JP5550580B2 - 金属表面処理用組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、金属材料、特に形状が複雑な金属構成体に対し、優れた耐食性及び塗膜外観を付与しうる皮膜を形成せしめることが可能な金属表面処理組成物、これを用いた金属表面処理方法に関するものである。
従来、各種金属材料、特に形状が複雑な金属構成体に対して優れた耐食性を付与するための手法としては、高い付き廻り性を有する電着塗装が一般的に行われてきた。しかし、電着塗装によって得られる電着塗膜のみでは、所望の耐食性が得られない場合が多いため、電着塗装の前段には標準的にリン酸亜鉛系化成処理等の化成型の塗装下地処理が適用されていた。
電着塗装は、アニオン性樹脂エマルションを含有する水性塗料中で被塗物をアノード電解することによって塗膜を析出させるアニオン電着塗装と、カチオン樹脂エマルションを含有する水性塗料中で被塗物をカソード電解することによって塗膜を析出させるカチオン電着塗装とに大別できるが、鉄系金属材料の耐食性向上に対しては、電解処理中に素地金属が塗料中に溶出する心配の無いカチオン電着塗装が有利であり、鉄系材料を主とする金属構成体である自動車車体、自動車部品、家電製品、建築材料等に対してはカチオン電着塗装が広く適用されている。
カチオン電着塗装の市場での歴史は長く、かつてはクロム化合物や鉛化合物を配合することによって防錆性を確保していた。但し、これによっても防錆性は不十分であったため、リン酸亜鉛系化成処理等の下地処理が必須であった。現在では環境規制、特に欧州におけるELV規制によりクロム化合物や鉛化合物が実質使用できなくなったため、代替成分が検討され、ビスマス化合物にその効果が見出されており、具体的には次に挙げる特許文献が開示されている。
特許文献1(特開平5−32919)には、ビスマス化合物をコーティングした顔料を少なくとも1種含有することを特徴とする電着塗料用樹脂組成物が開示されている。
特許文献2(WO99/31187)には、有機酸変性ビスマス化合物が非水溶性の形態で存在する水性分散液を配合した水性分散ペーストからなることを特徴とするカチオン電着塗料組成物が開示されている。
特許文献3(特開2004−137367)には、コロイド状ビスマス金属、及び、スルホニウム基とプロパルギル基とを持つ樹脂組成物からなることを特徴とするカチオン電着塗料が開示されている。
特許文献4(特開2007−197688)には、水酸化ビスマス、ジルコニウム化合物及びタングステン化合物から選ばれる少なくとも1種の金属化合物の粒子を含んでなる電着塗料であって、該金属化合物が1〜1000nmであることを特徴とする電着塗料が開示されている。
特許文献5(特開平11−80621)には、脂肪族アルコキシカルボン酸ビスマス塩水溶液を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物が開示されている。
特許文献6(特開平11−80622)には、2種以上の有機酸によるビスマス塩の水溶液であって、該有機酸の少なくとも1種が脂肪族ヒドロキシカルボン酸である有機酸ビスマス塩水溶液を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物が開示されている。
特許文献7(特開平11−100533)には、光学異性体のうちのL体が80%以上含まれる乳酸を用いてなる乳酸ビスマスを含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物が開示されている。
特許文献8(特開平11−106687)には、2種以上の有機酸によるビスマス塩の水溶液であって、該有機酸の少なくとも1種が脂肪族アルコキシカルボン酸である有機酸ビスマス塩水溶液を含有することを特徴とするカチオン電着塗料組成物が開示されている。
これらの特許文献は特許文献1〜4及び特許文献5〜8に大別できる。すなわち、特許文献1〜4は水性塗料に対して不溶性のビスマス化合物又は金属ビスマス化合物を分散させたものであり、特許文献5〜8は少なくともビスマス化合物を固形分の残存が無くなるまで溶解させる、つまりBiイオンの状態にしてから塗料に添加することを特徴としている。
しかしながら、これらの特許文献におけるビスマス化合物は、あくまでクロム化合物や鉛化合物の代替として作用するものであり、リン酸亜鉛系化成処理等の下地処理無しには充分な耐食性は得られない。事実、これらの特許文献ではリン酸亜鉛系化成処理との組み合わせを前提とした実施例のみが開示されている。
一方、昨今ビスマス化合物以外の手法により耐食性を更に向上させ、リン酸亜鉛系化成処理等の下地処理を施さなくても、1コートにて充分な耐食性を確保し得る技術が検討されてきている。
例えば、特許文献9(特開2008−274392)には、金属基材に、皮膜形成剤を少なくとも2段階の多段通電方式で塗装することによって皮膜を形成する方法であって、(i)皮膜形成剤がジルコニウム化合物と、必要に応じて、チタン、コバルト、バナジウム、タングステン、モリブデン、銅、亜鉛、インジウム、アルミニウム、ビスマス、イットリウム、ランタノイド金属、アルカリ金属及びアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属(a)を含有する化合物とを合計金属量(質量換算)で30〜20,000ppmと、樹脂成分1〜40質量%とを含んでなり、(ii)金属基材を陰極として1段目の塗装を1〜50Vの電圧(V1)で10〜360秒間通電することにより行い、次いで、金属基材を陰極として2段目以降の塗装を50〜400Vの電圧(V2)で60〜600秒間通電することにより行い、そして(iii)電圧(V2)と電圧(V1)の差が少なくとも10Vであることを特徴とする表面処理皮膜の形成方法が開示されている。
また、特許文献10(特開2008−538383)には、(A)希土類金属化合物、(B)カチオン基を有する基体樹脂、及び(C)硬化剤を含む水性塗料組成物であって、該水性塗料組成物に含まれる(A)希土類金属化合物の量が、塗料固形分に対して、希土類金属に換算して、0.05〜10重量%である水性塗料組成物に、被塗物を浸漬する、浸漬工程、該水性塗料組成物中において、被塗物を陰極として50V未満の電圧を印加する、前処理工程、及び該水性塗料組成物中において、被塗物を陰極として50〜450Vの電圧を印加する電着塗装工程を包含する、複層塗膜形成方法が開示されている。
特許文献11(特開2010−24471)には、ビスマスの有機酸塩又は無機酸塩を含む水溶液に金属基材を浸漬し、第一工程として該金属基材を陰極として電解することによりビスマス化合物被膜を形成し、第二工程として該被膜の上にカチオン電着塗装により電着塗膜を形成する複層塗膜形成方法が開示されている。
特開平5−32919号公報 WO99/31187号公報 特開2004−137367号公報 特開2007−197688号公報 特開平11−80621号公報 特開平11−80622号公報 特開平11−100533号公報 特開平11−106687号公報 特開2008−274392号公報 特開2008−538383号公報 特開2010−24471号公報
本発明者らは、これら従来技術について種々検討した結果、やはりリン酸亜鉛系化成皮膜等の前処理無しに充分な耐食性を付与する皮膜を金属材料の上に形成させるためには、Biの適用が最も効果的であるとの結論に達した。そしてBiの作用効果について再検討することとした。
そして、Biの作用効果としては従来から、樹脂の硬化触媒としての機能と、素地金属の防食作用が注目されていたが、従来技術では、硬化触媒としての機能は望めるものの、金属の防食作用については極めて不充分であり、この作用を最大限に発揮させることこそ課題解決につながるものとして検討を進めた。
素地金属の防食作用はBiが金属に接触する面、すなわち素地金属表面と皮膜の界面に存在しなくてはならないが、従来技術ではBi成分が皮膜中に均一に分散してしまい、耐食性を発揮するに充分なBiが素地金属表面に存在していないものと推定した。
前述の如く特許文献1〜4は水性塗料に対して不溶性のビスマス化合物又は金属ビスマスを分散させたものであるが、このような組成物から皮膜を析出させた場合、他の顔料と同様、皮膜中にBiは均一に分散してしまう。
特許文献5〜8は少なくともビスマス化合物を固形分の残存が無くなるまで溶解させる、つまりBiイオンの状態にしてから塗料に添加することを特徴としているが、Biの安定化剤である有機酸のキレート能力が微弱であるため、組成物に投入した際、Biは徐々に加水分解してしまい、酸化物又は水酸化物へと変化してしまうため、Biイオンとしての長期的な安定化は望めない。これによって、やはりBiは皮膜中に均一に分散してしまうのである。これらの特許文献において、やはりリン酸亜鉛系化成処理が下地処理として用いられていたのは、上記の推察を裏付けている。
一方、特許文献9及び特許文献10は、素地金属上に無機系の皮膜を析出させた上に樹脂皮膜を積層させる技術であり、素地金属の防食の面で有利であるが、無機系の皮膜も樹脂皮膜もカソード電解による素地金属表面のpH上昇によって析出する機構であるため、積層皮膜の形成が容易でない。
特許文献11は、電解処理によりBiを析出させているが、同一工程で樹脂を析出させるものではない。樹脂の析出機構は、一般的に電解処理における水の電気分解が起因となり、素材界面近傍のpHの上昇が起こり樹脂エマルションの安定性が失われ、凝集析出するというものである。従って、同一工程内でBi及び樹脂を析出させようと試みた場合、Bi及び樹脂の析出が同時に起こり、耐食性を発揮するに十分なBiの析出が得られない。
本発明者らは、同一浴内で低電圧カソード電解にてBiを還元析出させ、次いで高電圧カソード電解でBiイオンの拡散が不十分になった段階で、かかるpH上昇によって樹脂が析出する反応機構を見出した。
そして、これによって得られた皮膜は、Biの持つ樹脂の硬化触媒能はもちろん、素地金属表面により高濃度で存在するBiにより、素地金属の耐食性をも充分に向上し得ることを確認した。
しかし、低電圧カソード電解時において樹脂のゼータ電位が低下し、終には等電点に達し凝集析出が起こり、Biの還元析出の低下が引き起こされるという問題もあった。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するために、特定の骨格を有するカチオン性樹脂エマルションを適用し、樹脂の析出に影響する樹脂エマルションが持つゼータ電位を制御し、低電圧カソード電解における樹脂析出を抑制し、その結果Bi析出性を向上させることに成功した。すなわち本発明は次に示す(1)〜(9)である。
本発明(1)は、樹脂エマルションとBiイオンとを含み、前記樹脂エマルションがカチオン性樹脂の少なくとも1種を含むものであって、前記カチオン性樹脂の少なくとも1種のカチオン化部位が1mol/L水溶液としてpH11以上を示すアミン化合物によって変性されたものであり、pH5〜pH9の水媒体中での前記樹脂エマルションのゼータ電位が+40mV〜+100mVであり、同一浴内での多段通電法により使用されることを特徴とする金属表面処理用組成物である。ここで、本特許請求の範囲及び本明細書におけるゼータ電位は、ゼータ電位測定装置(ZETASIZER Nano-Z:MALVERN製)を用いての測定値とする(測定温度:25℃、測定媒体:純水)。また、pH調整は、アンモニア水を使用し、自動滴定装置(MPT-2:MALVERN製)を用いて行うこととする。更に、ゼータ電位測定を始めるために必要な最小カウントレートが20kcps以上となる濃度で測定する。
本発明(2)は、pH5〜pH9の水媒体中で測定された前記樹脂エマルションのゼータ電位が+40mV〜+100mVであり、且つ、pH11以上の水媒体中で測定された前記樹脂エマルションのゼータ電位が+10mV未満である事を特徴とする前記発明(1)記載の金属表面処理用組成物である。
本発明()は、アミン化合物(E)が式1で示されるNH基含有化合物であり、R1、R2は相互に独立しており且つそれぞれ−(R)−で示され、Rはアルキレン基、アリーレン基(例えばフェニレン基)、カルボニル基であり、mは0もしくは1以上であり、X、Yは相互に独立しており且つ水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、カルボキシル、アミノ又はイミノである{ここで、R、X及びYは、相互に独立して、アルキル、アリール、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基及びハロゲン基から選択される一以上の基で更に置換されていてもよい}事を特徴とする前記発明(1)又は(2)記載の金属表面処理用組成物である。
Figure 0005550580
本発明()は、式1のX、Yの一方のみがヒドロキシルであるものを少なくとも1種以上含む事を特徴とする前記発明()記載の金属表面処理用組成物である。
本発明()は、式1のX、Yの一方のみがヒドロキシルである少なくとも1種以上のアミン化合物(E)によって変性された前記カチオン性樹脂が、前記カチオン性樹脂の原材料の全重量を基準として、前記アミン化合物を5重量%〜30重量%用いて得られたものである事を特徴とする前記発明()記載の金属表面処理用組成物である。ここで、「前記カチオン性樹脂の原材料の全重量」とは、前記カチオン性樹脂を合成する際に溶媒を使用した場合においては、溶媒を含まない原材料の全重量を指す。
本発明()は、前記カチオン性樹脂の原材料である式1のアミン化合物(E)の中に含まれる、X、Yの一方のみがヒドロキシルであるアミン化合物が10〜100重量%である事を特徴とする前記発明()又は()記載の金属表面処理用組成物である。
本発明()は、表面が清浄化された金属材料を、前記発明(1)〜()いずれか一項に記載の組成物中に浸漬させた後、又は、浸漬させながら、該金属材料を陰極とし、電圧15V以下にて10〜120秒間電解する第一工程と、電圧50〜400Vにて30〜300秒電解する、前記第一工程の後に実施する第二工程を有し、ここで、前記第二工程は、前記第一工程に引き続いて同一浴内で実施する事を特徴とする金属表面処理方法である。
≪金属表面処理方法≫
(適用対象)
本発明に係る金属表面処理用組成物は、各種金属を腐食から防止する目的で使用される。金属材料は、特に限定されるものではないが、冷延鋼板、熱延鋼板、鋳物材、鋼管等の鉄鋼材料、それらの鉄鋼材料の上に亜鉛系めっき処理及び/又はアルミニウム系めっきが施された材料、アルミニウム合金板、アルミニウム系鋳物材、マグネシウム合金板、マグネシウム系鋳物材等が挙げられる。特に形状が複雑な金属構成体、例えば、鉄系材料を主とする金属構成体である自動車車体、自動車部品、家電製品、建築材料等への使用に適している。
(金属表面処理方法)
本発明に係る金属表面処理方法は、前述した金属表面処理用組成物を用い、被処理金属材料を陰極とした電解処理工程にて金属材料表面に塗膜を析出させる工程を含む。より好適には、本発明に係る金属表面処理方法は、金属材料上に皮膜を析出させるべく、表面が清浄化された金属材料に対して電解処理を施す電解処理工程と、電解処理工程後に実行する水洗及び焼付け工程を含む。以下、本方法に特徴的な電解処理工程について詳述する。
この電解処理工程(カソード電解)は、金属表面処理用組成物中に前記金属材料を浸漬させた状態で、電圧15V以下にて10〜120秒間電解する第一工程と、金属表面処理用組成物中に前記金属材料を浸漬させた状態で、電圧50〜400Vにて30〜300秒間電解する、前記第一工程の後に実施する第二工程とを有し、ここで、前記第二工程は、前記第一工程に引き続いて同一浴内で実施する。
ここで、第一工程は主としてBiを優先的に付着させるために行われる工程であり、第二工程は主として樹脂を優先的に析出させるために行われる工程である。十分な耐食性を得るためには、金属材料に直接接触しているBi、つまり金属材料と皮膜の界面に存在する界面Biの存在が必要であり、そのためには第一工程と第二工程の順番と条件が極めて重要となってくる。
第一工程の電圧は15V以下(下限値は特に限定されないが例えば0.01V)であり、10〜120秒間電解することが好ましい。電圧が0Vを下回る場合、すなわち金属材料を陽極として電解した場合は、金属材料が組成物中に溶出してしまい、組成物の安定性を低下させるばかりか、耐食性の向上に必要な界面Biが十分付着しなくなる。上限を超える場合も、Biが金属表面に優先的に析出する前に樹脂析出が始まってしまうため、やはり充分な耐食性が得られなくなる。
処理時間が下限を下回る場合も充分な界面Biが析出せず、上限を上回る場合は界面Biの付着量が過多となり、皮膜の密着性が損なわれる場合がある。
第二工程の電圧は50〜400Vであり、30〜300秒間電解することが好ましい。電圧が下限を下回る場合は、樹脂皮膜の析出量が不充分となり、上限を上回る場合は、樹脂皮膜の析出過多により経済的に不利であるばかりか、皮膜の仕上がり外観が損なわれる場合がある。
第一工程に次いで第二工程に移行する際、電圧を瞬時に増加させる必要は無く、緩やかに増加させても本発明の効果を損なうものではない。また、第一工程及び第二工程共、電圧は常時一定である必要は無い。
次に、本発明に係る金属表面処理用組成物について詳述する。
≪金属表面処理組成物≫
本発明に係る金属表面処理用組成物は、水系樹脂とBiイオンを含有することを特徴とし、ここでの水系樹脂は、カチオン性樹脂を必須的に含み、例えば、電着塗料として使用されるF2剤に相当する。
本発明に係る金属表面処理用組成物は、上記水系樹脂、Biイオンのみならず、例えば顔料成分も任意に配合することができ、この顔料成分は、例えば電着塗料として使用されるF1剤に相当する。
本発明に係る水系樹脂には、ブロック化ポリイソシアネートをはじめとする硬化剤を任意に配合することもできる。尚、本発明における水系樹脂とは、水分散するエマルションと水溶性樹脂の総称である。また、カチオン性樹脂に加えてカチオン性樹脂以外の樹脂を水に分散させることにより得られた樹脂エマルションを用いてもよい。
本発明に係る金属表面処理用組成物は、Biイオンを含む水溶液にカチオン性樹脂の少なくとも1種を分散させたものである。
本発明は、カチオン性樹脂エマルションのゼータ電位を制御することにより、低電圧カソード電解時における樹脂エマルションの安定性を保持させ、その結果、Bi析出性を向上させることを可能とするものである。
カソード電解を行うことにより、水の電気分解を起因とする水酸化イオンが発生し、素材界面近傍のpH上昇が起こる。
その際、カチオン性樹脂のゼータ電位は低下し、最終的には等電点に到達し、エマルション安定性を失い析出する。
従って、各々のpH条件下における樹脂エマルションのゼータ電位を制御することにより、低電圧カソード電解及び高電圧カソード電解におけるBi及び樹脂エマルションの析出を支配することが可能となるのである。
本発明に係る樹脂エマルションのpH5〜pH9の水媒体中で測定されたゼータ電位が+40mV〜+100mVを示すことが好ましく、処理液安定性を考慮すると、+50mV〜+100mVを示すことがより好ましい。pH5〜pH9の水媒体中で測定されたゼータ電位が+40mV〜+100mVを示す事により、低電圧カソード電解時における素材界面近傍のpH上昇に対しても、樹脂エマルションの安定性が保たれる事を見出した。
従って、低電圧カソード電解時における樹脂エマルションの析出が抑制され、Bi析出を促進させることが可能となるのである。
さらに、pH11以上の水媒体中で測定されたゼータ電位を+10mV未満とすることで、高電圧カソード電解時において正常に塗膜析出がなされる。pH11以上の水媒体中で測定されたゼータ電位が+10mV以上の場合、高電圧カソード電解時における素材界面近傍のpH上昇に対してもエマルションの安定性が保たれ塗膜の析出が抑制されてしまう。そのため、水媒体中に存在するビスマスイオンと水酸化物イオンの反応により、優先的に水酸化ビスマスの析出もしくは樹脂皮膜と共析してしまい、塗膜密着性が損なわれてしまう。
従って、pH5〜pH9の水媒体中で測定されたゼータ電位が+40mV〜+100mVを示し、且つ、pH11以上の水媒体中で測定されたゼータ電位が+10mV未満を示すことで、低電圧カソード電解時においてBi析出を促進させ、さらに、高電圧カソード電解時において正常な塗膜析出がなされ複層皮膜の形成が可能となるのである。
<組成物構成成分:カチオン性樹脂>
本発明に係るカチオン性樹脂は、いずれも特に限定されるものではなく、一例としてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等の基体樹脂をカチオン化したものを用いることができる。これらの中ではエポキシ樹脂が好適であり、変性エポキシ樹脂がより好適であり、ビスフェノール型、ノボラック型の変性エポキシ樹脂が特に好適である。
以下、カチオン性樹脂として特に好適である、ビスフェノール型の変性エポキシ樹脂について詳述する。
(ビスフェノールA型の変性エポキシ樹脂)
ここで、特に好適なビスフェノールA型の変性エポキシ樹脂(A)について説明することとする。ビスフェノールA型の変性エポキシ樹脂は、原料として、変性樹脂(B)、エポキシ当量180〜2500のエポキシ樹脂(C)を用い、あるいは更にビスフェノールA(D)をも用い、これらを反応させて得られる変性エポキシ樹脂である。以下、各成分について説明する。
*ビスフェノールA型の変性エポキシ樹脂(A)の原料
まず、変性樹脂(B)は、エポキシ樹脂の可とう性向上などを目的として使用される。具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、アクリルポリオール等のポリオール樹脂、末端にフェノールを付加し、水酸基を有する芳香族縮合化合物などが挙げられる。さらに、ポリカプロラクトンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、フェノール性水酸基を有するキシレンホルムアルデヒド樹脂等が挙げられる。これらの化合物により変性を行うことは、従来より用いられてきた技術である。
エポキシ当量180〜2500のエポキシ樹脂(C)としては、塗膜の防食性等の観点から、特にポリフェノール化合物とエピハロヒドリン、例えば、エピクロロヒドリンとの反応により得られるエポキシ樹脂が好適である。なかでも、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンとの反応により得られるビスフェノールAを基本構造として重合させたエポキシ樹脂も同様の効果を示し、エポキシ当量として180〜2500、好ましくは180〜2000、更に好ましくは180〜1500のものが最適である。
*NH基含有化合物(E)
次に、基体樹脂のカチオン化の手法について述べる。カチオン化は一般的には、基体樹脂にアミノ基を導入する手法が用いられる。尚、NH基含有化合物(E)は、1級アミン化合物及び2級アミン化合物を含む。
NH基含有化合物(E)は、本発明に係る基体樹脂にアミノ基を導入してカチオン化するためのカチオン性付与成分である。
本発明では、NH基含有化合物(E)が、それが導入された樹脂エマルションが持つゼータ電位に関与し、Bi析出性及び塗膜析出性に対して極めて重要な要素になる事を見出した。
理想的なBi及び樹脂の複層皮膜を成す為に必用なゼータ電位挙動を達成するために、本発明において基体樹脂に導入されるNH基含有化合物(E)が所定のpH範囲を示す事が好適である。
具体的には基体樹脂に導入されるNH基含有化合物(E)は、1mol/L水溶液としてpH11以上である事が好ましく、pH11〜13である事がより好ましく、pH11.5〜13であることが特に好ましい。
理由は明確ではないが、1mol/L水溶液としてpH11以上のアミン化合物を導入することにより、各pHにおける樹脂エマルションのゼータ電位を、前述の範囲内とすることが可能となる事を見出した。
NH基含有化合物(E)は式1で表され、少なくとも1種以上がカチオン性樹脂1分子中に5重量%〜30重量%含まれる事が好ましく、5重量%〜25重量%含まれる事がより好ましい。
式1のR1、R2は相互に独立しており且つそれぞれ−(R)m−で示され、Rはアルキレン基、アリーレン基又はカルボニル基であり、mは0又は1以上(上限値は特に限定されないが例えば10)であり、X、Yは相互に独立して水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、カルボキシル、アミノ又はイミノである事が好ましい。ここで、「イミノ」とは、イミンに結合したアルキルの一つを取った残基を意味する。また、本特許請求の範囲及び本明細書にいう「アルキレン」及び「アルキル」を構成する炭素数は特に限定されないが、好適にはC1〜C6であり、より好適にはC2〜C3である。また、本特許請求の範囲及び本明細書にいう「アリーレン」及び「アリール」を構成する炭素数は特に限定されないが、好適にはC6〜C14である。尚、炭素骨格の一部がヘテロ原子(N、S等)で置換したヘテロアリールも含む(この場合、C5〜C13が好適である)。また、R、X及びYは、相互に独立して、一個以上の他の置換基{例えば、アルキル(例えば、C1〜C6)やアリール(例えば、C6〜C14)、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、ハロゲン基}で置換されていてもよい。
NH基含有化合物(E)は、例えば、モノエタノールアミン、モノ(2−ヒドロキシプロピル)アミン、モノメチルアミノエタノール、モノエチルアミノエタノール、モノフェニルエチルアミノエタノール、モノアセチルアミノエタノールなどのモノアルカノールアミンが挙げられる。
式1で示されるNH基含有化合物(E)は、少なくとも1種以上用いられる事が好ましく、X、Yのいずれかがヒドロキシルから選ばれるモノアルカノールアミンが1種以上用いられる事がより好ましい。ここで、「モノアルカノールアミン」とは、NHの一方にヒドロキシアルキル基{−R−OH(ここで、Rは、アルキレンであり、前述の好適範囲を有し、更に前述の基で置換されていてもよい)}が結合した、一級又は二級アミンである。尚、NHの他方に結合する基としては、水素原子やアルキル(ここで、アルキルは、更に前述の基、例えばアリールで置換されていてもよい)が好適である。これらの内、NHの他方にアルキルが結合した、二級のモノアルカノールアミンが好適である。
NH基含有化合物(E)として、モノアルカノールアミンを使用することにより、Bi析出性が向上するのみならず、化合物中に水酸基が存在するために、乳化性に対しても好影響を与える。
式1のX、Yの一方のみがヒドロキシルであるNH基含有化合物(E)の少なくとも1種以上がカチオン性樹脂1分子中に5重量%〜30重量%含まれる事が好ましい。
また、式1においてX、Yのいずれか一方のみがヒドロキシルから選ばれるNH基含有化合物(E1)と、X、Yの双方がアミノ基から選ばれるNH基含有化合物(E2)の双方を含有するものがより好ましい。
X、Yのいずれか一方のみがヒドロキシルから選ばれるNH基含有化合物(E1)とX、Yの双方がアミノ基から選ばれるNH基含有化合物(E2)を併用することにより、それらが導入された樹脂エマルションのpH11におけるゼータ電位を+10mV未満で容易に保持することができる。
具体的には、NH基含有化合物(E1)は、モノアルカノールアミンであり、NH基含有化合物(E2)は、ジエチレントリアミンである事が最適である。
NH基含有化合物(E)の中に含まれるモノアルカノールアミン(E1)は10〜100重量%含まれる事が好ましく、30〜90重量%含まれる事がより好ましい。
X、Yの双方がアミノ基から選ばれるNH基含有化合物(E2)を併用する場合、NH基含有化合物(E)の中に10〜70重量%含まれる事がより好ましい。
*ビスフェノールA型の変性エポキシ樹脂のアミノ化物の製造方法
まず、変性樹脂(B)、エポキシ樹脂(C)、ビスフェノール(D)を所定量混合し、加熱撹拌を行う。加熱温度は70〜100℃が好ましい。各原料が溶解した後、触媒を添加し、加熱温度を上げ合成を行う。触媒は、通常ジメチルベンジルアミンのような3級アミンが使用される。合成温度は120℃〜150℃で制御するのが一般的である。
合成温度と時間を調整することにより、所定のエポキシ当量を持ったエポキシ樹脂を合成できる。エポキシ当量はJIS K7236に定められるエポキシ当量測定によって算出される。この時のエポキシ当量は800〜10000が好適であり、800〜5000がより好適であり、800〜3000が最も好適である。エポキシ当量が大きくなるほど、エマルション作製時の乳化安定性が低下する傾向がある。
次にこの合成した変性エポキシ樹脂にNH基含有化合物(E)を添加する。変性エポキシ樹脂を70〜110℃に保ちながらNH基含有化合物(E)を添加し、1〜3時間合成を行うことで、変性エポキシ樹脂のアミノ化物が得られる。2種以上のNH基含有化合物を用いる場合には、それぞれを別に添加しても、同時に添加してもよい。
(変性エポキシ樹脂のカチオン化)
合成した変性エポキシ樹脂のアミノ化物に中和酸を添加し、撹拌混合した後、水で希釈し、所定濃度の樹脂エマルションを作製する。中和酸は、蟻酸、酢酸、乳酸、スルファミン酸などが用いられる。
この際、中和酸を添加する前に硬化剤や硬化触媒、有機溶剤などを添加しておくことが好ましい。このようにあらかじめ添加することで、均一なエマルションを得ることができる。次に、このような添加成分について詳述する。
*硬化剤
硬化剤はブロックポリイソシアネートを用いることが一般的である。ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート化合物とイソシアネートブロック剤とのほぼ化学理論量での付加反応生成物である。ここで使用されるポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(通常「MDI」と呼ばれる)、クルードMDI、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの芳香族、脂肪族又は脂環族のポリイソシアネート化合物;これらのポリイシアネート化合物の環化重合体、イソシアネートビゥレット体;これらのイソシアネート化合物の過剰量にエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、ヒマシ油などの低分子活性水素含有化合物を反応させて得られる末端イソシアネート含有化合物などを挙げることができる。これらはそれぞれ単独で又は2種以上組合わせて使用することができる。
一方、前記イソシアネートブロック剤は、ポリイソシアネート化合物のイソシアネート基に付加してブロックするものであり、そして付加によって生成するブロックポリイソシアネート化合物は常温において安定であるが、塗膜の焼付け温度(通常約100〜約200℃)に加熱した際、ブロック剤が解離して遊離のイソシアネート基を再生しうるものであることが望ましい。
このような要件を満たすブロック剤としては、例えば、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどのラクタム系化合物;メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム系化合物;フェノール、パラ−t−ブチルフェノール、クレゾールなどのフェノール系化合物;n−ブタノール、2−エチルヘキサノールなどの脂肪族アルコール類;フェニルカルビノール、メチルフェニルカルビノールなどの芳香族アルキルアルコール類;エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテルアルコール系化合物等を挙げることができる。これらのブロック剤はそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。また、ブロック剤の解離、硬化反応などを効率よく進め、また、意図する硬化反応物を生成させるために、あらかじめ、変性エポキシ樹脂の骨格にイソシアネート基の一部を付加し、かつ、残りのイソシアネート基をブロック剤でブロックする手法もとられる。
<組成物構成成分:3価のビスマスイオン>
本発明で言うBiイオンとは、組成物中で固体化せず、完全に溶解状態になっているBi成分の事を指す。
Biイオンの供給源としては、3価のビスマス化合物であれば特に限定されるものではないが、例えば硝酸ビスマス、リン酸ビスマス、硫酸ビスマス、酸化ビスマス、水酸化ビスマスなどの無機ビスマス化合物、フッ化ビスマス、塩化ビスマス、臭化ビスマス、ヨウ化ビスマスなどのハロゲン化ビスマス化合物、酢酸ビスマス、蟻酸ビスマス、乳酸ビスマス、クエン酸ビスマスなどの有機酸ビスマス化合物が挙げられる。
本発明には、アミノポリカルボン酸を含有させてもよい。アミノポリカルボン酸とは、分子中にアミノ基と複数のカルボキシル基を有するキレート剤の総称である。アミノポリカルボン酸は、組成物中の3価のBiイオンを、より安定的に水溶化された状態とするため、アミノポリカルボン酸を含有させることが出来る。具体的には、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、HEDTA(ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸)、NTA(ニトリロ三酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、TTHA(トリエチレンテトラミン六酢酸)等が該当するが、Biイオンとのキレート安定度の観点からEDTA、HEDTA、NTAがより好ましい。
<組成物構成成分:他の成分>
本発明の組成物には、更に必要に応じて顔料、硬化触媒、有機溶剤、顔料分散剤、界面活性剤等、塗料分野で通常使用されている添加剤を適用することもできる。顔料としては、チタン白、カーボンブラック等の着色顔料、クレー、タルク、バリタ等の体質顔料、トリポリリン酸アルミニウム、リン酸亜鉛等の防錆顔料、ジブチル錫オキサイド、ジオクチル錫オキサイド等の有機錫化合物、ジブチル錫ラウレート、ジブチル錫ジベンゾエート等のジアルキル錫の脂肪酸もしくは芳香族カルボン酸塩などの錫化合物が挙げられる。
<組成物構成成分:液体媒体>
本発明に係る金属表面処理用組成物の液体媒体としては、水性媒体が好適であり、水がより好適である。尚、液体媒体が水である場合、液体媒体として水以外の他の水系溶媒(例えば、水溶性のアルコール類)を含有していてもよい。
≪金属表面処理組成物の組成≫
次に、本発明に係る金属表面処理用組成物の組成について説明することとする。
(カチオン性樹脂)
まず、本発明に係る金属表面処理用組成物は、高濃度の物を適宜水で希釈して所望の濃度に調整する事ができる。組成物の全重量を基準としてカチオン性樹脂を5〜30重量%含み、好適には10〜25重量%含み、より好適には10〜20重量%含む。
(3価のビスマスイオン)
次に、本発明に係る金属表面処理用組成物は、3価のBiイオンを100〜5000ppm含有する。500〜4000ppmが更に好ましく、1000〜3000ppmが最も好ましい。Biイオン濃度が低過ぎる場合、耐食性向上に必要な充分なBi付着量が得られず、高過ぎると組成物の電気伝導度が高くなり過ぎ、複雑な形状を有する金属材料への皮膜の付き廻り性が劣化すると共に、Bi付着量過多となり皮膜密着性を損なう恐れがある。組成物中のBiイオン濃度は、超遠心機により組成物を固液分離し、液相を高周波誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP)もしくは原子吸光分光分析(AA)を用いて定量することができる。
≪金属表面処理組成物の物性≫
次に、本発明に係る金属表面処理用組成物の物性について説明することとする。
(温度)
本発明に係る金属表面処理用組成物の温度についても特に制約は無いが、電解処理によって皮膜を析出させる際は、通常15〜40℃、好ましくは20〜35℃の範囲内で使用することができる。
(pH)
本発明に係る金属表面処理用組成物のpHは特に制限されるものではないが、通常2.0〜7.0、好ましくは3.0〜6.5の範囲に調整して使用することができる。
≪金属表面処理皮膜≫
本発明に係る金属表面処理皮膜は、本発明の金属表面処理用組成物を用い、本発明の処理方法によって得られる。ここで、皮膜中に存在するBiは金属及び酸化物の形態で存在する。カソード電解によって析出するBiは、基本的に還元析出した金属Biであるが、その一部は特に皮膜の焼付け工程で酸化されて酸化物となる。また、第二工程において高電圧がかかった場合、皮膜表面のpH上昇により、アミノポリカルボン酸によるBiの安定化が不充分となるため、特に皮膜表面側では酸化Biとしても析出する。
Bi付着量は20〜500mg/mが好ましく、30〜400mg/mが更に好ましく、50〜300mg/mが最も好ましい。Bi付着量が低過ぎると充分な耐食性が得られず、高過ぎるともはや耐食性の向上が望めないばかりか皮膜密着性を損なう場合もある。尚、Bi付着量は蛍光X線分析により定量可能である。尚、本特許請求の範囲及び本明細書における「金属Bi付着量」及び「酸化Bi付着量」は、当該蛍光X線分析で定量された値とする。尚、その他の形態として水酸化物の存在も否定できないが、当該測定方法で「金属Bi」又は「酸化Bi」として定量された場合には、その数値は「金属Bi付着量」又は「酸化Bi付着量」とすることとする。
得られる皮膜の全皮膜厚は5〜40μmが好ましく、5〜30μmが更に好ましく、7〜25μmが最も好ましい。薄過ぎると充分な耐食性が得られず、厚過ぎると経済的に不利なばかりか付き廻り性が低下する場合がある。皮膜厚は、素地金属が磁性金属であれば電磁誘導式膜厚計、素地金属が非磁性金属であれば渦電流式膜厚計により、測定可能である。
≪製造例≫
水系樹脂エマルションの作製
製造例1
温度計、コンデンサ、撹拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(三菱化学株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にメチルエタノールアミン12.5g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:8.6gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位69.3mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位8.2mVの水系樹脂エマルション(A1)を得た。
製造例2
温度計、コンデンサ、撹拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(三菱化学株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にメチルエタノールアミン11.3g、ジエチルアミン:7.8gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位55.1mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位8.1mVの水系樹脂エマルション(A2)を得た。
製造例3
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にメチルエタノールアミン21.1gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が54.3mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が7.9mVの水系樹脂エマルション(A3)を得た。
製造例4
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にメチルエタノールアミン:5.6g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:15.5gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が65.2mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が8.3mVの水系樹脂エマルション(A4)を得た。
製造例5
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にメチルエタノールアミン:2.4g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:15.5gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が63.1mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が9.6mVの水系樹脂エマルション(A5)を得た。
製造例6
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にエチルエタノールアミン:14.8g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:10.3gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が63.4mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が6.1mVの水系樹脂エマルション(A6)を得た。
製造例7
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にベンジルエタノールアミン:28.1g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:19.4gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が52.0mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が7.4mVの水系樹脂エマルション(A7)を得た。
製造例8
温度計、コンデンサ、撹拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(三菱化学株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にエタノールアミン6.1g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:13.4gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位72.3mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位9.8mVの水系樹脂エマルション(A8)を得た。
製造例9
温度計、コンデンサ、撹拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(三菱化学株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にジエチルアミン7.3g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:13.3gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位51.3mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位6.2mVの水系樹脂エマルション(A9)を得た。
製造例10
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にジエタノールアミン:12.7g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:8.8gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が49.7mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が0mVの水系樹脂エマルション(A10)を得た。
製造例11
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にジイソプロパノールアミン:13.5g、ジエチレントリアミンのケチミン化物:9.3gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が47.1mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が0mVの水系樹脂エマルション(A11)を得た。
製造例12
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):114.0g、変性樹脂としてポリカプロラクトンジオール・プラクセル208(ダイセル化学株式会社製):41.5g、ビスフェノールA:45.6g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1000になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ55.5gを加え、更にジエチレントリアミンのケチミン化物:40.3gを加え、90℃で2時間反応を行った。ここにブロック化イソシアネート:105.5g、ジブチル錫ジアセテート:3.2g、酢酸5.4gを加え、均一になるまで撹拌を行った後、脱イオン水578.1gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分濃度33%、pH7の水媒体中におけるゼータ電位が38.4mV、pH11の水媒体中におけるゼータ電位が0mVの水系樹脂エマルション(A12)を得た。
ブロック化イソシアネートの作製
コスモネートM200(三井化学株式会社製):678.4gにメチルイソブチルケトン:115.6gを加え、70℃に昇温した後、2エチルヘキサノール:706.0gをゆっくり滴下し、滴下終了後、90℃に昇温した。90℃の条件下で12時間反応させ、ブロック化イソシアネートを得た。赤外吸収スペクトル測定を行ったところ、未反応のイソシアネート基由来の吸収が見られず、イソシアネートが完全にブロック化されたことが確認できた。
30%第四級塩化エポキシ樹脂の作製
温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた1000mlセパラブルフラスコにエポキシ樹脂・#828(ジャパンエポキシレジン株式会社製、エポキシ当量:180):134.9g、ビスフェノールA:80.94g、ジメチルベンジルアミン0.1gを加え、130℃でエポキシ当量1200になるまで反応を行った。反応終了後にブチルセロソルブ71.7gを加え、更にジメチルアミノエタノール13.16g、90%乳酸を14.79g加えて90℃で1時間反応を行った。反応後、脱イオン水613.36gを強く撹拌しながら約1時間かけて滴下し、固形分30%の第四級塩化エポキシ樹脂を作製した。
顔料ペーストの作製
30%の第四級塩化エポキシ樹脂16.6部に対し、精製クレー7.0部、カーボンブラック0.3部、リン酸亜鉛3.0部及び脱イオン水を加え、ボールミルにて20時間分散し、固形分50重量%の顔料分散ペーストを得た。
Biイオン液の作製
蒸留水:500gにHEDTA:13.3gを溶解させ、60℃に加温した後、硝酸ビスマス5水和物:23.2gを加えて固形分が完全に溶解するまで撹拌した。最終的に全量が1.0Lとなるように更に蒸留水を加え、Biイオン水溶液(B1)を作製した。
≪実施例≫
実施例1
製造例1で作られた樹脂エマルション(A1)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例2
製造例2で作られた樹脂エマルション(A2)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例3
製造例3で作られた樹脂エマルション(A3)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例4
製造例4で作られた樹脂エマルション(A4)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例5
製造例5で作られた樹脂エマルション(A5)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例6
製造例6で作られた樹脂エマルション(A6)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例7
製造例7で作られた樹脂エマルション(A7)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例8
製造例8で作られた樹脂エマルション(A8)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
実施例9
製造例9で作られた樹脂エマルション(A9)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
比較例1
製造例10で作られた樹脂エマルション(A10)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
比較例2
製造例11で作られた樹脂エマルション(A11)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
比較例3
製造例12で作られた樹脂エマルション(A12)を固形分16.0重量%、顔料ペーストを固形分4.0重量%及びBiイオン水溶液(B1)をBiイオンとして1200ppmとなる量を配合した。尚、それぞれの濃度は脱イオン水を用いて希釈調整し、組成物を作成した。
電解条件
電解工程(1)として8Vにて60秒間電解後、直ちに電解工程(2)として180Vにて180秒間電解処理を行った。
試験板の作製
試験板として、冷延鋼板:SPCC(JIS3141)70×150×0.8mm(以下、SPCと略す)を用い、あらかじめその表面を日本パーカライジング社製アルカリ脱脂剤「FC−E2001」を使用して、120秒間スプレー処理することにより脱脂処理した。脱脂処理後は30秒間スプレー水洗し、実施例及び比較例に示す組成物に浸漬させ、実施例及び比較例に示す電解条件にてカソード電解処理を実施した。電解終了後の試験板は直ちに脱イオン水にて30秒間スプレー水洗し、電気オーブン中で180℃にて20分間焼きつけを行った。
皮膜特性の調査
試験板の上に析出した皮膜の皮膜特性を以下の方法で調査した。
皮膜厚測定:電磁誘導式膜厚計を用いて測定した。
Bi付着量:蛍光X線分光分析によって定量した。
耐食性試験方法及び評価方法
カソード電解処理により作製された樹脂塗装板にクロスカットを施し、塩水噴霧試験(JIS−Z2371)を実施し、1000時間後のクロスカット部の片側最大膨れ幅を測定した。測定結果を基に、2mm未満:◎、2mm以上3mm未満:○、3mm以上4mm未満:△、4mm以上:×にて評価した。
表1に実施例1から9及び比較例1から3に係るエマルションを製造する際に使用されたNH基化合物及びpH、表2に実施例1から9及び比較例1から3に係るエマルションを製造する際に使用されたNH化合物の配合比(A=アミン化合物、A1=アミン化合物1、A2=アミン化合物2)及びエマルションのゼータ電位、表3に実施例1から9及び比較例1から5の組成物で得られた皮膜の評価結果を示した。実施例1から9は、全ての水準において耐食性を得るに十分なBi付着量が認められ、塩水噴霧試験においても良好な結果を示した。特に、実施例1から8は優れた耐食性を示した。対して、比較例1から4は、十分なBi付着量を確保できず塩水噴霧試験に劣る結果であった。
比較例4は、引用文献11実施例1を参照し、同一浴内で多段通電によって皮膜を形成したが、耐食性を得るに十分なBi付着量を確保できず塩水噴霧試験に劣る結果であった。引用文献11実施例1で用いたエマルションのゼータ電位は、本発明に示すゼータ電位範囲に該当せず、Bi析出性に劣ったためである。
実施例1から9は、比較例5に示すリン酸亜鉛皮膜材料とカチオン電着塗料の組み合わせにおける耐食性と同等以上の結果を示した。
以上より、本発明の効果は明らかである。
Figure 0005550580
Figure 0005550580
Figure 0005550580

Claims (7)

  1. 樹脂エマルションとBiイオンとを含み、前記樹脂エマルションがカチオン性樹脂の少なくとも1種を含むものであって、前記カチオン性樹脂の少なくとも1種のカチオン化部位が1mol/L水溶液としてpH11以上を示すアミン化合物によって変性されたものであり、pH5〜pH9の水媒体中での前記樹脂エマルションのゼータ電位が+40mV〜+100mVであり、同一浴内での多段通電法に使用されることを特徴とする金属表面処理用組成物。
  2. pH5〜pH9の水媒体中での前記樹脂エマルションのゼータ電位が+40mV〜+100mVであり、且つ、pH11以上の水媒体中で測定された前記樹脂エマルションのゼータ電位が+10mV未満である事を特徴とする請求項1記載の金属表面処理用組成物。
  3. アミン化合物は式1で示されるNH基含有化合物であり、R1、R2は相互に独立しており且つそれぞれ−(R)−で示され、Rはアルキレン基、アリーレン基又はカルボニル基であり、mは0又は1以上であり、X、Yは相互に独立しており且つ水素、ヒドロキシル、アルキル、アリール、カルボキシル、アミノ又はイミノである{ここで、R、X及びYは、相互に独立して、アルキル、アリール、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基及びハロゲン基から選択される一以上の基で更に置換されていてもよい}事を特徴とする請求項1又は2記載の金属表面処理用組成物。
    Figure 0005550580
  4. 式1のX、Yの一方のみがヒドロキシルであるものを少なくとも1種以上含む事を特徴とする請求項記載の金属表面処理用組成物。
  5. 式1のX、Yの一方のみがヒドロキシルである少なくとも1種以上のアミン化合物によって変性された前記カチオン性樹脂が、前記カチオン性樹脂の原材料の全重量を基準として、前記アミン化合物を5重量%〜30重量%用いて得られたものである事を特徴とする請求項記載の金属表面処理用組成物。
  6. 前記カチオン性樹脂の原材料である式1のアミン化合物の中に含まれる、X、Yの一方のみがヒドロキシルであるアミン化合物が全アミン化合物の10〜100重量%である事を特徴とする請求項又は記載の金属表面処理用組成物。
  7. 表面が清浄化された金属材料を、請求項1〜いずれか一項に記載の組成物中に浸漬させた後、又は、浸漬させながら、該金属材料を陰極とし、電圧15V以下にて10〜120秒間電解する第一工程と、電圧50〜400Vにて30〜300秒電解する、前記第一工程の後に実施する第二工程を有し、ここで、前記第二工程は、前記第一工程に引き続いて同一浴内で実施する事を特徴とする金属表面処理方法。
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