JP6685849B2 - 光干渉測定装置及び光干渉測定方法 - Google Patents

光干渉測定装置及び光干渉測定方法 Download PDF

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Description

本発明は、光の干渉によって生じる干渉縞の輝度情報を用いて測定対象物の形状を測定する光干渉測定装置及び光干渉測定方法に関する。
光の干渉によって生じる干渉縞の輝度情報を用いて、例えば測定対象物の三次元形状を精密に測定する、三次元形状測定装置などの光干渉測定装置が従来から知られている。この光干渉測定装置においては、光源に広帯域光(白色光等)を用いる手法が広く知られている(例えば、特許文献1参照)。白色光光源を用いる光干渉測定装置は、ナノメートルオーダ分解能での微細形状測定が可能であり、半導体業界をはじめとした幅広い業界において、幅・高さ等の形状測定や表面の性状検査等に利用されている。
図6は、マイケルソンタイプの干渉対物レンズ30を備える光干渉測定装置1の基本構成を示す模式図である。光源11から出射された光は、コリメータレンズ12で平行ビームとされて干渉対物レンズ30の光軸に直角な方向からビームスプリッタ20に入射する。ビームスプリンタ20はこの平行ビームを干渉対物レンズ30の光軸に沿った方向に向きを変えて出射し、対物レンズ31に入射させる。対物レンズ31を経た光は収束光となってビームスプリッタ32に入射する。ビームスプリッタ32に入射した光は、参照ミラー33が配置された参照光路を進む光と測定対象物Wが配置された測定光路を進む光とに分岐される。分岐後、参照光路を進んだ光は収束して参照ミラー33で反射され再びビームスプリッタ32に入射する。また、測定光路を進んだ光は収束して測定対象物Wを照射し、そこで反射されて再びビームスプリッタ32に入射する。ビームスプリッタ32に入射した各反射光は合成されて出射され、対物レンズ31で平行ビームとなって、ビームスプリッタ20を通過して結像レンズ40に入射する。結像レンズ40は平行ビームを収束させ撮像手段50上に干渉画像を結像させる。
白色光光源を用いる光干渉測定装置においては、参照光路と測定光路の光路長が一致するピント位置では各波長の干渉縞のピークが重なり合い合成される干渉縞の輝度が大きくなる。したがって、参照光路または測定光路の光路長を変化させながら干渉光強度の二次元の分布を示す干渉画像をCCDカメラ等の撮像手段により撮影し、撮影視野内の各測定位置で干渉光の強度がピークとなるピント位置を検出することで、各測定位置における測定面の高さを測定し、測定対象物の三次元形状などを測定することができる。
光干渉測定装置では、段差を有する測定対象物の広視野一括測定を実現するために、テレセントリック光学系が広く利用されている(特許文献2参照)。テレセントリック光学系は、レンズの一方の側の焦点に光線を制御する絞りを設けることで、絞りの中心を通る光線(以下「主光線」という。)がレンズの他方の側において光軸と平行となるようにした光学系である。テレセントリック光学系においては、レンズの他方の側に光軸方向(Z軸方向)に段差がある測定対象物を配置し、これに光を照射したとき、測定対象物のどこからでも光軸に平行な反射光が光学系に取り込まれる。そのため、測定対象物の位置がZ軸方向に変化しても、Z軸に直交するX、Y軸方向の像の大きさは変化しないため、測定対象物に段差があってもZ軸に直交するX、Y軸方向の形状を精度よく測定することができる。
図6に示す模式図に示す光干渉測定装置1もテレセントリック光学系を利用したものであり、対物レンズ31の結像レンズ40側の焦点位置に絞り60を設けることで、対物レンズ41の他方の側に配置した測定対象物Wのどこからでも光軸に平行な反射光が光学系に取り込まれるため、測定対象物WのX、Y軸方向の形状を精度よく測定することが可能となっている。
なお、図6に示す模式図の光干渉測定装置1では、対物レンズ31の結像レンズ40側の焦点位置に、更に結像レンズ40の対物レンズ31側の焦点位置を一致させ、この焦点位置に絞り60を設けた場合を示したものである。これにより、主光線が対物レンズ31の測定対象物W側で光軸と平行になると共に、結像レンズ40の撮像手段50側においても光軸と平行になる(両側テレセントリック)。そのため、光学系から撮像手段50の像面に達する光束を像面のどこにも垂直に入射させることができ、光束の斜入射による受光効率の低下を防ぐことができる。
特開2011−191118号公報 特開2003−232999号公報
低倍率の対物レンズを使用すると広視野での測定が可能になるが、一方で開口数(NA)が小さくなるため、対物レンズによる測定対象物の追従角度が低下する傾向がある。
図7は、対物レンズ31を経て入射した入射光81が、測定対象物Wで反射され、反射光82として対物レンズ31を経て出射される様子を示したものである。
図7(a)は対物レンズ31の光軸80が測定対象物Wの表面に対して垂直である場合であり、この場合、反射光82の光軸が対物レンズ31の光軸80と一致し、対物レンズ31を経て測定対象物Wで反射された光の全てが対物レンズ31に再び入射する。一方、図7(b)は測定対象物WがA度傾斜していることで、対物レンズ31の光軸80が測定対象物Wの表面に対して垂直でない場合であり、この場合、反射光82の光軸が対物レンズ31の光軸と一致しなくなる。このとき、光軸80となす角度が対物レンズ31で取り込める角度θrの範囲内の反射光82のみが対物レンズ31に入射し、残りの反射光82は対物レンズ31に取り込むことができない。特に、測定対象物Wが追従測定対象物角度(測定対象物が傾斜しているときに、対物レンズが測定対象物で反射された光線を捉えることができる、測定対象物の最大の傾斜角度)を超えて傾斜している場合は、反射光82を対物レンズ31で取り込むことができず、測定不能になってしまう。
図8は、対物レンズ31の一方の焦点位置に設けられた絞り60を経て対物レンズ31の一方の側に入射した光が、他方の側で光軸80と平行になって測定対象物Wに到達するテレセントリック光学系において、測定対象物Wに達した入射光81が測定対象物Wの表面性状に応じて異なる反射態様を示すことを説明する図である。図8(a)は表面が光軸80に対して垂直かつ平坦な測定対象物Wの場合であり、測定対象物Wによる反射光82は入射光81の軌跡を逆向きに辿り、対物レンズ31に入射する。これに対し、図8(b)は表面が凸形状の測定対象物Wの場合であり、測定対象物Wによる反射光82は入射光81の軌跡に対して外側に逸れる。特に、凸形状の曲率半径が小さく、測定対象物Wの傾斜が対物レンズ31の追従測定対象物角度より大きくなる場合には、反射光82を取り込むことができない。また、図8(c)は表面が凹形状の測定対象物Wの場合であり、測定対象物Wによる反射光82は入射光81の軌跡に対して内側に逸れる。特に、凹形状の曲率半径が小さく、測定対象物Wの傾斜が対物レンズ31の追従測定対象物角度より大きくなる場合には、反射光82を取り込むことができない。
本発明の目的は、測定対象物の光軸に対して垂直でない表面部分からの反射光を光学系に取り込むことが可能な光干渉測定装置及び光干渉測定方法を提供することにある。
(1)本発明の光干渉測定装置は、光源、干渉対物レンズ、撮像手段、及び絞りを備える。光源は白色光などの光を出射する。干渉対物レンズは、参照光路に配置される参照ミラーと、光源から入射した光を参照光路と測定光路とに分岐するとともに参照ミラーを経た反射光と測定光路に配置された測定対象物を経た反射光とを合成した合成光を出力するビームスプリッタと、を備える。撮像手段は、ビームスプリッタから出力された合成光が結像した画像を撮像する。絞りは、干渉対物レンズと光源及び撮像手段との間の光路上に、干渉対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられ、光線の経路を制御する。
主光線が干渉対物レンズから測定対象物に垂直に照射されたときに、最も効率よく反射光が干渉対物レンズに取り込まれる。そのため、例えば、測定対象物が凸形状の場合には、測定対象物に照射する主光線は光軸に近づくように傾斜していることが望ましく、測定対象物が凹形状の場合には、測定対象物に照射する主光線は光軸から離れるように傾斜していることが望ましい。本発明の構成によれば、絞りを干渉対物レンズの焦点位置より干渉対物レンズ側に移動することで、主光線を光軸に近づくように傾斜させることができる。また、絞りを干渉対物レンズの焦点位置より干渉対物レンズ側に移動することで、主光線を光軸から離れるように傾斜させることができる。これにより、測定対象物の光軸に対して垂直でない表面部分においても、測定対象物への主光線の照射角度を垂直に近づけることができ、測定対象物からの反射光を光学系に取り込みやすくなる。そして、測定対象物が凸形状、凹形状の場合には、対物レンズの追従測定対象物角度に基づく凹凸の曲率半径の制限が緩和される。
(2)参照ミラーを形状の異なる別の参照ミラーに交換又は切替可能に構成してもよい。絞りの位置を変化させることで、主光線が光軸に対して傾斜するが、この主光線の光軸に対する傾斜は測定光路のみならず参照光路においても発生する。平坦な参照ミラーに主光線が傾斜して入射すると、入射してきた方向とは異なる方向に反射し、反射光を効率よく対物レンズで取り込むことができない。主光線が入射してきた方向に垂直な面と参照ミラーとがなす角度が対物レンズの追従測定対象物角度より大きくなる場合、参照ミラーからの反射光を対物レンズで取り込めなくなる。そこで、絞りの位置に応じて、主光線が参照ミラーを垂直に近い角度で照射する形状の別の参照ミラーに交換又は切替可能に構成することで、参照ミラーからの反射光を対物レンズが効率的に取り込むことができる。
(3)測定対象物が凸形状の場合には、絞りを干渉対物レンズの撮像手段側の焦点位置より撮像手段側に移動するとともに、凸形状の参照ミラーを適用するとよい。これにより、主光線が垂直に近い角度で測定対象物及び参照ミラーに照射されるように制御できるため、各反射光を対物レンズに効率的に取り込むことができる。
(4)測定対象物が凹形状の場合には、絞りを干渉対物レンズの撮像手段側の焦点位置より干渉対物レンズ側に移動し、凹形状の参照ミラーを適用するとよい。これにより、主光線が垂直に近い角度で測定対象物及び参照ミラーに照射されるように制御できるため、各反射光を対物レンズに効率的に取り込むことができる。
(5)絞りと撮像手段との間の光路上に、焦点位置を絞りの位置に移動可能な結像レンズを備えてもよい。絞りの位置に結像レンズの焦点を合わせることで、結像レンズと撮像手段との間がテレセントリックになり、撮像手段の像面に達する光束を像面のどこにも垂直に入射させることができるため、光束の斜入射による受光効率の低下を防ぐことができる。
(6)光源と絞りとの間の光路上に、焦点位置を絞りの位置に移動可能なコリメータレンズを備えてもよい。絞りの位置にコリメータレンズの焦点を合わせることで、絞りを移動させたことによる測定対象物に照射される光量の低下を防ぐことができる。
(7)干渉対物レンズの方式は、例えば、マイケルソン型、ミロー型及びリニーク型を適用することができる。
(8)本発明の光干渉測定方法は、光源、光源から入射した光を参照光路と測定光路とに分岐するとともに参照光路に配置された参照ミラーを経た反射光と測定光路に配置された測定対象物を経た反射光とを合成した合成光を出力する干渉対物レンズ、合成光が結像した画像を撮像する撮像手段、及び干渉対物レンズと光源及び撮像手段との間の光路上に干渉対物レンズの光軸方向に移動可能に設けられた絞りを備える光干渉測定装置を用いて、測定対象物が凸形状の場合は、絞りを干渉対物レンズの撮像手段側の焦点位置より撮像手段側に、測定対象物が凹形状の場合は、絞りを干渉対物レンズの撮像手段側の焦点位置より干渉対物レンズ側に、移動させて測定を行う。
主光線が干渉対物レンズから測定対象物に垂直に照射されたときに、最も効率よく反射光が干渉対物レンズに取り込まれる。そのため、測定対象物が凸形状の場合には、測定対象物に照射する主光線は光軸に対して内側に向いていることが望ましく、測定対象物が凹形状の場合には、測定対象物に照射する主光線は光軸に対して外側に向いていることが望ましい。本発明の構成によれば、絞りを干渉対物レンズの焦点位置より干渉対物レンズ側に移動することで測定対象物を照射する主光線を内側に向けることができる。また、絞りを干渉対物レンズの焦点位置より干渉対物レンズ側に移動することで測定対象物を照射する主光線を外側に向けることができる。これにより、測定対象物の光軸に対して垂直でない表面部分においても、測定対象物への主光線の照射角度を垂直に近づけることができ、測定対象物からの反射光を光学系に取り込みやすくなる。そして、測定対象物が凸形状、凹形状の場合には、対物レンズの追従測定対象物角度に基づく凹凸の曲率半径の制限が緩和される。
(9)測定対象物が凸形状の場合は凸形状の参照ミラーを用い、測定対象物が凹形状の場合は凹形状の前記参照ミラーを用いて測定を行ってもよい。これにより、主光線が垂直に近い角度で測定対象物及び参照ミラーに照射されるように制御できるため、各反射光を対物レンズに効率的に取り込むことができる。
(10)絞りと撮像手段との間の光路上に設けられた結像レンズの焦点位置を、絞りの位置に移動して測定を行ってもよい。絞りの位置に結像レンズの焦点を合わせることで、結像レンズと撮像手段との間がテレセントリックになり、撮像手段の像面に達する光束を像面のどこにも垂直に入射させることができるため、光束の斜入射による受光効率の低下を防ぐことができる。
(11)光源と絞りとの間の光路上に設けられたコリメータレンズの焦点位置を、絞りの位置に移動して測定を行ってもよい。絞りの位置にコリメータレンズの焦点を合わせることで、絞りを移動させたことによる測定対象物に照射される光量の低下を防ぐことができる。
本発明の光干渉測定装置を実装した測定装置の全体構成例を示す斜視図である。 本発明の光干渉測定装置の構成を光路とともに示す模式図である。 絞りを光軸の方向に移動することにより主光線の向きが制御されることを説明する図である。 絞りを光軸の方向に移動することにより主光線の向きを制御する具体例を示す図である。 コンピュータシステムの構成を示すブロック図である。 従来の光干渉測定装置の構成を光路とともに示す模式図である。 測定対象物の傾斜の有無により反射光の方向が変化することを説明する図である。 測定対象物の形状により反射光の方向が変化することを説明する図である。
以下、本発明に係る光干渉測定装置を実装した測定装置100について、図面を参照しつつ説明する。なお、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、測定装置100の全体構成を示す斜視図である。測定装置100は、非接触型の画像測定装置110と、この画像測定装置110を駆動制御すると共に、必要なデータ処理を実行するコンピュータシステム120とを備える。なお、測定装置100は、これらの他、計測結果等をプリントアウトするプリンタ等を適宜備えてもよい。
画像測定装置110は、架台111と、試料台(ステージ)112と、支持アーム113aおよび113bと、X軸ガイド114と、撮像ユニット115とを備える。図1に示されるように、画像測定装置110は、フロアに設置された除振台130上に配置される。除振台130はフロアの振動が台上の測定装置に伝搬するのを防ぐ。除振台130はアクティブ型及びパッシブ型のいずれであってもよい。除振台130の天板上には架台111が配置され、その上に、測定対象物Wを載置するステージ112がその上面をベース面として水平面と一致するように載置される。ステージ112は、図示しないY軸駆動機構によってY軸方向に駆動され、測定対象物Wを撮像ユニットに対してY軸方向に移動可能とされている。架台111の両側縁中央部には上方に延びる支持アーム113a、113bが固定され、この支持アーム113a、113bの両上端部を連結するようにX軸ガイド114が固定される。このX軸ガイド114は、撮像ユニット115を支持する。撮像ユニット115は、図示しないX軸駆動機構によってX軸ガイド114に沿って駆動される。
撮像ユニット115は、測定対象物Wの二次元画像を撮像する画像光学ヘッド115aおよび光干渉測定により測定対象物Wの三次元形状を測定する本発明の光干渉測定装置である光干渉光学ヘッド115bを着脱可能に備え、いずれかのヘッドを用いて、コンピュータシステム120が設定する測定位置で測定対象物Wを測定する。また、コンピュータシステム120からの移動指令によって光干渉光学ヘッド115bを光軸方向(すなわちZ軸方向)に移動させる図示しない光干渉光学ヘッド駆動手段を備える。
画像光学ヘッド115aの測定視野は光干渉光学ヘッド115bの測定視野よりも通常広く設定し、コンピュータシステム120による制御により、両ヘッドを切り替えて使用できる。画像光学ヘッド115aと光干渉光学ヘッド115bは、一定の位置関係を保つよう、共通の支持板により支持され、切り替えの前後で測定の座標軸が変化しないよう予めキャリブレーションされる。
画像光学ヘッド115aは、CCDカメラ、照明装置、フォーカシング機構等を備え、測定対象物Wの二次元画像を撮影する。撮影された二次元画像のデータはコンピュータシステム120に取り込まれる。
図2は、光干渉光学ヘッド115bの構成を光路とともに示す模式図である。光干渉光学ヘッド115bは、図2に示すように照明部10、ビームスプリッタ20、干渉対物レンズ30、結像レンズ40、撮像手段50、及び絞り61を備える。なお、ここでは干渉対物レンズ30にマイケルソン型を適用した場合で説明するが、ミロー型やリニーク型を適用した場合でも同様な原理により同様な効果を得ることができる。
照明部10は、光源11とコリメータレンズ12を備える。光源11は、広帯域にわたる多数の波長成分を有しコヒーレンシーの低い広帯域光を出力する光源であり、例えば、ハロゲンやLED(Light Emitting Diode)などの白色光源が用いられる。コリメータレンズ12は、光源11から入射した光を平行にしてビームスプリッタ20に照射する。ビームスプリッタ20は、干渉対物レンズ30(対物レンズ31)の光軸と直角な方向から照射された照明部10からの平行ビームを、干渉対物レンズ30の方向に向きを変えて出射する。干渉対物レンズ30は、対物レンズ31、ビームスプリッタ32、及び参照ミラー33を備える。ビームスプリッタ20から対物レンズ31に入射した平行ビームは収束光となり、ビームスプリッタ32で参照光路と測定光路に分岐される。参照光路を進んだ光は収束して参照ミラー33で反射され、広がりながら再びビームスプリッタ32に入射する。測定光路を進んだ光は収束して測定対象物Wを照射し、そこで反射されて広がりながら再びビームスプリッタ32に入射する。ビームスプリッタ32に入射した各反射光は合成されて出射され、対物レンズ31で平行ビームとなって、ビームスプリッタ20を通過して結像レンズ40に入射する。結像レンズ40は合成光(測定対象物Wからの反射光と参照ミラー33からの反射光)を収束させ撮像手段50上に干渉画像を結像させる。撮像手段50は、2次元の撮像素子からなるCCDカメラ等であり、合成光の干渉画像を撮像する。撮像された画像のデータはコンピュータシステム120に取り込まれる。絞り61は、干渉対物レンズ30と照明部10及び結像レンズ40との間の光路上に、干渉対物レンズ30の光軸方向に移動可能に設けられる。絞り61の移動は、例えば、コンピュータシステム120による制御の下、図示しない絞り駆動手段により行う。
図3は、絞り61を光軸80の方向に移動することにより主光線(絞り61の中心を通る光線)の向きが制御されることを説明する図である。図3(a)は絞り61が対物レンズ31の一方の焦点位置65にある場合であり、この場合には対物レンズ31を経た主光線90が光軸80と平行になるテレセントリックな状態となる。これに対し、図3(b)は絞り61を焦点位置からより対物レンズ31側に移動させた場合であり、絞り61を対物レンズ31に近づければ近づけるほど対物レンズ31を経た主光線90は光軸80に近づくように傾斜する。また、図3(c)は絞り61を焦点位置65から撮像手段50側に移動させた場合であり、絞り61を撮像手段50に近づければ近づけるほど対物レンズ31を経た主光線90は光軸80から離れるように傾斜する。
光学系のこのような特徴を利用することで、測定対象物Wの光軸に対して垂直でない表面部分からの反射光を光学系に取り込みやすくなる。すなわち、主光線が干渉対物レンズから測定対象物に垂直に照射されたときに最も効率よく反射光が干渉対物レンズに取り込まれるため、絞りを移動し、主光線の向きを制御することで測定対象物Wへの主光線の照射角度を垂直に近づけることができる。
例えば、測定対象物Wの表面性状が凸形状や凹形状の場合には、対物レンズ31の追従測定対象物角度に基づく凹凸の曲率半径の制限を緩和することができる。測定対象物Wの表面性状が凸形状の場合、測定対象物Wの表面の垂直方向は光軸80から離れていく方向であるため、主光線90を垂直に近い角度で測定対象物Wに照射するには、主光線90が光軸80に近づくように主光線90の向きを制御すればよい。すなわち、その場合は図4(a)に示すように絞り61を焦点位置65から撮像手段50側に移動すればよい。これにより、主光線90の測定対象物Wへの照射角度を垂直に近づけることができる。そのため、主光線90の向きを制御しない場合と比べ、より小さい曲率半径の凸形状の場合にも対物レンズ31に反射光を入射させることができる。また、測定対象物Wの表面性状が凹形状の場合、測定対象物Wの表面の垂直方向は光軸80に近づいていく方向であるため、主光線90を垂直に近い角度で測定対象物Wに照射するには、主光線90が光軸80から離れていくように主光線90の向きを制御すればよい。すなわち、その場合は図4(b)に示すように絞り61を焦点位置65から対物レンズ31側に移動すればよい。これにより、主光線90の測定対象物Wへの照射角度を垂直に近づけることができる。そのため、主光線90の向きを制御しない場合と比べ、より小さい曲率半径の凹形状の場合にも対物レンズ31に反射光を入射させることができる。
絞り61の位置を変化させることで、主光線90が光軸80に対して傾斜するが、この主光線90の光軸80に対する傾斜は測定光路のみならず参照光路においても発生する。平坦な参照ミラー33に主光線90が傾斜して入射すると、入射してきた方向とは異なる方向に反射し、反射光を効率よく対物レンズ31で取り込むことができない。特に、主光線90が入射してきた方向に垂直な面と参照ミラー33とがなす角度が対物レンズ31の追従測定対象物角度より大きくなる場合、参照ミラー33からの反射光を対物レンズ31で取り込めなくなる。そこで、絞りの位置に応じて、主光線が参照ミラーを垂直に近い角度で照射する形状の別の参照ミラーに交換又は切替可能に構成することで、参照ミラーからの反射光を対物レンズが効率的に取り込むことができる。切替可能に構成するには、例えば、絞りの位置の所定の範囲ごとに参照ミラーを用意しておき、設定した絞りの位置に連動して該当する参照ミラーに切り替えるようにするとよい。
絞りの位置は、測定対象物の表面性状に応じて決定され、絞りの位置が決定されることで参照ミラーの望ましい表面性状が決定される。すなわち、絞りの位置は主光線が測定対象物をなるべく垂直に近い角度で照射するように決定されるため、参照ミラーの表面性状についても測定対象物の表面性状に近いものとすることで、参照ミラーに主光線が垂直に近い角度で照射される。これにより、参照ミラーからの反射光を対物レンズが効率的に取り込むことができる。例えば、測定対象物が凸形状の場合には、絞りを干渉対物レンズの撮像手段側の焦点位置より撮像手段側に移動するとともに、凸形状の参照ミラーを適用するとよい。また、測定対象物が凹形状の場合には、絞りを干渉対物レンズの撮像手段側の焦点位置より干渉対物レンズ側に移動し、凹形状の参照ミラーを適用するとよい。
絞り61を結像レンズ40の焦点位置に置くことで、結像レンズ40と撮像手段50との間がテレセントリックになり、撮像手段50の像面に達する光束を像面のどこにも垂直に入射させることができるため、光束の斜入射による受光効率の低下を防ぐことができる。しかし、主光線の向きの制御のために絞り61を移動すると、絞り61の位置が結像レンズ40の焦点位置からずれてしまう。そこで、結像レンズ40として、焦点位置を移動可能な、例えばズーム又はバリフォーカル光学系のものを適用するとよい。これにより、絞り61の移動に合わせて焦点位置を絞り61の位置に移動することができ、結像レンズ40と撮像手段50との間をテレセントリックな状態に維持することができる。結像レンズ40の焦点位置の移動は、例えば、コンピュータシステム120の制御により行う。
また、絞り61をコリメータレンズ12の焦点位置に置くことで、最も効率よく光源11からの光を干渉対物レンズ30に入射することができるが、主光線の向きの制御のために絞り61を移動すると、絞り61の位置がコリメータレンズ12の焦点位置からずれてしまう。そこで、コリメータレンズ12として、焦点位置を移動可能な、例えばズーム又はバリフォーカル光学系のものを適用するとよい。これにより、絞り61の移動に合わせて焦点位置を絞り61の位置に移動することができ、光源11からの光を効率的に干渉対物レンズ30に入射することができる。コリメータレンズ12の焦点位置の移動は、例えば、コンピュータシステム120の制御により行う。
光干渉光学ヘッド駆動手段は測定に際し、参照光路と測定光路の光路長差が0となるように、光干渉光学ヘッド115bを光軸方向(すなわちZ軸方向)に移動させることで測定光路の長さを調整する。なお、測定光路の長さの調整は、ステージ112を移動させることにより行うように構成してもよい。また、図示しないピエゾアクチュエータにより参照ミラー33を光軸方向に移動させることにより参照光路の長さを調整して光路長差を0にしてもよい。
光干渉光学ヘッド115bは、コンピュータシステム120による制御の下、光干渉光学ヘッド駆動手段により光軸方向の位置を移動走査されながら撮像手段50による撮像を繰り返す。撮像手段50により撮像された各移動走査位置での干渉画像の画像データはコンピュータシステム120に取り込まれ、測定視野内の各位置について、干渉縞のピークが生じる移動走査位置を検出し、測定対象物Wの測定面の各位置における高さ(Z方向位置)が求められる。
コンピュータシステム120は、コンピュータ本体121、キーボード122、ジョイスティックボックス(以下、J/Sと呼ぶ)123、マウス124及びディスプレイ125を備える。
図5に示すように、コンピュータ本体121は、制御の中心をなすCPU121aと、記憶部121bと、ワークメモリ121cと、インタフェース121d、121e、121f、121gと、ディスプレイ125での表示を制御する表示制御部121hとを備える。
キーボード122、J/S123及びマウス124から入力されるオペレータの指示情報は、インタフェース121dを介してCPU121aに入力される。インタフェース121eは、測定装置110と接続され、CPU121aからの各種制御信号を測定装置110に供給し、測定装置110から各種のステータス情報や測定結果を受信してCPU121aに入力する。
画像測定モードが選択されている場合、表示制御部121hは、ディスプレイ125に画像光学ヘッド115aのCCDカメラから供給された画像信号による画像を表示する。光干渉測定モードが選択されている場合、表示制御部121hは、光干渉光学ヘッド115bにより撮影した画像、CADデータ、光干渉光学ヘッド115bにより測定した三次元形状データ等を、CPU121aによる制御に基づき適宜ディスプレイ125に表示する。画像光学ヘッド115aや光干渉光学ヘッド115bによる測定結果は、インタフェース121fを介してプリンタに出力することができる。また、インタフェース121gは、外部の図示しないCADシステム等により提供される測定対象物WのCADデータ(設計データ)を、所定の形式に変換してコンピュータシステム120に入力する。
ワークメモリ121cは、CPU121aの各種処理のための作業領域を提供する。記憶部121bは、例えばハードディスクドライブやRAM等により構成され、CPU121aにより実行されるプログラム、測定装置110による測定結果等を格納する。
CPU121aは、各インタフェースを介した各種入力情報、オペレータの指示及び記憶部121bに格納されたプログラム等に基づいて、画像光学ヘッド115aによる画像測定モードと光干渉光学ヘッド115bによる光干渉測定モードとの切り替え、測定範囲の指定、絞り61の移動、コリメータレンズ12及び結像レンズ40の焦点位置の移動、撮像ユニット115のX軸方向への移動、ステージ112のY軸方向への移動、画像光学ヘッド115aによる二次元画像の撮像、光干渉光学ヘッド115bによる干渉画像の測定と三次元形状データの算出等の各種の処理を実行する。
本発明の光干渉測定装置の各構成要素及び各機能は、必要に応じ併合・分割しても構わない。また、本発明において表現されている技術的思想の範囲内で適宜変更が可能であり、その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含む。
本発明の光干渉測定方法をコンピュータにより実行する場合、その処理内容はプログラムによって記述される。そのプログラムは、例えば、ハードディスク装置に格納されており、実行時には、必要なプログラムやデータがRAM(Random Access Memory)に読み込まれて、そのプログラムがCPUにより実行されることにより、コンピュータ上で各処理内容が実現される。
1 光干渉測定装置 10 照明部 11 光源
12 コリメータレンズ 20、32 ビームスプリッタ
30 干渉対物レンズ 31 対物レンズ 33 参照ミラー
40 結像レンズ 50 撮像手段 60、61 絞り
65 焦点位置 80 光軸 81 入射光
82 反射光 90 主光線 100 測定装置
110 画像測定装置 111 架台 112 試料台
113a、113b 支持アーム 114 X軸ガイド
115 撮像ユニット 115a 画像光学ヘッド
115b 光干渉光学ヘッド 120 コンピュータシステム
121 コンピュータ本体 121a CPU
121b 記憶部 121c ワークメモリ
121d、121e、121f、121g インタフェース
121h 表示制御部 122 キーボード
123 ジョイスティックボックス 124 マウス
125 ディスプレイ

Claims (11)

  1. 光を出射する光源と、
    参照光路に配置される参照ミラーと、入射した前記光を前記参照光路と測定光路とに分岐するとともに前記参照ミラーを経た反射光と前記測定光路に配置された測定対象物を経た反射光とを合成した合成光を出力するビームスプリッタと、を備える干渉対物レンズと、
    前記合成光が結像した画像を撮像する撮像手段と、
    前記干渉対物レンズと前記光源及び前記撮像手段との間の光路上に、前記干渉対物レンズの光軸方向に移動が可能な絞りと、
    を備えることを特徴とする光干渉測定装置。
  2. 前記参照ミラーを形状の異なる別の参照ミラーに交換又は切替可能であることを特徴とする請求項1に記載の光干渉測定装置。
  3. 前記絞りが前記干渉対物レンズの前記撮像手段側の焦点位置より前記撮像手段側に位置し、前記参照ミラーが凸形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉測定装置。
  4. 前記絞りが前記干渉対物レンズの前記撮像手段側の焦点位置より前記干渉対物レンズ側に位置し、前記参照ミラーが凹形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光干渉測定装置。
  5. 前記絞りと前記撮像手段との間の光路上に、焦点位置を前記絞りの位置に移動可能な結像レンズを備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の光干渉測定装置。
  6. 前記光源と前記絞りとの間の光路上に、焦点位置を前記絞りの位置に移動可能なコリメータレンズを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の光干渉測定装置。
  7. 前記干渉対物レンズは、マイケルソン型、ミロー型又はリニーク型の構成をとっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の光干渉測定装置。
  8. 光を出射する光源と、
    参照光路に配置される参照ミラーと、入射した前記光を前記参照光路と測定光路とに分岐するとともに前記参照ミラーを経た反射光と前記測定光路に配置された測定対象物を経た反射光とを合成した合成光を出力するビームスプリッタと、を備える干渉対物レンズと、
    前記合成光が結像した画像を撮像する撮像手段と、
    前記干渉対物レンズと前記光源及び前記撮像手段との間の光路上に、前記干渉対物レンズの光軸方向に移動が可能な絞りと、
    を備える光干渉測定装置を用いた光干渉測定方法において、
    前記測定対象物が凸形状の場合は、前記絞りを前記干渉対物レンズの前記撮像手段側の焦点位置より前記撮像手段側に、前記測定対象物が凹形状の場合は、前記絞りを前記干渉対物レンズの前記撮像手段側の焦点位置より前記干渉対物レンズ側に、移動させて測定を行う光干渉測定方法。
  9. 前記測定対象物が凸形状の場合は凸形状の前記参照ミラーを用い、前記測定対象物が凹形状の場合は凹形状の前記参照ミラーを用いることを特徴とする請求項8に記載の光干渉測定方法。
  10. 前記絞りと前記撮像手段との間の光路上に設けられた結像レンズの焦点位置を、前記絞りの位置に移動して測定を行うことを特徴とする請求項8又は9に記載の光干渉測定方法。
  11. 前記光源と前記絞りとの間の光路上に設けられたコリメータレンズの焦点位置を、前記絞りの位置に移動して測定を行うことを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の光干渉測定方法。

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