次に、本願発明に係るスタッカクレーンの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係るスタッカクレーンの一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
図1は、スタッカクレーンを備える自動倉庫の一部を模式的に示す斜視図である。
図2は、自動倉庫の一部を模式的に示す平面図である。
これらの図に示すように、自動倉庫100は、搬入された対象物200を自動的に格納し、また、格納している対象物200を自動的に搬出することができる装置であり、ラック101と、スタッカクレーン102とを備えている。
図3は、対象物を下方から模式的に示す斜視図である。
これらの図に示すように、対象物200は、本体201と、本体201の下部に取り付けられる自在車202とを有し、ラック101へ格納する対象となる物である。本実施形態の場合、対象物200は、いわゆるカゴ台車と称される物である。なお、対象物200は、空のカゴ台車を意味するばかりでなく、カゴ台車と当該カゴ台車に収容される荷物とを合わせた物も対象物200である。具体的に対象物200であるカゴ台車は、矩形の基台の周縁から網状の部材が立設されたものである。また、本実施の形態の場合、対象物200は、矩形の本体201の下部の四隅のそれぞれに自在車202が取り付けられている。
図4は、自在車を模式的に示す側面図である。
自在車202は、いわゆる自在キャスターと称される部材であり、車輪221と、ラジアル軸受222と、スラスト軸受223とを備えている。自在車202は、スラスト軸受223を介してラジアル軸受222が本体201に取り付けられたものであり、車輪221はラジアル軸受222に取り付けられている。従って自在車202の車輪221は、載置面Fに対して転動軸Hの周りを転動(θ1)し、かつ、ラジアル軸受222と共に本体201に対して旋回軸Vの周りを旋回(θ2)することができる。
また、自在車202は、スラスト軸受223の回転軸である旋回軸Vと、ラジアル軸受222の回転軸である転動軸Hとが離れた状態で配置されており(偏心)、車輪221の向きによって、車輪221と載置面Fとの接触部分は距離Dの範囲で異なるものとなる。
ここで車輪221の向きとは、旋回軸Vを基準とした車輪221の転動軸Hが存在する方向を意味するものとしている。
本実施形態の場合、自在車202は、車輪221の転動を規制することのできる転動ストッパ224(図3参照)を備えている。
図5は、ラックの一部とスタッカクレーンとの関係を模式的に示す側面図である。
スタッカクレーン102は、対象物200をラック101に沿って搬送することができると共に、ラック101との間で対象物200を移載することのできる装置である。スタッカクレーン102は、同図に示すように、車輪旋回手段126と、制御手段127(図7参照)とを備えている。本実施形態の場合、スタッカクレーン102はさらに、図1に示すように、ラック101に沿って幅方向(図中Y軸方向)に移動する台車121と、上下方向(図中Z軸方向)に延びて配置され台車121に取り付けられて台車121と共に水平方向に移動するマスト122と、マスト122に沿って上下方向に昇降する昇降台123と、スタッカクレーン102とラック101との間で対象物200を移載する移載装置124とを備えている。
図6は、対象物の本体を省略して自在車と車輪旋回手段を示す斜視図である。
同図に示すように、車輪旋回手段126は、当接部材125を備え、昇降台123に対して当接部材125を旋回させることで、自在車202の車輪221を旋回させ、車輪221を任意の向きに配置することができる装置である。具体的に例えば、車輪旋回手段126は、鉛直軸を回転軸として配置されるサーボモータなどの旋回駆動手段128(図7参照)を備えており、旋回駆動手段128の回転に基づき当接部材125を旋回させることで、当接部材125の旋回角度を制御することができるものとなっている。
当接部材125は、スタッカクレーン102の昇降台123に保持される対象物200の自在車202の車輪221に当接する部材である。当接部材125は、昇降台123に取り付けられている旋回駆動手段128に取り付けられている。本実施の形態の場合、当接部材125は、車輪221を挟む位置に一対設けられた矩形板状の部材であり、車輪221の挿入を容易にするため、上端部は相互に拡がるようにテーパ部が設けられている。また、当接部材125の長さは、自在車202を旋回させた場合の車輪221の最大の振れ幅(図4に示す距離D)よりも長く設定されている。これにより、車輪221がいずれの方向に向いている場合でも、当接部材125が車輪221に当接することができ、車輪221を旋回させることができる。
また、スタッカクレーン102からラック101に対象物200を移載する際に、車輪旋回手段126により決定された車輪221の旋回状態を維持する第二車輪ガイド135を備えてもかまわない。具体的に例えば、第二車輪ガイド135は、移載方向に延在し、車輪221を挟むように昇降台123などに設けられたレールなどである。
また、車輪旋回手段126は、車輪221の向きを検出する検出センサ129(図7参照)を備えている。検出センサの種類は特に限定されるものでは無く、例えば、光軸が上向きで車輪221の転動軸Hと交差することができる位置に反射式の光センサを配置し、検出センサを旋回させることで車輪221の向きを検出するものなどでもかまわない。
制御手段127は、対象物200の移載状態を示す移載情報を取得する処理部である移載情報取得部130と、取得した移載情報に対応した向きに自在車202の車輪221が向くように車輪旋回手段126の旋回駆動手段128を制御する処理部である車輪旋回制御部131とを備えた装置である。本実施の形態の場合、制御手段127は、車輪位置検出部132も備えている。車輪位置検出部132は、車輪旋回制御部131を介して旋回駆動手段128を駆動し、検出センサ129を回転させ、検出センサ129からの信号に基づき車輪の位置を検出する処理部である。
ここで移載情報とは、対象物200の入出庫などを管理する上位コントローラなどからスタッカクレーン102に対し送信される情報であり、対象物200をラック101に移載するのか、対象物200をラック101から取り出し出庫するか等を示す情報である。
さらに、制御手段127は、後述の規制手段133を制御するための処理部である規制手段制御部134も備えている。
制御手段127は、プログラムを実行することにより各処理部を実現することのできるコンピュータである。なお、制御手段127は、スタッカクレーン102を制御するコンピュータの一部(処理部)として機能してもよく、独立して存在していてもかまわない。
本実施の形態の場合、スタッカクレーン102が備える移載装置124は、自在車202の車輪221が持ち上がった状態、すなわち車輪221が浮いた状態となるまで持ち上がった対象物200をラック101に向かって移動させることのできるいわゆるスライドフォークを備えている。
また、移載装置124には、車輪旋回手段126を駆動して自在車202の車輪221を旋回させる際に、車輪221の旋回軸Vと旋回駆動手段128の回転軸とがずれている場合に、対象物200の本体201が不本意に動くことを規制する規制手段133(図5参照)が取り付けられている。
規制手段133は、本実施の形態の場合、移載装置124から上方に向かって突出状態で取り付けられたストッパである。規制手段133は、車輪旋回手段126が自在車202の車輪221を旋回させる際に対象物200の本体201移動を規制することができる位置に設けられている。具体的に規制手段133は、移載装置124(スライドフォーク)の上面に移載方向に並んで一対設けられており、規制手段133の間隔は対象物200の本体201よりも広く設定されている。これにより、車輪221の旋回時における対象物200の不本意な動きを規制して、対象物200が昇降台123からはみ出るなどの不具合の発生を防止することができ、対象物200をラック101に移載し移載装置124を収納する際には規制手段133を没入させることでスムーズな収納を実現することが可能となる。
なお、規制手段133は、移載装置124に対し出没自在な機構を備えていてもかまわない。この場合、車輪旋回手段126が車輪221を旋回させる場合に規制手段制御部等により規制手段133を突出させて対象物200の移動を規制し、対象物200を移載する際は規制手段133を没入させることができる。
また、スタッカクレーン102が備える移載装置124は、対象物200を持ち上げた状態で搬送する装置であれば、スライドフォークに限定されるものではない。
ラック101は、対象物200を載置面部111に載置して格納する設備である。また、載置面部111を含んで仮想的に広がる水平面である載置面Fより対象物200を持ち上げた状態でスタッカクレーン102との間で移載する際において、載置面Fと自在車202の車輪221の最下部との距離である持ち上げ高さRよりも載置面Fを基準として高い高さを有し、かつ、移載方向(図中X軸方向)と水平面において直交する方向である幅方向(図中Y方向)において載置面部111の側方であり、対象物200の移載方向に沿って延びた状態で配置され、自在車202の車輪221の旋回を規制する車輪ガイド112を備えている。
本実施形態の場合、ラック101は、上下方向(図中Z軸方向)、および、左右方向(図中Y軸方向)に複数の載置面部111を備えており、各載置面部111には車輪ガイド112が備えられ、対象物200を安定した状態で格納することができるものとなっている。
なお、図1、図2などにおいて、車輪ガイド112は一部のみが記載されており、他の車輪ガイド112の記載は省略されている。また図2に示すように、1台のスタッカクレーン102を挟むように二つのラック101が配置されており、それぞれのラック101には車輪ガイド112が設けられている。なお、スタッカクレーン102が備える移載装置124は、両側に配置されるいずれのラック101に対しても持ち上げられた状態の対象物200を移載することができるものとなっている。また、自動倉庫100は、複数台のスタッカクレーン102と、これに対応する複数のラック101を備えてもよい。
また、載置面Fは、ラック101に設けられるそれぞれの載置面部111に対応して仮想的に設定される。
図8は、一つの対象物を格納するラックの一単位を模式的に示す斜視図である。
同図に示すように、車輪ガイド112は、載置面部111に移載方向に沿って立設される板状の部材であり、車輪ガイド112の高さTは、対象物200の持ち上げ高さRよりも高く設定されている。本実施形態の場合、二つの車輪ガイド112が平行状態、または、略平行状態で配置されており、載置面部111とともに溝を形成している。当該溝の幅は、自在車202の車輪221の幅よりも若干広く設定され、かつ、車輪221が自由に旋回できない程度の幅に設定されている。従って、スタッカクレーン102が対象物200の車輪221を対向して配置される二つの車輪ガイド112に差し込んだ状態で対象物200を移載している間、車輪221は、旋回することなく所定の方向(移載方向)に維持される。
また、車輪ガイド112は、載置面部111に対象物200が載置される際、または、持ち上げられる際に自在車202のラジアル軸受222が上下方向に通過する領域に対応して切り欠かれた切欠部113を備えている。
また、車輪ガイド112は、切欠部113の下方に、対象物200が載置面部111に載置された際においても少なくとも自在車202の車輪221と当接し、車輪221の旋回を規制する方向維持部110を備えている。これにより、ラック101に格納された対象物200が不本意に揺動することを抑制している。
また、車輪ガイド112は、上方に向かうに従いラジアル軸受222が通過する領域から徐々に離れるように傾く面を有するテーパ部115を切欠部113に対応する部分に備えている。
これにより、対象物200を移載中に車輪221が切欠部113に対応する位置に配置され、車輪221がある程度旋回した場合でも、テーパ部115に車輪221を沿わせながら対象物200を降下させることで車輪221を車輪ガイド112に沿わせた状態で移載方向に維持することができる。
さらに、車輪ガイド112は、スタッカクレーン102側に向かうに従い、車輪221が通過する領域から徐々に離れるように傾く面を有する第二テーパ部119をスタッカクレーン102側の先端部に備えている。これにより、スタッカクレーン102からラック101へ対象物200を移載する際に、自在車202の車輪221がいずれの方向に向いていても、第二テーパ部119に車輪221を沿わせることで車輪221を移載方向に沿うように調整することが可能となる。
なお、車輪ガイド112は、第二テーパ部119とは逆向きのテーパ部を切欠部113に対応する位置に備えてもよく、また、第二テーパ部119と同じ向きのテーパ部を切欠部113に対応する位置に備えてもよい。
ラック101はさらに、載置面部111にストッパ116を備えている。ストッパ116は、スタッカクレーン102により対象物200が持ち上げられる持ち上げ高さRよりも高さが低く、かつ、移載方向(図中X軸方向)における載置面部111の前方および後方に配置され、自在車202の車輪221の移動を規制する部材である。
なお、載置面部111の前方および後方に配置されるストッパ116の距離は、車輪221の大きさに基づき定められる。これは、車輪旋回手段126により車輪221の向きを一定にすることができるからである。これにより、ラック101内において対象物200を安定した状態、例えば地震などでも揺れ動かない状態で保管することが可能となる。
また、車輪221の向きを一定にしない場合は、自在車202の車輪221の旋回軸V(図4参照)と車輪221の転動軸Hの距離の2倍である距離Dより長く設定されている。これにより、旋回軸Vに対して転動軸Hが移載方向のいずれに位置していたとしても、ラック101に格納された対象物200に移載方向の移動を抑制して、ラック101の対象物200の落下を防止することができる。
また、図面(例えば図8)において、ストッパ116は複数の車輪221に対してそれぞれ設けられているが、ストッパ116は、少なくとも一つの車輪221に対して設けられればよい。
本実施の形態の場合、ラック101は、本体201の幅方向の一方側(車輪がはみ出さない側)に配置される自在車202に対応する位置に載置面部111と車輪ガイド112を備えており、他方側には第二載置面部118を備えている。
第二載置面部118は、車輪221の転動軸Hの距離の2倍である距離D以上の大きさを有する面状となっている。これによれば当該部分に載置される自在車202の旋回が規制されておらず、車輪221がいずれの方向に向いていたとしても対応することが可能となる。なお当該記載は、他方側に車輪ガイド112を設けることを否定するものではない。また、第二載置面部118は、車輪221の転動軸Hの距離の2倍である距離D以上の直径を有する円形状でもよい。
次に、上記自動倉庫100を用いた対象物200の移載方法を説明する。
図9は、対象物がスタッカクレーンに移載された後の制御手段の処理を示すフローチャートである。
移載装置124により対象物200が昇降台123の上方に配置されるに際し、車輪221は、第二車輪ガイド135に沿って移動する(S101)。従って、自在車202の車輪221は、移載方向に向くか移載方向と反対に向くかのいずれかになる。
スタッカクレーン102の対象物200の保持が完了した状態で、車輪221は車輪旋回手段126の当接部材125と当接できる位置に配置される(S102)。
次に、車輪位置検出部132は、検出センサ129に基づき車輪221が移載方向の前方を向いているか後方を向いているかを検出する(S103)。
次に、移載情報取得部130は、上位コントローラなどから移載情報を取得する(S104)。
移載情報の中にスタッカクレーン102が保持している対象物200をラック101から取り出し対象物200が搬出入されるステーション(図示せず)まで対象物200を移載する移載指令が含まれている場合(S105:搬出)、対象物200の移動方向と反対向き、つまり、スタッカクレーン102からステーションに向かう方向と反対向きに自在車202の車輪221が向くように車輪旋回制御部131は、旋回駆動手段128を制御する(S106)。具体的には、図10の(1)を付した部分に示すように、対象物200の移動方向(X軸方向負の向き)であり、車輪221の向きが同じ方向を向いている場合、同図(2)を付した部分に示すように、車輪221を旋回させ、同図(3)を付した部分に示すように、車輪221の向きを対象物200の移載方向とは反対に向ける。これにより、スタッカクレーン102が対象物200をステーション(図示せず)に配置した際に、対象物200を人力によって引き出す方向とは反対向きに自在車202の車輪221が向いているため、対象物200を真っ直ぐスムーズにステーションから引き出すことが可能となる。
一方、移載情報の中にスタッカクレーン102が保持している対象物200をラック101の目的の棚に格納する移載指令が含まれている場合(S105:格納)、対象物200の本体201からはみ出ない向きに自在車202の車輪221が向くように車輪旋回制御部131は、旋回駆動手段128を制御する(S107)。具体的に例えば、図11に示すように自在車202の車輪221を本体201の内側に向くように制御する。
これにより、ラック101内において対象物200をコンパクトに保管することができる。従ってラック101を小型化することができ、自動倉庫100全体として対象物200の保管数を増加させることが可能となる。
次に、対象物200のラックへの搬出入の方法を説明する。
まず、作業者などが対象物200をステーションに搬入する。ステーションへの対象物200の搬入は、車輪221を用いて対象物200を作業者が移動させることにより行われる。
次に、スタッカクレーン102は、昇降台123をステーションまで移動させ、移載装置124によりステーションから対象物200を昇降台123まで移載する。移載装置124は、対象物200の本体201を下方から支持しており、昇降台123に保持された対象物200の車輪221は、浮いた状態となっている。なお、移載中においては、車輪221は、第二車輪ガイド135に沿って移動するため、自在車202の車輪221が自由に旋回することはない。次に対象物200は、車輪221が車輪旋回手段126の当接部材125に当接可能な位置まで移載される。
次に、スタッカクレーン102が対象物200をラック101の中の所定の棚に移動させるまでの間に、車輪旋回手段126は、ラック101での保管に対応した方向に自在車202の車輪221の方向を変更する。
次に、スタッカクレーン102は、ラック101へ対象物200を移載する。具体的な移載方法は以下の通りである。
図12は、対象物の移載工程における自在車近傍を示す側面図である。
まず、図中(1)の右側に示すように、ラック101の載置面Fより持ち上げ高さRだけ対象物200を持ち上げる(持ち上げ工程)。対象物200の持ち上げは、スタッカクレーン102の昇降台123によって持ち上げてもよく、また、移載装置124が昇降構造を備えて対象物200を持ち上げてもかまわない。
次に、自在車202が持ち上がった状態でスタッカクレーン102の移載装置124がラック101に向かって対象物200を移載する(移載工程)。
本実施形態の場合、当該移載工程の途中において、持ち上げ高さRよりも高い高さを有し、かつ、持ち上げられた状態の自在車202のスラスト軸受223の下端部より低い位置に上端部が位置し、幅方向(図中Y方向)において載置面部111の側方であり、移載方向(図中X軸方向)に沿って延びた車輪ガイド112の側面と、自在車202の車輪221の側面とが接触し、車輪221の向きが移載方向に向くように矯正される。
本実施形態の場合、車輪ガイド112は、スタッカクレーン102側に向かって広がる第二テーパ部119(図12では省略)を備えているため、自在車202の車輪221が移載方向から直角となる向きに向いていたり、移載時の振動などで車輪221が僅かに旋回している場合でも、対象物200をラック101へ移載する際に車輪221の向きを移載方向に徐々に矯正することが可能となる。なお、本実施の形態の場合、第二車輪ガイド135等により車輪221の向きが移載方向に対し直角となることが防止されているため車輪221の旋回角度は僅かである。
次に、車輪ガイド112に、自在車202の車輪221の側面部を滑らせながら自在車202が切欠部113に位置するまで対象物200を移載方向に移動させる。
なお、ストッパ116の高さは持ち上げ高さRよりも低く設定されているため、前記移動の際に車輪221とストッパ116が干渉することはない。
次に、対象物200を降下(図中Z軸方向)させ、載置面部111に車輪221を載置する。
以上により、スタッカクレーン102から対象物200をラック101に移載し、対象物200をラック101にコンパクトに格納することが可能となる。
次に、ラック101からステーションに対象物200を移載する場合には、以下のようにスタッカクレーン102は動作する。
まず、ラック101の所定の棚に昇降台123を移動させ、ラック101から昇降台に対象物を移載する。
次に、スタッカクレーン102が対象物200をステーションに移動させるまでの間に、車輪旋回手段126は、作業者がステーションから対象物200を引き出す方向と反対方向に自在車202の車輪221の方向を変更する。
次に、スタッカクレーン102は、対象物200をステーションに移載する。ステーションに移載された対象物200の車輪221は、引き出す方向と反対方向に向いている。
最後に作業者は、ステーションから対象物200を引き出す。
以上の自動倉庫100、および、移載方法によれば、対象物200をスタッカクレーン102からラック101へ移載する際に、自在車202の車輪221の向きがずれた場合でも車輪ガイド112によって移載方向に矯正することができる。
また、対象物200をラック101に格納した状態においても、車輪ガイド112が車輪221の旋回を規制するため、格納状態の対象物200が振動などによって揺動することを抑制することが可能となる。従って、対象物200の安定した格納状態を確保することが可能となる。
さらに、自在車202の車輪221の向きをスタッカクレーン102の移載先に応じて任意に変更することができるため、ラック101におけるコンパクトな保管や、ステーションにおける作業者のスムーズな対象物200の移動を実現することが可能となる。
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
例えば図13に示すように、車輪ガイド112は、対象物200が備える自在車202の車輪221の全てに対し、旋回を規制してもかまわない。具体的には、対象物200の本体201の幅方向の一端部に設けられている車輪221を規制する車輪ガイド112と、他端部に設けられている車輪221を規制する車輪ガイド112をそれぞれ対応する位置に設ければ良い。さらに、ストッパ116を幅方向の両側に設けてもかまわない。
この場合、スタッカクレーン102は、対象物200が備える自在車202の数(例えば四つ)だけ車輪旋回手段126を備えてもかまわない。
また、スタッカクレーン102は、一つの対象物200が備える自在車202の数に対応する数の車輪旋回手段126を昇降台123に設け、全ての車輪221に対し方向を決定してもかまわない。