JP6678556B2 - 分割シールリング圧入用治具 - Google Patents

Description

この発明は、分割シールリング圧入用治具の構造に関する。

油圧エレベータジャッキ、油圧シリンダ、その他の流体伝動装置のオイル漏れを防ぐために、シールリングが用いられる。このシールリングは、環状部材からなり、周方向の一部が分割され、対向する端面同士を当接する構造が採用されている。

このように分割されたシールリングを用いることで、流体伝動装置を分解することなくシールリングの交換を行なうことができるため、流体伝動装置のメンテナンスの工数および費用を削減することを可能としている。

このような分割シールリングは、国際公開２００８／０１３２８１号公報（特許文献１）、特開２００５−３０８００２号公報（特許文献２）、特開平１１−３２５２５９号公報（特許文献３）、特開平１１−２１８２１９号公報（特許文献４）、および、実開昭６４−４８４７５号公報（特許文献５）に、開示されている。

国際公開２００８／０１３２８１号公報 特開２００５−３０８００２号公報 特開平１１−３２５２５９号公報 特開平１１−２１８２１９号公報 実開昭６４−４８４７５号公報

このような分割シールリングの販売においては、それ単体で販売されている。分割シールリングをロッドヘッドに設けられた環状溝に適切に装着するには、困難な作業を要するが、この作業を軽減させる具体的な対策は、これまで何ら考慮されていなかった。

この発明の目的は、上記の課題を解決することにあり、分割シールリングをロッドヘッドに設けられた環状溝に適切に装着する際の作業効率を向上させることが分割シールリング圧入用治具を提供することにある。

この分割シールリング圧入用治具は、内部にロッドの軸方向に延びる筒状の内周壁に設けられた半径方向の外側に凹む環状溝を有するロッドヘッドに、円環状の分割シールリングを装着する際に用いられる、分割シールリング圧入用治具であって、以下の構成を備える。

上記ロッドヘッドは、少なくとも、第１ロッドヘッドおよび第２ロッドヘッドを含み、上記環状溝は、上記第１ロッドヘッドに設けられた凹部に、上記第２ロッドヘッドに設けられた凸部を組合わせることにより規定されている。

当該分割シールリング圧入用治具は、上記第１ロッドヘッドと上記第２ロッドヘッドとが、上記ロッドの軸方向に沿って引き離された状態において、上記第１ロッドヘッドの上記第２ロッドヘッド側に装着されるスリーブと、上記第１ロッドヘッドと上記第２ロッドヘッドとの間における上記ロッドの表面に装着されるプランジャとを含む。

上記スリーブは、上記第１ロッドヘッドに装着された状態において、上記スリーブの内周面と上記ロッドとの間に上記凹部に通じるガイド領域が規定され、上記ロッドの外周面に装着された上記分割シールリングを上記プランジャを用いて上記ガイド領域を通過させて上記凹部の所定位置に圧入された場合に、上記スリーブと上記プランジャとの間には相互に係合する位置決め係合領域が設けられている。

他の形態では、上記スリーブは、上記ロッドの外周に対して複数に分割されており、上記プランジャは、上記ロッドの外周に対して複数に分割されている。

他の形態では、上記第１ロッドヘッドには、上記第２ロッドヘッドを上記第１ロッドヘッドに固定するボルト貫通孔が設けられており、上記スリーブは、上記ボルト貫通孔を用いて、上記第１ロッドヘッドに装着される。

他の形態では、上記ガイド領域において、上記スリーブの上記内周面と、上記ロッドの外周面との距離は、上記凹部に向うほど徐々に短くなるように設けられている。

この分割シールリング圧入用治具によれば、分割シールリングをロッドヘッドに設けられた環状溝に適切に装着する際の作業効率を向上させることを可能とする。

ロッド、ロッドヘッド、および、分割シールリングの配置関係を示す縦断面図である。 実施の形態における分割シールリング圧入用治具のスリーブの構造を示す平面展開図である。 実施の形態における分割シールリング圧入用治具のスリーブの構造を示す正面展開図である。 図３中のＩＶで囲まれた領域の部分拡大図である。 実施の形態における分割シールリング圧入用治具のプランジャの構造を示す平面展開図である。 実施の形態における分割シールリング圧入用治具のプランジャの構造を示す正面展開図である。 図６中のＶＩＩ−ＶＩＩ線矢視断面図である。 実施の形態におけるプランジャの利点を示す平面図である。 実施の形態における分割シールリング圧入用治具を用いた分割シールリングの取付工程を示す第１縦断面模式図である。 実施の形態における分割シールリング圧入用治具を用いた分割シールリングの取付工程を示す第２縦断面模式図である。

本発明に基づいた実施の形態における分割シールリング圧入用治具について、以下、図を参照しながら説明する。なお、以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。また、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。

（ロッド、ロッドヘッド、および、分割シールリングの配置関係）
図１を参照して、ロッド１００、ロッドヘッド２００、および、分割シールリング４００の配置関係について説明する。図１は、ロッド１００、ロッドヘッド２００、および、分割シールリング４００の配置関係を示す縦断面図である。

円柱形状のロッド１００の外周面には、ロッドヘッド２００が設けられている。ロッドヘッド２００は、内部にロッド１００の軸方向に延びる筒状の内周壁に設けられた半径方向の外側に凹む環状溝２００ｇを有する。ロッドヘッド２００は、第１ロッドヘッド２０１、第２ロッドヘッド２０２、および、第３ロッドヘッド２０３を含む。第１ロッドヘッド２０１には、ボルト貫通孔２０１ｈが設けられ、第３ロッドヘッド２０３には、ボルト締結雌ネジ２０３ｈが設けられている。第２ロッドヘッド２０２は、締結用ボルトＢ１を用いて第１ロッドヘッド２０１と第３ロッドヘッド２０３とにより挟み込まれるようにして締結される。

本実施の形態においては、分割シールリング４００として、第１シールリング４１０および第２シールリング４２０を含む。第１ロッドヘッド２０１に設けられた凹部２０１ａに、第２ロッドヘッド２０２に設けられた凸部２０２ｂを組合わせることにより環状溝２００ｇが規定されている。この環状溝２００ｇに、分割シールリング４００が圧入装着されている。

（分割シールリング圧入用治具）
図２から図８を参照して、分割シールリング圧入用治具について説明する。図２および図３は、スリーブ６００の構造を示す平面展開図および正面展開図、図４は、図３中のＩＶで囲まれた領域の部分拡大図、図５および図６は、プランジャ７００の構造を示す平面展開図および正面展開図、図７は、図６中のＶＩＩ−ＶＩＩ線矢視断面図、図８は、プランジャ７００の利点を示す平面図である。本実施の形態における分割シールリング圧入用治具は、スリーブ６００およびプランジャ７００を含む。

（スリーブ６００）
図２を参照して、スリーブ６００は、円周上２分割された半円環形状の分割スリーブ６１０を２つ有している。２つの分割スリーブ６１０は、弾性片６００ｃにより連結されている。スリーブ６００は、ＭＣナイロン等の材料を用いて整形されている。

分割スリーブ６１０にはそれぞれ、ボルト貫通用孔６３０と、係合突起６４０とが設けられている。ボルト貫通用孔６３０は、分割スリーブ６１０の約９０度の位置に一箇所設けられ、係合突起６４０は、分割スリーブ６１０の約３０度および１５０度の位置に設けられている。分割スリーブ６１０の端面には、一方の分割スリーブ６１０には連結凹部６７０が設けられ、他方の分割スリーブ６１０には連結突起６８０が設けられている。この連結凹部６７０と連結突起６８０とを連結させることで、環状のスリーブ６００が維持される。

図３および図４を参照して、分割スリーブ６１０のロッド１００側の内周面には、係合突起６４０が設けられる側から見た場合に、ロッド１００の表面と平行となる第１平面６１０ａ、第１平面６１０ａから半径方向の外側に向って傾斜する第１傾斜面６１０ｔ１、第１傾斜面６１０ｔ１からロッド１００の表面と平行となる第２平面６１０ｂ、第２平面６１０ｂから外側に向って傾斜する第２傾斜面６１０ｔ２、および、第２傾斜面６１０ｔ２から半径方向の外側に向って円弧状に窪む円弧面６００ｐが設けられている。

一方の分割スリーブ６１０の端部には、係合爪６５０が設けられ、他方の分割スリーブ６１０の端部には、係合孔６６０が設けられている。分割スリーブ６１０をロッド１００に装着する際には、係合爪６５０を係合孔６６０に係合させることで、容易に、スリーブ６００をロッド１００の外周面に固定することができる。

本実施の形態では、スリーブ６００を２つの分割スリーブ６１０で構成している場合について説明しているが、２以上であれば、特に分割される数量に制限はない。

（プランジャ７００）
図５および図６を参照して、プランジャ７００は、円周上４分割された円弧形状の分割プランジャ７１０を４つ有している。４つの分割プランジャ７１０は、弾性片７００ｃにより連結されている。プランジャ７００は、ＭＣナイロン等の材料を用いて整形されている。

図７を参照して、分割プランジャ７１０のロッド１００に接する内周面は平坦面７１０ｐである。一方、外周面には、第１外周面７１１、この第１外周面７１１よりも半径方向側に小さい第２外周面７１２、この第２外周面７１２よりも半径方向側にさらに小さい第３外周面７１３を備える。第３外周面７１３の下方には、半径方向の外方に突出する突出部７１４が設けられ、突出部７１４の下方には、半径方向側に凹む第４外周面７１５が設けられている。

突出部７１４のロッド１００の表面からの距離（Ｈ１）は、後述する分割シールリング装着時における第１ロッドヘッド２０１へのスリーブ６００の装着時におけるロッド１００の表面から円弧面６００ｐの底面（６００ｐ）までの距離（Ｈ２、図９参照）と程同一となるように設けられている。

プランジャ７００は、図５および図６で示したように、分割プランジャ７１０が弾性片７００ｃによって連結されている。その結果、図８に示すように、弾性片７００ｃが折り畳まれた状態で、プランジャ７００が、ロッド１００に装着された場合には、例えば、ロッド１００の直径がφ１２５であるのに対して、弾性片７００ｃが引き伸ばされた状態で、プランジャ７００が、ロッド１００に装着された場合には、例えば、ロッド１００の直径がφ１６０となる。このように、複数の直径のロッドに対して、一つのプランジャ７００で対応できることが可能となる。

本実施の形態では、プランジャ７００を４つの分割プランジャ７１０で構成している場合について説明しているが、２以上であれば、特に分割される数量に制限はない。

（分割シールリング４００のロッドヘッド２００への圧入）
図９および図１０を参照して、本実施の形態における分割シールリング圧入用治具を用いた分割シールリング４００のロッドヘッド２００への圧入手順について説明する。

図９を参照して、分割シールリング４００の交換時に、ロッドヘッド２００を第１ロッドヘッド２０１と、第２ロッドヘッド２０２および第３ロッドヘッド２０３とに引き離す。次に、第１ロッドヘッド２０１にスリーブ６００を装着する。第１ロッドヘッド２０１へのスリーブ６００の装着には、スリーブ６００に設けた係合突起６４０を第１ロッドヘッド２０１のボルト貫通孔２０１ｈの挿入する。

スリーブ６００は、第１ロッドヘッド２０１に装着された状態において、スリーブ６００の内周面とロッド１００との間に凹部２０１ａに通じるガイド領域Ｇ１が規定される。

スリーブ６００の近傍のロッド１００の外周面に分割シールリング４００の装着する。この時、特に分割シールリング４００の位置決めは問題にならない。

第１ロッドヘッド２０１と第２ロッドヘッド２０２との間において露出するロッド１００の外周面にプランジャ７００を固定する。

図１０を参照して、プランジャ７００を第１ロッドヘッド２０１側に向けて移動させる（図１０中矢印Ｆ方向）。この時、プランジャ７００に押されて分割シールリング４００も移動し、分割シールリング４００は第１ロッドヘッド２０１に設けられた凹部２０１ａに嵌め入れられる。

凹部２０１ａの上端面からスリーブ６００に設けられた円弧面６００ｐまでの距離Ｄは、分割シールリング４００の幅Ｄ１と、プランジャ７００の上端面から突出部７１４までの距離Ｄ２との合計寸法と同一となるように定められている。

その結果、プランジャ７００を第１ロッドヘッド２０１側に向けて移動させる際に、突出部７１４が円弧面６００ｐに嵌ったこと（突出部７１４が円弧面６００ｐに係合したことを確認することで、分割シールリング４００を第１ロッドヘッド２０１に設けられた凹部２０１ａの適切な位置にまで圧入したことを確認することができる。円弧面６００ｐと突出部７１４とにより、位置決め係合領域が構成される。

なお、円弧面６００ｐまでの距離は、円弧面６００ｐの最も凹んだ点までの距離を意味し、突出部７１４までの距離は、突出部７１４の最も突出した点までの距離を意味する。

さらに、凹部２０１ａに分割シールリング４００を圧入する際に、スリーブ６００の内周面には、図４に示したように、徐々に内径が小さくなるように第２傾斜面６１０ｔ２、第２平面６１０ｂ、第１傾斜面６１０ｔ１、および、第１平面６１０ａが設けられている。これにより、ガイド領域Ｇ１において、スリーブ６００の内周面は、凹部２０１ａに向うほど徐々にスリーブ６００の内周面とロッド１００の外周面との距離が短くなることから、凹部２０１ａへの分割シールリング４００の圧入を容易にすることができる。

その後、スリーブ６００およびプランジャ７００を取り外し、第１ロッドヘッド２０１と第２ロッドヘッド２０２とを締結用ボルトＢ１を用いて締結することで、図１に示す構造となる。

このように、本実施の形態における分割シールリング圧入用治具によれば、スリーブ６００およびプランジャ７００を用いて、分割シールリング４００を所定に位置に容易に圧入することが可能となる。

今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

１００ ロッド、２００ ロッドヘッド、２００ｇ 環状溝、２０１ 第１ロッドヘッド、２０１ａ 凹部、２０１ｈ ボルト貫通孔、２０２ 第２ロッドヘッド、２０２ｂ 凸部、２０３ 第３ロッドヘッド、２０３ｈ ボルト締結雌ネジ、４００ 分割シールリング、４１０ 第１シールリング、４２０ 第２シールリング、６００ スリーブ、６００ｃ，７００ｃ 弾性片、６００ｐ 円弧面、６１０ 分割スリーブ、６１０ａ 第１平面、６１０ｂ 第２平面、６１０ｔ２ 第２傾斜面、６１０ｔ１ 第１傾斜面、６３０ ボルト貫通用孔、６４０ 係合突起、６５０ 係合爪、６６０ 係合孔、６７０ 連結凹部、６８０ 連結突起、７００ プランジャ、７１０ 分割プランジャ、７１０ｐ 平坦面、７１１ 第１外周面、７１２ 第２外周面、７１３ 第３外周面、７１４ 突出部、７１５ 第４外周面、Ｂ１ 締結用ボルト。

Claims (4)

1. 内部にロッドの軸方向に延びる筒状の内周壁に設けられた半径方向の外側に凹む環状溝を有するロッドヘッドに、円環状の分割シールリングを装着する際に用いられる、分割シールリング圧入用治具であって、
   前記ロッドヘッドは、少なくとも、第１ロッドヘッドおよび第２ロッドヘッドを含み、
   前記環状溝は、前記第１ロッドヘッドに設けられた凹部に、前記第２ロッドヘッドに設けられた凸部を組合わせることにより規定されており、
   当該分割シールリング圧入用治具は、
   前記第１ロッドヘッドと前記第２ロッドヘッドとが、前記ロッドの軸方向に沿って引き離された状態において、
   前記第１ロッドヘッドの前記第２ロッドヘッド側に装着されるスリーブと、
   前記第１ロッドヘッドと前記第２ロッドヘッドとの間における前記ロッドの表面に装着されるプランジャと、を含み、
   前記スリーブは、前記第１ロッドヘッドに装着された状態において、前記スリーブの内周面と前記ロッドとの間に前記凹部に通じるガイド領域が規定され、
   前記ロッドの外周面に装着された前記分割シールリングを前記プランジャを用いて前記ガイド領域を通過させて前記凹部の所定位置に圧入された場合に、前記スリーブと前記プランジャとの間には相互に係合する位置決め係合領域が設けられている、分割シールリング圧入用治具。
2. 前記スリーブは、前記ロッドの外周に対して複数に分割されており、
   前記プランジャは、前記ロッドの外周に対して複数に分割されている、請求項１に記載の分割シールリング圧入用治具。
3. 前記第１ロッドヘッドには、前記第２ロッドヘッドを前記第１ロッドヘッドに固定するボルト貫通孔が設けられており、
   前記スリーブは、前記ボルト貫通孔を用いて、前記第１ロッドヘッドに装着される、請求項１または請求項２に記載の分割シールリング圧入用治具。
4. 前記ガイド領域において、前記スリーブの前記内周面と、前記ロッドの外周面との距離は、前記凹部に向うほど徐々に短くなるように設けられている、請求項１から請求項３のいずれか１項に記載の分割シールリング圧入用治具。