JP6688335B2 - 筆記具 - Google Patents
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Description
前記軸筒の内部に収容され、毛細管力によってインクを誘導するインク供給芯と、
前記軸筒の先端に装着され、前記インク供給芯が貫通し、かつ、前記インク供給芯の先端が突出する芯周囲部材と、を有し、
前記インク供給芯は、筆圧によって、前記芯周囲部材の先端において後方に移動するとともに、
前記インク供給芯の先端部分において、前記インク供給芯と前記芯周囲部材との間の間隙が、全周にわたって拡張している拡張部が設けられたことを特徴とする。
本実施形態に係る筆記具1は、図1Aに示すように、より小径の先軸11及びより大径の後軸12が一体に形成された(図2参照)軸筒10と、先軸11の前方側に装着された芯周囲部材30とを備えている。後軸12の内部には、図1Cに示すように、インクが貯蔵される中綿15が収容される。先軸11の先端付近には、軸筒10の内部と外部との空気の流通を可能とする空気置換口11Eが設けられている。
また、芯周囲部材30には、インク供給芯20が貫通している。インク供給芯20の先端は芯周囲部材30の先端から突出している。インク供給芯20の後端は中綿15の前端に突き刺さるまで延伸している。
また、図1Aに示す先軸11には、キャップ50が装着され、不使用時には図1Bに示すような外観を呈する。
図1C及び図4A〜E(又は図5A〜E)に示すように、軸筒10は、前述したように、先軸11と後軸12とを有する。先軸11の前方の端部には前部開口13が開口し、後軸12の後方の端部には後部開口14が開口している。なお、後部開口14には尾栓60が圧入されている。
また、軸筒10の外形は、図4A(又は図5A)に示すように、横断方向の断面が、全体に丸みを帯びた四角形に形成されている。
また、前部把持部12Aと後部把持部12Bとは、その境界部12Cにおいて、前方に向けて縮径した段差を有しており、これによって前部把持部12Aの太さが後部把持部12Bの太さよりも細くなっている。
また、前部把持部12Aの外周の各面には、図4A及びBに示すように、把持部材40との係合に関与する外方突起12A2が形成されている。この外方突起12A2は、後述する把持部材40の内周面に形成される内方凹部41(図3C及びF参照)と嵌合する。
また、前部把持部12Aの前方の端部12Eは、横断方向の断面が凸円弧状となる面が形成され、その前方に一体に形成される先軸11はこの端部12Eよりも細くなっている。
また、後軸12の後端縁には、尾栓60の鍔部62が接触している(図1C参照)。
根本部11Aは、前部把持部12Aの前方の端部12Eから一定の太さで、前方に延設された部分である。なお、図4A及びBに示すように、根本部11Aの中間部分には、軸方向と交差する方向に沿った突起が各側面に形成されている。これらの突起を係止突起11A1と称する。本実施形態においては、この係止突起11A1は合計4個(図4A及びB)又は合計2個(図5A又はB)設けられていることで、係止突起11A1の高さの加工バラつきによる嵌合力のバラつきを抑えることが可能になるため、手の力の弱いユーザでも容易にキャップ50を取り付けたり取り外したりすることができる。また、係止突起11A1は、先軸11側に形成するだけではなくキャップ50側に形成してもよい。
係止突起11A1は、先端側と後端側とでそれぞれ傾斜しており、その角度は先端側の方が大きい。こうすることで、キャップ50の引抜力を小さくしつつ、キャップ50の取り付けを確実に行うことが可能になり、良好な着脱感を得ることができる。
縮径部11Bは、根本部11Aの前端から先細りとなって前方に延設された部分である。
先端部11Cは、縮径部11Bの前端から一定の太さで前方に延設された部分である。
係止面11Dは、先端部11Cの先端縁であり、芯周囲部材30の係合部33の係合片33Aと接触している。
把持部材40は、図3A〜Fに示すように、全体が断面略正方形の筒状に形成され、前方に開口する前方開口42と、後方に開口する後方開口43と、を有する。
内方凹部41は、把持部材40の後端近傍の内側の各面において、内側に向けた陥凹部として形成される。これらの内方凹部41には、後軸12の前部把持部12Aの外周に設けられた外方突起12A2が嵌合することで、把持部材40は後軸12に装着される。
前方開口42の端部には、縁部42Aが形成されている。縁部42Aの内面は、前部把持部12Aの端部12Eの断面の凸円弧状に対応するように断面凹円弧状に形成される。前方開口42は、先軸11の根本部11Aが嵌入し得る大きさで形成されている。
後方開口43の端部には端面43Aが形成され、後軸12の後部把持部12Bの境界部12Cの段差面に接触している。
また、把持部材40は、軸筒10とは異なる色彩が付与されていてもよく、その色彩は、たとえば、中綿15に貯留されるインクの色と同系色としてもよい。
なお、軸筒10と把持部材40とは、たとえば二色成形により形成することができる。
キャップ50は、図2に示すように、キャップ外筒51とキャップ内筒52とを有する。
キャップ内筒52は、図2に示すように、先端が閉鎖し、後端が開放した筒形状に形成されている。キャップ内筒52は、キャップ外筒51の内部の前半部分に収容され、開放した後端部分は、キャップ外筒51のほぼ中間部分の内周面に対して、不連続的に等配される連結部52Aにて連結している。これら連結部52Aの間は、図示しない複数の貫通孔となっている。本実施形態においては、連結部52Aは8箇所形成されている。
係止突起55は、キャップ外筒51の内面の後端付近に軸方向と交差して形成される複数の突起であり、先軸11に設けられる前記係止突起11A1を前方から後方に向けて弾性変形により乗り越えることで互いに係止される。これによって、キャップ50が軸筒10に装着される。
本実施形態においては、複数の係止突起55は、キャップ外筒51の各側面に対応して、計4個設けられている。
尾栓60は、図6A及びBに示すように、全体が筒形状に形成され、挿入部61と、鍔部62と、頭部63と、を有する。挿入部61の先端が、尾部64となっている。
挿入部61は、軸筒10における後軸12の後部開口14から後軸12の内部に挿入され、後部開口14を塞ぐ(図1C参照)。
鍔部62は、後部開口14の端面に密着して後軸12の内部を密閉し、後軸12の内部を外気から遮断する。
頭部63は、鍔部62から後方に延びるように形成されており、ここに筆記時にキャップ50を装着しておくことができる。
図1Cに示す中綿15は、インクを貯留する円筒形状のポリエステル繊維素材で構成され、軸筒10の後軸12の内部に収容されている。
また、中綿15の前方の端部は、図2に示すように、後軸12における前部把持部12Aの内部において、前部把持部12Aの内周面に軸方向に形成されている複数本のリブ12A1(図4C及びE(又は図5C及びE)参照)に接触している。
一方、中綿15の後方の端部は、後軸12に嵌まり込む尾栓60の尾部64の直前に位置している。
これにより、中綿15は、図2に示すように、前部把持部12Aのリブ12A1(図14E(又は図15E)参照)と、尾栓60の尾部64との間に位置している。なお、後部把持部12Bの内側面において、複数個の固定突起12B1(図4E(又は図5E)参照)が環状に配列されており、これらによって中綿15は後軸12の内部で固定されている。
ここで、本実施形態における要部であるインク供給芯20及び芯周囲部材30について詳述する。
インク供給芯20は、図2に示すように、外周部21と、流路22と、先端部23と、後端部24と、胴部25と、を有する。
インク供給芯20は、ポリアセタール樹脂の押出成形で形成され、その形状は、前方の側から後方の側に向けて、全体がほぼ円筒形をなし、先端部23は、前方に縮径する円錐形状をなし、後端部24は、後方に向けて縮径する円錐形状をなし、これら先端部23と後端部24とに挟まれる胴部25は、先端部23及び後端部24の縮径が始まる部位の外径と同じ外径の円筒形状をなしている。ここで、インク供給芯20は、繊維束芯や焼結芯などで構成されたものでもよい。
外周部21は、インク供給芯20の外側面をなしている。外周部21の先端部23の先端、及び後端部24の先端は、後述する流路22が露出するように形成されている。
(流路)
流路22は、外周部21の内部の軸心に沿って形成され、前述のとおり、外周部21の先端部23及び後端部24においてそれぞれ露出している。
ここで、インク供給芯20の押出成形の際、中心部に細かい隙間を有するダイスを用いることで、断面の中心部分に細かい隙間としての流路22が形成されることとなる。この隙間としての流路22が毛細管力を発揮して、インクを保持する。この場合、インク供給芯20においては、外周部21と流路22とが一体に成形されていることになる。
流路22は、図7Aの断面図において、軸心に沿った部分、すなわち径W2を占める部分として形成され、その周囲を占める部分が外周部21である。
流路22は、たとえば、図7Bに示すインク供給芯20の断面図のような、軸心部分における内周縁が不整形な空洞を有する領域として形成され、その空洞に仮想的に外接する円の直径として、流路の外径W2が定められる。流路22はまた、たとえば図7Cの断面図に示す別の例のように、図7Bに示す流路22よりも細かい分岐を有する空洞を有する領域として形成することとしてもよい。この別の例では、流路の外径W2は図7Bに示す例よりも大きく、流路22がインク供給芯20の断面に占める割合がより高い。
なお、毛細管構造を有する繊維束芯又は焼結芯で流路22を形成する場合、外周部21を流路22の外側面をコーティングする構造として形成することで、インク供給芯20において、この外周部21を、流路22の外側の肉厚部分とすることが可能となり、流路22の外側面を露出させずに芯周囲部材30へ固定することできる。
インク供給芯20においては、中綿15に差し込まれている後端部24から、中綿15に貯留されているインクが毛細管力によって先端部23にまで誘導される。
芯周囲部材30は、図8A及びBに示すように、前方の側から後方の側に向かって、先端部30Aと、中央部30Bと、後端部30Cと、を有する。
先端部30Aは、縮径部31と、円筒部32と、係合部33と、を有する。中央部30Bは、弾性部34から構成される。後端部30Cは、筒部35から構成される。
また、これら各部を先端から後端にわたって貫通する貫通部37を有する。この貫通部37には、図2に示すようにインク供給芯20が貫通する。
本実施形態においては、縮径部31、円筒部32、係合部33、弾性部34、筒部35は一体に形成され、縮径部31以外の基本形状は、円筒形である。
芯周囲部材30は、筆記時の低摩擦性、耐摩耗性、及び、弾性部34の耐クリープ性の観点から、ポリアセタール樹脂で形成されるのが好ましい。
縮径部31は、図8Bに示すように、芯周囲部材30の前方の側に位置し、前方に向けて縮径するテーパー形状に形成されている。
縮径部31の先端には、円形の先端開口31Aが形成され、その周囲には開口周縁部31Bが形成されている。一方、縮径部31における貫通部37は第1貫通部37Aとなっている。
また、縮径部31における第1貫通部37Aは、図8Bに示すように、先端開口31Aから後方に向かって、その内径が拡大している。この形状は、インク供給芯20の先端部23の外周面の円錐形状に対応している。
円筒部32は、図8A及びBに示すように、縮径部31の後方の側に連続して、縮径部31の後端の外径と同じ外径を有して後方の側に延びる円筒形に形成されている。
円筒部32における貫通部37は、縮径部31に引き続き第1貫通部37Aとなっている。
この円筒部32における第1貫通部37Aは、縮径部31における第1貫通部37Aの後端の内径と同じ内径を有する断面円形の孔として形成されており、インク供給芯20が軸方向に移動可能となるように、インク供給芯20の外径よりも大きい内径が与えられている。
係合部33は、図8A及びBに示すように、円筒部32の外径よりも大きい外径を有する円盤状の係合片33Aを介して、円筒部32の後端から連続して設けられている。係合部33の外径は、円筒部32の外径よりも大きく、かつ係合片33Aの外径よりも小さい。係合部33は、側面の一部に軸方向に切欠きを有してほぼ円筒形に形成されている。
この係合部33の内部においても、図8Bに示すように、円筒部32を貫通している第1貫通部37Aが、その内径を同じくして、引き続き後方へ延びる円形の孔として形成されている。
弾性部34は、図8A及びBに示すように、本実施形態においては、係合部33の後方の側に連続して、係合部33の後端の外径とほぼ同じ外径を有する二重の螺旋ばねとして形成されている。この螺旋ばねの断面は、図8Bに示すように四角形を呈している。
螺旋ばね34の内部には、図8Bに示すように、第1貫通部37Aの後端から連続する第2貫通部37Bが形成されている。第2貫通部37Bは、第1貫通部37Aの内径とほぼ同じ内径を有し、後方へ延びる円形の孔として形成されている。
なお、螺旋ばねは、弾性部34の形状の一例である。
筒部35は、図8A及びBに示すように、弾性部34の後端から連続して、弾性部34の外径とほぼ同じ外径を有して、後方に延びる円筒形を呈している。
この筒部35においても、その内部には、弾性部34における第2貫通部37Bに連続して、ほぼ同じ内径を有する第3貫通部37Cが、後方へ延びる円形の孔として形成されている。その筒部35の後端には、後部開口35Aが開口している。
ここで、インク供給芯20と芯周囲部材30との固定について説明する。
前述のとおり、インク供給芯20は、芯周囲部材30の貫通部37(第1貫通部37A、第2貫通部37B、第3貫通部37C)を貫通している。
すなわち、インク供給芯20と芯周囲部材30とは、芯周囲部材30の後端部30Cでのみ固定されており、先端部30A及び中央部30Bにおいては固定されていない。
これにより、先端部30Aの第1貫通部37A、及び中央部30Bの第2貫通部37Bの内部において、インク供給芯20は固定されておらず、移動可能となっている。
なお、筆記の際に大きな荷重がインク供給芯20にかかった際には、インク供給芯20が後退してクッション作用が働くため、インク供給芯20の折れを防止することが可能となる。
上記のような構成に基づいて、筆記具1において、インク供給芯20が筆圧によって芯周囲部材30の後方に移動可能となることについて、以下に説明する。
そして、筆記具1が、筆圧によって描線の幅を自在に変化させるようにできるのは、次に示す作用による。
ここで、インク供給芯20は、先述のとおり、芯周囲部材30における筒部35(後端部30C)の突起(図示せず)によって、芯周囲部材30の筒部35の第3貫通部37C内に固定されている。
そうすると、芯周囲部材30の筒部35に固定されているインク供給芯20は、弾性部34の付勢力に抗して、筒部35を後方に押し、それにより弾性部34が伸長する。
この弾性部34を構成する螺旋ばねについては、太字を描こうとする場合にインク供給芯20に付与される筆圧(細字を描こうとする場合にインク供給芯に付与される筆圧よりも大きい)に対応して初めて伸長可能なばね定数が設定されている。
そして、インクは、インク供給芯20の先端部23と、先端開口31Aの周囲を囲む開口周縁部31Bとの間に僅かにできた隙間との間にも供給される。同時に、インク供給芯20の先端部23と、芯周囲部材30の開口周縁部31Bとが、図示しない用紙等に同時に接触することで、より太い描線を描くことができるようになる。
また、過剰に筆圧がかかってもインク供給芯20が可動であり、芯周囲部材30に負荷がかかるため、インク供給芯20の座屈や潰れによる筆記不良を防ぐことが可能である。
ここで、前記図7Aに示したインク供給芯20及び芯周囲部材30の先端を有する筆記具1において先端開口の内径(W1)を0.95mm、流路の外径(W2)を0.55mmに設定したものについて、No.1〜3の3本のサンプルを調製し、筆記速度4.5m/min、筆記荷重0.98N(100g重)、筆記角度60°及び90°において、上質紙面上に螺旋状に筆記を行い、そこで筆記された描線幅を測定した。その結果は下記表1の通りである。
なお、本発明の特定の実施形態について上記にて詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
10 軸筒
11 先軸 11A 根本部
11A1 係止突起 11B 縮径部
11C 先端部 11D 係止面
11E 空気置換口
12 後軸 12A 前部把持部
12A1 リブ 12A2 外方突起
12B 後部把持部 12B1 固定突起
12C 境界部 12E 端部
13 前部開口 14 後部開口
15 中綿
20 インク供給芯 21 外周部
22 流路 23 先端部
24 後端部 25 胴部
26 段部 27 環状溝
30 芯周囲部材 30A 先端部
30B 中央部 30C 後端部
31 縮径部 31A 先端開口
31B 開口周縁部
32 円筒部
33 係合部 33A 係合片
34 弾性部
35 筒部 35A 後部開口
37 貫通部 37A 第1貫通部
37A1 停止面 37B 第2貫通部
37C 第3貫通部
40 把持部材 41 内方凹部
42 前方開口 42A 縁部
43 後方開口 43A 端面
50 キャップ 51 キャップ外筒
52 キャップ内筒 52A 連結部
53 周回溝 55 係止突起
60 尾栓 61 挿入部
62 鍔部 63 頭部
64 尾部
70 拡張部
H1 突出寸法
W1 先端開口の内径 W2 流路の外径
Claims (1)
- 軸筒と、
前記軸筒の内部に収容され、毛細管力によってインクを誘導するインク供給芯と、
前記軸筒の先端に装着され、前記インク供給芯が貫通し、かつ、前記インク供給芯の先端が突出する芯周囲部材と、
を有し、
前記インク供給芯は、筆圧によって、前記芯周囲部材の先端において後方に移動するとともに、
前記インク供給芯の先端部分において、前記インク供給芯と前記芯周囲部材との間の間隙が、全周にわたって拡張している拡張部が設けられ、
前記インク供給芯の先端部分において、全周にわたる環状溝を設けることで、前記拡張部が設けられたことを特徴とする筆記具。
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