本発明は、ねぎの掘り起こしに際して畝の肩部を崩す畝崩し装置を備えたねぎ収穫機において、畝崩し装置の畝崩しロータに対して機体の左右外側方に、畝崩し装置から排出される土を機体の左右外側方に案内する土案内構造としての排出土案内部を備えることにより、畝崩しにより生じた土の排出を円滑に行い、畝崩し装置における土の停滞・堆積を防止しようとするものである。以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1から図5に示すように、本実施形態に係るねぎ収穫機1は、圃場に栽培されているねぎ2を畝3から掘り起こして収穫するものである。ねぎ収穫機1は、自走式の走行機体4を有し、機体を前進させながらねぎ2を畝3から掘り起こして収穫する。ねぎ収穫機1は、走行機体4に、ねぎ2を収穫するための収穫部5を備える。本実施形態において、ねぎ収穫機1の収穫の対象となるねぎ2は、白ねぎや根深ねぎ等の長ねぎであり、根茎部2aと葉部2bとを有する。
走行機体4は、左右一対のクローラ部7,7を有するクローラ式の走行装置として構成された走行部6を備える。クローラ部7は、駆動輪7a、従動輪7b、転動輪7c、およびこれらの車輪に巻回された履帯7dを有する。クローラ部7は、ねぎ収穫機1が備えるエンジン9により駆動する。走行機体4は、左右のクローラ部7,7間に、立体枠状に枠組み構成された機体フレーム枠体8を有する。機体フレーム枠体8は、左右のクローラ部7,7間に架設されている。
エンジン9は、機体フレーム枠体8の右側後部であって、右側のクローラ部7の後上方の位置に搭載されている。機体フレーム枠体8の下部であって、左右のクローラ部7間の位置には、エンジン9からの入力を受けるトランスミッション10が設けられている(図5参照)。
機体フレーム枠体8の右側上部には、左右のクローラ部7,7の操向・変速操作および収穫部5の各作業部についての操作を行うための操作部11が設けられている。操作部11には、主変速レバー12、副変速レバー13、作業部上下レバー14、走行クラッチ・作業クラッチ操作用の主クラッチレバー15、エンジンストップスイッチ16、左サイドクラッチレバー17、右サイドクラッチレバー18、アクセルレバー19等の各種操作具が設けられている。また、操作部11の後側には、平面視で略「U」字型をなすハンドル20が、その前側が取り付けられた状態で設けられている。アクセルレバー19は、ハンドル20上に設けられている。
機体フレーム枠体8の後端部には、作業者A1が搭乗する搭乗部として、略水平板状の搭乗用ステップ22が設けられている。搭乗用ステップ22は、収穫部5の各作業部の後方の位置に、後方へ向けて張り出した態様で設けられている。搭乗用ステップ22の高さ位置は、ねぎ2の掘起こし後にねぎ2の付着土等が堆積した状態の畝3と干渉しない程度の高さ位置に設定されている。
搭乗用ステップ22は、その前半部を構成する固定側ステップ部22aと、搭乗用ステップ22の後半部を構成する可動側ステップ部22bとを有する。固定側ステップ部22aは、機体フレーム枠体8の後端下部に設けられたステー22cを介して機体フレーム枠体8に対して固定された状態で、後方に向けて水平状に張り出すように設けられている。可動側ステップ部22bは、固定側ステップ部22aの後端部に設けられた枢支連結部22dにより固定側ステップ部22aに対して左右方向を回動軸方向として回動可能に連結されている。可動側ステップ部22bは、固定側ステップ部22aに連続するように略水平状となる回動位置を、搭乗用ステップ22使用時の回動位置とし、この回動位置から、上方に起立した状態となる回動位置までの間で回動可能に設けられている。可動側ステップ部22bが起立した状態となる回動位置は、ねぎ収穫機1の移動時等の不使用時の回動位置である。
ねぎ収穫機1は、収穫部5において、掘起こし部25と、搬送部26と、掻き落とし部27と、姿勢変更・整列部28と、収集部29とを備える。
掘起こし部25は、畝3からねぎ2を掘り起こすための作業部である。掘起こし部25は、機体の前下部の左右中央部に設けられている。掘起こし部25は、矩形枠状の支持枠体31と、支持枠体31に支持された掘起こしコンベア32と、掘起こし部25の先端において刃部を構成する掘起こし刃33とを有する。
支持枠体31は、平面視で前後方向を長手方向とする矩形状をなすように設けられている。支持枠体31は、その基端部(後端部)を、機体フレーム枠体8に対して枢軸34により支持させている。枢軸34は、左右方向を軸方向として、支持枠体31を機体フレーム枠体8に対して回動可能に支持する。枢軸34は、その両端部を、機体フレーム枠体8に設けられた枢軸受部34aに支持させている。つまり、支持枠体31は、その基端部に設けられた枢軸34により、枢軸34の端部を受ける枢軸受部34aを介して、機体フレーム枠体8に支承されている。
掘起こしコンベア32は、複数のバーを左右方向に架設したいわゆるバーコンベアであり、支持枠体31の前部に支持された状態で、後上がりの(前低後高の)傾斜状に設けられている。掘起こし刃33は、掘起こしコンベア32の始端側(前端側)において、掘起こしコンベア32に取り付けられ、前方に突出するように設けられている。
掘起こし部25は、機体フレーム枠体8に対して、枢軸34による支持部を回動中心とし、昇降回動可能に設けられている。つまり、掘起こし部25は、その後端部を機体フレーム枠体8に対して支持する枢軸34を中心に回動することで、前側を昇降させる。掘起こし部25の回動動作は、略前後方向を伸縮方向として設けられた昇降シリンダ35(図5参照)の伸縮動作により行われる。
昇降シリンダ35の基端側(シリンダ側)は、機体フレーム枠体8に設けられたシリンダステー36に支持されている。昇降シリンダ35の先端側(ロッド側)は、支持枠体31に設けられた昇降アーム37に連結されている。昇降アーム37は、枢軸34、および枢軸34の前方において枢軸34と平行に設けられた支持軸38上に支持された状態で設けられている。支持軸38は、支持枠体31を構成する左右のフレーム部31a間に架設されている。掘起こし部25の昇降操作は、作業部上下レバー14の操作により行われる。
搬送部26は、掘起こし部25により掘り起こしたねぎ2を後方へ搬送するための作業部である。搬送部26は、掘起こし部25の直上方において、掘起こし部25の掘起こしコンベア32の傾斜に沿って、後上がりの傾斜状に設けられている。搬送部26は、掘起こし部25により掘り起こした起立姿勢のねぎ2を、その中途部を左右側方から挟持した状態で後上方へ向けて搬送するように構成されている。
搬送部26は、搬送方向を後上がりの傾斜方向とし、後上がりの傾斜平面に沿って設けられた左右一対のベルト搬送機構部41,41を有する。各ベルト搬送機構部41は、その後端部に設けられた駆動プーリ42と、ベルト搬送機構部41の前端部に設けられた従動プーリ43と、これらのプーリに巻回された無端状の搬送ベルト44とを有する。駆動プーリ42および従動プーリ43は、ねぎ収穫機1の機体側面視において搬送ベルト44の傾斜に直交する方向を回転軸方向とする。
左右のベルト搬送機構部41,41は、それぞれの搬送ベルト44を互いに対向させ、対向する側が後方に移動する方向に搬送ベルト44を回動させる。左右の搬送ベルト44は、相手側の搬送ベルト44に対向させた側を、後側に移動する往路部分とし、その往路部分同士を対面状態で面接触させている。左右の搬送ベルト44は、互いの接触部分においてねぎ2の葉部2bを挟持した状態で、ねぎ2を後上方へ搬送する。なお、搬送ベルト44の内周側には、複数のテンションローラが設けられている。
掻き落とし部27は、搬送部26により搬送されるねぎ2の根茎部2aに付着している土塊を掻き落とすための作業部である。掻き落とし部27は、ねぎ2の根茎部2aに作用する土落とし回転体45を有する。土落とし回転体45は、左右方向を回転軸方向とする略筒状の回転体であり、掘起こし部25の支持枠体31の上側であって、搬送部26の後端部の下方の位置に設けられている。
土落とし回転体45の回転軸46は、土落とし回転体45から右方に突出しており、図示せぬ軸ケース内を通って、この軸ケースの右側に設けられたチェンケース48内に突出している。チェンケース48は、チェン伝動機構48aを収納するものであり(図12参照)、回転軸46の軸ケースの連結部分から後上方に向けて延設されている。
土落とし回転体45の外周面部には、多数の突起部45aが、土落とし回転体45の軸方向視で放射状に突出するように、土落とし回転体45の軸方向および周方向に所定の間隔を隔てて設けられている。突起部45aは、略「V」字形状に屈曲形成された線状の部材の両端部が土落とし回転体45の外周面部に埋設された態様で設けられている。突起部45aとしては、搬送部26により搬送されるねぎ2の根茎部2aの位置等に応じて、大小2種類の大きさのものが設けられている。
土落とし回転体45は、突起部45aを、ねぎ2の根茎部2aに付着した土塊に衝突させる方向を、搬送部26によるねぎ2の搬送方向にならう方向とする。つまり、搬送部26の下方に設けられて搬送部26により後方に搬送されるねぎ2の下端部の根茎部2aに作用する土落とし回転体45は、ねぎ収穫機1の左側面視にて時計方向に回転するように構成されている。また、土落とし回転体45の回転速度は、搬送部26の搬送速度よりも十分に速く設定されている。例えば、土落とし回転体45の回転速度(周速度)は、1[m/s]であり、搬送部26の搬送速度(周速度)は、0.05[m/s]である。
このような構成の掻き落とし部27によれば、掘り起こしコンベア32と搬送部26とが協働して搬送してきたねぎ2の根茎部2aに付着している土塊の大部分が、土落とし回転体45の周壁に突設した多数の突起部45aにより掻き落とされる。ここで、土落とし回転体45は、回転することで、根茎部2aに付着している土塊に対して多数の突起部45aを連続的に衝突させ、根茎部2aに付着している土塊を可及的に小さくする。
姿勢変更・整列部28は、搬送部26の直後方の位置に設けられている。姿勢変更・整列部28は、搬送部26により起立姿勢で搬送されたねぎ2を搬送部26の終端部から受け継ぎ、受け継いだねぎ2の中途部を挟持して搬送する。姿勢変更・整列部28は、挟持したねぎ2を起立姿勢から外側方へ前傾状に傾斜した傾倒姿勢に姿勢変更するとともに、姿勢変更したねぎ2を搬送方向に沿って整列させながら、左右一側後上方(本実施形態では左側後上方)へ向けて搬送する。
姿勢変更・整列部28は、搬送方向を左斜め後上がりの傾斜方向とし、搬送部26の後端部から左斜め後上方に延設された左右一対のベルト移送機構部51,51を有する。各ベルト移送機構部51は、その前端部に設けられた駆動プーリ52と、ベルト移送機構部51の後端部に設けられた従動プーリ53と、これらのプーリに巻回された無端状の搬送ベルト54とを有する。
ベルト移送機構部51は、前端部から後端部にかけて、徐々に左外側を向くようにねじれ状に構成されている。具体的には、前側の駆動プーリ52は、ねぎ収穫機1の機体側面視において搬送ベルト54の傾斜に略直交する方向を回転軸方向とし、後側の従動プーリ53は、その回転軸方向を、駆動プーリ52の回転軸方向に対して、前側かつ左側に傾倒させた方向とする。ねぎ収穫機1の機体正面視における従動プーリ53の傾倒角度は、例えば約45°である。
左右のベルト移送機構部51,51は、それぞれの搬送ベルト54を互いに対向させ、対向する側が後方に移動する方向に搬送ベルト54を回動させる。左右の搬送ベルト54は、相手側の搬送ベルト54に対向させた側を、後側に移動する往路部分とし、その往路部分同士を対面状態で面接触させている。ベルト移送機構部51のねじれ状の構成により、搬送ベルト54の往路部分同士の接触部分は、挟持面を前側から後側にかけて徐々に前面視で右回転方向に傾けるように、ねじれ状に延伸している。左右の搬送ベルト54は、互いの接触部分においてねぎ2の葉部2bを挟持した状態で、ベルト移送機構部51のねじれ状の構成によって、ねぎ2を左側に倒しながら左斜め後上方へ搬送する。なお、搬送ベルト54の内周側には、複数のテンションローラが設けられている。
また、姿勢変更・整列部28においては、左右のベルト移送機構部51,51により挟持されたねぎ2の葉部2b側および根茎部2a側それぞれに対応して、ベルト移送機構部51の延設方向に沿うように葉部側ガイド体56および根茎部側ガイド体57が設けられている。これらのガイド体により、ねぎ2の葉部2b側と根茎部2a側が下方から支持された状態で、ねぎ2が摺動案内される。
葉部側ガイド体56および根茎部側ガイド体57は、それぞれ所定の形状をなすように屈曲ないし湾曲した棒状の部材により構成されている。葉部側ガイド体56および根茎部側ガイド体57は、それぞれベルト移送機構部51の始端近傍位置から終端部の後側の位置にかけて延設されている。葉部側ガイド体56および根茎部側ガイド体57それぞれの後端部は、後下方に向くように延出しており、各ガイド体の後端部の下方に、収集部29が配置されている。これにより、左右のベルト移送機構部51,51により搬送されたねぎ2が葉部側ガイド体56および根茎部側ガイド体57によりガイドされることで、折れ曲がることなく、収集部29上に落下されて収集される。
葉部側ガイド体56は、上側支持ステー58に支持された状態で設けられている。上側支持ステー58は、左側のベルト移送機構部51の支持フレーム59の中途部から上側に突設されている。支持フレーム59は、左側のベルト移送機構部51の長手方向に沿って延設されるとともに従動プーリ53を支持する。また、根茎部側ガイド体57は、下側支持ステー60に支持された状態で設けられている。
以上のような姿勢変更・整列部28により、起立姿勢から傾到姿勢(前傾姿勢)に姿勢変更しながら搬送方向に沿って整列して左斜め後上方へ搬送されたねぎ2は、順次、収集部29に収集・貯留される。
収集部29は、姿勢変更・整列部28の後下方の位置に設けられている。収集部29は、姿勢変更・整列部28により搬送されてくるねぎ2を順次収集するための略矩形状の外形をなす収集台61を有する。収集部29は、収集台61の前端縁部を、姿勢変更・整列部28の終端部の下方に位置させ、姿勢変更・整列部28の終端部から落下したねぎ2を受け、ねぎ2を収集・貯留する。
収集台61は、支持アーム62により、収集台61が機体フレーム枠体8の後側に取り付けられている。支持アーム62は、所定の形状に屈曲形成されたパイプ状の部材により構成されており、上下方向に沿う縦支持部62aと、略水平方向に沿って後方に延出した横支持部62bとを有する。支持アーム62の横支持部62b上に、収集部29においてねぎ2の載置台部を構成する収集台61が支持されている。
支持アーム62の縦支持部62aは、機体フレーム枠体8の後端部に設けられた円筒状の支持筒部63に上側から挿嵌されている。支持筒部63は、上下方向を筒軸方向とし、縦支持部62aを回動可能に支持する。このような構成により、収集台61は、上下方向に沿う支持筒部63の筒軸方向を中心として、回動可能に設けられている。
また、支持アーム62の横支持部62bは、収集台61を回動可能に支持する。つまり、収集台61は、略前後方向に沿うパイプ状の部分である横支持部62bの中心軸を回転軸として、横支持部62bに回動可能に支持されている。横支持部62bは、収集台61の右縁部の下側に位置する。つまり、収集台61は、その大部分を横支持部62bから左側に張り出させた態様で支持されている。
そして、収集部29は、支持アーム62の縦支持部62aの軸心回りの回動により、使用時においては、各図に示すように機体フレーム枠体8の左後側に位置し、不使用時においては、機体フレーム枠体8の直後方に位置した収納状態となる。また、収集部29は、支持アーム62の横支持部62bの軸心回りの収集台61の回動により、使用時においては、収集台61を各図に示すような横臥状態とし、不使用時においては、収集台61を垂下状態とする。したがって、収集部29を収納状態としながら収集台61を垂下状態とするとともに、さらに、搭乗用ステップ22の可動側ステップ部22bを起立した状態に回動させることで、ねぎ収穫機1をコンパクトに格納することができる。
また、収集部29は、搭乗用ステップ22の左側に設けられており、これに対し、搭乗用ステップ22の右側には、操作部11が設けられている。このような構成により、搭乗用ステップ22上に乗って操作部11を操作している作業者A1の左方において、収穫したねぎ2が収集部29上に横臥姿勢で山積みされて収集されるので、操作部11の操作性とねぎ2の収集作業性の両立が図られる。
また、ねぎ収穫機1において、収穫部5の前方には、左右一対のゲージ輪71,71が設けられている。左右のゲージ輪71,71は、収穫部5の前端部の対地高さを決める接地ホイールであり、畝3の左右側方に接触した状態で、走行機体4を畝3に沿って走行させる。
ゲージ輪71,71は、機体フレーム枠体8の前方に設けられて搬送部26を支持する搬送部支持フレーム部72に取り付けられたゲージ輪支持機枠73に支持されている。ゲージ輪支持機枠73は、正面視門状の後ガイドフレーム部74と、左右の支持アーム部75,75と、正面視門状の前ガイドフレーム部76と、各支持アーム部75の前端部から延設されたゲージ輪支持アーム部77とを有する。
後ガイドフレーム部74は、パイプ状の部材により構成されており、その両端部を搬送部支持フレーム部72の前端部に設けられた取付プレート72bに支持固定させ、搬送部26の前端部を左右に跨ぐように設けられている。支持アーム部75は、後ガイドフレーム部74の左右の枠部分の上下中途部から前方に向けて水平状に延設された帯板状の部分である。前ガイドフレーム部76は、パイプ状の部材により構成されており、その両端部を左右の支持アーム部75の前後中途部に支持固定させ、正面視で後ガイドフレーム部74と略重なるように左右の支持アーム部75間に架設されている。
ゲージ輪支持アーム部77は、各支持アーム部75の前端部から前下方に向けて傾斜状に設けられた略棒状の部分である。各ゲージ輪支持アーム部77の下端部に、ゲージ輪支承部材77aを介してゲージ輪71が回転自在に支持されている。左右のゲージ輪71,71は、下側ほど互いの間の間隔を狭くするように、つまり機体正面視で逆「ハ」字状をなすように傾斜状に支持されている。なお、左右のゲージ輪71,71は、ゲージ輪支持アーム部77が有するゲージ輪支承部材77aの左右位置調整構造によって、畝3の幅に応じて、互いの間の間隔が調整可能に設けられている。また、左右のゲージ輪71,71は、ゲージ輪支持アーム部77の上側に設けられた回転ハンドル77bの操作により、高さ調整可能に設けられている。
以上のような構成を備えたねぎ収穫機1は、収穫部5において、掘起こし部25の前方、かつゲージ輪71の後方に、左右一対の畝崩し装置80を備える。畝崩し装置80は、掘起こし部25の前方の左右両側に設けられている。畝崩し装置80は、掘起こし部25によるねぎ2の掘起こしに際して畝3に作用して畝3の両側の肩部を崩す畝崩しロータ81を有する。
畝崩し装置80は、畝崩しロータ81によって畝3の両肩部を崩すことで、掘起こし部25の掘起こし刃33の畝3に対する進入抵抗を低減させ、掘起こし部25による掘起こし作業を円滑にする。このため、左右の畝崩し装置80は、畝崩しロータ81を、畝3の両肩部に位置させるように、左右対称に設けられている。
畝崩しロータ81は、図7から図9に示すように、円板状の爪取付板82と、爪取付板82に取り付けられた複数(本実施形態では6個)の爪83とを有する。畝崩しロータ81は、爪取付板82の板面に垂直な方向を回転軸方向とし、回転軸を、円板状の爪取付板82の中心に位置させる。
爪83は、所定の湾曲形状を有する細長板状の部材であり、直線状の取付部83aと、湾曲状の爪本体部83bとを有する。爪83は、その取付部83aを、爪取付板82の内側の板面に沿わせ、爪本体部83bを爪取付板82から外側に突出させた状態で、爪取付板82に取り付けられている。取付部83aは、ボルト等の固定具84により爪取付板82に固定されている。爪本体部83bは、爪取付板82の回転軸方向視で爪取付板82の回転方向と反対側に湾曲するとともに、爪取付板82の径方向視で左右外側(取付部83aの固定側と反対側)に湾曲した形状を有する。各爪83は、その取付部83aの長手方向を爪取付板82の径方向に沿わせた状態で取り付けられており、6本の爪83は、爪取付板82の中心位置から放射状となるように、爪取付板82の周方向について等間隔で取り付けられている。
左右の畝崩しロータ81は、下側ほど互いの間の間隔を狭くするように、つまり機体正面視で逆「ハ」字状をなすように傾斜状に設けられている。畝崩しロータ81は、その下側を前方に移動させるように、つまりアップカットするように回転する(図9、矢印B1参照)。回転する左右の畝崩しロータ81により、畝3の両側の肩部が切り崩される。なお、爪83の個数、形状、および取付構造は、畝3の形状・大きさや圃場の状況等に応じて適宜変更されるものであり、特に本実施形態に限定されるものではない。
畝崩し装置80は、畝崩しロータ81を回転させるロータ回転軸85を有する。ロータ回転軸85は、爪取付板82の中心部から左右外側(機体の左右方向における外側、以下同じ。)に延出している。ロータ回転軸85は、略筒状の駆動ケース86内に収納されている。駆動ケース86の左右内側(機体の左右方向における内側、以下同じ。)、つまり畝崩しロータ81の配置側には、筒状のボス87が駆動ケース86と同軸状に取り付けられている。ロータ回転軸85は、駆動ケース86からボス87を介して左右内側に突出し、その先端部に畝崩しロータ81の爪取付板82を支持する。
ロータ回転軸85は、パイプ状ケース89内に収納されたロータ駆動軸88(図12参照)の回転駆動力を受けて回転する。パイプ状ケース89は、機体下部の左右両外側において前下がりの傾斜状に配され、前端部を駆動ケース86の後側に連結させている。駆動ケース86には、ロータ駆動軸88とロータ回転軸85の互いのギア連結部分が収納されている。
左右のロータ駆動軸88は、機体フレーム枠体8の前側に横架された横架軸ケース91内に収納された作業部入力軸90の回転駆動力を受けて回転する。作業部入力軸90は、機体左右方向を軸方向とする。横架軸ケース91の左右両端部には、ロータ駆動軸88と作業部入力軸90の互いのギア連結部分を収納するギアケース92が設けられており、このギアケース92の前側に、パイプ状ケース89の後端部が連結されている。
このように、本実施形態に係るねぎ収穫機1において、畝崩しロータ81に対する機体の左右外側方には、畝崩しロータ81に駆動力を伝達するための駆動機構を収納した駆動ケース86が設けられている。すなわち、左側の畝崩し装置80の畝崩しロータ81Lの左側には、その畝崩しロータ81Lの爪取付板82に連結されたロータ回転軸85を収納した駆動ケース86Lが配置されており、右側の畝崩し装置80の畝崩しロータ81Rの右側には、その畝崩しロータ81Rの爪取付板82に連結されたロータ回転軸85を収納した駆動ケース86Rが配置されている。なお、駆動ケース86に収納された、畝崩しロータ81に駆動力を伝達するための駆動機構には、ロータ回転軸85、ロータ回転軸85に固設されたベベルギア85a、およびロータ駆動軸88の前端部に固設されたベベルギア88aが含まれる(図12参照)。
また、畝崩し装置80は、畝崩しロータ81の畝3に対する非作用側、後側および上側の各側における少なくとも一部を覆うロータカバー100を有する。ロータカバー100は、畝崩しロータ81による畝崩しにより生じた土の飛散を防止するための土飛散防止用のカバーである。
ロータカバー100は、畝崩しロータ81の上方に設けられており、畝崩しロータ81の直上側、前斜め上側、および後斜め上側を覆う上方カバー部100aと、畝崩しロータ81の左右外側、つまり畝3に対する非作用側を覆う側方カバー部100bとを有する。上方カバー部100aおよび側方カバー部100bは、屈曲状に連続した板状の部分であり、畝崩しロータ81の回転外形の上部に沿うように凸曲面構造をなす。
ロータカバー100は、その側方カバー部100bを、板状のカバーステー101に支持させた状態で取り付けられている。カバーステー101は、駆動ケース86のボス87側に設けられたフランジ部に対してボス87とともにボルトにより共締めされて固定されており、駆動ケース86とボス87との連結部分から上側に突設されている。カバーステー101は、その大部分を、機体側面視で爪取付板82の略上半部に重なるように設けられている。ロータカバー100は、側方カバー部100bをカバーステー101に対して外側に重ねた状態で、ボルト等の固定具102によりカバーステー101に固定されている。固定具102による固定部は、側方カバー部100bの前後中間部において、前後の2箇所に設けられている。
このように、ロータカバー100は、側方カバー部100bを、爪取付板82の左右外側に位置するカバーステー101に重ねた状態で畝崩しロータ81の左右外側に位置させるとともに、側方カバー部100bの上部に連続する上方カバー部100aを畝崩しロータ81の上方に位置させることで、畝崩しロータ81の上側および左右外側を覆う。
また、各畝崩し装置80の左右内側には、左右に広がったねぎ2の枯葉等が畝崩しロータ81に干渉しないよう、ねぎ2の枯葉等をガイドするガイド部材105が設けられている。ガイド部材105は、ロータカバー100に付設され、畝崩しロータ81の上側に設けられている。ガイド部材105は、略直線棒状の主ガイド棒体106と、主ガイド棒体106に対して分岐状に設けられた屈曲棒状の副ガイド棒体107と、主ガイド棒体106および副ガイド棒体107をロータカバー100に対して支持する屈曲板状の取付板108とを有する。
主ガイド棒体106は、ロータカバー100の上方カバー部100aの前部の前下がりの傾斜に沿うように、前下がりの傾斜状に設けられている。図9に示すように、主ガイド棒体106は、側面視で直線状をなし、上下方向について、下端となる前端を、畝崩し装置80により切り崩される畝3の上端位置よりも下方に位置させ、上端となる後端を、搬送部26のベルト搬送機構部41の前端部の上方に位置させる。
また、主ガイド棒体106は、前後方向について、前端となる下端を、畝崩しロータ81よりも前方に位置させ、後端となる上端を、畝崩しロータ81よりも後方の位置であるベルト搬送機構部41の前端よりも後方に位置させる。すなわち、主ガイド棒体106は、前後方向について、回転径D1の畝崩しロータ81に対して、前後両側にはみ出すような範囲にわたって延設されている。また、主ガイド棒体106は、その前端寄りの位置に屈曲部106aを有し、後端から屈曲部106aにかけて左右内側に向けてわずかに傾斜した部分と、屈曲部106aから前端にかけて左右外側に向けてわずかに傾斜した部分とを有する。
副ガイド棒体107は、その前部107aを主ガイド棒体106の前端部に突き合わせた状態で前部107aの前端部を主ガイド棒体106の前端よりも前側に伸延させるとともに、主ガイド棒体106に対して上側に枝分かれするように設けられている。副ガイド棒体107は、主ガイド棒体106の前端部に沿う前部107aと、前部107aに対する屈曲部分であって主ガイド棒体106とともに略「V」字状をなす中間部107bと、中間部107bに対する屈曲部分であって主ガイド棒体106と略平行な後端部107cとを有する。つまり、副ガイド棒体107の中間部107bは、主ガイド棒体106の前下がりの傾斜よりも水平方向に対する傾斜角度が大きい部分となる。
取付板108は、矩形状の板体が屈曲した態様の部材であり、ロータカバー100の上方カバー部100aに沿う上面支持部108aと、上面支持部108aから左右内側に垂れ下がるように延出した側面支持部108bとを有する。取付板108は、上面支持部108aを上方カバー部100aに対して上側から重ねた状態で、ボルト等の締結具109により前後2箇所で固定されている。取付板108は、ロータカバー100の左右内側の開放側に側面支持部108bを部分的に被せるように設けられている。取付板108は、上方カバー部100aの前下がりの傾斜状の部分の後部に取り付けられている。
取付板108に、主ガイド棒体106および副ガイド棒体107が固定支持されている。主ガイド棒体106は、その延設方向の中間部の前側寄りの部分を取付板108の側面支持部108bの下端縁部に沿わせた態様で、溶接等により取付板108に固定されている。副ガイド棒体107は、その後端部107cを取付板108の側面支持部108bの前側の上端部に溶接等により固定させている。また、副ガイド棒体107は、その前部107aの後半部を主ガイド棒体106の前端部に対して溶接等により固定させている。
このように、主ガイド棒体106および副ガイド棒体107は、取付板108に固定支持されており、取付板108を介してロータカバー100に取り付けられている。また、ガイド部材105において、主ガイド棒体106の前部と取付板108との間に架設された態様で設けられた副ガイド棒体107によれば、主ガイド棒体106の前部を補強する作用が得られるとともに、取付板108へのねぎ2の引っかかりを確実に防止することができる。
また、取付板108においてロータカバー100に固定するための締結具109を貫通させる固定用孔108cは、左右方向を長手方向とする長孔となっている。これにより、左右方向について、固定用孔108cの長さの範囲で、ロータカバー100に対する取付板108の固定位置、つまり、主ガイド棒体106および副ガイド棒体107の配置位置の調整が可能となっている。このように、ガイド部材105は、一体的な構成として、ロータカバー100に対して左右方向に位置調整可能に設けられている。
続いて、本実施形態に係るねぎ収穫機1が備える各作業部の支持構造等について説明する。上述したように、掘起こし部25は、その後端部を機体フレーム枠体8に回動可能に支持させており、昇降シリンダ35の伸縮動作によって昇降回動可能に設けられている。これと同様に、搬送部26および左右の畝崩し装置80,80は、走行機体4に対して昇降回動可能に設けられている。
図6に示すように、搬送部26および左右の畝崩し装置80,80は、それぞれ後端部を走行機体4に枢支させ、前端部側を昇降させるように構成されている。搬送部26および左右の畝崩し装置80,80は、それぞれの後端部に設けられた軸支部26a,80aにより、上述のとおり機体フレーム枠体8の前側に横架された横架軸ケース91に同軸的に支持されている。
搬送部26は、その後端部の下側に、ベルト搬送機構部41,41に動力を伝達するための伝動軸等を収納する搬送部伝動ケース111を有する。搬送部伝動ケース111の後方に、横架軸ケース91が設けられている。横架軸ケース91は、機体フレーム枠体8の前側の左右に設けられた支持ステー112に軸線回りに回動可能に支持されている。この横架軸ケース91に、搬送部26の軸支部26aが支持される。また、畝崩し装置80については、パイプ状ケース89の後端部に連結されるとともに横架軸ケース91の左右端部に連結されたギアケース92の、横架軸ケース91に対する連結部分の近傍が軸支部80aとなる。
このように、搬送部26および左右の畝崩し装置80,80は、横架軸ケース91の軸心位置を共通の回動中心の位置として、走行機体4に対してそれぞれ回動可能に支持されている。したがって、搬送部26と畝崩し装置80とは、走行機体4に対する回動位置の調整により、前端側の部分同士の相対的な上下位置関係が調整されるように設けられている。また、搬送部26および畝崩し装置80に対し、掘起こし部25は、走行機体4に対する回動位置の調整により、前端側の部分同士の相対的な上下位置関係が調整される。
また、図6に示すように、搬送部26の後側には、姿勢変更・整列部28の始端部が連動連結されている。搬送部26および姿勢変更・整列部28は、これらの下側に設けられた搬送部支持フレーム部72および搬送部伝動ケース111により支持されている。そして、搬送部26および姿勢変更・整列部28は、横架軸ケース91を介して支持ステー112に一体的に枢支されている。支持ステー112による支持部分は、搬送部26および姿勢変更・整列部28を含む一体的な前傾状の構成の前後略中央部に位置する。したがって、搬送部26および姿勢変更・整列部28を含む一体的な構成が、横架軸ケース91を中心に搬送部26の前側が上昇するように回動すると、姿勢変更・整列部28の後側が下降することになる。
また、掘起こし部25を構成する掘起こしコンベア32と、搬送部26の前後中間部との間には、左右一対の上下間隔調整機構部120が設けられている。上下間隔調整機構部120は、搬送部支持フレーム部72が有するステー72aから下方に向けて延設されたアーム状の上支持体121と、掘起こしコンベア32の左右外側の側面部から上方に向けて延設されたアーム状の下支持体122とを互いにスライド可能に重ねた構成を備える。上支持体121は、ステー72aに対して回動可能に支持されている。下支持体122は、掘起こしコンベア32の左右外側の側面部に対して支承部32aにより回動可能に支持されている。
上支持体121および下支持体122は、それぞれに設けられた固定孔を貫通するボルト等の固定具123により互いに固定される。固定具123が貫通する固定孔は、上支持体121および下支持体122それぞれにおいて長手方向(スライド方向)に間隔をあけて複数設けられている。固定具123による固定に使用される固定孔によって、上支持体121と下支持体122の長手方向についての相対的な固定位置、つまり上下間隔調整機構部120の長さが段階的に調節される。上下間隔調整機構部120の長さの調節により、搬送部26と掘起こしコンベア32との上下方向の相対位置が調節される。
そして、上下間隔調整機構部120による掘起こし部25と搬送部26との連結構造により、搬送部26が、昇降シリンダ35の伸縮動作に連動して、掘起こし部25とともに一体的に昇降されるように構成されている。また、掘起こし部25の後側に設けられた掻き落とし部27も、掘起こし部25とともに一体的に昇降する。
また、本実施形態に係るねぎ収穫機1において、掘起こし部25、搬送部26、および掻き落とし部27は、走行機体4の左右中央部において前後方向に沿って、詳細にはねぎ収穫機1の左右中心線に沿って、一列に配設されている。そして、これらの作業部の後方に、搭乗用ステップ22が設けられている。
また、畝崩し装置80から後方に延設されたパイプ状ケース89と、搬送部26の前端部との間には、上下間隔調節部材125が設けられている。上下間隔調節部材125は、パイプ状ケース89の前部において上側に突出するように、パイプ状ケース89の外周面に溶接等により固設されている。上下間隔調節部材125は、略左右方向を板厚方向とする板状の支持面部125aを有する。
上下間隔調節部材125は、搬送部支持フレーム部72の前端部に設けられた取付プレート72b左右外側の側面に設けられた支持体126に、ボルト等の固定具127により前後2箇所で固定されている。上下間隔調節部材125は、各固定具127を、固定用長孔125bに貫通させる。固定用長孔125bは、略上下方向を長手方向とする長孔である。
このような構成により、上下間隔調節部材125は、支持体126に対して、固定用長孔125bの長手方向に沿う上下方向の固定位置の調整が可能に設けられている。上下間隔調節部材125の上下方向の固定位置の調整により、搬送部26と畝崩し装置80との上下方向の相対位置が調整される。
次に、本実施形態に係るねぎ収穫機1における動力伝達構成について、図12を用いて説明する。ねぎ収穫機1は、その動力伝達構成として、走行機体4に設けられた走行機体伝動機構部131と、収穫部5に設けられた収穫部伝動機構部132とを有する。
走行機体伝動機構部131において、上述のとおり機体フレーム枠体8に搭載されたエンジン9の出力軸9aと、エンジン9の前方に搭載された油圧ポンプ133の入力軸133aとの間に、第1チェン伝動機構134が設けられている。第1チェン伝動機構134により、エンジン9の出力軸9aの回転駆動力が、油圧ポンプ133の入力軸133aに入力される。
また、エンジン9の出力軸9aと、機体フレーム枠体8に設けられた変速ケース135の入力軸135aとの間に、第2チェン伝動機構136が設けられている。第2チェン伝動機構136により、エンジン9の出力軸9aの回転駆動力が、変速ケース135の入力軸135aに入力される。エンジン9の動力は、変速ケース135を介して、クローラ部7を駆動させる走行駆動系と、各作業部を駆動させる作業駆動系とに二分される。
変速ケース135の出力軸135bの左側端部と、機体フレーム枠体8に設けられたトランスミッション10の入力軸10aとの間に、第1ベルト伝動機構137が設けられている。第1ベルト伝動機構137により、変速ケース135の出力軸135bの回転駆動力が、トランスミッション10の入力軸10aに伝達される。トランスミッション10の入力軸10aに入力された回転駆動力は、トランスミッション10が有する伝動機構によってトランスミッション10の出力軸10bに伝達される。出力軸10bの両端部には、クローラ部7の駆動輪7aが取り付けられている。
収穫部伝動機構部132は、横架軸ケース91内に収納された作業部入力軸90において、変速ケース135の出力軸135bの回転駆動力の伝達を受ける。このため、変速ケース135の出力軸135bの右側端部と、作業部入力軸90の右側端部との間には、第2ベルト伝動機構138が設けられている。第2ベルト伝動機構138により、変速ケース135の出力軸135bの回転駆動力が、作業部入力軸90に伝達される。
作業部入力軸90の左側部には、作業部入力軸90に設けられたウォーム、およびこれに噛合するウォームホイルからなるウォームギア141aを収納したウォームギアケース141が設けられている。ウォームギアケース141からは、ウォームギア141aのウォームホイルと一体に回転する伝動軸142が前方に延出している。伝動軸142の前端部には、ベベルギア等を収納した掘起こしギアケース143が連動連結されている。ギアケース143は、掘起こしコンベア32の後部に左右方向を軸方向として設けられた駆動軸144の左側端部に連動連結している。つまり、伝動軸142の回転駆動力が、掘起こしギアケース143内のベベルギアを介して、掘起こしコンベア32の駆動軸144に伝達され、これにより、掘起こしコンベア32が駆動する。
また、伝動軸142の後部には、作業部入力軸90の前方においてこれと略平行に配された搬送部伝動横軸145の左側端部が、出力ギア142aおよび入力ギア145aを介して連動連結されている。搬送部伝動横軸145の中途部には、第1出力ギア145bおよび入力ギア146aを介して、左プーリ駆動軸146の下端部が連動連結されている。左プーリ駆動軸146の上端部には、左側のベルト搬送機構部41の駆動プーリ42が取り付けられており、左プーリ駆動軸146の中途部には、左側のベルト移送機構部51の駆動プーリ52が取り付けられている。
また、搬送部伝動横軸145の右側端部には、第2出力ギア145cおよび入力ギア147aを介して、右プーリ駆動軸147の下端部が連動連結されている。右プーリ駆動軸147の上端部には、チェン伝動機構148を介して右側のベルト搬送機構部41の駆動プーリ42が連動連結されるとともに、右プーリ駆動軸147の中途部には、右側のベルト移送機構部51の駆動プーリ52が取り付けられている。右プーリ駆動軸147の回転駆動力は、その上端部から機体後方に向けて延設されたチェン伝動機構148を介して、右側のベルト移送機構部51の駆動プーリ52の後上方に位置する、右側のベルト搬送機構部41の駆動プーリ42の回転軸42aに伝達される。
作業部入力軸90の右側部は、作業部入力軸90の回転動力を土落とし軸150に伝達するベルト伝動機構149に連動連結されている。ベルト伝動機構149は、作業部入力軸90の右端部に固設されたプーリ90a、土落とし軸150の右端部に固設されたプーリ150a、およびこれらのプーリに巻回されたベルトを有する。土落とし軸150は、チェンケース48の後端部から右方に向けて突出している。また、チェンケース48の前端部からは、土落とし回転体45の回転軸46が左方に向けて突出している。チェンケース48内のチェン伝動機構48aは、土落とし軸150の左端部に固設されたスプロケット150b、回転軸46の右端部に固設されたスプロケット46a、これらのスプロケットに巻回されたチェンを有する。このように、作業部入力軸90の回転動力が、ベルト伝動機構149およびチェン伝動機構48aにより回転軸46に伝達され、これにより、土落とし回転体45が回転駆動する。
また、作業部入力軸90の左右両側の部分には、それぞれ作業部入力軸90に固設されたベベルギア90b、およびロータ駆動軸88の後端部に固設されたベベルギア88bを介して、ロータ駆動軸88の後端部が連動連結されている。つまり、作業部入力軸90の回転駆動力は、ベベルギア90b,88bにより、ロータ駆動軸88に伝達される。ロータ駆動軸88の回転駆動力は、ロータ駆動軸88の前端部に固設されたベベルギア88a、およびロータ回転軸85の端部に固設されたベベルギア85aにより、ロータ回転軸85に伝達される。
以上のような構成を備えたねぎ収穫機1は、機体を前進させながら、掘起こし部25の先端に設けられた刃部を、畝3に植えられているねぎ2の根茎部2aの下方に進入させることで、ねぎ2を掘り起こし、掘り起こしたねぎ2の葉部2bを挟持しながら掘り取って搬送する。具体的には、次のようにしてねぎ2の収穫が行われる。
ねぎ収穫機1は、左右のゲージ輪71,71により畝3の裾部にならいながら、畝3の伸延方向に沿って走行機体4を走行させる。また、走行機体4は、左右のクローラ部7,7を畝3の横の溝(以下「畝横溝」という。)3aに位置させ、左右のクローラ部7,7の間に畝3を位置させて走行する。作業者A1は、操作部11の操作により、収穫部5によって収穫作業を行いながら走行機体4の走行操作を行う。
掘起こし部25によるねぎ2の掘起こしにおいては、まず、掘起こし刃33が、畝3のねぎ2の根茎部2aの下方まで進入させられる。ここで、ねぎ2の掘起こしに際して、左右の畝崩し装置80,80の畝崩しロータ81により、畝3の両側の肩部が切り崩される。
その後、掘起こしコンベア32によりねぎ2が縦姿勢の状態で搬送され、搬送部26に引き継がれ、左右のベルト搬送機構部41,41によって挟持されながら後方に搬送される。搬送部26の搬送途中において、掻き落とし部27の土落とし回転体45により、ねぎ2の根茎部2aの土落としが行われる。この土落としにより、ねぎ2の収穫後の洗浄等が容易となる。
その後、ねぎ2は、搬送部26から姿勢変更・整列部28に引き継がれ、左右のベルト移送機構部51によって移送される。これにより、ねぎ2は、起立姿勢から傾到姿勢(前傾姿勢)に姿勢変更しながら搬送方向に沿って整列して左斜め後上方へ搬送され、順次、収集部29に収集・貯留される
特に、本実施形態に係るねぎ収穫機1のように左右一対の畝崩し装置80,80を備えた構成によれば、掘起こし部25によるねぎ2の掘起こしの前段階で、左右の畝崩しロータ81により、畝3の左右両肩部分が絶壁状となるように切り崩され、畝3が幅狭の切り立った突条形状となる。畝3の切崩しにより、掘起こし部25が土中に進入する抵抗、つまり畝3に対する掘起こし刃33の進入抵抗が低減し、掘起こし部25による掘り起こし作業が容易となる。また、掘起こしコンベア32によるねぎ2の掘起こし抵抗も低減することから、掘起こしコンベア32によるねぎ2の移送作業が容易となる。
また、畝3の切崩しにより生じた土は、畝崩しロータ81により粉砕される等して、そのまま畝3の左右側方の畝間溝3aに落ちた状態となる。畝間溝3aに落ちた土は、畝3の左右で均等的に溜まり、左右のクローラ部7,7による走行姿勢の安定性を妨げることはない。
また、畝崩し装置80において、畝崩しロータ81を覆うロータカバー100を備えた構成によれば、アップカットするように回転する畝崩しロータ81により土が掻き上げられて飛散することが防止される。これにより、ねぎ収穫機1の機体や作業者A1や畝3における収穫前のねぎ2に土がかかることが防止される。
すなわち、ロータカバー100で畝崩しロータ81の上側を覆うことで、土が上方に掻き上げられ機体に降りかかることが防止される。また、ロータカバー100で畝崩しロータ81の左右外側を覆うことで、土が隣接する畝3の未掘りのねぎ2に降りかかることが防止される。また、ロータカバー100で畝崩しロータ81の後側を覆うことで、作業者A1等に土が降りかかることが防止される。
[排出土案内部の構成]
以上のような構成を備えた本実施形態に係るねぎ収穫機1において、アップカットするように回転する畝崩しロータ81による畝崩しによって生じた土は、例えば、ロータカバー100による非カバー部分となるロータカバー100の前方、および左右外側方におけるロータカバー100の下方から排出される。このような土の排出態様においては、例えば、ロータカバー100の前方に排出された土が、ねぎ収穫機1の機体の前進にともなって相対的に後方に流れ、ロータカバー100の外側方への土の排出を妨げること等に起因して、ロータカバー100からの土はけが良好に行われない場合がある。また、畝3の高さが低い場合、それに合わせて畝崩し装置80の高さも低くなるため、ロータカバー100の下方からの土の排出量が低減し、このことも、ロータカバー100からの土はけを低下させる原因となる。
そこで、本実施形態に係るねぎ収穫機1は、左右の畝崩し装置80の左右外側方において、排出土案内部160を備える。排出土案内部160は、畝崩しロータ81に対して機体の左右外側方に設けられ、畝崩しロータ81による畝崩しによって生じ畝崩し装置80から排出される土を機体の左右外側方に案内するための構成である。左右の排出土案内部160,160は、その支持構造等を含め、左右対称的に構成されている。
本実施形態では、排出土案内部160は、案内面160aとしての板面を有する排土案内板161を備える。すなわち、本実施形態において、排出土案内部160は、畝崩し装置80から排出される土を機体の左右外側方に案内する案内面160aを有し、機体の前進にともなう土の流れを整流する。
排土案内板161は、全体として矩形板状の部材である。排土案内板161は、前側の板面部を案内面160aとし、案内面160aを左右外側斜め下方に向けるように設けられている。したがって、排土案内板161は、側面視において前傾状となるように設けられている。また、排土案内板161は、正面視において、矩形状の外形における縦辺部を、下側ほど左右内側に位置するように傾斜させた状態で、つまり、矩形状の外形における横辺部を、左右外側ほど下側に位置するように傾斜させた状態で設けられている。したがって、正面視において、左右一対の排土案内板161は、矩形状の外形における縦辺部に着目した場合、縦辺部を略「V」字状に沿わせるように設けられており、矩形状の外形における横辺部に着目した場合、横辺部を略「ハ」字状(略逆「V」字状)に沿わせるように設けられている(図8参照)。
排土案内板161は、畝崩しロータ81の左右外側の位置に設けられている。つまり、左側の排土案内板161は、左側の畝崩しロータ81Lの左側方に設けられており、右側の排土案内板161は、右側の畝崩しロータ81Rの右側方に設けられている。排土案内板161は、上下方向については、畝崩しロータ81の下半部に対応するように設けられている。また、排土案内板161は、左右方向については、左右内側端部をロータカバー100の前部の内側に位置させ、左右外側の大部分をロータカバー100から左右外側に張り出させた態様で設けられている。
排土案内板161は、その下端縁部を、畝崩しロータ81の下端の高さ位置と略同じ高さ位置に位置させる。つまり、排土案内板161の下端縁部は、畝間溝3aの底面部と略同じ高さに位置する。したがって、排土案内板161は、その下端縁部を、畝間溝3aの底面部よりも若干上に位置させてもよく、また、下端縁部を畝間溝3aの底面部に干渉させるように設けられてもよい。排土案内板161の下端部には、縁部に沿って前側に屈曲した屈曲部161aが設けられている。屈曲部161aは、排土案内板161の本体部分に対して鈍角をなすように屈曲した部分である。
また、排出土案内部160は、ロータ回転軸85を収納する駆動ケース86の前方に設けられている。駆動ケース86は、ロータカバー100の側方カバー部100bの前後中間部を支持するカバーステー101の左右外側に設けられている。また、駆動ケース86は、略筒状の外形を有し、ロータ回転軸85の軸方向に筒軸方向を沿わせ、左右外側にかけて下るように傾斜状に設けられている。つまり、駆動ケース86は、左右外側にかけて下る傾斜状の筒状部分として、ロータカバー100から左右外側に突出している。そして、このロータカバー100からの左右外側への突出部分である駆動ケース86に対して、これを前側から覆うように、排土案内板161が設けられている。
排土案内板161は、正面視において駆動ケース86の全体を覆うように、つまり、正面視で排土案内板161の後方に駆動ケース86の全体が隠れるように設けられている。したがって、排土案内板161は、左右外側について、駆動ケース86の左右外側の端部よりも左右外側方の位置まで延設されている。また、上下方向について、排土案内板161は、その上端縁部を、駆動ケース86よりも上方に位置させるとともに、下端縁部を、駆動ケース86よりも下方の位置となる畝間溝3aの底面部近傍に位置させている。なお、排土案内板161の寸法や配置位置は、本実施形態に限定されるものではなく、畝崩しロータ81の大きさや配置位置等との関係において適宜設定される。
ここで、排土案内板161の支持構造の一例について説明する。図10、図11および図13に示すように、排土案内板161の上端部の背面側には、左右両端の2箇所に、支持アーム162が突設されている。支持アーム162は、排土案内板161の背面側に溶接等によって固定された断面「L」字状のアングル部材により構成されており、略上下方向を板厚方向とする支持面部162aを有する。
2つの支持アーム162のうち、左右外側の支持アーム162Xは、駆動ケース86の後側において立設されたリブ部材163に支持された外側取付板164に固定支持されている。また、2つの支持アーム162のうち、左右内側の支持アーム162Yは、カバーステー101の前縁部の下部に設けられた内側取付板166に固定支持されている。なお、図10、図11および図13においては、右側の畝崩し装置80近傍の構成が示されているため、左右外側の支持アーム162Xは、右側の支持アーム162となり、左右内側の支持アーム162Yは、左側の支持アーム162となる。
リブ部材163は、ロータカバー100の前後の中間部の外側の面部に沿うように設けられている。リブ部材163は、正面視で略三角形状をなす板状の基部板部163aと、基部板部163aの左右外側から基部板部163aに対して後方に略直角状に屈曲した側面板部163bとを有する。リブ部材163は、ロータカバー100、および駆動ケース86の前端に溶接等によりフランジ状に設けられた円形板状の介装板167のそれぞれに対して固定されている。また、介装板167の前側には、駆動ケース86が取り付けられている。
リブ部材163は、ロータカバー100に対しては、ロータカバー100をカバーステー101に固定するための前後2つの固定具102のうち後側の固定具102Aによる固定部分おいて共締めされた支持ステー168に固定されている。つまり、リブ部材163は、支持ステー168を介してロータカバー100に固定支持されている。支持ステー168は、ロータカバー100の外側側面から外側方に向けて突出した支持板部168aを有する。リブ部材163は、支持ステー168の支持板部168aに対して、基部板部163aの上端部を前側に重ねた態様で溶接等により固定されている。
また、リブ部材163は、その下端部において、パイプ状ケース89の外周面に沿うように凹状の湾曲形状を有し、パイプ状ケース89をその上方において跨いだ態様で、介装板167と共に駆動ケース86に固定ボルト169により締付け固定されている。リブ部材163は、基部板部163aの下端部を介装板167に対して後側に重ねた態様で、左右の端部をそれぞれ固定ボルト169により介装板167を介して駆動ケース86に固定させている。リブ部材163の下部における側面板部163bの左右外側に、外側取付板164が固定されている。
外側取付板164は、断面「L」字状のアングル部材により構成されており、互いに直角をなす板面部のうち一方の板面部を、リブ部材163の側面板部163bに対する固定面部164aとし、他方の板面部を、支持アーム162Xを支持する支持面部164bとする。外側取付板164は、固定面部164aをリブ部材163の側面板部163bに左右外側に重ねた態様で、取付ボルト170によってリブ部材163に固定されている。そして、外側取付板164は、その支持面部164bの前端部に、支持アーム162Xを支持する。支持アーム162Xは、固定ボルト171によって、外側取付板164の支持面部164b上に固定されている。このように、排土案内板161は、その左右外側の支持アーム162Xを、外側取付板164を介して、リブ部材163に支持させている。
内側取付板166は、断面「L」字状のアングル部材により構成されており、互いに直角をなす板面部のうち一方の板面部を、カバーステー101に対する固定面部166aとし、他方の板面部を、支持アーム162Yを支持する支持面部166bとする。内側取付板166は、固定面部166aをカバーステー101の内側面に重ねた態様で、図示せぬボルト等の締結具によってカバーステー101と共に駆動ケース86に固定されている。そして、内側取付板166は、その支持面部166bの前端部に、支持アーム162Yを支持する。支持アーム162Yは、固定ボルト172によって、内側取付板166の支持面部166b上に固定されている。
以上のように2つの支持アーム162を、それぞれ外側取付板164および内側取付板166に固定支持させた排土案内板161の支持構造において、排土案内板161は、略上下方向に沿う方向を回動軸方向として、角度調整可能に設けられている。具体的な構造は次のとおりである。
左右外側の支持アーム162Xを固定する固定ボルト171および左右内側の支持アーム162Yを固定する固定ボルト172は、いずれも中心軸方向を略上下方向に沿わせる。2つの支持アーム162は、いずれも固定ボルトの中心軸を回転軸として、各取付板に対して相対回動可能に支持されている。また、支持アーム162の支持面部162aを支持する外側取付板164において、リブ部材163に対する取付ボルト170を貫通させるボルト孔164cは、略前後方向に沿う外側取付板164の長手方向に所定の間隔を隔てて一列に3箇所に設けられている。
このような構造において、取付ボルト170によるリブ部材163に対する外側取付板164の固定に際して用いられるボルト孔164cにより、排土案内板161の角度が調整される。すなわち、外側取付板164の固定に用いるボルト孔164c(取付ボルト170が貫通するボルト孔164c)の位置により、リブ部材163からの外側取付板164の前方への突出量が変化する。かかる突出量の変化が、2つの支持アーム162の各取付板に対する相対回動をともない、内側取付板166の固定ボルト172による支持部を中心とする排土案内板161の回動位置、つまり排土案内板161の角度の変化となる。したがって、後側のボルト孔164cを用いると、排土案内板161は左右方向に平行な方向に近付き、前側のボルト孔164cを用いると、排土案内板161は左右方向に対する傾斜が大きくなる。
続いて、排土案内板161の構造について説明する。排土案内板161は、矩形板状のベース板部材176と、ベース板部材176の前側に重なる矩形板状の調整用板部材177とを有し、これらの板部材による2枚重ねの構造となっている。
ベース板部材176は、排土案内板161のベース部分を構成する板部材であり、2つの支持アーム162を介して外側取付板164および内側取付板166に支持される部分となる。したがって、排土案内板161の背面側に、2つの支持アーム162が突設されている。
調整用板部材177は、縦横の寸法をベース板部材176と略同じとする。調整用板部材177の下縁部に沿って、排土案内板161が有する屈曲部161aが設けられている。また、ベース板部材176の左右の縁部には、後側に向けて略直角状に屈曲した折曲部176aが設けられている。
調整用板部材177は、固定ボルト178により複数箇所でベース板部材176に固定されている。固定ボルト178は、ベース板部材176および調整用板部材177のそれぞれに形成されたボルト孔176b,177bを貫通する。
そして、ベース板部材176に対する調整用板部材177の固定位置が調整できるように、ベース板部材176および調整用板部材177それぞれにおいて、固定ボルト178による固定用のボルト孔176b,177bが複数設けられている。具体的には、ベース板部材176においては、4行×4列の16個のボルト孔176bが、ベース板部材176の全面的に所定の間隔を隔てて設けられている。また、調整用板部材177においては、その上半部に、2行×4列の8個のボルト孔177bが所定の間隔を隔てて設けられている。左右両側の2箇所ずつ計4箇所のボルト孔176b,177bが用いられ、4本の固定ボルト178により、調整用板部材177がベース板部材176に固定されている。
このような構造において、固定ボルト178によるベース板部材176に対する調整用板部材177の固定に際して用いられるボルト孔176b,177bにより、ベース板部材176に対する調整用板部材177の縦方向および横方向の相対的な固定位置が調整される。かかる固定位置により、ベース板部材176に対する調整用板部材177の重複部分の大きさが変化し、排土案内板161の外形寸法が変化する。つまり、ベース板部材176に対する調整用板部材177の重複部分の大きさが小さいほど、排土案内板161の外形寸法が大きくなり、同重複部分の大きさが大きいほど、排土案内板161の外形寸法は小さくなる。そして、複数のボルト孔176b,177bの配置間隔に応じて、排土案内板161の外形寸法が段階的に調整される。
このように、排土案内板161は、縦横の寸法が調整可能に構成されている。なお、本実施形態では、固定ボルト178による固定位置の調整により排土案内板161の縦横の寸法が段階的に調整可能に構成されているが、例えば、ベース板部材176に対する調整用板部材177のスライド構造等により、無段階で排土案内板161の縦横の寸法が調整される構成が採用されてもよい。
[ロータカバーの構造の詳細]
ロータカバー100の構造の詳細について、図11、図13から図16を用いて説明する。ロータカバー100は、上述のとおり、畝崩しロータ81の上側を覆う上方カバー部100aと、畝崩しロータ81の左右外側(非作用側)を覆う側方カバー部100bとを有する。そして、ロータカバー100は、その基部をなす基部カバー要素180と、この基部カバー要素180に対して回動可能に連結された回動カバー要素(181,182)とを含み、基部カバー要素180に対する回動カバー要素の回動により、畝崩し装置80からの土の排出経路の大きさを変化させるように構成されている。
本実施形態に係るロータカバー100は、回動カバー要素として、基部カバー要素180の前側に設けられた前回動カバー要素181と、基部カバー要素180の後側に設けられた後回動カバー要素182とを有する。ロータカバー100は、基部カバー要素180をカバーステー101に固定具102により固定状態で支持させており、基部カバー要素180の前後に、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182を回動可能に支持する。
ロータカバー100は、基部カバー要素180、前回動カバー要素181、および後回動カバー要素182により、前後に三分割された態様となっている。これらのカバー要素は、それぞれ、上方カバー部100aを構成する部分として、上側を覆うカバー部分を有し、側方カバー部100bを構成する部分として、左右外側を覆うカバー部分を有する。
前回動カバー要素181は、基部カバー要素180に対して、前ヒンジ部183により上下回動可能に支持されている。前ヒンジ部183は、基部カバー要素180の上面部と前回動カバー要素181の上面部とを互いに連結させる。前ヒンジ部183は、基部カバー要素180の上面部の前側において前端縁に沿って設けられた筒状の回動支持部184に、回動支持アーム185を回動可能に支持させた構成を備える。
回動支持アーム185は、略「U」字状をなすように両端側の部分を略直角状に屈曲させた屈曲棒状の部材であり、直線状の中間部分を回動支持部184に貫通させた状態で、回動支持部184に支持されている。回動支持部184の両端から前方に向けて突出した回動支持アーム185の2本のアーム部分に、前回動カバー要素181の上面部の後端部が上側から被さった状態で溶接等により固定されている。
このような構成により、前回動カバー要素181は、基部カバー要素180に対して、上面部同士を前ヒンジ部183により回動可能に連結させている。したがって、前回動カバー要素181が上側に回動することにより(図14、図15、矢印C1参照)、前回動カバー要素181および基部カバー要素180の互いの側面部間が開き、側方カバー部100bの前部において開放部が形成されることになる。
また、前回動カバー要素181の前ヒンジ部183による連結部となる上面部の後端部には、開き止め部181aが設けられている。開き止め部181aは、前回動カバー要素181の上面部の後端縁部を立ち上がらせるように屈曲させた屈曲面部である。開き止め部181aは、基部カバー要素180の上面部の前端縁に上側から当接することで、前回動カバー要素181の上方回動を所定の回動位置で規制する。
後回動カバー要素182は、基部カバー要素180に対して、後ヒンジ部186により上下回動可能に支持されている。後ヒンジ部186は、基部カバー要素180の上面部と後回動カバー要素182の上面部とを互いに連結させるものであり、前ヒンジ部183と略同じ構成を備える。
すなわち、後ヒンジ部186は、基部カバー要素180の上面部の後側において後端縁に沿って設けられた筒状の回動支持部187に、略「U」字状をなす回動支持アーム188を回動可能に支持させた構成を備える。そして、回動支持部187両端から後方に向けて突出した回動支持アーム188の2本のアーム部分に、後回動カバー要素182の上面部の前端部が上側から被さった状態で溶接等により固定されている。
このような構成により、後回動カバー要素182は、基部カバー要素180に対して、上面部同士を後ヒンジ部186により回動可能に連結させている。したがって、後回動カバー要素182が上側に回動することにより(図14、図15、矢印C2参照)、後回動カバー要素182および基部カバー要素180の互いの側面部間が開き、側方カバー部100bの後部において開放部が形成されることになる。
このように、ロータカバー100は、一体的な凸曲面構造をなす状態を閉状態とし、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182をそれぞれ基部カバー要素180に対して上方に回動させて開くことができる開閉構造を有する。かかる開閉構造により、畝崩し装置80からの土の排出経路の大きさ、つまりロータカバー100の内側から外側にかけての開放部分の大きさが変化する。なお、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182それぞれの上方回動状態は、例えば、前後の各ヒンジ部183、186における、筒状の回動支持部184、187の内周面と、回動支持部184、187に挿通された回動支持アーム185、188の中間支持部の外周面との間の摩擦力により保持される。
また、本実施形態に係るロータカバー100においては、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182は、それぞれ部分的に変形可能に構成されている。具体的には次のとおりである。
前回動カバー要素181は、基部カバー面部191と、基部カバー面部191に連設された面部であって変形可能に構成された可動カバー面部192とを有する。
基部カバー面部191は、前回動カバー要素181の上面部を構成する面部である。基部カバー面部191は、金属製の板状部分であり、前ヒンジ部183により基部カバー要素180に対して連結された部分である。基部カバー面部191の後端縁部に沿って、開き止め部181aが設けられている。基部カバー面部191は、平面視で前側を上底側とする略台形状を有する。基部カバー面部191の左右外側の辺部から垂れ下がるように、可動カバー面部192が設けられている。
可動カバー面部192は、基部カバー面部191に対して、基部カバー面部191の左右外側の辺部において屈曲状に設けられた庇状の取付片部191aにボルト等の止め具193により止め付けられている。可動カバー面部192は、基部カバー要素180の左右方向の屈曲形状にならって、基部カバー面部191に対して傾斜状に屈曲した部分をなす傾斜面部192aと、傾斜面部192aの左右外側から下方に連続する側面部192bとを有する。
可動カバー面部192は、ゴム板を基体として構成されており、そのゴム製の基体の形態を保持するための形態保持部材194を有する。形態保持部材194は、可動カバー面部192の基体の裏面に沿うように貼設された態様で設けられている。形態保持部材194は、細長い矩形状の(帯状の)金属製の板状部材であり、その長手方向について、可動カバー面部192の屈曲形状に対応した屈曲形状を有し、傾斜面部192aおよび側面部192bの各面部に対応する部分を有する。形態保持部材194は、塑性を有する部材である。したがって、形態保持部材194においては、例えば屈曲角度を変化させるような変形が可能であり、変形後の形態が保持される。
形態保持部材194は、その上端部を、止め具193により可動カバー面部192の基体とともに取付片部191aに固定させるとともに、長手方向の中央部および下端部を、側面部192bの部分においてボルト等の止め具195によって可動カバー面部192の基体に固定させている。形態保持部材194は、可動カバー面部192の前部と後部に2本設けられている。
このような構成の前回動カバー要素181によれば、可動カバー面部192の部分の形態を任意に変形させ、その変形後の形態を保持することができる。したがって、例えば、可動カバー面部192を左右外側に開くように変形させることで、前回動カバー要素181を、前ヒンジ部183による上方回動による開放動作とは独立して、左右外側側方について開放させることが可能となる。
後回動カバー要素182は、基部カバー面部196と、基部カバー面部196に対して左右外側に設けられた外側可動カバー面部197と、基部カバー面部196に対して左右内側に設けられた内側可動カバー面部198とを有する。
基部カバー面部196は、後回動カバー要素182の上面部の主な部分を構成する面部である。基部カバー面部196は、金属製の板状部分であり、後ヒンジ部186により基部カバー要素180に連結された部分である。基部カバー面部196は、平面視で左右内側かつ後側を斜辺側とする略直角三角形状を有する。
基部カバー面部196の左右外側の辺部から垂れ下がるように、外側可動カバー面部197が設けられている。また、基部カバー面部196の斜辺側の辺部から基部カバー面部196と矩形状の同一面部を形成するように、内側可動カバー面部198が設けられている。したがって、内側可動カバー面部198は、基部カバー面部196とともに矩形状をなすように略直角三角形状を有する。
外側可動カバー面部197および内側可動カバー面部198は、前回動カバー要素181における可動カバー面部192と同様、ゴム板を基体として構成された部分である。外側可動カバー面部197および内側可動カバー面部198は、基部カバー面部196の内側に設けられた一体のゴム板により構成されている。すなわち、外側可動カバー面部197および内側可動カバー面部198を構成する一体のゴム板は、後回動カバー要素182の全体の形態に沿う外形を有し、基部カバー面部196の裏面側に重なるように設けられている。このゴム板は、複数の止め具199により基部カバー面部196に固定されている。なお、止め具199の配置部位の一部として、基部カバー面部196の左右外側の辺部に、基部カバー面部191の取付片部191aと同様の取付辺部196aが設けられている。そして、基部カバー面部196から左右外側および左右内側それぞれに張り出したゴム板の部分により、外側可動カバー面部197および内側可動カバー面部198が構成されている。
外側可動カバー面部197は、前回動カバー要素181の可動カバー面部192と同様の形態を有する。すなわち、外側可動カバー面部197は、基部カバー要素180の左右方向の屈曲形状にならって、傾斜面部197aおよび側面部197bを有する。
後回動カバー要素182において、外側可動カバー面部197および内側可動カバー面部198を構成するゴム板の裏面側には、前回動カバー要素181の形態保持部材194と同様、形態保持部材200が設けられている。形態保持部材200は、その長手方向について、後回動カバー要素182の屈曲形状に対応した屈曲形状を有し、内側可動カバー面部198を含む後回動カバー要素182の上面部、並びに外側可動カバー面部197の傾斜面部197aおよび側面部197bの各面部に対応する部分を有する。
形態保持部材200は、止め具199によりゴム製の基体とともに基部カバー面部196に固定されるとともに、ボルト等の止め具201によってゴム製の基体に固定されている。形態保持部材200は、後回動カバー要素182の前部、中央部及び後部に3本設けられている。
このような構成の後回動カバー要素182によれば、外側可動カバー面部197および内側可動カバー面部198の部分の形態を任意に変形させ、その変形後の形態を保持することができる。したがって、例えば、外側可動カバー面部197を左右外側に開くように変形させることで、後回動カバー要素182を、後ヒンジ部186による上方回動による開放動作とは独立して、左右外側側方について開放させることが可能となる。また、例えば、内側可動カバー面部198を基部カバー面部196に対して上側または下側に折り曲げることで(図14、矢印E1)、ロータカバー100の後端部の左右内側の部分を開閉させることができる。
また、ロータカバー100は、全体として、前後回動可能に設けられている。ロータカバー100は、基部カバー要素180の左右外側の側面部において、固定具102により前後2箇所でカバーステー101に固定支持されている。このような支持構成において、ロータカバー100は、前側の固定具102Bによる支持部を起点に回動可能に設けられている(図16、矢印F1参照)。このため、基部カバー要素180において後側の固定具102Aを貫通させる孔180aは、ロータカバー100の回動を許容するように、固定具102Bを中心とする回動軌跡に沿う弧状の長孔となっている。
このようなロータカバー100の回動構成によれば、上述したようにロータカバー100に取り付けられたガイド部材105の主ガイド棒体106および副ガイド棒体107を、ロータカバー100の回動にともなってロータカバー100と一体的に傾動させることができる。つまり、ロータカバー100の回動位置の調整により、主ガイド棒体106および副ガイド棒体107の傾斜角度を調整することができる。
[排土部の構成]
次に、本実施形態に係るねぎ収穫機1が備える排土部210の構成について説明する。排土部210は、圃場において複数の畝3に栽培されているねぎ2を畝3毎に収穫する収穫作業における作業効率の向上を図るための構成である。そこで、排土部210の説明に際し、ねぎ収穫機1による従来の一般的なねぎの収穫作業の手順の一例について説明する。
左右の畝崩し装置80により畝3の両肩部を切り崩しながらねぎ2の収穫を行う収穫作業によれば、例えば、圃場端の場合など、図17(a)に示す1条目の畝3Aのように、一側(図において右側)の畝間溝3aが他側(図において左側)の畝間溝3aよりも浅く、左右両側の畝間溝3aの深さが互いに異なる場合がある。左右の畝間溝3aの深さが互いに異なると、左右の畝間溝3aにクローラ部7を位置させてねぎ2の収穫を行うねぎ収穫機1において、機体が傾き、正常な収穫作業が行えない場合がある。
このため、1条目の畝3Aの収穫作業の前に、左右の畝間溝3aの深さが揃っている2条目の畝3Bの収穫作業から行われる。2条目の畝3Bの収穫作業を行うことで、図17(b)に示すように、左右の畝崩し装置80により崩された土によって畝間溝3aが埋められること等により、1条目の畝3Aの深かった方の(図17(a)において左側の)畝間溝3aの深さが浅くなる。これにより、1条目の畝3Aの両側の畝間溝3aの深さを合わせることができる。2条目の畝3Bの後、1条目の畝3Aの収穫作業が行われる。
1条目の畝3Aの収穫作業が行われた後の状態においては、図17(c)に示すように、3条目の畝3Cの、2条目の畝3B側(図において右側)の部分の土高さが高くなっており、3条目の畝3Cの両側の土高さが互いに異なっている。このため、3条目の畝3Cの収穫作業の前に、左右の畝間溝3aの深さが揃っている4条目の畝3Dの収穫作業から行われる。4条目の畝3Dの収穫作業を行うことで、図17(d)に示すように、左右の畝崩し装置80により崩された土等により、3条目の畝3Cの両側の土高さを合わせることができる。4条目の畝3Dの後、3条目の畝3Cの収穫作業が行われる。
しかしながら、上述のような手順で行われる収穫作業によれば、例えば、図17(b)に示すように、2条目の畝3Bの収穫作業により収穫されたねぎ2を圃場から搬出する際、未収穫状態の畝3(例えば1条目の畝3A)を越えてねぎ2を搬送する必要が生じる(矢印G1参照)。未収穫状態の畝3は、畝3上のねぎ2が妨げとなって越えることが難しいため、ねぎ2の収穫後の搬出作業に過大な手間と労力がかかることになる。また、未収穫状態の畝3を横切ることは、収穫前のねぎ2を傷める原因ともなる。
そこで、本実施形態にかかるねぎ収穫機1は、上記のような問題を解消するため、クローラ部7の前方の土をあらかじめ排出して畝3の両側の土高さを揃えるための構成として、排土部210を備える。以下、本実施形態に係る排土部210について具体的に説明する。
図18から図20に示すように、排土部210は、クローラ部7の前方に設けられている。つまり、左右のクローラ部7,7のぞれぞれの前方に、排土部210が設けられている。したがって、本実施形態に係るねぎ収穫機1は、左右両側に排土部210を備える。左右の排土部210,210は、左右対称的に構成されている。また、排土部210は、上述した排出土案内部160の後方に設けられている。つまり、排土部210は、前後方向について、クローラ部7と排出土案内部160との間に設けられている。
排土部210は、水平面に対して略垂直状、かつ機体の左右方向について前内後外の向きに傾斜した傾斜状の排土面210aを有する。そして、排土部210は、ねぎ収穫機1の機体の前進にともなって、一方のクローラ部7が位置する畝間溝3aの深さに応じて、他方のクローラ部7の前方の余分な土を排除する。排土部210は、排土面210aをなす部材として、排土板211を有する。
排土板211は、全体として前後方向を長手方向とする略矩形板状の部材である。排土板211は、前側の板面部を排土面210aとし、排土面210aを左右外側に向けるように設けられている。つまり、排土面210aは、平面視において、後側から前側にかけて左右外側から左右内側に向かうように傾斜している。また、排土板211は、排土面210aを略鉛直方向に沿わせるように設けられている。
排土板211は、クローラ部7の前方に位置し、クローラ部7を前側から覆うように設けられている。つまり、排土板211は、その長手方向(横方向)の寸法について、正面視でクローラ部7の幅の略全体にわたる範囲の寸法を有する。したがって、左右方向について、排土板211の前端縁は、クローラ部7の内側端部と略同じ位置に位置し、排土板211の後端縁は、クローラ部7の外側端部と略同じ位置に位置する。ただし、排土板211の横方向の寸法は、クローラ部7の幅よりも大きい寸法であってもよく、圃場の土質等に応じて設定される。
排土板211は、その下端縁部を、クローラ部7の下端の高さ位置と略同じ高さ位置、あるいは若干上の位置に位置させる。排土板211の下端部には、縁部に沿って前側に屈曲した屈曲部211aが設けられている。屈曲部211aは、排土板211の本体部分に対して鈍角をなすように屈曲した部分である。また、排土板211は、側面視においてパイプ状ケース89の下方に位置するように設けられている。排土板211は、その前端部をパイプ状ケース89の下方に位置させる。排土板211は、パイプ状ケース89との干渉を避けるため、前部において前下がりの斜辺部を有する。
排土板211は、搬送部26の前部において立設された後ガイドフレーム部74の下端部が固設された搬送部支持フレーム部72に対して、排土板支持部230により支持されている。排土板支持部230は、搬送部支持フレーム部72の前端部からパイプ状ケース89の上方を越えて左右外側方に延設されている。
排土部210は、排土板支持部230による排土板211の支持構造により、クローラ部7に対する相対的な高さ位置が調整可能に構成されている。また、排土部210は、排土板支持部230による排土板211の支持構造により、平面視における排土面210aの機体の前後方向に対する傾斜角度α1が調整可能に構成されている。以下、排土板支持部230の構成について説明する。
排土板支持部230は、支持基部アーム231と、支持基部アーム231に対して昇降可能に支持されるとともに排土板211を支持する昇降支持体232と、昇降支持体232に支持されるとともに排土板211に固設された回動支持棒233とを有する。また、排土板支持部230は、回動支持棒233を介して排土板211の傾斜を調整するための傾斜調整機構部240を有する。
支持基部アーム231は、搬送部支持フレーム部72の前端部から左右外側方に水平状に突設されている。支持基部アーム231の基部は、後ガイドフレーム部74の下端部と共に、搬送部支持フレーム部72の前端部の外側側面部において共締めされた状態で固定されている。具体的には、支持基部アーム231は、搬送部支持フレーム部72の前端部に設けられた略矩形板状の取付プレート72bに固定されている。支持基部アーム231の先端部には、上下方向を筒軸方向とする両端開口の筒状の部分である支持筒部231aが設けられている。支持筒部231aは、パイプ状ケース89よりも上方の位置であってパイプ状ケース89よりも左右外側の位置に設けられている。
昇降支持体232は、支持筒部231aに挿嵌された状態で支持筒部231aに上下摺動可能に支持された支持棒部236と、支持棒部236の下端部に設けられた下支持アーム部237と、下支持アーム部237の一側の端部に設けられた回動支持筒部238とを有する。
支持棒部236は、直線棒状の部分であり、支持筒部231aを上下に貫通した状態、つまり上部および下部を支持筒部231aから上下に延出させた状態で、支持筒部231aに対して軸方向に移動可能に支持されている。支持棒部236は、支持筒部231aに対して径方向に沿って左右外側から螺挿された止めボルト239により押圧されることで、支持筒部231aに固定される。つまり、止めボルト239をねじ込んで支持棒部236を押圧することで、支持棒部236の支持筒部231aに対する上下方向の移動および相対回転が不可能となる。支持棒部236においては、その外周面の一部に、止めボルト239の押圧を受けるための平面部236aが、長手方向の全体にわたって設けられている。
下支持アーム部237は、側面視において左右方向を長手方向とする略矩形板状の部分であり、その長手方向を略前後方向に沿わせるように設けられている。下支持アーム部237は、互いに重なった2枚の板部材がボルトおよびナットにより長手方向の2箇所で互いに固定された構成を有する。下支持アーム部237は、支持棒部236の下端部の左右外側に設けられている。下支持アーム部237は、長手方向の中央部の背面を支持棒部236の平面部236aに接触させた状態で、溶接等によって支持棒部236に固定されている。つまり、下支持アーム部237は、支持棒部236とともに略逆「T」字状をなすように、支持棒部236の下端部に固設されている。下支持アーム部237の後側の端部に、回動支持筒部238が設けられている。
回動支持筒部238は、上下方向を筒軸方向とする両端開口の筒状の部分である。回動支持筒部238は、回動支持棒233を挿嵌させた状態で回動可能に支持する。
回動支持棒233は、直線棒状の部分であり、回動支持筒部238を上下に貫通した状態で、回動支持筒部238に対して相対回動可能に支持されている。また、回動支持棒233は、回動支持筒部238に対して、上下方向(軸方向)について相対移動が規制された状態、つまり位置決めされた状態で支持されている。回動支持筒部238に対する回動支持棒233の上下移動は、回動支持棒233に一体的に設けられた下係止環部233aおよび上係止筒部233bにより規制される。
下係止環部233aは、回動支持棒233の長手方向の中途部において、回動支持筒部238と略同径の拡径部分をなす環状の突部であり、回動支持筒部238の下端面に対する係止部分(接触部分)となる。下係止環部233aは、回動支持棒233に環状の部材を外嵌させて回動支持棒233の外周面に固定すること等によって設けられる。
上係止筒部233bは、回動支持筒部238から上方に突出した回動支持棒233の上端部において、回動支持筒部238と略同径の拡径部分をなす筒状の突部であり、回動支持筒部238の上端面に対する係止部分(接触部分)となる。上係止筒部233bは、回動支持棒233に筒状の部材を外嵌させて固定具233cにより固定することで設けられている。
このように、回動支持棒233は、下係止環部233aおよび上係止筒部233bによって回動支持筒部238を上下から挟んだ態様で、回動支持筒部238に対して軸方向について位置決めされている。
回動支持棒233は、その下部を、回動支持筒部238から下方に延出させており、この回動支持棒233の下方延出部に、排土板211が固設されている。回動支持棒233は、排土板211の背面側であって排土板211の長手方向の中間部の後寄りの位置に、溶接等によって固定されている。回動支持棒233の軸回動にともない、排土板211は、回動支持棒233と一体的に回動する。つまり、排土板211は、上下方向に沿う回動支持棒233の中心軸を回動中心線として、回動可能に設けられている。かかる排土板211の回動は、排土板211の傾斜(前後方向に対する傾斜角度)を変化させる。
傾斜調整機構部240は、排土板211と一体的に設けられた回動支持棒233を介して、排土板211の傾斜を調整するための構成である。つまり、傾斜調整機構部240は、回動支持筒部238に支持された回動支持棒233の回動角度を調整することで、回動支持棒233の下部に固設された排土板211の傾斜を調整する。
傾斜調整機構部240は、回動支持筒部238に設けられた被係合板241と、回動支持棒233と一体的に回動する係合片支持アーム242と、係合片支持アーム242に支持され被係合板241に係合する係合片243と、係合片243を操作するための操作棒244とを有する。
被係合板241は、略扇形状の板部材であり、扇形の中心角部分に回動支持筒部238の上端部を垂直状に貫通させた状態で、円弧に相当する辺部側を後側に向けて水平状に設けられている。被係合板241は、回動支持筒部238に固設されている。被係合板241は、略扇形状の外形における中心角を鋭角(例えば50°程度)とし、半径に相当する一方の(左右内側の)辺を平面視で略前後方向に沿わせた状態で設けられている。したがって、被係合板241は、略前後方向に沿う左右内側の辺を基準として左右外側に扇状に広がり、半径に相当する他方の(左右外側の)辺を平面視で後側(図18において右側)から前側(同左側)にかけて外側(同下側)から内側(同上側)に向かう方向に傾斜させた態様で設けられている。
被係合板241の後縁部、つまり扇形の円弧に相当する辺部には、円弧の周方向に所定の間隔を隔てて複数の切欠部241aが設けられている。複数の切欠部241aは、選択的に係合片243の係合を受ける被係合部である。本実施形態では、切欠部241aは、約13°の角度間隔で5箇所に設けられている。
係合片支持アーム242は、回動支持棒233の上端部において、上係止筒部233bの外周面から水平状に延設されている。つまり、係合片支持アーム242は、被係合板241の上方において被係合板241の上面に沿うように延設されている。係合片支持アーム242は、回動支持棒233と一体的に回動する。また、係合片支持アーム242は、側面視で、延設方向を長手方向とする略細長矩形状の外形を有し、平面視で、略扇形の被係合板241の径方向に沿うように延設されている。係合片支持アーム242の先端部に、係合片243が支持されている。
係合片243は、所定の多角形状を有する板片部材であり、係合片支持アーム242の先端部において、平面視で係合片支持アーム242の延設方向に直交する方向を回動軸方向として、係合片支持アーム242に対して回動可能に支持されている。係合片243は、係合片支持アーム242を貫通するボルトおよびナット等からなる軸支部材245により回動可能に支持されている。
本実施形態では、係合片支持アーム242は、側面視外形をなす一対の矩形状の板部材242aにより構成されている。係合片243は、係合片支持アーム242を構成する一対の板部材242a間に挟まれた状態で、各板部材の板厚方向を回動軸方向として回動可能に支持されている。
係合片243は、係合片支持アーム242の下縁からの下方への突出部分を、被係合板241のいずれかの切欠部241aに嵌合させることで、被係合板241に係合する。このため、切欠部241aは、係合片243の板厚と略同じ幅の略矩形状に沿う凹部となっている。係合片243が被係合板241に係合することで、回動支持棒233を回動軸とする係合片支持アーム242の水平回動が規制される。これにより、回動支持棒233を介して、排土板211の回動が規制された状態、つまり排土板211の角度が固定された状態となる。
係合片243は、被係合板241に係合した状態で、被係合板241に当接し、後端側を下側に移動させる方向(図19、矢印H1参照)の回動が規制された状態となる。したがって、係合片243が被係合板241に係合した状態から後端側を上側に移動させる方向(図19、矢印H2参照)に回動することで、係合片243が切欠部241aからはずれ、係合片243の被係合板241に対する係合が解除される。係合片243の被係合板241に対する係合が解除されると、係合片支持アーム242の水平回動が可能な状態、つまり回動支持棒233を介して排土板211の傾斜角度が変化可能な状態となる。
操作棒244は、係合片243を回動操作するための操作部である。操作棒244は、直線棒状の部材であり、係合片243の上辺部に溶接等により固定されている。操作棒244は、被係合板241に係合した状態の係合片243において後方に向けて延出するように設けられている。つまり、操作棒244は、係合片243と一体に設けられた後方延出部分であり、軸支部材245を中心として係合片243を回動させるための操作力を受ける部分となる。
また、軸支部材245により軸支された係合片243の回動動作に関し、軸支部材245は、係合片243を回動させるための操作力が解除された状態で係合片243の回動位置を保持できるように構成されている。具体的には、軸支部材245は、係合片支持アーム242および係合片243を貫通するボルト部材245a、およびボルト部材245aに螺合した2連のナット245bを含むダブルナット構造を有する。これにより、係合片243の支持部分は、係合片支持アーム242を構成する一対の板部材による係合片243の挟持支持構成において、係合片243の回動位置が保持できる程度の挟持力(摩擦力)が得られるように構成されている。
以上のような構成を備えた排土板支持部230によれば、機体側から延設された昇降支持体232の上下位置の調整により、昇降支持体232の回動支持筒部238に回動支持棒233を介して支持された排土板211の上下位置の調整が行われる(図19、矢印L1参照)。つまり、昇降支持体232の上下位置の調整により、昇降支持体232と一体的に昇降する排土板211の高さ位置が調整される。
昇降支持体232の上下位置の調整に際しては、止めボルト239を緩めることで、支持筒部231aに対する支持棒部236の上下移動が可能な状態となる。かかる状態において、支持棒部236の上下位置、つまり昇降支持体232の上下位置が所望の位置に調整され、止めボルト239を締めることで、支持棒部236が回動支持筒部238に対して固定された状態となる。このようにして、機体に対する高さ位置が一定のクローラ部7に対する排土板211の相対的な高さ位置が調整される。
また、排土板支持部230によれば、被係合板241に対する係合片243の係合位置の選択により、係合片243を支持する係合片支持アーム242と一体の回動支持棒233に支持された排土板211の傾斜角度の調整が行われる。つまり、複数の切欠部241aのうち係合片243が嵌合する切欠部241aによって、係合片支持アーム242および回動支持棒233の回動位置が変化し、これらと一体的に回動する排土板211の角度が調整される。
係合片支持アーム242の回動位置の調整に際しては、操作棒244の操作によって係合片243を係合解除の方向(図19、矢印H2参照)に回動させて係合片243の被係合板241に対する係合を解除することで、係合片支持アーム242が回動可能な状態となる。かかる状態において、係合片支持アーム242の回動位置、つまり回動支持棒233の回動位置が調整され、係合片243をいずれかの切欠部241aに嵌合させることで、係合片243が被係合板241に係合し、係合片支持アーム242が被係合板241に対して固定された状態となる。このようにして、平面視における排土部210の排土面210aの機体の前後方向に対する傾斜角度α1が調整される。
排土板211の角度調整に関し、本実施形態では、被係合板241において切欠部241aは上記のとおり約略13°の角度間隔で5箇所に設けられており、かかる角度間隔で5段階での角度調整が可能となっている。すなわち、5箇所の切欠部241aのうち、最も内側の切欠部241aに係合片243を嵌合させることで、傾斜角度α1は最も小さくなり、最も外側の切欠部241aに係合片243を嵌合させることで、傾斜角度α1は最も大きくなる。傾斜角度α1の最大値は、約52°である。なお、最も内側の切欠部241aに係合片243を係合させた状態では、傾斜角度α1は約0°となり、排土板211は、略前後方向に沿った状態(図18で二点鎖線で示す排土板211参照)となる。かかる状態は、排土板211を作用させない状態、つまり排土板211の未使用状態として用いられる。
続いて、排土板211の構造について説明する。排土板211は、略矩形板状のベース板部材251と、ベース板部材251の前側に重なる略矩形板状の調整用板部材252とを有し、これらの板部材による2枚重ねの構造となっている。
ベース板部材251は、排土板211のベース部分を構成する板部材であり、回動支持棒233の固定を受ける部分となる。つまり、ベース板部材251の背面側に、回動支持棒233が固定されている。
調整用板部材252は、縦方向の寸法をベース板部材251と略同じとする。ベース板部材251および調整用板部材252のそれぞれにおいて、各部材の下縁部に沿って、排土板211が有する屈曲部211aを構成する屈曲部分が設けられている。
調整用板部材252は、固定ボルト253により複数箇所(本実施形態では3箇所)でベース板部材251に固定されている。固定ボルト253は、ベース板部材251および調整用板部材252のそれぞれに形成されたボルト孔を貫通する。
そして、ベース板部材251に対する調整用板部材252の固定位置が調整できるように、調整用板部材252において、固定ボルト253による固定用のボルト孔252aが複数設けられている。具体的には、調整用板部材252において、各固定ボルト253による固定位置について、3個のボルト孔252aが所定の間隔を隔てて排土板211の長手方向に沿って設けられている。3箇所の固定位置のそれぞれにおいて、3個のボルト孔252aのうちいずれかのボルト孔252aが用いられ、3本の固定ボルト253により、調整用板部材252がベース板部材251に固定されている。
このような構造において、固定ボルト253によるベース板部材251に対する調整用板部材252の固定に際して用いられるボルト孔252aにより、ベース板部材251に対する調整用板部材252の横方向の相対的な固定位置が調整される。かかる固定位置により、ベース板部材251に対する調整用板部材252の重複部分の大きさが変化し、排土板211の長手方向の外形寸法が変化する。つまり、ベース板部材251に対する調整用板部材252の重複部分の大きさが小さいほど、排土板211の横方向の寸法が大きくなり、同重複部分の大きさが大きいほど、排土板211の横方向の寸法は小さくなる。そして、複数のボルト孔252aの配置間隔に応じて、排土板211の横方向の寸法が段階的に調整される。
このように、排土板211は、横方向の寸法が調整可能に構成されている。なお、本実施形態では、固定ボルト253による固定位置の調整により排土板211の横方向の寸法が段階的に調整可能に構成されているが、例えば、ベース板部材251に対する調整用板部材252のスライド構造等により、無段階で排土板211の横方向の寸法が調整される構成が採用されてもよい。
以上のような構成を備えた本実施形態に係るねぎ収穫機1によれば、以下のような作用効果を得ることができる。
すなわち、本実施形態に係るねぎ収穫機1は、畝崩しロータ81に対して機体の左右外側方に、畝崩しロータ81による畝崩しによって生じ畝崩し装置80から排出される土を機体の左右外側方に案内する排出土案内部160を備える。このような構成によれば、ねぎ2の掘り起こしに際して畝3の肩部を崩す畝崩し装置30を備えた構成において、畝崩しにより生じた土の排出を円滑に行うことができ、畝崩し装置80における土の停滞・堆積を防止することができる。
これにより、畝崩し装置80において余分な土が排除され、ねぎ2に土が付着することを防止することができるので、ねぎ2に付着した土が搬送部26へと過度に持ち込まれることに起因して生じるねぎ2の搬送不良等の作動不良を防止することができる。また、ねぎ2の葉部2bの分岐部分に土が入り込むことを防止することができ、ねぎ2の収穫後における調製等の後処理における負担を軽減することができる。
具体的には、本実施形態に係る排出土案内部160によれば、図21に示すように、アップカットするように回転する畝崩しロータ81による畝崩しによって生じた土Sは、例えば、ロータカバー100による非カバー部分となるロータカバーの前方、および左右外側方におけるロータカバー100の下方から排出される。図21において、ねぎ収穫機1の機体の進行方向は、矢印J1の方向である。このような土Sの排出態様においては、例えば、ロータカバー100の前方に排出された土が、機体の前進にともなって相対的に後方に流れる。このように後方に流れる土Sは、ロータカバー100の外側方への土Sの排出を妨げ、ロータカバー100からの土はけ性を低下させる原因となる。
そこで、本実施形態に係るねぎ収穫機1のように、排出土案内部160を備えた構成によれば、畝崩しロータ81の前後から排出される土Sの流れを分割することができ、土Sの流れをスムーズにすることができる。詳細には、図21に示すように、畝崩しロータ81の前部において排出された土Sは、排土案内板161の案内面160aに沿って外側方に案内される。このため、畝崩し装置80から排出される土Sの流れが、排土案内板161よりも前側、つまり畝崩しロータ81の前側からから外側方への流れ(矢印K1)と、排土案内板161の後方における機体の前進にともなう流れ(矢印K2)とに分割された態様となる。
このように、排出土案内部160によれば、土の流れを前後に分断することができるので、機体の前進にともなってロータカバー100の前方に排出されて相対的に後方に流れる土によってロータカバー100の外側方への土の排出が妨げられることが防止され、土の抜け(土はけ)を良くすることができる。これにより、畝崩しロータ81への土の堆積を改善することができ、畝崩し装置80から排出される土を円滑に畝3の外側に排出することができる。
また、本実施形態に係る排出土案内部160は、前側の板面を案内面160aとする排土案内板161により構成されている。このような構成によれば、排出土案内部160を板状の部材によって簡単に構成することができるので、排出土案内部160を容易にかつ安価に実現することができる。
また、本実施形態に係る排出土案内部160においては、畝崩しロータ81の左右外側方に設けられて畝崩しロータ81に駆動力を伝達するための駆動機構を収納した駆動ケース86の前方に、排出土案内部160が設けられている。このような構成によれば、畝崩しロータ81の前側から排出された土を、排出土案内部160により駆動ケース86よりも前方で外側方へ案内することができる。
これにより、土の塊等が駆動ケース86に直接当たることが防止され、土の干渉による駆動ケース86の摩耗を防止することができる。つまり、排出土案内部160によって、機体の進行にともなう土の接触から駆動ケース86をガードすることができる。特に、排出土案内部160を構成する排土案内板161を駆動ケース86の直前方に配置し、排土案内板161により駆動ケース86の全体を前側から覆うよう構成によれば、駆動ケース86のガード作用を効果的に得ることができる。また、駆動ケース86の前方に排出土案内部160を設けた構成によれば、機体進行時に駆動ケース86が受ける土の抵抗を相殺することができるので、排出土案内部160を設けることによる機体進行時の土の抵抗の増加を可及的に抑制することができる。
また、本実施形態に係る排土案内板161は、ベース板部材176および調整用板部材177の2枚重ねの構造により、縦横の寸法が調整可能に構成されている。このような構成によれば、駆動ケース86の大きさや畝間溝3aの広さや圃場の土質等に応じて、排土案内板161の寸法を変更することができるので、ねぎ2が栽培された圃場の状況等に応じて、排出土案内部160による排出土の外側方への案内作用や駆動ケース86のガード作用を確実に得ることができる。
また、本実施形態に係る排土案内板161は、2つの支持アーム162による支持構造により、略上下方向に沿う方向を回動軸方向として角度調整可能に設けられている。このような構成によれば、畝間溝3aの広さや圃場の土質等に応じて、排土案内板161の傾斜角度を変更することができるので、ねぎ2が栽培された圃場の状況等に応じて、機体進行時の土の抵抗等を加味しながら、排出土案内部160による排出土の外側方への案内作用を確実に得ることができる。
また、本実施形態に係る畝崩し装置80は、畝崩しロータ81を覆う土飛散防止用のロータカバー100を有する。このような構成によれば、ロータカバー100の形状による土の排出の流れに対応して排出土案内部160を設けることにより、畝崩しロータ81による畝崩しにより生じた土の飛散を防止することができるとともに、ロータカバー100の形状に応じて効率的に土はけ性を向上することができる。本実施形態では、排土案内板161は、その左右内側の端部をロータカバー100の前部内に位置させ、大部分をロータカバー100から左右外側に張り出させた態様で設けられている。このような配置構成により、畝崩しロータ81の前部で生じた土を効率的に外側側方に案内することが可能となる。
また、本実施形態に係るロータカバー100は、基部カバー要素180と、この前後において回動可能に設けられた前回動カバー要素181および後回動カバー要素182を有する。このような構成によれば、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182の回動角度の調整により、畝崩しにより生じる土の量や土質に応じて、ロータカバー100からの土の排出経路の大きさを調整することが可能となる。例えば、畝崩しにより生じる土の量が多い場合は、前回動カバー要素181あるいは後回動カバー要素182を開く方向に回動させて土の排出経路を大きく確保することで、ロータカバー100内からスムーズに土を排出させることが可能となる。このような土の排出経路の大きさの調整構造により、ロータカバー100内から円滑に土を排出することができ、排出土案内部160による土の案内作用を効果的に得ることができる。
また、本実施形態に係るロータカバー100においては、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182の各カバー要素が、ゴム板構造によって部分的に開閉可能に構成されている(図14、図15参照)。このような構成によれば、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182の基部カバー要素180に対する回動による土の排出経路の大きさの調整に加え、ロータカバー100の各カバー要素の部分、つまりロータカバー100前後の各部において、土の排出経路の開口の大きさを調整することが可能となる。これにより、畝崩しにより生じる土の量や土質や畝間溝3aの幅等に応じて、ロータカバー100からの土の排出経路を細かく制御することが可能となり、ロータカバー100内から排出される土の流れを円滑にすることができ、排出土案内部160による土の案内作用を効果的に得ることができる。例えば、畝間溝3aの幅が比較的狭い場合においては、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182の外側の側面部を閉じた状態とし、隣の未収穫状態の畝3のねぎ2に畝崩しにより飛散した土がかかることが防止される。
さらに、本実施形態に係るロータカバー100は、全体的に前後回動可能に設けられている(図16参照)。このような構成によれば、前回動カバー要素181および後回動カバー要素182の回動による土の排出経路の大きさの調整、および各カバー要素の部分的な開閉による土の排出経路の大きさの調整に加え、ロータカバー100の後側および前側の開放部分の大きさを調整することが可能となる。これにより、畝崩しにより生じる土の量や土質や畝間溝3aの幅等に応じて、ロータカバー100からの土の排出経路をより細かく制御することが可能となる。また、ロータカバー100の前側の開放部分の大きさの調整により、畝崩し装置80の前方の未掘りのねぎ2に、アップカットするように回転する畝崩しロータ81による畝崩しによって生じた土が降りかかることを防止することができる。
また、ロータカバー100の全体的な回動構成によれば、ロータカバー100に取り付けられた主ガイド棒体106および副ガイド棒体107の傾斜角度を調整することができる。これにより、畝3に栽培されたねぎ2の枯葉の状態等に応じて、主ガイド棒体106および副ガイド棒体107の傾斜角度を調整することができ、これらのガイド棒体によるガイド作用を確実に得ることが可能となり、左右に広がったねぎ2の枯葉等が畝崩しロータ81に干渉することを確実に防止することができる。
また、本実施形態に係るねぎ収穫機1は、クローラ部7の前方に、機体の前進にともなって、クローラ部7の前方の余分な土を排除する排土部210を備える。このような構成によれば、排土部210によってクローラ部7の前方の余分な土を削り込んで排除することができるので、畝3の両側の畝間溝3aの深さの違いにかかわらず、機体を安定させた状態で、畝3に栽培されているねぎ2の収穫作業を安定的に行うことが可能となる。
これにより、例えば図17(a)に示すように1条目の畝3Aの左右両側の畝間溝3aの深さが互いに異なる状況においても、上述したような条目の順番通りではない順序で収穫作業を行う必要がなく、条目の順番通りに、つまり1条目、2条目、3条目、4条目の順に、ねぎ2の収穫作業を行うことができる。したがって、収穫したねぎ2を圃場から搬出する際、未収穫状態の畝3を越えてねぎ2を搬送する必要がなくなり、ねぎ2の収穫後の搬出作業の負担を軽減することができ、作業効率を向上させることができる。また、圃場からのねぎ2の搬出に際して未収穫状態の畝3を越える必要がなくなることから、未収穫状態の畝3を横切ることにより収穫前のねぎ2を傷めることを防止することができる。
例えば、図22(a)に示すように、畝3の一側(図において左側)の畝間溝3aが他側(図において右側)の畝間溝3aよりも浅く、左右両側の畝間溝3aの深さが互いに異なる場合がある。このような場合、排土部210を備えた構成により、浅い方の畝間溝3aの土を、排土部210によって排除することが行われる。すなわち、排土部210により、深い方の畝間溝3aに対応するクローラ部7が位置する畝間溝3aの深さに応じて、浅い方の畝間溝3aに対応するクローラ部7の前方の余分な土が、機体の左右外側方に寄せて排除される。
具体的には、図22(b)に示すように、左右の畝間溝3aにクローラ部7を位置させてねぎ2の収穫を行うねぎ収穫機1において、左右の排土部210のうち、浅い方の畝間溝3aに対応するクローラ部7の前方に設けられた排土部210Aを作用させる。すなわち、排土部210Aを構成する排土板211を前後方向に対して傾斜状態とし、その排土板211の排土面210aにより、機体の前進にともなってクローラ部7の前方の土を削りながら、クローラ部7の前方の土が排除される。一方、左右の排土部210のうち、深い方の畝間溝3aに対応するクローラ部7の前方に設けられた排土部210Bは、前後方向に沿う未使用状態とされる。なお、図22(b)は、ねぎ収穫機1の正面側から見た図である。また、図22(b)において、排土板211が作用する前の状態の畝間溝3aの底の位置を二点鎖線で示している。
ここで、土に作用させる方の排土部210Aの排土板211の高さは、排土板211の下縁部の高さ位置が、深い方の畝間溝3aの底部の高さ位置に合うように(略同じ高さ位置となるように)、あるいは排土板211の下縁部が深い方の畝間溝3aの底よりも例えば20mm程度高い位置に位置するように設定される。これにより、排土板211が作用することで、浅い方の畝間溝3aの深さが、深い方の畝間溝3aの深さと略同じとなる。
このようにして排土部210を用いることにより、浅い方の畝間溝3aの底側の土を排土板211により削って畝の外側方に寄せるようにして排除することができ、左右の畝間溝3aの深さを合わせることができる。これにより、左右のクローラ部7が同じ高さの地面を通過することになるので、機体の水平状態を得ることができる。これにより、畝3の両側の畝間溝3aの深さの違いにかかわらず、機体の水平状態を保持しながら、安定的にねぎ2の収穫作業を行うことができる。こうした安定的なねぎ2の収穫作業が可能となることに加え、上述したような排出土案内部160による畝崩し装置80における土の停滞・堆積の防止効果が得られることにより、本実施形態に係るねぎ収穫機1によれば、ねぎ2の良好な収穫作業を行うことが可能となる。
また、比較的大型の収穫機においては、機体を水平に保つための水平制御装置を備えた構成があるが、本実施形態に係るねぎ収穫機1のように比較的小型の収穫機においては、水平制御装置を備えることは構造的、コスト的に現実的ではない。そこで、本実施形態に係るねぎ収穫機1のように、排土部210を備えた構成によれば、水平制御装置によらずに、機体を水平状態に保つことができ、安定的なねぎ2の収穫作業を行うことができる。
また、本実施形態に係る排土部210は、上下位置の調整が可能に構成されている。このような構成によれば、排土板211の高さ調整により、畝間溝3aの深さや土質等に応じて、機体の水平状態について微妙な制御が可能となる。
また、本実施形態に係る排土部210は、前後方向に対する傾斜角度が調整可能に構成されている。このような構成によれば、排土板211の傾斜角度の調整により、畝間溝3aの幅や土質等に応じて、左右の排土板211における機体前進時の抵抗を調整することが可能となり、機体の直進性を向上することができる。なお、図22(b)に示す排土部210の使用例においては、左右一方の排土部210のみ作用させているが、左右両方の排土部210を作用させてもよい。
また、本実施形態に係る排土板211は、ベース板部材251および調整用板部材252の2枚重ねの構造により、横方向の寸法が調整可能に構成されている。このような構成によれば、畝間溝3aの幅や圃場の土質等に応じて、排土板211の横方向の寸法を変更することができるので、ねぎ2が栽培された圃場の状況等に応じて、排土部210による土の排出作用を確実に得ることができる。
以上のように実施形態を用いて説明した本発明に係るねぎ収穫機は、上述した実施形態に限定されず、本発明の趣旨に沿う範囲で、種々の態様を採用することができる。
上述した実施形態において、排出土案内部160は、一方の板面を案内面160aとする排土案内板161により構成されているが、排出土案内部160の構成は本実施形態に限定されない。本発明に係る排出土案内部としては、畝崩しロータ81による畝崩しによって生じ畝崩し装置80から排出される土を機体の左右外側方に案内するものであれば、その構成は特に限定されない。本発明に係る排出土案内部としては、排土案内板161のほか、例えば、畝崩し装置80から排出される土を、回転駆動するロータの回転作用によって機体の外側方に案内する回転式の構成のものであってもよい。
また、上述した実施形態において、排土部210は、一方の板面を排土面210aとする排土板211により構成されているが、排土部210の構成は本実施形態に限定されない。本発明に係る排土部としては、クローラ部の前方に設けられ、傾斜状の排土面を有し、機体の前進にともなって、クローラ部の前方の余分な土を排除するものであれば、その構成は特に限定されない。
また、上述した実施形態において、排土部210は、左右のクローラ部7,7の前方に設けられているが、圃場における作業態様等により、必要に応じて左右いずれか一方のクローラ部7の前方にのみ設けられてもよい。