JP6680005B2 - 鉄骨梁および柱梁接合構造 - Google Patents
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Description
この特許文献1に記載の鉄骨梁は、H形断面の鉄骨梁の端部が補剛部材によって補剛されており、当該補剛部材は、前記鉄骨梁の端部のウェブに設けられて、当該鉄骨梁の長手方向と直交する縦スチフナで構成され、この縦スチフナの上下端部はそれぞれ前記鉄骨梁のフランジと接合されていないことを特徴とするものである。
この特許文献2に記載のハイブリッドH形鋼梁の補剛構造は、フランジ板の降伏強度ffと、ウェブ板の降伏強度fwと、ハイブリッドH形鋼のウェブ高さhの中心軸に関するフランジ板の断面係数Zfと、ウェブ板の断面係数Zwとの関係を、所定の式により規定される関係を満足する関数で表し、ウェブ板が、柱材に接合される梁端部にスチフナが取り付けられて補剛されることを特徴とするものである。
前記梁端部の一方のフランジに、他方のフランジ側に向けて延び、かつ梁の軸方向に所定の長さを有する一方の補剛部材が設けられ、他方のフランジに、一方のフランジ側に向けて延び、かつ梁の軸方向に所定の長さを有する他方の補剛部材が設けられていることを特徴とする。
また、梁の軸方向における補剛部材の設置位置は、梁端部での梁の曲げ耐力に寄与しないようにするとともに、梁端部を柱等に接合する際の製作上の観点からも、少なくとも梁端部から所定長さ(20mm〜100mm)以上離間した位置とするのが好ましい。
一体の補剛部材の場合、上述したように、補剛部材の長さは、補剛長さ(Ls)の約半分以上であればよく、また、断続的に設けられた補剛部材の場合、複数の補剛部材のそれぞれの長さの総和(梁の軸方向における総長さ)が、前記補剛長さ(Ls)の略半分以上あればよい。
また、梁端部のウェブに縦補剛部材と横補剛部材が設けられている場合、これらがウェブを拘束することで、急激な耐荷能力の低下を伴うウェブの局部座屈とせん断座屈の双方に対して抑制効果を高めることができるため、結果として優れた塑性変形性能も付与できる。
したがって、鉄骨梁と柱との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
(第1の実施の形態)
図1は第1の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
このような鉄骨梁1は、ウェブ3に対してフランジ2の降伏応力度が高い鋼材からなるH形断面の梁であり、後述するような補剛がされていない場合、特に、高強度・厚肉・広幅のフランジ2と、低強度・薄肉(幅厚比の大きい)のウェブ3との組み合せにおいて、フランジ2のU字形座屈に伴うウェブ3のクリッピング破壊が生じ易い。
(1)フランジの降伏応力度(fF)とウェブの降伏応力度(wF)とすると、
fF≧385N/mm2、wF≦325N/mm2(または、fF/wF≧385/325)。
(2)ウェブの内法高さ(d)と板厚(tw)と降伏応力度(wF)の関係において、d/tw≧100√(235/wF)。
(3)ウェブの断面積(Aw)と片側フランジの断面積(Af)の比として、
Af/Aw≧1.0。
(4)ウェブの板厚(tw)とフランジの板厚(tf)の比として、
tf/tw≧3.0。
すなわちまず、梁端部の補剛長さ(範囲)をLsとすると、この補剛部材5の補剛長さ(Ls)は、梁端部の塑性化が想定される範囲以上であればよく、柱の内法スパン(L)に対してLs≧0.1L程度以上あればよい。
この補剛長さ(範囲)内において、梁端部の一方(上方)のフランジ2に、他方(下方)のフランジ側に向けて延び、かつ梁の軸方向に所定の長さを有する一方の補剛部材5が設けられている。また、他方のフランジ2に、一方のフランジ側に向けて延び、かつ梁の軸方向に所定の長さを有する他方の補剛部材5が設けられている。
補剛部材5は、左右に長尺な矩形板状の鋼板(平鋼)で形成されており、一方のフランジ2の下面および他方のフランジの上面に、隅肉溶接等によって溶接によって接合されている。
また、補剛部材5の梁の軸方向における長さLstは、補剛長さ(Ls)の約半分以上の長さを有しているのが好ましい。
さらに、本実施の形態における補剛部材5の板厚および突出長さは、フランジへの補剛効果と製作上の観点から、それぞれウェブの板厚の1.0倍程度以上、梁せいの1/8〜1/4程度が好ましい。
また、梁の軸方向における補剛部材5の設置位置は、梁端部での梁の曲げ耐力に寄与しないようにするとともに、梁端部を柱等に接合する際の製作上の観点からも、少なくとも梁端部から所定長さs(20mm〜100mm)以上離間した位置となっている。
なお、鉄骨柱10が接合される柱としては、H形、箱形、円形等の断面形状の鋼柱だけでなく、箱形や円形の鋼管の内部にコンクリートを充填したコンクリート充填鋼管柱や、鉄骨鉄筋コンクリート柱等が望ましい。
また、一方の補剛部材5は、他方の補剛部材5およびウェブ3に非接触であり、他方の補剛部材5は、一方の補剛部材5およびウェブ3に非接触であるので、補剛部材5の一端部をフランジ2に設ければよく、他の補剛部材5やウェブ3に接合する必要がないので、製作が容易であるという利点がある。
このように、断続的に補剛部材5aを設ける場合、補剛長さ(Ls)の範囲に亙ってバランスよく補剛部材5aを配置できるので、より効果的にクリッピング破壊を抑制できる。
図3は第2の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第2の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、補剛部材の構成であり、その他の構成は第1の実施の形態と同一であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
さらに、本実施の形態では、補剛部材51は、溝形鋼の一対のフランジ部分がいずれも鉄骨梁1のウェブ3のウェブ面に向けて突出した状態において、溝形鋼の一方のフランジ部分が鉄骨梁1のフランジ2における他方のフランジ2と対向する面に接合されている。また、溝形鋼のフランジ部分は鉄骨梁1のウェブ3に対して外側に突出した状態において、溝形鋼の一方のフランジ部分が鉄骨梁1のフランジ2における他方のフランジ2と対向する面に接合されていてもよい。
図4は第3の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第3の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、補剛部材の構成であり、その他の構成は第1の実施の形態と同一であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
なお、本実施の形態においては、補剛部材52として、図4に示すような、ウェブ部分とフランジ部分とが同じ長さの等辺山形鋼を用いているが、ウェブ部分とフランジ部分とが異なる長さの不等辺山形鋼であってもよい。
図5は第4の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第4の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、補剛部材の構成であり、その他の構成は第1の実施の形態と同一であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
すなわち、一体形補剛部材53は、図1に示す一方の補剛部材5と他方の補剛部材5とがそれぞれ下方および上方に延出されるとともに、これらが一体化された構成となっている。具体的には、一体形補剛部材53は一方のフランジ2と他方のフランジとの間の距離を長辺とする矩形板状の平鋼によって構成され、一方のフランジ2と他方のフランジ2との間に架け渡され、上縁部が一方(上方)のフランジ2に溶接され、下縁部が他方(下方)のフランジ2に溶接されている。
また、一体形補剛部材53の梁の軸方向における長さは第1の実施の形態における補剛部材5とほぼ等しくなっている。また、梁の軸方向における一体形補剛部材53の設置位置も、第1の実施の形態における補剛部材5とほぼ等しくなっている。
図6は第5の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第5の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、補剛部材の構成であり、その他の構成は第1の実施の形態と同一であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
すなわち、補剛部材54は、第1の実施の形態と同様の左右に長尺な矩形板状の鋼板(平鋼)で形成されているが、ウェブ3に対して傾斜して配置されている。上側の補剛部材54は下方に向かうほどウェブ3側に近づくように傾斜しており、当該補剛部材54の下端部はウェブ3に溶接により接合されている。また、下側の補剛部材54は上下方に向かうほどウェブ3側に近づくように傾斜しており、当該補剛部材54の上端部はウェブ3に溶接により接合されている。ここで、補剛部材54のフランジ2に対する傾斜角度は、フランジ2への補剛効果および製作上の観点から、30°〜60°程度がよい。
また、補剛部材54の梁の軸方向における長さおよび梁の軸方向と直交する方向の長さは第1の実施の形態における補剛部材5とほぼ等しくなっている。また、梁の軸方向における補剛部材54の設置位置も、第1の実施の形態における補剛部材5とほぼ等しくなっている。
図7は第6の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第6の実施の形態が第1および第5の実施の形態と異なる点は、補剛部材の構成であり、その他の構成は第1および第5の実施の形態と同一であるので、同一構成には同一符号を付して、その説明を省略ないし簡略化する。
すなわち、補剛部材55は断面L字形に形成されており、その鉛直な一片の端部はフランジ2に溶接によって接合され、水平な他片の端部はウェブ3に溶接によって接合されている。
また、補剛部材55の梁の軸方向における長さおよび梁の軸方向と直交する方向の長さは第1の実施の形態における補剛部材5とほぼ等しくなっている。また、梁の軸方向における補剛部材55の設置位置も、第1の実施の形態における補剛部材5とほぼ等しくなっている。
図8は第7の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第7の実施の形態が第1の実施の形態と異なる点は、縦補剛部材(縦スチフナ)6と横補剛部材(横スチフナ)7を備えている点であるので、以下ではこの点について説明し、第1の実施の形態と同一の構成は同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
縦スチフナ6の上下端部は、フランジ2,2と接合されておらず、当該縦スチフナ6の上下端部とフランジ2,2との間には所定の隙間が設けられている。また、縦スチフナ6のウェブ3からの突出長さは、フランジ2のウェブ3からの突出長さより短く設定されている。
また、縦スチフナ6の上下端部は、フランジ2,2と溶接等によって接合されていなければよく、単にフランジ2,2に当接されていてもよい。なお、鉄骨梁1の梁端部のウェブ3に設けられる縦スチフナ6は、梁の軸方向に離間して複数配置されていてもよい。
横スチフナ7の右端部は縦スチフナ6に当接されるか、または溶接等によって接合されている。また、横スチフナ7のウェブ3からの突出長さは、縦スチフナ6のウェブ3からの突出長さと等しく設定されている。
なお、鉄骨梁1の梁端部のウェブ3に設けられる横スチフナ7は、ウェブ3の上下に離間して平行に複数配置されていてもよい。
したがって、鉄骨梁1と柱10との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
図9は第8の実施の形態に係る柱梁接合構造を示すもので、(a)は平面図、(b)は側面図、(c)は(b)におけるA−A線断面図である。
第8の実施の形態が図6に示す第5の実施の形態と異なる点は、縦補剛部材(縦スチフナ)6と横補剛部材(横スチフナ)7を備えている点であるので、以下ではこの点について説明し、第5の実施の形態と同一の構成は同一符号を付してその説明を省略ないし簡略化する。
縦スチフナ6と横スチフナ7とは、それぞれ第7の実施の形態と同様にして、ウェブ3に設けられている。
したがって、鉄骨梁1と柱10との柱梁接合部の健全性を保つことができる。
断続的に補剛部材を設ける場合、補剛長さの範囲に亙ってバランスよく補剛部材を配置できるので、より効果的にクリッピング破壊を抑制できる。
2 フランジ
3 ウェブ
5,5a,51,52,54,55 補剛部材
53 一体形補剛部材
6 縦スチフナ(縦補剛部材)
7 横スチフナ(横補剛部材)
10 柱
Claims (5)
- ウェブに対してフランジの降伏応力度が高い鋼材からなるH形断面の梁端部が補剛された鉄骨梁であって、
前記梁端部の一方のフランジに、他方のフランジ側に向けて延び、かつ梁の軸方向に所定の長さを有する一方の補剛部材が接合され、他方のフランジに、一方のフランジ側に向けて延び、かつ梁の軸方向に所定の長さを有する他方の補剛部材が接合され、
前記補剛部材どうしは分離していることを特徴とする鉄骨梁。 - 一方の前記補剛部材は、他方の前記補剛部材および前記ウェブに非接触であり、他方の前記補剛部材は、一方の前記補剛部材および前記ウェブに非接触であることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁。
- 前記補剛部材の、前記フランジ側と逆側の端部が前記ウェブに接合されていることを特徴とする請求項1に記載の鉄骨梁。
- 前記梁端部の前記ウェブに、前記梁の軸方向と直交する方向に延びて前記梁端部を補剛する縦補剛部材と、前記梁の軸方向に延びて前記梁端部を補剛する横補剛部材とが設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鉄骨梁。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の鉄骨梁が柱に接合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
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