1箇所目の放射線検出器4は、収納容器200の側面200aから放射される放射線を検出するように、収納容器200の回転の軸心Sに対して直交する方向に向けて配置された側面用放射線検出器4Aである。2箇所目の放射線検出器4は、収納容器200の下面200bから放射される放射線を検出するように、収納容器200の回転の軸心S上で上方に向けて配置された下面用放射線検出器4Bである。3箇所目の放射線検出器4は、収納容器200の上面200cから放射される放射線を検出するように、収納容器200の回転の軸心S上で下方に向けて配置された上面用放射線検出器4Cである。これらの放射線検出器4(4A,4B,4C)は、上記配置にて固定されている。
データ収集部5は、各放射線検出器4(4A,4B,4C)により収納容器200の表面(側面200a、下面200bおよび上面200c)を検出した信号を計数値として収集する。
記憶部6は、データ収集部5で収集した計数値を記憶する。また、記憶部6は、記憶した計数値を用いて収納容器200の側面200a、下面200b、上面200cにおける線量当量率に換算するための処理方法が記憶されている。
データ処理部7は、記憶部6に記憶された計数値を、記憶部6に記憶された測定方法に基づいて線量当量率に換算する。
駆動部8は、回転機構2および昇降機構3を駆動させる。
データ収集部5、記憶部6、データ処理部7、駆動部8は、制御部9に含まれる。制御部9は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含み、記憶部6に記憶された測定方法に基づいて、データ処理部7により計数値を線量当量率に換算したり、駆動部8による回転機構2および昇降機構3の駆動を制御したりする。
この放射線量測定ユニット103は、側面用放射線検出器4Aを用いた収納容器200の側面200aの測定と、下面用放射線検出器4Bを用いた収納容器200の下面200bの測定と、上面用放射線検出器4Cを用いた収納容器200の上面200cの測定と、を回転機構2および昇降機構3による収納容器200の回転移動および昇降移動において一連に行う。
すなわち、放射線量測定ユニット103は、昇降機構3により図3に示すように収納容器200を最下位置から図4に示すように最上位置に上昇移動させることで、収納容器200の下面200bの測定と、収納容器200の上面200cの測定とを行い、かつ当該上昇移動中において、回転機構2により図3および図4に示すように収納容器200を回転移動させることで、同時に収納容器200の側面200aの測定を行う。
そして、収納容器200の下面200bおよび上面200cの測定において、制御部9は、データ処理部7において収納容器200を回転移動および軸心Sに沿って移動(上昇移動または下降移動)される収納容器200の下面200bおよび上面200cにおける放射線量を積算して軸心Sに沿って移動しきる(最下位置から最上昇または最上位置から最下降)までを累積した測定値から、予め設定した換算係数を用いて放射線量に換算する。
上述したように、収納容器200に収納される放射性廃棄物は、均一固化体と充填固化体とがあり、図5に示すように、軸心Sに沿う昇降高さに伴って、充填固化体を収納した収納容器200は、上面200cが細実線で下面200bが細破線で示す積算カウントとなり、均一固化体を収納した収納容器200は、上面200cが太実線で下面200bが太破線で示す積算カウントとなる。
また、換算係数は、充填固化体を収納した収納容器200では、図6に示すように、放射性廃棄物を収容していない収納容器200の上面200cおよび下面200bのそれぞれの外周部の一部に予め標準線源Aを配置して実測した線量当量率を、回転移動および軸心Sに沿って移動(上昇移動または下降移動)される収納容器200の下面200bおよび上面200cにおける標準線源Aを試験測定して累積した積算カウントで除した値から設定する。すなわち、換算係数は、図5における積算カウントをNとし、図6に示す線源AをXmSv/hとした場合、X/(N/計測時間sec)により求められる。
また、換算係数は、均一固化体を収納した収納容器200では、均一固化体を収納した収納容器200を実測した線量当量率を、回転移動および軸心Sに沿って移動(上昇移動または下降移動)される収納容器200の下面200bおよび上面200cにおける均一固化体を試験測定して累積した積算カウントで除した値から設定する。
これにより、図7に示すように、充填固化体を収納した収納容器200では、±63%の許容値のところ、上面200cは22.3%、下面は19.6%の相対誤差の計数誤差で測定することができる。また、図7に示すように、均一固化体を収納した収納容器200では、±20%の許容値のところ、上面200cは7.6%、下面は10.3%の相対誤差の計数誤差で測定することができる。相対誤差は、0.15mSv/h以上において均一固化体で±20%、充填固化体で±63%を許容値とする。
このように、本実施形態では、収納容器200を回転移動および軸心Sに沿う上下方向の移動をしながら停止せずに側面200a、上面200cおよび下面200bの放射線を測定している。この結果、上面200cおよび下面200bに対する測定時間を短くすることができる。従来では、収納容器200の上面200cおよび下面200bの放射線の測定は、収納容器200の回転移動および軸心Sに沿う上下方向の移動を停止しているため(均一固化体を収納した収納容器200の場合は10secの停止を2回行い、充填固化体を収納した収納容器200の場合は25secの停止を4回行う)、その分の測定時間を多く要していたが、本実施形態によれば、その分の測定時間を短くすることができる。
また、本実施形態によれば、収納容器200の下面200bおよび上面200cの測定において、制御部9は、データ処理部7において収納容器200を回転移動および軸心Sに沿って移動(上昇移動または下降移動)される収納容器200の下面200bおよび上面200cにおける放射線量を積算して軸心Sに沿って移動しきる(最下位置から最上昇または最上位置から最下降)までを累積した測定値から、予め設定した換算係数を用いて放射線量に換算することで、測定時間を短くしたうえで計数誤差を許容範囲内とすることができる。
一方で、収納容器200の側面200aの測定において、図8に示すように、収納容器200の側面200aを周方向および上下方向に複数分割した分割点が予め設定され記憶部6に記憶されている。図8では、周方向に12分割し上下方向に50分割した600の分割点を示している。そして、制御部9は、データ処理部7において、側面用放射線検出器4Aから周方向および上下方向に隣接する複数の分割点を含む計測域の放射線の計数値を取得する。具体的には、図9に示すように、周方向に隣接する2個の分割点「1」「2」と、その4つ下まで上下方向に隣接する8個の分割点「13」「14」「25」「26」「37」「38」「49」「50」を含む10個の分割点を含む計測域としてこの計測域の放射線の計数値を取得する。さらに、制御部9は、収納容器200の回転移動において、周方向に隣接する計測域において分割点を重複した放射線の計数値を取得する。具体的には、図10に示すように、図9に示す計測域に対して周方向に分割点1個分をずらした計測域で分割点「2」「14」「26」「38」「50」の5個を重複した計測域の放射線の計数値を取得する。さらに、制御部9は、収納容器200の1回転の回転移動をしたとき、軸心Sに沿った移動により、上下方向に隣接する計測域において分割点を重複した放射線の計数値を取得する。具体的には、図11に示すように、図9に示す計測域に対して上下方向に分割点1個分をずらした計測域で分割点「13」「25」「37」「49」の4個を重複した計測域の放射線の計数値を取得する。制御部9は、このように重複した計測域の放射線の計数値を取得して、最後は、図12に示すように、分割点「552」「564」「576」「588」「600」の計測域の放射線の計数値を取得し、計551の計測域の放射線の計数値を取得する。そして、制御部9は、データ処理部7において、各計測域における各分割点の平均を算出することで各計測域の放射線の計数値を得る。
このように、本実施形態では、収納容器200の側面200aを周方向および上下方向に複数分割した分割点を設定し、周方向および上下方向に隣接する複数の分割点を含む計測域の放射線量を計測すると共に、周方向および上下方向に隣接する計測域の分割点を重複して計測し、各計測域における各分割点の平均を算出することで、隣接する計測域において重複した分割点を含んだ放射線量となるため、計数誤差を低減することができる。
図13においては、収納容器200に充填固化体が収納されている場合と、収納容器200に均一固化体が収納されている場合、収納容器200に充填固化体が収納されている場合の従来の測定方法について相対誤差を示している。従来の測定方法は、周方向に隣接する2個の分割点を計測域として放射線の計数値を取得して各分割点の平均を算出しており、各計測域の分割点が重複していない。このため、相対誤差が94.7%となっている。これに対し、本実施形態によれば、同じく充填固化体が収納されている場合において相対誤差が42.4%であり、計数誤差が低減されていることが分かる。相対誤差4σは、測定精度を繰り返し誤差で表現したもので、ここでは図14に示すように1回目と2回目で4σの範囲にあることとする。なお、相対誤差は、0.15mSv/h以上において均一固化体で±20%、充填固化体で±63%を許容値とする。また、換算係数は、図5における積算カウントをNとし、図6に示す線源AをXmSv/hとした場合、X/(N/計測時間sec)により求められる。
ところで、収納容器200の側面200aの測定において、上述したように、周方向および上下方向で隣接する分割点を重複させて測定域を設定している形態を説明したが、この限りではない。例えば、周方向のみ隣接する分割点を重複させたり、上下方向のみ隣接する分割点を重複させたりしても、分割点を重複させない形態に比較して計数誤差を低減することができる。
以下、本実施形態の他の放射能の測定装置である放射能測定ユニット102について説明する。図15は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の概略構成図である。図16は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の要部構成図である。図17は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の要部構成図である。図18は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の別の例の要部構成図である。図19は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の別の例の要部構成図である。図20は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の別の例の要部構成図である。図21は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の別の例の要部構成図である。図22は、本実施形態に係る他の放射能の測定装置の別の例の要部構成図である。
放射能測定ユニット102は、主に、収納容器200の表面汚染をスミア濾紙により間接的に測定するものである。
放射能測定ユニット102は、図15に示すように、回転移動機構22と、濾紙支持機構23と、汚染検出器24と、データ収集部25と、記憶部26と、駆動部28と、を有する。
回転移動機構22は、収納容器200を立てた状態で載置し、当該収納容器200を円筒形状の中心である軸心Sの廻りに回転移動させる。
濾紙支持機構23は、濾紙を支持すると共に、支持した濾紙を収納容器200の表面に押し付けることで収納容器200の表面の汚れ(試料)を濾紙に付着させる。濾紙支持機構23は、収納容器200の側面200a用の側面用濾紙支持機構23A、収納容器200の下面200b用の下面用濾紙支持機構23B、収納容器200の上面200c用の上面用濾紙支持機構23Cを含む。この濾紙支持機構23(23A,23B,23C)の詳細は後述する。
汚染検出器24は、濾紙支持機構23が支持する濾紙に付着した汚れの放射線を検出する。汚染検出器24は、例えば、放射線を検出するGM管などが適用される。汚染検出器24は、各濾紙支持機構23A,23B,23Cにそれぞれ対応して設けられ、側面用濾紙支持機構23Aに対応する側面用汚染検出器24A、下面用濾紙支持機構23Bに対応する下面用汚染検出器24B、上面用濾紙支持機構23Cに対応する上面用汚染検出器24Cを含む。
データ収集部25は、汚染検出器24(24A,24B,24C)で検出された検出信号を計数値として収集する。
記憶部26は、データ収集部25で収集した計数値を記憶する。
駆動部28は、回転移動機構22および濾紙支持機構23(23A,23B,23C)を駆動させる。
データ収集部25、記憶部26、駆動部28は、制御部29に含まれる。制御部29は、CPU(Central Processing Unit)のようなマイクロプロセッサを含み、記憶部26に記憶された測定方法に基づいて、駆動部28による回転移動機構22および濾紙支持機構23(23A,23B,23C)の駆動を制御する。
ここで、濾紙支持機構23(23A,23B,23C)について説明する。本実施形態では、濾紙支持機構23(23A,23B,23C)は、図16および図17に示す構成や、図18から図20に示す構成や、図21および図22に示す構成がある。
図16および図17に示す濾紙支持機構23(23A,23B,23C)は、固定部31と、濾紙支持部32と、濾紙押付部33と、ズレ防止部34と、を有する。
固定部31は、濾紙支持機構23のフレームであり、回転移動機構22に載置される収納容器200の側面200a、下面200b、上面200cに沿って配置され、移動しないように固定されている。
濾紙支持部32は、固定部31に取り付けられて濾紙Fを支持する。濾紙Fは、長手状に形成されてロール部Faに巻かれ、このロール部Faから引き出されて巻取部Fbに巻き取られる。濾紙支持部32は、ロール部Faを回転可能に支持するロール支持部32aと、巻取部Fbを回転可能に支持する巻取支持部32bと、を有する。また、濾紙支持部32は、ロール部Faと巻取部Fbとの間の濾紙Fを支持する回転可能なローラ32cを有する。ローラ32cは、長手状の濾紙Fが収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に接触する必要長さになるように、当該必要長さを含む間隔Lをおいて少なくとも2つ設けられている。間隔Lは、濾紙支持部32が側面用濾紙支持機構23Aである場合に収納容器200の側面200aの上下寸法と同等であり、濾紙支持部32が下面用濾紙支持機構23Bである場合に収納容器200の下面200bの径寸法と同等であり、濾紙支持部32が上面用濾紙支持機構23Cである場合に収納容器200の上面200cの径寸法と同等である。また、濾紙支持部32は、ロール支持部32aおよび巻取支持部32bが駆動部28により駆動され、当該駆動によりロール部Faおよび巻取部Fbを回転させて濾紙Fをロール部Faから引き出して巻取部Fbに巻き取る。なお、汚染検出器24(24A,24B,24C)は、巻取部Fbの最も近傍にあるローラ32cに対向して設けられ、当該ローラ32cで支持される濾紙Fの表面に対面する。
濾紙押付部33は、各ローラ32cの間の濾紙Fの表面を、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に対して押し付ける。濾紙押付部33は、移動部材33aと、弾性部材33bと、アクチュエータ33cと、を有する。移動部材33aは、各ローラ32cの間の濾紙Fの裏側に配置されて、当該濾紙Fを一点鎖線で示すように、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に向けて内側から外側に押し出すようにスライド移動可能に設けられている。弾性部材33bは、スポンジやゴムなどからなり、移動部材33aの外側面に濾紙Fの長手方向に沿って隙間を有して複数(本実施形態では4個)設けられ、移動部材33aの内側から外側への移動に際して濾紙Fの裏側に当接する。アクチュエータ33cは、例えば、エアシリンダなどからなり、移動部材33aを上記のごとくスライド移動させる。アクチュエータ33cは、駆動部28により駆動される。すなわち、アクチュエータ33cの駆動によって弾性部材33bが濾紙Fの裏側に当接することで、弾性部材33bの弾性力により濾紙Fを収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に押し付ける。これにより、1回転にて移動する収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)の汚れを濾紙Fで拭き取ることができる。
ズレ防止部34は、回転移動機構22により収納容器200が回転するとき、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に対して押し付けられている濾紙Fが収納容器200の回転によって移動し位置ズレすることを防ぐ。ズレ防止部34は、濾紙Fの裏面に取り付けられている粘着部34aを有する。粘着部34aは、弾性部材33bと同じ配置であり、各ローラ32cの間で濾紙Fの長手方向に沿って隙間を有して複数(本実施形態では4個)設けられている。すなわち、粘着部34aは、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に向けて内側から外側に押し出すようにスライド移動した弾性部材33bに対して粘着することで、濾紙Fの位置ズレを防止することができる。なお、図17に示すように、ローラ32cは、粘着部34aにより濾紙Fが粘着しないように粘着部34aと対応する中央に凹部32caが形成されている。
また、ズレ防止部34は、剥離部34bを有する。剥離部34bは、各弾性部材33bの隙間に設けられ、固定部31に取り付けられて内側および外側に移動可能に設けられている。本実施形態において剥離部34bは、エアシリンダなどのアクチュエータにより移動可能に設けられている。この剥離部34bは、通常は図16に実線で示すように濾紙Fに接触しない位置で内側に退避しており、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に向けて内側から外側に弾性部材33bがスライド移動して内側に戻ろうとするときに、外側に進出し、図16および図17に示すように各弾性部材33bおよび各粘着部34aの隙間で濾紙Fに当接する。これにより、粘着部34aで濾紙Fに粘着した弾性部材33bが内側にスライド移動しつつ、この移動に反して剥離部34bが濾紙Fを押さえるため、粘着部34aから弾性部材33bが剥離して濾紙Fと弾性部材33bとが分離される。
なお、ズレ防止部34は、粘着部34aを濾紙F側ではなく剥離部34b側に設けてもよい。すなわち、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に向けて内側から外側に押し出すように弾性部材33bをスライド移動したときに、剥離部34bを外側に進出させて濾紙Fに粘着部34aを粘着させることで、濾紙Fの位置ズレを防止できる。
そして、回転移動する収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)の汚れを濾紙Fで拭き取った後、ロール支持部32aおよび巻取支持部32bを駆動部28により駆動して濾紙Fを巻取部Fbに巻き取る過程で、移動する濾紙Fの汚染を汚染検出器24(24A,24B,24C)により検出する。
図18から図20に示す濾紙支持機構23(23A,23B,23C)は、固定部31と、濾紙支持部32と、濾紙押付部33と、ズレ防止部35と、を有する。固定部31と、濾紙支持部32と、濾紙押付部33とは、図16および図17に示す濾紙支持機構23(23A,23B,23C)と同様の構成について説明を省略する。
ズレ防止部35は、回転移動機構22により収納容器200が回転するとき、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に対して押し付けられている濾紙Fが収納容器200の回転によって移動し位置ズレすることを防ぐ。ズレ防止部35は、濾紙押付部33において、移動部材33aの外側面に、弾性部材33bが濾紙Fの長手方向に沿って延在して設けられ、弾性部材33bの長手方向に直行する両側に、弾性部材33bよりも内側に低くなった段部33aaが形成されている。
そして、ズレ防止部35は、押さえ部材35aと、アクチュエータ35bとを有する。押さえ部材35aは、濾紙Fの長手方向に沿う棒状体であって、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に向けて内側から外側に弾性部材33bを移動させた移動部材33aの両段部33aaに対して内側に対向する位置にそれぞれ設けられている。アクチュエータ35bは、例えば、エアシリンダなどからなり、押さえ部材35aに連結され、押さえ部材35aを段部33aaに対して当接する位置と離れる位置とに移動させる。アクチュエータ35bは、駆動部28により駆動される。すなわち、ズレ防止部35は、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)に向けて内側から外側に弾性部材33bを移動した状態で、押さえ部材35aが段部33aaに当接する位置に移動することで、濾紙Fの長手方向に交差する両側縁を段部33aaに押し付けて挟み込む。この結果、濾紙Fの位置ズレを防止することができる。濾紙Fは、長手方向に交差する両側縁において、上述した間隔L分の長さごとに切欠Fcが形成されて切欠Fcの間の側縁を押さえ部材35aにより段部33aaに押し付けて挟み込むことから、押さえ部材35aで押さえつけていない他の部分の側縁への影響がない。
図21および図22に示す濾紙支持機構23(23A,23B,23C)は、固定部31(図21および図22では示さず)と、濾紙支持部32と、濾紙押付部33と、ズレ防止部36と、を有する。固定部31と、濾紙支持部32と、濾紙押付部33とは、上述した構成と同様であり、その説明を省略する。
ズレ防止部36は、側面用濾紙支持機構23Aの場合、濾紙Fの長手方向を、収納容器200の軸心Sと平行な線に対して90度未満の角度を付けて配置する。そして、収納容器200の回転方向に対して逆らう方向に斜めに濾紙Fを巻き取るように構成する。そして、ズレ防止部36は、収納容器200の回転と共に濾紙Fを巻き取ることで、濾紙Fにテンションを付与する。この結果、濾紙Fの位置ズレを防止することができる。なお、ズレ防止部36は、側面用濾紙支持機構23Aの場合、濾紙Fの長手方向を、収納容器200の軸心Sと平行な線に対して90度未満の角度を付けて配置し、収納容器200の回転に際して濾紙Fを巻き取らずに停止させていても濾紙Fにテンションを付与することができ、濾紙Fの位置ズレを防止することができる。
このように、本実施形態では、放射能測定ユニット102は、収納容器200の側面200aの上下寸法に対応する長手状の濾紙Fと、収納容器200の上面200cの径寸法に対応する長手状の濾紙Fと、収納容器200の下面200bの径寸法に対応する長手状の濾紙Fとを用い、収納容器200の1回転において各濾紙Fにて収納容器200の表面の汚れ(試料)を採取することができる。その後に、固定の汚染検出器24(24A,24B,24C)に対して各濾紙Fを長手方向に移動させて放射線を測定することができる。
本実施形態によれば、収納容器200の1回転において収納容器200の表面の汚れ(試料)を採取し、かつ、固定の汚染検出器24(24A,24B,24C)に対して各濾紙Fを長手方向に移動させて放射線を測定することで、測定時間を短縮化することができる。
また、本実施形態では、ズレ防止部34,35により濾紙Fの位置ズレを防止することで、収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)の汚れを確実に濾紙Fに付着させることができ、測定不能や、測定漏れを防ぐことができる。
なお、濾紙支持機構23(23A,23B,23C)は、その数を増やすことで、収納容器200の1回転未満で収納容器200の表面(側面200a、下面200b、上面200c)全体の汚れを濾紙Fに付着させることができる。