JP6685670B2 - X線発生管、x線発生装置、x線撮影システム、x線発生装置の調整方法 - Google Patents

X線発生管、x線発生装置、x線撮影システム、x線発生装置の調整方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば医療機器、非破壊検査装置等に適用できるX線発生管、X線発生装置、および、X線撮影システムおよびそれらの調整方法に関する。
X線発生装置は、X線発生管と、管電圧を印加する管電圧回路、電子放出部を制御するカソード制御回路、を備えることにより、外部から曝射条件が制御可能となっている。
X線発生管に識別パターン部を付与する事が公知である。特許文献1には、モデル番号、シリアル番号を符号化したバーコードをX線発生管に貼付すること、及び、かかる識別パターン部に基づいてX線発生管毎の使用時間を記録しX線発生管の交換時期を呈示すること、が開示されている。
特開平5−283192号公報
X線発生管は、所定の動作履歴に基づいて交換される交換部品であり、また、交換されるX線発生管は、X線発生装置毎に適合するように特定の型番が指定されている。従って、X線発生管毎に識別パターン部を設け、X線発生管を個別に管理することが製造上、メンテナンス上、要求される。かかる識別パターン部は、識別パターン部の設置面積の確保の点から、X線発生管の絶縁管に付与される場合があった。
一方で、絶縁管に識別パターン部が形成されたX線発生管を用いて、X線撮影を行う場合に、均一性、再現性において撮影画像の品質が低下することがあった。
本願発明者等の検討により、かかる撮影品質の低下は、ターゲット上に形成されX線が発生する焦点の位置または形状が変動すること、かかる焦点位置または形状の変動に識別パターン部が関係していることが判った。
本願発明は、識別パターン部が形成された絶縁管を有し、焦点の位置変動または変形が抑制された信頼性の高いX線発生管、及び、X線発生装置を提供することを目的とし、高画質のX線画像を取得できるX線撮影システムを提供することを目的とする。
本願発明の第1は、絶縁管と、前記絶縁管の管軸方向における一端に接続され電子放出部を備える陰極と、前記絶縁管の他端に接続され電子の照射によりX線を放出するターゲットを備える陽極と、を備えたX線発生管であって、
前記絶縁管の外周に識別パターン部が付与され、前記識別パターン部は、前記絶縁管のシート抵抗の10倍以上のシート抵抗を有することを特徴とする。
また、本願発明の第2は、絶縁管を有するX線発生管と、前記X線発生管に管電圧を印加する管電圧回路と、を有するX線発生装置の調整方法であって、前記X線発生管は、前記絶縁管に前記X線発生管に関する情報が符号化された識別パターン部を有し、前記識別パターン部は前記絶縁管のシート抵抗の10倍以上のシート抵抗を有し、かつ、前記駆動回路の駆動条件の調整に係る情報が符号化され記録されており、前記識別パターン部に記録された前記情報に基づいて、前記駆動回路の前記駆動条件を調整することを特徴とする。
本願発明によれば、絶縁管に識別パターン部が形成されているX線発生管であっても、焦点位置の変動が抑制された信頼性の高いX線発生管、および、X線発生装置を提供することが可能となる。また、本願発明のX線発生管を備えることにより、安定して高画質のX線画像が取得できるX線撮影システムを提供することが可能となる。
本願発明の第1の実施形態に係るX線発生管を示す断面図(a)、3面図(b)、(d)、(e)、部分拡大図(c)、電位分布を示す断面図(f)、電位勾配グラフ(g)である。 本願発明の第2の実施形態に係るX線発生管を示す断面図(a)、正面図(b)である。 本願発明の第3の実施形態に関わるX線発生管を示す正面図(a)〜(d)と側面図(e)である。 本願発明の第4の実施形態に係るX線発生装置を示す構成図である。 本願発明の第5の実施形態に係るX線撮影システムを示す構成図である。 本願発明の第6〜第8の実施形態に係るX線発生管、X線発生装置の製造工程、システム化の工程を示すフローチャートである。 第1の参考形態に係るX線発生管の二面図(a)、(b)、部分拡大図(c)、断面図(d)、電位勾配を示すグラフ(e)、電位分布を示す断面図(f)である。 第2の参考形態に係るX線発生管の二面図(a)、(b)、部分拡大図(c)、断面図(d)、電位勾配を示すグラフ(e)、電位分布を示す断面図(f)である。 第3の参考形態に係るX線発生管の二面図(a)、(b)、部分拡大図(c)、断面図(d)、電位勾配を示すグラフ(e)、電位分布を示す断面図(f)である。
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を用いて詳細に説明する。これらの実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対配置などは、この発明の範囲を限定する趣旨のものではない。また、本明細書で特に図示又は記載されない部分に関しては、当該技術分野の周知又は公知の技術を適用する。 <X線発生管>
まず、X線発生管の基本的な構成について図1(a)を用いて説明する。
図1には、透過型のターゲットを端窓として備えるX線発生管1が示されている。X線発生管は、絶縁管2と、絶縁管2の管軸方向(x方向)における一端に接続され電子放出部4cを備える陰極4と、絶縁管2の管軸方向における他端に接続され電子の照射によりX線を発生するターゲット5bを備える陽極5と、を備えている。このような構成とすることにより、ターゲット5bに対する電子線の照射量により出力強度が制御されたX線を発生させること可能とするものである。
なお、陰極4は、電子放出部4cを備える電子放出源4bと、電子放出源4bと絶縁管2とに接続されている陰極部材4aとを備えている。陰極4は、電子の放出源であるとともに、X線発生管1の陰極電位を規定する電極、X線発生管1の外囲器の一部を構成している。
また、陽極5は、ターゲット層5cと支持基板5dを備えるターゲット5bと、ターゲット5bと絶縁管2とに接続されている陽極部材5aとを備えている。の真空外囲器を規定する構造部材を兼ねている。陽極5は、X線発生領域を備えるとともに、X線発生管1の陽極電位を規定する電極、X線発生管1の外囲器の一部を構成している。
本実施形態のX線発生管1の絶縁管2には、識別パターン部7が付与されている。識別パターン部7は、X線発生管1に関わる情報が符号化されたものであって、かかる符号化された情報には、日付、時刻、型番、ロット番号、シリアル番号、製造装置、製造工場、検査装置、検査者の少なくともいずれかを含むX線発生管の製造が含まれる。本願発明の特徴である識別パターン部については後述する。
本願発明者等の鋭意なる検討の結果、絶縁管に識別パターン部が形成されたX線発生管において焦点の品質低下に関わる課題を発見し以下の4点の観測事実を確認した。
・焦点の変動の有無は、絶縁管表面の識別パターン部の有無に対応している場合があること。
・焦点の変動量(位置ずれ量)は、識別パターン部のシート抵抗に依存し、低抵抗である場合に変動量が大きく、ある抵抗値を超えると影響を変動が抑制される事。
・焦点の変動方向(方位角方向の位置ずれ)は、管周方向における識別パターン部の位置に依存している事。
・焦点の変動方向(管径方向の位置ずれ)は、管軸方向における識別パターン部の位置に依存している事。
かかる観測事実に基づき本願発明者等は、「焦点位置の変動要因は、識別パターン部が陽極陰極間の静電場を乱す事にある」ものと推定するに至った。本願発明が解決すべき課題は、第1〜第3の参考形態に係るX線発生管を示す第7〜図9を用いて説明する。
<第1の参考形態>
図7は、第1の参考形態に係るX線発生管300の二面図(a)、(b)、図1(b)の拡大図(c)、断面図(d)、電位勾配を示すグラフ(e)、電位分布を示す断面図(f)である。
図7(a)〜(f)に示す通り、第1の参考形態に係るX線発生管300の絶縁管302は、識別パターン部が付与されていない。
X線発生管300は、陰極部材4aと電子放出源4bとを備えた陰極4と、陽極部材5aとターゲット5bとを備えた陽極5と、絶縁管302と、を備えている。
X線発生管300の内部空間の静電場は、陰極4と陽極5と絶縁管302とにより規定される。本参考形態では、絶縁管302は管周方向において均一な絶縁特性を有しているため、図7(f)に示すように、X線発生管300内の電位分布は、x1軸(y=0)の周りに回転対称性を有している。このため、電子放出部4cから出た電子は、ターゲット5bに向かって直進して加速され、図7(c)、(f)に示すようにターゲット5bに、焦点308を形成する。焦点308は、焦点中心308c周りに周方向の対称性を有した真円状のビームプロファイルを呈している。
なお、図7(d)に示すように、本参考形態のX線発生管300の電位分布の対称性は、X軸に平行な仮想的な3つの軸、x0軸、x1軸、x2軸を代表させて説明される。3つの軸x0軸、x1軸、x2軸は、それぞれ、(y座標、z座標)が、(−Ψ/2、0)、(0、0)、(+Ψ/2、0)であって、x方向と平行にとった仮想軸である。ただし、Ψは、絶縁管302の外周径(直径)であり、x方向は、管軸方向に平行にとられている。
図7(f)に示すように、電子放出源4bは陰極部材4aから陽極部材5に向けて突出して陰極電位を規定している為、陰極部材4aの側に近い等電位面は、電子放出源4の突出形状に依存してx1軸を挟んで軸対称に変形している。即ち、陰極部材4aの側に近い電場は、管径方向に(yz面内に)おいてx1軸を挟んで軸対称な電位分布を有している。
また、図7(f)に示すように、陽極5の側に近い等電位面は、電子放出源4の突出形状の影響が小さい為に、陽極5に倣い陽極5に平行に延在していることが読み取られる。
かかる管周方向の電位分布の対称性は、管軸方向の電位勾配を示す図7(e)からも読み取られ、x0軸上、x2軸上のそれぞれ電位は、管軸方向に亘って(0≦x≦ta)よく一致している。なお、図7(e)の電位勾配グラフに示す一点鎖線は、陰極部材4aから陽極部材5aにかけて等間隔に等電位面が形成された仮想的なリニア電位勾配を示している。
以上のように、識別パターン部を設けない場合は、絶縁管302の管周方向の対称性に基づき、焦点308の中心308cは、識別パターン部7の影響を受けずに、ターゲット5b上に形成されることが判る。
<第2の参考形態>
図8は、第2の参考形態に係るX線発生管320の二面図(a)、(b)、図1(b)の拡大図(c)、断面図(d)、電位勾配を示すグラフ(e)、電位分布を示す断面図(f)である。
図8(a)には、絶縁管302より低いシート抵抗を有する識別パターン部327が絶縁管302上に設けられた参考形態に係るX線発生管320が示されている。
本参考形態の識別パターン部327は、ベース部327bにモデル番号とシリアル番号が印字部327aとして記録されている。550nmの可視光に対する反射率において、ベース部327bが10%、印字部327aが75%である。
本参考形態の識別パターン部327のシート抵抗は、絶縁管302のシート抵抗の1/10である。なお、本願明細書に記載の各実施形態、参考形態においてシート抵抗は、管電圧が印加されたX線発生管に準じ、管軸方向に沿った電界で規定されるシート抵抗を意味する、即ち、管軸方向のシート抵抗である。また、印字部327aとベース部327bとはシート抵抗においては区別しない。
また、本参考形態の識別パターン部327は、図8(a)、(b)、(d)、(f)の各図に示す通り、管周方向の一部において、絶縁管302に付与されている。
X線発生管320は、絶縁管302の1/10のシート抵抗を有する識別パターン部327を備えている点において、第1の参考形態のX線発生管300と相違する。
本参考形態の識別パターン部327は、電子放出源4bの陽極側端部(x=te)と陰極部材4aとの接続部の(x=0)の間の領域に位置している。言い返ると、識別パターン部327は、電子放出源4bと管軸方向において重なって陰極4の側に位置している。
X線発生管320の内部空間の静電場は、陰極4と陽極5と絶縁管302と識別パターン部327とにより規定される。識別パターン部327が設けられた絶縁管302は、管周方向において不均一な絶縁特性を有しているため、図8(f)に示すように、X線発生管320内の電位分布は、X1軸(y=0)を挟んで非対称性を有している。かかる電位分布の非対称性により、電子放出部4cから出た電子は、図8(b)、(c)、(f)に示すようにターゲット5b上に、識別パターン部327から遠ざかる方向にずれた焦点329を形成する。また、焦点329は、図8(b)、(c)に示すように焦点中心329c周りの対称性が崩れ、識別パターン部327から遠ざかる方向に伸びた扁平ビームプロファイルを呈している。
電子放出部4cから放出された電子は、電子放出源4bの陽極側端部(x=te)付近から徐々に加速されるため、電子放出部4c近傍における電子は、ターゲット5bに衝突する直前よりも低速であって、管径方向の電場の非対称性の影響を受けやすい。従って、本参考形態では、図8(f)に示すように、電子放出源4bの陽極側端部(x=te)付近のx0軸上の電位は、x2軸上の電位より低く、識別パターン部327が設けられたx0軸側から電子を反発させる静電場の非対称性が形成される。
なお、かかる管周方向の電位分布の非対称性は、管軸方向の電位勾配を示す図8(e)からも読み取られ、x0軸、x2軸上のそれぞれ電位は相違している部分を有している。
特に、x0軸上の電位勾配がフラットな領域は、識別パターン部327が設けられている管軸方向の領域に対応しており、かかる非対称な電位勾配の支配要因となっていることが判る。x0軸上の電位勾配がフラットな領域は、識別パターン部327のシート抵抗が低い為に、絶縁管302が規定する電位勾配が低減された領域に対応する。
管電圧Vaは、識別パターン部327の有無に依存せずに印加されている為、識別パターン部327に対応する領域より陰極側、陽極側のそれぞれの領域には、x2軸上よりも高い電位勾配が形成されていることが、図8(e)から読み取られる。
<第3の参考形態>
図9は、第3の参考形態に係るX線発生管340の二面図(a)、(b)、図1(b)の拡大図(c)、断面図(d)、電位勾配を示すグラフ(e)、電位分布を示す断面図(f)である。
図9(a)には、絶縁管302より低いシート抵抗を有する識別パターン部347が絶縁管302上に設けられたX線発生管340が示されている。
本参考形態の識別パターン部347は、第2の参考形態と同様に、印刷層347bにモデル番号とシリアル番号がテキストパターン347aとして記録されている。本参考形態の識別パターン部347のシート抵抗は、絶縁管302のシート抵抗の1/10である。
X線発生管340は、絶縁管302の1/10のシート抵抗を有する識別パターン部347を備えている点において、第1の参考形態のX線発生管300と相違する。
また、本参考形態の識別パターン部347は、電子放出源4bの陽極側端部(x=te)と陽極5(x=ta)の間に位置している。即ち、X線発生管340は、識別パターン部347が、管軸方向において、電子放出源4bと重ならない領域に設けられている点において、第2の参考形態のX線発生管320と相違する。
X線発生管340の内部空間の静電場は、陰極4と陽極5と絶縁管302と識別パターン部347とにより規定される。識別パターン部347が設けられた絶縁管302は、管周方向において不均一な絶縁特性を有しているため、図9(f)に示すように、X線発生管340内の電位分布は、x1軸(y=0)を挟んで非対称性を有している。かかる非対称な電位分布により、電子放出部4cから出た電子は、図9(b)、(c)に示すようにターゲット5b上に、識別パターン部347に近づく方向にずれた焦点349を形成する。また、図9(b)、(c)、(f)に示すように、焦点349は、焦点中心349c周りの対称性が崩れ、識別パターン部347に近づく方向に伸びた扁平ビームプロファイルを呈している。
本参考形態では、図9(f)に示すように、電子放出源4bの陽極側端部(x=te)付近のx0軸上の電位は、x2軸上の電位より高く、識別パターン部347が設けられたx0軸側に電子を吸引させる静電場の非対称性が形成される。
なお、かかる管周方向の電位分布の非対称性は、管軸方向の電位勾配を示す図9(e)からも読み取られ、x0軸、x2軸上のそれぞれ電位は相違している部分を有している。
特に、x0軸上の電位勾配がフラットな領域は、識別パターン部347が設けられている管軸方向の領域に対応しており、かかる非対称な電位勾配の支配要因となっていることが判る。x0軸上の電位勾配がフラットな領域は、識別パターン部347のシート抵抗が低い為に、絶縁管302が規定する電位勾配が低減された領域に対応する。
管電圧Vaは識別パターン部347の有無に依存せずに印加されている為、識別パターン部347に対応する領域より陰極側、陽極側のそれぞれの領域には、x2軸上よりも高い電位勾配が形成されていることが、図8(e)から読み取られる。
以上、第2、第3の参考形態で説明したとおり、絶縁管上に形成した識別パターン部のシート抵抗が絶縁管より低い事に起因して、焦点の位置ずれ、焦点形状の変形が生じる場合があった。
<第1の実施形態>
図1は、本願発明の第1の実施形態に係るX線発生管1を示す断面図(a)、三面図(b)、(d)、(e)、図1(b)の部分拡大図1(c)、電位分布を示す断面図(f)、電位勾配グラフ(g)である。図1(b)、(c)、(d)、(e)は、それぞれ、第1の実施形態に係るX線発生管1の正面図、背面図、陰極側側面図、陽極側側面図である。
図1(a)、(e)には、絶縁管2より高いシート抵抗を有する識別パターン部7が絶縁管2上に設けられたX線発生管1が第1の実施形態として示されている。
本実施形態の識別パターン部7は、第2,3の参考形態と同様に、印刷層7bにモデル番号とシリアル番号がテキストパターン7aとして記録されている。本実施形態の識別パターン部7のシート抵抗は、絶縁管2のシート抵抗の10倍である。また、本実施形態の識別パターン部7は、図1(a)、(b)、(d)、(e)、(f)の各図に示す通り、管周方向の一部において、絶縁管2に付与されている。尚、図1(e)は、図1(b)の支持線A−Aの側から見た正面図であり、図1(f)は、図1(b)の支持線B−Bの側から見た背面図である。
本実施形態のX線発生管1は、絶縁管2の10倍のシート抵抗を有する識別パターン部7を備えている点において、第2、第3の参考形態のX線発生管320、340と相違する。
本実施形態の識別パターン部7は、電子放出源4bの陽極側端部(x=te)と陰極部材4aとの接続部の(x=0)の間の領域に位置している。言い返ると、識別パターン部7は、電子放出源4bと管軸方向において重なって陰極4の側に位置している。
本実施形態の識別パターン部7が絶縁管2よりも高い絶縁性を有しているため、絶縁管2により規定される静電場に与える影響は絶縁管2が支配的となり、識別パターン部7は、絶縁管2により規定される静電場にほとんど影響を及ぼさない。従って、X線発生管1の内部空間の静電場は、識別パターン部を有さない第1の参考形態と同様に、陰極4と陽極5と絶縁管2で規定される。
識別パターン部7が設けられているものの、絶縁管2は、x1軸を囲む管周方向において均一な絶縁特性を有しているため、図1(f)、(g)に示すように、X線発生管1内の電位分布は、x1軸(y=0)の周りに回転対称性を有している。このため、電子放出部4cから出た電子は、ターゲット5bに向かって直進して加速され、図1(f)に示すようにターゲット5bに焦点8を形成する。焦点8は、図1(c)に示すように、焦点中心8c周りに周方向の対称性を有した真円状のビームプロファイルを呈している。
なお、図1(f)に示すように、本実施形態のX線発生管1の絶縁管2の電位分布の対称性は、X軸に平行な仮想的な3つの軸、x0軸、x1軸、x2軸を代表させて説明される。3つの軸x0軸、x1軸、x2軸は、y、z座標が、それぞれ、(−Ψ/2、0)、(0、0)、(+Ψ/2、0)であって、x方向と平行とられた仮想軸である。ただし、Ψは絶縁管2の外周径(直径)であり、x方向は管軸方向に平行にとられている。
図1(f)に示すように、電子放出源4bは陰極部材4aから陽極部材5に向けて突出して陰極電位を規定している為、陰極部材4aの側に近い等電位面は、電子放出源4の突出形状に依存してx1軸を挟んで軸対称に変形している。即ち、陰極部材4aの側に近い電場は、管径方向に(yz面内に)おいてx1軸を挟んで軸対称な電位分布を有している。
また、図1(f)に示すように、陽極5の側に近い等電位面は、電子放出源4の突出形状の影響が小さい為に、陽極5に倣い陽極5に平行に延在していることが読み取られる。
かかる管周方向の電位分布の対称性は、管軸方向の電位勾配を示す図7(e)からも読み取られ、x0軸上、x2軸上のそれぞれ電位は、管軸方向に亘って(0≦x≦ta)よく一致している。なお、図1(g)の電位勾配グラフに示す一点鎖線は、図7(e)と同様に、陰極部材4aから陽極部材5aにかけて等間隔に等電位面が形成された仮想的なリニア電位勾配を示している。
以上のように、絶縁管2より高いシート抵抗を有する識別パターン部7が絶縁管2に設けられた場合は、絶縁管2の管周方向の対称性に基づき、焦点8および焦点中心8cは、識別パターン部7の影響を受けずに、ターゲット5b上に形成されることが判る。
識別パターン部7は、絶縁管2がX線発生管1の静電場分布に影響を及ぼさない程度に高抵抗であれば良く、絶縁管2のシート抵抗より高いことが好ましく、絶縁管2のシート抵抗の10倍以上であることがより好ましい。
絶縁管2のシート抵抗は、室温で、1×1011〜1×1016Ω/□の範囲が採用される。従って、識別パターン部7のシート抵抗は、1×1016Ω/□以上であることが好ましい。
絶縁管2は、ガラス、セラミック等の絶縁体であって気密性、耐熱性を有する管状構造とされる。絶縁管2の絶縁性は、陽極5と陰極4との間に持続的に管電圧を印加可能なように絶縁性を有することが求められる。一方で、消費電力、発熱の制限の範囲内の管電流を許容する程度の導電性を付与することが可能である。導電性が付与された絶縁管は、絶縁管内外の帯電の影響を時定数τの数倍程度の時間で減衰させることが可能である。
導電性が付与された絶縁管は、管壁自体に導電性、半導体性を有する粒子を分散したバルク電流場電位規定の態様、あるいは、管壁の内側表面または外側表面に高抵抗膜、半導体膜を形成した電流場電位規定層の態様がとられる。
なお、時定数τ(秒)は、管軸方向に流れる帯電電荷の緩和時間に想到し、体積抵抗ρ誘電率εとしたときε×ρで与えられる可観測量であり、また、シート抵抗Rs、シート容量Csとしたとき、Rs×Csで与えられる可観測量である。
絶縁管2は、ガラス、セラミック等の金属酸化物が適用可能である。絶縁管2がセラミック管の場合、真空器気密容器の耐大気圧強度を担保する意図から、セラミック管の外表面に釉薬を塗布し焼成し、セラミック管本体に圧縮応力を形成する表面強化層とする場合がある(図6、表面強化層)。第1の実施形態においては、不図示の表面強化層を電流場電位規定層として利用している。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るX線発生管21を示す図2を用いて、第1の実施形態の変形例を説明する。
第2の実施形態のX線発生管21は、第1の実施形態のX線発生管1とは、識別パターン部7の位置においてのみ相違する。
従って、識別パターン部7は、絶縁管2の10倍のシート抵抗を有している点において、実施形態1と共通する。識別パターン部7は、絶縁管2が規定する静電場を乱さない為、電子放出源4bの陽極5側の端面よりも陽極側に位置していても、焦点の位置変動を生じない。すなわち、絶縁管2よりも高いシート抵抗を有する識別パターン部7は、絶縁管2の管軸方向の位置に依らずに本願発明の態様に含まれる。
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態に係るX線発生管31a〜31eを示す図3(a)〜(f)を用いて第1の実施形態の変形例を説明する。
図3(a)〜(e)の各図に示す第3の実施形態のそれぞれは、異なる態様で符号化された識別パターン部を備えている点において、第1の実施形態と相違する。
図3(a)に示す識別パターン部17は、第1の実施形態の識別パターン部7のネガポジ反転したパターンが印刷されたものである。550nmの可視光に対する反射率は、ベース部17bが75%、印字パターン部17aが10%である。
また、図3(b)に示す識別パターン部27は、シリアル番号を二次元パターンコードに符号化したものである。なお、550nmの可視光に対する反射率は、ベース部27bが75%、印字パターン部27aが5%である。27cは、X線発生管31bの管周方向の位置合わせを行うための位置基準である。識別パターン部7、17、27のいずれも、印字パターン部とベース部との間の反射率コントラストに基づき、光学的にパターンが読み取られる。
また、図3(c)、(d)に示す識別パターン部37a、37bは、シリアル番号を符号化した一次元バーコードである。識別パターン部37aと37bとは、バーコードの配列方向が相違する。識別パターン部37a、37bのいずれも、識別パターン部7、17、27と同様に、反射率コントラストに基づいて光学的にパターンが読み取られる。
また、図3(e)、(f)に示す識別パターン部47aは、27aと同様に、X線発生管31eの管周方向の位置合わせを行うための位置基準である。識別パターン部47は、47aの識別性を高めるためのアイコンである。識別パターン部47aは、図3(f)に示す通り、yz面内における管周方向において固有の位置に形成されている。
識別パターン部7、17、27、37a、37b、47はスクリーン印刷で設けているが、識別パターンの付与方法は、マスク印刷、インクジェット印刷、ジェルジェット印刷等のパターン付与手段に適宜置換可能である。また、識別パターンの付与方法は、パターンが形成されたラベルシートを絶縁管に添付する方法、および、絶縁管に添付したシートに印刷等によりパターンを形成する方法を含む。
以上のように、識別パターン部の形態は、光学センサ、静電場センサ等により識別可能であればよく。テキストパターンのみならず、アイコン、モノグラム、二次元パターンコード、一次元バーコード等が含まれる。光学的な識別手法は、反射強度分布を有するパターン部を読み取る形態、蛍光や燐光等の自発光形態の発光強度分布を読み取る形態が含まれる。光学的な識別手法に限らず、静電気、磁気、硬度、ヤング率等の様々な物理量の強度分布が本願発明の読み出し識別パターン部に含まれる。
なお、識別パターン部は、陰極、陽極上に設けることが考えられる。しかしながら、可能ではあるが、陰極、陽極上に識別パターン部を形成するスペースが制限される点、X線発生装置内の実装形態、製造時の搬送形態において、ケーブル、コリメータ、把持部材等によりマスクされ視認性が制限される場合があった。したがって、本願発明においては、識別性の観点から、絶縁管の外周上に識別パターン部が形成されているX線発生管を対象としている。
<X線発生装置>
次に、本願発明のX線発生管が適用されるX線発生装置の基本的な構成について説明する。図4に、本願発明の第4の実施形態に係るX線発生管1を備えたX線発生装置101が示されている。X線発生装置101は、X線発生管1、および、X線発生管1を駆動するための駆動回路106と、X線発生管1および駆動回路106を収納する収納容器107と、を備えている。
駆動回路106aにより、陰極4および陽極5の間に管電圧Vaが印加され、ターゲット5bと電子放出源4bとの間に加速電界が形成される。ターゲット層5cの層厚と金属種とに対応して、管電圧Vaを適宜設定することにより、撮影に必要な線種を選択することができる。
X線発生管1及び駆動回路106を収納する収納容器107は、容器としての十分な強度を有し、かつ放熱性に優れたものが望ましく、その構成材料として、真鍮、鉄、ステンレス等の金属材料が用いられる。
収納容器107内のX線発生管1と駆動回路106以外の余空間には、絶縁性流体108が充填されている。絶縁性流体108は、電気絶縁性を有する液体で、収納容器107の内部の電気的絶縁性を維持する役割と、X線発生管1の冷却媒体としての役割とを有する。絶縁性流体108としては、鉱油、シリコーン油、パーフロオロ系オイル等の電気絶縁油、SF6等の絶縁性ガス等が用いられる。
なお、本実施形態において、駆動回路106は、収納容器107の内部にX線発生管1とともに収納されているが、収納容器の外部に配置しても良い。
X線発生装置101において、X線発生管1を交換する際に、絶縁管3に付与された識別パターン部7に基づいてX線発生装置101の調整または校正を行うことができるため、X線発生管1のX線放出特性のバラツキを効率的に補償できる。本実施形態では、絶縁管より高いシート抵抗の識別パターン部7を有している為に、識別パターン部7に由来する焦点位置や焦点形状の変動が抑制された状態で、X線発生装置101の調整を行うことができる。
この結果、X線発生装置101の各種調整を迅速化し、簡易なものとすることが可能となる。従って、X線発生装置101のX線放出特性を安定化するのみならず、X線発生装置101の稼働率を向上する事が可能となる。
なお、管電圧回路106aから出力される管電圧が、識別パターン部7に基づいて調整される場合を本願発明は態様として含む。同様にして、カソード制御回路106bの制御の元に電子放出源4bから放出される電子放出量が、識別パターン部7に基づいて調整される場合を本願発明は態様として含む。なお、カソード制御回路106bは、図1に示す電子放出部4cからターゲット5bに向けて放出される電子放出量を制御するために、電子放出部4bに接続されている。
また、X線発生装置101は、識別パターン部7を識別する不図示の識別センサを備えることにより、X線発生管1を実装する際に、確実に、X線発生管に関する情報をX線発生装置101に出力することが可能となる。
<X線撮影システム>
次に、本発明のX線発生管が適用されるX線撮影システムの基本的な構成について説明する。図5は第5の実施形態に係るX線撮影システム200を示す概略構成図である。
システム制御装置202は、X線発生装置101とX線検出装置201とを統合して制御する。X線発生装置101は駆動回路106の駆動信号のもとに曝射動作が制御される。駆動回路106は、システム制御装置202による制御の下に、X線発生管1に各種の制御信号を出力する。駆動回路106が出力する制御信号により、X線発生装置101から放出されるX線束の放出状態が制御される。
X線発生装置101から放出されたX線束は、被検体204を透過して検出器206で検出される。検出器206は、検出したX線を画像信号に変換して信号処理部205に出力する。信号処理部205は、システム制御装置202による制御の下に、画像信号に所定の信号処理を施し、処理された画像信号をシステム制御装置202に出力する。
システム制御装置202は、処理された撮影画像信号に基づいて、表示装置203に画像を表示させるための表示信号を表示装置203に出力する。表示装置203は、入力された表示信号に基づく画像を、被検体204の撮影画像としてスクリーンに表示する。
X線撮影システムは、工業製品の非破壊検査や人体や動物の病理診断に用いることができる。
X線撮影システム200において、X線発生管1を設置または交換する際に、絶縁管に付与された識別パターン部7に基づいてX線撮影システムシステム200の撮影条件の調整を行うことができる。このとき、絶縁管より高いシート抵抗の識別パターン部を有している為に、識別パターン部に由来する焦点位置や焦点形状の変動が抑制された状態で、X線撮影システム200の撮影条件の調整を行うことができる。
この結果、X線発生管1の製造ロット内バラツキ、撮影結果に及ぼす可能性のある製造ロット間バラツキの影響が効果的に抑制される。即ち、X線発生管1に固有の「くせ」が撮影品質に影響しないように、X線発生装置101の校正を行うことが可能となる。
本実施態様によれば、X線発生管1を実装する度に、X線撮影システム200の各種調整を行う手間が省ける為、X線撮影システム200の調整が迅速化され、作業負荷を軽減することが可能となる。従って、X線撮影システム200の撮影品質を安定化するのみならず、X線撮影システム200の稼働率を向上させる事が可能となる。
<調整シーケンス>
次に、図6(a)〜(c)の各図を用いて、識別パターン部7を用いた調整シーケンスを説明する。
図6(a)は、本発明のX線発生管の製造工程に関わるX線発生管の管製造工程700の各工程を例示するものである。
管製造工程700は、以下の各ステップを含む。
・絶縁管を準備する工程(ステップ702)
・絶縁管の表面に表面強化層を形成する工程(ステップ704)
・陰極部材、陽極部材との接合を安定化する接合下地層を形成する工程(ステップ706)
・陰極部材と電子放出源とを接合し陰極を形成する工程(ステップ708)
・絶縁管と陰極とを接合する工程(ステップ710)
・陽極部材と電子放出源とを接合し陽極を形成する工程(ステップ712)
・絶縁管と陽極とを接合する工程(ステップ714)
・絶縁管、陰極、陽極により形成される外囲器の内部を加熱し真空排気する工程(ステップ716)
・外囲器を封止する工程(ステップ718)
・外囲器の真空度を検査する工程(ステップ720)
・陽極・陰極間の耐電圧特性を検査する工程(ステップ722)
・外囲器の外願を検査する工程(ステップ724)
・陽極電流等を測定しX線発生管に実装された電子放出部の電子放出特性を検査する工程(ステップ726)
・X線発生管のX線放出特性を検査する工程(ステップ728)
等を含む。
識別パターン部は、ステップ702からステップ728の任意のステップの間、或いは、ステップにおいて、絶縁管に付与することが可能である。
また、識別パターン部が付与された工程以降の任意の製造工程、製造工程間において、付与後の識別パターン部に基づいて、製造条件の調整が可能である。
例えば、ステップ704以前の工程において、絶縁管の濡れ性に関わる情報が関連付けられた識別パターン部が付与され、ステップ704、706いずれかの層形成工程において、識別パターン部に基づき調整された層形成条件で層形成することが可能となる。同様にして、絶縁管の濡れ性に関わる情報が関連付けられた識別パターン部が付与され、ステップ710、714いずれかの接合工程において、識別パターン部に基づき調整された接合条件で接合を行うことが可能となる。
また、ステップ712以降ステップ728以前の工程において、ターゲットの特性に関わる情報が関連付けられた識別パターン部が絶縁管に付与され、識別パターン部に基づいてX線発生管の放出特性を調整することが可能である(ステップ730)。
なお、識別パターン部は、X線発生管に関わる情報自体が符号化されたものでも良いし、X線発生管に関わる情報と関連付けられた識別コードが符号化されたものでも良い。即ち、X線発生管に関わる情報と、関連付けられた識別コードとが、記憶媒体に格納され、かかる記憶媒体から、識別コードに関連付けられたX線発生管に関わる情報を読み出すことも、本願発明のX線発生管の調整方法の態様に含まれる。
図6(b)は、X線発生装置を製造する装置製造工程750の各工程を例示するものである。
装置製造工程750は、以下の工程を含む。
・管製造工程700
・収納容器にX線発生管を収納する工程(ステップ730)
・管電圧回路をX線発生管および収納容器に実装する工程(ステップ732)
・カソード制御回路をX線発生管に実装する工程(ステップ734)
・装置製造工程750は、収納容器のX線発生管の余空間に絶縁油を充填する工程(ステップ736)
・収納容器を封止しモノタンクを形成する工程(ステップ738)
・モノタンクの耐圧を検査する工程(ステップ740)
・X線発生装置のX線放出特性を検査する工程(ステップ742)
と、を含む。
本願発明において、識別パターン部は、ステップ700からステップ734のいずれのステップの間、或いは、ステップにおいて、絶縁管に付与することが可能である。
また、識別パターン部が付与された工程以降の任意の製造工程、製造工程間において、付与後の識別パターン部に基づいた製造工程の製造条件の調整が可能である。
例えば、ステップ730以前の工程において、X線発生管の管電流―管電圧特性に関わる情報が関連付けられた識別パターン部が付与され、ステップ740または742において、識別パターン部に基づいて、X線発生装置を駆動する駆動条件が調整可能される。かかる駆動回路の調整されるパラメータには、電子放出源が放出する電子放出量が含まれる。また、かかる駆動回路の調整されるパラメータには、X線発生管の管電圧の上限が含まれる。X線発生管毎に管電圧の上限が設定されることにより、X線発生装置の放電破壊のリスクを低減することが可能となる。
なお、X線発生管毎に識別される管電圧の上限は、管耐圧検査(ステップ722)、および、装置耐圧検査(ステップ740)により決定される。
図6(c)は、本発明のX線撮影システムのシステム化に関わる工程780の各工程を例示するものである。
システム化工程780は、システム制御装置のもとにX線発生装置とX線検出装置とが統合して制御されるように、システム制御装置、X線発生装置、X線検出装置とを接続する工程(ステップ760)を含む。
さらに、システム化工程780は、システム制御装置に表示装置を接続する工程(762)、システム制御装置に記憶装置を接続する工程(ステップ764)を含む。
本実施形態のシステム化工程780において、X線発生管毎に固有の「くせ」が撮影品質に影響しないように、X線撮影条件の調整を行うことが可能となる。(ステップ770)。本実施態様によれば、撮影の度に、X線発生管に関する各種調整を行う手間が省ける為、X線撮影システムの調整が迅速化され、作業負荷を軽減することが可能となる。
また、本実施形態のシステム化工程780において、図5に示す表示装置203に対してシステム制御装置202は撮影画像信号または撮影条件信号を出力し、表示装置203はスクリーンに撮影画像または撮影条件を表示させる。かかる撮影条件に、識別パターン部に基づいて取得したX線発生管1に関わる情報が含まれる。(ステップ772)が可能となる。この結果、X線発生装置を分解することなく、X線発生管に関わる情報をX線撮影システムの操作者は認知することが可能となる。
また、本実施形態のシステム化工程780において、識別パターン部に基づいて、図5に示す記録装置209に対してシステム制御装置202は記録指令を行うことで、X線発生管に関わる情報を記録させること(ステップ774)が可能となる。この結果、X線発生装置を開けることなく、X線発生管に関わる情報を操作者は、撮影画像と関連付けて読み出すことが可能となる。
なお、本願発明は、反射型のターゲットを備えた反射型X線発生管も実施態様に含むものである。
1 X線発生管
2 絶縁管
4 陰極
4b 電子放出部
5 陽極
5b ターゲット
7 識別パターン部

Claims (16)

  1. 絶縁管と、前記絶縁管の管軸方向における一端に接続され電子放出部を備える陰極と、前記絶縁管の他端に接続され電子の照射によりX線を放出するターゲットを備える陽極と、を備えたX線発生管であって、
    前記絶縁管の外周に識別パターン部が付与され、前記識別パターン部は、前記絶縁管のシート抵抗の10倍以上のシート抵抗を有することを特徴とするX線発生管。
  2. 前記識別パターン部の前記シート抵抗は1×1016Ω/□以上であることを特徴とする請求項1に記載のX線発生管。
  3. 前記識別パターン部は、前記X線発生管に関わる情報が符号化されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載のX線発生管。
  4. 前記情報は、前記X線発生管の製造に関わる日付、時刻、型番、ロット番号、シリアル番号、製造装置、製造工場、検査装置、検査者の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項3に記載のX線発生管。
  5. 前記識別パターン部は、前記X線発生管の管周方向の位置合わせを行うための位置基準であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のX線発生管。
  6. 前記識別パターン部は、光学センサ、静電場センサにより識別可能なパターンを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のX線発生管。
  7. 前記識別パターン部は、一次元バーコード、二次元パターンコード、テキストパターンの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のX線発生管。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載のX線発生管と、
    前記X線発生管を駆動する駆動回路と、を有するX線発生装置。
  9. 前記駆動回路は、前記陰極と前記陽極との間に管電圧を印加する管電圧回路を含み、
    前記識別パターン部に符号化され記録された前記管電圧の調整に係る情報に基づいて前記管電圧回路が調整され、調整された前記管電圧で駆動されることを特徴とする請求項8に記載のX線発生装置。
  10. 前記駆動回路は、前記電子放出部からの電子放出量を制御するカソード制御回路を含み、
    前記識別パターン部に符号化され記録された前記電子放出量の調整に係る情報に基づいて前記カソード制御回路が調整され、調整された前記電子放出量で駆動されることを特徴とする請求項8または9に記載のX線発生装置。
  11. 前記識別パターン部を識別する識別センサをさらに備えていることを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載のX線発生装置。
  12. 請求項8乃至11のいずれか1項に記載のX線発生装置と、
    前記X線発生装置から発生し被検体を透過したX線を検出するX線検出装置と、
    前記X線発生装置と前記X線検出装置とを統合して制御するシステム制御装置と、
    を有するX線撮影システムであって、
    前記システム制御装置は、前記識別パターン部に符号化され記録された前記撮影条件の調整に係る情報に基づいて前記撮影条件を調整することを特徴とするX線撮影システム。
  13. 前記システム制御装置から出力された撮影画像信号または撮影条件信号が入力され、前記撮影画像または前記撮影条件を表示する表示装置をさらに有し、
    前記システム制御装置は、前記表示装置に前記識別パターン部に基づいて前記X線発生管に関わる情報を表示することを特徴とする請求項12に記載のX線撮影システム。
  14. 絶縁管を有するX線発生管と、
    前記X線発生管を駆動する駆動回路と、を有するX線発生装置の調整方法であって、
    前記X線発生管は、前記絶縁管に前記X線発生管に関する情報が符号化された識別パターン部を有し、
    前記識別パターン部は、前記絶縁管のシート抵抗の10倍以上のシート抵抗を有し、かつ、前記駆動回路の駆動条件の調整に係る情報が符号化され記録されており、
    前記識別パターン部に記録された前記情報に基づいて、前記駆動回路の前記駆動条件を調整することを特徴とするX線発生装置の調整方法。
  15. 前記X線発生管は、電子放出部と前記電子放出部から放出された電子によりX線を発生するターゲットとを有し、
    前記駆動回路は、前記電子放出部からの電子放出量を制御するカソード制御回路を有し、
    前記駆動条件は、前記識別パターン部に基づいて調整される前記電子放出量であることを特徴とする請求項14に記載のX線発生装置の調整方法。
  16. 前記X線発生管は、電子放出部と前記電子放出部から放出された電子によりX線を発生するターゲットとを有し、
    前記駆動回路は、前記電子放出部と前記ターゲットとの間に管電圧を印加する管電圧回路を有し、
    前記駆動条件は、前記識別パターン部に基づいて設定される前記管電圧の上限であることを特徴とする請求項14に記載のX線発生装置の調整方法。
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