図面を参照して実施例の車両用冷却システムを説明する。以下、車両用冷却システムの一例として、ハイブリッド車の冷却系として搭載されるものを例示して説明する。まず、ハイブリッド車2の構成を図1を参照して説明する。図1に、ハイブリッド車2の駆動系の構成例を表すブロック図を示す。
ハイブリッド車2は、走行用の駆動源として、モータ8とエンジン6を備えている。モータ8の出力トルクとエンジン6の出力トルクは、動力分配機構7で適宜に分配され、あるいは合成されて出力される。動力分配機構7は、例えばプラネタリギアである。動力分配機構7は、エンジン6の出力軸6a及びモータ8のモータ軸8aから夫々伝達されて入力される動力を、所定比率で分配し、あるいは合成して出力軸7aに出力する。動力分配機構7の出力は、さらに変速機9を介して駆動輪10a、10bに伝達される。変速機9は、動力分配機構7の出力軸7aから入力される回転を、選択された変速段に応じたギア比で変速してプロペラシャフト9aに出力し、デファレンシャルギヤ10を介して駆動輪10a、10bを駆動する。なお、図1では、本明細書の説明に要する部品だけを表しており、説明に関係のない部品は図示を省略していることに留意されたい。
モータ8を駆動するための電力はメインバッテリ3から供給される。メインバッテリ3の出力電圧は、例えば300ボルトである。なお、図示を省略しているが、ハイブリッド車2は、メインバッテリ3のほかに、カーナビゲーション装置やルームランプなど、メインバッテリ3の出力電圧よりも低い電圧で駆動するデバイス群(通称「補機」と称される)に電力を供給するための補機バッテリも備える。後述の冷却システム11を構成する2機のウォータポンプ13、14や冷却コントローラ20なども補機の一種である。また、「メインバッテリ」の呼称は、「補機バッテリ」と区別するための便宜上のものである。
メインバッテリ3は、システムメインリレー4を介してパワーコントロールユニット5(以下「PCU5」と称する)に接続される。システムメインリレー4は、メインバッテリ3と車両の駆動系を接続したり切断したりするスイッチである。システムメインリレー4は、上位システムのHVコントローラ50により切り替えられる。
PCU5は、メインバッテリ3とモータ8の間に介在する電力変換装置である。PCU5は、メインバッテリ3の電圧をモータ8の駆動に適した電圧(例えば600ボルト)まで昇圧する電圧コンバータ(不図示)、昇圧後の直流電力を交流に変換するインバータ(不図示)、及び、これらを制御するパワーコントローラ30を含む。インバータの出力がモータ8への供給電力に相当する。なお、PCU5では、後述の冷却システム11により、電圧コンバータやインバータを構成する電子部品などが常時冷却されている。
ハイブリッド車2は、エンジン6の駆動力、あるいは車両の減速エネルギを利用、即ち制動の際、車両の運動エネルギを使ってモータ8で発電することもできる。このような発電は「回生」と称される。モータ8が発電する場合、インバータが交流を直流に変換し、さらに電圧コンバータがメインバッテリ3よりも僅かに高い電圧まで降圧してメインバッテリ3へ供給する。
電圧コンバータは、リアクトルやIGBTなどのスイッチング素子などにより構成されている。またインバータは、モータ8のU、V、Wの各相に対応してスイッチング動作を行うスイッチング素子などにより構成されている。これらは、パワーコントローラ30により制御されて所定のスイッチング動作を行い電圧を昇圧や降圧したり、直流を交流に変換したり、また交流を直流に変換したりしている。
パワーコントローラ30は、マイクロコンピュータ、メモリや入出力インタフェースなどの電子部品で構成される情報処理装置である。このパワーコントローラ30には、電圧コンバータ、インバータやHVコントローラ50が接続されて、前述のようなスイッチング動作の制御を行っている。パワーコントローラ30に接続されるHVコントローラ50には、運転者による操作情報として、例えば、アクセル開度情報やブレーキ踏力情報が入力される。そのため、各スイッチング素子の動作は、HVコントローラ50から入力されるアクセル開度などに応じた制御情報に従って行われる。
このように制御される電圧コンバータやインバータの各スイッチング素子は発熱量が大きい。また、モータ8も、発進時や上り坂などで急激に負荷がかかると発熱量が大きい。そのため、電圧コンバータ及びインバータを備えるPCU5や、駆動力を発生させるモータ8は、次に説明する冷却システム11によって常に冷却されている。
PCU5やモータ8を冷却する冷却システム11の構成を図2を参照して説明する。図2に、実施例の冷却システム11の構成例を表すブロック図を示す。冷却システム11は、2機のウォータポンプ13、14、リザーブタンク15、ラジエータ16、PCUクーラ17及びモータクーラ18と、それらを一巡する冷却パイプ12を備える。冷却パイプ12に冷媒の冷却液19を循環させて、PCUクーラ17によりPCU5を、またモータクーラ18によりモータ8を夫々冷却する。冷却システム11の主な冷却対象は、PCU5とモータ8である。
なお、図2においても、本明細書の説明に要する部品だけを表しており、説明に関係のない部品は図示を省略していることに留意されたい。また、図2におけるウォータポンプ13、14、PCUクーラ17などの配置は、作図上の便宜によるものであり、例えば、半導体とモータの耐熱性の相違など、冷却対象の特性に適した位置に配置される。
冷却液19は、例えばLLC(Long Life Coolant)である。冷却液19は、リザーブタンク15内に貯留されており、ウォータポンプ13、14により圧送されて冷却パイプ12内を循環する冷却媒体である。
2機のウォータポンプ13、14は、モータにより内部のインペラを回転させ、その遠心力によって揚程圧力を発生させてリザーブタンク15から冷却液19を汲み上げて送出する遠心式ポンプである。実施例では、PCUクーラ17を挟んで、上流側にウォータポンプ13を配置し、下流側にウォータポンプ14を配置している。以下、これらのウォータポンプ13、14を特に区別する場合には、上流側のポンプを第1ウォータポンプ13と称し、下流側のポンプを第2ウォータポンプ14と称する。2機のウォータポンプ13、14は、冷却パイプ12に直列で配置されている。
ウォータポンプ13、14の駆動量は、通常、冷却コントローラ20から出力されるウォータポンプ13、14のモータに対する回転数指令値により制御されている。例えば、回転数指令値に応じてデューティ比制御されるPWM信号の電圧によってウォータポンプ13、14の駆動量が制御される。
実施例では、冷却システム11は、PCUクーラ17により冷却されるPCU5のスイッチング素子の温度を検出する温度センサ21、冷却パイプ12を流れる冷却液19の温度、つまり液温を検出する温度センサ23を備えている。また、冷却システム11は、第1ウォータポンプ13の回転数を検出する回転数センサ24と、第2ウォータポンプ14の回転数を検出する回転数センサ25を備えている。回転数センサ24、25は、ウォータポンプ13、14のモータ又はインペラの回転数を検出する。
回転数センサ24、25から出力される回転数データは、冷却コントローラ20に入力される。回転数データは、第1ウォータポンプ13や第2ウォータポンプ14の運転制御などに用いられる。
ウォータポンプ13、14を制御する冷却コントローラ20は、パワーコントローラ30と同様に、マイクロコンピュータ、メモリや入出力インタフェースなどの電子部品で構成される情報処理装置である。冷却コントローラ20は時計機能を備えている。この冷却コントローラ20には、ウォータポンプ13、14のほかに、前述した各センサ21、23や上位システムのHVコントローラ50が接続されている。これにより、冷却コントローラ20は、後述するような第1ウォータポンプ13や第2ウォータポンプ14の運転制御などを行っている。なお、この冷却コントローラ20のメモリには、後述する各処理のプログラムやデータテーブルなどが記憶されている。
冷却コントローラ20に接続されるHVコントローラ50には、ハイブリッド車2の運転情報として、例えば、車速などの車両情報が入力される。これらは、例えば、車内LANを介してHVコントローラ50に入力される。冷却コントローラ20は、車速やアクセル開度の情報の入力により当該ハイブリッド車2が走行を開始した情報をHVコントローラ50から得る。
次に、2機のウォータポンプ13、14の回転数と冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量との関係について説明する。冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量は、2機のウォータポンプ13、14の回転数に応じて変化する。冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量は、第1ウォータポンプ13による流量と第2ウォータポンプ14による流量の合計である。よって、2機のウォータポンプ13、14のうち、一方のウォータポンプの回転数が増加すると、冷却液19の流量が増加する。同様に、一方のウォータポンプの回転数が低減すると、冷却液19の流量が低減する。例えば、第1ウォータポンプ13の回転数が増加すると、冷却液19の流量が増加し、第1ウォータポンプ13の回転数が低減すると、冷却液19の流量が低減する。第2ウォータポンプ14についても、第1ウォータポンプ13と同様である。
各ウォータポンプ13、14の回転数と冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量との関係は、予め実験やシミュレーションによって求められており、その関係を示すデータテーブルが冷却コントローラ20のメモリに予め記憶されている。図3は、第1ウォータポンプ13の回転数と冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量との関係を示している。また、図4は、第2ウォータポンプ14の回転数と冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量との関係を示している。各ウォータポンプ13、14の回転数と冷却液19の流量は1対1で対応している。本実施例では第1ウォータポンプ13と第2ウォータポンプ14を同じ性能のポンプとしている。なお、冷却液19の温度に応じて流量が変化する場合は、冷却液19の温度を考慮してもよい。
各ウォータポンプ13、14の回転数には、正常上限値及び正常下限値、並びに、ダイアグ上限値及びダイアグ下限値が存在する。正常上限値及び正常下限値は、ウォータポンプ13、14が正常に動作しているのか否かを区別するための閾値である。ウォータポンプ13、14の回転数が正常下限値以上であり、正常上限値以下である場合に、ウォータポンプ13、14は正常に動作している。以下では、このような状態のウォータポンプ13、14を「正常ポンプ」と呼ぶ。
ダイアグ上限値及びダイアグ下限値は、ウォータポンプ13、14が故障しているのか否かを区別するための閾値である。ウォータポンプ13、14の回転数がダイアグ下限値以下である場合は、ウォータポンプ13、14は故障しているということができる。以下では、このような状態のウォータポンプ13、14を「故障ポンプ」と呼ぶ。この故障ポンプでは、冷却システムで予め想定されている冷却性能を達成することが難しくなる。また、ウォータポンプ13、14の回転数がダイアグ上限値以上である場合も、ウォータポンプ13、14は故障しているということができる。
また、ウォータポンプ13、14の回転数が正常下限値よりも低く、ダイアグ下限値よりも高い場合は、ウォータポンプ13、14の回転数が通常よりも低下している。以下では、このような状態のウォータポンプ13、14を「回転低下ポンプ」と呼ぶ。回転低下ポンプでは、冷却システムで予め想定されている冷却性能を達成することが難しくなる。また、ウォータポンプ13、14の回転数が正常上限値よりも高く、ダイアグ上限限値よりも低い場合は、ウォータポンプ13、14の回転数が通常よりも増加している。
続いて、図5を参照して冷却コントローラ20によって実行される処理を説明する。この処理は、冷却コントローラ20のメモリに予め格納(記憶)した対応するプログラムを冷却コントローラ20のマイクロコンピュータが適宜実行することにより実現される。この処理は、当該冷却システム11が稼動し始めた直後から行われる。即ち、この処理は、ハイブリッド車2のパワースイッチ(始動スイッチ)がオンにされてから同スイッチがオフにされるまでの間において実行される。
まず、図5に示す開始時点では、2機のウォータポンプ13、14が正常に動作しているとする。2機のウォータポンプ13、14は、正常ポンプである。2機のウォータポンプ13、14の回転数に応じた流量の冷却液19が冷却パイプ12を流れている。2機のウォータポンプ13、14の回転数は、正常下限値と正常上限値の間の値である。
続いて、ステップS10では、冷却コントローラ20が、ウォータポンプ13、14のいずれかの回転数が、正常下限値よりも低くなることを監視する。具体的には、冷却コントローラ20が、回転数センサ24、25から、それぞれ、ウォータポンプ13、14の回転数を取得する。ウォータポンプ13、14のいずれかの回転数が正常下限値よりも低くなった場合は、ステップS10で冷却コントローラ20がYesと判断して、ステップS11に進む。例えば、第1ウォータポンプ13のインペラに異物が噛み込むことによって第1ウォータポンプ13の回転数が低下して正常下限値よりも低くなった場合に、ステップS10でYesと判断される。本実施例では、第1ウォータポンプ13の回転数が正常下限値よりも低くなったと仮定して説明する。また、第2ウォータポンプ14の回転数は正常であると仮定して説明する。すなわち、2個のウォータポンプ13、14のうち、一方のウォータポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数が正常下限値よりも低くなり、他方のウォータポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数が正常である場合について説明する。なお、ステップS10において、ウォータポンプ13、14の両方の回転数が正常である場合は、冷却コントローラ20がNoと判断して待機する。
続いて、ステップS11では、冷却コントローラ20が、上記のステップS10において回転数が正常下限値よりも低いと判断されたウォータポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数が、ダイアグ下限値よりも低いか否かを判断する。第1ウォータポンプ13の回転数がダイアグ下限値よりも低い場合は、ステップS11で冷却コントローラ20がYesと判断して、ステップS12に進む。回転数がダイアグ下限値よりも低いウォータポンプは故障ポンプである。よって、ステップS11でYesと判断された場合は、そのウォータポンプは故障ポンプである。一方、第1ウォータポンプ13の回転数がダイアグ下限値以上である場合は、ステップS11で冷却コントローラ20がNoと判断して、ステップS20に進む。回転数が正常下限値より低く、ダイアグ下限値以上であるウォータポンプは回転低下ポンプである。よって、ステップS11でNoと判断された場合は、そのウォータポンプは回転低下ポンプである。本実施例では、第1ウォータポンプ13が、故障ポンプ又は回転低下ポンプであると仮定して説明する。
ステップS11でYesと判断された後のステップS12では、冷却コントローラ20が、故障ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を低減する。具体的には、冷却コントローラ20が、故障ポンプの回転数を0(ゼロ)にする。冷却コントローラ20が、故障ポンプのモータに対する回転数指令値として0を出力して故障ポンプを停止する。故障ポンプ(第1ウォータポンプ13)が停止すると、冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量が低下する。
ステップS12に続いて、ステップS13では、冷却コントローラ20が、故障していない正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増加する。具体的には、冷却コントローラ20が、正常ポンプの回転数を最大にする。冷却コントローラ20が、故障ポンプのモータに対する回転数指令値を最大にする。正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数が増加すると、冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量が増加する。したがって、上記のように故障ポンプ(第1ウォータポンプ13)による冷却液19の流量が低下したとしても、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)による冷却液19の流量が増加するので、2機のウォータポンプ13、14が圧送する冷却液19の流量を維持することができる。これによって、第1ウォータポンプ13が故障する前の冷却液19の流量を維持することができる。
一方、ステップS11でNoと判断された後のステップS20では、冷却コントローラ20が、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を増減する間欠運転を実行する。冷却コントローラ20は、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を、正常下限値より低くダイアグ下限値以上の範囲において増減する。図6に示すように、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数が、所定の時間間隔で増減する。例えば、冷却コントローラ20は、回転低下ポンプのモータを0.5秒間150rpmで回転させ、0.5秒間100rpmで回転させる動作を繰り返す。回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の間欠運転によって、インペラに噛み込んでいる異物が除去される。
第1ウォータポンプ13の回転数が低下すると、第1ウォータポンプ13による冷却液19の流量が低下する。したがって、そのままでは冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量が低下する。そこで、第2ウォータポンプ14の回転数を増加させることが好ましい。これによって、第2ウォータポンプ14による冷却液19の流量が増加するので、2機のウォータポンプ13、14が圧送する冷却液19の流量を維持することができる。回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)による冷却液19の流量の低下を、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増加させることによって補償する。
しかしながら、冷却コントローラ20が回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を増減する際(ステップS20)、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増加させると、冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量が増加し過ぎることが考えられる。すなわち、冷却コントローラ20が回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を低減するときに正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増加させる場合は問題無いが、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を増加させるときに正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数も増加させると、回転低下ポンプと正常ポンプの回転数の増加が重なり、冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量が増加し過ぎることが考えられる。そこで、冷却コントローラ20は次の処理を実行する。
ステップS20に続くステップS21では、冷却コントローラ20が、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増減する間欠運転を実行する。冷却コントローラ20は、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を、正常上限値より高くダイアグ上限値以下の範囲において増減する。図6に示すように、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数が、所定の時間間隔で増減する。例えば、冷却コントローラ20は、回転低下ポンプのモータを0.5秒間150rpmで回転させ、0.5秒間100rpmで回転させる動作を繰り返す。
このとき、冷却コントローラ20は、上記の回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の間欠運転に合わせて、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の間欠運転を実行する。より詳細には、冷却コントローラ20は、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を低減するときに、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増加させ、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を増加させるときに、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を低減する。回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数の低減と正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数の増加が重なり、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数の増加と正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数の低減が重なる。
また、冷却コントローラ20は、2機のウォータポンプ13、14が圧送する冷却液19の流量が所定流量になるように正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増減させる。所定流量は、特に限定されるものではないが、例えば、第1ウォータポンプ13の回転数が低下する前に2機のウォータポンプ13、14が圧送していた冷却液19の流量である。図6に示すように、所定流量は、最大流量閾値より低い値である。最大流量閾値は、冷却パイプ12に流すことができる冷却液19の流量の最大値である。冷却コントローラ20は、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)と正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)による冷却液19の流量が所定流量になるように間欠運転を実行する。
ステップS21において、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)に対する回転数指令値は、例えば次のように算出される。すなわち、まず冷却コントローラ20が、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の現在の回転数から、図3に示す関係に基づいて、回転低下ポンプによる冷却液19の流量を算出する。次に、冷却コントローラ20が、算出した回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)による冷却液19の流量を上記の所定流量から減算して、正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)による冷却液19の必要流量を算出する。次に、冷却コントローラ20が、算出した正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)による冷却液19の必要流量から、図4に示す関係に基づいて、正常ポンプの回転数を算出する。
以上のようにして、2機のウォータポンプ13、14のうち一方のウォータポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数が正常下限値より低くなった場合に、冷却コントローラ20が、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)と正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の間欠運転を実行する。
以上に説明したように、実施例に係る冷却システム11は、冷却対象(例えばPCU5とモータ8)を冷却する冷却液19が流れる冷却パイプ12と、冷却パイプ12に直列で配置されて冷却液19を圧送する2機のウォータポンプ13、14と、2機のウォータポンプ13、14のうち少なくとも一方のウォータポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数を検出する回転数センサ24とを備えている。また、冷却システム11は、2機のウォータポンプ13、14の回転数を制御する冷却コントローラ20を備えている。冷却コントローラ20は、回転数センサ24が検出する第1ウォータポンプ13の回転数が所定の正常下限値より低くなった場合に、第1ウォータポンプ13の回転数を増減させるとともに、2機のウォータポンプ13、14が圧送する冷却液19の流量が所定流量になるように他方のウォータポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増減させる処理を実行する。
このような構成によれば、冷却コントローラ20が、回転低下ポンプ(第1ウォータポンプ13)の回転数の増減に合わせて正常ポンプ(第2ウォータポンプ14)の回転数を増減させるので、2機のウォータポンプ13、14が圧送する冷却液19の流量が増加し過ぎることがない。したがって、上記の構成によれば、冷却パイプ12を流れる冷却液19の流量の増加を抑制することができる。また、それによって、冷却液19に空気が混入するエア噛みを抑制することができる。
実施例技術に関する留意点を述べる。PCU5が冷却対象の一例に相当する。冷却液19が冷却媒体の一例に相当する。冷却パイプ12が循環路の一例に相当する。ウォータポンプ13、14が2個の電動ポンプの一例に相当する。第1ウォータポンプ13が一方の電動ポンプの一例に相当する。第2ウォータポンプ14が他方の電動ポンプの一例に相当する。冷却コントローラ20がコントローラの一例に相当する。正常下限値が下限値の一例に相当する。
上記の実施例では、第1ウォータポンプ13が回転低下ポンプであり、第2ウォータポンプ14が正常ポンプであったが、これとは逆に、第1ウォータポンプ13が正常ポンプであり、第2ウォータポンプ14が回転低下ポンプであってもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。