JP6682665B1 - 波返し部材及び波返し部材の施工方法 - Google Patents

波返し部材及び波返し部材の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】耐久性に優れ、かつ、容易に施工することができる波返し部材を提供する。【解決手段】波返し部材100は、既設の堤防2の上面20に設置される上面設置部10と、既設の堤防2の水系3側の側面21に設置される側面設置部11と、水系3からの波を受ける波返し部12と、を備え、プレキャストコンクリート製である。【選択図】図1

Description

本発明は、一般には波返し部材及び波返し部材の施工方法に関する。本発明は、詳細には、既設の堤防に設置される波返し部材と、既設の堤防に波返し部材を設置する施工方法に関する。
海、河川等の水系に面する堤防には、水系から波が押し寄せられる。この波が陸に浸入しにくくするために、堤防に波返しを設けることがある。
例えば特許文献1には、上側に向かうにつれて沖側へ迫り出す形状をなし、波を受ける上部防波壁を備える防波構造物が記載されている。
近年、地震、台風等の自然災害に伴い、津波、高波等が頻繁に発生している。そのため、波返しを備えていない既設の堤防にも、波返しを設けることが求められている。
例えば特許文献2には、引掛け部と添へ鈑とアールとで構成された鉄鈑製の高波返し器が開示され、この高波返し器を既設の堤防に設置することが開示されている。
特開2018−016966号公報 実開昭51−88927号公報
特許文献2の高波返し器は鉄鈑製であるため、既設の堤防上に高波返し器を配置する際に、アールに向かって吹く風や、アールに向かって押し寄せる波によって、高波返し器が動くことがあり、安定して配置することが難しく、既設の堤防に高波返し器を固定することが困難であった。また水系が海である場合には、特許文献2の高波返し器が、海水で錆びやすく、高波返し器の耐久性に問題があった。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐久性に優れ、かつ、容易に施工することができる波返し部材と、この波返し部材の施工方法とを提供することにある。
本発明の一態様に係る波返し部材は、既設の堤防の上面に設置される上面設置部と、前記既設の堤防の水系側の側面に設置される側面設置部と、前記水系からの波を受ける波返し部と、を備え、前記波返し部が、前記水系に向かって前記側面設置部よりも突出し、前記波返し部と前記側面設置部との間の角度は、80°以上100°以下であり、プレキャストコンクリート製である。
本発明の一態様に係る波返し部材の施工方法は、上記波返し部材を既設の堤防に設置する方法であって、前記上面上に前記上面設置部を載置すると共に、前記側面に前記側面設置部を添わせる配置工程と、前記上面と前記上面設置部とを固定する固定工程と、を含む。
本発明の一態様に係る波返し部材は、耐久性及び施工性に優れる。また本発明の一態様に係る波返し部材の施工方法では、既設の堤防に、波返し部材を容易に施工することができる。
図1Aは、本発明の第一実施形態に係る波返し部材を既設の堤防に設置した状態の一例を示す概略の断面図である。図1Bは、同上の波返し部材を既設の堤防に設置した状態の一例を示す正面図である。 図2A〜図2Cは、同上の波返し部材の変形例を示す概略の断面図である。 図3Aは、本発明の第二実施形態に係る波返し部材を既設の堤防に設定した状態の一例を示す概略の断面図である。図3Bは、同上の波返し部材を既設の堤防に設置した状態の一例を示す概略の斜視図である。 図4A及び図4Bは、同上の波返し部材の変形例を示す概略の断面図である。
(第一実施形態)
1.概要
第一実施形態に係る波返し部材100は、図1A及び図1Bに示すように、既設の堤防2の上面20に設置される上面設置部10と、既設の堤防2の水系3側の側面21に設置される側面設置部11と、水系3からの波を受ける波返し部12とを備える。本実施形態の波返し部材100は、プレキャストコンクリート製である。
本実施形態の波返し部材100は、水系3から押し寄せる波を、波返し部12で受けることができる。そのため、水系3由来の水が、陸に浸入することを抑制することができる。
また波返し部材100がプレキャストコンクリート製であるため、水系3が海であっても、波返し部材100が錆びにくく、波返し部材100の耐久性を長期間維持しやすい。
また波返し部材100がプレキャストコンクリート製であるため、既設の堤防2に波返し部材100を設置する際に、波返し部材100に向かって風が吹いたり、水系3から波返し部材100に波が押し寄せても、波返し部材100を安定して配置することができる。そのため、既設の堤防2に波返し部材100を固定する作業等を行いやすく、既設の堤防2に、波返し部材100を容易に施工することができる。
2.詳細
以下、第一実施形態に係る波返し部材100と、既設の堤防2に波返し部材100を設置する施工方法について、図1A及び図1Bを参照しながら、具体的に説明する。
2−1.波返し部材について
波返し部材100は、プレキャストコンクリート製である。このため波返し部材100は、PC板(プレキャストコンクリート板)の製造に使用される一般的なセメント材料から作製することができる。
波返し部材100がプレキャストコンクリート製であることにより、波返し部材100が鉄板製である場合よりも、波返し部材100の重量を大きくすることができる。それにより、既設の堤防2に波返し部材100が配置された状態で、波返し部材100に向かって風が吹いたり、水系3から波返し部材100に波が押し寄せても、波返し部材100を安定して配置することができる。そのため、既設の堤防2に波返し部材100を固定する作業等を容易に行うことができる。
また波返し部材100が鉄等の金属製であると、海水、潮風等によって波返し部材100に錆が発生しやすく、耐久性が低下し易いところ、本実施形態の波返し部材100は、プレキャストコンクリート製であるため、波返し部材100に錆が発生しにくく、耐久性が低下しにくい。
波返し部材100は、内部に鉄筋を有することが好ましい。この場合、波返し部材100の強度を向上させることができる。
波返し部材100は、例えば、型枠内に鉄筋を配置した状態で、コンクリートを流し込んだ後に、このコンクリートを硬化させることによって作製することができる。
波返し部材100は、上述の通り、上面設置部10と、側面設置部11と、波返し部12とを備え、これらが一体化している。以下、これらの構成について、具体的に説明する。
(1)上面設置部
上面設置部10は、図1Aに示すように、既設の堤防2の上面20に設置される。
上面設置部10は、矩形の板状である。上面設置部10の厚みは、水系3側から陸側(水系3側とは反対側)に向かって、小さくなることが好ましい。上面設置部10の厚みの最大値は、特に限定されないが、例えば、200mm以上300mm以下であることが好ましく、225mm以上275mm以下であることがより好ましく、240mm以上260mm以下であることが特に好ましい。
上面設置部10の短手方向(陸から水系3に向かう方向に沿う方向)の長さは、特に限定されず、強度、施工性等を考慮して、適宜設定される。
上面設置部10の長手方向の長さは、特に限定されないが、3000mm以上7000mm以下が好ましく、4000mm以上6000mm以下が好ましく、4500mm以上5500mm以下が特に好ましい。この場合、波返し部材100の施工性に優れる。
図1Bに示すように、上面設置部10の長手方向の一端に第一嵌合部101を有する。また図1Bに示すように、上面設置部10の長手方向の他端に第二嵌合部102を有する。隣合う波返し部材100において、第一嵌合物101と第二嵌合部102とは接合可能である。そのため、本実施形態の波返し部材100を二つ並べる場合、一方の波返し部材100の第一嵌合部101と、他方の波返し部材100の第二嵌合部102とを接合することができる。第一嵌合部101と第二嵌合部102とが接合された状態で、複数の波返し部100を設置することにより、隣合う波返し部材100同士で繋ぎ止めることができるため、単一の波返し部100を設置する場合よりも、波返し部材100を安定して設置しやすい。
本実施形態の第一嵌合部101では、上面設置部10の厚み方向の上側で短手方向の全長に亘って設けられた上凸部103と、上面設置部10の厚み方向の下側で短手方向の全長に亘って設けられ、上凸部103よりも窪んだ下欠部104とを備える(図1B参照)。また第二嵌合物102では、上面設置部10の厚み方向の下側で短手方向の全長に亘って設けられた下凸部105と、上面設置部10の厚み方向の上側で短手方向の全長に亘って設けられ、下凸部105よりも窪んだ上欠部106とを備える(図1B参照)。本実施形態では、上凸部103は、側面設置部11の長手方向の一端面よりも突出している(図1B参照)。また本実施形態では、上欠部105は、側面設置部11の長手方向の他端面よりも窪んでいる。また上凸部103から上欠部105までの長さは、側面設置部11の長手方向の長さと同じであり、下欠部104から下凸部106までの長さは、側面設置部11の長手方向の長さと同じである。第一嵌合部101及び第二嵌合部102は、所謂、あいじゃくり構造である。
本実施形態では、第一嵌合部101の下欠部104に、第二嵌合部102の下凸部106を嵌めると共に、第二嵌合部102の上欠部105に、第一嵌合部101の上凸部103を嵌めることにより、第一嵌合部101と第二嵌合部102とを接合することができる。なお、第一嵌合部101及び第二嵌合部102の構造は、上記の構造に限定されない。
図1A及び図1Bに示すように、上面設置部10には、複数の貫通孔107が設けられている。貫通孔107の数は、波返し部材100の形状、大きさ等に応じて適宜設定される。貫通孔107は、波返し部材100の製造段階で形成してもよく、波返し部材100を既設の堤防2に設置する際に形成してもよい。この貫通孔107から、既設の堤防2の上面20に、固定具40を打ち込むことにより、上面設置部10を既設の堤防2の上面20に固定することができる。固定具40の例には、釘、ビス、ボルト、樹脂アンカー等が含まれる。固定具40は、特に樹脂アンカーであることが好ましい。
(2)側面設置部
側面設置部11は、上述の通り、既設の堤防2の水系3側の側面21に設置される。
本実施形態の側面設置部11は、上面設置部10の水系3側の端部から下方に向かって延びている。
側面設置部11は、矩形の板状である。側面設置部11の厚みは、特に限定されず、既設の堤防2の形状及び大きさ、波返し部材100の強度、設置しやすさ、波返し部材100を設置した場合の安定性等を考慮して適宜設定される。
側面設置部11の上下方向の長さは、特に限定されず、強度、波返し部材100の設置しやすさ、波返し部材100を設置した場合の安定性を考慮して適宜設定される。側面設置部11の上下方向の長さは、例えば、1500mm以上3500mm以下であることが好ましく、2000mm以上3000mm以下であることがより好ましく、2250mm以上2750mm以下であることが特に好ましい。この場合、波返し部材100の施工性に優れる。
側面設置部11の長手方向の長さは、例えば、上面設置部10の長手方向の長さと同じであることが好ましい。
図1A及び図1Bに示すように、側面設置部11には、複数の貫通孔110が設けられている。貫通孔110の数は、波返し部材100の形状、大きさ等に応じて適宜設定される。貫通孔110は、波返し部材100の製造段階で形成してもよく、波返し部材100を既設の堤防2に設置する際に形成してもよい。この貫通孔110から、既設の堤防2の側面21に、固定具41を打ち込むことにより、側面設置部11を既設の堤防2の側面21に固定することができる。固定具41は、例えば、固定具40と同じものを使用することができる。
(3)波返し部
波返し部12は、上述の通り、水系3からの波を受けるように構成されている。
本実施形態の波返し部12は、水系3に向かって側面設置部11よりも突出している。このため、既設の堤防2の側面21に当たり、上方に跳ね上がった波を、波返し部12の下面で受けることができる。また本実施形態では、波返し部12と側面設置部11との間の角度は、70°以上110°以下が好ましく、80°以上100°以下がより好ましい。この場合、水系3から上方に向かって跳ね上がる波を効果的に受けることができる。
本実施形態の波返し部12は、矩形の板状である。波返し部12の短手方向(陸から水系3に向かう方向に沿う方向)の長さは、特に限定されず、波返し部材100の強度及び施工性、予測される波の規模等に応じて適宜設定される。例えば、大きな波が発生しやすい地域、過去に大きな津波が発生している地域、大きな津波が予測される地域等においては、波返し部12の短手方向の長さを大きくすることが好ましい。また既設の堤防2に対して船舶が接近する場合には、波返し部12の短手方向の長さが短いことが好ましい。この場合、船舶が既設の堤防2に接近しやすい。また本実施形態では、波返し部12を船着き場として利用してもよい。
波返し部12の長手方向の長さは、例えば、上面設置部10の長手方向の長さと同じであることが好ましく、換言すると、側面設置部11の長手方向の長さと同じであることが好ましい。
上述の通り、上面設置部10の長手方向の一端には第一嵌合部101が設けられ、上面設置部10の長手方向の他端には、第二嵌合部102が設けられているが、波返し部12の長手方向の一端まで第一嵌合部101が設けられ、波返し部12の長手方向の他端まで第二嵌合部102が設けられていてもよい。この場合、隣合う波返し部材100の波返し部12同士を接続することができる。
2−2.波返し部材の施工方法について
以下、第一実施形態の波返し部材100を既設の堤防2に設置する方法(以下、第一施工方法ともいう)を説明する。なお、既設の堤防2は、海岸に設けられた堤防であってもよく、河岸に設けられた堤防であってもよく、湖岸に設けられた堤防であってもよく、防波堤であってもよい。そのため、既設の堤防2が面する水系3は、海、河、又は湖である。また既設の堤防2は、上述の通り、上面20と側面21とを備える。上面20は、例えば、堤防の頂部、防波堤の頂部、海岸、河岸又は湖岸の道路等である。側面21は、水系3に面している。
第一施工方法では、まず、既設の堤防2に波返し部材100を配置する。詳細には、既設の堤防2の上面20上に上面設置部10を載置すると共に、側面21に側面設置部20を添わせる(配置工程)。
本実施形態の波返し部材100はプレキャストコンクリート製であって、鉄板製の波返し部材よりも重量が大きいため、既設の堤防2に波返し部材100が配置された状態を保ちやすい。そのため、例えば、波返し部材100に向かって風が吹いたり、水系3から波返し部材100に対して波が押し寄せても、波返し部材100が動いたり、倒れたりしにくい。それにより、既設の堤防2に波返し部材100が配置された状態を保持するための作業等を不要とすることができ、波返し部材100の設置が容易となる。勿論、既設の堤防2に波返し部材100が配置された状態を保持するために、仮固定等を行ってもよい。
また既設の堤防2の上面20が平坦でない場合、上面20上に上面設置部10を安定して配置しにくい。そのため、上面20は平坦であることが好ましい。
また既設の堤防2の側面21が平坦でなく、特に側面21に大きな突起等が存在する場合、側面20と側面設置部11との間に隙間ができたり、側面21と側面設置部11とを強固に固定できないことがある。そのため、側面21は平坦であることが好ましい。側面21が平坦でない場合には、側面21を平坦に加工することが好ましい。例えば平坦でない側面21に、グラウト材等の無収縮モルタルを塗布し、この無収縮モルタルを硬化させることによって、側面21を平坦にすることが好ましい。
既設の堤防2の上面20と側面21との間の角度は、波返し部材100の上面設置部10と側面設置部11との間の角度と略同じであることが好ましい。この場合、既設の堤防2の水系3側の端縁と波返し部材100との間に、隙間ができることを抑制することができる。それにより、既設の堤防2に波返し部材100を安定して配置できると共に、既設の堤防2に波返し部材100を強固に固定することができる。
第一施工方法では、次に、既設の堤防2の上面20と、上面設置部10とを固定する(固定工程)。
本実施形態では、上面設置部10に形成された貫通孔107から、上面20に固定具40を打ち込む。これにより、上面設置部10を上面20に固定することができる。本実施形態では、固定具40として、樹脂アンカーを使用することが好ましい。この場合、水系3が海であっても、錆び等で固定具40の耐久性が低下することを抑制することができ、上面設置部10を長期間、強固に固定することができる。
また波返し部材100の製造段階において、上面設置部10に貫通孔107が形成されていない場合には、固定工程において、上面設置部10に貫通孔107を形成することが好ましい。
第一施工方法では、次に、既設の堤防2の側面21と、側面設置部10とを固定することが好ましい(側面固定工程)。
本実施形態では、側面設置部11に形成された貫通孔108から、側面21に固定具41を打ち込む。これにより、側面設置部11を側面21に固定することができる。本実施形態では、固定具41として樹脂アンカーを使用することが好ましい。この場合、水系3が海であっても、錆び等で固定具40の耐久性が低下することを抑制することができ、側面設置部11を長期間、強固に固定することができる。
以上の工程により、既設の堤防2に波返し部材100を設置することができる。
次に、既設の堤防2に複数の波返し部材100を設置する場合について説明する。
上述の配置工程において既設の堤防2に波返し部材100を配置した後、この波返し部材100の隣に、他の波返し部材100を配置する。この際、一方の波返し部材100の第一嵌合部101と、他方の波返し部材100の第二嵌合部102とを嵌め合わせて接合することにより、二つの波返し部材100を接続することができる。このように、波返し部材100を順次配置すると共に、隣合う波返し部材100の第一嵌合部101と第二嵌合部102とを接合させることにより、隣合う波返し部材100同士を接続させることができる。隣合う波返し部材100同士を接続させることにより、波返し部材100に向かって風が吹いたり、水系3から波返し部材100に波が押し寄せても、波返し部材100が動いたり、倒れたりすることを特に抑制することができる。
上述の方法では、既設の堤防2に波返し部材100を固定する前に、複数の波返し部材100を並べる方法を説明したが、これに限定されない。例えば、二つの波返し部材100を設置する場合、一方の波返し部材100を既設の堤防2に固定した後に、他方の波返し部材100に他の波返し部材100を接続してもよい。
2−3.変形例
第一実施形態の波返し部材100の構成は、上述の構成に限定されない。
例えば、図2Aに示す波返し部材100のように、波返し部12が上方に向かって上面設置部10よりも突出していてもよい。この場合、水系3から陸に向かって押し寄せる波を、波返し部12で受け止めやすい。また予測される波の規模に応じて、波返し部12の高さを設定することにより、様々な規模の波を波返し部12で受け止めることができる。そのため、津波等による被害を軽減することができる。また図2Aに示すように、波返し部12が上方に向かって上面設置部10よりも突出していることにより、既設の堤防2に対して船舶が近づきやすい。そのため、既設の堤防2に船舶が接近する場合には、図1A及び図1Bに示す波返し部材100よりも、図2Aに示す波返し部材100を設置することが好ましい。
例えば、図2Bに示す波返し部材100のように、波返し部12が上方に向かって上面設置部10よりも突出し、かつ、水系3に向かって側面設置部11よりも突出していてもよい。すなわち、波返し部12が斜め上方に向かって突出していてもよい。この場合、水系3から陸に向かって押し寄せる波と、水系3から上方に向かって跳ね上がる波との両方を、波返し部12で受け止めやすい。また図2Bに示す波返し部12は反っているため、波返し部12の下方に船舶の一部が入り込むことができ、既設の堤防2に対して船舶が近づきやすい。そのため既設の堤防2に船舶が接近する場合には、図1A及び図1Bに示す波返し部材100よりも、図2Bに示す波返し部材100を設置することが好ましい。
例えば、図2Cに示すように、水系3に向かって突出した波返し部12の下に、支柱120を設けてもよい。図2Cに示すように、支柱120は、水系3の底30に建てられている。例えば水系3が海である場合、底30は海底であり、水系3が河である場合、底30は河底である。波返し部12を支柱120で支えることにより、波返し部12の上方から荷重が掛かったり、地震等が生じても、波返し部12が破損することを抑制することができる。また支柱120と側面設置部11とを接続してもよい。
(第二実施形態)
1.波返し部材について
以下、第二実施形態に係る波返し部材100について説明する。なお、第一実施形態に係る波返し部材100と同様の構成については、同じ符号を付すことによって、適宜説明を省略する。
本実施形態の波返し部材100も、既設の堤防2に設置される。この既設の堤防2は、図3A及び図3Bに示すように、上面20は、その他の部分よりも上方に突出した突出部22を有する。突出部22は、例えば、海岸に設けられた防潮堤の上部である。
本実施形態に係る波返し部材100は、第一実施形態に係る波返し部材100と同様に、上面設置部10と、側面設置部11と、波返し部12とを備える(図3A及び図3B参照)。本実施形態の波返し部材100は、上面設置部10が下方に突出する垂下片13を有する点で、第一実施形態の波返し部材100と異なる。
垂下片13は、図3Aに示すように、上面設置部10の陸側の端縁から下方に延びている。垂下片13は、矩形の板状である。垂下片13は、上面設置部10の長手方向の全長に亘って設けられている。このため、垂下片13の長手方向の長さは、上面設置部10の長手方向の長さと同じであることが好ましい。垂下片13の上下方向の長さは、突出部22の高さに応じて適宜設定される。垂下片13の厚みは、特に限定されず、既設の堤防2の形状、大きさ、波返し部材100の設置しやすさ等に応じて適宜設定される。
垂下片13は、突出部22に引掛けることができる。このため本実施形態の波返し部材100では、垂下片13と側面設置部11との間隔が、突出部22の短手方向の長さよりも大きい。
本実施形態の垂下片13には、複数の貫通孔109が形成されている。貫通孔109の数は、波返し部材100の形状、大きさ等に応じて適宜設定される。貫通孔109は、波返し部材100の製造段階で形成してもよく、波返し部材100を既設の堤防2に設置する際に形成してもよい。この貫通孔109から、突出部22に固定具42を打ち込むことにより、垂下片13を突出部22に固定することができる。固定具42は、例えば、固定具40と同じものを使用することができる。そのため、固定具42が樹脂アンカーであることが好ましい。
本実施形態の上面設置部10の短手方向の長さ(陸から水系3に向かう方向に沿う方向の長さ)は、突出部22の短手方向の長さに応じて設定される。
本実施形態の上面設置部10にも、複数の貫通孔107が形成されている。この貫通孔107から、突出部22に固定具40を打ち込むことにより、上面設置部10を突出部22に固定することができる。
本実施形態の上面設置部10も、その長手方向の一端に第一嵌合部101が設けられ、その長手方向の一端に第二嵌合部102が設けられていることが好ましい。隣合う波返し部材100の第一嵌合部101と第二嵌合部102とを接合することにより、隣合う波返し部材100同士を接続することができる。
また本実施形態の側面設置部11には、図3Aに示すように、貫通孔が形成されていない。そのため本実施形態では、側面設置部11を、既設の堤防2の側面21に固定具で固定しなくてもよい。
本実施形態の波返し部12は、上方に向かって上面設置部10よりも突出している。
2.波返し部材の施工方法について
以下、第二実施形態の波返し部材100を既設の堤防2に設置する方法(以下、第二施工方法ともいう)を説明する。
第二施工方法では、まず、既設の堤防2に波返し部材100を配置する。詳細には、既設の堤防2の上面20上に上面設置部10を載置すると共に、側面21に側面設置部11を当てる(配置工程)。
本実施形態の配置工程では、突出部22に垂下片13を引掛ける。それにより、突出部22上に上面設置部10を配置できると共に、側面21に側面設置部11を添わせることができる。
また突出部22に垂下片13を引掛けることにより、既設の堤防2に波返し部材100が配置された状態を保ちやすい。そのため、例えば、波返し部材100に向かって風が吹いたり、水系3から波返し部材100に波が押し寄せても、波返し部材100が動いたり、倒れたりしにくい。それにより、既設の堤防2に波返し部材100が配置された状態を保持するための作業等を不要とすることができ、波返し部材100の設置が容易となる。
第二施工方法では、次に、既設の堤防2の上面20と、上面設置部10とを固定する(固定工程)。
本実施形態では、上面設置部10に形成された貫通孔107から、突出部22に固定具40を打ち込む。さらに、垂下片13に設けられた貫通孔109から、突出部22に固定具42を打ち込む。それにより、上面設置部10及び垂下片13を突出部22に固定することができ、すなわち、上面設置部10を上面20に固定することができる。本実施形態では、固定具40及び固定具42として、樹脂アンカーを使用することが好ましい。上面設置部10の固定と、垂下片13の固定とは、どちらを先に行ってもよい。
また波返し部材100の製造段階において、上面設置部10に貫通孔107が形成されていない場合には、固定工程において、上面設置部10に貫通孔107を形成することが好ましい。また波返し部材100の製造段階において、垂下片13に貫通孔109が形成されていない場合には、固定工程において、垂下片13に貫通孔109を形成することが好ましい。
以上の工程により、既設の堤防2に波返し部材100を設置することができる。
本実施形態の波返し部材100を複数既設の堤防2に設置する場合には、第一の施工方法と同様の方法によって設置することができる。すなわち、上述の配置工程において既設の堤防2に波返し部材100を配置した後に、この波返し部材100の隣に、他の波返し部材100を配置する。この際、一方の波返し部材100の第一嵌合部101と、他の波返し部材100の第二嵌合部102とを嵌め合わせて接合することにより、二つの波返し部材100を接続することができる。このように、既設の堤防2に波返し部材100を順次配置すると共に、隣合う波返し部材100の第一嵌合部101と第二嵌合物102とを接合させることにより、隣合う波返し部材100同士を接続させることができる。隣合う波返し部材100同士を接続させることにより、波返し部材100に向かって風が吹いたり、水系3から波返し部材100に対して波が押し寄せても、波返し部材100が動いたり、倒れたりすることを抑制することができる。特に第二実施形態では、垂下片13が突出部22に引掛けられているため、波返し部材100を既設の堤防2に特に安定し配置することができ、波返し部100が動いたり、倒れたりすることを特に抑制することができる。
上述の方法では、既設の堤防2に波返し部材100を固定する前に、複数の波返し部材100を並べる方法を説明したが、これに限定されない。例えば、二つの波返し部材100を設置する場合、一方の波返し部材100を既設の堤防2に固定した後に、他方の波返し部材100に他の波返し部材100を接続してもよい。
3.変形例
第二実施形態の波返し部材100の構成は、上述の構成に限定されない。
例えば、図3Aに示す波返し部材100では、波返し部12が上方に突出しているが、これに限定されない。例えば図4Aに示すように、波返し部12が水系3に向かって突出していてもよい。また図示しないが、波返し部12の下に支柱を設けてもよく、この支柱と側面設置部12とを接続してもよい。
また図4Bに示すように、波返し部12が、水系3に向かって突出し、かつ、上方に突出していてもよい。すなわち、波返し部12が斜め上方に突出していてもよい。また図4Bに示すように、波返し部12が曲がっていてもよい。
100 波返し部材
10 上面設置部
101 第一嵌合物
102 第二嵌合部
11 側面設置部
12 波返し部
13 垂下片
2 既設の堤防
20 上面
21 側面
22 突出部
3 水系

Claims (5)

  1. 既設の堤防の上面に設置される上面設置部と、
    前記既設の堤防の水系側の側面に設置される側面設置部と、
    前記水系からの波を受ける波返し部と、を備え、
    前記波返し部が、前記水系に向かって前記側面設置部よりも突出し、
    前記波返し部と前記側面設置部との間の角度は、80°以上100°以下であり、
    プレキャストコンクリート製である、
    波返し部材。
  2. 前記水系に向かって突出した波返し部の下に支柱を設け、
    前記支柱は、前記水系の底に建てられており、
    前記波返し部は前記支柱で支えられている、
    請求項1に記載の波返し部材。
  3. 前記上面設置部の長手方向の一端に第一嵌合部を有し、
    前記上面設置部の長手方向の端に第二嵌合部を有し、
    前記第一嵌合部は、別の前記波返し部材の前記第二嵌合部と接合可能である、
    請求項1又は2に記載の波返し部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の波返し部材を、前記既設の堤防に設置する波返し部材の施工方法であって、
    前記上面上に前記上面設置部を載置すると共に、前記側面に前記側面設置部を添わせる配置工程と、
    前記上面と前記上面設置部とを固定する固定工程と、を含む、
    波返し部材の施工方法。
  5. 前記上面は、その他の部分よりも上方に突出した突出部を有し、
    前記上面設置部は、下方に突出する垂下片を有し、
    前記突出部に前記垂下片を引っ掛ける、
    請求項4に記載の波返し部材の施工方法。
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