以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
(第1の光ハイブリッド回路)
図1〜図3を参照して、この発明の第1実施形態に係る光ハイブリッド回路(以下、第1の光ハイブリッド回路とも称する)を説明する。図1及び図2は、第1の光ハイブリッド回路を説明するための模式図である。図1は、第1の光ハイブリッド回路を示す概略平面図である。なお、図1では、光導波路コアのみを示してあり、後述する支持基板及びクラッドを省略して示してある。また、図2は、図1に示す構造体をI−I線で切り取った概略的端面図である。また、図3は、図1に示す構造体をII−II線で切り取った概略的端面図である。なお、図2及び図3では、ハッチングを省略してある。
なお、以下の説明では、各構成要素について、光伝播方向に沿った方向を長さ方向とする。また、支持基板の厚さに沿った方向を厚さ方向とする。また、長さ方向及び厚さ方向に直交する方向を幅方向とする。
第1の光ハイブリッド回路100は、支持基板10とクラッド20と光導波路コア30とを備えて構成されている。
支持基板10は、例えば単結晶Siを材料とした平板状体で構成されている。
クラッド20は、支持基板10上に設けられている。クラッド20は、支持基板10の上面を被覆し、かつ、光導波路コア30を包含して形成されている。クラッド20は、光導波路コア30の下面を被覆する下部クラッド21と、光導波路コア30の側面及び上面を被覆する上部クラッド22とを含んでいる。
下部クラッド21は、光導波路コア30よりも屈折率の低い例えば酸化シリコン(SiO2)を材料として形成されている。上部クラッド22は、下部クラッド21よりも屈折率の低い材料で形成される。ここでは、上部クラッド22は空気である。この結果、光導波路コア30を伝播する光に対し、幅方向からの閉じ込め効果が、厚さ方向の閉じ込め効果よりも大きくなる。なお、ここでは、上部クラッド22全体を空気としているが、上部クラッド22のうち、少なくとも光導波路コア30の側面を被覆する部分を、下部クラッド21よりも屈折率の低い材料(ここでは空気)とすればよい。
光導波路コア30は、クラッド20よりも高い屈折率を有する例えばシリコン(Si)を材料として形成されている。その結果、光導波路コア30は、光の伝送路として機能し、光導波路コア30に入力された光は、光導波路コア30の平面形状に応じた伝播方向に伝播する。
ここで、光導波路コア30を伝播する光が支持基板10へ逃げるのを防止するために、光導波路コア30は、支持基板10から少なくとも1μm以上離間して形成されているのが好ましい。
光導波路コア30の厚さは、厚さ方向でシングルモード条件を達成できる厚さ、例えば200〜500nmの範囲内の厚さであることが望ましい。例えば、当該第1の光ハイブリッド回路100を1550nmの波長帯域で用いる場合は、光導波路コア30の厚さを20nmとすることができる。
光導波路コア30は、第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120と、4×4カプラ40と、第1出力導波路部210、第2出力導波路部220、第3出力導波路部230及び第4出力導波路部240とを含んでいる。第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120は、互いに並列に配置されている。また、第1出力導波路部210、第2出力導波路部220、第3出力導波路部230及び第4出力導波路部240は、互いに並列に配置されている。
4×4カプラ40は、光導波路コア30の平面形状に応じた、所謂多モード干渉(MMI)カプラとして構成される。
4×4カプラ40は、一端40a側にこの順に並列に配置された第1〜第4入力部41a〜41dと、他端40b側にこの順に並列に配置された第1〜第4出力部42a〜42dを含んで構成される。
4×4カプラ40の一端40aにおいて、第1〜第4入力部41a〜41dの各幅は、それぞれ均等に割り振られている。従って、4×4カプラ40の一端40aにおける第1〜第4入力部41a〜41dの各幅は、4×4カプラ40の幅を4等分した幅にそれぞれ相当する。同様に、4×4カプラ40の他端40bにおいて、第1〜第4出力部42a〜42dの各幅は、それぞれ均等に割り振られている。従って、4×4カプラ40の他端40bにおける第1〜第4出力部42a〜42dの各幅は、4×4カプラ40の幅を4等分した幅にそれぞれ相当する。
4×4カプラ40では、第1入力部41aと第1出力部42aとが互いに対向し、第2入力部41bと第2出力部42bとが互いに対向し、第3入力部41cと第3出力部42cとが互いに対向し、第4入力部41dと第4出力部42dとが互いに対向している。
MMIカプラの長さLは、幅をW、等価屈折率をn、及び波長をλとして、下式(1)で表すことができる。
L=4nW2/(Nλ) ・・・(1)
上式(1)において、Nは、像形成のパラメータである。MMIカプラにおいて、入力光を4等分する場合にはN=4である。4×4カプラ40の幅をWとして、上式(1)より、4×4カプラ40の長さLは、L=nW2/λとなる。
4×4カプラ40は、第1入力部41a及び第3入力部41cに入力される光をミキシングして、第1〜第4出力部42a〜42dから出力する。4×4カプラ40は、第1入力部41aに入力される第1の光と第3入力部41cに入力される第2の光との干渉光を、第1出力部42a及び第4出力部42dから出力する。また、4×4カプラ40は、第1入力部41aに入力される第1の光と、第3入力部41cに入力される第2の光に対し90度(π/2)の位相差関係を与えた光との干渉光を、第2出力部42b及び第3出力部42cから出力する。
第1入力導波路部110は、この順に直列に接続された入力ポート部111、偏波変換部112、接続部113及び入力テーパ部114を備えて構成される。
また、第1入力導波路部110は、少なくとも偏波変換部112を含む部分において、スラブ導波路部31を備えるリブ構造となっている。図1に示す構成例では、入力ポート部111の中途から接続部113の中途に渡って、スラブ導波路部31が形成されている。スラブ導波路部31は、第1入力導波路部110を構成する光導波路コア30よりも小さい厚さで、かつ光導波路コア30の光伝播方向に沿った両側面に、それぞれ光導波路コア30と一体的に形成されている。
入力ポート部111は、TE偏波及びTM偏波に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。従って、入力ポート部111は、それぞれ基本モードのTE偏波及びTM偏波を伝播させる。
偏波変換部112は、入力ポート部111と接続された一端112aから接続部113と接続された他端112bに向かって、連続的に幅が変化する(ここでは拡大する)テーパ形状で形成されている。
偏波変換部112の一端112aは、入力ポート部111と共通の幅で形成されている。従って、偏波変換部112の一端112aは、TE偏波及びTM偏波に対してシングルモード条件を達成する幅に設定されている。偏波変換部112の他端112bは、1次モードまでのTE偏波が伝播可能な幅に設定されている。そして、偏波変換部112は、一端112aから他端112bまでの間に、基本モードのTM偏波に対する等価屈折率と、1次モードのTE偏波に対する等価屈折率とが一致する幅を含んでいる。
接続部113は、偏波変換部112の他端112bと共通の幅の直線導波路として構成されている。
入力テーパ部114は、一端側で接続部113と、また、他端側で4×4カプラ40の第1入力部41aと、それぞれ接続されている。入力テーパ部114は、一端から他端に向かって、連続的に幅が変化する(ここでは縮小する)テーパ形状で形成されている。
スラブ導波路部31は、入力ポート部111の両側面に形成された部分において、偏波変換部112から入力ポート部111へ向かうにつれて、連続的に幅が縮小するように形成されている。スラブ導波路部31は、入力ポート部111の中途において幅が0となる。また、スラブ導波路部31は、偏波変換部112の両側面に形成された部分において、偏波変換部112に沿って形成されている。さらに、スラブ導波路部31は、接続部113の両側面に形成された部分において、偏波変換部112から接続部113へ向かうにつれて、連続的に幅が縮小するように形成されている。スラブ導波路部31は、接続部113の中途において幅が0となる。
このように、スラブ導波路部31の幅を変化させ、入力ポート部111の中途及び接続部113の中途においてスラブ導波路部31の幅を0とすることによって、第1入力導波路部110を伝播する光に対し、スラブ導波路部31を形成する部分とスラブ導波路部31を非形成とする部分とにおける損失が低減される。
第1入力導波路部110では、スラブ導波路部31が形成された部分において、伝播する光の厚さ方向の電磁界分布が、コア中心に対して対称でなくなる。すなわち、光の電磁界分布が、厚さ方向において偏芯する。
なお、第1入力導波路部110では、光の電磁界分布を、厚さ方向において偏芯させる構成として、スラブ導波路部31を設ける構成とは別の構成を用いることもできる。例えば、光導波路コア30の長さ方向に直交する断面形状を、上底と下底とで異なる幅を有する台形状とすることでも、光の電磁界分布を、厚さ方向において偏芯させることができる。
このように設計された第1入力導波路部110では、入力ポート部111から入力テーパ部114へ向かう基本モードのTM偏波が、偏波変換部112において、1次モードのTE偏波に変換される。一方、入力ポート部111から入力テーパ部114へ向かう基本モードのTE偏波は、モード変換及び偏波変換されずに、基本モードのTE偏波のまま伝播する。
第2入力導波路部120は、この順に直列に接続された入力ポート部121、偏波変換部122、接続部123及び入力テーパ部124を備えて構成される。また、第2入力導波路部120は、少なくとも偏波変換部122を含む部分において、スラブ導波路部32を備えるリブ構造となっている。図1に示す構成例では、入力ポート部121の中途から接続部123の中途に渡って、スラブ導波路部32が形成されている。
第2入力導波路部120の入力テーパ部124は、4×4カプラ40の第3入力部41cと接続されている。
第2入力導波路部120の入力ポート部121、偏波変換部122、接続部123及び入力テーパ部124、並びにスラブ導波路部32は、第1入力導波路部110の入力ポート部111、偏波変換部112、接続部113及び入力テーパ部114、並びにスラブ導波路部31と共通の設計で形成することができる。
ここで、第1入力導波路部110の入力テーパ部114の4×4カプラ40側の端(すなわち、第1入力導波路部110の、4×4カプラ40との接続端110a)と、第1入力部41aとは、幅方向における中心を一致させて接続されている。同様に、第2入力導波路部120の入力テーパ部124の4×4カプラ40側の端(すなわち、第2入力導波路部120の、4×4カプラ40との接続端120a)と第3入力部41cとは、幅方向における中心を一致させて接続されている。従って、4×4カプラ40の幅をWとして、
第k1入力部41(k1は1又は3)に接続される入力導波路部110又は120は、4×4カプラ40の長さ方向(すなわち、ここでは入力部41a〜41dから出力部42a〜42dに向かう方向)に沿った一方の側面(第1入力部41a側の側面40c)から、W/8+(k1−1)W/4の位置に、第1入力導波路部110の接続端110a又は第2入力導波路部120の接続端120aの中心を合わせて形成される。
第1出力導波路部210、第2出力導波路部220、第3出力導波路部230及び第4出力導波路部240は、それぞれ4×4カプラ40と接続された一端から、この一端と対向する他端に向かって、連続的に幅が変化する(ここでは縮小する)テーパ形状で形成されている。これら各出力導波路部210〜240は、共通の設計で形成することができる。
4×4カプラ40の第1出力部42aは、第1出力導波路部210に接続されている。4×4カプラ40の第2出力部42bは、第2出力導波路部220に接続されている。4×4カプラ40の第3出力部42cは、第3出力導波路部230に接続されている。4×4カプラ40の第4出力部42dは、第4出力導波路部240に接続されている。
ここで、各出力導波路部210〜240の4×4カプラ40側の端(すなわち、各出力導波路部210〜240の、4×4カプラ40との接続端210a〜240a)と、各出力部42a〜42dとは、幅方向における中心を一致させて接続されている。従って、4×4カプラ40の幅をWとして、第k2出力部42(k2は1、2、3又は4)に接続される出力導波路部210、220、230又は240は、4×4カプラ40の長さ方向に沿った一方の側面(第1入力部41a側の側面40c)から、W/8+(k2−1)W/4の位置に、接続端210a、220a、230a又は240aの中心を合わせて形成される。
第1の光ハイブリッド回路100をコヒーレント検波に用いる場合、第1入力導波路部110には、第1の光として信号光が入力される。信号光には、基本モードのTE偏波及び基本モードのTM偏波が含まれる。信号光は、入力ポート部111を経て偏波変換部112に送られる。信号光に含まれる基本モードのTM偏波は、偏波変換部112において1次モードのTE偏波に変換されて、接続部113に送られる。信号光に含まれる基本モードのTE偏波は、偏波変換部112においてモード変換及び偏波変換されずに、基本モードのTE偏波のまま接続部113に送られる。基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を含む信号光は、接続部113及び入力テーパ部114を順次に経て、4×4カプラ40の第1入力部41aに送られる。
また、第2入力導波路部120には、第2の光として局発光が入力される。信号光と同様に、局発光には、基本モードのTE偏波及び基本モードのTM偏波が含まれる。局発光は、入力ポート部121を経て偏波変換部122に送られる。局発光に含まれる基本モードのTM偏波は、偏波変換部122において1次モードのTE偏波に変換されて、接続部123に送られる。局発光に含まれる基本モードのTE偏波は、偏波変換部122においてモード変換及び偏波変換されずに、基本モードのTE偏波のまま接続部123に送られる。基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を含む局発光は、接続部123及び入力テーパ部124を順次に経て、4×4カプラ40の第3入力部41cに送られる。
4×4カプラ40に送られた信号光と局発光とは、4×4カプラ40においてミキシングされる。そして、これら信号光及び局発光の干渉光が第1〜第4出力部42a〜42dからそれぞれ出力される。なお、第2出力部42b及び第3出力部42cからは、信号光と、90度(π/2)の位相差関係を与えられた局発光との干渉光が出力される。第1出力部42a及び第4出力部42dからは、信号光と、位相差関係を与えられない局発光との干渉光が出力される(JOURNAL OF LIGHTWAVE TECHNOLOGY, VOL.28, NO.9, MAY 1, 2010 pp.1323-1331参照)。
4×4カプラ40の各入力部41a〜41dに入力される光に対する、各出力部42a〜42dから出力される光の位相差φ(x、y)は、共通する位相分を除いて、下式(2)及び(3)で表される。ここで、N=4である。また、ψ0は、入力光の位相を示す。また、xは第1〜第4入力部41a〜41dの番号を示し、yは第1〜第4出力部42a〜42dの番号を示す。従って、ここでは、xは1〜4の整数であり、yは1〜4の整数である。そして、第x入力部41から入力される光に対する、第y出力部42から出力される光の位相差について、x+yが偶数の場合は下式(2)で表され、x+yが奇数の場合は下式(3)で表される。
φ(x、y)=π+φN−(y−x)/2=ψ0+π+{π(y−x)(2N−y+x)}/4N ・・・(2)
φ(x、y)=π+φN−(y+x−1)/2=ψ0+{π(y+x−1)(2N−y−x+1)}/4N ・・・(3)
また、第1入力部41a及び第3入力部41cに入力される光を干渉させた場合の、第y出力部からの出力パワーP(y)は、下式(4)で表される。
P(y)=[P1 1/2exp{iφ(1,y)}+P3 1/2exp{iφ(3,y)+iφ0}][P1 1/2exp{−iφ(1,y)}+P3 1/2exp{−iφ(3,y)−iφ0}]/4=[P1+P3+2(P1P3)1/2cos{iφ(1,y)−iφ(3,y)−iφ0}]/4 ・・・(4)
ここで、φ0は、第1入力部41aに入力される光と第3入力部41cに入力される光との位相差を、P1は、第1入力部41aに入力される光の入力パワーを、P3は、第3入力部41cに入力される光の入力パワーを、それぞれ示す。
上式(4)から、上式(4)のcos中の、第1〜第4出力部42a〜42dの出力パワーP(y)の位相は、それぞれ0+φ00、π/2+φ00、3π/2+φ00及びπ+φ00となる。ここで、φ0=−3π/4−φ00としている。
この結果、第1出力部42aからの出力光の位相に対して、第2出力部42bからの出力光では+π/2、第3出力部42cからの出力光では+3π/2、及び第4出力部42dからの出力光では+πの位相差の関係となる(Appl. Opt 33, pp.3905)。
従って、第1出力部42aからの出力光と第4出力部42dからの出力光との間にはπの位相差が生じる。また、第2出力部42bからの出力光と第3出力部42cからの出力光との間にはπの位相差が生じる。そして、第1出力部42aからの出力光と第2出力部42bからの出力光との間にはπ/2の位相差が生じる。また、第3出力部42cからの出力光と第4出力部42dからの出力光との間にはπ/2の位相差が生じる。
第1〜第4出力部42a〜42dから出力される光は、それぞれ対応する第1〜第4出力導波路部210〜240に送られる。
ここで、4×4カプラ40に入力される信号光及び局発光には、それぞれ基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波が含まれる。従って、4×4カプラ40では、基本モードのTE偏波同士の干渉、1次モードのTE偏波同士の干渉、及び基本モードのTE偏波と1次モードのTE偏波との干渉がそれぞれ生じ、各干渉光が第1〜第4出力部42a〜42dからそれぞれ出力される。
これら干渉光のうち、基本モードのTE偏波と1次モードのTE偏波との干渉光は、第1入力部41aへの入力及び第3入力部41cへの入力の位相差にかかわらず、第1〜第4出力部42a〜42dから均等に4等分されて出力されることが、シミュレーションにより判明した。この結果、基本モードのTE偏波と1次モードのTE偏波との干渉光については、バランスフォトダイオード(バランスPD)の作用によって相殺される。
また、クラッド20のうち、少なくとも光導波路コア30の側面を被覆する部分を、下部クラッド21よりも屈折率の低い材料(ここでは、上部クラッド22を空気)とし、幅方向からの光閉じ込め効果を大きくすることによって、基本モードのTE偏波同士の干渉光及び1次モードのTE偏波同士の干渉光それぞれについて、4×4カプラ40の第1〜第4出力部42a〜42dからの各出力にほとんどばらつきが生じないことがシミュレーションによって判明した。このシミュレーションについては詳細を後述する。
従って、第1の光ハイブリッド回路100では、図11を参照して説明した従来の光ハイブリッド回路と等価な機能を有しつつ、TE偏波及びTM偏波の双方に対して動作可能とする、すなわち偏波無依存とすることができる。
(特性評価)
発明者は、3次元ビーム伝播法(BPM:Beam Propagation Method)を用いて、第1の光ハイブリッド回路100の特性を評価するシミュレーションを行った。
このシミュレーションでは、第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120からそれぞれ基本モードのTE偏波及び基本モードのTM偏波を含む光を入力し、第1〜第4出力導波路部210〜240のそれぞれから出力される、基本モードのTE偏波、及び基本モードのTM偏波から変換された1次モードのTE偏波の強度を取得した。また、このシミュレーションでは、光導波路コア30はSiを材料として、下部クラッド21はSiO2を材料として、それぞれ構成した。また、上部クラッド22は空気とした。光導波路コア30は、全体的に厚さを220nmとした。また、4×4カプラ40について、幅を6.79μm及び長さを74.6μmとした。また、第1入力導波路部110の入力テーパ部114の4×4カプラ40との接続端及び第2入力導波路部120の入力テーパ部124の4×4カプラ40との接続端、並びに各出力導波路部210〜240の4×4カプラ40との接続端の幅を、それぞれ1.5μmとした。第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120に入力する光は、波長1550nmを想定した。
シミュレーションの結果を図4に示す。図4は、第1の光ハイブリッド回路100における、各出力導波路からの出力と位相差の関係を示す図である。図4では、横軸に位相差(度)を取って示し、縦軸に出力強度を取って示している。図4において、曲線401は、基本モードのTE偏波の第1出力導波路部210からの出力強度を、曲線402は、基本モードのTE偏波の第2出力導波路部220からの出力強度を、曲線403は、基本モードのTE偏波の第3出力導波路部230からの出力強度を、曲線404は、基本モードのTE偏波の第4出力導波路部240からの出力強度を、それぞれ示している。また、図4において、曲線411は、1次モードのTE偏波の第1出力導波路部210からの出力強度を、曲線412は、1次モードのTE偏波の第2出力導波路部220からの出力強度を、曲線413は、1次モードのTE偏波の第3出力導波路部230からの出力強度を、曲線414は、1次モードのTE偏波の第4出力導波路部240からの出力強度を、それぞれ示している。
図4に示すように、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波ともに、第1〜第4出力導波路部210〜240からの出力光は、上述した所望の位相関係を示している。そして、各出力導波路部210〜240において、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波ともに出力の高低比が、0.6dB以内となった。この結果から、基本モードのTM偏波を1次モードのTE偏波に変換することで、第1の光ハイブリッド回路100では、偏波無依存に動作させられることが確認された。
(第2の光ハイブリッド回路)
図5及び図6を参照して、この発明の第2実施形態に係る光ハイブリッド回路(以下、第2の光ハイブリッド回路とも称する)について説明する。図5は、第2の光ハイブリッド回路を示す概略的平面図である。なお、図5では、光導波路コアのみを示してあり、支持基板及びクラッドを省略している。また、図6は、図5に示す構造体をIII−III線で切り取った概略的端面図である。なお、図6では、ハッチングを省略してある。第2の光ハイブリッド回路は、クラッドの構成、並びに入力導波路部及び出力導波路部と4×4カプラとの配置において、上述した第1の光ハイブリッド回路と相違する。第1の光ハイブリッド回路と共通する構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
第2の光ハイブリッド回路200では、下部クラッド21及び上部クラッド22が、共通の材料で形成されている。下部クラッド21及び上部クラッド22は、光導波路コア30よりも屈折率の低い、例えば酸化シリコン(SiO2)を材料として形成されている。
また、第2の光ハイブリッド回路200では、第1入力導波路部110の接続端110aの幅方向における中心P−110と、第1入力部41aの幅方向における中心P−41aとが、ずれた位置に配置される。また、第2入力導波路部120の接続端120aの幅方向における中心P−120と、第3入力部41cの幅方向における中心P−41cとが、ずれた位置に配置される。第1入力導波路部110の接続端110aの中心P−110と、第1入力部41aの中心P−41aとのずれ量、及び第2入力導波路部120の接続端120aの中心P−120と、第3入力部41cの中心P−41cとのずれ量は、共通である。なお、これらずれ量は、第1入力導波路部110の接続端110aが、4×4カプラ40の、第1入力部41a側の側面40cからはみ出さないように設定される。
従って、4×4カプラ40の幅をW、並びに第1入力導波路部110の接続端110a及び第2入力導波路部120の接続端120aの幅をともにW1として、第k1入力部41(k1は1又は3)に接続される入力導波路部110又は120は、4×4カプラ40の長さ方向(すなわち、ここでは入力部41a〜41dから出力部42a〜42dに向かう方向)に沿った一方の側面(第1入力部41a側の側面40c)から、α+(k1−1)W/4(ただし、(W/8−W1/2)≦α≦(W/4−W1/2)かつα≠W/8)の位置に、接続端110a又は接続端120aの中心P−110又はP−120を合わせて形成される。
さらに、第2の光ハイブリッド回路200では、各出力導波路部210〜240の接続端210a〜240aの幅方向における中心P−210〜P−240と、各出力部42a〜42dの幅方向における中心P−42a〜P−42dとが、ずれた位置に配置される。各出力導波路部210〜240の接続端210a〜240aの中心P−210〜P−240と、各接続される出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dとのずれ量は、共通である。なお、これらずれ量は、第1出力導波路部210の接続端210aが、4×4カプラ40の、第1出力部42a側の側面40cからはみ出さないように、かつ第4出力導波路部240の接続端240aが、4×4カプラ40の、第4出力部42d側の側面40dからはみ出さないように設定される。
従って、4×4カプラ40の幅をW、並びに各出力導波路部210〜240の接続端210a〜240aの幅を共通のW2として、第k2出力部42(k2は1、2、3又は4)に接続される出力導波路部210、220、230又は240は、4×4カプラ40の長さ方向に沿った一方の側面(第1入力部41a側の側面40c)から、β+(k2−1)W/4(ただし、(W/8−W2/2)≦β≦(W/4−W2/2)かつβ≠W/8)の位置に、接続端210a、220a、230a又は240aの中心P−210、P−220、P−230又はP−240を合わせて形成される。
ここで、第1入力導波路部110の中心P−110と、第1出力導波路部210の中心P−210とは、互いに対向して配置される。また、第2入力導波路部120の中心P−120と、第3出力導波路部230の中心P−230とは、互いに対向して配置される。従って、中心P−110及びP−120と中心P−41a及びP−41cとのずれ量、及び中心P−210〜P−240と中心P−42a〜P−42dとのずれ量は、共通である。すなわち、上式α+(k1−1)W/4及びβ+(k2−1)W/4において、α=βである。
このような配置で各入力導波路部110及び120並びに各出力導波路部210〜240と4×4カプラ40とを接続することによって、下部クラッド21及び上部クラッド22を共通の材料で形成しても、基本モードのTE偏波同士の干渉光及び1次モードのTE偏波同士の干渉光それぞれについて、4×4カプラ40の第1〜第4出力部42a〜42dからの各出力にほとんどばらつきが生じないことがシミュレーションによって判明した。このシミュレーションについては詳細を後述する。
従って、上述した第1の光ハイブリッド回路100と同様に、第2の光ハイブリッド回路200では、図11を参照して説明した従来の光ハイブリッド回路と等価な機能を有しつつ、TE偏波及びTM偏波の双方に対して動作可能とする、すなわち偏波無依存とすることができる。
(特性評価)
発明者は、3次元BPMを用いて、第2の光ハイブリッド回路200の特性を評価するシミュレーションを行った。
このシミュレーションでは、第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120からそれぞれ基本モードのTE偏波及び基本モードのTM偏波を含む光を入力し、第1〜第4出力導波路部210〜240のそれぞれから出力される、基本モードのTE偏波、及び基本モードのTM偏波から変換された1次モードのTE偏波の強度を取得した。また、このシミュレーションでは、光導波路コア30はSiを材料として、クラッド20(下部クラッド21及び上部クラッド22)はSiO2を材料として、それぞれ構成した。光導波路コア30は、全体的に厚さを220nmとした。また、4×4カプラ40について、幅を6.81μm及び長さを75.1μmとした。また、第1入力導波路部110の入力テーパ部114の4×4カプラ40との接続端及び第2入力導波路部120の入力テーパ部124の4×4カプラ40との接続端、並びに各出力導波路部210〜240の4×4カプラ40との接続端の幅を、それぞれ1.5μmとした。第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240は、4×4カプラ40の側面40c側にずらしてあり、第1入力部41aの中心P−41aに対する第1入力導波路部110の中心P−110のずれ量及び第3入力部41cの中心P−41cに対する第2入力導波路部120の中心P−120のずれ量、並びに第1出力部42aの中心P−42aに対する第1出力導波路部210の中心P−210のずれ量、第2出力部42bの中心P−42bに対する第2出力導波路部220の中心P−220のずれ量、第3出力部42cの中心P−42cに対する第3出力導波路部230の中心P−230のずれ量及び第4出力部42dの中心P−42dに対する第4出力導波路部240の中心P−240のずれ量を、それぞれ12.5nmとした。第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120に入力する光は、波長1550nmを想定した。
また、このシミュレーションでは、第1及び第2入力導波路部110及び120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240を、それぞれ第1入力部41a及び第3入力部41cの中心P−41a及びP−41c、並びに第1〜第4出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dと一致させ、かつ第1及び第2入力導波路部110及び120、4×4カプラ40並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の寸法を上記設計から変更した光ハイブリッド回路(以下、他の構成例による回路)の特性についても評価した。
他の構成例による回路では、4×4カプラ40について、幅を19.2μm及び長さを592μmとした。また、第1入力導波路部110の入力テーパ部114の4×4カプラ40との接続端及び第2入力導波路部120の入力テーパ部124の4×4カプラ40との接続端、並びに各出力導波路部210〜240の4×4カプラ40との接続端の幅を、それぞれ4.2μmとした。その他の寸法については、上述した第2の光ハイブリッド回路200の設計と同様とした。
シミュレーションの結果を図7及び図8に示す。図7は、第2の光ハイブリッド回路200における、各出力導波路からの出力と位相差の関係を示す図である。また、図8は、他の構成例による回路における、各出力導波路からの出力と位相差の関係を示す図である。図7及び図8では、横軸に位相差(度)を取って示し、縦軸に出力強度を取って示している。図7において、曲線701は、基本モードのTE偏波の第1出力導波路部210からの出力強度を、曲線702は、基本モードのTE偏波の第2出力導波路部220からの出力強度を、曲線703は、基本モードのTE偏波の第3出力導波路部230からの出力強度を、曲線704は、基本モードのTE偏波の第4出力導波路部240からの出力強度を、それぞれ示している。また、図7において、曲線711は、1次モードのTE偏波の第1出力導波路部210からの出力強度を、曲線712は、1次モードのTE偏波の第2出力導波路部220からの出力強度を、曲線713は、1次モードのTE偏波の第3出力導波路部230からの出力強度を、曲線714は、1次モードのTE偏波の第4出力導波路部240からの出力強度を、それぞれ示している。また、図8において、曲線801は、基本モードのTE偏波の第1出力導波路部210からの出力強度を、曲線802は、基本モードのTE偏波の第2出力導波路部220からの出力強度を、曲線803は、基本モードのTE偏波の第3出力導波路部230からの出力強度を、曲線804は、基本モードのTE偏波の第4出力導波路部240からの出力強度を、それぞれ示している。また、図8において、曲線811は、1次モードのTE偏波の第1出力導波路部210からの出力強度を、曲線812は、1次モードのTE偏波の第2出力導波路部220からの出力強度を、曲線813は、1次モードのTE偏波の第3出力導波路部230からの出力強度を、曲線814は、1次モードのTE偏波の第4出力導波路部240からの出力強度を、それぞれ示している。
図7及び図8に示すように、第2の光ハイブリッド回路200及び他の構成例による回路において、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波ともに、第1〜第4出力導波路部210〜240からの出力光は、上述した所望の位相関係を示している。そして、第2の光ハイブリッド回路200及び他の構成例による回路ともに、各出力導波路部210〜240において、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波ともに出力の高低比が、0.6dB以内となった。
図7の結果から、第2の光ハイブリッド回路200では、第1及び第2入力導波路部110及び120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240と、それぞれ第1入力部41a及び第3入力部41cの中心P−41a及びP−41c、並びに第1〜第4出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dとをずらすことによって、下部クラッド21及び上部クラッド22を共通の材料で形成しても、偏波無依存に動作させられることが確認された。
また、図8の結果から、下部クラッド21及び上部クラッド22を共通の材料で形成し、かつ第1及び第2入力導波路部110及び120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240と、それぞれ第1入力部41a及び第3入力部41cの中心P−41a及びP−41c、並びに第1〜第4出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dとを一致させた場合であっても、第1及び第2入力導波路部110及び120、4×4カプラ40並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の寸法を大きく設計することによって、偏波無依存に動作させられること確認された。
以上より、第2の光ハイブリッド回路200では、第1及び第2入力導波路部110及び120並びに第1〜第4出力導波路部210〜240を、4×4カプラ40に対してずらして配置することによって、ずらさない場合よりも回路の小型化に有利であることが確認された。
次に、発明者は、3次元BPMを用いて、第2の光ハイブリッド回路200における、第1及び第2入力導波路部110及び120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240と、それぞれ第1入力部41a及び第3入力部41cの中心P−41a及びP−41c、並びに第1〜第4出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dとのずれ量と、第1〜第4出力導波路部210〜240からの出力のばらつきに関するシミュレーションを行った。
このシミュレーションでは、第1及び第2入力導波路部110及び120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240と、それぞれ第1入力部41a及び第3入力部41cの中心P−41a及びP−41c、並びに第1〜第4出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dとのずれ量を変更しつつ、第1入力導波路部110及び第2入力導波路部120からそれぞれ基本モードのTM偏波を入力し、第1〜第4出力導波路部210〜240のそれぞれから出力される、基本モードのTM偏波から変換された1次モードのTE偏波の強度を取得した。そして、各第1〜第4出力導波路部210〜240のうち、最も高い出力のピークを示す出力導波路部と最も低い出力のピークを示す出力導波路部とで、各ピーク間の比(ばらつき)を取得した。
シミュレーションの結果を図9に示す。図9は、第2の光ハイブリッド回路200における、第1及び第2入力導波路部110及び120の中心P−110及びP−120、並びに第1〜第4出力導波路部210〜240の中心P−210〜P−240と、それぞれ第1入力部41a及び第3入力部41cの中心P−41a及びP−41c、並びに第1〜第4出力部42a〜42dの中心P−42a〜P−42dとのずれ量と、第1〜第4出力導波路部210〜240からの出力のばらつきとの関係を示す図である。図9では、横軸にずれ量(nm)を取って示し、縦軸に出力のばらつきを取って示している。
図9に示すように、ずれ量が12.5nmのとき、第1〜第4出力導波路部210〜240からの出力のばらつきが、最も低減されることが確認された。
(バランスPDとの接続)
上述した第1の光ハイブリッド回路100(図1参照)又は第2の光ハイブリッド回路200(図5参照)とバランスPDとの接続について説明する。
バランスPDの動作はモード次数に依存しない。従って、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を含む、第1〜第4出力導波路部210〜240からの出力光は、多モード導波路を介してバランスPDに入力することができる。
しかし、偏波多重により、TE偏波とTM偏波とに異なる信号を乗せた光を、信号光として用いる場合には、これら異なる信号それぞれに対してコヒーレント検波を実施すべく、基本モードのTE偏波と、TM偏波から変換された1次モードのTE偏波とを分離してバランスPDに入力する必要がある。
そこで、異なる信号が偏波多重された信号光を用いる場合における、第1の光ハイブリッド回路100又は第2の光ハイブリッド回路200とバランスPDとの接続について、図10を参照して説明する。図10は、第1の光ハイブリッド回路100又は第2の光ハイブリッド回路200とバランスPDとの接続の一例を示す概略的平面図である。なお、図10では、光導波路コアのみを示してあり、支持基板及びクラッドを省略している。また、図10では、上述した第1の光ハイブリッド回路100及び第2の光ハイブリッド回路200の第1〜第4出力導波路部210〜240のみを示してあり、その他の構成要素を省略している。
ここでは、第1の光ハイブリッド回路100又は2の光ハイブリッド回路200は、4つのバランスPD80−1〜4と接続されている。各バランスPD80は、それぞれ一対のPD81及びPD82を備えて構成される。各バランスPD80が備えるPD81及び82は、それぞれ並んで配置される。バランスPD80では、PD81及びPD82に光が入力されることによって、これら光を受光する。
第1出力導波路部210は、接続導波路部51、分岐部71及び接続導波路部61を経て、バランスPD80−1のPD81と接続される。また、第1出力導波路部210は、接続導波路部51、分岐部71及び接続導波路部62を経て、バランスPD80−2のPD81と接続される。
第2出力導波路部220は、接続導波路部52、分岐部72及び接続導波路部63を経て、バランスPD80−3のPD81と接続される。また、第2出力導波路部220は、接続導波路部52、分岐部72及び接続導波路部64を経て、バランスPD80−4のPD81と接続される。
第3出力導波路部230は、接続導波路部53、分岐部73及び接続導波路部65を経て、バランスPD80−3のPD82と接続される。また、第3出力導波路部230は、接続導波路部53、分岐部73及び接続導波路部66を経て、バランスPD80−4のPD82と接続される。
第4出力導波路部240は、接続導波路部54、分岐部74及び接続導波路部67を経て、バランスPD80−1のPD82と接続される。また、第4出力導波路部240は、接続導波路部54、分岐部74及び接続導波路部68を経て、バランスPD80−2のPD82と接続される。
接続導波路部51〜54及び61〜68、並びに分岐部71〜74は、それぞれ光導波路コアとして構成される。
接続導波路部51〜54は、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を伝播可能な幅で形成されている。また、接続導波路部61、63、65及び67は、少なくとも1次モードまでのTE偏波を伝播可能な幅で形成されている。また、接続導波路部62、64、66及び68は、シングルモード導波路として形成されている。
分岐部71〜74は、例えば方向性結合器として構成されている。分岐部71〜74は、それぞれ入力される基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を分離して出力する。
第1出力導波路部210から出力される基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波は、接続導波路部51を経て分岐部71に入力される。分岐部71は、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を分離し、1次モードのTE偏波を接続導波路部61に、基本モードのTE偏波を接続導波路部62にそれぞれ送る。1次モードのTE偏波は、接続導波路部61を経て、バランスPD80−1のPD81に入力される。また、基本モードのTE偏波は、接続導波路部62を経て、バランスPD80−2のPD81に入力される。
第2出力導波路部220から出力される基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波は、接続導波路部52を経て分岐部72に入力される。分岐部72は、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を分離し、1次モードのTE偏波を接続導波路部63に、基本モードのTE偏波を接続導波路部64にそれぞれ送る。1次モードのTE偏波は、接続導波路部63を経て、バランスPD80−3のPD81に入力される。また、基本モードのTE偏波は、接続導波路部64を経て、バランスPD80−4のPD81に入力される。
第3出力導波路部230から出力される基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波は、接続導波路部53を経て分岐部73に入力される。分岐部73は、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を分離し、1次モードのTE偏波を接続導波路部65に、基本モードのTE偏波を接続導波路部66にそれぞれ送る。1次モードのTE偏波は、接続導波路部65を経て、バランスPD80−3のPD82に入力される。また、基本モードのTE偏波は、接続導波路部66を経て、バランスPD80−4のPD82に入力される。
第4出力導波路部240から出力される基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波は、接続導波路部54を経て分岐部74に入力される。分岐部74は、基本モードのTE偏波及び1次モードのTE偏波を分離し、1次モードのTE偏波を接続導波路部67に、基本モードのTE偏波を接続導波路部68にそれぞれ送る。1次モードのTE偏波は、接続導波路部67を経て、バランスPD80−1のPD82に入力される。また、基本モードのTE偏波は、接続導波路部68を経て、バランスPD80−2のPD82に入力される。
このように、第1〜第4出力導波路部210〜240とバランスPD80−1〜4とを接続することにより、各バランスPD80において、PD81及び82に入力される各光の位相差がπとなる。そして、バランスPD80−1及び2に入力される光と、バランスPD80−3及び4に入力される光との位相差はπ/2となる。さらに、1次モードのTE偏波をバランスPD80−1及び3に、基本モードのTE偏波をバランスPD80−2及び4に分けて入力することができる。