JP6694339B2 - タイルカーペット - Google Patents

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Description

本発明は、保水性及び乾燥性に優れたタイルカーペットに関する。
従来、オフィスビル、商業施設、マンションなどの建築物の出入り口に敷設されるカーペットとして、いわゆるダストコントロールタイルカーペットが用いられている。ダストコントロールタイルカーペットには、人の靴裏に付着した塵芥を取り除く除塵性が求められる。前記塵芥としては、建築物の外部から内部に入ってくる人の靴裏や荷物運搬車の車輪などに付着した土砂や粉塵などが含まれる。ダストコントロールタイルカーペットが靴裏などの塵芥を未然に取り除くことによって、建築物内部に塵芥が持ち込まれ難くなっている。
ところで、人や荷物運搬車などが出入りする際には、粉塵だけでなく、雨水などの水分も付着している。
しかしながら、従来のダストコントロールタイルカーペットは、吸水性についてさほど考慮されておらず、雨天時に靴裏などに付着している水分を吸収し保持する性能が十分ではない。このため、多数の人が出入りする建築物にあっては、カーペットの表面に水が浮いた状態となり、その浮いた水が後から建築物内部に入ってくる人の靴裏に更に付着することになり、水分が建築物内部に持ち込まれ易いという問題点がある。
特許文献1には、吸水性、水分の拡散性及び保持性を有するカーペット地が提案されている。特許文献1のカーペット地の場合、パイル糸で捕らえられた水分が芯用布帛を通過し、芯用布帛の下面に設けられた絡合不織ウェブに移動することとなる。このため、表面は乾燥した触感が得られるかもしれないが、絡合不織ウェブの上側が芯用布帛でいわば蓋をされる状態となり、カーペット地全体としてみれば、乾燥性が悪いという問題点がある。また、特許文献1のカーペットは、上記のように保持した水分が乾き難い上、カーペットのパイル糸の一箇所に付着した水分がその下方にある絡合不織ウェブの一箇所に集中的に残存するため、絡合不織ウェブの保持できる水分量の限界が早く、芯用布帛の上面及びパイル糸に水分が溜まり易くなる。このため、後から入ってくる人の荷重によって水分が滲み出て、その水分が靴裏に付着し、建築物内部に持ち込まれる。
このように、従来のカーペットは、保水性及び乾燥性に劣り、建築物の出入り口に敷設された場合、雨天時に屋外から靴底を通して持ち込まれる水分の除去が不十分となり、水分が靴底に付着したまま、屋内に持ち込まれるという問題があった。
特開2000−96421号公報
本発明の目的は、水を捕らえる水キャッチ性、保水性及び乾燥性に優れたタイルカーペットを提供することである。
本発明のタイルカーペットは、織布及び前記織布の上面に設けられた綿状繊維層を有する基布と、前記基布の上側に植設されたパイル糸と、前記基布の下面に設けられたバッキング層と、を有し、前記綿状繊維層は、無数の綿状繊維が絡み合って構成されており、
前記綿状繊維層の目付量が、50g/m〜200g/mであり、前記綿状繊維層を構成する綿状繊維の繊度が、前記パイル糸を構成する繊維の繊度よりも小さく、前記織布、綿状繊維層及びバッキング層のそれぞれが、端面において露出されている
好ましくは、前記綿状繊維層を構成する綿状繊維の繊度と前記パイル糸を構成する繊維の繊度との比率が、1:1.1〜1:50である。
好ましくは、前記綿状繊維層が、断面視略Y字形状の綿状繊維を含む
本発明のタイルカーペットは、水キャッチ性、保水性及び乾燥性に優れている。かかるタイルカーペットは、建築物の出入り口に好適に使用できる。
本発明のカーペットの平面図。 図1のII−II線で切断した断面図。 図2の一部分を拡大した拡大詳細断面図。 織布の一例を示す拡大平面図。 図4のV−V線で切断し、さらに拡大した拡大詳細断面図。ただし、経糸は断面で表していない(図6も同様)。 (a)及び(b)は、頒布に綿状繊維層が設けられた基布の様々な形態を示す拡大詳細断面図。 本発明のカーペットの第1の設置例を示す参考平面図。 本発明のカーペットの第2の設置例を示す参考平面図。 本発明のカーペットの第3の設置例を示す参考平面図。 実施例1と比較例1の残留水分率の経時変化を示す表及びグラフ図。
以下、本発明について、適宜図面を参照しつつ説明する。
本明細書において、ある層の「上面」又は「上方」は、カーペットを施工する床面から遠い側の面又は方向を指し、「下面」又は「下方」は、その反対側(カーペットを施工する面に近い側)の面又は方向を指す。
本明細書において、「〜」で表される数値範囲は、「〜」の前後の数値を下限値及び上限値として含む数値範囲を意味する。
また、各図における、厚み及び大きさなどの寸法は、実際のものとは異なっていることに留意されたい。
図1は、本発明の1つの実施形態に係るカーペット1の平面図であり、図2は、同カーペット1の断面図であり、図3は、各層の詳細を示す拡大断面図である。
図1に示すように、カーペット1は、例えば、平面視略正方形状などの枚葉状に形成される。もっとも、枚葉状のカーペット1の平面視形状は、略正方形状に限定されず、例えば、略長方形状、略円形状、略楕円形状、略三角形状や略六角形状などの略多角形状などに形成されていてもよい。このような枚葉状のカーペット1は、タイルカーペット、ラグ、マットなどとして使用できる。本明細書において、「略」は、本発明の属する技術分野において許容される形状を意味する。平面視略正方形状、略長方形状、略三角形状などの略多角形状の「略」は、例えば、角部が面取りされている形状、辺の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、辺が若干湾曲している形状などが含まれる。また、平面視略円形状及び略楕円形状の「略」は、例えば、周の一部が僅かに膨らむ又は窪んでいる形状、周の一部が若干直線又は斜線とされた形状などが含まれる。
平面視略正方形状のカーペット1の寸法は、特に限定されないが、例えば、500mm×500mmなどが挙げられる。このような寸法のカーペット1は、タイルカーペットとして好適に使用できる。
なお、本発明のカーペットは、ロールカーペットとして使用することもできる。ロールカーペットとする場合には、本発明のカーペット1は、通常、平面視長尺帯状に形成され、ロール状に巻かれて保管・運搬に供される。なお、前記平面視長尺帯状は、一方向の長さが他方向(一方向に直交する方向)の長さよりも十分に長い長方形状をいい、例えば、一方向の長さが他方向の長さの3倍以上、好ましくは5倍以上である。
本発明のカーペット1は、図2及び図3に示すように、織布3及び前記織布3の上面に設けられた綿状繊維層4を有する基布2と、前記基布2の上側に植設されたパイル糸5と、を有する。このようなカーペット1は、厚み方向に湾曲させることができる程度の柔軟性を有する。
好ましくは、前記基布2の下面にバッキング層6が設けられている。
本発明のカーペット1において、靴裏がカーペット1の最上面に位置するパイル糸5に接することにより、靴裏に付着している水分がパイル糸5に捕らえられる。パイル糸5に付着した水分は、パイル糸5から綿状繊維層4に移動し、いったん綿状繊維層4で保持される。本発明のカーペット1では、前記綿状繊維層4を構成する綿状繊維の繊度が、前記パイル糸5を構成する繊維の繊度よりも小さいので、毛細管現象によって、パイル糸5から綿状繊維層4への水分の移動が促進される。そして、パイル糸5が植設された織布3の上面に綿状繊維層4が設けられているので、綿状繊維層4に保持される水分の多くは織布3を通過せず、織布3の上面でせき止められ、水分が織布3の上面及び綿状繊維層4に従って面方向に移動し拡散するようになる。このため、綿状繊維層4で水分が保持され、保水性に優れたカーペット1とすることができる。
綿状繊維層4で保持される水分は、綿状繊維層4の面方向全体に移動し、一箇所に集中的に残存することなく、広い範囲に拡散する。特に、水分が綿状繊維層4の毛細管現象により織布3の経糸と緯糸に沿って直線的に移動するので、水分が綿状繊維層4の面方向全体に亘って移動、拡散することが促進される。
本発明のカーペット1は、パイル糸5が植設された基布2として、上側に綿状繊維層4が設けられた織布3を用いることにより、水分が織布3の下方の層に透過、残存することを防いでいる。また、綿状繊維層4で保持される水分が一箇所に集中的に残存し難いので、綿状繊維層4全体としてみれば水分の保持量が多くなり、綿状繊維層4やパイル糸5から水分が溢れるまでに水分保持限界に達し難い。綿状繊維層4に沿って広い範囲に拡がった水分は、綿状繊維層4とパイル糸5の上側から蒸発していく。それ故、本発明のカーペット1は、乾燥性に優れている。このように乾燥が速いので、パイル糸5が靴裏に付着している水分を捕らえる力(水キャッチ性)を高い水準で維持できる。
本発明のカーペット1は、上述のように保水性及び乾燥性に優れているため、建築物の出入り口に敷設した場合、雨天時に屋外から靴底を通して大量に水分が持ち込まれたとしても除去することができ、靴底に付着したまま屋内に持ち込まれる水分量を極めて少なくすることができる。
(織布)
織布3は、パイル糸5から綿状繊維層4に移動してきた水分を綿状繊維層4の面方向(全方位方向)に移動させる、つまり、水分を拡散させることを促進する機能を有する。
本発明に用いられる織布3は、例えば、図4及び図5に示すように、経糸31及び緯糸32を織り込んでシート状などの平面状に形成されたものなどが挙げられる。織布3の織り方は、例えば、平織り、綾織り、朱子織り、絡み織り及びこれら織りを組み合わせたものなどが挙げられる。図4は、平織りされた織布を例示している。上方から水分が経糸31及び緯糸32の隙間を通って下方へ流れ難いことから、平織りが好ましい。
織布3を構成する糸としては、後述する綿状繊維の項で例示するような天然繊維又は化学繊維からなる糸を挙げることができる。
織布3が水分を吸収し難くなることから、織布3は疎水性の糸から構成されていることが好ましい。疎水性の糸としては、ポリオレフィンなどの疎水性熱可塑性樹脂からなる糸、ガラスなどの無機繊維からなる糸などが挙げられる。なお、経糸と緯糸の素材は同じでもよいし、異なっていてもよい。
中でも、形状加工が容易であり、さらに、平織りに適していることから、織布3の糸は、疎水性の化学繊維が好ましい。
織布3を構成する経糸31及び緯糸32の形状としては、種々の形状を挙げることができ、例えば、断面視形状が、略円形状、略楕円形状、略矩形状、略T字形状、略U字形状、略Y字形状、略星形状、略扁平状などが挙げられる。
本発明においては、水分が通過し難い構造にして水分を面方向に移動させることを促進させる観点から、経糸31及び緯糸32の少なくとも一方は、断面視略扁平状の糸であることが好ましく、経糸31及び緯糸32の何れもが、断面視略扁平状の糸であることがより好ましい。図示例では、断面視略扁平状の経糸31及び緯糸32を用いた場合を示している。前記略扁平状の糸としては、特に限定されないが、タフト性が良く、水を通し難い織布3を構成し易いことから、テープヤーン、スプリットヤーンが好ましい。テープヤーンは、例えば、熱可塑性樹脂を押出機で溶融押出し、Tダイ法またはインフレーション法にてフィルムを形成し、スリットした後に加熱延伸し、次いで熱処理をして得ることができる。また、スプリットヤーンは、例えば、テープヤーンと同様に押出機でフィルムを形成し、延伸した後、やすり、針、刃などを植え込んだロールを高速で回転させ、フィルムを細かく割り裂いて細い網状にして得ることができる。パイル糸5のタフト性に特に優れることから、スプリットヤーンが好ましい。
織布3を構成する糸の繊度は、例えば、200dtex〜1500dtex程度が好ましい。織布3を構成する糸がテープヤーンなどの略扁平状の糸である場合には、その幅3Wは、好ましくは0.5mm〜8mmであり、より好ましくは1mm〜5mmであり、その厚み3Tは、特に限定されないが、例えば、0.01mm〜0.05mm程度である(図5参照)。
前記テープヤーンの幅が余りに小さいと、水分を通し難い織布を形成するために糸の密度を高める必要があり、余りに大きいと、タフトし難くなる上、植設されたパイル糸5の柔軟性や風合いが低下するおそれがある。
本明細書において、繊維及び糸の太さを、繊度で表す。単位長さ1000m当たりの繊維の重さが1gの繊維を1tex、10000m当たりの繊維の重さが1gの繊維を1dtexという。繊維及び糸が太いほど、texは大きい数値となる。また、1tex=10dtexである。
本明細書において、繊度は、JIS L 1013:2010「化学フィラメント糸試験方法」の「8.3.1 正量繊度」に記載のB法に準じて測定した値をいう。
織布3の目付量は、特に限定されないが、例えば、50g/m〜200g/mであり、好ましくは、60g/m〜150g/mであり、より好ましくは、70g/m〜120g/mである。前記数値範囲にあることで、綿状繊維層4から織布3に移動してきた水分が織布3の下側に通過し難くなり、水分を綿状繊維層4の面方向全体にわたって拡散させることができる。
織布3の下側に水分を通過させないようにするため、織布3は、経糸と緯糸との間の隙間が可及的に小さいことが好ましい。
また、上記観点から、織布3は密に織られることが好ましく、経糸及び緯糸の繊度にもよるが、経糸は8本/インチ〜30本/インチ、緯糸は8本/インチ〜30本/インチで織られていることが好ましい。
(綿状繊維)
本発明において、綿状繊維層4を構成する綿状繊維は、1本1本の繊維長が短い繊維をいう。前記綿状繊維は、長繊維、フィラメントと呼ばれる長い繊維を切断して所望の長さにしたものでもよい。前記綿状繊維の繊維長は、例えば、20mm〜150mm程度であり、好ましくは30mm〜100mmである。綿状繊維の繊維長が前記範囲にあることで、綿状繊維が適度に絡み合い、シート状の綿状繊維層4を構成できる。そのような綿状繊維層4は内部に空隙を多く有するものとなる。綿状繊維層4の内部の空隙に水分が保持されやすくなるので、綿状繊維層4が優れた保水性を有し、本発明のカーペット1は、捕られえた水分を広い範囲に拡散して保持できる。
綿状繊維の材質としては、例えば、天然繊維、化学繊維、無機繊維などが挙げられる。前記天然繊維としては、例えば、木綿、麻、リンネルなどの植物繊維;羊毛、絹、カシミヤ、アルパカ、アンゴラ、モヘアなどの動物繊維;などが挙げられる。前記化学繊維としては、例えば、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタンなどの合成繊維;アセテート、トリアセテート、プロミックスなどの半合成繊維;レーヨン、キュプラ、ポリノジックなどの再生繊維などが挙げられる。前記無機繊維としては、カーボン、ガラス、金属などが挙げられる。綿状繊維は、1種単独で、又は2種以上を併用してもよい。本発明に用いられる好ましい綿状繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル繊維;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン繊維などが挙げられる。綿状繊維は、親水性又は疎水性のいずれでもよいが、水分を保持する観点からは親水性であることが好ましく、乾燥のしやすさの観点からは疎水性であることが好ましい。親水性の綿状繊維は、例えば、木綿などの植物繊維、アセテートなどの親水性の半合成繊維などが挙げられる。疎水性の綿状繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ナイロンなどの疎水性の合成繊維などが挙げられる。
綿状繊維の繊度は、パイル糸5を構成する繊維の繊度よりも小さいことを条件として特に限定されず、例えば、1dtex〜50dtex程度であり、好ましくは、2dtex〜20dtexであり、より好ましくは2dtex〜10dtexである。ここで、綿状繊維の繊度は、1本の繊維の繊度である。
綿状繊維の断面視の形状は、特に限定されず、略円形状、略楕円形状、略矩形状、略T字形状、略U字形状、略Y字形状、略星形状などが挙げられる。特に、略Y字形状の綿状繊維は、水を保持、拡散しやすいため、毛細管現象によってパイル糸5から水分を吸収して拡散する効果が高いので好ましい。加えて、略Y字形状の綿状繊維は、比較的製造し易いという利点もある。また、綿状繊維の内部は、中実状であってもよく、中空状であってもよい。
また、綿状繊維は、捲縮されていてもよく、或いは、非捲縮であってもよい。
(綿状繊維層)
綿状繊維層4は、図3に示すように、前記無数の綿状繊維4aが絡み合って構成される。綿状繊維層4は、無数の綿状繊維4aを織らずに、シート状などの平面状に形成されている。綿状繊維層4は、例えば、熱的、機械的または化学的な作用によって、独立に分散された無数の綿状繊維4aを絡み合わせて形成される3次元の繊維集合体ともいえる。綿状繊維層4は、例えば、熱で溶融させて綿状繊維を結合させるサーマルボンド法、接着剤中に含浸または接着剤を吹き付けて綿状繊維を結合させるケミカルボンド法、かえしのある針を突き刺して機械的に綿状繊維を結合させるニードルパンチング法、高圧水流を使用し綿状繊維を絡み合わせるスパンレース法などによって、無数の綿状繊維4aを絡み合わせることによって形成することができる。特に、ニードルパンチング法は、綿状繊維層4の形成と織布3との一体化を同時に行なうことができ、製造工程を一工程減らす簡易な製造方法であって、綿状繊維層4を織布3に強固に結合させることができるので好ましい。
綿状繊維層4は、織布3の上面に設けられている。基布2は、綿状繊維層4及び織布3が一体化されたものから構成されている。綿状繊維層4と織布3を一体化させる方法としては、特に限定されず、例えば、次のような方法が挙げられる。(1)織布3の上面に無数の綿状繊維4aを載せ、その綿状繊維の上側からニードルで繰り返し突き刺すニードルパンチング法により、綿状繊維層4の形成と同時に綿状繊維層4及び織布3が一体化された基布2を得ることができる。(2)上記ケミカルボンド法などによって無数の綿状繊維4aを絡み合わせて綿状繊維層4を形成した後、その綿状繊維層4を織布3の上面に載せ、ニードルパンチング法により、綿状繊維層4及び織布3が一体化された基布2を得ることができる。(3)上記ケミカルボンド法などによって無数の綿状繊維4aを絡み合わせて綿状繊維層4を形成した後、織布3の上面(又は/及びその綿状繊維層4の下面)の全体又は所々スポット的に接着剤を塗布し、綿状繊維層4と織布3を接着させることにより、綿状繊維層4及び織布3が一体化された基布2を得ることができる。
綿状繊維層4を織布3の上面に設ける際のニードルパンチングの密度は、織布3と綿状繊維層4とを一体化させることができる程度であれば特に限定されず、例えば、80本/cm〜350本/cm程度である。
図6(a)及び図3は、上記(1)又は(2)の方法によって得られた基布2を示しており、図6(b)は、上記(3)の方法によって得られた基布2を示している。
図6(a)及び(b)に示す基布2は、何れも織布3の上面に綿状繊維層4が設けられているが、同図(a)に示す基布2は、綿状繊維層4が織布3の上面のみならず、一部の綿状繊維4aが織布3の内部及び織布3の下面にまで延在されている。
詳しくは、図6(a)の綿状繊維層4を概念的に区別すると、織布3の上面側に位置する主繊維層41と、織布3の内部に位置する貫通繊維部42と、織布3の下面側に突出する突出繊維部43と、から構成される。図6(a)の綿状繊維層4において、主繊維層41の繊維量は、貫通繊維部42及び突出繊維部43における繊維量よりもかなり多く、綿状繊維4aのほとんどが主繊維層41を構成している。また、貫通繊維部42及び突出繊維部43の繊維量は略同じか、或いは、貫通繊維部42の繊維量が突出繊維部43よりも少し多い。また、図6(a)の綿状繊維層4において、貫通繊維部42及び突出繊維部43を構成する綿状繊維4aは、織布3の経糸31及び緯糸32の隙間を通過しているものもあれば、経糸31及び緯糸32を貫通しているものもある。このような違いは、ニードルの密度によるものであり、ニードルが前記隙間や経糸31及び緯糸32に突き刺さると、その箇所に綿状繊維4aが貫通するようになる。
なお、図6(b)に示す綿状繊維層4は、綿状繊維層4が実質的に織布3の上面側だけに配置されている。
本発明において、前記綿状繊維層4の目付量は、50g/m〜200g/mであり、好ましくは80g/m〜150g/mであり、より好ましくは、90g/m〜120g/mである。綿状繊維層4の目付量が大き過ぎると、綿状繊維層4の厚みが大きくなり、ひいてはカーペット1の全体の厚みが大きくなり過ぎる。一方、綿状繊維層4の目付量が小さ過ぎると、綿状繊維層4の保水性が低下するおそれがある。
パイル糸5から移動してきた水分は、綿状繊維層4内に保持されるが、その水分は、綿状繊維4aそのものに保持される場合もあり、無数の綿状繊維4aの間の空隙に保持される場合もある。したがって、綿状繊維層4はある程度の空隙を有することが好ましい。
本発明のように、綿状繊維層4を織布3の上面側に設けることで、綿状繊維層4に保持される水分の多くは織布3を通過せず、織布3の上面でせき止められ、水分が織布3の上面及び綿状繊維層4に従って面方向に移動し拡散するようになる。このため、水分が、綿状繊維層4の一箇所に集中的に残存することなく、広い範囲に拡がって蒸発するようになる。それ故、本発明のカーペットは乾燥性に優れている。
(パイル糸)
パイル糸5は、図2及び図3に示すように、前記基布2の上側から植設(タフト)され、基布2上において起立されている。詳しくは、基布2に植設されたパイル糸5は、その上方部が綿状繊維層4の上側に起立し、その基部が綿状繊維層4及び織布3を貫通し、その下方部が織布3の下側に配置されている。
パイル糸5は、ループパイルでもよいし、カットパイルでもよい。また、ループパイルとカットパイルとを組み合わせたものでもよい。
本発明のカーペット1においては、綿状繊維層4を構成する無数の綿状繊維4aがパイル糸5の基部を側面から支えることによって、パイル糸5が横に倒れ難くなる。それ故、長期間使用してもパイル糸5がへたり難いカーペット1を構成できる。
パイル糸5の高さは、特に限定されないが、通常、2mm〜20mmであり、特にループパイルの場合には、例えば、3mm〜15mmが好ましい。前記下限値未満の場合、パイル部分での良好な踏み心地が得られないおそれがあり、前記上限値を超える場合、パイル糸5がへたりやすくなるおそれがある。また、各パイル糸5の高さは、すべて同じでもよく、或いは、異なっていてもよい。
本発明において、パイル糸5を構成する繊維5aの繊度は、前記綿状繊維層4を構成する綿状繊維4aの繊度よりも大きい。すなわち、綿状繊維層4を構成する綿状繊維4aの繊度は、パイル糸5を構成する繊維5aの繊度よりも小さい。換言すれば、綿状繊維層4を構成する綿状繊維4aの太さが、パイル糸5を構成する繊維5aの太さよりも小さい。本発明において、パイル糸5は、モノフィラメントでもよく、マルチフィラメントでもよい。パイル糸5がモノフィラメントである場合には、パイル糸5を構成する繊維の繊度(太さ)は、当該モノフィラメントの繊度(太さ)である。パイル糸5がマルチフィラメントである、すなわちパイル糸5が複数本の単繊維を撚り合わせ又は引き揃えて1本の糸としたものである場合には、パイル糸5を構成する繊維5aの繊度(太さ)は、マルチフィラメントを構成する1本の繊維(単繊維)当たりの繊度(太さ)である。
好ましくは、パイル糸5は、図3に示すように、複数の繊維5aからなるマルチフィラメントで構成される。前記マルチフィラメントのフィラメント数(単繊維の数)は、特に限定されないが、2〜500であることが好ましく、3〜300であることがより好ましい。
また、1種類のパイル糸を使用してもよく、太さの異なる2種類以上のパイル糸を使用してもよい。太さの異なる2種類以上のパイル糸としては、(a)単繊維の太さが異なり、且つ、単繊維の本数が同じである2種類以上のパイル糸、(b)単繊維の太さは同じであるが、単繊維の本数が異なる2種類以上のパイル糸、(c)単繊維の太さが異なり、且つ、単繊維の本数が異なる2種類以上のパイル糸、(d)単繊維の太さが異なる2種類以上の単繊維を含み、且つ、各単繊維の本数が同じである2種類以上のパイル糸、(d)単繊維の太さが異なる2種類以上の単繊維を含み、且つ、そのうち少なくとも1つの単繊維の本数が異なる2種類以上のパイル糸、などが挙げられる。
本発明のカーペット1においては、綿状繊維層4を構成する綿状繊維4aの繊度が、パイル糸5を構成する繊維5aの繊度よりも小さいことにより、パイル糸5から綿状繊維層4への水分の移動が毛細管現象により促進され、パイル糸5に水分が残り難くなる。
前記毛細管現象による水分の移動促進の観点から、前記綿状繊維層4を構成する綿状繊維4aの繊度と前記パイル糸5を構成する繊維5aの繊度との比率が、1:1.1〜1:50であることが好ましく、さらに、1:2〜1:40であることがより好ましく、1:5〜1:30であることがより好ましい。
パイル糸5そのものの繊度は、特に限定されず、例えば、500dtex〜6000dtexであり、好ましくは600dtex〜4500dtexである。
また、パイル糸5を構成する繊維5aの繊度は、綿状繊維4aの繊度よりも大きいことを条件として特に限定されず、例えば、3dtex〜50dtexであり、より好ましくは、5dtex〜30dtexである。特に、前記範囲の繊度の繊維5aが上記フィラメント数からなるパイル糸5を用いることにより、適度なクッション性を有し且つパイル糸5がへたり難いカーペット1を構成でき、さらに、毛細管現象による水分の移動促進効果にも優れたカーペット1を構成できる。
本明細書において、パイル糸5を構成する繊維5aの繊度は、(A)1種類の太さの単繊維のみからなるパイル糸がカーペットに使用されている場合には、その単繊維の繊度を意味し、(B)2種類以上の太さの単繊維からなる1種類のパイル糸がカーペットに使用されている場合には、そのパイル糸の繊維の繊度の平均値を意味し、(C)2種類以上の太さの単繊維からなる2種類以上のパイル糸がカーペットに使用されている場合には、それらのパイル糸の繊維の繊度の平均値を意味する。
前記(B)のパイル糸の繊維の繊度の平均値は、次の<式1>で求められる。
<式1>
第1繊度×(第1繊度の単繊維の重量/単繊維の総重量)+第2繊度×(第2繊度の単繊維の重量/単繊維の総重量)+・・・+第m繊度×(第m繊度の単繊維の重量/単繊維の総重量)。
前記第1繊度、第2繊度、・・・、第m繊度は、太さが異なる単繊維の繊度を表す。
例えば、パイル糸が、繊度Z1(dtex)の単繊維と、繊度Z2の単繊維からなる場合、このパイル糸の単繊維の繊度は、Z1×(繊度Z1の単繊維の重量/(繊度Z1の単繊維の重量+繊度Z2の単繊維の重量))+Z2×(繊度Z2の単繊維の重量/(繊度Z1の単繊維の重量+繊度Z2の単繊維の重量))で求められる。
前記(C)のパイル糸の繊維の繊度の平均値は、次の<式2>で求められる。
<式2>
第1パイル糸の単繊維の繊度×(第1パイル糸の重量/パイル糸全体の重量)+第2パイル糸の単繊維の繊度×(第2パイル糸の重量/パイル糸全体の重量)+・・・+第nパイル糸の単繊維の繊度×(第nパイル糸の重量/パイル糸全体の重量)。
前記第1パイル糸、第2パイル糸、・・・、第nパイル糸は、太さが異なるn種類のパイル糸を表す。
例えば、単繊維の繊度がX1(dtex)の第1パイル糸がY1(g)、単繊維の繊度がX2(dtex)の第2パイル糸がY2(g)、単繊維の繊度がX3(dtex)の第3パイル糸がY3(g)で植設されているカーペットの場合、このカーペットのパイル糸を構成する繊維の繊度は、X1×(Y1/(Y1+Y2+Y3))+X2×(Y2/(Y1+Y2+Y3))+X3×(Y3/(Y1+Y2+Y3))で求められる。
なお、第1パイル糸、第2パイル糸、・・・第nパイル糸を構成する単繊維が、それぞれ2種類以上である場合には、各パイル糸の繊度は、式1で求めるものとする。
本発明のパイル糸を構成する繊維は、例えば、下記のような方法で測定した結果を、上記式1又は式2で計算することによって特定することができる。
ステップ1:カーペットの任意の箇所からパイル糸を引き出し、基布から抜き取る。通常、抜き出したパイル糸には、接着剤(目止め剤)やバッキング層などの樹脂成分が付着しているので、パイル糸を溶解せず且つ前記樹脂成分を溶解可能な溶剤(例えば、テトラヒドロフラン溶剤など)に浸漬し、前記樹脂成分を除去する。
ステップ2:ステップ1で得られたパイル糸をほぐし、JIS L 1013:2010「化学フィラメント糸試験方法」の「8.3.1 正量繊度」に記載のB法に準じて、単繊維の繊度を測定する。
ステップ3:繊度が異なる単繊維が複数存在する場合には、単繊維毎にステップ1及びステップ2を繰り返し、異なる単繊維全ての繊度を測定する。
2種類以上の太さの単繊維からなるパイル糸を使用する場合、上述のように、その平均値が綿状繊維の繊度よりも大きければよいが、好ましくは、パイル糸1を構成する全ての単繊維の繊度が、綿状繊維の繊度よりも大きいことが好ましい。
前記パイル糸5を構成する繊維5aの素材は、特に限定されず、上記に例示した天然繊維及び化学繊維などを用いることができるが、好ましくは、化学繊維が用いられる。具体的には、パイル糸5としては、例えば、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどの合成繊維の加工糸を用いることができる。
パイル糸5の目付量としては、特に限定されず、適宜設定できるが、例えば、400g/m〜3000g/mであり、好ましくは500g/m〜2000g/mである。パイル糸5の目付量を前記範囲にすることにより、クッション性に優れ、パイル糸5がへたり難いカーペット1を構成できる。
パイル糸5の植設密度は、特に限定されないが、1/4ゲージ〜1/16ゲージであることが好ましい。ここで、1/Xゲージは、ゲージ方向において1インチ当たりX本のパイル糸5が打ち込まれていることを意味する。すなわち、Xの値が大きくなるほど、パイル糸5の植設密度は高くなる。本発明のカーペット1においては、パイル糸5を高い密度で植設することにより、パイル糸5が倒れ難くして、足裏で踏まれて圧力が加わった際の水分の保持性を向上させることができる。
パイル糸5のステッチは、5〜20であることが好ましい。
本発明のカーペット1は、織布3及び前記織布3の上面に設けられた綿状繊維層4を有する基布2が優れた保水性及び乾燥性を有するため、基布2に植設されるパイル糸5に保水性及び乾燥性を付与させることは必ずしも要しない。したがって、パイル糸5の素材や形状として自由に選択できる度合いが高まり、意匠性に優れたカーペット1を構成できる。
本発明のカーペット1は、例えば、500mm×500mmや250mm×1000mmのなどの所定のサイズに打ち抜いてタイルカーペットとすると、施工する床面に合わせて、施工範囲やカーペットの配置を自由に設定することができる。タイルカーペットによれば、持ち込まれる水分量を建築物の利用者やエントランスの広さなどの要素から予測し、その施工枚数や配置を調整することによって効果的に水分処理を行うことができるようになる。本発明のカーペット1をタイルカーペットとする場合は、裏面にバッキング層を設けると、施工が容易となり、その施工枚数や配置を調整しやすくなるので好ましい。
(バッキング層)
本発明のカーペット1は、基布2の下側にバッキング層6を有するものが好ましい。カーペットの施工性や寸法安定性などを向上させるためである。また、バッキング層6を設けることにより、捕らえられた水分が施工する床面へと移行し難くなるので好ましい。
上記のように、綿状繊維層4が主として織布3の上面側に設けられているので、基布2の下面とバッキング層6の間に、綿状繊維4aが実質的に介在しない又はそれが介在したとしても僅かであるため、バッキング層6が基布2の下面に強固に接合するようになる。このため、本発明によれば、基布2とバッキング層6において層間剥離を生じ難いカーペット1を構成できる。かかるバッキング層6が剥離し難いカーペットを提供することも本発明の目的の1つである。
前記バッキング層6の下面は、カーペットを施工する面に接着剤などを介して貼り付けられる、或いは、前記施工面に固定具などを介して固定される、或いは、前記施工面に直接接するように載置される。図2に示すように、バッキング層6は、例えば、裏打ち層61、補強材62及び下面層63から構成される。もっとも、バッキング層6は、これら3層のうちの1層又は2層から構成されていてもよく、或いは、さらに、その他の機能層を有していてもよい。
裏打ち層61は、パイル糸5が植設された基布2と補強材62(補強材62を有さない又は補強材62が下面層63に埋設されている場合には基布2と下面層63)を接合するために、パイル糸5が植設された基布2の下面側に設けられる。
裏打ち層61は、通常、合成樹脂から構成される。この合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、塩化ビニル樹脂などのPVC系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのEVA系、アタクチックポリプロピレン(APP)樹脂などのAPP系、ポリウレタンなどのPUR系などが挙げられる。加工性、耐久性、及びコスト面などから、ポリ塩化ビニル樹脂などのPVC系を用いることが好ましい。
裏打ち層61には、必要に応じて、カーボンブラックなどの各種顔料、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの充填剤、安定剤、老化防止剤などの添加剤が含まれていてもよい。
裏打ち層61の厚みは、特に限定されないが、通常、0.5mm〜5.0mmである。裏打ち層61の厚みが大きすぎると、カーペットの作製が困難となり、一方、裏打ち層61の厚みが小さすぎると、基布2と補強材62などを十分な強度で接合できないおそれがある。
なお、基布2と補強材62又は基布2と下面層63を熱接合などの別の手段で接合できれば、裏打ち層61を省略することもできる。
補強材62は、寸法安定性などの物性安定性をカーペット1に付与するために設けられる。補強材62は、裏打ち層61と下面層63の境界に設けられていてもよく、特に図示しないが、下面層63の内部に埋設されていてもよい。
補強材62としては、例えば、ガラス、ポリエステル、ポリアミドなどの無機繊維若しくは合成繊維の織布又は不織布などが挙げられる。特に、寸法安定効果に優れていることから、補強材62として、ガラス繊維製の不織布又は織布などが好適に使用できる。
下面層63は、バッキング層6の最下面を構成する層である。
下面層63は、通常、合成樹脂又はゴムから構成される。この合成樹脂としては、特に限定されず、例えば、上記で例示したような、ポリ塩化ビニル(PVC)系、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(EVA)系、アタクチックポリプロピレン(APP)系、ポリウレタン(PUR)系などの樹脂が挙げられる。加工性、耐久性、及びコスト面などからポリ塩化ビニル樹脂などのPVC系を用いることが好ましい。
下面層63の厚みは、通常、1mm〜3mmであり、好ましくは1.3mm〜2mmである。下面層63の厚みが厚すぎると、その作製が困難となり、一方、下面層63が薄すぎると、不陸吸収効果及び衝撃吸収性能が低下する。
本発明のカーペット1は、例えば、次の方法によって製造することができる。もっとも、本発明のカーペット1は、次の方法によって製造されたものに限定されない。
織布3の上面に綿状繊維層4を設けることにより、基布2を得る。綿状繊維層4と織布3を一体化させて基布2を得る方法は、上述の綿状繊維層の項を参照されたい。
この基布2にパイル糸5を植設して生機を作製する。パイル糸5の植設は、公知のタフト機などにより行うことができる。
得られた生機(パイル糸5が植設された基布2)の下面にバッキング層6を形成する。
バッキング層6の形成は、従来公知の方法で行うことができる。例えば、コンベア上にポリ塩化ビニル樹脂ペーストなどの下面層形成材料を塗布し、必要に応じて、その上に補強材及びポリ塩化ビニル樹脂ペーストなどの裏打ち層形成材料を積層し、その上に生機を積層し、加熱などによって各形成材料を硬化させることによって全体を一体化することにより、長尺状のカーペットを得ることができる。
得られた長尺状のカーペットを、所望形状及び寸法に裁断することにより、本発明のカーペット1を得ることができる。
本発明のカーペット1は、保水性及び乾燥性に優れるので、建築物の出入り口に敷設されるカーペットとして好適に使用できる。好ましい1つの使用形態としては、建築物の出入り口の内部側に従来公知のダストコントロールタイルカーペットを敷設し、これに続いて本発明のカーペット1を敷設すること、或いは、建築物の出入り口の外部側に従来公知のダストコントロールタイルカーペットを敷設し、建築物の出入り口の内部側、すなわち建築物の出入り口と屋内との間の箇所に、本発明のカーペット1を敷設することなどが挙げられる。このような使用形態とすることにより、建築物の外部から内部に靴裏を通して入ってくる塵芥をダストコントロールタイルカーペットが取り除くとともに、雨天時に建築物の靴裏を通して外部から内部に入ってくる水分を本発明のカーペット1が除去することにより、水分が屋内に持ち込まれてしまうことがなく、快適な屋内空間を構築できる。
例えば、図7に示すように、建築物の出入り口に接続する屋内部分に従来公知のダストコントロールタイルカーペットを敷設し、このダストコントロールカーペットの周囲に接続して建築物の出入り口の屋内部分に本発明のカーペット1を敷設する。なお、図7乃至図9において、従来のダストコントロールカーペットにドットを付加し、本発明のカーペットに斜線を付加している。なお、無地は、これらのカーペット以外の床材(汎用的なカーペットなど)を示す。
また、図8に示すように、建築物の出入り口の屋内部分に従来公知のダストコントロールタイルカーペットを敷設し、これに続いて、屋内部分に本発明のカーペット1を敷設し、両者を交互に配置していくことにより、両カーペットで通路を形成する。このような通路は、カーペットの色彩や意匠によって視覚的に道があるように見せるものであり、出入り口から入る利用者をダストコントロールカーペット及び本発明のカーペット上を確実に歩行するように導く効果を期待できる。
さらに、図9に示すように、建築物の出入り口の屋内部分に従来公知のダストコントロールタイルカーペットを敷設し、屋内部分に本発明のカーペット1を不規則に敷設する。
以下、実施例を示し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリプロピレン製のテープヤーン(繊度:440dtex、幅:1.2mm)を経糸、ポリプロピレン製のテープヤーン(繊度:1060dtex、幅:2.0mm)を緯糸とし、経糸を22本/インチ、緯糸を13本/インチで平織りにした織布(目付量:93g/m)を準備した。
また、綿状繊維として、親水性の無数のポリエチレンテレフタレート繊維(繊度:4.4dtex、繊維長:51mm、断面視形状:中実のY字状)を準備した。
織布の上面に綿状繊維を載置し、綿状繊維の上側からニードルパンチングすることにより、織布と綿状繊維とを一体化させて、図6(a)に示すような、織布3の上面側に主繊維層41を有する綿状繊維層4が設けられた基布2を作製した。
この基布2の綿状繊維層4の全体の目付量は、100g/mであった。
パイル糸として、1375dtex/68フィラメント×1380dtex/160フィラメントで撚り数100S/100Tのナイロン糸A、及び、1375dtex/68フィラメント×1375dtex/68フィラメントで撚り数100S/100Tのナイロン糸Bを準備した。
このナイロン糸Aの繊維の繊度(単繊維の繊度)は、約12dtexであり、ナイロン糸Bの繊維の繊度(単繊維の繊度)は、8.6dtexであった。
なお、綿状繊維及びパイル糸の単繊維の繊度は、JIS L 1013:2010「化学フィラメント糸試験方法」の「8.3.1 正量繊度」に記載のB法に準じて測定した。
上記ナイロン糸Aとナイロン糸Bをほぼ同量でタフト機により基布にランダムに植設することにより、パイル糸の目付量が1000g/mの生機を作製した。植設密度は、1/12ゲージ、12.4ステッチとした。パイル高さは、6.0mm、4.5mm、3.0mmのテクスチャードループとした。
上記ナイロン糸Aを構成する繊維の繊度は、20.2×(93500/(93500+220800))+8.6×(220800/(93500+220800))=約12dtexである。
上記ナイロン糸Bを構成する繊維の繊度は、20.2×(93500/(93500+93500))+20.2×(93500/(93500+93500))=約20.2dtexである。
上記ナイロン糸Aとナイロン糸Bをほぼ等量で植設したので、実施例1でのパイル糸を構成する繊維の繊度(ナイロン糸Aとナイロン糸Bの単繊維の繊度の平均)は、12×(50/100)+20.2×(50/100)=約16.1dtexである。
他方、生機の作製とは別個に、コンベア上に、補強材としてポリエステル樹脂製ネット(倉敷紡績株式会社製の商品名「クレネット」)が埋設された厚み約1.5mmのペースト状ポリ塩化ビニル樹脂からなる下面層を形成し、さらに、その下面層の上に厚み約2.0mmのポリ塩化ビニル樹脂ペーストからなる裏打ち層を積層した。
前記裏打ち層の上に、前記生機を載せた後、全体を加熱してポリ塩化ビニル樹脂を硬化させることにより、カーペットを得た。前記カーペットを、裁断機によってゲージ方向及びその直交方向であるステッチ方向に500mm×500mmに裁断して正方形状のタイルカーペットを作製した。
[実施例2]
パイル糸の植設密度を変更し、パイル糸の目付量を900g/mとしたこと以外は、実施例1と同様にしてカーペットを作製した。
[比較例1]
織布及び綿状繊維層の代わりに、ポリエステル不織布(ユニチカ(株)製のマリックス80906/GSE)を基布として用いた以外は、実施例1と同様にしてカーペットを作製した。
[試験例1:保水性及び吸水性の評価]
実施例1、2及び比較例1で作製したカーペットを裁断機によってゲージ方向及びステッチ方向に裁断して10cm×10cmの試験片を得た。
併せて、一般的に使用されている3種類のダストコントロールカーペット(山崎産業(株)製のロンステップカーペット、3M社製のノーマッドカーペットマット、東リ(株)製のDC1100)についても同様の大きさの試験片を得た。
まず、各試験片の重量W0[g/100cm]を、分析天秤(METTLER TOLEDO社製、型番AL20)により測定した。これ以降の重量の測定は、同じ天秤を用いた。
この試験片を、常温の水槽に1分間沈め、試験片に吸水させた後、試験片を水槽から取り出し、水平状態に置いた。0.5分間水平状態に置いた後の試験片の重量W1[g/100cm]を測定した。
前記重量W1を測定後、直ぐに、試験片の上面全体に重り(9.6kg)を0.5分間載せた後、試験片の重量W2[g/100cm]を測定した。
カーペットの吸水量、保水量及び流出量を以下の式の通り定義する。
吸水量[g/m]=(W1−W0)×100
保水量[g/m]=(W2−W0)×100
流出量[g/m]=吸水量[g/m]−保水量[g/m]=W1−W2
上記式から、吸水量は、カーペットが水分を吸収できる量を示す。保水量は、カーペットに圧力をかけた後に、カーペットが保持している水分の量を示す。保水量は、カーペットを人が踏んだ際に、どれだけ水分を保持できるかを示す指標でもある。流出量は、カーペットに圧力をかけた際に、水分が流出する量を示す。流出量が少ないほど、カーペットの上面(表面)に水が浮き難くなり、後から歩行してくる人の靴裏に水分を付着され難くなるので、優れたカーペットと言える。
試験例1の結果を表1に示す。
Figure 0006694339
表1の結果から、実施例1及び2のカーペットは、比較例1のカーペットやロンステップマット、ノーマッドカーペットと比べて、保水量に優れていた。
実施例1及び2のカーペットとDC1100との対比では、DC1100の方が吸水量及び保水量の点で優れていたが、流出量の点では実施例1及び2のカーペットの方が優れていた。
[試験例2:乾燥性の評価]
実施例1及び比較例1について、10cm×10cmの試験片を作製し、[試験例1]と同様にして、重量W0[g/100cm]を測定した。そして、試験片に常温の水1.0ミリリットルを滴下し、直ちに試験片の重量Ws[g/100cm]を測定した。温度25℃、湿度65%RHの状態に試験片を静置して、所定時間ごとに重量Wt[g]を測定し、測定した時点における試験片の残留水分率[%]を次の式により求めた。
残留水分率[%]={(Wt−W0)/(Ws−W0)}×100。
試験例2の結果を図10に示す。
図10の結果から、実施例1のカーペットは、比較例1のカーペットと対比して、残留水分率が速く減少する、すなわち乾燥速度が速いことが判る。
これは、実施例のように織布を用いることで、水分が、毛細管現象により織布の経糸と緯糸に沿って直線的に移動し拡散することが促進され、綿状繊維層の面方向全体にわたって速く移動し拡散することによるものと考えられる。この結果から、本発明のカーペットは、優れた乾燥性を有する。
1 カーペット
2 基布
3 織布
4 綿状繊維層
4a 綿状繊維
5 パイル糸
6 バッキング層

Claims (3)

  1. 織布及び前記織布の上面に設けられた綿状繊維層を有する基布と、前記基布の上側に植設されたパイル糸と、前記基布の下面に設けられたバッキング層と、を有し、
    前記綿状繊維層は、無数の綿状繊維が絡み合って構成されており、
    前記綿状繊維層の目付量が、50g/m〜200g/mであり、
    前記綿状繊維層を構成する綿状繊維の繊度が、前記パイル糸を構成する繊維の繊度よりも小さく、
    前記織布、綿状繊維層及びバッキング層のそれぞれが、端面において露出されていることを特徴とする、タイルカーペット。
  2. 前記綿状繊維層を構成する綿状繊維の繊度と前記パイル糸を構成する繊維の繊度との比率が、1:1.1〜1:50である請求項1に記載のタイルカーペット。
  3. 前記綿状繊維層が、断面視略Y字形状の綿状繊維を含む、請求項1または2に記載のタイルカーペット。
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