JP6686482B2 - 転がり軸受用保持器、及び転がり軸受、並びに転がり軸受用保持器の製造方法 - Google Patents

転がり軸受用保持器、及び転がり軸受、並びに転がり軸受用保持器の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、転がり軸受用保持器、及び転がり軸受、並びに転がり軸受用保持器の製造方法に関する。
現在、工作機械の主軸用軸受には、アンギュラ玉軸受等が広く使用されている。工作機械用のアンギュラ玉軸受には、特に使用条件が厳しい場合にはフェノール樹脂保持器が用いられる。フェノール樹脂保持器は、耐摺動摩耗性が高く、軸受に用いた場合に優れた耐久性を発揮する。しかし、低強度で吸水膨張量が大きいため、寸法安定性が低く、設計が制限される不利がある。一般に、フェノール樹脂製の保持器は、寸法公差や案内すきまを小さくできず、保持器音の発生や非同期振れNRRO(Non-Repeatable Run-Out)の悪化を招くことある。また、フェノール樹脂は熱硬化性樹脂であるため、複数のポケットを有する複雑な形状にすることは難しい。そのため、成形後に切削加工が必要で、生産性が低く、大量生産には向かないといった問題がある。
一方、射出成形により作製される合成樹脂製の保持器は、高い生産性を有する。しかし、軸受の使用条件が厳しい場合には、摺動部の潤滑性が低下し、摩耗によって寿命が低下することがある。
上記保持器の耐久性を改善する手段として、特許文献1のように保持器表面に微細凹凸形状を形成し、この表面形状をコントロールする技術がある。この技術によれば、微細凹凸形状の調整によって摺動部の潤滑性や耐久性を高めることができる。
特開2014−95469号公報 特開2002−144380号公報
代表的な保持器の射出成形方式として、可動金型をラジアル方向にスライドするラジアルドロー方式と、可動金型を軸方向にスライドするアキシアルドロー方式がある。しかし、一般的な保持器及び保持器成形用の金型の形状では、金型部材の型合わせ部に対応する成形品表面にバリが形成される。ラジアルドロー形式では、保持器の外径側面にバリが生じ、アキシアルドロー形式では面取り部との接続部にバリが生じる。保持器の被案内部内(外輪案内の保持器の場合、保持器外径面が被案内部に相当する)にバリが生じると、摺動相手の部材をバリで傷付けることがある。また、保持器側も生じたバリを基点として、摩耗の進行が助長されることもある。発生したバリは、バレル加工等によって除去可能であるが、除去した場合、保持器に転写形成した微細凹凸形状も一緒に除去されてしまい、上記の潤滑性・耐久性向上の効果が得られなくなる。
特許文献2には、パーティングラインを保持器外径面の凹部に設けることで、バリの除去加工を不要にする技術が記載されている。しかし、特定の表面形状を転写する保持器については何ら考慮されておらず、例えば工作機械の主軸支持用の転がり軸受等、厳しい環境下で使用される転がり軸受には適用ができない。そのため、保持器の耐摩耗性が不足し、軸受の寿命低下を招く。この問題は、高い摺動性を有する樹脂材料に変更しても、必ずしも改善されるものではない。
更に、特許文献1,2のいずれにおいても、被案内部の縁部における面取り部の存在について考慮していない。通常、保持器は軸受内にすきまを有して支持されるため、保持器自体が傾斜して、面取り部が外輪等の他の部材と摺動することがある。そのため、面取り部にバリが生じていると、上述したように保持器の摩耗が進行し、発生する摩耗粉によって軸受の寿命を低下させる虞がある。
そこで本発明は、表面に特定の表面形状を形成した保持器を、生産性を損なうことなく耐久性を更に高めた転がり軸受用保持器、及び転がり軸受、並びに転がり軸受用保持器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は下記構成からなる。
(1) 転がり軸受の内輪と外輪との間に配置された合成樹脂製の転がり軸受用保持器であって、
外径面から径方向外側に突出する複数の被案内部が前記外径面の周方向に沿って設けられ、
前記被案内部は、前記外輪に摺接可能に突出して形成された案内面と、該案内面の縁部に形成された面取り部と、前記案内面の一部に軸方向に沿って形成された溝部と、を備え、
前記面取り部は、前記案内面の軸方向及び周方向の縁部である、周囲エッジの全周にわたって設けられ、
前記案内面及び前記面取り部は、算術平均粗さRaが1.0〜9.8μm、最大高さRtが10.1〜102.9μmの表面性状を有し、
パーティングラインが、前記案内面より径方向内側に設けられることを特徴とする転がり軸受用保持器。
(2) 前記パーティングラインは、前記溝部と保持器端面のいずれかに設けられることを特徴とする(1)に記載の転がり軸受用保持器。
(3) 前記面取り部は、前記案内面の前記縁部に、接線方向に接続される曲面を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の転がり軸受用保持器。
(4) 前記面取り部は、前記案内面の前記縁部に接続され、前記案内面との成す角が20°以下の傾斜面を有することを特徴とする(1)又は(2)に記載の転がり軸受用保持器。
(5) 前記外輪の外輪内周面と外輪軌道面との境界である軌道面エッジと対面する領域に、径方向内側に窪む逃し溝が形成されたことを特徴とする(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の転がり軸受用保持器。
(6) 保持器表層に、保持器表面からの厚みが0.1〜30μmである、強化繊維を含まない非晶質層が形成されていることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の転がり軸受用保持器。
(7) (1)乃至(6)のいずれか一つに記載の転がり軸受用保持器を備える転がり軸受。
(8) (1)乃至(6)のいずれか一項に記載の転がり軸受用保持器を、成形用金型を用いて成形する転がり軸受用保持器の製造方法であって、
前記案内面と前記面取り部の少なくとも一方に、前記成形用金型の金型表面に施された加工面の形状を転写することを特徴とする転がり軸受用保持器の製造方法。
本発明によれば、被案内面より径方向内側の溝部と保持器端面との少なくとも一方に、成形用金型によるパーティングラインを形成することで、パーティングラインの凸部(バリ)が、保持器や他の部材に摩耗を生じさせることがない。その結果、凸部の擦れによる保持器の摩耗進行が抑制され、寿命低下や振動等の異常発生を防止できる。また、保持器の面取り部が、高い動滑性が得られる特定の表面性状を有するため、転がり軸受内で保持器が傾いて外輪に接触しても面取り部や外輪の摩耗を抑制できる。よって、高速回転時でも円滑な案内が行える。更に、この保持器を転がり軸受に用いることにより、転がり軸受の耐久性を向上できる。
本発明の実施形態を説明するための図で、転がり軸受の一部断面図である。 保持器の外観斜視図である。 図2に示す保持器の一部拡大斜視図である。 図3に示す保持器のP1−P1線の拡大断面図である。 (A)〜(C)は、面取り部の形状を模式的に示す説明図である。 (A),(B)は成形用金型の一例を模式的に示す説明図である。 成形用金型の他の構成例を模式的に示す説明図である。 保持器の一部拡大斜視図である。 他の構成の保持器を備えたアンギュラ玉軸受の一部断面図である。 図9に示す保持器の外観斜視図である。 他の構成の保持器の外観斜視図である。 他の構成の保持器の外観斜視図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の実施形態を説明するための図で、転がり軸受の一部断面図である。ここでは、転がり軸受として工作機械の主軸等、高速回転する装置に用いられるアンギュラ玉軸受を用いて説明する。アンギュラ玉軸受100は、内周面に外輪軌道面11を有する外輪13と、外周面に内輪軌道面15を有する内輪17と、複数の玉(転動体)19と、複数のポケット21を有する保持器(転がり軸受用保持器)23と、を備える。
複数の玉19は、外輪軌道面11及び内輪軌道面15との間に接触角αを有して転動自在に配置される。保持器23は、複数の転動体19をポケット21内で転動自在に保持する。
保持器23は、保持器外径面の軸方向両端に、径方向外側へ突出する複数の被案内部25A,25Bが形成される。各被案内部25A,25Bは、それぞれ周方向に沿って等間隔で、しかも双方が同じ周位置に配置される。
本構成のアンギュラ玉軸受100は、軸方向の一端側(図1における左側)の被案内部25Aの案内面27が、外輪13の外輪軌道面11に対して反カウンターボア側の外輪内周面29に案内される外輪案内方式である。
保持器23の被案内部25A,25Bは、詳細を後述するように、所定の表面粗さの表面形状にされている。この表面形状を形成する微小な凹部には、潤滑剤であるグリースが保持され、保持器23と外輪13との動滑性を向上させている。
保持器23は、合成樹脂を含む材料を用いた射出成形品である。保持器23に使用可能な合成樹脂としては、例えば、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PPS−CF(カーボン繊維強化ポリフェニレンサルファイド)等が挙げられる。その他にも、母材として、PA(ポリアミド)、PAI(ポリアミドイミド)、熱可塑性ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が利用可能で、強化繊維として、カーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維等の有機繊維が利用可能である。
図2は保持器23の外観斜視図、図3は図2に示す保持器の一部拡大斜視図である。各被案内部25A,25Bは、径方向外側へ突出して外輪内周面29(図1参照)に摺接可能に形成される案内面27と、案内面27の縁部に形成された面取り部31とを有する。本構成の面取り部31は、案内面27の軸方向及び周方向の縁部である、周囲エッジの全周にわたって設けられる。
更に、被案内部25Aの案内面27の周方向中央部には、案内面27の径方向高さから窪んで、軸方向に沿った溝部33Aが形成される。同様に、被案内部25Bの案内面27の周方向中央部にも、案内面27の径方向高さから窪んで、軸方向に沿った溝部33Bが形成される。溝部33A,33Bの周方向の断面形状は、図示例の円弧形状の他、三角形状、矩形状、台形状等であってもよい。
同じ周位置に配置される一対の被案内部25A,25Bは、軸方向と平行な一本の直線上に、それぞれの溝部33A,33Bが配置される。つまり、保持器23の外径面には、周方向の位相を一致させた一組の溝部33A,33Bが、周方向に沿って複数組配置される。
また、周方向に隣接する被案内部25A,25Aとの間、及び、被案内部25B,25Bとの間は、案内面27より径方向高さが低い外径溝35A,35Bとされている。各外径溝35A,35Bは、それぞれ潤滑剤の排出溝として機能する。
図4は図3に示す保持器23のP1−P1線の拡大断面図である。案内面27の軸方向の縁部に形成された面取り部31は、曲率半径が0.2mm以上の曲面を有する。
一般に、軸受内に配置された保持器23は、案内面27と外輪内周面29(図1参照)との間の案内すきまと、ポケットすきまとの範囲で移動自在となる。そのため、保持器23は、軸線から傾斜して案内面27の周囲エッジが外輪13に偏当たりする場合がある。偏当たりが生じると、保持器23が摩耗して、寿命の低下や振動の劣化等の異常が生じる。この場合の保持器23の摩耗は、案内面27の周囲エッジから進行することが殆どである。しかし、本構成の保持器23によれば、案内面27の周囲エッジが、角部を滑らかにした面取り部31にされるため、摩耗が進行しにくくなる。
一般に、外輪案内方式のアンギュラ玉軸受100においては、図1に示す外輪13の外輪内周面29と外輪軌道面11との境界の軌道面エッジ11aに、保持器23が接触することがある。保持器23が軌道面エッジ11aに接触すると、前述のように、保持器23は軌道面エッジ11aとの接触部分から摩耗が進行する。そこで、本構成の保持器23は、図1,図4に示すように、軌道面エッジ11aと接触しないように、外輪13の外輪軌道面11の軸方向縁部である軌道面エッジ11aとの対面領域に、径方向内側に窪むエッジ逃し溝37を設けてある。
エッジ逃し溝37は、図3に示す被案内部25Aと25Bとの間の領域に相当し、案内面27の径方向高さから一段低く形成される。この段差によって、保持器23が傾斜した場合でも、軌道面エッジ11aが保持器23に接触することがなくなり、軌道面エッジ11aとの接触による保持器23の摩耗を未然に防止できる。
また、案内面27と面取り部31の少なくとも一方は、後述する微小凹凸形状の表面性状が形成される。この微小凹凸形状の凹部にグリース等の潤滑剤が溜まることで、外輪13との接触時における接触抵抗が軽減され、摩耗の進行が抑制される。この表面性状を形成するためには、案内面27と面取り部31とを滑らかに接続する必要がある。
図5(A)〜(C)は、面取り部31の形状を模式的に示す説明図である。図5(A)に示すように、面取り部31は、曲率半径rが0.2mm以上の曲面である。これにより、案内面27の周囲エッジが立つことがなく、案内面27と曲面とが滑らかに接続される。
また、図5(B)に示すように、面取り部31の曲率半径rの中心を案内面27に近づけることで、面取り部31の曲面の接線方向と案内面27とを交差させ、案内面27の縁部27aに、面取り部31を接線方向に接続した構成であってもよい。縁部27aにおいて接続される曲面の接線方向と、案内面27との成す角θは、20°以下(0°<θ≦20°)とすることが好ましい。
更に、面取り部31は、図5(C)に示すように、保持器23の軸断面において、案内面27との成す角θが20°以下(0°<θ≦20°)の傾斜面であってもよい。この場合、保持器23に負荷される面圧を軽減し、打痕の発生を防止し、摩耗の進行を抑制できる。
上記の面取り部31の形状は一例であって、これらに限らず任意の形状にできる。望ましくは、面取り部31を曲面形状(R形状)とし、曲面の接線と案内面27とが滑らかに接続される形状とするのがよい。
<保持器の射出成形>
次に、保持器23の射出成形する成形用金型について説明する。
上記した合成樹脂製の保持器23は、成形用金型を用いて成形される。図6(A),(B)に成形用金型の一例を模式的に示した。図6(A)は、保持器23の外径面を成形する外側金型41と、保持器23のポケット21を成形するスライドコア43とを示す。図6(B)は、図6(A)のP2−P2線断面図である。成形用金型は、これらの金型部材の他に保持器23の内径面を形成する内側金型等を備えるが、ここではその説明を省略する。
図6(A),(B)に示す成形用金型は、アキシアルドロー方式の金型である。外側金型41は、保持器23の周方向に沿って複数個が配置され、前述の保持器23の被案内部25A,25Bを成形する。外側金型41は、それぞれ径方向に移動自在である。被案内部25A,25A(25B,25B)の溝部33A(33B)の周位置は、隣接する外側金型とのパーティングラインとなる。
なお、図示例では、一つの外側金型41が、隣接する一対の被案内部25A,25A(25B,25B)の周方向半分を成形する構成としているが、更に複数の被案内部を一つの金型部材で成形する構成としてもよい。
<保持器の表面性状>
上記の成形用金型は、保持器23の被案内部25A,25Bにおける案内面27及び面取り部31に対応する金型表面が、通常よりも大きな所定の表面粗さの加工面とされている。金型表面の加工面における表面形状は、射出成形される保持器23の案内面27及び面取り部31の表面に転写される。
金型表面の加工面の形状が転写付与された、保持器23の案内面27及び面取り部31の形状転写面は、その表面粗さが、JIS B0601に規定される算術平均粗さRaを1.0〜9.8μmに、最大高さRtを10.1〜102.9μmに設定される(Ra,Rtの数値については、必要に応じて特開2014−95469号公報を参照されたい)。
これにより、所定の表面粗さを形成する凹部に潤滑剤であるグリースが保持され、この凹部から保持器23の案内面27と外輪13の外輪内周面29(図1参照)との接触界面にグリースが供給される。したがって、軸受の高速回転化によって潤滑条件が厳しくなった場合であっても、接触界面に油膜が途切れることがない。このため、急激な温度上昇や焼き付きを長期にわたり抑制できる。
保持器23は、耐摩耗性や機械的強度の向上のために、ガラス繊維や炭素繊維等の充填材を樹脂材料に混入させて補強してもよい。その場合、充填材を含む摩耗粉が、保持器23の案内面27と外輪13の外輪内周面29との接触界面で生成されることがある。この摩耗粉は、軸受回転時に異物として作用して、切削摩耗が増大する虞がある。しかし、本構成によれば、保持器23や玉19が案内される方向と平行な方向、すなわち、保持器23の周方向に沿って所定の表面粗の凹凸が形成されている。この凹凸が形成されることによって、発生した摩耗粉が接触界面から容易に排除される。よって、保持器23の耐摩耗性が向上する。また、案内される方向に直交する方向の表面粗さや凹凸の表面性状を上記同様の範囲にすることにより、保持器23の耐摩耗性を一層向上できる。
なお、算術平均粗さRaが1.0μm未満の範囲では、表面粗さを形成する凹部のグリース保持量が少なくなり、保持器23の案内面27と外輪13の外輪内周面29との接触界面に供給するグリース量が不十分となる。また、算術平均粗さRaが9.8μmを超えると、その粗さ自体が、高精度の高速回転が要求される工作機械の主軸用軸受の回転精度に悪影響を及ぼす可能性がある。
案内面27及び面取り部31に付与される表面粗さは、最大高さRtが10.1〜102.9μmの範囲にされている。最大高さRtを上記範囲にすることで、特異的に高い山部や低い谷部の発生が抑えられ、摺動時の振動が抑制されて軸受性能を向上できる。
上記の通り、保持器23の案内面27及び面取り部31の表面性状は、保持器23の射出成形時に金型表面の形状転写によって付与される。このため、案内面27及び面取り部31には、均一かつ再現性の高い状態で表面層(形状転写層)が形成され、保持器23の耐摩耗性より確実に向上できる。
成形用金型に設けられる所定の表面粗さを有した加工面(シボ加工面)は、ショットピーニング等のショット加工、放電加工、エッチング、ウォータージェット、レーザ加工等のいずれかにより形成できる。なお、上記加工面は、上記加工方法を単独、又は組み合わせた加工で形成してもよく、上記以外の加工方法で形成してもよい。加工面の表面形状は、ディンプル等の凹形状や微細な溝からなる表面形状であってもよい。
また、少なくとも保持器23の案内面27及び面取り部31に上記した表面粗さの形状転写面が付与されていれば、保持器23の外周面、内周面、又は保持器の全面に上記形状転写面を形成してもよい。
上記形状転写面が付与された保持器23は、保持器23表面に生じたバリをバレル加工等によって除去すると、形状転写面が除去され、グリースの保持ができなくなる。そこで、本構成においては、バリを生じさせるパーティングラインを後処理で除去することなく、バリが生じても影響を及ぼさない位置にパーティングラインを配置している。これにより、保持器23の加工工程を煩雑にすることなく、生産性を高めることができる。
本構成の保持器23によれば、保持器表面に特定の表面形状を形成しつつ、パーティングラインによる凸部が摺動部位に配置されない構成となり、保持器23の動滑性、耐摩耗性が向上する。また、切削加工等の後処理が不要な射出成形法によって、保持器23を容易に大量生産できる。よって、保持器23の耐久性と生産性を共に向上できる。
<他の成形用金型の構成>
次に、他の成形用金型について説明する。
図7に成形用金型の他の構成例を模式的に示す。この成形用金型は、保持器23の外径面側を成形する外側金型45と、保持器23のポケット21を成形するスライドコア47とを有する。成形用金型は、これらの金型部材の他に保持器23の内径面側を形成する内側金型等を備えるが、ここではその説明を省略する。なお、以下の説明では、図1に示す部材と同一の部材に対しては同一の符号を付与することで、その部材の説明は省略又は簡単化する。
この成形用金型は、スライドコア47が径方向にスライドしてポケット21を形成する。また、外側金型45は、ラジアルドロー方式であり、スライドコア47をポケット21から抜いた状態で、図中P1方向にスライドされる。これにより、保持器23の外径面が成形される。
上記構成の成形用金型を用いて保持器23を成形すると、図8に示すように、保持器23のパーティングラインPLは、保持器23の端面に生じ、被案内部25A,25Bや面取り部31には生じない。保持器端面にバリが存在していても、図1に示すアンギュラ軸受100の外輪13や内輪17にバリが接触することはなく、バリが軸受性能に影響を及ぼすことはない。
したがって、本構成の成形用金型を用いて保持器23を成形することで、上A記した保持器23の摩耗が抑制され、転がり軸受の耐久性を高められる。
<保持器表面のスキン層>
保持器23を射出成形により成形する際には、高温の樹脂が温度の低い金型に接触して急冷される。そのため、金型付近の部分となる保持器23の表面部分に、スキン層と呼ばれる非晶質層が形成される。また、成形時の樹脂が樹脂表面に並行に流れるため、成形後の樹脂内部の表層部における強化繊維(CF(カーボンファイバー)、GF(グラスファイバー)、AF(アラミドファイバー)等)も表面に並行に配列される。
非晶質層は、樹脂材料がPPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)やPEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)等である場合には、表面近傍まで結晶化するため、非常に薄い0.1〜10μm程度の厚さとなる。樹脂材料がナイロン等のポリアミド樹脂である場合には、非晶質層が形成されやすく10〜30μm程度の厚さとなる。
強化繊維は、保持器と摺動される外輪、内輪、及び転動体の鋼材に対して攻撃性が強い。特に、強化繊維を含む樹脂材料をバリ取りのためバレル加工や切削加工を施した表面を摺動面とした場合は、強化繊維が樹脂表面に対して交差する方向に析出する。そのため、強化繊維は、端部が鋭角になり、外輪、内輪、及び転動体を傷付けたり、摩耗の原因となる。更に、強化繊維が保持器表層に現れるため、強化繊維が脱落し、軸受の寿命低下に繋がる虞がある。
そのため、保持器表層にスキン層を持つことにより、強化繊維の脱落及び析出した強化繊維による相手部材への攻撃を抑制できる。
更に、保持器表面に強化繊維が並行に配列されるため、スキン層が摩耗等で除去された後も強化繊維の端部が外輪、内輪、及び転動体に対して鋭角に当たらない。これにより、相手部材の摩耗を抑制できる。
このスキン層は、特開2001−227548に示すように、表面から30μm以下に存在するのが望ましい。また、上述したように、表層部にスキン層が存在することが必要であるため、
保持器表層に、保持器表面からの厚みが0.1〜30μmである、強化繊維を含まない非晶質層が形成されていることが望ましい。
<保持器の他の構成例>
次に、上記した保持器23の他の構成例について説明する。
(第1変形例)
図9に他の構成の保持器23Aを備えたアンギュラ玉軸受100の一部断面図、図10に保持器23Aの外観斜視図を示す。本変形例の保持器23Aは、軸方向の一端側のみに被案内部25Aを設けてあり、他端側の被案内部は省略されている。
保持器23Aは、被案内部25Aが外輪13の外輪内周面29に案内され、エッジ逃し溝37が設けられたことにより、軌道面エッジ11aが保持器23Aに接触することがない。また、保持器23Aの射出成形時におけるパーティングライン(図示略)は、前述同様に、被案内部25Aに形成した溝部33A内に軸方向に沿って設けられる。
本変形例によれば、保持器23Aをよりシンプルな構造にでき、凸部(バリ)となるパーティングラインを溝部33Aに配置することで、軸受はバリの影響を受けることがない。よって、保持器23Aの耐久性と生産性とを共に高めることができる。
(第2変形例)
図11に他の構成の保持器23Bの外観斜視図を示す。保持器23Bは、保持器外径面の軸方向両端に半径方向外側へ突出する被案内部26A,26Bを有する。各被案内部26A,26Bには、それぞれ軸方向に沿って案内面27の径方向高さから窪んだ溝部33A,33Bが複数形成される。
本変形例の保持器23Bは、図3に示す保持器23の場合と同様に、一組の溝部33A,33Bが同じ周位置に配置される。また、案内面27の被案内部26A,26Bの軸方向の縁部には、面取り部31,31が形成される。ただし、外径溝35A,35Bは存在せず、案内面27が周方向に連続して配置される。
また、パーティングライン(図示略)は、前述同様に、被案内部26A,26Bに形成した溝部33A,33Bに軸方向に沿って設けられる。
本変形例の保持器23Bによれば、案内面27の周囲エッジが面取り部31にされ、摩耗が進行しにくくなる。また、径方向内側に窪むエッジ逃し溝37によって、軌道面エッジ11a(図1参照)が保持器23に接触しなくなり、接触による摩耗を未然に防止できる。更に、案内面27及び面取り部31が、所定の表面粗さを有する形状転写面となることで、耐摩耗性を向上できる。そして、凸部(バリ)となるパーティングラインを溝部33A,33Bに設けることで、軸受はバリの影響を受けることがなくなり、保持器23Bの耐久性と生産性とを共に高めることができる。
(第3変形例)
図12に他の構成の保持器23Cの外観斜視図を示す。保持器23Cは、保持器外径面の軸方向一端のみに半径方向外側へ突出する被案内部26Aを有すること以外は、前述の第2変形例の保持器23Bと同様である。
本変形例の保持器23Cによれば、保持器23Cをシンプルな構造にでき、凸部(バリ)となるパーティングラインを溝部33A内に配置することで、軸受はバリの影響を受けることがなくなる。よって、保持器23Cの耐久性と生産性とを共に高めることができる。
なお、転がり軸受としては、アンギュラ玉軸受に限定されるものではなく、円筒ころ軸受等、他の種類の転がり軸受であってもよく、転動体案内方式の転がり軸受であってもよい。
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
13 外輪
17 内輪
19 玉
21 ポケット
23,23A,23B,23C, 保持器(転がり軸受用保持器)
25A,25B 被案内部
26A,26B 被案内部
27 案内面
31 面取り部
33A,33B 溝部
37 エッジ逃し溝
100,110 アンギュラ玉軸受

Claims (8)

  1. 転がり軸受の内輪と外輪との間に配置された合成樹脂製の転がり軸受用保持器であって、
    外径面から径方向外側に突出する複数の被案内部が前記外径面の周方向に沿って設けられ、
    前記被案内部は、前記外輪に摺接可能に突出して形成された案内面と、該案内面の縁部に形成された面取り部と、前記案内面の一部に軸方向に沿って形成された溝部と、を備え、
    前記面取り部は、前記案内面の軸方向及び周方向の縁部である、周囲エッジの全周にわたって設けられ、
    前記案内面及び前記面取り部は、算術平均粗さRaが1.0〜9.8μm、最大高さRtが10.1〜102.9μmの表面性状を有し、
    パーティングラインが、前記案内面より径方向内側に設けられることを特徴とする転がり軸受用保持器。
  2. 前記パーティングラインは、前記溝部と保持器端面のいずれかに設けられることを特徴とする請求項1に記載の転がり軸受用保持器。
  3. 前記面取り部は、前記案内面の前記縁部に、接線方向に接続される曲面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受用保持器。
  4. 前記面取り部は、前記案内面の前記縁部に接続され、前記案内面との成す角が20°以下の傾斜面を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の転がり軸受用保持器。
  5. 前記外輪の外輪内周面と外輪軌道面との境界である軌道面エッジと対面する領域に、径方向内側に窪む逃し溝が形成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の転がり軸受用保持器。
  6. 保持器表層に、保持器表面からの厚みが0.1〜30μmである、強化繊維を含まない非晶質層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の転がり軸受用保持器。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の転がり軸受用保持器を備える転がり軸受。
  8. 請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の転がり軸受用保持器を、成形用金型を用いて成形する転がり軸受用保持器の製造方法であって、
    前記案内面と前記面取り部の少なくとも一方に、前記成形用金型の金型表面に施された加工面の形状を転写することを特徴とする転がり軸受用保持器の製造方法。
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