JP6690124B2 - 熱電変換モジュール及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多様な用途に利用可能な熱電変換モジュール及びその製造方法に関する。
熱電変換モジュールは、ペルチェ効果を利用した冷却モジュールや、ゼーベック効果を利用した発電モジュールとして利用可能である。熱電変換モジュールの用途の拡大などに伴い、熱電変換モジュールには、様々な機器に実装可能なように、高い耐熱性が求められるようになってきている。特許文献1,2には、比較的融点の高い金スズ共晶はんだを用いて製造された熱電変換モジュールが開示されている。
特開2003−200507号公報 特開2009−197982号公報
近年、光通信用レーザーの温度制御などの用途において、熱電変換モジュール自体が金スズ共晶はんだを用いて実装されることが多くなってきている。金スズ共晶はんだを用いた実装では、熱電変換モジュールが金スズ共晶はんだの融点を超える高温に曝されることになる。これにより、金スズ共晶はんだを用いて製造された熱電変換モジュールでは、当該熱電変換モジュール内の金スズ共晶はんだが溶融し、実装後において熱電変換モジュールとしての正常な機能が果たせなくなる場合がある。このため、熱電変換モジュールには、金スズ共晶はんだを用いた実装に耐えうる耐熱性が求められる。
これに対し、熱電変換モジュールの製造に金スズ共晶はんだよりも融点の高い高融点はんだを用いることにより対応することが可能である。このような高融点はんだとしては、例えば、金シリコン系はんだや、金ゲルマニウム系はんだ等が知られている。しかしながら、これらの高融点はんだは、いずれも市場における流通量が少ないため、入手困難である上に非常に高価である。このため、これらの高融点はんだを用いることなく、金スズ共晶はんだを用いた実装に耐えうる熱電変換モジュールを実現することが望まれる。
以上のような事情に鑑み、本発明の目的は、高い耐熱性を有する熱電変換モジュール及びその製造方法を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る熱電変換モジュールは、相互に対向する一対の基板と、上記一対の基板の間に配列される複数の熱電素子と、上記一対の基板の少なくとも一方と上記複数の熱電素子との間に配置される接合層と、を具備する。
上記接合層は、金及びスズを主成分とし、金の含有量が88重量%以上である。
この熱電変換モジュールでは、基板と熱電素子とを接合する接合層の融点が、金の含有量が約80重量%である金スズ共晶はんだの融点よりも高く、金スズ共晶はんだを接合層とする熱電変換モジュールよりも高い耐熱性が得られる。したがって、この熱電変換モジュールでは、例えば、金スズ共晶はんだを用いて実装される場合にも、接合層が溶融することなく、実装後においても熱電変換モジュールとしての正常な機能が保たれる。
上記接合層における金の含有量が、当該接合層の厚さ方向の中央部から、上記一対の基板及び上記熱電素子の少なくとも一方に向けて多くなっていてもよい。
この構成では、熱電変換モジュールの製造過程において、基板と熱電素子とを接合する接合層に、熱電素子側及び基板側の少なくとも一方から金原子を拡散させることによって、接合層の全領域における金の含有量を88重量%以上とすることができる。
上記接合層は、上記一対の基板に隣接する位置、及び上記熱電素子に隣接する位置の少なくとも一方に設けられた純金層を有していてもよい。
この構成では、熱電変換モジュールの製造過程において純金層の金原子を接合層の全領域に拡散させることにより、接合層の全領域における金の含有量を88重量%以上とすることができる。
本発明の一形態に係る熱電変換モジュールの製造方法では、基板及び熱電素子の少なくとも一方に接合部材が配置される。
上記接合部材を介して上記基板と上記熱電素子とが対向配置される。
上記基板と上記熱電素子との間の上記接合部材の少なくとも一部が溶融させられる。
溶融した上記接合部材を凝固させることにより、金及びスズを主成分とし、金の含有量が88重量%以上である接合層が形成されるとともに、当該接合層を介して上記熱電素子と上記基板とが結合する。
この熱電変換モジュールの製造方法では、基板と熱電素子とを接合する接合層の融点を、金の含有量が約80重量%である金スズ共晶はんだの融点よりも高くする。この構成により、金スズ共晶はんだを接合層とする熱電変換モジュールよりも高い耐熱性を有する熱電変換モジュールを製造することができる。
上記接合部材は、金属粉末を含有する金属ペーストで構成されていてもよい。
上記金属粉末は、純スズ粉末及び金スズ共晶はんだ粉末の少なくとも一方と、純金粉末と、を含んでいてもよい。
この構成により、金属ペーストの純スズ粉末、金スズ共晶はんだ粉末、及び純金粉末の配合比率を、金属粉末全体としての金の含有量が88重量%以上となるように調整することにより、金の含有量が88重量%以上の接合層を形成することができる。
上記接合部材を配置することは、純金層を配置することと、純スズ層及び金スズ共晶はんだ層の少なくとも一方を配置することと、を含んでいてもよい。
上記純金層は、上記基板及び上記熱電素子の少なくとも一方に配置される。
上記純スズ層及び上記金スズ共晶はんだ層の少なくとも一方は、上記純金層上に配置される。
この構成により、接合部材における純スズ層及び金スズ共晶はんだ層の少なくとも一方が溶融して発生する溶融層に、純金層に含まれる金原子を拡散させることによって、接合層の全領域における金の含有量を88重量%以上とすることができる。
高い耐熱性を有する熱電変換モジュール及びその製造方法を提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る熱電変換モジュールの斜視図である。 上記熱電変換モジュールの図1のA−A'線に沿った断面図である。 上記熱電変換モジュールの図2の一点鎖線で囲んだ部分の拡大断面図である。 上記熱電変換モジュールの製造方法を示すフローチャートである。 上記熱電変換モジュールの製造過程を示す部分断面図である。 上記熱電変換モジュールの接合層における金の含有量の分布を示す模式図である。 上記熱電変換モジュールの示差走査熱量測定の結果を示す図である。 本発明の第2の実施形態に係る熱電変換モジュールの製造方法を示すフローチャートである。 上記熱電変換モジュールの製造過程を示す部分断面図である。 上記熱電変換モジュールの部分断面図である。 上記熱電変換モジュールの接合層における金の含有量の分布を示す模式図である。 上記熱電変換モジュールの変形例1の説明図である。 上記熱電変換モジュールの変形例2の説明図である。 上記熱電変換モジュールの変形例4の説明図である。 上記熱電変換モジュールの変形例5の説明図である。 上記熱電変換モジュールの変形例6の説明図である。 上記熱電変換モジュールの変形例7の説明図である。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図面には、適宜相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。X軸、Y軸、及びZ軸は全図において共通である。
<第1の実施形態>
[熱電変換モジュール10の全体構成]
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱電変換モジュール10の斜視図である。図2は、熱電変換モジュール10の図1のA−A'線に沿った断面図である。図3は、熱電変換モジュール10の図2の一点鎖線で囲んだ部分の拡大断面図である。
熱電変換モジュール10は、第1基板12と、第2基板13と、熱電素子11と、接合層14と、リード線15と、を具備する。
第1基板12及び第2基板13は相互に対向して配置されている。熱電素子11は、複数対のP型及びN型熱電素子から構成され、基板12,13の間に配列されている。接合層14は、基板12,13と各熱電素子11との間にそれぞれ設けられている。リード線15は、一対の導電線として構成され、それぞれ接合部15aによって第1基板12に接合されている。
第1基板12は基材121及び電極122を有し、第2基板13は基材131及び電極132を有する。
基材121,131は、それぞれXY平面に平行な矩形状の平板として構成される。基材121,131は、耐熱性に優れる絶縁体材料で形成されている。基材121,131の熱伝導性が高いほど熱電変換モジュール10の熱電変換効率が向上するため、基材121,131は熱伝導率が高い材料によって薄く形成されていることが好ましい。基材121,131を形成する材料としては、例えば、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などのセラミック材料が用いられる。
電極122は第1基板12の基材121のZ軸方向上面に形成され、電極132は第2基板13の基材131のZ軸方向下面に形成されている。したがって、第1基板12の電極122と第2基板13の電極132とがZ軸方向に対向している。電極122,132は、導電性材料で形成され、基板12,13上において、それぞれ一対の熱電素子11を電気的に接続している。電極122,132は、基板12,13間ですべての熱電素子11を直列接続するようにパターニングされている。
電極122,132は、例えば、基材121,131に対して金属めっき処理を施すことにより形成される。電極122,132を形成するための金属めっきとしては、例えば、金めっきや、ニッケルめっきや、スズめっきなどが用いられ、必要に応じて多層めっきが用いられる。金属めっき処理は、各基板12,13に切り分けられる前のウエハの段階で行うことができる。
各熱電素子11は、チップ111及び電極112を有する。チップ111は、P型チップ111a及びN型チップ111bから構成される。つまり、P型チップ111aを有する熱電素子11がP型熱電素子として構成され、N型チップ111bを有する熱電素子11がN型熱電素子として構成される。
熱電変換モジュール10は、Y軸方向の2隅を除き、X軸方向及びY軸方向にそれぞれ10列に配列された49対の熱電素子11を有する。すなわち、基板12,13の間には、P型チップ111aを有する49個の熱電素子11と、N型チップ111bを有する49個の熱電素子11と、が交互に配列されている。
熱電素子11のチップ111は熱電材料により形成されており、つまりP型チップ111aはP型熱電材料により形成され、N型チップ111bはN型熱電材料により形成されている。チップ111を形成する熱電材料としては、例えば、比較的低温で良好な性能を示すビスマス−テルル系熱電材料が用いられる。
熱電素子11の電極112は、導電性材料によって、各チップ111のZ軸方向上面及び下面にそれぞれ形成されている。電極112は、基板12,13の電極122,132と同様に、例えば、金属めっき処理により形成可能である。金属めっき処理は、各チップ111に切り分けられる前のウエハの段階で行うことができる。
各熱電素子11の電極112上には、必要に応じてバリア層が設けられる。バリア層は、接合層14や基板12,13に含まれる外部成分が熱電素子11に拡散することを防止する機能を果たす。つまり、熱電素子11では、電極112上にバリア層を設けることによって、外部成分の拡散による影響を抑制することができる。バリア層を形成する材料としては、例えば、ニッケル、アルミニウム、モリブデン、チタンなどの金属材料が用いられる。
接合層14は、基板12,13と熱電素子11とを機械的に結合するとともに、基板12,13の電極122,132と熱電素子11の電極112とを電気的に接続する。
接合層14は金及びスズを主成分とする材料によって形成されている。接合層14における金の含有量は、その全領域にわたって88重量%以上であり、金スズ共晶はんだの金の含有量(約80重量%)よりも多い。このため、接合層14の融点は、金スズ共晶はんだの融点(約278℃)よりも高い。
より詳細には、接合層14における金の含有量を88重量%以上とすることにより、接合層14の融点が350℃を超え、接合層14の耐熱性が金スズ共晶はんだよりも大幅に向上する。この現象は、接合層14において、その主成分である金及びスズが、金の比率が88重量%以上の領域で現れるξ相(ξ'相)を形成していることに起因するものと考えられる。
このように高融点の接合層14が設けられた熱電変換モジュール10では、実装時に350℃まで加熱される場合にも、接合層14が溶融することなく、基板12,13と熱電素子11との接続が良好に維持される。つまり、熱電変換モジュール10は、350℃程度の高温で実装された後にも、その機能を正常に保つことができる。より具体的に、熱電変換モジュール10では、融点が約278℃である金スズ共晶はんだを用いて実装される場合にも、実装後における正常な動作が担保される。
このように、本実施形態に係る熱電変換モジュール10では高い耐熱性が得られる。
リード線15は、第1基板12のY軸方向の2隅に接合部15aによって接合され、Y軸方向に引き出されている。つまり、リード線15は、第1基板12における熱電素子11が配置されていない2ヶ所において電極122に接続されている。したがって、各リード線15は、Y軸方向に隣接する熱電素子11に電極122を介して電気的に接続されている。
接合部15aは、金スズ共晶はんだよりも高融点の材料で形成されていることが好ましい。接合部15aを形成する材料としては、例えば、接合層14と同様の組成の金スズ合金や、金シリコン系はんだや、金ゲルマニウム系はんだ等が用いられる。
以上のような構成により、熱電変換モジュール10では、一対のリード線15間において、すべての熱電素子11が直列接続されている。これにより、熱電変換モジュール10では、一対のリード線15間の電位差と、基板12,13間の温度差と、の間の熱電変換を良好に行うことが可能である。
以上、本実施形態に係る熱電変換モジュール10の典型的な構成について説明したが、熱電変換モジュール10はその用途などに応じて様々な構成を採ることができることは勿論である。例えば、熱電素子11の数や配列、熱電素子11のチップ111を形成する熱電材料の種類、基板12,13の形状などについて、上記の構成から適宜変更を加えることが可能である。
[熱電変換モジュール10の製造方法]
図4は、本実施形態に係る熱電変換モジュール10の製造方法を示すフローチャートである。図5は、熱電変換モジュール10の製造過程を示す部分断面図である。以下、熱電変換モジュール10の製造方法について、図4に沿って、図5を適宜参照しながら説明する。
(ステップS1−1)
ステップS1−1では、基板12,13の電極122,132上にそれぞれ金属ペースト141を配置する。金属ペースト141は、基板12,13と熱電素子11とを接合する接合層14を形成するための接合部材として構成される。
図5(A)は、ステップS1−1の前の基板12,13を示している。図5(B)は、ステップS1−1の後の基板12,13及び金属ペースト141を示している。ステップS1−1では、金属ペースト141が、基板12,13上の各熱電素子11が配置される位置に合わせて配置される。金属ペースト141は、例えば、スクリーン印刷などの印刷法や、ディスペンサなどを用いた吐出法などにより配置される。
金属ペースト141は、主成分として、金属粉末及びフラックスを含有する。金属粉末は、12重量%未満の純スズ粉末と、88重量%以上の純金粉末と、から構成されている。純スズ粉末及び純金粉末は、フラックス中に均一に分散している。フラックスは、ロジン、溶剤、活性剤、チキソ剤等から構成されている。フラックスの各成分の種類や量などにより、金属ペースト141の粘度等の各種物性が調整可能である。
(ステップS1−2)
ステップS1−2では、ステップS1−1で金属ペースト141が配置された第1基板12上に熱電素子11を配置する。つまり、熱電素子11は、Z軸方向下側の電極112が金属ペースト141を介して第1基板12の電極122に対向するように配置される。
図5(C)は、ステップS1−2の後の第1基板12、金属ペースト141、及び熱電素子11を示している。熱電素子11は、Z軸方向下側の電極112の全領域に金属ペースト141が広がるよう第1基板12上に配置される。これにより、第1基板12の電極122と、熱電素子11の電極112との間に、金属ペースト141が充填される。
(ステップS1−3)
ステップS1−3では、ステップS1−2で各金属ペースト141上に配置された熱電素子11上に第2基板13を配置する。つまり、第2基板13は、電極132がステップS1−1で配置された金属ペースト141を介して熱電素子11のZ軸方向上側の電極112に対向するように配置される。
図5(D)は、ステップS1−3の後の基板12,13、金属ペースト141、及び熱電素子11を示している。第2基板13は、熱電素子11のZ軸方向上側の電極112の全領域に金属ペースト141が広がるように熱電素子11上に配置される。これにより、第2基板13の電極132と、熱電素子11の電極112との間にも、金属ペースト141が充填される。
ステップS1−3により、基板12,13、金属ペースト141、及び熱電素子11から構成される組立体101が得られる。
(ステップS1−4)
ステップS1−4では、ステップS1−3により得られた組立体101に熱処理を加えることにより図1〜3に示す接合層14を形成し、当該接合層14を介して基板12,13と熱電素子11とを接合する。
より詳細には、まず、図5(D)に示す組立体101を加熱することにより、金属ペースト141に含まれる金属成分を溶融させて、基板12,13の電極122,132、及び熱電素子11の電極112に濡れ広がらせる。これと同時に、金属ペースト141のフラックス成分を気化させて除去する。
その後、組立体101を冷却することにより、溶融していた金属ペースト141の金属成分を凝固させる。これにより、基板12,13と熱電素子11との間に接合層14が形成されるとともに、基板12,13の電極122,132と、熱電素子11の電極112と、がそれぞれ接合層14を介して接合される。
ステップS1−4における組立体101の加熱温度は、金属ペースト141に含まれる金属成分が溶融する範囲内において適宜決定可能である。具体的には、金属ペースト141の金属成分中のスズの融点が約232℃であるため、例えば、加熱温度を240℃以上とすることにより、金属ペースト141の金属成分を良好に溶融させることができる。このように、ステップS1−4では、スズの融点である約232℃に対応する低い温度で接合層14を形成できるため、処理時間の短縮化が可能である。
ステップS1−4には、例えば、リフロー炉を用いることにより、適切な温度プロファイルでの熱処理を容易に行うことできる。
ステップS1−4の後、リード線15を第1基板12に接続するリード線接続工程や、フラックスの残渣等を除去するための洗浄工程や、各種の検査を行う検査工程などが行われ、図1に示す熱電変換モジュール10が完成する。
[接合層14における金の含有量]
図6は、熱電変換モジュール10の基板12,13と熱電素子11との間の接合層14における金の含有量の分布を示す模式図である。図6において、縦軸は熱電変換モジュール10におけるZ軸に平行な位置を示し、横軸は金の含有量を示す。
熱電変換モジュール10の接合層14では、全領域において金の含有量が88重量%以上となっている。また、純スズ粉末と純金粉末とが均一に分散した金属ペースト141を用いて接合層14を形成することにより、全領域において金の含有量が均一な接合層14が得られている。
接合層14における金の含有量は、金属ペースト141に用いる金属粉末における純スズ粉末及び純金粉末の配合比率よって制御することが可能である。つまり、金属ペースト141に、12重量%未満の純スズ粉末と、88重量%以上の純金粉末と、から構成される金属粉末を用いることにより、接合層14における金の含有量を88重量%以上とすることができる。
[示差走査熱量測定]
図7は、図5(D)に示すステップS1−3の後の組立体101をサンプルとする示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning calorimetry)の結果を示す図である。図7において、横軸は時間を示し、左側の縦軸は熱流を示し、右側の縦軸は温度を示す。また、図7では、左側の縦軸に対応する熱流の時間変化が実線で示され、右側の縦軸に対応する温度プロファイルが破線で示されている。
本測定では、組立体101のサンプルを350℃まで昇温するサイクルを2回行っている。
より詳細には、第1サイクルでは、サンプルを、5℃/分の速度で350℃まで昇温させ、350℃で30分保持し、5℃/分の速度で150℃まで降温させている。第1サイクルに続く第2サイクルでは、サンプルを、5℃/分の速度で350℃まで昇温させている。
第1サイクルでは、ステップS1−4における熱処理プロセスが再現されている。つまり、第1サイクルによって、サンプルである組立体101中の金属ペースト141を硬化させて接合層14を形成する。
図7を参照すると、第1サイクルでは、昇温中において、スズの融点である約232℃となる時刻aで鋭い吸熱ピークが現れている。このことから、時刻aにおいて金属ペースト141の金属成分が急速に溶融していることがわかる。
その後、第1サイクルでは、350℃での保持の後の降温に伴って、金属ペースト141の金属成分の凝固が進行する。そして、第1サイクルの終了時には、金属ペースト141の金属成分の凝固が完了し、接合層14が形成されている。
第2サイクルでは、製造後の熱電変換モジュール10を実装するプロセスが再現されている。具体的に、第2サイクルでは、熱電変換モジュール10が金スズ共晶はんだなどを用いて実装されるプロセスを想定し、第1サイクル後のサンプルを再び350℃まで加熱している。
図7を参照すると、第2サイクルでは、第1サイクルとは異なり、昇温中において、スズの融点である約232℃となる時刻bで吸熱ピークが現れず、更にその後350℃に達するまでの間に吸熱ピークが現れない。このことから、第1サイクルにて既に形成されている接合層14は350℃までの温度域において溶融せず、つまり接合層14の融点は350℃を超えていることがわかる。
以上のとおり、熱電変換モジュール10では、スズの融点である約232℃に対応する低い温度で接合層14を形成可能であるにも関わらず、350℃程度の高温に耐えうる高い耐熱性が得られていることが確認された。
[変形例]
第1の実施形態の変形例に係る熱電変換モジュール10は、全体構成が第1の実施形態と共通するものの、製造方法が第1の実施形態とは異なる。
具体的に、本変形例では、金属ペースト141の純スズ粉末に代えて、金スズ共晶はんだからなるはんだ粉末が用いられる。つまり、本変形例では、金属ペースト141に用いられる金属粉末が、はんだ粉末及び純金粉末から構成されている。金属粉末におけるはんだ粉末及び純金粉末の配合比率は、金属粉末全体としての金の含有量が88重量%以上となるように調整される。
本変形例では、金属ペースト141の金属成分中のはんだ粉末の融点が約278℃であるため、例えば、ステップS1−4における加熱温度を290℃以上とすることにより、金属ペースト141の金属成分を良好に溶融させることができる。以上のように製造された本変形例に係る熱電変換モジュール10おいても、第1の実施形態と同様に、350℃程度の高温に耐えうる高い耐熱性が得られる。
なお、金属ペースト141には、純スズ粉末とはんだ粉末との少なくとも一方が含まれていればよく、純スズ粉末及びはんだ粉末の両方が含まれていてもよい。
<第2の実施形態>
[第1の実施形態との相違点]
本発明の第2の実施形態は、以下に示す構成以外について第1の実施形態と共通する。本実施形態の構成のうち、第1の実施形態に対応する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
[熱電変換モジュール10の製造方法]
図8は、本実施形態に係る熱電変換モジュール10の製造方法を示すフローチャートである。図9は、熱電変換モジュール10の製造過程を示す部分断面図である。以下、熱電変換モジュール10の製造方法について、図8に沿って、図9を適宜参照しながら説明する。
(ステップS2−1)
ステップS2−1では、基板12,13の電極122,132上、及び熱電素子11の電極112上に、それぞれ純金層142を配置する。
図9(A)はステップS2−1の後の基板12,13及び純金層142を示し、図9(B)はステップS2−1の後の熱電素子11及び純金層142を示している。基板12,13及び熱電素子11における純金層142は、例えば、金めっき処理により形成可能である。金めっき処理は、各基板12,13及び各熱電素子11に切り分けられる前のウエハの段階で行うことができる。金めっき処理の方法は、湿式法であっても、真空プロセスを含む乾式法であってもよい。
(ステップS2−2)
ステップS2−2では、ステップS2−1で基板12,13上に配置された純金層142上に純スズ層143を配置する。
図9(C)は、ステップS2−2の後の基板12,13を示している。基板12,13における純スズ層143は、例えば、スズめっき処理により形成可能である。スズめっき処理は、各基板12,13に切り分けられる前のウエハの段階で、上記の金めっき処理に引き続いて行うことができる。スズめっき処理の方法も、湿式法であっても、真空プロセスを含む乾式法であってもよい。
(ステップS2−3,S2−4)
ステップS2−3では、ステップS2−2で純スズ層143が配置された第1基板12上に熱電素子11を配置する。ステップS2−4では、ステップS2−3で第1基板12上に配置された熱電素子11上に第2基板13を配置する。
図9(D)は、ステップS2−3,S2−4により得られる組立体101を示している。組立体101では、基板12,13と熱電素子11との間に、2つの純金層142の間に純スズ層143が配置された複合層145が形成される。複合層145は、基板12,13と熱電素子11とを接合する接合層14を形成するための接合部材として構成される。
(ステップS2−5)
ステップS2−5では、ステップS2−3,S2−4により得られた組立体101に熱処理を加えることにより接合層14を形成し、当該接合層14を介して基板12,13と熱電素子11とを接合する。
より詳細には、まず、図9(D)に示す組立体101を加熱することにより、複合層145の純スズ層143を溶融させることにより溶融層を発生させる。これにより、溶融層と純金層142との間において相互拡散が開始する。つまり、純金層142の金原子が溶融層に拡散するとともに、溶融層が純金層142を侵食してゆく。これにより、溶融層における金の含有量が、次第に増加する。そして、溶融層における金の含有量が88重量%以上となった後に、組立体101を冷却することにより溶融層を凝固させる。
図10は、ステップS2−5を経て完成した熱電変換モジュール10の部分断面図である。複合層145における溶融層の凝固によって、2つの純金層142の間に金の含有量が88重量%以上である金リッチ層144が形成される。つまり、本実施形態では、基板12,13と熱電素子11とを接合する接合層14が、純金層142及び金リッチ層144から構成されている。
上記のように、ステップS2−5において純金層142は溶融層によって侵食されるため、熱電変換モジュール10の純金層142は、図9(D)に示す組立体101の純金層142よりも薄くなっている。反対に、ステップS2−5において純金層142を侵食する溶融層に対応する金リッチ層144は、図9(D)に示す組立体101の純スズ層143よりも厚くなっている。
ステップS2−5における組立体101の加熱温度は、第1の実施形態に係るステップS1−4と同様に、複合層145に溶融層を発生させることが可能な範囲内において適宜決定可能である。具体的には、複合層145の純スズ層143の融点が約232℃であるため、例えば、加熱温度を240℃以上とすることにより、複合層145において良好に溶融層を発生させることができる。このように、ステップS2−5では、純スズ層143の融点である約232℃に対応する低い温度で接合層14を形成できるため、処理時間の短縮化が可能である。
[接合層14における金の含有量]
図11は、熱電変換モジュール10の接合層14における金の含有量の分布を示す模式図である。
熱電変換モジュール10の接合層14の金リッチ層144では、純金層142からの金原子の拡散量に起因し、純金層142に近いほど金の含有量が多くなる金の濃度分布が形成される。このため、接合層14では、Z軸方向の中央領域において金の含有量が比較的少なくなるものの、全領域において金の含有量が88重量%以上となっている。
接合層14の金リッチ層144における金の濃度分布は、ステップS2−5の熱処理における温度プロファイルなどによって制御可能である。
[変形例1]
第2の実施形態の変形例1は、図8におけるステップS2−2以外の構成が第2の実施形態と共通する。
図12は、上記のステップS2−2に係る図9(C)に対応する熱電変換モジュール10の製造過程を示す部分断面図である。上記のとおり、第2の実施形態に係るステップS2−2では、図9(C)に示すように、基板12,13の純金層142上に純スズ層143を配置した。これに対し、本変形例に係るステップS2−2では、図12に示すように、熱電素子11の純金層142上に純スズ層143を配置する。このような構成であっても、図9(D)に示す複合層145が得られるため、第2の実施形態と同様の熱電変換モジュール10を製造可能である。
なお、ステップS2−2では、純スズ層143が、基板12,13及び熱電素子11の少なくとも一方に配置されればよく、基板12,13及び熱電素子11の両方に配置されてもよい。
[変形例2]
第2の実施形態の変形例2は、図9(D)における組立体101の複合層145、及び図10における熱電変換モジュール10の接合層14以外の構成が第2の実施形態と共通する。
図13は、図9(D)に対応する組立体101の部分断面図である。上記のとおり、第2の実施形態に係る複合層145は、図9(D)に示すように、1層の純スズ層143を有する。これに対し、本変形例に係る複合層145は、図13に示すように、複数層の純スズ層143を有する。各純スズ層143の間には純金層142が設けられている。この構成では、ステップS2−5の熱処理において、各純スズ層143で発生する溶融層の純金層142に対する接触面積が大きくなるため、溶融層における金の含有量が増加しやすい。したがって、溶融層における金の含有量を、より迅速かつ確実に88重量%以上とすることができる。
なお、純スズ層143の層数は適宜決定可能であり、各純スズ層143の厚さや各純金層の厚さも適宜決定可能である。
[変形例3]
第2の実施形態の変形例3は、図9(C)における純スズ層143以外の構成が第2の実施形態と共通する。
具体的に、本変形例では、図8に示すステップS2−2において、純スズ層143に代えて、金スズ共晶はんだからなるはんだ層143'を配置する。つまり、本変形例では、複合層145が、純金層142及びはんだ層143'から構成されている。純金層142及びはんだ層143'は、金リッチ層144における金の含有量が88重量%以上となるように形成される。
本変形例では、複合層145において溶融層となるはんだ層143'の融点が約278℃であるため、例えば、ステップS2−5の熱処理における加熱温度を290℃以上とすることにより、第2の実施形態と同様の溶融層を発生させることができる。これにより、図10に示す金リッチ層144が得られるため、第2の実施形態と同様の熱電変換モジュール10を製造可能である。
なお、複合層145には、純スズ層143及びはんだ層143'の少なくとも一方が設けられていればよく、純スズ層143及びはんだ層143'の両方が設けられていてもよい。
[変形例4]
第2の実施形態の実施例4は、図8におけるステップS2−2以外の構成が上記変形例3と共通する。
図14は、本変形例に係るステップS2−2を説明するための熱電変換モジュール10の製造過程を示す平面図である。本変形例では、ステップS2−2において、基板12,13上に、はんだ層143'として金スズ共晶はんだ粉末を含むソルダーペーストを配置する。なお、以下では第1基板12について説明するが、第2基板13についても同様の処理が行われる。
図14(A)は、ステップS2−2の前の第1基板12に純金層142が形成された状態を示している。図14(B)は、第1基板12の純金層142上に、ソルダーペースト印刷用のマスクMが貼り付けられた状態を示している。マスクMには、純金層142上の熱電素子11を配置する位置に合わせて円形の開口Pが形成されている。ソルダーペーストは、マスクMを介して純金層142上に印刷され、つまりマスクMの開口P内に配置される。図14(C)は、ソルダーペーストの印刷後に、マスクMが除去された状態を示している。第1基板12の純金層142上のマスクMの開口Pに対応する位置にソルダーペーストからなるはんだ層143'が形成されている。このように、ソルダーペーストを用いることによっても、はんだ層143'を形成することができる。
はんだ層143'の形状や厚さは、マスクMの構成によって制御可能である。つまり、マスクMの開口Pの形状によってはんだ層143'の形状を制御可能であり、マスクMの厚さによってはんだ層143'の厚さを制御可能である。
なお、ソルダーペーストには、金スズ共晶はんだ粉末以外に、純スズ粉末が含まれていてもよい。また、本変形例と同様に、第2の実施形態に係る純スズ層143として純スズ粉末を含むペーストを用いてもよい。
[変形例5]
第2の実施形態の実施例5は、図9(D)における組立体101の複合層145、及び図10における熱電変換モジュール10の接合層14以外の構成が第2の実施形態と共通する。
図15は、本変形例に係る熱電変換モジュール10を説明するための図である。図15(A)は本変形例に係る熱電変換モジュール10の部分断面図であり、図15(B)は本変形例に係る熱電変換モジュール10の接合層14における金の含有量の分布を示す模式図である。
第2の実施形態に係る熱電変換モジュール10では接合層14に純金層142が存在していたが、本変形例に係る熱電変換モジュール10では、図15(A)に示すように、接合層14に純金層142が存在していない。つまり、本変形例では、ステップS2−5の熱処理において、純金層142がすべて溶融層に拡散して消滅し、これにより複合層145全体が溶融層となる。したがって、本変形例に係る接合層14は、金リッチ層144のみによって構成されている。
本変形例に係る金リッチ層144では、図15(B)に示すように、第2の実施形態に係る金リッチ層144と同様に、純金層142に近いほど金の含有量が多くなる金の濃度分布が形成される。このため、接合層14では、Z軸方向の中央領域において金の含有量が比較的少なくなるものの、全領域において金の含有量が88重量%以上となっている。
[変形例6]
第2の実施形態の実施例6は、図9(D)における組立体101の複合層145、及び図10における熱電変換モジュール10の接合層14以外の構成が第2の実施形態と共通する。
図16は、本変形例に係る熱電変換モジュール10を説明するための図である。図16(A)は本変形例に係る熱電変換モジュール10の部分断面図であり、図16(B)は本変形例に係る熱電変換モジュール10の接合層14における金の含有量の分布を示す模式図である。
第2の実施形態では、ステップS2−1において、基板12,13及び熱電素子11の両方に純金層142を配置した。これに対し、本変形例では、ステップS2−1において、基板12,13のみに純金層142を配置し、熱電素子11には純金層142を配置しない。したがって、本変形例に係るステップS2−5の熱処理では、基板12,13上の純金層142の金原子が、溶融層中を、熱電素子11に向けて一方向に拡散する。
このため、本変形例に係る熱電変換モジュール10の接合層14では、図16(A)に示すように、金リッチ層144の基板12,13側のみに純金層142が存在し、金リッチ層144の熱電素子11側に純金層142が存在していない。なお、ステップS2−5の熱処理において純金層142がすべて溶融層に拡散する場合には、基板12,13側にも純金層142が存在しない場合もありうる。
また、本変形例に係る金リッチ層144では、図16(B)に示すように、基板12,13に近いほど金の含有量が多くなる金の濃度勾配が形成される。このため、接合層14では、熱電素子11側の領域において金の含有量が比較的少なくなるものの、全領域において金の含有量が88重量%以上となっている。
[変形例7]
第2の実施形態の実施例7は、図9(D)における組立体101の複合層145、及び図10における熱電変換モジュール10の接合層14以外の構成が第2の実施形態と共通する。
図17は、本変形例に係る熱電変換モジュール10を説明するための図である。図17(A)は本変形例に係る熱電変換モジュール10の部分断面図であり、図17(B)は本変形例に係る熱電変換モジュール10の接合層14における金の含有量の分布を示す模式図である。
第2の実施形態では、ステップS2−1において、基板12,13及び熱電素子11の両方に純金層142を配置した。これに対し、本変形例では、ステップS2−1において、熱電素子11のみに純金層142を配置し、基板12,13には純金層142を配置しない。したがって、本変形例に係るステップS2−5の熱処理では、熱電素子11上の純金層142の金原子が、溶融層中を、基板12,13に向けて一方向に拡散する。
このため、本変形例に係る熱電変換モジュール10の接合層14では、図17(A)に示すように、金リッチ層144の熱電素子11側のみに純金層142が存在し、金リッチ層144の基板12,13側に純金層142が存在していない。なお、ステップS2−5の熱処理において純金層142がすべて溶融層に拡散する場合には、熱電素子11側にも純金層142が存在しない場合もありうる。
また、本変形例に係る金リッチ層144では、図17(B)に示すように、熱電素子11に近いほど金の含有量が多くなる金の濃度勾配が形成される。このため、接合層14では、基板12,13側の領域において金の含有量が比較的少なくなるものの、全領域において金の含有量が88重量%以上となっている。
<実施例及び比較例>
[実験例1]
実験例1では、第1の実施形態と同様の要領で、金属ペーストの金属粉末における純スズ粉末及び純金粉末の配合比率を変化させて接合層を形成することによって熱電変換モジュールのサンプル1−1〜1−10を作製した。
表1は、サンプル1−1〜1−10について、金属粉末における純スズ粉末の量、金属粉末における純金粉末の量、接合層における金の含有量、及び350℃に加熱した際の接合層の再溶融の有無を示している。なお、表1中、接合層における金の含有量は、金属粉末における純スズ粉末及び純金粉末の量から得られる理論値である。
Figure 0006690124
表1に示すように、サンプル1−5〜1−10では再溶融が見られず、接合層における金の含有量が理論値通りに88重量%以上になっているものと考えられる。この一方で、サンプル1−1〜1−4では再溶融が見られ、接合層における金の含有量が88重量%未満になっているものと考えられる。したがって、サンプル1−5〜1−10は本発明の範囲内の実施例であり、サンプル1−1〜1−4は本発明の範囲外の比較例である。
[実験例2]
実験例2では、第1の実施形態の変形例と同様の要領で、金属ペーストの金属粉末における金スズ共晶はんだ粉末及び純金粉末の配合比率を変化させて接合層を形成することによって熱電変換モジュールのサンプル2−1〜2−10を作製した。
表2は、サンプル2−1〜2−10について、金属粉末における金スズ共晶はんだの量、金属粉末における純金粉末の量、接合層における金の含有量、及び350℃に加熱した際の接合層の再溶融の有無を示している。なお、表2中、接合層における金の含有量は、金属粉末におけるはんだ粉末及び純金粉末の量から得られる理論値である。
Figure 0006690124
表2に示すように、サンプル2−5〜2−10では再溶融が見られず、接合層における金の含有量が理論値通りに88重量%以上になっているものと考えられる。この一方で、サンプル2−1〜2−4では再溶融が見られ、接合層における金の含有量が88重量%未満になっているものと考えられる。したがって、サンプル2−5〜2−10は本発明の範囲内の実施例であり、サンプル2−1〜2−4は本発明の範囲外の比較例である。
[実験例3]
実験例3では、第2の実施形態、及びその変形例1と同様の要領で、基板側における純金層及び純スズ層の厚さ、並びに熱電素子側における純金層及び純スズ層の厚さを変化させて接合層を形成することによって熱電変換モジュールのサンプル3−1〜3−17を作製した。
表3は、サンプル3−1〜3−17について、基板側における純金層及び純スズ層の厚さ、熱電素子側における純金層及び純スズ層の厚さ、ステップS2−5の熱処理における加熱温度、接合層における金の含有量、並びに350℃に加熱した際の接合層の再溶融の有無を示している。なお、表3中、接合層における金の含有量は、基板側及び熱電素子側における純金層及び純スズ層がすべて均一に拡散して接合層が形成される場合を想定して得られる理論値である。また、純スズ層の厚さについて「0」とは、純スズ層を設けていないことを表している。
Figure 0006690124
表3に示すように、サンプル3−1〜3−3,3−5,3−7〜3−11,3−14,3−15では再溶融が見られず、接合層における金の含有量が88重量%以上になっているものと考えられる。この一方で、サンプル3−4,3−12,3−13,3−16,3−17では再溶融が見られ、接合層における金の含有量が88重量%未満になっているものと考えられる。また、サンプル3−6では、ステップS2−5の熱処理における加熱温度が純スズ層の融点を下回るため、良好に接合層が形成されず、基板と熱電素子との接合が不十分となった。したがって、サンプル3−1〜3−3,3−5,3−7〜3−11,3−14,3−15は本発明の範囲内の実施例であり、サンプル3−4,3−6,3−12,3−13,3−16,3−17は本発明の範囲外の比較例である。
特に、サンプル3−16,3−17では接合層における金の含有量の理論値が88重量%以上であるものの、純スズ層が厚すぎるため純金層からの金原子の拡散が充分に進行せずに、接合層において金の含有量が88重量%未満の部分が残っているものと考えられる。このことから、基板側及び熱電素子側の純スズ層の厚さの合計を5μm以下とすることにより、金が良好に拡散した接合層が得られやすいことがわかる。なお、基板側及び熱電素子側の純スズ層の厚さの合計が5μmを超える場合にも、ステップS2−5の熱処理における温度プロファイルを調整することによって、金が良好に拡散した接合層を得ることが可能である。
[実験例4]
実験例4では、第2の実施形態の変形例3と同様の要領で、基板側における純金層及びはんだ層の厚さ、並びに熱電素子側における純金層の厚さを変化させて接合層を形成することによって熱電変換モジュールのサンプル4−1〜4−10を作製した。
表4は、サンプル4−1〜4−10について、基板側における純金層及び純スズ層の厚さ、熱電素子側における純金層の厚さ、接合層における金の含有量、並びに350℃に加熱した際の接合層の再溶融の有無を示している。なお、表4中、接合層における金の含有量は、基板側の純金層及びはんだ層、並びに熱電素子側の純金層がすべて均一に拡散して接合層が形成される場合を想定して得られる理論値である。
Figure 0006690124
表4に示すように、サンプル4−1〜4−4,4−7,4−9では再溶融が見られず、接合層における金の含有量が88重量%以上になっているものと考えられる。この一方で、サンプル4−5,4−6,4−8,4−10では再溶融が見られ、接合層における金の含有量が88重量%未満になっているものと考えられる。したがって、サンプル4−1〜4−4,4−7,4−9は本発明の範囲内の実施例であり、サンプル4−5,4−6,4−8,4−10は本発明の範囲外の比較例である。
[実験例5]
実験例5では、第2の実施形態の変形例4と同様の要領で、マスクMの円形の開口Pの直径を変化させてソルダーペーストによるはんだ層143'を形成することにより熱電変換モジュールのサンプル5−1〜5−3を作製した。マスクMの厚さは50μmとした。
表5は、サンプル5−1〜5−3について、マスクMの開口Pの直径、基板側における純金層の厚さ、素子側における純金層の厚さ、接合層における金の含有量、及び350℃に加熱した際の接合層の再溶融の有無を示している。なお、表5中、接合層における金の含有量は、基板側及び熱電素子側の純金層、並びにソルダーペーストにより形成されたはんだ層がすべて均一に拡散して接合層が形成される場合を想定して得られる理論値である。
Figure 0006690124
表5に示すように、サンプル5−1,5−2では再溶融が見られず、接合層における金の含有量が88重量%以上になっているものと考えられる。この一方で、サンプル5−3では再溶融が見られ、接合層における金の含有量が88重量%未満になっているものと考えられる。したがって、サンプル5−1,5−2は本発明の範囲内の実施例であり、サンプル5−3は本発明の範囲外の比較例である。
<その他>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、高融点の接合層が、熱電素子の第1基板側及び第2基板側の間の両方に設けられていたが、高融点の接合層は、熱電素子の第1基板側及び第2基板側の少なくとも一方に設けられていればよい。例えば、高融点の接合層は、熱電素子の第1基板側及び第2基板側のうち、熱電変換モジュールの実装時に高温になりやすい一方にのみ設けられていてもよい。
また、上記実施形態では熱電素子の層が1層のみの熱電変換モジュールについて説明したが、本発明は、熱電素子の層が多段に構成された多段熱電変換モジュールにも適用可能である。また、上記実施形態に係る熱電変換モジュールでは各基板がそれぞれ一体に構成されていたが、各基板は電極のパターンに応じて適宜分割されていても構わない。
10…熱電変換モジュール
11…熱電素子
12…第1基板
13…第2基板
14…接合層
15…リード線

Claims (4)

  1. 相互に対向する一対の基板と、
    前記一対の基板の間に配列される複数の熱電素子と、
    前記一対の基板の少なくとも一方と前記複数の熱電素子との間に配置され、金及びスズを主成分とし、その全領域にわたって金の含有量が88重量%以上である接合層と、
    を具備し、
    前記接合層における金の含有量が、当該接合層の厚さ方向の中央部から、前記一対の基板及び前記熱電素子の少なくとも一方に向けて連続的に多くなる
    熱電変換モジュール。
  2. 請求項1に記載の熱電変換モジュールであって、
    前記接合層は、前記一対の基板に隣接する位置、及び前記熱電素子に隣接する位置の少なくとも一方に設けられた純金層を有する
    熱電変換モジュール。
  3. 基板及び熱電素子の少なくとも一方に接合部材を配置し、
    前記接合部材を介して前記基板と前記熱電素子とを対向配置し、
    前記基板と前記熱電素子との間の前記接合部材の少なくとも一部を溶融させ、
    溶融した前記接合部材を凝固させることにより、金及びスズを主成分とし、その全領域にわたって金の含有量が88重量%以上である接合層を形成するとともに、当該接合層を介して前記基板と前記熱電素子とを結合させ、
    前記接合部材を配置することは、
    前記基板及び前記熱電素子の少なくとも一方に純金層を配置することと、
    前記純金層上に、純スズ粉末及び金スズ共晶はんだ粉末の少なくとも一方を含有する金属ペーストを配置することと、
    を含み、
    前記接合層を形成することは、前記接合層における金の含有量を、当該接合層の厚さ方向の中央部から、前記基板及び前記熱電素子の少なくとも一方に向けて連続的に多くすることを含む
    熱電変換モジュールの製造方法。
  4. 基板及び熱電素子の少なくとも一方に接合部材を配置し、
    前記接合部材を介して前記基板と前記熱電素子とを対向配置し、
    前記基板と前記熱電素子との間の前記接合部材の少なくとも一部を溶融させ、
    溶融した前記接合部材を凝固させることにより、金及びスズを主成分とし、その全領域にわたって金の含有量が88重量%以上である接合層を形成するとともに、当該接合層を介して前記基板と前記熱電素子とを結合させ、
    前記接合部材を配置することは、
    前記基板及び前記熱電素子の少なくとも一方に純金層を配置することと、
    前記純金層上に、純スズ層及び金スズ共晶はんだ層の少なくとも一方を配置することと、
    を含み、
    前記接合層を形成することは、前記接合層における金の含有量を、当該接合層の厚さ方向の中央部から、前記基板及び前記熱電素子の少なくとも一方に向けて連続的に多くすることを含む
    熱電変換モジュールの製造方法。
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