以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば「左右」「上下」等)を用いる場合は、図1において紙面に直交した方向を正面視とし、これを基準にしている。これらの用語は説明の便宜のために用いたものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
まず、図1を参照しながら、画像形成装置1の概要を説明する。第1実施形態の画像形成装置1は、タンデム方式のカラーデジタルプリンター(以下、単にプリンターと記載する)である。図1に示すように、プリンター1は、筐体2内に、画像プロセス装置3、給紙装置4及び定着装置5等を備えている。図示は省略するが、プリンター1は、例えばLANといったネットワークに接続されていて、操作表示部としての操作パネル48(図6参照)や外部端末(図示省略)等からの印刷ジョブを受け付けると、当該ジョブに基づいて印刷を実行するように構成されている。
筐体2内の下部に位置する給紙装置4は、記録材Pを収容する給紙カセット21、給紙カセット21内の記録材Pを最上層から繰り出すピックアップローラー22、繰り出された記録材Pを1枚ずつに分離する一対の分離ローラー23、及び、1枚に分離された記録材Pを所定のタイミングにて画像プロセス装置3に搬送する一対のタイミングローラー24等を備えている。各給紙カセット21内の記録材Pは、ピックアップローラー22及び分離ローラー23の回転にて、最上層のものから1枚ずつ搬送経路30に送り出される。搬送経路30は、給紙装置4の給紙カセット21から、タイミングローラー対24のニップ部、画像プロセス装置3の二次転写ニップ部、及び定着装置5の定着ニップ部33を経て、筐体2上部にある排出ローラー対26に至る。
給紙カセット21内の記録材Pは、通紙幅(矢印S方向と直交する幅寸法)の中央を基準にして、搬送経路30に向けて矢印S方向に搬送するセンター基準にセットされる。図示は省略するが、給紙カセット21内には、給紙前の記録材Pをセンター基準に幅寄せする一対の側部規制板を備えている。一対の側部規制板は、通紙幅方向に互いに連動して遠近移動するように構成されている。給紙カセット21内の記録材Pを一対の側部規制板にて通紙幅方向両側から挟持することによって、給紙カセット21内の記録材Pがその規格に拘らずセンター基準にセットされる。従って、画像プロセス装置3での転写処理や、定着装置5での定着処理もセンター基準で実行される。
給紙装置4の上方に位置する画像プロセス装置3は、像担持体の一例である感光体ドラム13上に形成されたトナー像を記録材Pに転写する役割を担うものであり、中間転写体としての中間転写ベルト6、並びに、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの作像部7等を備えている。
中間転写ベルト6は導電性を有する素材からなる無端状のものであり、像担持体の一例でもある。中間転写ベルト6は、筐体2内の中央部右側に位置する駆動ローラー8と、同じく中央部左側に位置する従動ローラー9とに巻き掛けられている。中間転写ベルト6のうち駆動ローラー8に巻き掛けられた部分の外側に二次転写ローラー10が配置されている。主モーター(図示省略)の動力伝達にて駆動ローラー8を図1の反時計方向に回転させることにより、中間転写ベルト6は図1の反時計方向に周回する。
中間転写ベルト6のうち駆動ローラー8に巻き掛けられた部分の外周側には、二次転写ローラー10が配置されている。二次転写ローラー10は中間転写ベルト6に当接していて、中間転写ベルト6と二次転写ローラー10との間(当接部分)が二次転写領域としての二次転写ニップ部になっている。二次転写ローラー10は、中間転写ベルト6の回転に伴って、又は二次転写ニップ部に挟持搬送される記録材Pの移動に伴って、図1の時計方向に回転する。中間転写ベルト6のうち従動ローラー9に巻き掛けられた部分の外周側には、中間転写ベルト6上の未転写トナーを除去する転写ベルトクリーナー12が配置されている。転写ベルトクリーナー12は中間転写ベルト6に当接している。
4つの作像部7は、中間転写ベルト6の下方において、図1の左からイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順に、中間転写ベルト6に沿って並べて配置されている。図1では説明の便宜上、各作像部7に、再現色に応じて符号Y,M,C,Kを添えている。各作像部7は、図1の時計方向に回転する像担持体の一例としての感光体ドラム13を備えている。感光体ドラム13の周囲には、図1における時計回りの回転方向に沿って順に、帯電装置14、露光装置19、現像装置15、一次転写ローラー16及び感光体クリーナー17が配置されている。
感光体ドラム13は負帯電性のものであり、主モーターからの動力伝達によって図1の時計方向に回転するように構成されている。帯電装置14は、感光体ドラム13の表面を一様に帯電させるものである。現像装置15は、負の極性を呈するトナーを利用して、感光体ドラム13上に形成された静電潜像を反転現像にて化させるものである。
一次転写ローラー16は中間転写ベルト6の内周側に位置していて、中間転写ベルト6を挟んで、対応する作像部7の感光体ドラム13に対峙している。一次転写ローラー16も、中間転写ベルト6の回転に伴って図1の反時計方向に回転する。中間転写ベルト6と一次転写ローラー16との間(当接部分)は一次転写領域としての一次転写ニップ部になっている。感光体クリーナー17は、感光体ドラム13上に残留する未転写トナーを除去するためのものであり、感光体ドラム13に当接している。4つの作像部7の下方には露光装置19が配置されている。露光装置19は、外部端末等からの画像データに基づき、レーザー光によって各感光体ドラム13に静電潜像を形成するものである。
中間転写ベルト6の上方には、各作像部7(再現色)に対応したボトル収容部39が設けられている。ボトル収容部39内には、各現像装置15に供給されるトナーを収容するトナーボトル40が着脱可能に配置されている。なお、図1では説明の便宜上、ボトル収容部39及びトナーボトル40にも、再現色に応じて符号Y,M,C,Kを添えている。
各作像部7において、帯電装置14にて帯電される感光体ドラム13に、露光装置19から画像信号に対応したレーザー光が投射されると、静電潜像が形成される。静電潜像は、現像装置15から供給されるトナーにて反転現像されて各色のトナー像となる。各感光体ドラム13上のトナー像は、それぞれ対応した一次転写ニップ部において、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順で、感光体ドラム13から中間転写ベルト6の外周面に一次転写されて重ねられる。感光体ドラム13に残った未転写トナーは感光体クリーナー17にて掻き取られ、感光体ドラム13上から取り除かれる。そして、記録材Pが二次転写ニップ部を通過する際に、重ね合わせられた4色のトナー像が記録材Pに一括して二次転写される。中間転写ベルト6に残った未転写トナーは転写ベルトクリーナー12にて掻き取られ、中間転写ベルト6上から取り除かれる。
二次転写ローラー10の上方に位置する定着装置5は、定着ローラー31と加圧ローラー32とを備えている。定着ローラー31と加圧ローラー32との当接部分が定着領域である定着ニップ部33(図2参照)になっている。二次転写ニップ部を通過して未定着トナー像を載せた記録材Pは、定着ローラー31と加圧ローラー32との間の定着ニップ部33を通過する際に加熱・加圧され、記録材P上にトナー像が定着される。定着ニップ部33を通過後の記録材Pは、定着ニップ部33の下流側に設けられた分離部材34(図2参照)により定着ローラー31から分離され、搬送経路30上を搬送されたのちに排出ローラー対26の回転にて排紙トレイ27上に排出される。
筐体2の内部の画像プロセス装置3と給紙装置4との間には、プリンター1の制御全般を司る制御部28が配置されている。
次に、図2から図5を参照しながら、定着装置5の詳細について説明する。定着装置5は、通紙幅方向に延びて互いに平行な回転軸を有する定着ローラー31、加圧ローラー32、接触回転体(ここでは均熱回転体)である均熱化ローラー41及び清掃回転体である回転ブラシ42を備えている。定着ローラー31、加圧ローラー32、均熱化ローラー41及び回転ブラシ42は、それぞれの軸受部材によって両端部が回転可能に支持されている。加圧ローラー32は、ばね等の付勢手段によって定着ローラー31に向けて付勢されている。定着ローラー31に加圧ローラー32が押圧されている。
より詳しく説明すると、定着ローラー31の外周側には無端状の定着ベルト37が巻き掛けられている。定着ベルト37は通紙幅方向に長い筒形状のものであり、定着ローラー31及び自身の張力によって筒形状を保持している。定着ベルト37は、外側から順に、離型層、弾性を有する弾性層、並びに発熱層を有する構成である。定着ベルト37の発熱層が後述する加熱部35の誘導加熱によって加熱される。定着ローラー31(定着ベルト37を含む)と加圧ローラー32との組合せが定着回転体対を構成している。
定着ローラー31(定着ベルト37)と加圧ローラー32との間が定着ニップ部33になっている。トナー像が転写された記録材Pが定着ニップ部33を通過することによって、トナー像が記録材Pに定着する。この場合、記録材Pのうちトナー像を転写した面が定着ローラー31(定着ベルト37)に接するように、記録材Pが搬送される。定着ローラー31(定着ベルト37)によってトナー像が加熱されて溶融し記録材Pに定着する。
図2においては、定着ローラー31(定着ベルト37)及び加圧ローラー32の回転方向、並びに記録材Pの搬送方向をそれぞれ実線の矢印で示している。駆動源である加圧モーター(図示省略)から歯車やベルト等の動力伝達系を経由して、加圧ローラー32に動力伝達され、加圧ローラー32が図2の時計方向に回転駆動する。加圧ローラー32の回転や定着ニップ部33を通過する記録材Pに伴い、定着ローラー31及び定着ベルト37が圧接摩擦力によって加圧ローラー32の回転方向と逆向き(図2の反時計方向)に回転する。
定着ローラー31(定着ベルト37)の回転方向において定着ニップ部33の下流側には、加熱部35が配置されている。第1実施形態の加熱部35は、定着ベルト37の幅方向にわたって巻回された励磁コイル36を有する磁束発生部であり、誘導加熱によって定着ベルト37の発熱層を加熱する。励磁コイル36には、高周波電源(図示省略)から20〜90kHz、100〜1500Wの高周波電流が供給される。励磁コイル36で誘起された磁束によって、定着ベルト37の発熱層に渦電流が誘起され、発熱層がジュール熱で発熱し、定着ベルト37が加熱される。図2に示すように、定着ベルト37には温度センサー38を接触又は近接配置している。温度センサー38の検出結果に応じて加熱部35を制御することによって、定着ベルト37が所定の定着温度に維持される。
加圧ローラー32の回転方向において定着ニップ部33の下流側には、加圧ローラー32の表面に接触して通紙幅方向の温度分布を均一化する均熱化ローラー41を配置している。均熱化ローラー41は、ばね等の付勢手段によって加圧ローラー32に向けて付勢されている。均熱化ローラー41は、加圧ローラー32との圧接摩擦力によって加圧ローラー32の回転方向と逆向き(図2の反時計方向)に回転する。なお、本発明で用いられる均熱化ローラー41は、定着ローラー31(定着ベルト37)及び加圧ローラー32の少なくとも一方の通紙幅方向の温度分布を均一化する作用を奏するものであればよく、ハロゲンヒーター等の加熱手段やヒートパイプ等の放熱手段を有していてもよい。
均熱化ローラー41の近傍に、均熱化ローラー41の表面に接触する回転ブラシ42が回転可能に設けられている。均熱化ローラー41は加圧ローラー32と接触回転しているので、加圧ローラー32上のトナー成分及び紙成分による汚れが付着する。この均熱化ローラー41の汚れを回転ブラシ42は除去する。
図3に示すように、回転ブラシ42の回転ブラシ軸42aの一端部に固着されたブラシ用ギア71の回転により駆動回転する。ブラシ用ギア71は、図示しない駆動源から歯車等の動力伝達系を経由して伝達される動力により回転されるアイドルギア72に噛み合わされている。アイドルギア72の回転によりブラシ用ギア71が回転する。また、回転ブラシ42の回転方向は均熱化ローラー41と同じ方向である。つまり、回転ブラシ42は均熱化ローラー41にカウンター方向に当接して回転する。
回転ブラシ42の回転ブラシ軸42aは、一対の回転ブラシフレーム73,73にそれぞれ取り付けられた軸受により回転可能に軸支されている。回転ブラシフレーム73,73は例えばそれぞれ板金製であり、互いに分離して配置されている。また、回転ブラシフレーム73,73は、回動支点軸75を中心に回転自在に揺動し、回転ブラシ42を挟んで回動支点軸75とは反対方向に取り付けられた例えば引張コイルばねからなる圧接用ばね76の弾性力により回転ブラシ42を均熱化ローラー41にそれぞれ圧接している。
このとき、均熱化ローラー41と回転ブラシ42で構成されるニップ部では、回転ブラシ42を構成している毛の先端近傍が均熱化ローラー41に食い込んでいる。回転ブラシ軸42aには、回転ブラシ42の両端側の位置で一対のカム77,77が遊嵌されている。カム77,77の外周が均熱化ローラー41に当接することにより、回転ブラシ42と均熱化ローラー41との距離が確保されている。カム77は圧接力変更部を構成する。
カム77が一定量回転することにより、均熱化ローラー41と回転ブラシ42との距離が決定し、均熱化ローラー41に対する回転ブラシ42の圧接力が決まる。言い換えれば、この圧接力を決定する回転ブラシ42の食い込み量は、カム77の回転位置を制御することにより可変する。カム77の回転位置はアクチュエータ等により構成されるカム回転機構78(図6参照)の駆動により制御される。
図4(A)から(C)に示すように、カム77の停止位置による回転ブラシ42の圧接力の設定は3段階にしてある。回転ブラシ42の圧接力が弱過ぎると均熱化ローラー41が汚れ、回転ブラシ42の圧接力が強過ぎると加圧ローラー32が汚れるからで、その度合いも紙成分量などの条件により変化するからである。さらに必要以上の回転ブラシ42の圧接力で回転すればそれだけ均熱化ローラー41表層の摩耗量も増加し、ローラー寿命が短くなるからである。
また、清掃がほとんど必要ないと判断された場合には、図4(D)に示すように、カム77の停止位置を制御して、回転ブラシ42を均熱化ローラー41に対して離間させてもよい。なお、別の実施形態として、均熱化ローラー41と回転ブラシ42との距離を固定し、硬さの異なる2種類の回転ブラシ42を選択的に使用することで、カム77を使用せず、回転ブラシ42の圧接力を切り換えることもできる。
上述のように、回転ブラシ42の回転ブラシ軸42aの両端側を軸支する一対の回転ブラシフレーム73,73は、互いに分離して配置される。また、図3に示すように、回転ブラシフレーム73,73は、それぞれ、圧接用ばね76の弾性力により回転ブラシ42を均熱化ローラー41側へ加圧する。つまり、回転ブラシフレーム73,73は互いに分離しているので、回転ブラシ軸42aの両端でそれぞれ独立して、圧接用ばね76により均熱化ローラー41に対して圧接力が働く。
ところで、例えば、回転ブラシ42の回転ブラシ軸42aの両端側を軸支するフレーム同士が連結されて一体に構成されている場合、板金フレーム自体の部品精度により両端でねじれている場合、圧接用ばね76による圧接力だけでなく、ねじれの影響が加わって、圧接力が長手方向にわたり均一ではなく傾斜のある分布になる可能性がある。これに対して、この実施形態では、回転ブラシ軸42aの両端側を軸支する一対の回転ブラシフレーム73,73は互いに分離して配置されているので、このような不具合を防止でき、回転ブラシ42の圧接力を長手方向にわたって均一にでき、ひいては回転ブラシ42の長手方向で均一な清掃能力を実現できる。
また、図5に示すように、回転ブラシ42の回転ブラシ軸42aの一端側に固着されたブラシ用ギア71に噛み合うアイドルギア72の圧力角α(圧力方向)は、回転ブラシ42を保持する回転可能な回転ブラシフレーム73の回動支点軸75の方向、ここでは回動支点軸75の軸心の方向に向いている。ここで、当該圧力角αは例えば20度である。
例えば、ブラシ用ギア71に噛み合うギアの圧力角が均熱化ローラー41に対する回転ブラシ42の圧接力の方向と逆方向に向いている場合、ブラシ用ギア71に噛み合うギアの回転により回転ブラシ42の圧接力が弱まる方向の力が加わることになる。回転ブラシ42の圧接力が弱まる分だけ圧接用ばね76の弾性力を強くすることで回転ブラシ42の圧接力を補うことができる。しかし、部品精度等のばらつきや摩耗等による耐久要因により、回転ブラシ42の圧接力が変動してしまう可能性がある。また、ブラシ用ギア71に噛み合うギアの回転駆動力の変化に起因して回転ブラシ42の圧接力が変動する。
これに対して、この実施形態では、ブラシ用ギア71に噛み合うアイドルギア72の圧力角は回転ブラシフレーム73の回動支点軸75の方向に向いているので、回転ブラシ42を回転駆動するときの駆動による力が回転ブラシ42の均熱化ローラー41に対する圧接力に影響を及ぼさず、回転ブラシ42の圧接力は圧接用ばね76による圧接力のみとなる。したがって、上述のような不具合を解消でき、また、アイドルギア72の回転駆動力の変化に起因する回転ブラシ42の圧接力の変動を防止でき、回転ブラシ42の圧接力を安定させることができる。
次に、図6を参照しながら、制御部28の詳細について説明する。制御部28は、主な構成要素として、通信インターフェイス(I/F)部51、画像処理部52、画像メモリー53、CPU57、ROM58、RAM59、カウンター60、タイマー61及びバックアップメモリー62等を備えている。これら各部51〜53,57〜62はバス65を介して相互に通信可能に構成されている。
通信I/F部51は、LANカードやLANボード等のLANに接続するためのインターフェイスであり、外部からの印刷ジョブのデータを受信して、受信データを画像処理部52に伝送する。画像処理部52は、通信I/F部51からの印刷ジョブのデータを各再現色の画像データに変換して画像メモリー53に出力し、当該画像データを再現色ごとに格納させる。
CPU57は、ROM58から必要なプログラムを読み出して、画像処理部52での画像データの変換処理や、画像メモリー53における画像データの書き込み/読み出し、並びに、タイミングを取りつつ画像プロセス装置3や給紙装置4等の動作を制御して、円滑な印刷ジョブを実行する。また、CPU57は、定着装置5の温度を検出する温度センサー38等からの検出信号を受け付けると共に、駆動源としての各種モーターの回転制御や、カム回転機構78の回転位置制御等を実行する。さらに、CPU57は、筐体2の外面側に装着した操作パネル48の入出力制御も司る。
ROM58には、印刷動作に関する制御プログラム、画像安定化処理、並びにトナー補給処理等に関する制御プログラムのほか、画像安定化処理において形成される各色の基準パターンのデータ等が格納されている。RAM59は、CPU57のワークエリアとして用いられる。カウンター60は、印刷に供された記録材Pの累積枚数(累積印刷枚数)等を計数し、計数した数値をバックアップメモリー62の所定格納領域に格納させる。
タイマー61は、内部電池(図示省略)等から電力供給を受けて、各種モーターの駆動時間等を計時する。バックアップメモリー62は不揮発性の記憶手段であり、累積印刷枚数等が格納される。
次に、制御部28で実行される清掃接触圧制御の一例について説明する。第1実施形態の清掃接触圧制御では、均熱化ローラー41に転移する紙粉量を検知(推定)し、紙粉量から均熱化ローラー41に対する回転ブラシ42の接触圧を制御する。均熱化ローラー41に転移する紙粉量は、画像形成に使用される紙粉量既知の記録材Pと一定条件で加圧ローラー32や均熱化ローラー41に固着する紙粉量との相関を取り、テーブル化してプリンター1のバックアップメモリー62等に登録しておく。そして、ユーザーが操作パネル48で記録材Pの紙種を選択することにより、回転ブラシ42の圧接力を変更可能にしてある。操作パネル48での入力態様が紙粉量検知部に相当するものである。なお、紙粉量情報が登録されていない紙種の場合など、ユーザーが紙粉量を直接選択設定してもよい。また、印字率は、操作パネル48や外部端末等からの印刷ジョブからの画像データから求められる。画像データからの印字率算出がトナー量検知部に相当する。
図7は、6万ページ通紙後のローラー汚れを比較した図表である。加圧ローラー32や均熱化ローラー41に固着しやすい紙粉成分が多い紙種、中ぐらいの紙種、少ない紙種の3種類について、印字率を6%、10%、20%に設定し、均熱化ローラー41に対する回転ブラシ42の圧接力を1.1N、2.1N、3.2Nとしたときの加圧ローラー32及び均熱化ローラー41の汚れの程度を、多、中、少として結果を載せた。
加圧ローラー32や均熱化ローラー41に固着しやすい紙粉成分が多い紙種のとき、印字率が小さい場合は、回転ブラシ42の圧接力を小さくするとローラー32,41の汚れは少なくなる。これは、印字率が小さいために、均熱化ローラー41に付着するトナー量が少なく、均熱化ローラー41を清掃する回転ブラシ42の清掃能力を大きくする必要がないからである。また、均熱化ローラー41に付着した紙粉と少量のトナーが回転ブラシ42により撹拌されて結合されたりせず、それぞれ別々に存在しているため、加圧ローラー32への固着が蓄積されず、均熱化ローラー41から加圧ローラー32に再付着したトナーや紙粉はそのまま次の用紙に付着し、排出されるからである。なお、この付着した紙粉やトナーは十分小さい粒のため、画像不良としては認識されない。
ローラー32,41に固着しやすい紙粉成分が多い紙種で、印字率が小さい場合、回転ブラシ42の圧接力を大きくすると、均熱化ローラー41の汚れは回転ブラシ42の大きな清掃能力により、汚れは発生しない。しかし、均熱化ローラー41に付着した少量のトナーと紙粉が回転ブラシ42の撹拌力により混合される。この混合物は加圧ローラー32に固着しやすい粒子となり、回転ブラシ42で回収されず、均熱化ローラー41に残った混合物の粒子は加圧ローラー32に再付着し、加圧ローラー32に固着して蓄積する。この蓄積により、トナーも付着しやすくなり、用紙が加圧ローラー32に巻き付いたりする不具合が発生する。以上のことから、ローラー32,41に固着しやすい紙粉成分が多い紙種で、印字率が小さい場合は、回転ブラシ42の圧接力を小さくする設定とする。
ローラー32,41に固着しやすい紙粉成分が中程度の紙種のとき、印字率が大きくなると、均熱化ローラー41の汚れが多くなる傾向にあるため、回転ブラシ42の圧接力を大きくし、均熱化ローラー41の汚れを清掃する回転ブラシ42の清掃能力を大きく設定する。
また、ローラー32,41に固着しやすい紙粉成分が少ない紙種のとき、印字率が小さい場合は、回転ブラシ42の圧接力が小さくても大きくても汚れはほとんど発生しないため、均熱化ローラー41表層の摩耗が少なくなるように、回転ブラシ42の圧接力は小さく設定される。
また、ローラー32,41に固着しやすい紙粉成分が少ない紙種のとき、印字率が大きくなると、均熱化ローラー41の汚れが多くなるため、回転ブラシ42の圧接力を大きく設定する。
図7の図表のうち、斜線で示した部分が各条件において最も汚れが少ない回転ブラシ42の圧接力の設定である。上述のように、回転ブラシ42の圧接力によらず汚れの程度が同等の場合は、圧接力を低くして、均熱化ローラー41表層の摩耗を少なくするのがよい。
これらのデータを元にテーブルを作成し、回転ブラシ42の圧接力の制御を設定した。この実施形態では、回転ブラシ42の圧接力を3段階に切り換えているが、簡易的には2段階でもよく、また、4段階以上に切り換えることにより、より精度よく適切な設定が可能となり、ローラー32,41が長期にわたり汚れにくくなり、よりローラー寿命を延ばすことができる。また、回転ブラシ42を均熱化ローラー41に対し、離間させる設定があってもよい(図4(D)参照)。
なお、均熱化ローラー41に転移する紙粉量の多寡は、記録材Pの紙種に基づいて決定するに限らず、例えば印刷に供される記録材Pの通紙枚数(連続印刷枚数といってもよい)に基づいて決定するようにしてもよい。例えば連続印刷枚数が100枚以上であれば紙粉量が多い場合に設定し、100枚未満であれば紙粉量が少ない場合に設定すればよい。
次に、図8及び図9を参照しながら、第2実施形態の清掃回転体制御のための構造及び制御態様について説明する。なお、第2実施形態において、構成及び作用が第1実施形態と変わらないものには、第1実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明を省略する。第2実施形態の清掃接触圧制御では、均熱化ローラー41に転移する紙粉量に加えてトナー量も検知(推定)し、紙粉量とトナー量との関係から回転ブラシ42の回転方向及び回転速度を制御する。
図8に示すように、記録材Pを搬送する回転部材としてのピックアップローラー22の近傍には、当該ピックアップローラー22に付着した紙粉量を検出するフォトセンサー49を配置している。ピックアップローラー22の外周側においてフォトセンサー49よりも回転下流側には、ピックアップローラー22に接触する清掃ブレード体50を配置している。清掃ブレード体50は、フォトセンサー49での紙粉量検出後のピックアップローラー22表面から紙粉を取り除いて紙粉の累積検出を防止するためのものである。フォトセンサー49と清掃ブレード体50とが紙粉量検知部を構成している。フォトセンサー49は、制御部28に電気的に接続している(図9参照)。
第2実施形態の清掃接触圧制御において、フォトセンサー49で検出した紙粉量は、バックアップメモリー62等に記憶させた汚れ診断テーブル(図10参照)に基づき、量の多い順に複数段階(この場合は5段階)にランク分けされる。したがって、ユーザーが紙種によって紙粉の多い記録材Pなのか否かを判断し操作パネル48から入力する必要はない。なお、紙粉量検知部(フォトセンサー49及び清掃ブレード体50)は、ピックアップローラー22の周囲に配置することに限定されるものではない。搬送経路30のうち記録材Pが定着装置5に到達するまでの区間で、記録材Pに接触する回転部材(例えばタイミングローラー24等)の周囲に配置すれば足りる。
均熱化ローラー41に転移するトナー量は、印字率から検知(推定)され、汚れ診断テーブル(図10参照)に基づき、印字率の低い順に複数段階(この場合は5段階)にランク分けされる。印字率は、操作パネル48や外部端末等からの印刷ジョブからの画像データから求められる。均熱化ローラー41に転移するトナー量は、印字率を基準として使用環境及び定着温度に左右されるため、使用環境及び定着温度をパラメータにして印字率に補正をかける。
使用環境の補正に関しては、バックアップメモリー62等に記憶させた使用環境補正テーブル(図11参照)に基づき、基準温度20℃に対して使用環境の温度変化±1℃当たり印字率±0.5%を加算する。定着温度の補正に関しては、バックアップメモリー62等に記憶させた定着温度補正テーブル(図12参照)に基づき、定着温度(設定温度)170℃に対して温度センサー38での検出温度との差が−5℃当たり印字率0.25%を加算する。定着温度(設定温度)170℃に対して温度センサー38での検出温度との差が+5℃当たり印字率0.25%を減算する。このように、均熱化ローラー41に転移するトナー量は、定着回転体対の検出温度が定着温度(設定温度)よりも低い場合に多く発生していると判断する。
汚れ診断テーブル(図10参照)で紙粉量及びトナー量をランク分けしたら、図7の図表に基づき作成されたテーブルに基づき、回転ブラシ42の圧接力を決定する。第2実施形態では細かいランク分けを行っているので、印刷終了後に、強制クリーニングモードでの高温空転を実行する必要はない。ただし、累積印刷枚数が所定枚数(例えば3000枚程度)を超えたら、印刷終了後に強制クリーニングモードを実行しても差し支えない。
上記のように、第2実施形態の制御を採用した場合も、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
図13は、回転ブラシ42の回転方向による清掃能力差を表したイメージ図である。均熱化ローラー41と回転ブラシ42の周速比を固定し、回転ブラシ42の圧接力を同様に変化させた場合、ウィズ回転(均熱化ローラー41と回転ブラシ42が互いに反対方向に回転)に比べ、カウンター回転(均熱化ローラー41と回転ブラシ42が互いに同じ方向に回転)の方が均熱ローラーの清掃能力が大きい。言い換えれば、ウィズ回転では回転ブラシ42の圧接力を大きくしても清掃機能はカウンター回転ほど大きくならない。
加圧ローラー32の汚れ防止機能は回転ブラシ42の圧接力を小さくすることでウィズ回転でもカウンター回転でも達成できる。ウィズ回転で回転ブラシ42の清掃機能を大きくするには、周速比を大きくするか、圧接力を大きくすればいいが、周速比や圧接力を大きくすればトルクが大きくなり駆動に負荷がかかる。また、電力消費が増加したり、大きなモーターを使用することで本体を大きくしたりしなければならない可能性もある。さらに、高速回転による振動や異音も懸念される。したがって、均熱化ローラー41の回転方向に対して回転ブラシ42をカウンター回転で回転させることが好ましい。ただし、本発明の画像形成装置において、均熱化ローラー41の回転方向に対して回転ブラシ42をウィズ回転で回転させてもよい。
本発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてプリンターを例に説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ又はこれらの機能を複合的に備えた複合機等でもよい。また、本発明を適用するにあたり、加熱部35の他の態様として、誘導加熱以外に、抵抗発熱体やハロゲンヒーターを採用してもよい。定着ローラー31側に均熱化ローラー41及び回転ブラシ42を配置してもよい。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
また、本発明の画像形成装置において、圧接力変更部は、カム77に限定されず、均熱回転体に対する清掃回転体の位置を変更して均熱回転体に対する清掃回転体の圧接力を変更できる構成であれば、どのような構成であってもよい。
また、加圧ローラー32に接触されるとともに回転ブラシ42が接触される回転体は均熱化ローラー41に限定されず、定着ニップ部33を形成する定着回転体対31,32のいずれか一方に接触する接触回転体(例えばトナー回収ローラーなど)に清掃回転体が接触される構成をもつ定着装置を備えた画像形成装置であれば、本発明を適用できる。