JP6677973B2 - 鉄骨構造物 - Google Patents

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Description

本発明は、鉄骨構造物を構成する柱、特にH型柱の補剛構造に関する。
ウェブとフランジからなるH型柱で構成される鉄骨構造物について、例えば巨大地震によりH型柱に大きな水平力が作用したときの様子を図12に示す。なお、H型柱100は、上下の梁105,106と剛結合されているものとする。
H型柱100が地震動による水平力H及び軸力Nを受けると、図12(a)に示すように、H型柱100には、梁105,106との接合部分の曲げモーメントが最大になる。H型柱100は、図12(b)〜(d)に示すように、塑性化後、曲げモーメントが大きくなる端部に局部座屈が生じ、耐力の低下を招く。
この局部座屈は、ウェブ101よりもフランジ102に先行して発生する。しかも、強軸方向、弱軸方向いずれの方向から水平力Hを受けた場合にも基本的には、図12(b)に示すように、フランジ102が面外方向(板厚方向)に大きく変形するように生じる。
H型柱に耐力の低下が生じると最終的に鉄骨構造物の倒壊に至るおそれがあるが、これに対する対策としては以下の2つが考えられる。対策1,2のうちで、例えば特許文献1、特許文献2にて提案されているように、従来は対策1を採用することが多い。
対策1:曲げ耐力を向上させる
対策2:塑性化後の変形能を向上させる
特許第2977994号公報 特開平8−049349号公報
牧野稔ら 「H型柱の局部座屈後の変形性状」 日本建築学会論文報告集 第281号 昭和54年7月
ところが、対策1によると、補強部位の耐力向上に伴う設計荷重以上の荷重伝達、補強による構造全体の剛性バランスの変化等で、補強部位以外のところに損傷が生じる恐れがある。
そこで本発明は、H型柱の曲げ耐力を変えることなく、塑性化後の変形能を向上できる補剛構造を提供することを目的とする。
かかる目的のもと、本発明の鉄骨構造物は、それぞれの上端部及び下端部の一方又は双方が剛結合され、水平方向に間隔をあけて配置される複数の柱と、柱に設けられる補剛体と、を備える。
本発明において、柱は、横断面がH型をなし、ウェブと、ウェブの両端に連なる一対のフランジと、を備える。
本発明における補剛体は、局部座屈が生じ得る柱の特異領域に対応し、かつ、フランジの外側面に接合されることなく対向して設けられる外側拘束部を備える、ことを特徴とする。
本発明において、柱の上端部及び下端部の一方が剛結合される典型例として、下端部が基礎にピン結合される一方、上端部が梁に剛結合される形態が掲げられる。また、本発明において、上端部及び下端部が剛結合される典型例として、下端部及び上端部がともに梁に剛結合される形態、及び、下端部が基礎に剛結合される一方、上端部が梁に剛結号される形態が掲げられる。
本発明の鉄骨構造物によれば、補剛体が、局部座屈が生じ得る柱の特異領域に対応して設けられるので、塑性化した後の柱の変形能を向上させることができる。しかも、本発明の補剛体は、フランジの外側面に接合されていないために、フランジが外側に向けて局部座屈する挙動を起こすまでは、補剛効果を発揮しない。しかも、本発明の補剛体は、特異領域という限定的な範囲だけを補剛するものである。したがって、柱の最大耐力は補剛体を設けていないのと同じであり、補剛による鉄骨構造物の剛性バランスを崩さずに済むので、補剛部分以外のところに損傷が生じる恐れがない。
本発明の鉄骨構造物において、補剛体の外側拘束部は、フランジの外側面に接合されることなく接していることが好ましい。
本発明は、外側拘束部が、フランジの外側面から離れていてもよいが、当初よりフランジの外側面に接している方が、補剛の効果をより確実に得ることができる。
本発明の鉄骨構造物において、補剛体は、柱の周囲を取り囲む枠状の形態をなし、それぞれのフランジの外側面に接する一対の外側拘束部と、一対の外側拘束部を繋ぐ接続部と、を備えることができる。
また、本発明の鉄骨構造物において、補剛体は、少なくとも二つのセグメントの組合せからなり、二つのセグメントは、締結手段により接合されることが好ましい。
以上の構成を採用することにより、補剛体の取り付け作業の負担を軽減できる。
本発明の鉄骨構造物において、補剛体は、それぞれのフランジの内側面に接合されることなく接する内側拘束部を備えることが好ましい。フランジの内側への変形に対応するためである。
この内側拘束部は、ウェブに溶接により接合することができるし、補剛体の接続部に溶接により接合することができる。特に、補剛体の接続部に溶接により接合する場合には、溶接による柱への熱的な影響を与えないので好ましい。
本発明の鉄骨構造物において、補剛体とフランジ又はウェブとの間にアンボンド材を介在させることができる。
このアンボンド材の介在により、柱の水平方向の変形が大きくなったときの、補剛体と柱の間の大きな面外荷重による柱軸方向の摩擦力を低減し、柱軸方向の荷重の上昇を抑えることができる。
本発明の鉄骨構造物において、柱の上端部及び下端部のそれぞれについて、複数の補剛体を設けることができる。
本発明に基づいて特異領域に補剛体を設けても、補剛体を設けた位置からずれた位置に局部座屈が生じることがあるので、これに対応して補剛体を増設することができる。
本発明の鉄骨構造物は、既設の鉄骨構造物及び新設の鉄骨構造物の両者に適用することができるが、特に既設の鉄骨構造物に適用されるとその効果が大きい。
本発明によれば、補剛体が、局部座屈が生じ得る柱の特異領域に対応して設けられ、かつ、フランジの外側面に接合されていないために、柱の最大曲げ耐力は変えずに、塑性後の変形能を向上させることができる。
第1実施形態におけるH型柱の補剛構造を示し、(a)はH型柱に加わる力を示し、(b)は補剛構造を示す側面図、(c)は(b)のA矢視断面図、(d)は水平荷重H−変位δの関係を示すグラフである。 第1実施形態におけるH型柱の変形例を示し、図1(c)に対応する断面図である。 第1実施形態におけるH型柱の他の変形例を示し、図1(c)に対応する断面図である。 第2実施形態におけるH型柱の補剛構造を示し、(a)はH型柱に加わる力を示し、(b)は補剛構造を示す側面図、(c)は(b)のA矢視断面図、(d)は水平荷重H−変位δの関係を示すグラフである。 第2実施形態におけるH型柱の変形例を示し、(a)〜(d)のそれぞれの上段は図1(c)に対応する断面図、下段は(a)〜(d)のそれぞれのB矢視断面図である。 第3実施形態におけるH型柱の補剛構造を示し、(a)はH型柱に加わる力を示し、(b)は補剛構造を示す側面図、(c)は(b)のA矢視断面図、(d)は水平荷重H−変位δの関係を示すグラフである。 第3実施形態におけるH型柱の他の補剛構造を示し、(a)はH型柱に加わる力を示し、(b)は補剛構造を示す側面図、(c)は(b)のA矢視断面図、(d)は水平荷重H−変位δの関係を示すグラフである。 第3実施形態の変形例を示し、図7(c)に対応する断面図である。 第4実施形態におけるH型柱の補剛構造を示し、(a)はH型柱に加わる力を示し、(b)は補剛構造を示す側面図、(c)は(b)のA矢視断面図、(d)は水平荷重H−変位δの関係を示すグラフである。 第4実施形態におけるH型柱の補剛構造を示し、(a)はH型柱に加わる力を示し、(b)は補剛構造を示す側面図、(c)は(b)のA矢視断面図、(d)は水平荷重H−変位δの関係を示すグラフである。 本発明が適用される、H型柱の下端部が基礎により剛結合される例を示す図である。 H型柱の端末部に生ずる局部座屈を説明する図である。
以下、添付図面に示す本発明の好適な実施形態を、図面を参照して説明する。
本実施形態は、柱の最大曲げ耐力は変えずに、塑性後の変形能を向上させるものであり、対象は軸力と曲げが同時に作用する、鉄骨構造物の柱であり、特に、横断面形状がH型のH型柱1である。以下、本実施形態を第1実施形態から第4実施形態に分けて説明する。
[第1実施形態]
本実施形態に係るH型柱1は、図1(a)に示すように、梁5,6とともに、鉄骨構造物40を構成する。H型柱1は、構面9において、上端が上側の梁5と剛結合されており、下端が下側の梁6と剛結合されている。なお、ここでは、鉄骨構造物40は、ごく一部のみを示しているが、剛結合の手段は、溶接、ボルト締めなど、問われない。
第1実施形態に係る補剛構造10は、図1(a),(b)に示すように、H型柱1の周囲を囲うように、補剛体11を設置することにより構成される。補剛体11は、局部座屈に関するH型柱1の特異領域4に対応して設置される。
補剛体11は、横断面が枠状の形態をなしており、H型柱1のフランジ3,3の外側面3A,3Aに対して接するだけで、接合はしていない。
補剛体11は、図1(c)に示すように、同じ形状及び寸法を有するセグメント12,12を組み合せて構成される。それぞれのセグメント12は、外側面3Aと対向しかつ接する一対の外側拘束部13,13と、外側拘束部13,13の一端側同士を繋ぐ接続部14と、外側拘束部13,13の他端側から張り出す固定部15,15と、を有し、チャンネル(溝型鋼)形状をなしている。補剛体11は、セグメント12,12同士の固定部15,15をボルトJにより締結することで一体化されるとともに、ボルトJの締め付け力によりH型柱1に固定され鉛直方向の変位が規制される。ただし、別途、H型柱1の側面に補剛体11の脱落を防止する部材を設けてもよいし、この脱落防止部材だけで、H型柱1の鉛直方向の変位を規制してもよい。
なお、H型柱1と梁5,6とがピン結合される場合、H型柱1の一端が自由端の場合の当該自由端については、補剛体11を設ける対象から除かれる。
補剛体11は、特異領域4に設けられるが、特異領域4は曲げモーメントが大きくなるH型柱1の上端及び下端の近傍を占める。特異領域4は、H型柱1の寸法、形状に応じて定まるが、一つの指標として、図1(c)に示すように、Bをフランジ3の幅とすると、補剛体11は、H型柱1が梁5,6に接合される端部より0.5Bの位置を中心に設置するのが好ましい。これは、非特許文献1に開示されるように、局部座屈の1波の領域が1B程度になっており、局部座屈の腹になる位置としてその半分の0.5とした。ただし、0.5Bは最も好ましい値であるが、鉄骨構造物40、補剛体11の仕様によって、補剛体11の中心を0.3B〜0.7Bの範囲で設定することができる。特異領域4は、少なくともこの0.3B〜0.7Bの範囲を包含する。
補剛体11の幅、つまり補剛体11による補剛区間の長さLは、局部座屈を補剛可能な寸法であれば限定されるものではないし、H型柱1の寸法、形状によって変動し得る。しかし、長さLが不足すると局部座屈を十分に補剛することが難しくなり、また、長さLが長すぎると、震動により撓んだH型柱1と干渉してしまい、H型柱1の曲げ耐力を向上させてしまうおそれがある。したがって、長さLは0.2B〜0.5Bの範囲から選択することが好ましい。
また、補剛体11は、局部座屈によるH型柱1の面外変形を補剛できる程度の板厚tを備えていることが必要である。
補剛体11は、その目的を達成する限りその形状は任意であり、図1に示す形態に限らず、図2に示す種々の形態を採用することができる。なお、図2(e)は図1の補剛体11を再掲したものである。
図2に示す複数の補剛体11は、セグメント12,12から張り出された固定部15,15をボルトJで締結する(a)〜(g)と、セグメント12,12の間に連結部18を架け渡し、連結部18とセグメント12,12をボルトJで締結する(h)〜(j)と、に区分される。いずれも、H型柱1の横断面を囲う箱形の形状をなし、外側からH型柱1に容易に被せることができる構成が採用されている。また、図1に示す補剛体11は、二つのセグメントからなるが、図2に示すようにこれに限らない。
セグメント12は、鋼板および型鋼(チャンネル材、アングル材等)を組み合せて作製することができる。
また、図1及び図2に示す補剛体11は、H型柱1のフランジ3,3の先端がセグメント12,12に接しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図3(a)に示すように、フランジ3,3の先端とセグメント12,12の間に隙間G1を設けることができる。隙間G1のない設計でセグメント12を作製すると、セグメント12でH型柱1を囲いきれなくなるおそれもあるので、隙間を設けることで、確実にセグメント12でH型柱1を囲うことができる。一方で、当該隙間G1があっても、局部座屈を補剛する基本的な効果はかわらない。
また、図1及び図2に示す補剛体11は、H型柱1のフランジ3,3の外側面3A,3Aとセグメント12,12が接しているが、本実施形態はこれに限定されない。例えば、図3(b)に示すように、フランジ3,3の外側面3A,3Aとセグメント12,12の間に隙間G2を設けることもできる。上記と同様の理由による。
なお、図3(a),(b)のいずれにおいても、隙間G1,G2を不必要に大きくする必要はない。特に、図3(b)の外側面3Aとセグメント12の間の隙間G2は、広すぎると局部座屈を補剛する効果が小さくなるので、H型柱1に対するセグメント12の組み付けに必要な最小限の隙間にすることが望まれる。
また、図1及び図2に示す補剛体11は、外側拘束部13,13が接続部14,14で接続されているが、本実施形態はこれに限定されず、外側拘束部13,13をそれぞれ独立して設けることもできる。例えば、図3(c)に示すように、外側拘束部13の両端から折り返し16を設け、この外側拘束部13と折り返し16の間にセグメント12の先端を挟み込む形態を採用することができる。
この形態は、接続部14がない分だけ、補剛体11が軽量化されるので、補剛体11の取り付け作業の負担が軽減される。また、この形態であっても、外側拘束部13がフランジ3の外側面3Aに接しているので、特異領域4におけるH型柱1の塑性化後の変形能を向上できる。
補剛体11は、特異領域4に対応して設けられており、その外側拘束部13,13がフランジ3,3の外側面3A,3Aに接しているだけである。したがって、より大きな水平力Hが生じて、フランジ3,3が外側に向けて局部座屈する挙動を起こすまでは、補剛体11は補剛効果を発揮しない。一方で、H型柱1のフランジ3に局部座屈が生じると、図1(d)のEM.1に示すように、補剛体11はH型柱1が塑性化した後の変形能を向上させる機能を発揮する。なお、EM.1は、第1実施形態を意味する。加えて、補剛体11は、特異領域4という限定的な範囲だけを補剛するものであるから、H型柱1のもともとの曲げ耐力又は曲げ剛性へ影響を与えることがなく、補剛構造10を除いた他の部分に損傷が生じるおそれがない。この作用及び効果は、H型柱1が剛結合される全ての部位について生じ得るものである。つまり、第1実施形態はH型柱1の上端部及び下端部の双方が対応する梁5,6に剛結合されているが、本発明はこれに限らず、上端部及び下端部のいずれか一方が剛結合されているH型柱1に普遍的に適用することができる。
また、補剛体11は、運搬が容易な程度の寸法で足り、また、ボルトJで締結できるため、取り付けが簡易であるとともに短時間で作業が終了する。
[第2実施形態]
次に、図4及び図5を参照して本発明の第2実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成要素については、図4及び図5に図1と同じ符号を付し、その説明を省略する。
図4(a)〜(c)に示すように、第2実施形態の補剛体21は、接続部14の内側に内側拘束部23を備えている。内側拘束部23は、溶接により接続部14に剛結合される一方、H型柱1のフランジ3の内側面3Bに接しているだけである。
内側拘束部23は、以下の効果を奏する。
補剛体21は、外側拘束部13を備えており、フランジ3は外側に向けた変形が規制されるため、内側に変形することもある。そこで、フランジ3の外側への局部座屈に対応する外側拘束部13に加えて、フランジ3の内側面3Bに対向する内側拘束部23を設ける。これにより、フランジ3の内側への局部座屈挙動も補剛されるため、図4(d)のEM.2に示すように、第1実施形態(EM.1)に対して、さらに塑性後の変形能を大きくすることができる。
内側拘束部23は、その目的を達成する限り、図4に示す形態に限らず、種々の形態を採用しうる。
例えば、図5(b)に示すように、対向するフランジ3,3の間に嵌挿される平板から内側拘束部23を構成することができる。この内側拘束部23は、接続部14に対向する辺が接続部14に溶接により接合されている。
また、図5(c)に示すように、アングル(山形鋼)を内側拘束部23として用いることができる。この内側拘束部23は、一方の辺23Aが接続部14に溶接により接合されているが、他方の辺23Bはフランジ3の内側面3Bに接しているだけである。
また、図5(d)に示すように、チャンネルを内側拘束部23として用いることができる。この内側拘束部23は、ウェブ23Cが接続部14に溶接により接合されているが、フランジ23D,23Dはフランジ3の内側面3Bに接しているだけである。
なお、図5(a)は図4に示す内側拘束部23を再掲したものである。
[第3実施形態]
次に、図6〜図8を参照して本発明の第3実施形態を説明する。なお、第1実施形態と同じ構成要素については、図6〜図8に図1と同じ符号を付し、その説明を省略することがある。
図6(a)〜(c)に示すように、第3実施形態の補剛体31Aは、H型柱1のウェブ2のおもて面2A及びうら面2Bのそれぞれに内側拘束部33を設ける。内側拘束部33は、溶接Mによりウェブ2に剛結合される一方、H型柱1のフランジ3の内側面3Bに接しているだけである。なお、ここでは平板状の内側拘束部33を示しているが、ウェブ2に剛接合され、かつ、フランジ3の内側面3Bに接することができるのであれば、アングル材、チャンネル材等の他の形状の部材を用いることができる。
補剛体31Aは、以下の効果を奏する。
第2実施形態の補剛体21があっても、さらに大きな水平力が作用すると、ウェブ2に局部座屈が発生することもある。そこで、フランジ3の外側への局部座屈に対応する外側拘束部13に加え、H型柱1のウェブ2のおもて面2A及びうら面2B面に内側拘束部33を取り付けることにより、フランジ3の内側への局部座屈挙動とウェブ2の局部座屈挙動の両者に対する補剛を確保する。これにより、図6(d)のEM.3に示すように、第1実施形態(EM.1)及び第2実施形態(EM.2)に対して、さらに塑性後の変形能を大きくすることができる。
また、ウェブ2に設置する内側拘束部33は、フランジ3の内側面3Bには溶接していないことから、いわゆるラーメンアクションによる耐力の上昇を招かない。
次に、図7に示す補剛体31Bは、補剛体31Aと同様に、フランジ3の内側への局部座屈挙動とウェブ2の局部座屈挙動の両者に対する補剛を確保できる。
図7(a)〜(c)に示すように、補剛体31Bは、H型柱1のフランジ3の内側面3B並びにウェブ2のおもて面2A及びうら面2Bのそれぞれに接するチャンネル状の内側拘束部35を設ける。内側拘束部35は、フランジ35B,35Bの先端を接続部14の内側の面に溶接Mにより剛接合されるが、ウェブ35Aはウェブ2に接しているだけである。なお、ここではチャンネル状の内側拘束部35を示しているが、接続部14に剛結合され、かつ、フランジ3の内側面3B並びにおもて面2A及びうら面2Bに接することができるのであれば、平板アングル材等の他の形状の部材を用いることができる。
補剛体31Bは、溶接の対象が補剛体31Bであるから、溶接の熱による残留応力の影響がH型柱1に生じることがない。
そして、図7(d)のEM.3に示すように、補剛体31Bと同様、第1実施形態(EM.1)及び第2実施形態(EM.2)に対して、さらに塑性後の変形能を大きくすることができる。
外側拘束部13は、その目的を達成する限り、図7に示す形態に限らず、種々の形態を採用しうる。
例えば、図8(a)に示すように、対向するフランジ3,3の間に嵌挿される平板から内側拘束部35を構成することができる。この内側拘束部35は、接続部14に対向しかつ接する辺が接続部14に溶接Mにより接合されている。
また、図8(b)に示すように、チャンネルを内側拘束部35として用いることができる。この内側拘束部35は、ウェブ35AをH型柱1のフランジ3の内側面3Bに対向させるとともに、一方のフランジ35BをH型柱1のウェブ2のおもて面2A又はうら面2Bに対向させる。この対向する面どうしは、接しているだけである。内側拘束部35の他方のフランジ35Cは外側拘束部13の接続部14に溶接Mにより剛接合されている。図8(b)に示す例は、H型柱1のウェブ2と一対のフランジ3,3で取り囲まれる空間Aに二つの内側拘束部35を設けており、合せて四つの内側拘束部35を用いている。
図8(c)もチャンネルを内側拘束部35として用いるものであるが、空間Aに内側拘束部35を一つだけ設けており、図8(b)よりも大きいチャンネルを用いる。そして、内側拘束部35のウェブ35AをH型柱1のウェブ2に対向させるとともに、フランジ35B,35BをH型柱1のフランジ3,3に対向させる。この対向する面どうしは、接しているだけである。そして、内側拘束部35のフランジ35B,35Bの先端を接続部14に溶接Mにより接合する。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
例えば、図9に示すように、H型柱1と補剛体11,21,31(31Aと31Bの総称)とが接する面にアンボンド材8を設置することができる。このアンボンド材8は、ブチルゴム等、せん断抵抗がほとんどない材質からなるシート状の部材とする。
アンボンド材8を接触面に介在させることにより、以下の効果を奏する。
第1実施形態〜第3実施形態においては、H型柱1のウェブ2やフランジ3と補剛体11等とが直接的に接するため、基本的にはH型柱1の柱軸方向Vには補剛体11等は無抵抗な構造としている。一方で、水平力Hによる水平方向の変形が大きくなると、補剛体11等はそれに対応した局部座屈挙動を拘束するため、補剛体11等とH型柱1の間に大きな面外荷重が発生し、柱軸方向Vに摩擦力が発生する。つまり、補剛体11等がH型柱1の柱軸方向Vの挙動にも寄与してしまい、鉛直荷重V方向の荷重が上昇してしまうおそれがある。そこで、この摩擦力の発生を抑制するため、H型柱1と補剛体11等との間の接触面にアンボンド材8を設置する。これにより、大きな面外荷重による、上記の荷重上昇を抑制できる。
また、第1実施形態〜第3実施形態は、H型柱1の一方の端部について、補剛体11,21,31を一段だけ設置しているが、本発明は複数段の補剛体11等を設置することができる。例えば、図10に示すように、端部に設置した補剛体11Aと間隔をあけてもう一段の補剛体11Bを追加して設置することができる。
補剛体11Bの設置位置は、近傍の補剛体11Aの位置から一波長分だけ局部座屈が生じるとした際の、座屈波形の腹の位置とする。具体的には、近傍の補剛体11Aの設置位置から、0.5B(B=フランジ3の幅)程度離した位置に、補剛体11Bを設置する。
補剛体11を設置する段数に制限はないが、曲げモーメントが小さい位置、例えば、図10の曲げモーメント(M図)において、H型柱1の高さの中央位置は設置不要である。
局部座屈の補剛を一段だけの場合には、水平変位が大きくなると、次に曲げモーメントが大きい位置、すなわち座屈補剛位置より少し離れた位置で次の局部座屈の発生が予想される。そこで、複数段に亘って補剛体11等を設置することにより、複数の局部座屈の発生を抑制し、一段配置の場合に対して、さらに変形能を大きくすることができる。
また、以上の実施形態では、H型柱1の下端部及び上端部の両方が梁5,6に剛結合される例について説明したが、本発明は、図10に示すように、下端部が基礎7に剛結合され、上端部が梁5に剛結合されるH型柱1に適用することができる。
また、以上では、H型柱1の上端部及び下端部の双方が剛結合された例を示したが、本発明は上端部及び下端部の一方が剛結合されるH型柱について適用することができる。例えば、前述したように、下端部である露出型の柱脚部分が基礎にピン結合される一方、上端部が梁に剛結合される場合に、本発明は、この剛結合される上端部について適用することができる。
また、以上の実施形態は、既設の鉄骨構造物を対象にして説明したが、新設の鉄骨構造物に本発明の補剛構造を設けることを妨げない。
1H型柱
2 ウェブ
2A おもて面
2B うら面
3 フランジ
3A 外側面
3B 内側面
4 特異領域
5,6 梁
8 アンボンド材
9 構面
10 補剛構造
11,11A,11B,21,31,31A,31B 補剛体
12 セグメント
13 外側拘束部
14 接続部
15 固定部
18 連結部
23 内側拘束部
23A,23B 辺
23C ウェブ
23Dフランジ33,35 内側拘束部
35A ウェブ
35B フランジ
40 鉄骨構造物

Claims (7)

  1. それぞれの上端部及び下端部の一方又は双方が剛結合され、水平方向に間隔をあけて配置される複数の柱と、
    前記柱に設けられる補剛体と、を備える鉄骨構造物であって、
    前記柱は、
    横断面がH型をなし、ウェブと、前記ウェブの両端に連なる一対のフランジと、を備え、
    前記補剛体は、
    局部座屈が生じ得る前記柱の特異領域に対応し、かつ、前記フランジの外側面に接合されることなく対向して設けられる外側拘束部と、
    それぞれの前記フランジの内側面に接合されることなく接する内側拘束部と、を備え、
    前記フランジの幅をBとすると、前記補剛体の幅Lの中心が前記上端部および下端部から0.3B〜0.7Bの範囲にあり、かつ、前記補剛体の幅Lが0.2B〜0.5Bであ
    前記内側拘束部は、前記ウェブに溶接により接合される、
    ことを特徴とする鉄骨構造物。
  2. それぞれの上端部及び下端部の一方又は双方が剛結合され、水平方向に間隔をあけて配置される複数の柱と、
    前記柱に設けられる補剛体と、を備える鉄骨構造物であって、
    前記柱は、
    横断面がH型をなし、ウェブと、前記ウェブの両端に連なる一対のフランジと、を備え、
    前記補剛体は、
    局部座屈が生じ得る前記柱の特異領域に対応し、かつ、前記フランジの外側面に接合されることなく対向して設けられる外側拘束部と、
    それぞれの前記フランジの内側面に接合されることなく接する内側拘束部と、を備え、
    前記補剛体は、
    前記柱の周囲を取り囲む枠状の形態をなし、それぞれの前記フランジの外側面に接する一対の前記外側拘束部と、一対の前記外側拘束部を繋ぐ接続部と、を備え、
    前記フランジの幅をBとすると、前記補剛体の幅Lの中心が前記上端部および下端部から0.3B〜0.7Bの範囲にあり、かつ、前記補剛体の幅Lが0.2B〜0.5Bであり
    前記内側拘束部は、前記接続部に溶接により接合される、
    ことを特徴とする鉄骨構造物。
  3. 前記補剛体の前記外側拘束部は、前記フランジの外側面に接している、請求項1に記載の鉄骨構造物。
  4. 前記補剛体は、
    少なくとも二つのセグメントの組合せからなり、二つの前記セグメントは、締結手段により接合される、
    請求項に記載の鉄骨構造物。
  5. 前記補剛体と前記フランジ又は前記ウェブとの間にアンボンド材が介在する、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の鉄骨構造物。
  6. 前記補剛体は、
    前記柱の前記上端部及び前記下端部のそれぞれについて、複数の前記補剛体が設けられる、請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の鉄骨構造物。
  7. 鉛直方向に間隔をあけて配置される複数の梁と、
    それぞれの上端部及び下端部が隣接する前記梁のそれぞれに剛結合され、水平方向に間隔をあけて配置される複数の柱と、を備える既設の鉄骨構造物の前記柱に補剛体を設ける補剛方法であって、
    前記柱は、
    横断面がH型をなし、ウェブと、前記ウェブの両端に連なる一対のフランジと、を備え、
    前記補剛体が請求項1〜請求項のいずれか一項に記載の補剛体である、
    ことを特徴とする既設鉄骨構造物の補剛方法。
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