JP3836942B2 - ペン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホワイトボード等への筆記具や、液状塗布材等の塗布具として利用可能なペンに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種従来のペンとして、実開昭59−104784号公報に記載のものがある。かかるマーキングペンでは、インクを内部に貯留するペン本体と、該ペン本体の先端部に設けられたペン芯保持部と、該ペン芯保持部に軸方向摺動可能に保持されたペン芯(チップ)と、該ペン芯を押し込むことにより前記ペン本体内部とペン芯保持部との連通口を開閉する弁機構とを備えている。かかる弁機構式のマーキングペンは、比較的構造を簡素なものとしつつインク漏れを防止でき、コスト低減を図ることができるものである。
また、上記従来のマーキングペンにおいては、ペン芯の適所に段を介して小巾部を設けるとともに、ペン芯保持部の内周にペン芯の小巾部より僅かに大きい巾でペン芯の段が係止する大きさの突部を突設し、ペン芯をペン芯保持部に遊挿して小巾部を突部の位置と一致させることによって、弁機構を開閉するためのペン芯の軸方向移動を許容しつつペン芯保持部からのペン芯の抜けを阻止している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のマーキングペンでは、ペン芯の基端部は、ペン芯保持部に設けた突部の径よりも大径の円柱状に構成されているため、かかるペン芯を、ペン芯保持部の先端側から挿入することは困難であった。
また、上記従来技術では、ペン芯の先端部が潰れた場合の着脱交換が考慮されていない。
そこで、本発明は、ペン芯を押し込み操作して弁を開閉することによりペン本体内のインク等の液体をペン芯へと導出するペンにおいて、弁開閉のためのペン芯の軸方向移動を阻害することなくペン芯保持部からのペン芯の不慮の抜けを阻止しつつ、ペン芯の着脱交換等の必要時には容易にペン芯をペン芯保持部から抜き取ることができるとともに、ペン芯保持部の先端側からペン芯を容易に挿入可能とし、かつ、ペン芯の一端側のペン先が潰れてもペン芯を交換することなくペン先を補修し得るようにすることを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
即ち、本発明のペンは、インク等の液体を内部に貯留するペン本体と、該ペン本体の先端部に設けられたペン芯保持部と、該ペン芯保持部に軸方向摺動可能に保持されたペン芯と、該ペン芯を押し込むことにより前記ペン本体内部とペン芯保持部との連通口を開閉する弁機構とを備えたものとし、前記ペン芯の軸方向中途部と前記ペン芯保持部に、前記弁機構を開閉するためのペン芯の軸方向摺動を許容しつつペン芯のペン芯保持部からの抜けを防止するべく互いに係合する段部をそれぞれ形成し、これら段部の係合量を、所要の力でペン芯を軸方向に移動させることによりペン芯の弾性変形によって係合解除可能な量とし、いずれの端部からも前記ペン芯をペン芯保持部に挿脱可能としていずれの端部をもペン先として使用し得るようペン芯の両端部を共に先細り形状に形成した。
【0005】
かかる構成によれば、ペン芯の両端部がともに先細り形状であるので、いずれの端部をペン芯保持部の先端側から挿入していっても、ペン芯と保持部とに互いに係合する段部を形成しているにもかかわらず、そのテーパー形状によってスムースに装着作業を行うことができ、装着後は保持部から突出したペン芯の先端部をペン先として利用できるので、ペン芯の一方側の端部が潰れても他方側の端部をペン先として使用できる。
また、ペン芯の装着状態にあっては、ペン芯は弁機構を開閉するためのペン芯の軸方向摺動は許容されているので、インクの導出操作を阻害することがないにもかかわらず、例えばペンを振った際などにペン芯が不慮に保持部から抜け出すことが段部の係合によって防止し得る。さらに、ペン芯の着脱交換時には、ペン芯をつかんで所要の力で軸方向に引き出すことによって、段部の係合を解除して保持部から抜き出される。
【0006】
また、従来より、弁機構としては、少なくとも、ペン芯の基端部に先端において当接しかつ軸方向に往復動可能な弁軸を備えたものが一般的であるが、かかる弁軸を備えたものにおいては、弁軸に少なくとも先端側が開口する内孔を形成し、該内孔の先端開口縁部にペン芯の基端部を当接させるのが好ましい。かかる構成によれば、弁軸を形成するための材料の節減が図られ、ひいてはコスト低減を図りつつ、先細り状のペン芯基端部が内孔の先端開口縁部に当接されているので、先細り状のペン芯基端部が弁軸先端部に対して軸心がずれることを防止でき、ユーザによるペン芯の着脱交換後においても安定動作を保証し得る。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1及び図2に示す本発明の第1実施例に係るペン1は、筆記具や塗布具として利用可能なものであって、インクや各種塗布材等の液体を内部に貯留する合成樹脂製のペン本体2と、該ペン本体2の先端部に設けられた合成樹脂性のペン芯保持部3と、該ペン芯保持部3に軸方向摺動可能に保持されかつ液体を含浸可能なペン芯4と、該ペン芯4を保持部3の奥側に向けて軸方向に押し込むことにより前記ペン本体2内部とペン芯保持部3との連通口5を開閉する弁機構6とを備えている。
前記ペン本体2は、略円筒状に形成されており、その先端側には段部7を介して若干小径の接続筒部8が一体に設けられ、該接続筒部8の内周にはねじ溝9が形成されている。なお、ペン本体2の基端部は尾栓10によって閉塞されている。
【0008】
前記ペン芯保持部3は、ペン本体2の接続筒部8に内嵌螺合される接続筒部11と、該接続筒部11の先端側にテーパー状段部12を介して一体成形された保持筒部13とから、略円筒状に形成されている。また、保持筒部13の内周には、縦方向(軸方向)に伸びるリブ14が周方向複数箇所に設けられており、該保持筒部13にペン芯4が挿通保持された状態において、ペン内部を外気に連通させる空気流通路を、保持筒部13内面とペン芯4外面との間に形成するようにして、液体をペン芯へと円滑に導出させるように構成している。
前記ペン芯4は、保持筒部13よりも軸方向に長い柱状であって、その両端部は共に先端側にしたがって徐々に縮径されて先細り形状に形成されている。また、軸方向に対称構造となされており、いずれの端部をもペン先として利用可能となされている。
【0009】
このペン芯4の軸方向中途部とペン芯保持部3には、弁機構6を開閉するためのペン芯4の軸方向摺動を許容しつつペン芯4のペン芯保持部3からの抜けを防止するべく互いに係合する段部15,16がそれぞれ形成されている。
第1実施例においては、ペン芯側段部16は軸方向所定範囲にわたって形成された周方向の溝によって構成され、保持部側段部15は、ペン芯側段部16に遊嵌される突起によって構成されている。この突起は、保持筒部13の基端部付近に設けられ、ペン芯4の先端側が保持部3の先端開口から所定量突出した状態でペン芯側段部16に係合して、それ以上ペン芯4が突出することを防止するようになっている。なお、突起は、リング状に構成しても良いし、周方向複数箇所に突設された小片状に構成しても良い。
【0010】
保持部側段部15とペン芯側段部16との係合量は、所要の力でペン芯4を軸方向に移動させることによりペン芯4の弾性変形によって係合解除可能な量となされている。好ましくは、ペン1が床に落ちたときの衝撃力や、ペン1を振り回したときの慣性力によっては係合解除されないが、ペン芯4を手やペンチ等によりつかんで軸方向に引き出すことにより、係合解除され得る量とする。具体的には、0.02mm〜0.2mm程度係合させるのが好ましい。
なお、ペン芯4の基端部外周面と保持部3の接続筒部11内周面との間には、円筒状のスポンジ17が嵌め込まれている。該スポンジ17は、過剰量の液体の漏出防止と、ペン芯4の軸方向摺動の案内とを行っている。
【0011】
前記弁機構6は、ペン芯4の基端部に先端において当接しかつ軸方向に往復動可能な弁軸20と、該弁軸20をペン芯4側(先端側)に向けて付勢する付勢手段21とを備えている。これら弁軸20及び付勢手段21は、ペン本体2内に嵌着されたハウジング22内に収容されている。
このハウジング22は、基端側の第1スリーブ23と先端側の第2スリーブ24とからなる。第1スリーブ23の先端には、ペン本体2の内周に突設された内向き鍔25に係合する外向き鍔26が形成されている。
第2スリーブ24は、第1スリーブ24の先端側から内嵌されており、軸方向中途部には外向き鍔27が突設され、該鍔27は第1スリーブ23の外向き鍔26に当接されている。この第2スリーブ24の基端部よりも基端側において、第1スリーブ23には、縦方向(軸方向)に延びるスリット28が周方向複数箇所に形成されており、ペン本体2内の液体を第1スリーブ23内に流入させるようにしている。
【0012】
図示実施例においては、ペン本体2内部とペン芯保持部3との連通口5は、第2スリーブ24の基端側開口によって構成されており、該連通口5を弁軸20によって開閉することで、第1スリーブ23内に流入された液体を第2スリーブ24内の液体流通路30を介して芯ホルダ3内へと導出せしめ、ペン芯4に液体を供給する。
上記連通口5を開閉するための弁軸20の構造はどのようなものでも良いが、図示実施例について説明すると、弁軸20には、その軸中途部に、基端側の大径部分が第1スリーブ23の内径よりも小さくかつ第2スリーブ24の外径よりも大きい略円錐状部32が形成されており、該円錐状部32が、第2スリーブ24の基端側開口5に嵌着することによって、該開口30を閉塞可能としている。
【0013】
前記付勢手段21は、円錐状部28の背面と、第1スリーブ28の端壁28aとの間に介装されたコイルスプリングからなる。また、第1スリーブ28の端壁28aには弁軸20が遊嵌される挿通孔31が形成されている。
前記弁軸20には、先端側が開口する内孔32が形成されており、該内孔32の先端開口縁部にペン芯4の基端部が当接されている。かかる構成によれば、ペン芯4及び弁軸20の軸方向往復動作時において、ペン芯4と弁軸20との軸方向のずれを防止することができ、弁軸20が連通口5の軸心に対してずれることも防止され、円錐状部32による連通口5の閉塞を良好なものに維持でき、液体の漏出をも防止される。
【0014】
上記第1実施例によれば、自然状態においては、図2に示すように、弁軸20は付勢手段21によって付勢されてその円錐状部32により連通口5が閉塞され、第2スリーブ24内に貯められた液体を随時ペン芯4に含浸させつつ、ペン芯4により筆記又は塗布を行うことができる。なお、このとき、ペン芯4の段部16がホルダ側段部15に係合し、かつ、弁軸20の円錐状部32により連通口5を閉塞した状態で、ペン芯4の基端部と弁軸20の先端部とがちょうど当接するよう寸法設計しておく。
【0015】
さらにインク等の液体をペン芯4に導出するには、図3に示すように、ペン芯4を押し込み操作して、付勢手段21の付勢力に抗して弁軸20を軸方向に突き上げると、円錐状部32が第2スリーブ24の基端部から離れて連通口5が開き、ペン本体2内の液体が第2スリーブ24内に流入され、液体流通路30を通ってペン芯4へと供給される。このとき、ペン芯4の段部16は軸方向所定範囲にわたる溝状に構成されているので、ホルダ側段部16にペン芯4が係合することなくペン芯4を押し込むことができ、円滑な操作を行うことができる。
【0016】
図4は本発明の第2実施例を示しており、上記第1実施例と同様の構成については同符号を付して説明を省略するとともに、異なる構成、作用効果について説明する。
この第2実施例では、ホルダ側段部15は、保持筒部13の内面に設けられたリブ14の基端部を径方向内方に向けて(ペン芯4側に向けて)膨出形成してなる突起により構成されている。かかる構成によれば、ペン芯4に形成した軸方向所定範囲にわたる周方向の溝状のペン芯側段部16に係合する突起状のホルダ側段部15を、比較的容易に射出成形法によりペン芯保持部3に一体成形することができ、生産性の向上を図り得る。
【0017】
図5は本発明の第3実施例を示しており、上記第1実施例と同様の構成については同符号を付して詳細説明を省略するとともに、異なる構成、作用効果について説明する。
本第3実施例では、ペン芯側段部16は、軸方向中途部を軸方向所定範囲にわたって径方向に膨出させた大径凸部により構成されており、一方、ホルダ側段部15は、リブ14の先端部を径方向内方に向けて(ペン芯4側に向けて)膨出形成してなる突起により構成されており、該突起15がペン芯側段部16の軸方向先端部に係合することにより、ペン芯4の抜けを防止している。
本発明の実施の形態は、は上記実施例に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、弁機構の開閉のためのペン芯の軸方向摺動を阻害することなくペン芯保持部からのペン芯の不慮の抜けを段部同士の係合によって阻止しつつ、ペン芯の着脱交換等の必要時にはペン芯をつかんで引き出すことによって容易にペン芯をペン芯保持部から抜き取ることができるとともに、ペン芯の両端部が共に先細り状に形成されているので、上記段部が存在するにもかかわらずペン芯のいずれの端部をもペン芯保持部の先端側から容易に挿入することができてペン芯の両先端をペン先として使用できる。
また、本発明によれば、先細り状のペン芯の基端部が、弁軸の内孔の先端開口縁部に当接されているので、ペン芯と弁軸との軸方向のずれを防止でき、弁開閉動作の安定性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係るペンの全体縦断面図である。
【図2】同ペンの主要部の縦断面図である。
【図3】ペン芯を押し込んだ状態のペンの主要部の縦断面図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るペンの主要部の縦断面図である。
【図5】本発明の第3実施例に係るペンの主要部の縦断面図である。
【符号の説明】
1 ペン
2 ペン本体
3 ペン芯保持部
4 ペン芯
5 連通口
6 弁機構
15 段部
16 段部
20 弁軸
32 内孔
Claims (2)
- 液体を内部に貯留するペン本体(2)と、該ペン本体(2)の先端部に設けられたペン芯保持部(3)と、該ペン芯保持部(3)に軸方向摺動可能に保持されたペン芯(4)と、該ペン芯(4)を押し込むことにより前記ペン本体(2)内部とペン芯保持部(3)との連通口(5)を開閉する弁機構(6)とを備えており、前記ペン芯(4)の軸方向中途部と前記ペン芯保持部(3)には、前記弁機構(6)を開閉するためのペン芯(4)の軸方向摺動を許容しつつペン芯(4)のペン芯保持部(3)からの抜けを防止するべく互いに係合する段部(15,16)がそれぞれ形成され、これら段部(15,16)の係合量は、所要の力でペン芯(4)を軸方向に移動させることによりペン芯(4)の弾性変形によって係合解除可能な量となされており、いずれの端部からも前記ペン芯(4)をペン芯保持部(3)にペン芯保持部(3)の先端側から挿脱可能としていずれの端部をもペン先として使用し得るようペン芯(4)の両端部は共に先細り形状に形成され、これによりいずれの端部をペン芯保持部(3)の先端側から挿入しても、ペン芯(4)と保持部(3)とに互いに係合する段部(15,16)を形成しているにもかかわらず、そのテーパー形状によって装着作業が可能であることを特徴とするペン。
- 弁機構(6)が、少なくとも、ペン芯(4)の基端部に先端において当接しかつ軸方向に往復動可能な弁軸(20)を備えた請求項1に記載のペンにおいて、
前記弁軸(20)には、少なくとも先端側が開口する内孔(32)が形成されており、該内孔(32)の先端開口縁部にペン芯(4)の基端部が当接されていることを特徴とするペン。
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