JP6693562B2 - 収縮割繊用芯鞘型複合繊維およびそれを含む織編物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリエステルとポリアミドとからなる収縮割繊用芯鞘型複合繊維およびそれを含む織編物に関するものである。
ポリアミドとポリエステルとからなる芯鞘繊維を収縮させて割繊処理することで、ピーチスキンタッチ調の滑らかな風合いを持った高密度織物の技術は知られており、その改善技術も多数提案されている。例えば、特許文献1、3では、染色性を改善するため鞘成分のポリエステルに金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を共重合したカチオン可染性ポリエステルを用いて、ベンジルアルコール処理により収縮させて割繊処理することが提案されている。また、特許文献2では、芯成分に共重合ポリアミド、鞘成分にポリエチレンテレフタレートを用いた芯鞘複合繊維を、アルカリ処理により収縮させて割繊処理することが提案されている。特許文献1〜3に記載の芯鞘複合繊維を収縮させて割繊処理した後のポリアミド・ポリエステル極細混繊糸は、ポリアミド極細繊維が中央部に配置され、ポリエステル極細繊維が外周部に配置された構造となる。そのため、外周部のポリエステル極細繊維に適した染料で染色される。
特開昭61−108766号公報 特開平03−90619号公報 特開2008−156769号公報
特許文献1、3に記載の芯鞘複合繊維の鞘部に配されているポリエステル成分にはスルホン基が存在しているが、該ポリエステル成分では高配向の結晶構造が得られず、実用上満足し得る範囲の発色性は得られなかった。
特許文献2に記載の芯鞘複合繊維の鞘部のポリエステル成分中にカチオン染料とイオン結合可能な基を有していないため、カチオン染料に対する染色性は得られないので分散染料を使用している。これより未染着の分散染料がポリアミドを汚染することが課題であった。分散染料によるポリアミド汚染を回避するため、ポリエステルとポリアミドに吸着されている未染着染料を還元洗浄することが一般的であるが、この工程はポリアミドの劣化をひきおこし易く、生地の強度低下に問題が生じた。
また、特許文献1、3に記載の芯鞘複合繊維の割繊処理においては、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を共重合するポリエステルとポリアミドとの相互親和性が強いため割繊しにくく、ピーチスキンタッチ調の滑らかな風合いを得ることができなかった。
本発明は、前記従来技術の問題点を解決し、発色性、風合いに優れた収縮割繊用芯鞘型複合繊維を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、下記の構成からなる。
(1)カチオン可染性共重合ポリエステルを鞘成分、ポリアミドを芯成分とする芯鞘型複合繊維において、ポリエステル成分を繊維軸方向と平行な偏光方位と直行する偏光方位で測定した1615cm−1付近のラマンバンドの強度比が5.0〜7.0であり、ポリアミド成分のアミノ末端基量が2.4×10−5〜3.0×10−5mol/gであることを特徴とする収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
(2)カチオン可染性共重合ポリエステルが、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分およびアジピン酸ジメチル成分を共重合した共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
(3)カチオン可染性共重合ポリエステルが、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を2.0〜5.5モル%、およびアジピン酸ジメチル成分を3.0〜6.0モル%共重合していることを特徴とする請求項2に記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
(4)繊維断面形状が、ポリアミドの芯成分によってカチオン可染性共重合ポリエステルからなる鞘成分が3個以上に分割されていることを特徴する請求項1から3のいずれかに記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
(5)請求項1〜4のいずれかに記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維を少なくとも一部に含む織編物。
本発明によれば、発色性、風合いに優れた収縮割繊用芯鞘型複合繊維を提供できる。
図1(a)〜(c)は、本発明の芯鞘型複合繊維の繊維断面を模式的に例示する繊維断面図である。
本発明の芯鞘型複合繊維は、ポリアミドが芯成分、カチオン可染性共重合ポリエステルが鞘成分の繊維である。
本発明の芯鞘型複合繊維の鞘成分であるカチオン可染性共重合ポリエステルにおいて、配向性を示す繊維軸方向と平行な偏光方位と直行する偏光方位で測定した1615cm−1付近のラマンバンドの強度比が5.0〜7.0、カチオン染料での発色性を向上させるため好ましくは5.5〜6.5である。ここでいう1615cm−1付近のラマンバンドの強度比は、鞘部ポリエステルの配向性を表す指標であり、レーザーラマン分光法で測定される値である。数値が高い程、結晶構造の配向性が高いことを示している。1615cm−1付近のラマンバンドの強度比が5.0未満の場合、カチオン染料が結晶から抜けやすく発色性に劣る。1615cm−1付近のラマンバンドの強度比が7.0を超える場合、高結晶になり過ぎ、例えば、製織時にガイドとの擦れ等により単糸切れ、全糸切れが発生、毛羽、糸切れを誘発して製織性が低下し、布帛の耐摩耗性が低下する。また、風合いも低下する。
1615cm−1付近のラマンバンドの強度比をかかる範囲とするには、引取速度、延伸温度、熱セット温度、延伸倍率を好ましく設定し、低紡速、高倍率延伸を行うことで達成できる。具体的には、引取速度1100〜1250m/min、延伸倍率2.90〜3.30、延伸温度80〜100℃、および熱セット温度150〜180℃とする。特に延伸倍率をかかる範囲とすることにより結晶構造は高配向となり、ラマンバンドの強度比は高くなる。より好ましい延伸倍率は3.00〜3.20である。また、高倍率延伸を行うためにより好ましい延伸温度は85〜95℃である。
また、通常の溶融紡糸であれば製造プロセスを特に限定するものではなく、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)、未延伸糸を一旦巻き取った後に延伸する方法(2工程法)、あるいは紡糸速度を3000m/min以上のように高速として実質的に延伸工程を省略する方法(高速紡糸法)等、いずれの方法においても製造可能であるが、高効率生産、製造コストの面から直接紡糸延伸法、高速紡糸法の一工程法が好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維を構成するポリアミドとしては、例えばナイロン6、ナイロン10、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン66、ナイロン610およびこれらを主成分とする共重合ポリアミドなどが挙げられる。これらのポリアミドの中でも特にナイロン6は製糸性が安定しており、割繊処理時、例えばベンジルアルコール処理時の収縮が良好である点から好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維は、優れた風合いを得るためにポリアミド成分のアミノ末端基量は2.4×10−5〜3.0×10−5mol/gである。ここでいうアミノ末端基量は、芯鞘型複合繊維状態の試料についてH−NMRスペクトルを測定することで求めることができ、芯比率からポリアミド成分を100%に換算して算出される値である。本発明では、収縮割繊処理を行い、ポリエステル成分とポリアミド成分とを割繊させることを前提としている。その為、ポリエステルとポリアミドの複合界面の親和性が低いと割繊性良好で、芯成分のポリアミドが収縮し、鞘成分のポリエステルがふくらむ芯鞘構造が発現し、優れた風合いを得ることができる。一方、複合界面の親和性が高いと割繊不良を引き起こし易く、鞘成分のポリエステルのふくらみにバラツキが生じ、風合いおよび品質が劣位となる。
本発明における金属スルホネート基を含有するカチオン可染性共重合ポリエステルは、ポリアミドのアミノ末端基との結合により通常のポリエステルと比較して親和性が高いため、割繊性を良好にするためには複合界面の親和性を低くする必要がある。しかしながら、親和性が低すぎると収縮割繊処理前の段階、例えば、製織時にポリエステルとポリアミドの複合界面が剥離し、毛羽、糸切れを誘発して製織性が低下する。本発明者らは、ポリエステルとポリアミドの複合界面における結合反応を制御して割繊性を安定させるためには、ポリアミド成分のアミノ末端基量を2.4×10−5〜3.0×10−5mol/gとすることを見いだしたのである。3.0×10−5mol/gを超えるとポリエステルとの親和性が高く割繊性が悪化して風合いは劣位となる。2.4×10−5mol/g未満の場合、ポリエステルとの親和性が低くなり過ぎ、製織時に複合界面で剥離が発生し、毛羽、糸切れを誘発して製織性が低下する。また、割繊バラツキが生じやすく、風合いは低下する。好ましいアミノ末端基量は2.6×10−5〜2.8×10−5mol/gである。
本発明の芯鞘型複合繊維のアミノ末端基量をかかる範囲とするためには、芯成分に用いるポリアミドチップのアミノ末端基量を4.4×10−5〜5.0×10−5mol/gとすることが好ましい。衣料用途の場合、アミノ末端基量はポリアミドの染色に寄与し、発色性を考慮すると酸性染料との反応性からアミノ末端基量が比較的高いものを選択する。しかしながら、本発明では、収縮割繊処理を行い、ポリエステル成分とポリアミド成分とを割繊させ、芯成分のポリアミドが収縮し、鞘成分のポリエステルがふくらむ芯鞘構造に変化させることを前提としている。そのため、布帛の発色性については、ポリエステルの発色性を考慮すればよく、従来よりも低い範囲のアミノ末端基量のポリアミドチップを選択しても、収縮割繊処理後の布帛の発色性は良好である。更に好ましくは、4.6×10−5〜4.8×10−5mol/gである。なお、ポリアミドチップは、アミノ基量とカルボキシル基量とのモル比を調整して重縮合する方法や末端封止剤を添加する方法によって、アミノ末端基量を調整することができる。
また、本発明の目的を損なわない範囲の量、種類であれば、耐熱性などの生産性向上のための添加剤が配合されていてもよいし、艶消し、吸湿、抗菌、紫外線遮蔽、保温等の機能を持たせる添加剤が配合されてもよい。しかしながら、製糸性や耐久性を低下してしまうため、1μmを超える無機粒子の添加は好ましくなく、白色顔料も含めて無機粒子の添加は限定されるものではないが、ポリアミドに対して、2.0質量%以下であることが好ましく、1.0質量%未満であることがより好ましい。
また、ポリアミドの重合度は、芯鞘型複合繊維中に含まれるポリエステルを分割割繊して得られる繊維、あるいはそれらの織編物、繊維製品の要求特性、またはそれらを安定して得るために適当な範囲より適宜選択して良いが、好ましくは98%硫酸相対粘度で2.0〜3.6であり、さらに好ましくは2.4〜3.4である。
本発明の芯鞘型複合繊維を構成するポリエステルは、カチオン染料での発色性の観点から、カチオン染料とイオン結合可能な基を有する共重合ポリエステルである。
特に好ましくは、ジカルボン酸としてテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールとしてエチレングリコールまたはそのエステル形成性誘導体を、エステル化またはエステル交換反応させた後に得られるポリエチレンテレフタレートを基本骨格とし、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分およびアジピン酸ジメチル成分を共重合したカチオン可染性共重合ポリエステルがよい。
本発明の芯鞘型複合繊維を構成する共重合ポリエステルは、全酸成分に対して金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を2.0〜5.5モル%共重合していることが、優れた発色性を得るために好ましい。かかる共重合ポリエステルはイソフタル酸成分の末端基である陰イオン部位とカチオン染料の陽イオン部位とのイオン結合により染色可能となり優れた発色性が得られる。金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分の含有量として少ないと発色性を十分に高めることが難しく、2.0モル%以上とすることが好ましい。また、多いほど発色性を高めることができるが、ポリエステルに金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を共重合するとポリエステルの耐熱性が低下することで製糸性が低下するため、5.5モル%以下にすることが好ましい。好ましくは2.0〜4.0モル%、さらに好ましくは3.0〜4.0モル%である。
金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分は、公知のものを使用することができるが、具体的には5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジエチルエステル、5−ナトリウムスルホイソフタル酸グリコールエステル等が挙げられ、好ましくは、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルである。
本発明の芯鞘型複合繊維を構成する共重合ポリエステルは、全酸成分に対してアジピン酸ジメチル成分を3.0〜6.0モル%共重合していることが、優れた発色性および染色堅牢性を有するために好ましい。
アジピン酸成分を構成する単量体には、アジピン酸もしくはアジピン酸のエステル形成誘導体があり、例えば、アジピン酸形成誘導体としては、メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステル、エチレングリコールエステル等のアジピン酸形成誘導体が挙げられるが、優れた発色性および染色堅牢性を有するという点から、アジピン酸ジメチルを用いることが好ましい。
アジピン酸ジメチルは、カルボニル基との共役により解裂しにくく短鎖型の低分子量であるため、分子鎖中に均一に分散する。これよりポリエステルに浸透したカチオン染料が抜けにくい結晶構造となり色落ちを抑制するため染色堅牢度が向上する。そのためにはアジピン酸成分は低分子量のアジピン酸ジメチルを用いることが好ましい。
アジピン酸ジメチルの共重合量が3.0モル%以上であれば発色性や染色堅牢度が良好となるので好ましい。また、その共重合量が6.0モル%以下であればポリエステルの耐熱性および製糸性が良好であり、染色堅牢度も良好となるので好ましい。より好ましくは3.5〜5.5モル%、さらに好ましくは4.0〜5.5モル%である。
ポリエステルの製造方法における重合触媒として、アンチモン触媒が広く用いられるが、本発明の芯鞘型複合繊維の鞘成分を構成する共重合ポリエステルは、色調や耐熱性に優れる点から、ポリエステルに可溶なチタン化合物、更にはリン化合物を用いることが好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維に含まれるポリアミドとポリエステルの質量比は、収縮割繊糸、あるいはその織編物、繊維製品の要求特性、またはそれらを安定して得るために適当な範囲より適宜選択して良いが、好ましくはポリアミドとポリエステルの質量比で5:95〜40:60であり、ポリアミド極細繊維が中央部、ポリエステル極細繊維が外周部に配される構造となり、ピーチスキンタッチ調の滑らかな風合いを得られる観点から10:90〜40:60がさらに好ましい。
本発明の芯鞘型複合繊維の繊維断面形状は、ポリアミドによってポリエステルからなる鞘部が3個以上に分割していることが好ましい。例えば、図1(a)〜(c)の繊維断面形状の場合、芯部2は、糸軸方向に連続して存在しているポリアミドにより構成され、繊維中心部から放射線方向に成すよう配置すればよい。好ましい形状としては、繊維外周部に向かって放射線方向にのびる部分が細くなるよう配置する。さらに好ましくは、芯部形状は星状である。鞘部1は、繊維断面において放射線方向に成したポリアミドからなる芯部の放射線方向に伸びた各突起間に形成される独立の空間部にポリエステルからなる鞘部を配置すればよい。好ましい形状としては、独立したポリエステルを3個以上、さらに好ましくは4個以上配置すればよい。図1(a)はポリエステルからなる鞘部1が8個の例、図1(b)はポリエステルからなる鞘部1が6個の例、図1(c)はポリエステルからなる鞘部1が5個の例である。また、具体的なポリエステルからなる鞘部の分割個数は、得られる織編物に要求されるピーチスキンタッチ調の滑らかな風合いなどの官能特性等を勘案して決定すればよい。また、本発明の芯鞘型複合繊維は長い複合界面を有する繊維断面形状であっても割繊性が良好であることから、鞘部の分割数により細繊度の割繊糸の製造が可能となる。
また本発明において、ポリアミドが繊維表面の少なくとも一部露出しているとは、図1(a)〜(c)に示すように、芯部2が繊維断面の繊維中心部から放射線方向に成すよう配置され、かつその先端部の一部が繊維表面に露出していることである。ポリアミドを露出させることで、ベンジルアルコール処理時に溶液が浸透しやすく良好な収縮割繊性を得られる。繊維表面に露出しているポリアミド先端部の数は、先端部の総数Nに対してN−2個以上が好ましい。
なお、繊維表面に露出しているポリアミド先端部の数は、必要に応じて繊維を蝋で固める等して、繊維横断面方向から厚さ約6ミクロンの薄切片を切り出し、光学顕微鏡(Nikon(株)社製80iTP−DPH−S)で繊維横断面を観察して求める。
また、ポリアミドとポリエステルは、異種のポリマーの組み合わせであり、界面剥離しやすいため、繊維表面への露出割合は少ない方が好ましい。ポリアミドの露出部分の総周長の繊維断面周長に対する割合、すなわち露出度が10%以下であれば、高次加工(糸加工、製織、製編など)での界面剥離がなく安定した工程通過性を得られるため、好ましい。また露出度が1%より高いと、ベンジルアルコール処理時、芯部のポリアミドが収縮しやすく割繊しやすくなるため好ましい。繊維断面周長に対するポリアミドの露出度は1〜10%が好ましく、さらに好ましくは4〜8%である。
なお、ポリアミドの露出度は、必要に応じて繊維を蝋で固める等して、繊維横断面方向から厚さ約6ミクロンの薄切片を切り出して、光学顕微鏡で繊維断面を撮影した後、写真により繊維直径、露出部分の長さは自由形定規で計測し、繊維断面周長(2π×繊維直径)に対するポリアミドの露出部分の総長の割合を算出する。
本発明の芯鞘型複合繊維の溶融紡糸による製造方法としては、紡糸−延伸工程を連続して行う方法(直接紡糸延伸法)が好ましい。以下に直接紡糸延伸法での製造について例示する。
まず溶融部について説明する。ポリアミド、ポリエステルを溶融するに際し、プレッシャーメルター法あるいはエクストルーダー法が挙げられるが、両者とも特に限定されるものではない。溶融温度(いわゆるポリマー配管や紡糸パックまわりの保温温度)としては、可能な限り低温度で溶融紡糸する方が溶融紡糸時の製糸性が向上するため好ましい。特に、ポリアミドとポリエステルの接合時の紡糸口金内の温度をコントロールすることにより、製糸性が良好となる。そのため、紡糸口金内の温度を直接測定できることが好ましいが、口金吐出面の紡糸温度測定値で代用する。紡糸パックへ流入したポリアミド、ポリエステルは、公知の紡糸口金により合流、分割可能な複合断面に形成されて、紡糸口金より吐出される。紡糸口金から吐出された芯鞘型複合繊維は、冷却、固化され、油剤が付与された後、引き取られる。
また、巻き取りまでの工程で公知の交絡装置を用い、交絡を施すことも可能である。必要であれば複数回付与することで交絡数を上げることも可能である。さらには、巻き取り直前に、追加で油剤を付与することも可能である。
次に、本発明の芯鞘型複合繊維を用いた織編物の製造方法について説明する。
本発明の織物は、常法によって製織することにより織物とすることができる。まず経糸用の繊維をクリールに並べて整経をおこないビームに巻き、次いでビームに巻いた繊維を糊付け・乾燥して経糸の準備をおこなう。続いて経糸を織機のオサに通し、緯糸を打ち込んで織物を仕立てる。織機はシャトル織機、エアジェットルーム織機、ウオータージェットルーム織機、レピア織機、グリッパシャトル織機などの種類があるがいずれの織機で製造しても良い。好ましくは、生産性が高いエアジェットルーム織機、ウオータージェットルーム織機である。
また緯糸の打ち込み方により、平組織、斜文組織(ツイル)、朱子組織(サテン)などのいくつかの織組織があるが目的に応じていずれをも選ぶことができる。さらに、織物に使用される経糸および緯糸については、芯鞘型複合繊維を少なくとも一部に有する。その他の繊維は天然繊維、化学繊維等特に限定しない。
本発明の編物は、常法によって製編することにより編物とすることができる。編機は横編機、丸編機、経編機などの種類があるがいずれの編機で製造しても良い。
また編成により、丸編み、横編の場合は、平編、リブ編、パール編、インターロック(両面編)、経編の場合は、アトラス組織、デンビー組織、コード組織などのいくつかの編組織があるが目的に応じていずれをも選ぶことができる。さらに、編物に使用する糸については、芯鞘型複合繊維を少なくとも一部に有する。その他の繊維は天然繊維、化学繊維等特に限定しない。
本発明の芯鞘型複合繊維は、繊維の状態もしくは芯鞘型複合繊維を少なくとも一部に有する織編物とした状態でポリアミドの膨潤剤を含む処理剤で収縮して割繊する。ポリアミドの膨潤剤として、例えば、フェノール、o−フェニルフェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、ベンジルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、フェニルエチルアルコール等が挙げられるが、特に毒性や刺激性などの安全性および臭気等の作業環境の面からベンジルアルコールが最も好ましい。これら膨潤剤は一般に水に対して難溶解性であり、水に乳化分散させた乳化分散液とするか、20℃における水に対する溶解度が15重量%以上であるアルコールに溶解した溶液として適用することが好ましい。前記乳化分散液を調整する際に適用できる界面活性剤は、非イオン系、アニオン系およびカチオン系活面活性剤および両性活性剤等、安定に乳化分散できるものならいかなるものでも良い。前記アルコール溶液を調整する際に適用できるアルコールは、例えば、エタノール、プロピルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラエチレングリコール、グリセリン等があげられ、特にエチレングリコールおよびプロピレングリコールが好ましい。
本発明の織編物は、収縮して割繊処理後、公知の染色方法にて、公知のカチオン染料で染色される。このカチオン染料としては、例えば、’AizenCathilon’(保土谷化学工業(株)製)、’Kayacryl’(日本化薬(株)製)、’Estrol Sumiacryl’(住友化学工業(株)製)、’Diacryl’(三菱化成工業(株)製)、’Maxilon″(チバガイギー(株)製)、Astrazon’ (バイエルジャパン(株)製)等の冠称名染料が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、分散型カチオン染料を用いることもできる。本発明の効果を阻害しない範囲内の少量であれば他の染料を併用してもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。各物性の測定方法は以下の通りである。
A.ポリエステルの固有粘度(IV)
ポリエステル試料をオルソクロロフェノールに溶解し、オストワルド粘度計を用いて25℃で測定した。
B.ポリエステルの色調(b値)
ポリエステル試料を、色差計(スガ試験機製、SMカラーコンピュータ型式SM−T45)を用いて、ハンター値(b値)として測定した。
C.ポリエステルチップのΔ固有粘度280(耐熱性を表す指標)
ポリエステル試料を、150℃で12時間減圧乾燥させた後、窒素雰囲気下280℃で60分間加熱溶融させた後、上記Aの方法にて固有粘度を測定し、加熱溶融前後の差をΔ固有粘度280として算出した。
D.ポリエステル中のDEG含有量
ポリエステル試料をモノメタノールアミンで加熱分解後、1,6ヘキサンジオール/メタノールで希釈し、テレフタル酸で中和した後、ガスクロマトグラフィーのピーク面積からDEG含有量を求めた。
E.ポリアミドの98%硫酸相対粘度(ηr)
ポリアミド試料を、オストワルド粘度計にて下記溶液の25℃での落下秒数を測定し、下式により算出した。ポリカプロアミドを1g/100mlとなるように溶解した98%濃硫酸(T1)、98%濃硫酸(T2)とすると、
(ηr)=T1/T2
F.ポリアミドのアミノ末端基量(×10-5mol/g)
ポリアミドチップ約1.0gを精秤し、フェノール・エタノール混合溶媒(83.5:16.5、体積比)25mlに溶解後、0.02N塩酸水溶液を用いて滴定した。
G.ポリエステル成分のラマンバンドの強度比
繊維試料の配向測定は試料表面から行い、鞘成分ポリエステルの情報が得られる測定条件とし、測定は偏光条件下で実施した。
配向パラメーターである1615cm−1付近のラマンバンドはC=Cの伸縮振動モードに帰属される。振動方向は分子鎖に対して平行なモードである。ラマン散乱は、分子鎖の振動方向(分極方向)と入射光の偏光方向(電場の向き)が一致する場合に強く得られることから、この振動モードの散乱強度は配向度と相関して変化する。繊維軸と平行な偏光方位と直交する偏光方位で測定を行い、その強度の比を繊維軸方向への配向度と相関するパラメーターとして算出した。このパラメーターは配向度が高いほど大きな値となり、無配向時は1となる。
1615cm−1付近のラマンバンドの強度比R=I1615平行/I1615垂直
1615平行:繊維軸方向に平行な偏光配置での1615cm−1付近ラマンバンドの強度
1615垂直:繊維軸方向に垂直な偏光配置での1615cm−1付近ラマンバンドの強度
レーザーラマン分光法の測定条件詳細を下記する。
装置:T−64000(Jobin Yvon/愛宕物産社製)
条件:
測定モード;顕微ラマン
対物レンズ;×100
ビーム径;1μm
光源;Arレーザー/514.5nm
レーザーパワー;50mW
回折格子;Single 1800gr/mm
スリット;100μm
検出器;CCD/Jobin Yvon 1024×256 。
H.ポリアミド成分のアミノ末端基量
核磁気共鳴分光分析(NMR)による測定
繊維試料約30mgを秤量し、これに重クロロホルムおよび重ヘキサフルオロイソプロパノールを各0.32mLずつ加えて溶解させたものを試料溶液として用いて、H−NMRスペクトルを測定し、芯成分のポリアミドのアミノ末端基量を求めた。アミノ末端基の対応ピークの積分値から末端基量を算出した。
H−NMR測定条件詳細を下記する。
装置:ECA−400((株)JEOL RESONANCE製)
測定方法:single pulse with H homodecoupling
観測核:
観測周波数:399.8MHz
パルス幅:6.45μs(45°pulse)
ロック溶媒:CDCl
化学シフト基準:Tetramethylsilane(TMS)(0.0ppm)
観測幅:8000Hz(約−2〜18ppm)
データポイント数:32768
待ち時間:15秒
積算回数:64回
測定温度:40℃
試料回転数:15Hz
デカップリングパルス照射強度:40dB
デカップリング中心:1.77ppm 。
I.光学顕微鏡による繊維横断面観察
必要に応じて繊維を蝋で固める等して、繊維横断面方向に約6ミクロンの薄切片を切り出し、光学顕微鏡(Nikon(株)社製80iTP−DPH−S)で繊維横断面を観察した。繊維糸条全体を観察するときは1000倍、単糸を観察するときは3000倍と必要に応じて観察倍率を変更して繊維横断面を観察した。
J.芯鞘型複合繊維のポリアミド部の露出度
上記I.記載の光学顕微鏡で繊維断面を撮影した後、写真により繊維直径、ポリアミド部の露出部分の長さを自由形定規で計測し、下式により算出した。
露出度(%)=(露出している部分の長さの総和)/(2π×繊維直径)×100 。
K.発色性
次の染色法により収縮割繊後の織物をカチオン染料で染色して発色性を評価した。
カチオン染料:NICHILON Black TR 200%(日成化成(株)製)
5%owf
助剤:酢酸/酢酸ナトリウム=0.5g/0.15g/L
浴比:100
染色温度×時間: 120℃×60分
染色機:ポット型回転式染色機
なお発色性の評価は、得られた染色物の染色濃度を基準にして以下の4段階で評価した。
S:濃色
A:中濃色
B:淡色
C:淡色〜未染着 。
L.風合い
収縮割繊後の織物を、検査者(30人)にピーチスキンタッチ調の滑らかな風合いについて、次の基準に基づき4段階判定した。
S:滑らかさが非常に良い
A:滑らかさがやや良い
B:滑らかさがあまりない
C:滑らかさがない 。
M.染色堅牢性
染色堅ろう度試験方法として、日本工業規格の洗濯試験(JIS−L0844−2011)のA−1法に従った。複合試験片(試験片+添付白布としてナイロン布)を、洗濯試験機を用い規定の方法に基づいて試験液に入れて処理し、水洗い(25±2℃の水100mLで1分間)を2回繰返した後、60℃以下で乾燥した。試験片の変退色について、変退色用グレースケールを用いて等級判定を行った。また、添付ナイロン布の汚染について、汚染用グレースケールを用いて等級判定を行った。
下記実施例中で用いたチタン化合物の合成方法を示す。
(Ti−乳酸触媒)
窒素置換された反応槽に、反応溶媒としてエチレングリコール40Lに乳酸(和光純薬社製)を536.4g添加し、80℃に加熱する。その後、40℃まで冷却した後、チタンテトライソプロポキシド(日本曹達社製)を712g添加し、24時間攪拌した。こうしてTi−乳酸触媒(チタン含有量:2.63g/L)を得た。
〔実施例1〕
(ポリエステルの重合方法)
精留塔を備えたエステル交換反応槽にテレフタル酸ジメチルを927質量部とエチレングリコールを595質量部、アジピン酸ジメチルを得られるポリエステル中の全酸成分に対する濃度が5.1モル%となるように仕込み、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチルを得られるポリエステル中の全酸成分に対し3.5モル%となるように仕込んだ。その後、Ti−乳酸触媒をチタン元素換算で5ppm、リン化合物としてテトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジイルビスホスホナイト(大崎工業化学(株)製GSY−P101)をリン元素換算で10ppmとなるよう添加し、酢酸マグネシウム・四水和物を600ppm添加し、次いでにEAH20(テトラエチルアンモニウムヒドロキサイド20質量%、水67質量%、メタノール13質量%の混合物、三洋化成社製)を1200ppm(窒素換算で29.3ppm)添加した。さらに、エステル交換反応槽の温度を徐々に昇温し、エステル交換反応時に発生するメタノールを反応系外に留去させながら反応を進行させ、低重合体を得た。その後、エステル交換反応槽から重合反応槽にその低重合体を移液した。移液終了後、ポリエステル中の濃度が0.07質量%になるように酸化チタンのエチレングリコールスラリーを添加した。さらに5分後に、反応槽内を240℃から280℃まで徐々に昇温するとともに、エチレングリコールを留去しながら、圧力を50Paまで下げた。所定の攪拌機トルク(電力値)となった時点で反応系を窒素パージして常圧に戻し重合反応を停止させ、ストランド状に吐出して冷却後、直ちにカッティングしてポリエステルのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の攪拌機トルク到達までの時間はおよそ2時間15分であった。得られたポリエステルは固有粘度(IV)0.62、DEG2.0質量%、b値17.9、Δ固有粘度280が0.020であり、色調および耐熱性に優れたポリエステルであった。
(繊維製造)
このポリエステルチップを水分率0.01質量%以下となるように常法にて乾燥した。また、ポリアミドチップとして、硫酸相対粘度(ηr)が3.3、アミノ末端基量が4.7×10-5mol/gのナイロン6チップを水分率0.05質量%以下となるように常法にて乾燥した。
得られたポリエステルチップを290℃、ナイロン6チップを290℃の溶融温度で、前記ナイロン6チップを30質量%、ポリエステルチップを70質量%の割合で各個別々のプレッシャーメルターで溶融し、紡糸パック、口金に合流、芯鞘型複合形成させて紡糸口金より吐出させた。紡糸口金は、単糸(ホール)あたり鞘成分が8分割となり、ホール数が36のものを使用した。また、紡糸温度は290℃とした。紡糸口金より吐出後、18℃の冷風で冷却、給油した後に、1170m/分で引き取り、第1ゴデッドロール温度90℃、第2ゴデッドロール温度150℃、延伸倍率3.10として巻き取りを行い、167dtex−36フィラメントのポリエステルからなる鞘部が8個に分割された星状構造(図1(a))の芯鞘型複合繊維を得た。
(織物作製、収縮割繊処理、染色)
前記の芯鞘型複合繊維を経糸、緯糸として、平組織、織密度がウェール140本/2.54cm、コース105本/2.54cmの生機を作製した。
ポリアミドの膨潤剤を含む処理剤としてエチレングリコール4部にベンジルアルコールを3部溶解し、さらに水を3部攪拌しながら添加した。水は均一に溶解し、透明な溶液を得た。このベンジルアルコール溶液を処理剤として、前記織物の収縮割繊処理をおこなった。水洗後、カチオン染料を用いて、染色した。
(評価方法)
得られた織物について、発色性、染色堅牢性(変退色、ナイロン布の汚染)、風合いについて評価した。その結果を表1に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。また、染色堅牢度は、変退色5級、汚染5級と良好であった。
〔実施例2〜5〕
引取速度、延伸倍率を、表1に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表1に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。
〔実施例6〜9〕
ナイロン6チップのアミノ末端基量を、表1に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表1に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。
〔実施例10、11〕
紡糸口金の鞘成分の分割数を、表2に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表2に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。
〔実施例12〜15〕
イソフタル酸成分の含有量を、表2に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表2に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。
〔実施例16〜20〕
アジピン酸成分の含有量を、表2に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表2に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。
〔実施例21〜24〕
ポリアミド部の露出度を、表3に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表3に示す。
得られた織物は、発色性、風合いに優れるものであり良好であった。
〔比較例1〕
引取速度、延伸倍率を、表3に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表3に示す。
得られた芯鞘型複合繊維は、ポリエステル成分の配向性が低く、織物の発色性に劣るものであった。
〔比較例2〕
ナイロン6チップのアミノ末端基量を、表3に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表3に示す。
得られた芯鞘型複合繊維は、繊維の割繊状態にバラツキが有り、織物の風合いに劣るものであった。
〔比較例3〕
引取速度、延伸倍率を、表3に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表3に示す。
得られた織物は、発色性に優れるものであったが、製織時に毛羽や糸切れが多発し、工程通過性が悪い上に得られた織物の風合いが劣位であった。
〔比較例4〕
ナイロン6チップのアミノ末端基量を、表3に記載の条件とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果を表3に示す。
得られた織物は、発色性に優れるものであったが、製織時に複合界面が剥離して毛羽や糸切れが多発し、工程通過性が悪い上に得られた織物の風合いが劣位であった。
〔比較例5〕
紡糸口金より吐出後、18℃の冷風で冷却、給油した後に、1050m/分で未延伸糸を巻き取った後、延伸温度100℃、延伸倍率3.4で延伸する2工程法プロセスとした以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果、ポリエステル成分のラマンバンドの強度比は7.5であり、発色性Sと優れるものであったが、製織時に毛羽や糸切れが多発し、工程通過性が悪い上に得られた織物の風合いがBで劣位であった。
〔実施例25〕
アジピン酸成分を、アジピン酸とする以外は、実施例1と同様に重合、紡糸し、167dtex−36フィラメントの芯鞘型複合繊維を得た。
得られた芯鞘型複合繊維を実施例1と同様に織物を作製、収縮割繊処理、カチオン染料で染色を行った。得られた繊維および織物について評価した結果、ポリエステル成分のラマンバンドの強度比は6.0であり、発色性S、風合いSと優れるものであり良好であった。また、染色堅牢度は、変退色3級、汚染5級であった。
1: 鞘部
2: 芯部

Claims (5)

  1. カチオン可染性共重合ポリエステルを鞘成分、ポリアミドを芯成分とする芯鞘型複合繊維において、ポリエステル成分を繊維軸方向と平行な偏光方位と直行する偏光方位で測定した1615cm−1付近のラマンバンドの強度比が5.0〜7.0であり、ポリアミド成分のアミノ末端基量が2.4×10−5〜3.0×10−5mol/gであることを特徴とする収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
  2. カチオン可染性共重合ポリエステルが、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分およびアジピン酸ジメチル成分を共重合した共重合ポリエステルであることを特徴とする請求項1に記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
  3. カチオン可染性共重合ポリエステルが、金属スルホネート基を含有するイソフタル酸成分を2.0〜5.5モル%、およびアジピン酸ジメチル成分を3.0〜6.0モル%共重合していることを特徴とする請求項2に記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
  4. 繊維断面形状が、ポリアミドの芯成分によってカチオン可染性共重合ポリエステルからなる鞘成分が3個以上に分割されていることを特徴する請求項1から3のいずれかに記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の収縮割繊用芯鞘型複合繊維を少なくとも一部に含む織編物。
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