JP6681691B2 - カチオン電着塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料、特に化成処理等を施していない無処理鋼板に対し、優れた耐食性を有する皮膜を形成することができるカチオン電着塗料に関する。
従来、各種金属材料に対し優れた耐食性を付与するための手法としては電着塗装が一般的に用いられる。但し、電着塗装によって得られる電着塗膜のみでは所望の耐食性が得られない場合が多いため、電着塗装の前段には標準的にリン酸亜鉛系化成処理等の化成処理が適用されてきた。
リン酸亜鉛系化成処理は古くから実用化されており、塗膜密着性の向上や塗膜下腐食の抑制により優れた耐食性を発現する。他方で、化成反応の副生成物として通称スラッジと呼ばれる不溶性のリン酸鉄が生じ、通常はこのスラッジを系内に沈殿させ定期的に系外に排出し産業廃棄物として廃棄する。しかしながら、地球環境保全の観点から産業廃棄物の低減は大きな課題であり、廃棄物を生じない化成処理液や表面処理方法が強く望まれている。
一方電着塗装は、アニオン電着塗装とカチオン電着塗装とに大別されるが、鉄系材料を主とする金属構成体である自動車車体、自動車部品、家電製品、建築材料等に対してはカチオン電着塗装が広く適用されている。カチオン電着塗装においては、かつてはクロム化合物や鉛化合物を配合することによって防錆性を確保していた。しかしながら、現在では環境規制、特に欧州におけるELV規制により従来カチオン電着塗料に用いてきたクロム化合物や鉛化合物の仕様が制限されており、クロム化合物や鉛化合物を使わないカチオン電着塗料が主流となっている。
しかし、近年、カチオン電着塗装の前にリン酸亜鉛系化成処理を使用することなく、単一の浸漬工程で処理を行うある電着塗料が提案されている。具体的には、特許文献1には、アミノ基含有変性エポキシ樹脂、ブロック化ポリイソシアネート、フェノール樹脂、金属化合物及び窒素酸化物イオンを含有するカチオン電着塗料組成物であり、1段目に無通電で金属被膜を形成し、2段目の通電で電着塗膜を形成する方法が開示されている。
特開2011−84723号公報
本発明者らが、特許文献1に開示された方法を検討したところ、その方法によっては、耐食性がリン酸亜鉛とカチオン電着塗装との組合せである従来技術と比較して、かなり劣ることが明らかになってきた。そこで、本発明は、様々な金属材料に対し、この金属材料が予めリン酸亜鉛処理等の化成処理を施していない被処理金属(以下、無処理鋼板ともいう。)であっても、優れた耐食性を付与することができるカチオン電着塗料組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために研究を重ねた結果、下記発明に至った。
即ち、本発明は、
(i)アミノ基変性エポキシ樹脂(A)と該アミノ基変性エポキシ樹脂(A)を架橋し得る硬化剤(B)とを含む樹脂エマルションと、可溶型Bi(C)と、を含むカチオン電着塗料組成物であって、
前記アミノ基変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)を反応させて得られ、前記エポキシ樹脂(A1)は、式(1):
Figure 0006681691
[式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロへキシレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は−Ra−Rb−Rc−であり、Ra及びRcは、シクロへキシレン基又はフェニレン基であり、Rbは、1又は2個の置換基を有していてもよいメチレン基であり、m及びnは、相互に独立しており、1〜20のいずれかの整数である]で示されるプロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)とビスフェノール化合物(a2)と式(1)とは異なるジエポキシ樹脂(a3)と2つのカルボキシル基が少なくとも1個の炭素原子を介して結合されているジカルボン酸(a4)とを反応させて得られる、アミノ基変性エポキシ樹脂(A);
(ii)前記ジエポキシ樹脂(a3)が、式(2):
Figure 0006681691
[式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、フェニレン基、及びシクロヘキシレン基から選ばれ、X及びYは、それぞれ独立に水素原子及びアルキル基から選ばれる]で示される化合物である、上記(i)に記載のカチオン電着塗料組成物;
(iii)前記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)のR1が、式(3)、式(4)又は式(5):
Figure 0006681691
[式(3)、(4)及び(5)中、X、X、Y及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基及びフェニル基から選ばれ、X及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基及びヒドロキシル基から選ばれる]で示される基であり、且つ、式(1)におけるm及びnは、相互に独立しており、1〜5のいずれかの整数である、上記(i)又は(ii)に記載のカチオン電着塗料組成物;
(iv)前記ジカルボン酸(a4)は、2つのカルボキシル基が1〜20個のアルキレン基を介して結合される化合物であり、前記アルキレン基はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はメチレン基を有していてもよく、また、前記アルキレン基の炭素数が2〜20個である場合、隣り合う炭素原子を介して環を構成してもよく、前記環はアルキル基及びアルケニル基から選択される1又は2以上の置換基を有していてもよい、上記(i)から(iii)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物;
(v)前記エポキシ樹脂(A1)のエポキシ当量が1000以上5000以下であり、且つ、前記アミノ基変性エポキシ樹脂(A)のアミン価が5以上30以下である、上記(i)から(iv)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物;
(vi)前記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)の量が、前記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)、前記ビスフェノール化合物(a2)、前記ジエポキシ樹脂(a3)及び前記ジカルボン酸(a4)の総質量に対して1質量%以上50質量%以下であり、且つ、前記ジカルボン酸(a4)の量が前記総質量に対して1重量%以上20質量%以下を含む、上記(i)から(v)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物;
(vii)前記硬化剤(B)がブロック化ポリイソシアネート型硬化剤である、上記(i)から(vi)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物;
(viii)前記カチオン電着塗料組成物は、可溶型Bi(C)を、金属Bi元素として10から10,000mg/L含有する、上記(i)から(vii)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物;
(ix)更にZr、Ti及びHfからなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性金属化合物(D)を、金属元素として合計で10から10,000mg/L含有する、上記(i)から(viii)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物;
(x)前記(i)から(ix)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物に被処理金属を浸漬し、無通電で3〜600秒間浸漬することで前記被処理金属上にBiを主成分とする皮膜を形成させ、その後陰極電解によって前記アミノ基変性エポキシ樹脂及び前記硬化剤を主成分とする塗膜を前記被膜上に形成させる工程を含む金属表面処理方法;
(xi)前記(i)から(ix)のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物に、化成処理を施していない金属被塗物を浸漬し電着塗装して得られる塗装物品;
等である。
本発明によれば、様々な金属材料に対し、この金属材料が無処理鋼板であっても、優れた耐食性を付与することができるカチオン電着塗料組成物を提供することが可能となる。
まず、本発明に係るアミノ基変性エポキシ樹脂(A)を説明する。なお、下記にて、「アルキル」「アルキレン」「アルケニル」「アルカジエニル」「ヒドロキシアルキル」「アルキレングリコール」「アルカノールアミン」等、炭化水素部分を含む基の記載が存在する。この場合、特記しない限り、当該基の炭素数は、相互に独立して、好適には1〜6である。また、各原料のそれぞれについては、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
≪1.アミノ基変性エポキシ樹脂(A)≫
アミノ基変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)を反応させて得られる。また、エポキシ樹脂(A1)は、プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)と、ビスフェノール化合物(a2)と、(a1)とは異なるジエポキシ樹脂(a3)と、2つのカルボキシル基が少なくとも1個の炭素原子を介して結合されているジカルボン酸(a4)と、を反応させて得られる。以下、各原料を詳述する。
<1−1.原料>
{1−1−1.原料/プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)}
プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)は、上記式(1)で示される樹脂である。上記式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロヘキシレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は−Ra−Rb−Rc−である。Ra及びRcは、シクロヘキシレン基又はフェニレン基である。Rbは、1又は2個の置換基を有していてもよいメチレン基である。m及びnは、相互に独立しており、1〜20のいずれかの整数である。
ここで、置換基を有する、炭素数3〜10のアルキレン基、シクロへキシレン基、フェニレン基、及びメチレン基における置換基としては、例えば、アルキル基、フェニル基等を挙げることができる。更に、これら置換基は、別の官能基(例えば、アルキル基、フェニル基等)で置換されていてもよい。なお、上記アルキル基は、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれであってもよい。また、本明細書において「置換基」とは、特記しない限り上述のアルキル基やフェニル基等を意味する。
上記式(1)のR1は、例えば、上記式(3)で示されるビスシクロヘキシレン基、上記式(4)で示されるビスフェニレン基、又は上記式(5)で示されるフェニレン基等である。上記式(3)中、X及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基又はフェニル基である。上記式(4)中、X及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基又はフェニル基である。上記式(5)中、X及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基又はヒドロキシル基である。X、Y、X、Y、X及びYとしてのアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であれば特に制限されるものではないが、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。また、X及びYとしてのアルコキシル基は、直鎖状又は分岐鎖状であれば特に制限されるものではないが、炭素数1〜6のアルコキシル基が好ましく、炭素数1〜3のアルコキシル基がより好ましい。
上記式(1)のmとnは、上述したように1から20のいずれかの整数であればよいが、1から5のいずれかの整数であることが好ましく、mとnがともに1から3のいずれかの整数であることがより好ましく、mとnがともに1であることが特に好ましい。
上記式(1)のプロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)は、公知の方法、より具体的には、R1の両末端にヒドロキシル基を有するポリオール化合物にプロピレンオキサイドを付加又は付加重合させ、得られたポリエーテル化合物(末端にヒドロキシル基を有する)とエピクロルヒドリンを反応させてジエポキシ化することにより得ることが出来る。
上記ポリオール化合物として、より具体的には、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール等の、両末端の炭素原子に水酸基が結合された直鎖状又は環状のアルキレングリコール;カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール等の2個以上の水酸基を有する多価フェノール;2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン(水素化ビスフェノールA)、水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノールE、水素化ビスフェノールB、水素化ビスフェノールAP、水素化ビスフェノールBP、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールB、ビスフェノールAP、ビスフェノールBP等のポリフェノール化合物又はその水素化物;等を挙げることができる。
{1−1−2.原料/ビスフェノール化合物(a2)}
ビスフェノール化合物(a2)は、1分子中に2個のフェノール性OH基を有する化合物であれば特に制限されるものではなく、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールE、ビスフェノールB、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、ビスフェノールBP等が挙げられる。なかでも、ビスフェノールA,ビスフェノールFが好ましい。
{1−1−3.原料/ジエポキシ樹脂(a3)}
ジエポキシ樹脂(a3)は、上記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)以外の、1分子中に2個のエポキシ基を有する化合物である。ジエポキシ樹脂(a3)は、一般に170以上500以下、好ましくは170以上400以下の範囲内のエポキシ当量を有する。ジエポキシ樹脂(a3)としては、上記式(2)で示される化合物であることが好ましい。上記式(2)中、R3及びR4は、同一であっても異なるものであってもよく、例えば、単結合、アルキレン基、フェニレン基又はシクロヘキシレン基を挙げることができる。X及びYは、それぞれ独立に水素原子又はアルキル基である。X及びYとしてのアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状であれば特に制限されるものではないが、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。
上記ジエポキシ樹脂(a3)は、例えば、上記ポリオール化合物、又は、同一の炭素原子に、2つの水酸基;1つの水酸基と1つの、ヒドロキシアルキル基、フェノール基若しくはシクロヘキサノール基;1つのヒドロキシアルキル基と1つの、フェノール基若しくはシクロヘキサノール基;1つのフェノール基と1つのシクロヘキサノール基;若しくは2つのヒドロキシアルキル基(同一であっても異なるものであってもよい);が結合された炭素数が2以上のアルキレングリコールと、エピハロヒドリン(例えば、エピクロルヒドリン)との反応によって得ることができる。上記アルキレングリコールとしては、例えば、1,1−ジヒドロキシエタン、1,1−ジヒドロキシプロパン、2,2−ジヒドロキシプロパン等の、同一の炭素原子に2つの水酸基が結合されたアルキレングリコール;2−ヒドロキシプロパノール、2−ヒドロキシブタノール等の、同一の炭素原子に1つの水酸基と1つのヒドロキシアルキル基が結合されたアルキレングリコール;2,2−(ジヒドロキシメチル)エタン、2,2−(ジヒドロキシエチル)プロパン、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール、3,3−ジエチル−1,6−ヘキサンジオール等の、同一の炭素原子に1種又は2種のヒドロキシアルキル基が結合されたアルキレングリコール;4−(1−ヒドロキシエチル)フェノール、3−(1−ヒドロキシエチル)フェノール、4−(1−ヒドロキシプロピル)フェノール等の、同一の炭素原子に1つの水酸基と1つのフェノール基が結合されたアルキレングリコール;4−(1−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2−(1−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール等の、同一の炭素原子に1つの水酸基と1つのシクロヘキサノール基が結合されたアルキレングリコール;4−ヒドロキシフェニル−2−プロパノール、4−ヒドロキシフェニル−2−ブタノール等の、同一の炭素原子に1つのヒドロキシアルキル基と1つのフェノール基が結合されたアルキレングリコール;2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−プロパノール、2,2−ジメチル−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−エタノール等の、同一の炭素原子に1つのヒドロキシアルキル基と1つのシクロヘキサノール基が結合されたアルキレングリコール;2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン等の、同一の炭素原子に1つのフェノール基と1つのシクロヘキサノール基が結合されたアルキレングリコール;等を挙げることができる。
ジエポキシ樹脂(a3)の製造においては、上記ポリオール化合物及び上記各種アルキレングリコールのほか、例えば、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1−イソブタン、ビス(4−ヒドロキシ−2−tert−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス(4−ヒドロキシ−3−tert−ブチルフェニル)−2,2−プロパン、ビス(2−ヒドロキシナフチル)メタン、テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,2,2−エタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジクロロエチレン、2,2−ビス(3−メチル−4ヒドロキシフェニル)プロパン等を用いることができる。
これらの原料によって得られたジエポキシ樹脂(a3)は、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)の製造において、単独で用いてもよいし、2種以上用いてもよい。2種以上のジエポキシ樹脂(a3)を用いてアミノ基変性エポキシ樹脂(A)を製造する場合は、それぞれを別々に添加しても同時に添加してもよい。
{1−1−4.原料/ジカルボン酸(a4)}
ジカルボン酸(a4)は、2つのカルボキシル基が少なくとも1個の炭素原子を介して結合されている化合物である。好適なジカルボン酸は、下記式(6)で示されるように、2つのカルボキシル基が炭素数1〜20個の直鎖状のアルキレン基(R2)を介して結合している化合物である。なお、下記式(6)の化合物におけるアルキレン基(R2)は、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基及びメチレン基から選ばれる1種の置換基を1又は2個以上、あるいは、アルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基及びメチレン基から選ばれる2種以上の置換基をそれぞれ1個又は2個以上、有していてもよい。また、下記式(6)の化合物におけるアルキレン基(R2)の炭素数が2〜20個である場合、該アルキレン基の隣り合う炭素原子を介して環を構成してもよい。環は、アルキル基及びアルケニル基から選択される1又は2以上の置換基を有していてもよく、好ましくは、アルキル基及び/又はアルケニル基の2個の置換基を有していてもよい。環が2個の置換基を有する場合、該2個の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。環としては、例えば、シクロヘキサン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、デカリン環において2つの炭素−炭素結合が2重結合であるビシクロ環(例えば、ビシクロ[4.4.0]デカン−1,7−ジエン等)を挙げることができる。アルキレン基(R2)が有していてもよい、アルキル基、アルケニル基若しくはアルカジエニル基、又は、環が有していてもよい、アルキル基又はアルケニル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。
Figure 0006681691
より好適なジカルボン酸(a4)は、環状及び/又は不飽和結合を有する化合物である。特に好適なジカルボン酸(a4)は、上記式(6)の化合物のうち、アルキレン基(R2)における炭素数が2〜18個であり;且つ、アルキレン基(R2)は、メチレン基を1個、炭素数が5から9のアルキル基を1個若しくは2個、又は、炭素数が5から9の、アルキル基、アルケニル基及びアルカジエニル基から選ばれる1種又は2種の置換基を2個、有していてもよい、あるいは、アルキレン基(R2)の隣り合う炭素原子を介して上記環のいずれかを構成し、環は、それぞれ独立に、炭素数が5から9の、アルキル基、アルケニル基又はアルカジエニル基である2個の置換基を有していてもよい;化合物である。
ジカルボン酸(a4)は、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジメチルグルタル酸、アジピン酸、2,2−ジメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、2−エチルアゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,15−ペンタデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,17−ヘプタデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸、1,19−ノナデカンジカルボン酸、1,20−イコサンジカルボン酸、イタコン酸、フタル酸、ダイマー酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキセンジカルボン酸等を挙げることができる。なお、本発明においてエポキシ樹脂(A1)の原料として用いることができるダイマー酸は、例えば、市販の、ハリダイマー200、250又は270S(各ハリマ化成グループ株式会社);ツノダイム205、216、228、395又は346(各筑野食品工業株式会社);Unydyme 14、14R、T−17、18、T−18、22、T−22、27、35、M−9、M−15、M−35若しくは40、又はCentury D−75、D−77、D−78若しくはD−1156、又はSylvatal 7001若しくは7002(各アリゾナケミカル社);Empol 1016、1003、1026、1028、1061、1062、1008又は1012(各BASF社);水素化ダイマー酸(average M〜570;Sigma−Aldrich社)等を挙げることができる。
{1−1−5.原料/アミン化合物(A2)}
本発明に用いられるアミン化合物(A2)は、エポキシ樹脂(A1)にアミノ基を導入するための原料である。従って、アミン化合物(A2)は、エポキシ基との反応が可能な活性水素を少なくとも1つ以上含む。アミン化合物(A2)としては、アミノ基を導入できるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、モノメチルアミン、ジメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、モノブチルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、ジ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノール、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジエチルアミノプロピルアミン、ジエチレントリアミン、等が挙げられ、これらの内、アルカノールアミンが好適である。なお、1級アミンについてはケチミン化したものも用いる事が可能である。なお、これらのアミン化合物は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上のアミン化合物(A2)を用いてアミノ基変性エポキシ樹脂(A)を製造する場合は、それぞれを別々に添加しても同時に添加してもよい。
<1−2.エポキシ樹脂(A1)の製造方法>
次に、エポキシ樹脂(A1)の製造方法について詳述する。エポキシ樹脂(A1)は、例えば、プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)、ビスフェノール化合物(a2)、ジエポキシ樹脂(a3)及びジカルボン酸(a4)の原料を配合した混合物を、所定温度で攪拌して反応させることにより製造することができる。なお、反応を促進させるために、上記混合物に反応触媒をさらに添加することが好ましい。
反応触媒としては、反応を促進するものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のような3級アミン、テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド等のような4級アンモニウム塩等を用いることが出来る。合成温度は、反応の進行を考えて70℃以上200℃以下で制御するのが望ましい。
上記の製造方法により得られるエポキシ樹脂のエポキシ当量は、例えば、1000以上5000以下が望ましく、1250以上4000以下がより望ましく、1500以上3000以下が特に望ましい。当該範囲内であるエポキシ樹脂(A1)は、より優れた液安定性を実現でき、且つ、所定の膜厚を効率よく形成することができるカチオン電着塗料組成物の原料として有用なアミノ基変性エポキシ樹脂(A)を製造することが可能となる。なお、エポキシ当量は、JIS K7236の電位差滴定法に準じて測定することができる。該測定には、市販の電位差滴定装置(例えば、京都電子工業製のAT−610)を用いて行うことができる。
エポキシ樹脂(A1)の製造において、プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)、ビスフェノール化合物(a2)、ジエポキシ樹脂(a3)及びジカルボン酸(a4)の配合割合は、各原料(a1)〜(a4)の総質量に対して下記の通りである。プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)は1〜50質量%が望ましく、5〜45質量%が望ましく、10〜40質量%が最も望ましい。ジカルボン酸(a4)は1〜20質量%が最も望ましく、5〜20質量%がより望ましく、10〜20質量%が最も望ましい。残りの配合割合はビスフェノール化合物(a2)及びジエポキシ樹脂(a3)によるものとなるが、ビスフェノール化合物(a2)及びジエポキシ樹脂(a3)は1質量%以上であることが望ましい。これらが当該範囲である場合、良好な電着付き廻り性、外観、耐食性及び防食性を有する塗膜を形成することができるカチオン電着塗料組成物の原料として有用なアミノ基変性エポキシ樹脂(A)を製造することができる。
上記の反応は、適宜、各原料を溶剤に添加して溶剤中で行ってもよい。溶剤としては、樹脂の製造において通常用いられているものであれば特に制限されるものではなく、例えば、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール系溶媒;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエーテルアルコール系溶媒;等が挙げられ、これらは単独で、若しくは、2種以上混合して用いてもよい。
<1−3.アミノ基変性エポキシ樹脂(A)の製造方法>
次に、エポキシ樹脂(A1)の製造方法について詳述する。上述したように、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)とを反応させることにより得ることができる。反応温度及び時間は、例えば、70℃以上110℃以下の範囲内で1〜5時間が好適である。アミノ基変性エポキシ樹脂(A)の製造において、アミン化合物(A2)の配合量は、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)のアミン価が5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の範囲となるように調整することが好ましい。従って、得られるアミノ基変性エポキシ樹脂(A)のアミン価は、5mgKOH/g以上30mgKOH/g以下の範囲内であることが好ましく、5mgKOH/g以上20mgKOH/g以下の範囲内であることがより好ましく、10mgKOH/g以上20mgKOH/g以下の範囲内であることが特に好ましい。アミン価が当該範囲内であると、より優れた液安定性を実現でき、且つ、より低い電気伝導度でも十分な付廻り性や外観悪化防止性を実現できるカチオン電着塗料組成物を調製することが可能となる。なお、アミン価、すなわち、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)の全アミン価は、JIS K7237の電位差滴定法に準じて測定することができる。
なお、アミン価を調整しても未反応のエポキシ基が存在する場合は、エポキシ基と反応しうる化合物を用いて、当該未反応のエポキシ基に反応させてもよい。当該未反応のエポキシ基と反応させる化合物は、特に問わないが、例えば、フェノール化合物、カルボン酸類、キシレンホルムアルデヒド樹脂やε−カプロラクトン等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)との反応は、エポキシ樹脂(A1)を製造する際に用いた上記溶剤と同じものを使用することができるが、これらに限定されるものではなく、他の溶剤を使用してもよい。
≪2.カチオン電着塗料組成物≫
本発明に係るカチオン電着塗料組成物は、樹脂エマルションと、可溶型Bi(C)と、任意に水溶性金属化合物(D)と、を含む。ここで、樹脂エマルションは、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)と、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)を架橋し得る硬化剤(B)と、を含む。まず、樹脂エマルションの各成分について詳述する。
<2−1.樹脂エマルション>
{2−1−1.原料/アミノ基変性エポキシ樹脂(A)}
樹脂エマルションの製造に用いるアミノ基変性エポキシ樹脂(A)の詳細については上述したので、ここでは省略する。
{2−1−2.原料/硬化剤(B)}
硬化剤(B)としては、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)を架橋し得るものであれば特に限定されず、例えば、ブロック化イソシアネート化合物、アミン化合物、メラミン等が挙げられる。なかでも、ブロック化ポリイソシアネート化合物が好ましい。
ブロック化ポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物とブロック剤との付加反応生成物、好適にはポリイソシアネート化合物とブロック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物である。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ポリメリックMDI(クルードMDI)、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。これらは単独若しくは2種以上組み合わせて使用することが出来る。
また、ブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加して他の化合物が反応するのをブロックするものである。このようにブロック剤でイソシアネート基をブロックすることによって生成されるブロック化ポリイソシアネート化合物は、常温において安定である。なお、ブロック化ポリイソシアネート化合物としては、本発明のカチオン電着塗料組成物によって形成された塗膜を焼き付ける際に、ブロック化しているブロック剤が解離しうるものであることが望ましい。なお、上記焼付温度は、通常、約100〜200℃である。
このような要件を満たすブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタム等のラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等のオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾール等のフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノール等のアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル等のエーテルアルコール系化合物;等が挙げられる。これらのブロック剤は単独、若しくは2種以上を組み合わせて使用することが出来る。ブロック剤の付加及び解離の反応を効率よく行うことができ、また、意図する付加反応生成物を効率よく得るために、あらかじめ、変性エポキシ樹脂における水酸基と、ポリイソシアネート化合物におけるイソシアネート基と反応させ、且つ、該ポリイソシアネート化合物における他のイソシアネート基の一部又は全部をブロック剤でブロックしてもよい。
また、ブロック剤の付加及び解離の反応をさらに効率良く行うために、適宜、硬化触媒を含ませることも可能である。硬化触媒としては、市販されているものを適宜使用することが出来る。
<2−2.可溶型Bi(C)>
本発明のカチオン電着塗料組成物は、可溶型Bi(C)を含有する。ここで、本特許請求の範囲及び本明細書における「可溶型Bi」とは、ビスマスイオン(通常は3価と理解される)、ビスマスイオンと他の配位子との錯体等の、溶媒に対して溶解状態にあるビスマスを指す。可溶型Bi(C)の供給源は、具体的には、硝酸ビスマス、リン酸ビスマス、硫酸ビスマス、塩化ビスマス、フッ化ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマス、酢酸ビスマス、蟻酸ビスマス、クエン酸ビスマス、乳酸ビスマス、シュウ酸ビスマス、リンゴ酸ビスマス、酒石酸ビスマス、アスコルビン酸ビスマス、EDTAビスマス、NTAビスマス、HEDTAビスマス、メタンスルホン酸ビスマス、ベンゼンスルホン酸ビスマス、グルコン酸ビスマス、ヘプトグルコン酸ビスマス等が挙げられる。
可溶型Bi(C)の供給源は、可溶性の化合物と難溶性の化合物とが存在する。可溶性の化合物の場合は、純水や工業用水に溶解して用いる。難溶性の化合物の場合は、硝酸、硫酸、塩酸等の無機酸や、アミノカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸、有機スルホン酸、有機ホスホン酸等の有機酸(キレート剤)等により溶解させて用いる。
可溶型Bi(C)の含有量(金属Bi含有量)は、特に制限がないが、好ましくは10〜10,000mg/Lであり、より好ましくは25〜8,000mg/Lであり、更に好ましくは50〜8,000mg/Lである。可溶型Bi(C)が上記範囲内にあると、耐食性が良好になる。可溶型Bi(C)の含有量が少ない場合には、耐食性が充分確保されず、また含有量が多い場合には、通電による樹脂の析出を妨げる恐れがある。
<2−3.水溶性金属化合物(D)>
本発明のカチオン電着塗料には、Zr,Ti及びHfからなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性金属化合物(D)を含んでもよい。ここで、Zr、Ti及びHfからなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性金属化合物(D)を、金属元素として合計で10〜10,000mg/L含有することが好適である。なお、本特許請求の範囲及び本明細書における「水溶性金属化合物」とは、20℃の水に1重量%以上溶解する金属化合物を意味する。
水溶性金属化合物(D)としてZrを用いる場合には、具体的には、硝酸ジルコニウム、オキシ硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ硫酸ジルコニウム、乳酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、フルオロジルコニウム酸及びフルオロジルコニウム錯塩等が挙げられる。
水溶性金属化合物(D)としてTiを用いる場合には、具体的には、硫酸チタン、オキシ硫酸チタン、硝酸チタン、オキシ硝酸チタン、フルオロチタン酸及びフルオロチタン錯塩等が挙げられる。
水溶性金属化合物(F)としてHfを用いる場合には、具体的には、硝酸ハフニウム、酸化ハフニウム、ケイ酸ハフニウム、塩化ハフニウム、フルオロハフニウム及びフルオロハフニウム錯塩等が挙げられる。
<2−4.カチオン電着塗料組成物に含まれるその他の原料>
本発明のカチオン電着塗料組成物は、上述の樹脂エマルションと可溶型Bi(C)を含むものであれば特に制限されるものではなく、その他の原料が含まれていてもよい。他の原料としては、例えば、液体媒体(好適には水)を始め、顔料ペースト(顔料とその顔料を分散させるための樹脂を含む)、有機溶剤、界面活性剤、消泡剤、中和酸等の、カチオン電着塗料に使用されている添加剤を挙げることができる。
<2−5.樹脂エマルションの製造方法>
樹脂エマルションは、例えば、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)との混合物に中和酸を添加して撹拌混合した後、水で希釈することにより作製することができる。中和酸としては、アミノ基変性エポキシ樹脂(A)におけるアミノ基をカチオン化することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸等の有機カルボン酸を用いる事ができる。これらのうち、より安定な低アミン価樹脂エマルションを作製することが可能なメタンスルホン酸等の強酸を用いることが望ましい。これらの酸は単独で用いることもできるし、2種以上用いることも可能である。2種以上の酸を用いる場合は、それぞれを別々に添加しても同時に添加してもよい。なお、カチオン化は全てのアミノ基に対して行ってもよいし、一部のアミノ基に対して行ってもよい。
カチオン化に用いる酸の量は、特に限定されるものではないが、少ない場合は、水分散性を付与するカチオンが少なくなりエマルションが成立しない場合があり、一方、多い場合は、エマルションの電気伝導度が高まり、該エマルションを含むカチオン電着塗料組成物によって形成される塗膜の外観が悪化する恐れがあるため、カチオン電着塗料組成物の電気伝導度が1000μS/cmから2000μS/cmになるように酸の量を適宜調整することが好ましい。
<2−6.カチオン電着塗料組成物の製造方法>
本発明に係るカチオン電着塗料組成物は、上記樹脂エマルションに、可溶性Bi、必要に応じて、上述の、水溶性金属化合物(D)、液体媒体、顔料ペースト、有機溶剤、界面活性剤、消泡剤等を攪拌混合することにより、製造することができる。なお、カチオン電着塗料組成物は、希釈前の高濃度のものであっても、高濃度のものを適宜脱イオン水等で希釈して所望の濃度に調整した低濃度のものであってもよい。
<2−7.カチオン電着塗料組成物の液性>
{2−7−1.カチオン電着塗料組成物のpH}
本発明に係るカチオン電着塗料組成物のpHは、特に制限されるものではないが、2.0以上7.0以下の範囲内であることが好ましく、3.0以上6.5以下の範囲内であることがより好ましい。この範囲内で用いることにより、カチオン電着塗料組成物によるカチオン電着塗装前に、化成処理液による化成処理を行っても、化成処理液及び化成処理によってエッチングされた金属等のコンタミによる悪影響を防ぐことができる。pHの調整に用いることのできる物質には特に制限はなく、公知の酸や塩基を用いて行なうことができるが、例えば蟻酸、酢酸、乳酸、硝酸、スルファミン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等の酸、及びアンモニア水、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の塩基を適宜用いることができる。なお、本明細書におけるpH値は、市販のpHメーターを用い、25℃で測定した値を示す。
{2−7−2.カチオン電着塗料組成物の電気伝導度}
カチオン電着塗料組成物の25℃における電気伝導度は、1000μS/cmから2000μS/cmであることが好ましい。なお、電気伝導度は、市販の電気伝導率計(例えば、東亜DKKのマルチ水質計MM−60R等)を用いて測定することができる。
≪3.カチオン電着塗装≫
{3−1.カチオン電着塗装方法}
本発明の処理方法は、(第一工程)被処理金属を本発明の金属表面処理剤に浸漬し、被処理金属基材上にBi皮膜を主成分とする皮膜を形成させ、(第二工程)その後、陰極電解によってアミン変性エポキシ樹脂(A)と硬化剤(B)を主に含む樹脂膜を、Bi皮膜上に形成させる方法である。以下にそれぞれについて具体的に説明する。
{3−1−1.第一工程の処理方法}
第一工程は、本発明に係るカチオン電着塗料組成物に被処理金属を浸漬し、無通電、すなわち化成反応でBiを主成分とする皮膜を形成させる工程である。Biは一般的な自動車材料である鉄鋼、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム合金よりも貴な金属であり、これら金属に対しては酸化還元反応によりBi皮膜が析出する。浸漬時間は、3〜600秒が好ましい。
{3−1−2.第二工程の処理方法}
第二工程は、被塗物を陰極とし、50Vから400V、好ましくは100Vから300Vの条件で通電することによって行うことができる。カチオン電着塗装時のカチオン電着塗料組成物を含む塗料浴は、通常10℃から50℃の範囲内であり、好ましくは15℃から40℃の範囲内であるが、これらの温度に限定されるものではない。なお、カチオン電着塗装後は、形成された塗膜を硬化させるため、乾燥工程を実施する。塗膜の乾燥は、例えば、塗装物表面温度で約100℃から約200℃の温度範囲内で行うことが好ましく、約140℃から約180℃の温度範囲内で行うことがより好ましい。このように、塗膜を乾燥させて硬化させることにより、本発明のカチオン電着塗料組成物で塗装された物品を得ることが出来る。なお、カチオン電着塗装工程と乾燥工程との間に、必要に応じて水洗工程を設けてもよい。水洗工程は、例えば、限外濾過液、逆浸透透過水、工業用水、純水等を用いて行うことができる。
上記カチオン電着塗装方法により形成される塗膜の厚さは、特に制限はないが、5μm以上50μm以下が好ましく、10μm以上40μm以下がより好ましい。この範囲内であることにより、優れた耐食性を得ることができる。なお、塗膜厚は、素地金属が磁性金属であれば電磁誘導式膜厚計、素地金属が非磁性金属であれば過電流式膜厚計により測定することができる。
{3−2.カチオン電着塗装対象物}
本発明に係るカチオン電着塗料組成物は、電着可能なものであれば特に対象物に制限はなく、例えば、冷延鋼材、亜鉛系めっき鋼材(例えば、合金化溶融亜鉛めっき鋼材、溶融亜鉛めっき鋼材、電気亜鉛めっき鋼材)、アルミニウム鋼材、アルミニウム材、マグネシウム材等の金属材料に適用することができる。これらの金属材料は、必要に応じて、アルカリ脱脂等により表面洗浄処理を行ったもの、であってもよい。なお、上記カチオン電着塗料組成物を用いたカチオン電着塗装方法は、ピンホールが特に発生し易い亜鉛系めっき鋼板に特に有用である。また、これら金属材料は、例えば自動車ボディ、自動車部品、家庭用機器等に適用できるように加工されているものでもよい。
以下、製造例、実施例及び比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、実施例で使用した被処理素材、脱脂剤、及び塗料は市販されている材料の中から任意に選定したものであり、本発明の表面処理用組成物、表面処理用処理液、及び表面処理方法の実際の用途を限定するものではない。また、特記しない限り、%及び部は、質量%及び質量部をそれぞれ意味する。以下、配合に用いた原料を表1〜4に示した。
≪変性エポキシ樹脂(A1)の製造≫
<製造例1>
温度計、還流冷却管、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコにプロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂a1−1:100.02g、ビスフェノール化合物a2−1:161.46g、ジエポキシ樹脂a3−1:638.5g、ジカルボン酸a4−1:100.02g及びジメチルベンジルアミン0.75gを加え、130℃でエポキシ当量が2000になるまで反応させ、ブチルセロソルブを440.08g加えて反応を停止し、変性エポキシ樹脂No.1を得た。
表5〜8に示した組成に基づき、同表に示したエポキシ当量となるようにした以外は、製造例1と同様にして、変性エポキシNo.2からNo.51を製造した。
アミノ基変性エポキシ樹脂(A)の製造
<製造例52>
温度計、還流冷却器、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコに変性エポキシ樹脂No.1:1000.0g、ジエタノールアミン:20.11g加え90℃で4時間反応させ固形分70%のアミノ基変性エポキシ樹脂No.1を得た。この樹脂のアミン価は15.0mgKOH/gであった。
<製造例53〜110>
製造例52と同様にして、表9〜12に示した組成に基づき、アミノ基変性エポキシ樹脂No.2からNo.59を得た。なお、各製造例におけるアミン価は、同表に示す通りである。
ブロック化ポリイソシアネート型硬化剤(B)の製造
反応容器中にコスモネートM−200(商品名、三井化学社製 クルードMDI):678.4gにメチルイソブチルケトン:115.6g加え70℃に昇温した後、ブチルセロソルブ706.0gをゆっくり滴下し、滴下終了後90℃に昇温した。90℃の条件下で12時間反応させブロック化ポリイソシアネート型硬化剤を得た。赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、未反応のイソシアネート基由来の吸収が見られず、イソシアネートが完全にブロック化されたことが確認できた。
≪樹脂エマルションの製造≫
<製造例111 エマルションNo.1の製造例>
製造例52で得られたアミノ基変性エポキシ樹脂No.1を650.0g、ブロック化ポリイソシアネート化合物を200.0g混合し、さらにメタンスルホン酸10.0gを配合して均一に撹拌した後、脱イオン水1094.0gを強く撹拌しながら約10分間かけて投入して固形分33%のエマルションNo.1を得た。
<製造例112〜169 エマルションNo.2からNo.59の製造例>
製造例106と同様にして、表13〜16に示した組成に基づき、エマルションNo.2からNo.59を得た。
≪30%第四級塩化エポキシ樹脂の製造≫
温度計、還流冷却管、及び攪拌機を備えた内容積2リットルのセパラブルフラスコにjER#828(商品名、ジャパンエポキシレジン社製、エポキシ当量180)を134.9g、ビスフェノールAを80.94g、ジメチルベンジルアミンを0.1g加え、130℃でエポキシ当量が1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ71.7gを加え、さらにジメチルアミノエタノール13.16g、90%乳酸を14.79g加えて90℃で1時間反応を行った。反応後、脱イオン水613.36gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分30%の第四級塩化エポキシ樹脂を製造した。
≪顔料ペーストの製造≫
30%の第四級塩化エポキシ樹脂16.6gに対し、精製クレー7.0g、カーボンブラック0.3g、白色着色顔料3.0g、ジオクチル錫ジオキサイド1.0g及び脱イオン水を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分50%の顔料ペーストを得た。
≪Bi添加剤の製造≫
酸化ビスマスを55.7g、HEDTAを133.0g、脱イオン水を811.3g混合し、酸化ビスマスが溶解するまで撹拌し、5%Bi水溶液を得た。
≪処理液作製≫
製造したエマルションを固形分16.0%、顔料ペーストを固形分4.0%となる量を配合した。なお、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整した。次いで、Bi添加剤、水溶性金属化合物(D)を所定の金属濃度となるように適宜配合した。ここで、水溶性金属化合物(D)として、6フッ化ジルコニウム酸及び6フッ化チタン酸を用いた。
≪試験板の作製≫
試験板として、冷延鋼板:SPCC(JIS3141)70×150×0.8mm(以下SPCと略す)を用い、あらかじめその表面を日本パーカライジング社製アルカリ脱脂剤「FC−E2001」を使用して、120秒間スプレー処理することにより脱脂処理した。
脱脂処理後30秒間スプレー水洗したSPCを、それぞれ別に用意した実施例及び比較例に係る金属表面処理剤に、1工程目として120秒間無通電浸漬し、引き続き200V×180秒間(そのうち初めの30秒は7V/秒の昇圧速度で200Vまで昇圧)電着処理し、脱イオン水で水洗後、180℃×20分焼き付けることで、塗膜厚15μmの試験片を得た。
≪各種評価試験≫
それぞれの評価において、○以上を合格とする。
<電着付き廻り性試験方法及び評価方法>
4枚ボックスによる電着付き廻り性試験方法(例えば、特開2010−90409号公報の段落0085〜0090等を参照)に従い、塗装付き廻り性試験方法を実施した。実施に際し、対極としては、片面(4枚ボックスと対向する面の逆面)を絶縁テープでシールした70×150×0.5mmのステンレス板(SUS304)を用いた。また、処理液の液面を、試験片及び対極が90mm浸漬される位置に調整した。処理液の温度は30℃に保持し、処理液はスターラーにて撹拌した。
このような状態で、対極を陽極とした陰極電解法により、4枚ボックスの試験片の表面に塗膜を電解析出させた。具体的な電解条件は、整流器を用い、所定の電圧にて180秒間陰極電解した。電圧は、4枚ボックスの対極と最も近い試験片の、対極と対向する面の塗膜厚さ15μmになるように調整した。続いて、それぞれの試験片を水洗した後、180℃で26分間焼き付け、塗膜を形成させた。
そして、対極から最も離れた試験板の対極面側に形成された塗膜の膜厚を電磁式膜厚計(試験片がSPC又はGAの場合)又は渦電流式膜厚計(試験片がALの場合)を用いて測定した。対極から最も離れた試験片の対極面側に形成された塗膜の厚さは、無作為に選らんだ10箇所の膜厚を測定し、その平均値を算出することにより得た。その後、対極に最も近い試験片の対局面側に形成された塗膜厚に対する、対極から最も離れた試験片の対極面側に形成された塗膜厚の割合を算出し、以下の評価基準に基づいて電着付き廻り性を評価した。
◎:65%以上
○:50%以上65%未満
△:20%以上50%未満
×:20%未満
<合金化溶融亜鉛めっき鋼板の耐ガスピンホール性>
前記《試験板の作成》における方法で、冷延鋼板の替わりに合金化溶融亜鉛めっき鋼板を用い、化成処理後の水洗を実施し、電着塗料浴(30℃)の陰極として浸漬して200Vにて電着塗装して膜厚15μmとした。得られた塗膜を180℃で20分間焼き付け硬化を行った後、その中のピンホールの数を数え、下記の基準で評価した。
◎:ピンホールの発生なし
○:ピンホールが1個発生しているが、中塗り塗膜で隠ぺいできる程度で問題無
△:ピンホールが2から9個発生
×:ピンホールが10個以上発生
<電着塗膜の表面粗度>
乾燥塗膜厚15μmの電着塗膜をJIS B 0601に準じて、東京精密のサーフコム570Aを用いて中心線表面粗さ(Ra)を測定し、下記の基準で評価した。なお、カットオフ値λcは0.8mm、λsは2.5μmとした。
◎:Ra値が0.20未満
○:Ra値が0.20以上で、且つ0.50未満
△:Ra値が0.50以上で、且つ0.70未満
×:Ra値が0.70以上
<防食性>
塩水噴霧試験(SST)
乾燥塗膜厚15μmのカチオン電着塗膜試験板の素地に達するように塗膜にカッターナイフでクロスカット傷を入れ、JIS Z−2371に準じて、35℃ソルトスプレー試験を840時間行い、カット部からの錆、膨れ幅によって、下記の基準で評価した。
◎:錆、膨れの最大幅がカット部より2.0mm以下(片側)
○:錆、膨れの最大幅がカット部より2.0mmを超え、且つ3.0mm以下(片側)
△:錆、膨れの最大幅がカット部より3.0mmを超え、且つ3.5mm以下(片側)
×:錆、膨れの最大幅がカット部より3.5mmを超える(片側)
複合腐食サイクル試験(CCT)
表面処理した試験板にクロスカットを施し、JASO−M609−91に則り複合サイクル試験を100サイクル実施した。試験終了後、クロスカット部からの片側最大膨れ幅(又は錆幅)を測定し、以下の判定基準で評価した。
◎:錆、膨れの最大幅がカット部より2.0mm以下(片側)
○:錆、膨れの最大幅がカット部より2.0mmを超え、且つ5.0mm以下(片側)
△:錆、膨れの最大幅がカット部より5.0mmを超え、且つ10.0mm以下(片側)
×:錆、膨れの最大幅がカット部より10.0mmを超える(片側)
表17〜19に実施例1から64及び比較例1から16の組成物で得られた皮膜の評価結果を示した。実施例1から64は全ての水準において得られた電着付き廻り性、塗膜外観は共に良好であり、それらの両立を果たした。また防食性試験においても良好な結果を示した。なお、得られたエマルションの安定性も優れていた。対して比較例1から16は電着付き廻り性、塗膜外観、耐食性全てに劣る結果であった。なお、表17〜19において、「Biイオン濃度(ppm)」とは、可溶型Biの、金属Bi元素としての含有量(mg/L)であり、「水溶性金属化合物(ppm)」とは、水溶性金属化合物(D)の、金属元素としての含有量(mg/L)である。
以上より、本発明の効果は明らかである。
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Claims (11)

  1. アミノ基変性エポキシ樹脂(A)と該アミノ基変性エポキシ樹脂(A)を架橋し得る硬化剤(B)とを含む樹脂エマルションと、可溶型Bi(C)と、を含むカチオン電着塗料組成物であって、
    前記アミノ基変性エポキシ樹脂(A)は、エポキシ樹脂(A1)とアミン化合物(A2)を反応させて得られ、
    前記エポキシ樹脂(A1)は、
    式(1)で示されるプロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)と、
    ビスフェノール化合物(a2)と、
    式(1)とは異なるジエポキシ樹脂(a3)と、
    2つのカルボキシル基が少なくとも1個の炭素原子を介して結合されているジカルボン酸(a4)と、
    を反応させて得られる、カチオン電着塗料組成物。
    Figure 0006681691
    [式(1)中、R1は、置換基を有していてもよい炭素数3〜10のアルキレン基、置換基を有していてもよいシクロヘキシレン基、置換基を有していてもよいフェニレン基、又は−Ra−Rb−Rc−であり、Ra及びRcは、シクロヘキシレン基又はフェニレン基であり、Rbは、1又は2個の置換基を有していてもよいメチレン基であり、m及びnは、相互に独立しており、1〜20のいずれかの整数である]
  2. 前記ジエポキシ樹脂(a3)が、式(2)で示される化合物である、請求項1に記載のカチオン電着塗料組成物。
    Figure 0006681691
    [式(2)中、R3及びR4は、それぞれ独立に、単結合、アルキレン基、フェニレン基、及びシクロヘキシレン基から選ばれ、X及びYは、それぞれ独立に水素原子及びアルキル基から選ばれる]
  3. 前記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)のR1が、式(3)で示されるビスシクロヘキシレン基、式(4)で示されるビスフェニレン基、及び式(5)で示されるフェニレン基のいずれか1種であり、且つ、式(1)におけるm及びnは、相互に独立しており、1〜5のいずれかの整数である、請求項1又は2に記載のカチオン電着塗料組成物。
    Figure 0006681691
    [式(3)、(4)及び(5)中、X、X、Y及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基及びフェニル基から選ばれ、X及びYは、互いに独立に水素原子、アルキル基、フェニル基、アルコキシル基及びヒドロキシル基から選ばれる]
  4. 前記ジカルボン酸(a4)は、2つのカルボキシル基が炭素数1〜20個のアルキレン基を介して結合される化合物であり、前記アルキレン基はアルキル基、アルケニル基、アルカジエニル基又はメチレン基を有していてもよく、また、前記アルキレン基の炭素数が2〜20個である場合、隣り合う炭素原子を介して環を構成してもよく、前記環はアルキル基及びアルケニル基から選択される1又は2以上の置換基を有していてもよい、請求項1から3のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂(A1)のエポキシ当量が1000から5000であり、且つ、前記アミノ基変性エポキシ樹脂(A)のアミン価が5から30である、請求項1から4のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  6. 前記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)の量が、前記プロピレンオキサイド付加ジエポキシ樹脂(a1)、前記ビスフェノール化合物(a2)、前記ジエポキシ樹脂(a3)及び前記ジカルボン酸(a4)の総質量に対して1から50質量%であり、且つ、前記ジカルボン酸(a4)の量が、前記総質量に対して1から20質量%である、請求項1から5のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  7. 前記硬化剤(B)がブロック化ポリイソシアネート型硬化剤である、請求項1から6のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  8. 前記カチオン電着塗料組成物は、可溶型Bi(C)を、金属Bi元素として10から10,000mg/L含有する、請求項1から7のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  9. 更にZr、Ti及びHfからなる群より選ばれる1種又は2種以上の水溶性金属化合物(D)を、金属元素として合計で10から10,000mg/L含有する、請求項1から8のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物に被処理金属を浸漬し、無通電で3〜600秒間浸漬することで前記被処理金属上にBiを主成分とする皮膜を形成させ、その後陰極電解によって前記アミノ基変性エポキシ樹脂及び前記硬化剤を主成分とする塗膜を前記被膜上に形成させる工程を含む金属表面処理方法。
  11. 請求項1から9のいずれか一項に記載のカチオン電着塗料組成物に、化成処理を施していない金属被塗物を浸漬し電着塗装して得られる塗装物品。
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