JP6688472B2 - 結像レンズ、カメラおよび検査装置 - Google Patents
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Description
このようなレトロフォーカスタイプの結像レンズとして、例えば、特許文献1、特許文献2および特許文献3に記載のものがある。
さらに、大口径にする必要があるため、球面収差やコマ収差等を十分に補正することが困難になってくる。
特許文献1や特許文献2に開示された結像レンズは、600〜1000万画素に対応した解像力の性能を有しておらず、また、倍率色収差やコマ収差の色差の低減も十分ではない。特許文献3に開示された結像レンズは、大型であり、十分な小型化ができていない。
下記条件式(1):
(1) 1.5<f2b/f<3.0
を満足すると共に、
前記第2レンズ群の前記正レンズL24bの像側面の曲率半径をR24b2とし、前記第2レンズ群の前記負レンズL25bの物体側面の曲率半径をR25b1として、
下記条件式(2):
(2) 0.05<(R24b2−R25b1)/(R24b2+R25b1)<0.30
を満足することを特徴としている。
具体的な数値による実施例について説明する前に、先ず、本発明の原理的な実施の形態を図1〜図4を参照しつつ説明する。
本発明のような広角単焦点レンズの代表的な構成としては、物体側に負の屈折力(パワー)のレンズ群、像側に正の屈折力(パワー)のレンズ群を配設した、いわゆるレトロフォーカスタイプが挙げられる。各画素に色フィルタやマイクロレンズを有するエリアセンサの特性から、射出瞳位置を像面から遠ざけ、周辺光束がセンサに対し垂直に近い角度で入射するようにしたいという要求の存在が、レトロフォーカスタイプが採用される主な理由である。しかしながら、レトロフォーカスタイプは、その屈折力配置の非対称性が大きく、コマ収差や歪曲収差、倍率色収差等の補正が不完全になりがちである。さらに、大口径にする必要があるため、球面収差やコマ収差等を十分に補正することも困難になってくる。
また、レトロフォーカスタイプの場合、単純に全体繰出しでフォーカシングを行うと、フォーカシングにより、像面弯曲が発生する。
負レンズL21bの物体側面で発生した球面収差やコマ収差等を正レンズL22bの像側面で打ち消すことにより、収差補正をしている。そのため、負レンズL21bの物体側面から正レンズL22bの像側面までの間隔変化や負レンズL21bの物体側面に対する正レンズL22bの像側面の偏心による性能への影響が大きくなりがちであるが,負レンズL21bと正レンズL22bを接合することにより、負レンズL21bと正レンズL22bの合成肉厚変化や負レンズL21bの物体側面に対する正レンズL22bの像側面の偏心を小さくすることができる。
第2bレンズ群G2bの正レンズL26bは、収差のバランス取りと射出瞳距離のコントロールの役目を持たせている。
また、第2レンズ群でフォーカシングするように構成することにより、物体距離変化に伴うフォーカシングにより発生する像面湾曲を抑制することができる。
さらに、以下の条件式(1)を満足することが望ましい。
(1) 1.5<f2b/f<3.0
ただし、f2bは、第2bレンズ群G2bの焦点距離であり、fは、全系の焦点距離である。
条件式(1)の上限値を超えると、第2bレンズ群G2bの焦点距離f2bが長くなりすぎ、第2aレンズ群G2aと第2bレンズ群G2bで収差のやりとりが大きくすることにつながり、各種収差補正が困難になる。条件式(1)の下限値を下回ると、第2bレンズ群G2b内での各種収差補正が困難になる。
(1´) 1.5<f2b/f<2.5
より高性能にするためには,以下の条件式(2)を満足すると良い(請求項1に対応する)。
(2) 0.05<(R24b2−R25b1)/(R24b2+R25b1)<0.2
ただし、R24b2は第2bレンズ群G2bの正レンズL24bの像側面の曲率半径であり、R25b1は、第2bレンズ群G2bの負レンズL25bの物体側面の曲率半径である。
正レンズL24bの像側面で発生したコマ収差等を負レンズL25bの物体側面で補正している。
上記条件式(2)の上限値を超えると、正レンズL24bの像側面に対して負レンズL25bの物体側面の曲率半径が小さくなりすぎ、正レンズL24bの像側面で発生した収差を負レンズL25bの物体側面で補正過剰となる。上記条件式(2)の下限値を下回ると、正レンズL24bの像側面に対して負レンズL25bの物体側面の曲率半径が大きくなりすぎ、正レンズL24bの像側面で発生した収差を負レンズL25bの物体側面で補正不足となる。
(3) −0.2<(R23b2+R25b1)/(R23b2−R25b1)<0.2
ただし、R23b2は第2bレンズ群G2bの負レンズL23bの像側面の曲率半径であり、R25b1は第2bレンズ群G2bの負レンズL25bの物体側面の曲率半径である。
第2bレンズ群G2bの負レンズL23bの像側面の曲率半径と第2bレンズ群G2bの負レンズL25bの物体側面はどちらも負のパワーを有し、負レンズL23bの像側面は像側に凹面であり,負レンズL25bの物体側面は物体側に凹面である。それらの面が条件式(3)を満足するようにすることにより、軸上色収差や倍率色収差やコマ収差の色差等を十分に補正することができる。
さらに高性能にするためには,以下の条件式(4)を満足すると良い(請求項5に対応する)。
(4) −0.2<f/fA<0.3
ただし、fAは、第2bレンズ群G2bの負レンズL23bから負レンズL25bまでの合成焦点距離であり、fは全系の焦点距離である。
さらに高性能にするためには、以下の条件式(5)を満足すると良い(請求項6に対応する)。
(5) 0.25<DA/D2b<0.45
ただし、DAは負レンズL21bと正レンズL22bの接合レンズの厚さであり、D2bは第2bレンズ群G2bの厚さである。
条件式(5)の上限値を超えると、負レンズL21bと正レンズL22bの接合レンズが厚くなりすぎ、負レンズL23b、正レンズL24b、負レンズL25b、正レンズL26bの自由度がなくなり、全体としての各種収差補正が十分にできなくなる。条件式(5)の下限値を下回ると、負レンズL21bと正レンズL22bの接合レンズが薄くなりすぎ、球面収差・コマ収差を十分に補正することが困難になる。
(6) 1.45<nd<1.65
(7) 65.0<νd<95.0
(8) 0.009<Pg,F−(−0.001802×νd+0.6483)<0.050
ただし、ndは正レンズL24bの屈折率、νdは正レンズL24bのアッベ数、Pg,Fは正レンズL24bの部分分散比を表す。
ここで、部分分散比Pg,F=(ng−nF)/(nF−nC)であり、ng、nF、nCはそれぞれ、正レンズL24bの、g線、F線、C線に対する屈折率である。
異常分散の特性を有する硝材を用いることにより,軸上色収差や倍率色収差やコマ収差の色差を十分に補正することができる。
前記第2aレンズ群は、物体側から順に、像側が凹面である負レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズで構成し、前記第2aレンズ群の焦点距離をf2aとし、前記第2bレンズ群の焦点距離をf2bとして、
下記条件式(9):
(9) 0.5<f2a/f2b<1.5
を満足すると良い(請求項3に対応する)。
より収差の発生を抑え、さらに高性能な結像レンズを提供することができるため、より高画質なカメラ(検査装置)を実現することができる。
無限遠物体から近距離物体までフォーカシングする際に、第2レンズ群G2が物体側に移動することが望ましい(請求項7に対応する)。物体距離変化に伴うフォーカシングにより発生する像面湾曲を抑制することができるからである。
次に、本発明の実施の形態および具体的な実施例(数値実施例)を詳細に説明する。以下に述べる実施例1、実施例2、実施例3および実施例4は、本発明の第1の実施の形態、第2の実施の形態、第3の実施の形態および第4の実施の形態に係る結像レンズの具体的数値例による具体的構成の実施例である。そして第5の実施の形態は、実施例1〜実施例4に示される結像レンズを撮像光学系として用いたカメラまたはカメラ機能部の撮影用光学系として用いた検査装置の実施の形態である。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る実施例1における結像レンズを説明するためのものである。図2は、本発明の第2の実施の形態に係る実施例2における結像レンズを説明するためのものである。図3は、本発明の第3の実施の形態に係る実施例3における結像レンズを説明するためのものである。図4は、本発明の第4の実施の形態に係る実施例4における結像レンズを説明するためのものである。
実施例1〜実施例4の各実施例の結像レンズにおいて、第2レンズ群G2の像側に配設される平行平板は、光学ローパスフィルタ・赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、CMOSセンサ等の受光素子のカバーガラス(シールガラス)を想定したもので、ここでは、これらを総称して各種フィルタMFと称することとする。
なお、これら実施例1〜実施例4の各実施例において用いている光学ガラスの硝材は、株式会社オハラ(OHARA)の製品の光学硝種名で示している。
通例の結像レンズにおいては、いくつかのレンズ面を非球面とする場合があるが、本発明に係る実施例では、全て球面レンズのみで構成することが望ましい。
高性能でありながら、安価に構成できるからである。
以下に述べる実施例1〜実施例4の各実施例の収差は、高いレベルで補正されており、球面収差、軸上色収差は問題にならないほど小さい。レンズ枚数が11枚程度で、非点収差、像面弯曲、倍率色収差も十分に小さく、コマ収差やその色差の乱れも最周辺部まで良く抑えられている他、歪曲収差も倍率−0.05倍において絶対値で3%以下となっており、600〜1000万画素の撮像素子に対応した解像力を有する。本発明のように結像レンズを構成することにより、半画角が68度程度で、かつ、Fナンバが2.0程度と大口径でありながら、非常に良好な像性能を確保し得ることは、以下の各実施例より明らかである。
f:全系の焦点距離
F:F値(Fナンバ)
ω:半画角(°)
R:曲率半径
D:面間隔
N:屈折率
ν:アッベ数
φ:光線有効径
すなわち、本発明の実施例1に係る結像レンズの光学系は、図1に示すように、物体側から像面側に向かって、順次、第1レンズL11、第2レンズL12、第3レンズL21a、第4レンズL22a、第5レンズL23a、固定絞りFS、開口絞りS、第6レンズL21b、第7レンズL22b、第8レンズL23b、第9レンズL24b、第10レンズL25b、第11レンズL26bを配置している。第4レンズL22aと第5レンズL23a、第6レンズ21bと第7レンズL22bおよび第8レンズL23bと第9レンズL24bは、それぞれ接合レンズを構成している。
レンズ群構成に着目すると、物体側に位置する第1レンズL11と第2レンズL12により負の屈折力(パワー)を有する第1レンズ群G1を構成する。そして第3レンズL21a、第4レンズ22a、第5レンズL23aにより正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aを構成する。さらに、第6レンズL21b、第7レンズL22b、第8レンズL23b、第9レンズL24b、第10レンズ25b、第11レンズ26bにより正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bを構成する。
詳細には、第1レンズ群G1は、物体側から像側に向かって、順次、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をなす負レンズからなる第1レンズL11と、像面側に凸面を向けた正メニスカス形状をなす正レンズからなる第2レンズL12を配置して負の屈折力を示すように構成している。第2aレンズ群G2aは、物体側から像面側に向かって、順次、物体側から像面側に向かって、順次、像面側に物体側より大きな曲率の凹面を向けた両凹形状をなす負レンズからなる第3レンズL21aと、像面側に物体側より大きな曲率の凸面を向けた両凸形状をなす正レンズからなる第4レンズL22aと、像面側に凸面を向けた負メニスカス形状をなす負レンズからなる第5レンズL23aとを配置して正の屈折力を示すように構成している。
なお、第4レンズL22aと第5レンズL23aの2枚のレンズと、第6レンズL21bと第7レンズL22bの2枚のレンズおよび第8レンズL23bと第9レンズL24bの2枚のレンズは、それぞれ互いに密接して貼り合わせられて一体に接合され、2枚接合からなる接合レンズを形成している。
すなわち、第2レンズ群G2は、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bとから構成される。
いわゆるデジタルスティルカメラのように、CCD(電荷結合素子)センサまたはCMOS(相補型金属酸化物半導体)センサ等の固体撮像素子を用いるタイプの撮像光学系では、バック挿入ガラス、ローパスフィルタ、赤外カットガラスおよび固体撮像素子の受光面を保護するためのカバーガラス等の少なくとも何れかを介挿するが、本実施例では、これらを代表して各種フィルタMFとして、等価的に1枚の平行平板として示している。なお、実施例2〜実施例4においても等価的に1枚の平行平板として各種フィルタMFを示しているが、本実施例における各種フィルタMFと同様に、バック挿入ガラス、ローパスフィルタ、赤外カットガラスおよびカバーガラス等の少なくとも何れかを代表してあらわしている。
第1レンズ群G1、第2レンズ群G2は、適宜なる支持枠等によって支持されており、目的とする物体に合焦させるフォーカシングに際しては、第1レンズ群G1が固定で、第2レンズ群G2が移動し、第1レンズ群G1と第2aレンズ群G2aとの間隔Aを変化させてフォーカシングを行う。
この実施例1においては、光学系全系の焦点距離f、開放F値Fおよび画角2ω〔°〕が、それぞれf=12.0mm、F=1.99、画角2、ω=68.5度であり、この実施例1における各光学要素における光学面の曲率半径R、隣接する光学面の面間隔D、屈折率N、アッベ数ν、口径φおよびレンズ材料等の光学特性は、次表1の通りである。
また、この実施例1における先に述べた条件式(1)〜(9)に対応する値は、それぞれ、〔表3〕の通りとなる。
また、図5に、実施例1に係る結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。そして、図6に、実施例1に係る結像レンズが、倍率−0.05倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
さらに、図7に、実施例1に係る結像レンズが、倍率−0.1倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
なお、これらの収差曲線図において、球面収差における破線は正弦条件をあらわし、非点収差における実線はサジタル、そして破線はメリディオナルをそれぞれあらわしている。また、球面収差、非点収差、並びにコマ収差の各収差図におけるgおよびdはそれぞれ、g線およびd線をあらわしている。これらは、他の実施例に係る収差曲線図についても同様である。
すなわち、本発明の実施例2に係る結像レンズの光学系は、図2に示すように、物体側から像面側に向かって、順次、第1レンズL11、第2レンズL12、第3レンズL21a、第4レンズL22a、第5レンズL23a、固定絞りFS、開口絞りS、第6レンズL21b、第7レンズL22b、第8レンズL23b、第9レンズL24b、第10レンズL25b、第11レンズL26bを配置しており、第4レンズL22aと第5レンズL23a、第6レンズL21bと第7レンズL22bおよび第8レンズL23bと第9レンズL24bは、それぞれ接合レンズを構成している。
レンズ群構成に着目すると、物体側に位置する第1レンズL11と第2レンズL12により負の屈折力(パワー)を有する第1レンズ群G1を構成する。そして第3レンズL21a、第4レンズL22a、第5レンズL23aにより正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aを構成する。さらに、第6レンズL21b、第7レンズL22b、第8レンズL23b、第9レンズL24b、第10レンズL25b、第11レンズL26bにより正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bを構成する。
詳細には、第1レンズ群G1は、物体側から像側に向かって、順次、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をなす負レンズからなる第1レンズL11と、像面側に凸面を向けた正メニスカス形状をなす正レンズからなる第2レンズL12を配置して負の屈折力を示すように構成している。
すなわち、第2レンズ群G2は、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bとから構成される。
さらに、第2レンズ群G2の後方、すなわち像側には、光学ローパスフィルタおよび赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、受光素子のカバーガラス(シールガラス)を等価的な平行平板として示すフィルタガラスが配置される。
いわゆるデジタルスティルカメラのように、CCD(電荷結合素子)センサまたはCMOS(相補型金属酸化物半導体)センサ等の固体撮像素子を用いるタイプの撮像光学系では、バック挿入ガラス、ローパスフィルタ、赤外カットガラスおよび固体撮像素子の受光面を保護するためのカバーガラス等の少なくとも何れかを介挿するが、本実施例ではこれらを代表して各種フィルタMFとして、等価的に1枚の平行平板として示している。
第1レンズ群G1、第2レンズ群G2は、適宜なる支持枠等によって支持されており、目的とする物体に合焦させるフォーカシングに際しては、第1レンズ群G1が固定で、第2レンズ群G2が移動し、第1レンズ群G1と第2aレンズ群G2aとの間隔を変化させてフォーカシングを行う。
この実施例2においては、光学系全系の焦点距離f、開放F値Fおよび画角2ω〔°〕が、それぞれf=12.0mm、F=2.00、2ω=68.5度であり、この実施例2における各光学要素における光学面の曲率半径R、隣接する光学面の面間隔D、屈折率N、アッベ数ν、口径φおよびレンズ材料等の光学特性は、次表4の通りである。
また、この実施例2のおける先に述べた条件式(1)〜(9)に対応する値は、それぞれ、[表6]の通りとなる。
また、図8に、実施例2に係る結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。そして、図9に、実施例2に係る結像レンズが、倍率−0.05倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
さらに、図10に、実施例2に係る結像レンズが、倍率−0.1倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
なお、これらの収差曲線図において、球面収差における破線は正弦条件をあらわし、非点収差における実線はサジタル、そして破線はメリディオナルをそれぞれあらわしている。また、球面収差、非点収差、並びにコマ収差の各収差図におけるgおよびdはそれぞれ、g線およびd線をあらわしている。これらは、他の実施例に係る収差曲線図についても同様である。
すなわち、本発明の実施例3に係る結像レンズの光学系は、図3に示すように、物体側から像面側に向かって、順次、第1レンズL11、第2レンズL12、第3レンズL21a、第4レンズL22a、第5レンズL23a、固定絞りFS、開口絞りS、第6レンズL21b、第7レンズL22b、第8レンズL23b、第9レンズL24b、第10レンズL25b、第11レンズL26bを配置しており、第4レンズL22aと第5レンズL23a、第6レンズL21bと第7レンズL22bは、それぞれ接合レンズを構成している。実施例1および実施例2とは異なり、第8レンズL23bと第9レンズL24bは、接合レンズとせず、別体に構成している。
レンズ群構成に着目すると、物体側に位置する第1レンズL11と第2レンズL12により負の屈折力(パワー)を有する第1レンズ群G1を構成する。そして第3レンズL21a、第4レンズL22a、第5レンズL23aにより正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aを構成する。
詳細には、第1レンズ群G1は、物体側から像側に向かって、順次、物体側に凸面を向けた負メニスカス形状をなす負レンズからなる第1レンズL11と、像面側に物体側より大きな曲率の凸面を向けた両凸形状をなす正レンズからなる第2レンズL12を配置して負の屈折力を示すように構成している。第2aレンズ群G2aは、物体側から像面側に向かって、順次、像面側に物体側より大きな曲率の凹面を向けた両凹形状をなす負レンズからなる第3レンズL21aと、像面側に物体側より大きな曲率の凸面を向けた両凸形状をなす正レンズからなる第4レンズL22aと、像面側に凸面を向けた負メニスカス形状をなす負レンズからなる第5レンズL23aとを配置して正の屈折力を示すように構成している。
なお、第4レンズL22aと第5レンズL23aの2枚のレンズと、第6レンズL21bと第7レンズL22bの2枚のレンズは、それぞれ接合レンズを構成している。第8レンズL23bと第9レンズL24bの2枚のレンズは、実施例1および実施例2とは異なり、互いに接合せず、別体に構成している。
すなわち、第2レンズ群G2は、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bとから構成される。
第1レンズ群G1、第2レンズ群G2は、適宜なる支持枠等によって支持されており、目的とする物体に合焦させるフォーカシングに際しては、第1レンズ群G1が固定で、第2レンズ群G2が移動し、第1レンズ群G1と第2aレンズ群G2aとの間隔を変化させてフォーカシングを行う。
この実施例3においては、光学系全系の焦点距離f、開放F値Fおよび画角2ω〔°〕が、それぞれf=12.0mm、F=2.01、2ω=68.9度であり、この実施例3における各光学要素における光学面の曲率半径R、隣接する光学面の面間隔D、屈折率N、アッベ数ν、口径φおよびレンズ材料等の光学特性は、次表7の通りである。
また、この実施例3のおける先に述べた条件式(1)〜(9)に対応する値は、それぞれ、[表9]の通りとなる。
また、図11に、実施例3に係る結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。そして、図12に、実施例3に係る結像レンズが、倍率−0.05倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
さらに、図13に、実施例3に係る結像レンズが、倍率−0.1倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
なお、これらの収差曲線図において、球面収差における破線は正弦条件をあらわし、非点収差における実線はサジタル、そして破線はメリディオナルをそれぞれあらわしている。また、球面収差、非点収差、並びにコマ収差の各収差図におけるgおよびdはそれぞれ、g線およびd線をあらわしている。これらは、他の実施例に係る収差曲線図についても同様である。
すなわち、本発明の実施例4に係る結像レンズの光学系は、図4に示すように、物体側から像面側に向かって、順次、第1レンズL11、第2レンズL12、第3レンズL21a、第4レンズL22a、第5レンズL23a、固定絞りFS、開口絞りS、第6レンズL21b、第7レンズL22b、第8レンズL23b、第9レンズL24b、第10レンズL25b、第11レンズL26bを配置しており、第4レンズL22aと第5レンズL23a、第6レンズL21bと第7レンズL22bは、それぞれ接合レンズを構成している。第8レンズL23bと第9レンズL24bは、実施例1および実施例2とは異なり、接合レンズとせず、別体に構成している。
すなわち、第2レンズ群G2は、正の屈折力を有する第2aレンズ群G2aと、正の屈折力を有する第2bレンズ群G2bとから構成される。
さらに、第2レンズ群G2の後方、すなわち像側には、光学ローパスフィルタおよび赤外カットフィルタ等の各種フィルタや、受光素子のカバーガラス(シールガラス)を等価的な平行平板として示すフィルタガラスが配置される。
いわゆるデジタルスティルカメラのように、CCD(電荷結合素子)センサまたはCMOS(相補型金属酸化物半導体)センサ等の固体撮像素子を用いるタイプの撮像光学系では、バック挿入ガラス、ローパスフィルタ、赤外カットガラスおよび固体撮像素子の受光面を保護するためのカバーガラス等の少なくとも何れかを介挿するが、本実施例ではこれらを代表して各種フィルタMFとして、等価的に1枚の平行平板として示している。なお、実施例2〜実施例4においても等価的に1枚の平行平板として各種フィルタMFを示しているが、本実施例における各種フィルタMFと同様に、バック挿入ガラス、ローパスフィルタ、赤外カットガラスおよびカバーガラス等の少なくとも何れかを代表してあらわしている。
この実施例4においては、光学系全系の焦点距離f、開放F値Fおよび画角2ω〔°〕が、それぞれf=12.0mm、F=2.01、2ω=68.9度であり、この実施例4における各光学要素における光学面の曲率半径R、隣接する光学面の面間隔D、屈折率N、アッベ数ν、口径φおよびレンズ材料等の光学特性は、次表10の通りである。
また、この実施例4のおける先に述べた条件式(1)〜(9)に対応する値は、それぞれ、[表12]の通りとなる。
また、図14に、実施例4に係る結像レンズが、無限遠物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。そして、図15に、実施例4に係る結像レンズが、倍率−0.05倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
さらに、図16に、実施例4に係る結像レンズが、倍率−0.1倍になる物体に合焦した状態における球面収差、非点収差、歪曲収差およびコマ収差の各収差曲線図を示している。
なお、これらの収差曲線図において、球面収差における破線は正弦条件をあらわし、非点収差における実線はサジタル、そして破線はメリディオナルをそれぞれあらわしている。また、球面収差、非点収差、並びにコマ収差の各収差図におけるgおよびdはそれぞれ、g線およびd線をあらわしている。これらは、他の実施例に係る収差曲線図についても同様である。
次に、上述した本発明の第1の実施の形態〜第4の実施の形態に係る結像レンズを採用して構成した本発明の第5の実施の形態に係るカメラとしてのデジタルカメラについて図17〜図19を参照して説明する。図17は、物体側、すなわち被写体側、である前面側から見たデジタルカメラの外観を模式的に示す斜視図、図18は、撮影者側である背面側から見たデジタルカメラの外観を模式的に示す斜視図であり、図19は、デジタルカメラの機能構成を示す模式的ブロック図である。なお、ここでは、デジタルカメラを例にとってカメラ装置について説明しているが、在来の画像記録媒体として銀塩フィルムを用いる銀塩フィルムカメラに本発明に係る結像レンズを採用してもよい。
また、いわゆるPDA(personal data assistant)や携帯電話機等の携帯情報端末装置のような情報装置あるいは検査装置にカメラ機能を組み込んだものが広く用いられている。このような情報装置も外観は若干異にするもののデジタルカメラと実質的に全く同様の機能・構成を含んでおり、このような情報装置検査装置における撮像用光学系として、採用してもよい。
デジタルカメラは、撮像用光学系としての撮像レンズ1と、CMOS(相補型金属酸化物半導体)撮像素子またはCCD(電荷結合素子)撮像素子等を用いてイメージセンサとして構成された受光素子13とを有しており、撮像レンズ1によって結像される被写体(物体)光学像を受光素子13によって読み取る。この撮像レンズ1として、上述した第1〜第4の実施の形態において説明したような本発明に係る結像レンズを用いる(請求項8または請求項9に対応)。
受光素子13の出力は、中央演算装置11によって制御される信号処理装置14によって処理され、デジタル画像情報に変換される。すなわち、このようなデジタルカメラは、撮像された画像(被写体画像)をデジタル画像情報に変換する手段を含んでおり、この手段は、実質的に、受光素子13、信号処理装置14およびこれらを制御する中央演算装置(CPU)11等により構成される。
撮像レンズ1は、カメラの携帯時には、その対物面がレンズバリア(図示していない)により覆われており、ユーザが電源スイッチ6を操作して電源を投入すると、レンズバリアが開き、対物面が露出する構成とする。
多くの場合、シャッタボタン4の半押し操作により、フォーカシングがなされる。本発明に係る結像レンズ(請求項1〜請求項7で定義され、あるいは前述した実施例1〜実施例4に示される結像レンズ)におけるフォーカシングは、複数群の光学系の一部の第2レンズ群G2の移動によって行うことができる。シャッタボタン4をさらに押し込み全押し状態とすると撮影が行なわれ、その後に上述した通りの処理がなされる。
上述のようなデジタルカメラ(撮像装置)または携帯情報端末装置もしくは検査装置には、既に述べた通り、第1〜第4の実施の形態に示されたような結像レンズを撮像用光学系として使用することができる。
以上実施の形態および実施例にて詳しく説明したところより分かるように本発明によれば、種々の効果を奏する。
下記条件式(1):
(1) 1.5<f2b/f<3.0
を満足することにより、画角が68度程度で、かつ、Fナンバが2.0程度と大口径でありながら小型であり、レンズ枚数が11枚程度で、非点収差や像面湾曲、倍率色収差、コマ収差の色差、歪曲収差等を十分に低減して、600〜1000万画素の撮像素子に対応した解像力を有すると共に、絞り開放から高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、直線を直線として歪みなく描写可能な、高性能である結像レンズを提供することができる。
また、請求項2に記載の発明によれば、より色収差の発生を抑え,色にじみが少ない高性能の結像レンズを提供することができるため、色にじみが少ない高画質なカメラ(検査装置)を実現することができる。
また、請求項7に記載の発明によれば、高性能を確保しつつ簡易な構成でフォーカシングを達成できるため、小型で高性能の結像レンズを提供することができる。
また、請求項8に記載の発明によれば、画角が68度程度で、かつ、Fナンバが2.0程度と大口径でありながら小型であり、レンズ枚数が11枚程度で、非点収差や像面湾曲、倍率色収差、コマ収差の色差、歪曲収差等を十分に低減して、600〜1000万画素の撮像素子に対応した解像力を有すると共に、絞り開放から高コントラストで画角の周辺部まで点像の崩れがなく、直線を直線として歪みなく描写可能な、無限遠物体から近距離物体まで高性能である結像レンズを撮影光学系として使用した、小型で高画質のカメラを提供ことができるため、ユーザは小型なカメラで高画質な画像を撮影することができる。
また、上述した実施の形態にて示した結像レンズは、有限距離の被検物を高精細に検査し、画像処理に使用することができるほか、銀塩カメラの結像レンズとしても応用が可能である。
G2 第2レンズ群(正)
G2a 第2aレンズ群(正)
G2b 第2bレンズ群(正)
L11、L12、L21a、L22a、L23a、L21b、L22b、L23b、L24b、L25b、L26b 第1レンズ、第2レンズ、第3レンズ、第4レンズ、第5レンズ、第6レンズ、第7レンズ、第8レンズ、第9レンズ、第10レンズ、第11レンズ
FS 固定絞り
S 開口絞り
MF 各種フィルタ
1 撮像レンズ
2 光学ファインダ
3 ストロボ(フラッシュライト)
4 シャッタボタン
5 カメラボディ
6 電源スイッチ
7 液晶モニタ
8 操作ボタン
9 メモリカードスロット
11 中央演算装置(CPU)
12 画像処理装置
13 受光素子
14 信号処理装置
15 半導体メモリ
16 通信カード等
Claims (9)
- 物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群から構成される結像レンズにおいて、前記第2レンズ群は物体側から順に、正のパワーを有する第2aレンズ群と、絞りと、正のパワーを有する第2bレンズ群で構成され、前記第2bレンズ群は物体側から順に、物体側が凹面である負レンズL21bと像側が凸面である正レンズL22bの接合レンズと、像側が凹面である負レンズL23b、正レンズL24b、物体側が凹面である負レンズL25b、正レンズL26bで構成され、前記第2bレンズ群の焦点距離をf2bとし、全系の焦点距離をfとして、前記第2レンズ群でフォーカシングするように構成し、
下記条件式(1):
(1) 1.5<f2b/f<3.0
を満足すると共に、
前記第2レンズ群の前記正レンズL24bの像側面の曲率半径をR24b2とし、前記第2レンズ群の前記負レンズL25bの物体側面の曲率半径をR25b1として、
下記条件式(2):
(2) 0.05<(R24b2−R25b1)/(R24b2+R25b1)<0.30
を満足することを特徴とする結像レンズ。 - 物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群から構成される結像レンズにおいて、前記第2レンズ群は物体側から順に、正のパワーを有する第2aレンズ群と、絞りと、正のパワーを有する第2bレンズ群で構成され、前記第2bレンズ群は物体側から順に、物体側が凹面である負レンズL21bと像側が凸面である正レンズL22bの接合レンズと、像側が凹面である負レンズL23b、正レンズL24b、物体側が凹面である負レンズL25b、正レンズL26bで構成され、前記第2bレンズ群の焦点距離をf2bとし、全系の焦点距離をfとして、前記第2レンズ群でフォーカシングするように構成し、
下記条件式(1):
(1) 1.5<f2b/f<3.0
を満足すると共に、
前記第2bレンズ群の前記正レンズL24bの屈折率をndとし、アッベ数をνdとし、g線、F線、C線に対する屈折率をng、nF、nCとし、部分分散比Pg,Fを、
Pg,F=(ng−nF)/(nF−nC)と表すものとして、
下記条件式(6)、(7)、(8):
(6) 1.45<nd<1.65
(7) 65.0<νd<95.0
(8) 0.009<Pg,F−(−0.001802×νd+0.6483)<0.050
を満足することを特徴とする結像レンズ。 - 物体側から順に、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群から構成される結像レンズにおいて、前記第2レンズ群は物体側から順に、正のパワーを有する第2aレンズ群と、絞りと、正のパワーを有する第2bレンズ群で構成され、前記第2bレンズ群は物体側から順に、物体側が凹面である負レンズL21bと像側が凸面である正レンズL22bの接合レンズと、像側が凹面である負レンズL23b、正レンズL24b、物体側が凹面である負レンズL25b、正レンズL26bで構成され、前記第2bレンズ群の焦点距離をf2bとし、全系の焦点距離をfとして、前記第2レンズ群でフォーカシングするように構成し、
下記条件式(1):
(1) 1.5<f2b/f<3.0
を満足すると共に、
前記第2aレンズ群は、物体側から順に、像側が凹面である負レンズ、正レンズと負レンズの接合レンズで構成し、前記第2aレンズ群の焦点距離をf2aとし、前記第2bレンズ群の焦点距離をf2bとして、
下記条件式(9):
(9) 0.5<f2a/f2b<1.5
を満足することを特徴とする結像レンズ。 - 前記第2レンズ群の負レンズL23bの像側面の曲率半径をR23b2とし、前記第2レンズ群の前記負レンズL25bの物体側面の曲率半径をR25b1として、
下記条件式(3):
(3) −0.2<(R23b2+R25b1)/(R23b2−R25b1)<0.2
を満足することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の結像レンズ。 - 前記第2レンズ群の負レンズL23bから前記負レンズL25bまでの合成焦点距離をfAとし、全系の焦点距離をfとして、
下記条件式(4):
(4) −0.2<f/fA<0.3
を満足することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の結像レンズ。 - 前記第2bレンズ群の前記負レンズL21bと前記正レンズL22bの接合レンズの軸上の厚さをDAとし、前記第2bレンズ群の軸上の厚さをD2bとして、
下記条件式(5):
(5) 0.25<DA/D2b<0.45
を満足することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の結像レンズ。 - 無限遠物体から近距離物体までフォーカシングする際に、前記第1レンズ群が固定で、前記第2レンズ群が物体側に移動するように構成したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の結像レンズ。
- 撮影用光学系として請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の結像レンズを有することを特徴とするカメラ。
- カメラ機能部の撮影用光学系として請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の結像レンズを有することを特徴とする検査装置。
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